そして、フォンの言葉にユウキは・・・
これ以上語ると、ネタバレにしかならないので、本編をどうぞ!
倉石先生からアミュスフィアを借り、ALOにログインした俺とアスナは一目散に24層のあの小島へと向かった。
霧が立ち込める小島に降り立った俺たちはユウキの姿を探した。
すると・・・
「・・・ユウキ!」
アスナの声に振り向くと・・・
丁度朝日によって、霧が晴れた方向にユウキは立っていた。
俺達はユウキに駆け寄った。
「実はね・・・心のどこかで期待してたんだ。フォンとは現実世界で一度会ってたし・・・同じ病院にいたから・・・何も言わなくても、アスナやフォンとももう一度会えるじゃないかって・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「そしたら、本当にアスナとフォンは来てくれた。
ボク、予感が当たるのは結構珍しいんだ・・・嬉しかったよ、凄く・・・」
「っ・・・・・ユウキ!!」
その言葉に、アスナはユウキを抱きしめた。
「フフ・・・姉ちゃんと一緒の匂いがする。お日様の匂い・・・」
「・・・お姉さん?」
「うん。藍子って言ってね・・・姉ちゃんは初代スリーピングナイツのリーダーだったんだ。ボクよりもうーんと強くて・・・フォンよりも強かったかもね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そう告げる言葉に俺は何も返すことができなかった・・・その言葉から俺は悟ってしまったからだ。
「シウネーたちとは、セーリンガーデンっていうバーチャルホスピスで知り合ったんだ・・・最初は9人いたんだよ。でも、姉ちゃんとクロービィスとメリダ・・・
もう3人もいなくなっちゃった・・・」
「あっ・・・!?」「っ・・・!?」
「・・・・・だからね、みんなで話し合って決めたんだ・・・次の一人の時には・・・ギルドを解散しようって・・・
アスナ、フォン、ゴメンね・・・本当のこと言えなくて・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「春にスリーピングナイツが解散するのは・・・忙しくなるから引退するからじゃないんだ。長くてもあと3か月・・・そう告知されているメンバーが一人いるのと、
ボクがもう・・・VRMMOに来れなくなっちゃうのが理由なんだ」
「「・・・・っ!?!?」」
「・・・だから、最後の思い出としてこの素敵な世界に何かを残したいって・・・
あのおっきなモニュメントに、ボクたちがここにいたよって、証を残したかったんだ!でも、なかなか上手くいかなくて・・・それで一人だけ手伝ってもらおうと話になったんだ」
「それで・・・あんな決闘を・・・」
「・・・(コクッ)」
俺の言葉にユウキは悲しそうに頷いた。
「で、でも・・・どうして姿を消したの!?病気が治ったのなら、これから一緒に冒険することだって・・・!」
「・・・だからなんだ!!!」
「「っ・・・!?」」
アスナの言葉を遮ったユウキの叫びに俺もアスナも思わず、息を呑んだ。
「・・・ボクが3月に退院すると同時に、スリーピングナイツのメンバーがまた一人いなくなるんだ・・・
だから、これを最後にしようって・・・これを記念にしようって・・・
だけど、アスナを姉ちゃんと呼んだことに気付いた時・・・ボク、そんなことも忘れて、楽しんでた・・・それに気づいて、そんな自分が嫌で・・・・・もうアスナたちに会う訳にはいかないって思ったんだ」
「「・・・・・・・・」」
「それに、ボクの家族はもう・・・だから、退院した後、多分ボクはどこかの施設に引き取られることになると思う・・・・・
そうなったら、もうVRMMOをすることもできなくなると思う・・・」
