フォンと両親・・・その思いをぶつけ合うお話です。
それでは、どうぞ!
『フォンだって、ボクを打ち倒しちゃうぐらいなんだから・・・きっとできるよ!』
「・・・・(きっとできる、か・・・)」
明日奈を自宅に送り、俺も家に戻ってから、スマホを見つめている時、ユウキの言葉が頭をよぎった。スマホに表示されているのは、実家の連絡先だ。
「・・・すぅ、ふぅ」
息を整え、俺は画面を操作し、電話をかけた。
正直、何を話せばいいのか、全然頭はまとまっていない・・・それでも、目の前でぶつかってみようと・・・俺はそう思い、両親が出るのを待った・・・すると、
『もしもし、音弥ですが』
「あっ・・・母さん。蓮だけど・・・」
『あら、珍しいわね。あなたが電話してくるなんて・・・どうかしたの?』
いつも通り、母さんが出てくれた。俺からの電話に珍しがられたが・・・
まぁ、ここ最近の俺の態度からすれば、当たり前か、
「あのさ・・・実は父さんと話がしたくて・・・休みの日を聞きたくて、電話したんだ」
『・・・本当に何かあったの?そういうことなら、いつもメールのくせに・・・』
「い、いや・・・!こう、直接話したかったのもあって・・・!もしかして、まだ仕事?」
『いいえ、仕事はもう終わってるけど・・・今、手が離せない状況なのよね』
「そ、そっか・・・分かった、それじゃ『そうだ!』・・・母さん?」
かけ直そうとしようとしたところ、母さんの声に遮られた。
『丁度いいタイミングだわ・・・蓮、あなたも付き合いなさい』
「・・・な、なにを?」
『・・・・・決まってるでしょ、今から母さん・・・ALOにダイブするの』
その言葉に、思わずスマホを落としそうになった。
ALO 首都アルン
ALOにログインした俺はすぐさま転移結晶を使い、首都アルンへと転移した。
(確か、風妖精って、言ってたよな・・・)
俺が周りを見渡していると・・・
「あっ・・・こっちよ!」
声がした方を向くと、風妖精の女性が手を振っていた。
「もしかして・・・母さん?」
「そうよ。それにしても、蓮。あなたのアバター・・・現実世界のあなたにそっくりね・・・一発で分かったわよ」
「・・・色々あってね・・・それと、ここじゃリアルネームは止めてくれ。ここじゃ、フォンって名前なんだから」
「あら、ごめんなさい。まだそこら辺、慣れてないのよね」
風妖精の女性・・・この人こそ、俺の母親にして、先程、爆弾発言をした音弥久美子その人である。
「それにしても、びっくりしたよ・・・母さんがALOを始めてるなんて・・・」
「そうかしら・・・?流行ものには乗っておこうと思っただけよ」
「それじゃ、今になって、ネットの回線工事を始めたのって・・・母さんが父さんに・・・?」
「フフフ・・・残念、ハズレよ」
「えっ?それじゃ・・・?」
「・・・・・その答えは、直に分かるわ。それじゃ、行きましょうか?」
そう言って、母さんはどこかへと向かおうと歩いて行ったのだが・・・
「か、母さん・・・道分かってるの?」
気になったことを聞いてみると、母さんはその動きを止め、そのままこっちに真っ直ぐ戻って来た。
「・・・・・・・ここに行きたいんだけど・・・どっちに行けば、いいのかしら?」
「・・・・・母さん・・・・・・」
そう・・・俺の母さんは、ちょっと天然なところがあるのだ。
母さんが示した地図のポイントにやってきた俺達。
まだ飛行に慣れていない母さんは補助コントローラーを使っての飛行だったが、初心者の割にはかなり上手に飛んでいた。
そんなことを思っている時だった。俺の索敵スキルに何かがヒットした・・・その方向を見ると、プレイヤーがモンスターと戦っているようだった。
しかし、プレイヤーは魔法主体の戦闘スタイルらしく、植物型のモンスター3体に 苦戦を強いられていた。
「まずいな・・・!」
「どうかしたの・・・?」
「・・・ちょっと行ってくる!母さんは、ゆっくり付いてきたんでいいから!」
「ちょ、ちょっと、蓮・・・!?」
本名を呼ばれたことを突っ込まず、俺は空中からプレイヤーがいる地点へと急降下した。
「くっ・・・このぉ・・・!」
苦戦するプレイヤーに、モンスターの蔦が振るわれようとしていた。俺は両手剣を抜きその間に入った。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
急降下のスピードを生かしそのまま蔦を切り裂く。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ・・・!」
