ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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まさかのユウキ強化回です。
やりすぎた感はありますが、大体はオリ主が悪いです(笑)

それと、最後の方、甘々空間が形成されます。
コーヒーのご準備をお忘れないように・・・

それでは、どうぞ!



第10話 「やり過ぎ、言いすぎ、チートすぎ!」

父さんたちとALOで和解した2日後・・・

 

1月14日

放課後・・・今日はキリトたちの都合がつかず、一人でALOをぶらついていた。

最近、色々ありすぎて、今日ぐらいはゆっくりしようと思い、鍛冶やら料理やら何をしようかと考えながら、俺が27層の商店街をうろついている時だった。

 

「あれ・・・ユウキ?」

「えっ?あっ、フォン!」

 

武器屋で真剣な表情で何かを見ていたユウキを見つけ、声を掛けると、ユウキもこっちに気付いた。ちなみに、ユウキは検査があったため、学校に来れなかったので、今日会うのは初めてだ。

 

「どうしたんだ、こんなところで?」

「あーー・・・うん。本当はスリーピングナイツのみんなと一緒に過ごす予定だったんだけど・・・」

 

何故か気まずそうに眼を逸らすユウキに俺はどうかしたのかと思い、首を傾げた。

 

「・・・ボク、武器を壊しちゃったことを忘れてて・・・とりあえず、今日は武器を探すために別行動になったんだ」

「・・・・・あっ!!」

 

その言葉に俺は思い出した・・・・・この前の決闘で俺がユウキの武器を破壊してしまったんだ・・・・道理でユウキが気まずい表情をするわけだ。

 

「だけど、この前使ってた剣、今、売り切れてるみたいでさ。困ってて・・・」

 

・・・なるほど、そういうことだったのか。事情を把握した俺は、

 

「なあ、ユウキ。武器を壊した俺が言うのもあれなんだが・・・もし良かったら、俺が作ろうか?」

「・・・えっ?」

「俺、マスタースミスだからさ・・・ユウキさえ良かったら、俺がユウキの武器を「本当!?」あ、ああ・・・!」

 

急に迫って来たユウキに驚きながらも答える・・・ユウキの顔がすぐ近くに・・・!

 

「あっ・・・ゴ、ゴメン!?」

「だ、大丈夫・・・!」

 

ユウキもどうやら顔を近づけすぎたことに気付いたようだ。慌てて、顔を離しながら謝ってくれた。

 

「と、とりあえず・・・俺の工房に行くか?」

「工房・・・?」

「ああ。まぁ、小さなもんだけどな」

 

そう言って、俺はユウキを連れだって、転移門へと向かうのだった。

 

 

 

 

第21層・・・住宅街から少し路地に入ったところ。

 

「もしかして、ここ?」

「ああ」

 

『ファントム・クラウド』と看板のかかった店を指さし、聞いてきたユウキに答えながら、俺はドアを開け、ユウキもそれに続いた。

 

「へぇ・・・ここがフォンの工房か・・・」

「まぁ、工房って言う割にはこじんまりしてるけどな・・・準備するか」

 

俺はウィンドウを操作し、装備を変える・・・ツナギのような、いわゆる鍛冶服と鍛冶槌『アダマント・フィスト』を装備した。

 

「ユウキ、壊れた剣はまだ持ってるか?」

「う、うん。持ってるよ」

「それじゃ、それをオブジェクト化してくれ」

「うん・・・これでいいの?」

「おう。ちょっと預かるぞ?」

 

ユウキから折れた剣を預かり、鍛冶台に置く。

 

「この剣をインゴットに戻すけど、いいか?」

「うん、そこはフォンに任すよ」

「分かった・・・よし、始めるか」

 

ユウキの許可を得て、そのまま槌を振り下ろし、折れた剣を叩いていく。数回叩くと、剣の欠片が姿を変え、インゴットになった。

 

「よし。それじゃ、次は剣の素体だな・・・やっぱりスピード重視の方がいいよな?」

「そうだね・・・できれば、前みたいな形のものがいいんだけど・・・」

「・・・そうか。スピード系の剣か・・・・・そうだ!」

 

何を素材にしようか、倉庫ストレージを覗きながら、武器を漁っていると、俺はある武器のことを思い出した。倉庫ストレージを閉じ、今度は手持ちのストレージを開き、それをオブジェクト化した。