「・・・そんな・・・・・」
「・・・・・だから、これ以上、アスナたちと会うと、会えなくなるのがつらくなると思ったんだ・・・スリーピングナイツのみんなとも・・・ボクだけが奇跡的に治って、他のメンバーがこれから頑張らないといけないのに・・・ボクだけが普通に過ごしていいのかって、考えちゃったんだ。
・・・・・だから・・・姿を消したんだ」
「・・・・・・・ユウキ」
ユウキの独白に、アスナは涙を流していた・・・だが、俺はその言葉にどこか苛ついていた。
「ゴメンね、フォン、アスナ・・・嫌な思いや悲しい気持ちに「いい加減にしろよ・・・!」っ!フォン・・・?」
その謝罪に、限界を超えた俺は思わず言葉が出てしまっていた。怒気が含まれた俺の声と態度にユウキは驚いていた。
「フォ、フォン君・・・?」
「・・・・・戦え・・・」
「・・・えっ?」
「ユウキ・・・今すぐ俺と戦え!!」
アスナの言葉を無視し、俺はユウキに怒鳴った。その言葉にユウキは困惑していた。
「な、何で・・・?どうして!?」
「・・・・・剣を抜け・・・!」
俺は両手剣を抜き、ユウキに突き付けた。
「フォ、フォン君!?落ち着いて!」
「アスナ、どいてくれ!これは・・・どうしても必要なことなんだ!」
俺の言葉の気迫にアスナは思わず、引いてしまった。だが、ユウキは未だに動揺したまま、呆然としていた。
「や、止めてよ、フォン!ボクは・・・戦いたくなんて!?」
「・・・来ないならこっちから行くぞ!」
そのまま、俺は両手剣で上段から切りかかった。ユウキは咄嗟に剣を抜き、それを防ぐも勢いで後ろに吹き飛んだ。
「・・・っ!フォン!」
「・・・勝負だ・・・絶剣!」
俺はあえて二つ名でユウキを呼び、デュエルの申し込みをユウキに送った。
「・・・・・分かった・・・それでフォンの気が済むのなら・・・受けるよ」
そして、ユウキもデュエルの申請を受け取ってくれた。
互いに距離を取り、武器を構え、カウントがゼロになるのを待った・・・
これからやるのは完全な自己満足な行動だ。確実にユウキを傷つけることになる・・・
それでも・・・今の彼女でいてほしくない・・・そう思った俺の勝手なエゴだ。
その思いと共に、俺は両手剣を力強く握り直した。
・・・・・3、2、1・・・0・・・
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
両手剣と片手剣がぶつかり、火花が散った・・・衝撃が周りに伝わり、空気が震える。
そのまま、俺は無理矢理剣を振り切り、ユウキを後ろに吹き飛ばす。
「っ・・・!」
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
両手剣を力任せに振るい、猛攻をかける。流石のユウキも完璧に防御するも、反撃に出れないでいるようだ。
「どうした!お前の力はそんなものか!それでも本当に、あの絶剣なのか!」
「・・・・・っ!?このぉ!」
俺の言葉にユウキは反撃のソードスキルを放った。片手剣4連撃ソードスキル〈バーチカル・スクエア〉・・・それを両手剣単発範囲スキル〈サイクロン〉であっさりと無効化し、ユウキを剣ごと吹き飛ばす。
「・・・それで本気か!」
「っ・・・うるさい!ボクの・・・ボクの気持ちも知らないで!!」
「なら、お前は俺たちの気持ちを知ってるのか!!!」
「っ・・・・・!?」
その言葉に完全にユウキの体が止まった。
「お前が消えて、俺たちがどんな思いになったか!!」
ガキン!
「スリーピングナイツのみんなから、お前と連絡が取れないって聞いて・・俺達やシウネーたちがどれだけ心配したか!?!?」
ガキィン!
「お前の話を聞いて・・・アスナがなんで涙したのか!?」
ガキィン!!!