「・・・援護します!僕が攻撃をパリィしますから、合図とともに魔法を撃ち込んでください」
「パ、パリィ・・・?」
「あっ・・・ええっと、攻撃を捌きますので、合図とともに、一番威力の高い魔法を撃ち込んでください」
「わ、分かった」
「・・・すぅ・・・いきます!」
俺はタンクとして、モンスターたちの攻撃を全て捌き始めた。
初心者にとっては確かに手ごわい相手だが・・・俺にとってはそうそう遅れを取る相手ではない。
そのまま、相手の蔦を全て切り裂き、モンスター達が蔦を再生し始めた時だった。
「今です!」
「・・・あ、ああ!」
俺は翅を展開し、空中に飛び上がった。その直後、俺の合図でプレイヤーが炎魔法〈フレイム・ブラスト〉を放った。そのまま、炎に焼かれたモンスターたちに
「とどめだぁ!」
両手剣単発範囲ソードスキル〈サイクロン〉を放ち、その姿をポリゴンに変えた。
そのまま、両手剣を背中に納め、俺は助けたプレイヤーの元に駆け寄った。
「大丈夫でしたか?」
「・・・ああ」
「すみません。差し出がましいとは思ったんですが・・・」
「・・・いいや、助かったよ・・・ありがとう」
助けたプレイヤー・・・サラマンダーの男性は眼鏡を直しながら、そう答えてくれた。
とりあえず、大したダメ―ジもないようだ・・・装備を見ると、初期装備の2ランク上辺りといったところか。
この人もどうやらニュービ―のようだ・・・その割には中級魔法を使うなど、結構熟練度は上げているようだ。
「もう、待ってってば、れ・・・フォン・・・!」
「あっ、ゴメン・・・」
遅れてやって来た母さんはなんとか着地して、俺に文句を言ってきた。
緊急事態だったのでそこは勘弁してほしいところだ。
「・・・あら、お父さん・・・?」
「えっ?」
その発言に、今日二度目の硬直に襲われた。
・・・お母さま。今、何と言いましたか?
「むぅ・・・ミコか。さっき、この少年に助けてもらってな・・・ミコの知り合いだったのか?」
「何言ってるのよ・・・この子は蓮よ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・えーと・・・うん、俺だよ、父さん・・・蓮だよ」
俺の告白に今度は父さんが固まる番だった。
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
場所を変えて、アルンの酒場・・・俺達、親子三人は黙ったまま、10分程が経過していた。
とりあえず、話をしようとなったのだが・・・どう話を切り出せば、いいのやら・・・
(ともかく、ここは俺が話を切り出せねば・・・!)
「あの・・・っ!」「実はな・・・っ!」
父さんと切り出しが重なってしまった・・・気まずい・・・
「フフ・・・アハハハハ・・・!」
「か、母さん・・・?」「ミコ・・・?」
「もう、あなたもフォンも、何をしているのやら・・・」
いきなり笑い出した母さんに俺も父さんも思わず、驚いてしまった。
「いい、フォン?お母さんがALOを始めたのはね・・・お父さんがALOを始めると言い出したからよ」
「・・・えっ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
母さんの言葉に思わず、父さんの方を見ると気まずい顔をしていた・・・どうやら母さんの言う通りらしい。
「な、なんで?だって、父さん・・・」
「・・・ふぅ・・・」
俺の疑問に父さんは、観念したように息を吐いた。
「・・・お前の世界を見てみたい・・・そう思って、始めたんだ」
「・・・・・ど、どういう、こと・・・?」
父さんの言葉が分からず、思わず尋ねてしまった。
「・・・お前はあのゲームから戻って来てから・・・人が変わってしまったようだった。私達と話す時にはどこか壁を作り・・・一人暮らしを始めると、家を出てしまった・・・
何よりも・・・以前はまったくやっていなかったゲームに熱中し始めた。
・・・あんなに危険な目にあったというのに・・・」
「・・・・・・っ・・・!」
父さんの言葉に俺は自分の罪を突き付けられたような気がした。
父さんにここまで、心配させていたとは・・・予想していなかったといえば、嘘だが・・・それでも直接言われると堪えるものがあった。