 

「ユウキ・・・これを振ってみてくれないか?」

「これ?よっ・・・!こ、これ・・・結構、重いね・・・!」

 

俺から手渡された剣をユウキは少しよろつきながらも、片手で振ってみせた。

 

「・・・そうか。それなら、インゴットを融合させる際にスピード系の素材を混ぜるか・・・それでSTR寄りからAGI寄りに変えられるんだろうし・・・それに、元の剣のインゴットを混ぜれば、形も近づけられるか・・・」

「フォ、フォン・・・?」

「・・・!ああ、悪い悪い・・・ちょっと考えごとしてた。それじゃ、今から作るから・・・」

 

一人思考を重ねていると、ユウキから心配の声を掛けられたので、問題ないと返し、俺は作業を続行することにした。

ユウキから貸していた剣・・・『オニキス・トルゥース』を受け取り、それを炉にくべる。そのまま、インゴットを火にかけ、ドロドロに溶かしていき、それを専用の機器に移す。

その中に、グリフィン系の上位素材の翼、リザードマン系の上位素材の尻尾、ホーネット系の最高位素材の針を合成していく。

その様子をユウキは横からずっと見ていた。そして、熱せられた剣を炉から取り出し、鍛冶台の上に置く。

 

「さて、仕上げだ・・・!」

 

そのまま数回剣を叩き、インゴットと素材を混ぜた物を上から載せていく。そのまま、規定回数、剣を叩いていくと、剣が光を放ち・・・形を変えた。

 

「・・・・・できたの?」

「・・・・・まぁな、どれどれ・・・」

 

横で見ていたユウキの言葉に俺は槌を腰にしまいながら、剣を持ってみた。

俺の采配通り、素材を混ぜたことで剣は先ほどよりも軽くなり、形もユウキが使っていた剣に近いものになった。変わった点と言えば、黒色だった剣が紫ベースの黒になったこと、ナックルガードと柄の部分に花と蔓の模様、刀身に沿って何かの文字が刻まれているようだ。その性能を確認すべく、俺は鑑定スキルを使ったのだが・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

・・・そのまま鑑定画面を閉じてしまった。

 

「フォ、フォン・・・失敗しちゃったの?」

「・・・・・・・いや、ちょっと変なものが見えて・・・」

 

ユウキの心配の声に俺は顔を振りもう一度鑑定スキルを使った。

 

そこに表示されていたのは・・・先ほどと同じ内容の画面だった。

 

「・・・できたぞ、ユウキ・・・」

「う、うん・・・だ、大丈夫?なんか物凄い顔になってるけど・・・」

「・・・・・とりあえず試し振りしてみてくれ・・・」

「ほ、本当に大丈夫!?この剣!?」

 

俺の態度に嫌な予感を感じたのだろう・・・ユウキはかなりビビッてしまっていた。

それでも、やはり気になるのか・・・恐る恐る剣を受け取ったユウキは試し切りの場所へと移動した。

 

「・・・普通の剣だよ、ね・・・?重さも前の剣とほとんど変わらないし、これなら・・・問題なく触れる、よ!」

 

持った感覚を確かめながら、問題ないと判断したユウキが思いっきり剣を振った時だった・・・

 

キィン・・・ガァン!!!

「・・・へっ・・・?」「・・・やっぱりか・・・」

 

剣を振った先の壁に切り裂いた跡ができていた・・・正確には、ユウキの剣から放たれた飛ぶ斬撃が壁を切り裂いていた。

 

「・・・ねぇ、フォン・・・これって、幻術?」

「・・・・・いや、俺も同じものを見てるから、現実だな」

「・・・・・・・・・これなに!?!?」

 

ようやく現実を受け入れたユウキは俺にそう問いかけてきた。

 

「名称は『女神の剣 イシスフィテル』だな」

「名前じゃなくって!?」

「・・・化け物級の武器です・・・区分はエンシェントウェポンだけど・・・性能を見ると、確実にレジェンダリー・・・いや、プレイヤーメイドだから、ユニークウェポンというべきなのか・・・?」

 

先程見た、武器のステータスを思い出しながら俺は遠い目をしていた。

 

『女神の剣 イシスフィテル』・・・万能型片手両刃剣。女神から勇者が与えられた剣であり、その能力は使い手と共に成長していったといわれる。邪を払い、使用者の道を切り開く力を持つ、神器の一つと伝えられている。