「・・・お前の涙を見て、俺がどう思ったのか・・・
本当に・・・分かってて言ってんのかぁ!!!!!」
心のままをぶちまけながら、俺は剣を振るう。
鈍い金属音が連続して響いた。
そのまま、俺は幻想剣《両手剣》重3連撃ソードスキル〈クラッシュ・エンカウンター〉を放った。それは見事にユウキの剣にクリーンヒットし、最後の一撃で剣を砕き、ユウキを後方へと吹き飛ばした。
「・・・・・ぐぅ・・・っ!?!?」
「勝手に俺たちを傷つけたとか・・・お前の勝手な判断で俺たちの気持ちを決めつけるな!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・それでも・・・まだ分からないっていうのなら!」
倒れ、俯いたままのユウキは何も答えない・・・
俺はそのまま幻想剣《両手剣》超重単発最上位ソードスキル〈エンド・オブ・フォーチュン〉の構えに入った。剣にオーラがたまっていく。
「答えろ!・・・お前は本当は・・・どうしたいんだ!!!!!」
「・・・・・・ボクは・・・・・!?」
俺はそのまま剣を振るおうとしたのだが・・・
「ボクはぁぁぁぁ!!!」
だが、一瞬ユウキの方が早く動き出し、砕けた剣の破片を拾い、俺に向かって突っ込んできた。それに対し、俺はオーラによって巨大化した剣を振るった・・・が、
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「っ・・・そんな!」
ユウキはあり得ないほど高くジャンプし、俺のソードスキルを躱したのだ。その動きに俺は信じられないものを見ていた。俺の攻撃は見事に空振り、硬直に襲われる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
そのまま、空中から全体重をかけ、剣の破片を握りしめたユウキの一撃が俺を・・・
・・・・・ガァン!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
地面に叩きつけられた衝撃から、目を開けると・・・
ポタ・・・!ポタ・・・!
涙を流すユウキの顔があった・・・どうやら、ユウキに馬乗りされているようだ。
視線を横にそらすと、ユウキの剣の欠片が顔の横に突き刺さっていたのが見えた。
俺の剣は・・・どうやらさっきの衝撃で手放した時、どこかにいってしまったようだ。
「・・・・・・・ユウキ・・・」
「・・・ボクだって・・・ボクだって!本当は、フォンやアスナと・・・皆と一緒にいたい!!!」
涙ながらに叫ぶユウキの言葉を俺は黙って聞いていた。
「みんなと一緒にいたい!もっといろんな所に行ってみたい!スリーピングナイツの皆とももっと思い出を作りたい!・・・もっと・・・もっと・・・!!!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「だげど・・・・だげど!!」
「・・・ユウキ・・・それでいいんだよ」
「・・・・・・フォ、ン・・・?」
涙で言葉が濁るユウキの頬を撫で、優しく答えた。
「やっと本音を言ったな、この頑固もんが・・・」
「グスッ・・・でも、ボク・・・」
「それでいいだよ。もう本音を言わないなんて・・・我慢するのは終わりにしていいんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・でも」
「・・・もうVRMMOができないって言うのなら、楽しい思い出は多い方がいいだろう?会えなくなるとしても、俺たちが会いに行くよ。現実世界にだって、楽しいことはいっぱいあるんだからさ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・それに・・・もし自分が生きることに罪悪感を感じるなら・・・それこそ、ユウキがスリーピングナイツのみんなを明るく引っ張らないと・・・それが生きる者の責任じゃないのか?」
「・・・・・責任・・・」
「・・・・・ああ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「それでも、今からボクのことなんて忘れてくれなんて言ったって無理だからな・・・!今日みたいに、ユウキのいる場所を絶対に見つけてやるからな」
「・・・フフフ・・・そっか・・・フォンなら本当にしちゃいそうだね・・・」
俺の言葉にユウキの涙は止まり、少し笑ってくれていた。
「・・・・・だからさ。もう少し俺たちと冒険しないか・・・この世界をさ?」
「・・・・・しょうがないな。こうも引き留められたら・・・あんな弱音、もう吐けないよ」
いつもの笑顔に戻ったユウキを見て、俺も笑顔になった。
やっぱりユウキには笑顔が似合う・・・そう思った。
「それにしても・・・まさかあそこから逆転されるなんてな・・・」
「もう!いきなり襲って来たからビックリしたよ!」
「わ、悪い悪い・・・」
「というか、どうしていきなり勝負を仕掛けてきたの?」
「・・・忘れたのか?前にここで戦った時、約束しただろう・・・仕切り直そうって・・・」
「・・・えっ・・・もしかして・・・」
「・・・その約束を無碍にされるのは嫌だったし・・・あとは、思わず勢いで・・・」
「むぅ・・・!フォンの馬鹿!」
ドス!