「・・・だからこそだ・・・お前が見ている世界をこの目で体験してみたいと思った・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「何がお前を変え・・・何が、お前をそこまで熱中させるのか・・・私も知ってみたいと思ったのだ。そんなことを考えている時だった・・・仕事先の方から、ALOの話を聞いてな・・・私も挑戦してみようと思ったのだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
父さんの独白を俺は黙って聞いていた。そして、今度は俺から父さんに尋ねる番だった。
「・・・父さんから見て、この世界はどうだった?」
「・・・・・そうだな・・・驚くばかりだよ。この世界では、私が昔夢見ていた風景が広がっていた。現代世界でも、未だ見たことがない世界を見た時には・・・私は VRMMOを侮っていたことを・・・お前がこの世界に夢中になる理由が分かったよ・・・・・
ここには、お前のもう一つの世界が広がっているのだな」
「・・・うん」
父さんの答えに俺は静かに頷いた。そして・・・
「・・・ねぇ、もう一つ聞いてもいい?」
「・・・・・なんだ?」
「・・・父さんは・・・俺が父さんの仕事を継ぐことを・・・弁護士になろうとしていることに、反対なの?」
「・・・っ・・・そのことか」
俺は長年の疑問を父さんにぶつけてみた・・・
中学時代・・・俺が父さんに弁護士になると告げた時、父さんはいつも険しい表情をしていた。それからだった・・・父さんの態度が変だと感じるようになったのは・・・今なら、その疑問をぶつけられると思って、聞いてみたのだ。
「・・・・・別に反対じゃない・・・だが、それに捉われすぎて、他の道を見失ってほしくないと思ったんだ」
「・・・・・お父さん」
「母さんも同じ考えだったんだ・・・お前は私の背中を見て、必死に勉強してきた・・・だが、そんな必死なお前になんと言えばいいのか、分からずにな・・・
その間にお前はあのゲームに巻き込まれてしまった・・・今、思えば、素直に話せばよかったのだな・・・・・私の口下手な部分が出てしまったようだ」
「・・・・・仕事じゃ、バリバリの現役弁護士なのにね」
「ミコ・・・!?」
母さんの突っ込みに、父さんは慌ててしまっていた。その光景に思わず笑ってしまった。
「フフフ・・・アハハ!」「フッ・・・フフ・・・!」「アハハハ!」
父さんも母さんも俺につられて、笑っていた。
「はぁ・・・そっか・・・俺も父さんも互いにすれ違いまくりだったわけだ」
「・・・・・そうだな・・・そういうところは、私に似てしまったのかもしれないな」
・・・その言葉を聞いた時、俺は・・・
(そっか・・・例え、ここが別の世界でも・・・この人たちは俺の親なんだ・・・俺達は親子なんだ・・・)
そう思った・・・俺が勝手に壁を作っていたんだ。
父さんに関しても・・・平行世界から来たことも・・・勝手に思い込んで・・・
(これじゃ、ユウキのこと・・・言えないよな)
思わず先日のことを思い出し、俺は思い出し笑いをしてしまった。
「さて、もうそろそろいい時間だな・・・私たちはそろそろログアウトするとしよう」
「そうね・・・貴女はどうするの、フォン?」
「・・・俺もそろそろ上がるよ・・・父さん」
「うん・・・?」
「・・・今度は一緒にクエストに行かない?母さんも一緒に・・・俺の仲間も紹介したいからさ」
「・・・・・ああ。お前の友達にもぜひ会ってみたいからな」
「・・・うん!」
その言葉を聞き、俺たちは別れることにした・・・のだが、
「あっ、ゴメン、父さん!もうちょっと、いいかな?」
「・・・どうした?」
「実は・・・・・相談したいことがあってさ・・・」
俺はあることを思いつき、父さんにしか頼めないことを相談することにした。
次回 SAO~夢幻の戦鬼~
「ユウキさえ良かったら、俺がユウキの武器を作ろうか?」
「本当!?」
「・・・・・できたの?」
「・・・・・まぁな、どれどれ・・・」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「それじゃあさ・・・結婚とかもまだ考えてないの?」
「・・・えっ・・・?」
『やり過ぎ、言いすぎ、チートすぎ!』
次の行き先は、過去か?未来か?
ユウキのことを考えた結果、フォンの父親をどう設定すべきか・・・
そういったことから、父親の職業は弁護士という設定が思いつき、フォンと家族の問題設定として、加わったという経緯があります。
次回も、オリジナルエピソードになります。
まぁ、またオリ主が色々とやらかすのですが・・・(笑)
次回更新 3日 0時予定