 

特殊能力・・・この剣は使用者のステータスによって、能力を変える。

・使用者のHPが80%以上の時、最大攻撃力の30%分の衝撃波を飛ばすことができる。

・使用者のHPが減少するほど、DEF・AGIにボーナスが加わる。

・この剣は耐久値が0になった時、破壊される代わりに封印状態になる。封印状態の間は2時間、鞘から剣を抜くことができず、時間経過後は耐久値の50%の状態で使用可能になる。

・ソードスキルに25%のダメージ増加補正。

 

(・・・・・うん、もう一度言うわ・・・化け物級の武器だわ・・・)

 

ユウキに先ほど見た鑑定の内容を説明すると、その顔がどんどん凄いことになっていた。

 

「・・・・・ねぇ、フォン・・・もう一回言うね・・・これなに!?!?!?」

「・・・・・ごめんなさい」

 

ユウキのリアクションに、流石の俺も笑うことができず目を逸らすことしかできなかった。

 

「どうしたらこんな剣ができるの!?」

「・・・素材としては、ユウキの折れた剣に、グリフィン系の上位素材の翼、リザードマン系の上位素材の尻尾、ホーネット系の最高位素材の針・・・・・」

「・・・そこまでは普通だね・・・ってことは」

「・・・多分、あれが原因だよな・・・『オニキス・トルゥース』」

「・・・やっぱり?」

 

原因をユウキと考え・・・というか、答えはもう一つしかなかったのだが・・・

 

「あの剣って、なんだったの?」

「あ、ああ・・・ユウキ、SAOの・・・あの洞窟の蔦のボスモンスターを覚えてるか?」

「あっ、うん・・・もしかして・・・?」

「そう・・・そのボスからドロップした二つの鉱石で作ったのが、あの片手剣なんだ。詳しい話は割愛するけど、それを使って、キリトはSAOのラスボスを倒した。SAO事件が全て終わった後で、持っていたキリトが俺に返してきたんだ。

・・・それで、俺も使わずにストレージにしまっておいた・・・って、わけだ」

 

・・・レアスキル《相続》は死亡時、所有しているアイテム一つを条件なしで指定のプレイヤーに送ることができるスキルだ・・・結婚システムの個人譲渡版といった感じだろう。

それから、俺がALOをプレイし始めた時に、キリトから返してもらったのだ。なんでも、SAOのアイテムの中で、『ユイちゃんの心』と、この剣だけが正常に使用可能となっていたらしい・・・未だに分からない謎の一つである。

 

「・・・えっ、そんな剣、使って良かったの・・・?

ボ、ボク・・・もう少しでこの世界に来れなくなっちゃうのに・・・」

「ああ、そこは気にするな。元々、あの剣はもう使うつもりはなかったんだ・・・

あの剣の役目はあの世界で、終わったからな・・・・・」

「・・・フォン・・・」

「・・・それに、あの剣は俺とユウキが初めて冒険した記念品でもあるからな・・・

最後の最後まで、ユウキに使ってもらえるなら、本望だろう」

「・・・・・分かった。大事にする!」

 

そう言って、ユウキは剣を大事そうに抱えながら、そう言ってくれた。

 

「・・・ふぅ、俺も久々にいい仕事したなぁぁ・・・!」

「フフフ・・・ちょっと、おじさんっぽいよ、フォン」

 

背伸びをしながらそう言うと、ユウキに笑われてしまった・・・そんなにだろうか?

 

「・・・よし!それじゃ、せっかくだし、このまま試し切りにダンジョンでも行くか?」

「うん!」

俺の提案にユウキも賛同してくれ、俺たちはクエスト掲示板がある広場へと向かった。

 

 

 

「・・・モンスター出ないね」

「・・・そうだな・・・もしかしたら、件のモンスターのせいかもな・・・」

 

俺とユウキは試し切りを兼ねて、クエストを達成するためにある洞窟に来たのだが・・・

洞窟を進むこと10分・・・モンスターとエンカウントしないのである・・・

 

「あのお爺さんが言ってたのって、これのことだったんだね・・・」

 