「がぁ!?な、なんで・・・?」
何故か拗ねた顔のユウキから腹にパンチを食らい、俺は悶えるしかなかったのだった。
「その、ゴメンね、アスナ。ボクの気持ちばっかり、押し付けて・・・」
「ううん・・・私もユウキがそんなに悩んでいたのに・・・ゴメン」
デュエルも終わり、近くに駆け寄って来たアスナもユウキと和解した。
「短い間だけど、またボクと一緒にいてくれる?」
「・・・もちろん!」
「・・・な?聞いてみないと、分からないもんだろう?」
「・・・そうだね・・・ボク、ちょっと考えすぎてたみたい」
そう言って、ユウキは苦笑していた。
「さて、本当はこのまま一緒に冒険に行きたいところだけど・・・明日も学校があるからそろそろ帰らないとな」
「あっ・・・そっか。今、病院からダイブしてるもんね」
俺の言葉にアスナもその事実を思い出したようだ。
「・・・ゴメンね、二人とも・・・せっかく来てくれたのに」
「気にすんな・・・家に戻ったら、もう一回、ダイブするから・・・それまで待ってくれ」
「私も・・・!すぐにログインするから!」
「・・・うん!でも、学校もあるのなら、無理しないでね?」
俺達の言葉にユウキはそう答えながらも、心配してくれていた。
「それにしても、学校か・・・いいな・・・」
「ユウキ・・・?」
「あっ・・・ゴメン!ボク、途中から学校に通ってなかったから・・・アスナたちの学校って、どんなのか気になって・・・行ってみたいけど、流石にまだ病院から出るわけにはいかないから」
「・・・そうだよな・・・ゲームの中に学校は・・・・・・ちょっと待てよ」
その言葉に・・・俺はある物を思い出していた。
「もしかしたら・・・」
「・・・行けるかもしれないよ、学校・・・!」
「・・・えっ?」
俺と同じ考えに至ったアスナと顔を見合わせ、俺たちは思わずユウキに詰め寄っていた。
まずは・・・あいつに相談だ。
次回 SAO~夢幻の戦鬼~
『うわー・・・大きい学校なんだね』
「失礼します!」『し、失礼します・・・!』「失礼します」
『・・・えっと・・・それじゃ、一つ・・・我が儘聞いてもらっていい?・・・どうしても行ってみたいところがあるんだ』
「ここが・・・ユウキのお家?」
『学・校・遠・訪』
青春スイッチ、オン!
【ソードスキル解説】
幻想剣《両手剣》重3連撃ソードスキル〈クラッシュ・エンカウンター〉
武器破壊効果があるソードスキル。右、左と高速の斜め十字切りを繰り出し、その交差点に、剣に回転を加えた突きを繰り出す。十字切りの交差点に突きがヒットした場合、貫通ダメージ、武器・防具に与えるダメージが3倍になる。
オリ主の激高、ユウキの本音・・・
自分の本音を隠し通そうとするユウキのために、悪役に近い行動を取ってでも、
それを引き出したフォン。その真意は・・・?
まぁ、お察しの通りなんですが・・・(笑)
次回はユウキの学校訪問です!
次回更新 11月1日 0時予定