ユウキの言葉に俺はこのクエストの依頼人である、NPCの老人を思い出していた。

『実はのう・・・鉱石が豊富な洞窟に見たことのないモンスターが住み着いてしまっての・・・

そのモンスターのせいで、その山を通る水が汚染されてしまってのう・・・飲み水だけでなく、生き物までそのエリアからいなくなってしまってのう・・・なんとかしてくれんか?』

「・・・生き物って、言うのはここに生息していたモンスターも、ってことだったんだな」

 

・・・まったく聞いたことがないクエストだったので、受けてみようとことになったのだが・・・・これは予想外だったな。最悪、そのボスモンスターで試し切りをすることになるが・・・ユウキは大丈夫だろうか・・・と思い、ユウキの方を見ると・・・

 

「よーし!早く倒してこの洞窟を元に戻さないとね!!」

「そうだな」

 

・・・どうやら心配は杞憂だったようだ。そんなユウキの言葉に俺も微笑みながら、返した。

そして、少し歩いたところで・・・扉が見えてきた。どうやらあそこが目的地のようだ。

 

「この洞窟にこんな扉のギミックはなかったはず・・・」

「ってことは、この先に・・・?」

「・・・だろうな・・・ユウキ、準備は?」

「いつでも大丈夫だよ!」

 

俺は腰に携さえた細剣『ノブリス・ロメン』に手を掛け、そう尋ねた。ユウキも準備万端と、片手剣を抜き、合図してくれた。

 

「よし・・・行くぞ!」

 

そのまま、俺は扉を開いた・・・広場の中央に大型のモンスターが背を向けて位置していた。

そして、モンスターはこちらに気付いたようで、振り向き・・・・

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』

咆哮を放った。索敵スキルでモンスターのステータスを探る。固有名は『The Contaminated Born Doragon』・・・直訳で腐骨竜、といったところか・・・

全身からは明らかにヤバい色の液体が絶えず流れ続けており、口からは瘴気らしきものが漏れていた。HPゲージは3本。

 

「いくぞ、ユウキ!あの液体には触れるなよ!」

「うん!」

 

腐骨竜の出す液体に気を付けながら、俺たちは戦闘を開始した。当初の作戦通り、俺がボスのタゲを取り、ユウキが横から攻撃していった。ボスの攻撃は前足での大振りと、尻尾での叩き付け、の単調な攻撃のみだったため、俺たちは被弾することなく、ダメージを与えていった。

 

そして、HPゲージが1本目を切った時だった・・・ボスがいきなり上半身を起こしたのだ。俺とユウキは衝撃に備え、後方に下がったのだが・・・予想に反して、ボスはそのまま全身から瘴気を放出したのだった。まさかの全体ブレスに俺もユウキも回避できずにまともに受けてしまった。

 

「くっ・・・・・ユウキ、大丈夫か?!?」

「・・・ゴ、ゴメン・・・ボク、動けないや・・・」

 

蹲って動けないユウキを見ると、麻痺と出血のバッドステータスが表示されていた。急ぎ回復しようとアイテムを出そうとするも、ストレージが呼び出せなかった・・・俺にもバッドステータスが付与されており、アイテム使用不可と沈黙・・・いわゆる魔法使用不可がかけられてしまっていた。

瘴気を放出したボスは体制を整えたようで俺たちの方を見ていた。

 

「・・・やるしかないか・・・!」

 

動けないユウキを庇い、俺はボスのヘイトを集めるために攻撃をしかけた。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

ボスの攻撃は先ほどの攻撃に加え、口から瘴気のブレスを放つのが加わった。

回復が一切できない状態で、最小限でのダメージに抑えながら俺はボスの体力を削っていく。

 

「あっ!動ける!・・・フォン、お待たせ!」

 

時間経過で、バッドステータスが回復したユウキが戦線に復帰し、今度は二人でダメージを与えていく。

 

「せやぁぁぁぁ!」「はっ!!」

 

ヘイトをそれぞれ交互に対応しながら、ダメージを与えていく中で、俺はあることに気付いた。

 

(さっきの液体・・・あれには何の効果もないのか・・・?)

 

フィールドに点々と飛び散り続けるボスの体液が何の効果も発揮していないのが、引っかかっていたのだ・・・俺がそんなことを考えていると、

 

「フォン!一気に削るよ!」

「あ、ああ・・・行くぞ!」

 

ユウキの合図に、ボスの隙を付いた俺たちはそれぞれソードスキルを発動させる。

 

ユウキはOSS〈マザーズ・ロザリオ〉を、俺は幻想剣《細剣》8連撃ソードスキル〈エイトニング・カウント〉を放つ。11連撃と高速移動での8連突きがボスの体を貫き、そのHPバーの二本目をゼロにした時だった・・・急にフィールド自体が揺れ始めたのだ。

 

「な、なに・・・!?!?」

「っ!これは・・・フィールドが崩れて・・・!?」

 

その瞬間、先程気になっていたボスの体液がフィールドを溶かし始めたのだ。みるみるフィールドは穴だらけになっていき、ボスがいる中央を覗き、立っていられる場所は先ほどの3分の1になってしまったのだ。

 

「うわぁ・・・これって、落ちたら一貫の終わりだよね?」

「・・・即死か・・・なんつう難易度の討伐クエストだよ・・・!」

 

ユウキの言葉に、一瞬下を見てから、その脅威に思わず、汗を拭ってしまっていた。

そんな俺達に、ボスは容赦してくれるはずもなく、瘴気のブレスを次々と放ってきた。

 

「うわぁ!・・・と、とっと!?」

「ユウキ!」

「大丈夫!フォン、危ない!?」

「っ・・・!」

 

なんとか、残った足場を飛びながら、ブレスを回避していくも、足場が少ないこと、ジャンプでの移動で硬直が長いことから、俺たちはボスに近づけないでいた。しかも、ブレスを食らえば、バッドステータスを必ず付与されてしまうため、絶対に当たる訳にはいかない・・・

 

更に、遠隔攻撃しようにも、俺もユウキも魔法の熟練度は高くないため、決定打に欠けてしまう・・・どうするべきか、考えていた時・・・いちかばちかの妙案を思いついた。

 

「ユウキ!」

「なに?!」

「10秒でいい!あいつの気をそらせるか!」

「分かった!」

 

そう言って、ユウキは攻撃を躱した直後に

 

「くらえ!」

 

片手剣を振り、斬撃を飛ばした。その一撃はボスの顔にクリーンヒットした。ボスのヘイトが一気にユウキに集まった。

 

その瞬間、俺はすぐさま高速換装のスキルを使い装備を変更する。

風切りのマントに、その姿はまさしく海賊を連想させる軽装・・・『骨織りの海装束』と短剣『メップ・ザンバー』を装備した。

 

そのまま、俺は足場を飛びながら、ボスに急接近した。その動きを察したボスは今度は俺にブレスを放とうとした。その時・・・

 

「「疾!!!!!」」

「えっ・・・?」

 

幻想剣《短剣》多重4連撃ソードスキル〈アザー・ワンズ・ストライク〉を使った俺は、分身し、二人になった。いきなりの光景にユウキから驚きの声が出ていた。

 

一方のボスは、いきなり分裂した俺に、完全にアルゴリズムを狂わされ、攻撃が止まってしまっていた。そのまま、俺はボスを分身と同時に短剣で切り裂いた。

 

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?!?!?!』

 

「・・・ユウキ!止め、行くぞ!」

「う、うん!」

 

硬直が解け、一気に止めを刺すべく、ユウキに合図し、再びソードスキルの構えを取った。

 

「よし・・・いくよ!」

「ああ!」

 

そう言って、ユウキは大きくジャンプし、ボスの真上を取った。俺もそれに合わせ、ソードスキルを発動させる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

ユウキの〈マザーズ・ロザリオ〉に合わせ、放つのは幻想剣《短剣》多重6連撃最上位ソードスキル〈ファントム・ボーン・ダスト〉・・・再び分身した俺は高速で6連撃の斬撃を繰り出した。一撃一撃ごとに高速で放つそれは、まるで忍者のように現れては消えての繰り返しだった。

そして、俺とユウキの最後の一撃がそれぞれヒットし、ボスのHPがゼロになった。

 

『!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?』

 

最後の雄たけびを上げるように、ボスは瘴気を口から漏らしながら、ポリゴンへと形を変えた。

 

「っとと・・・うわぁ!?」

「よっと!大丈夫か?」

「う、うん・・・ありがとう・・・」

 

ボスを倒したことで、フィールドが元に戻ろうとして再び地面が揺れていた。その振動で落ちそうになったユウキを助け、地震が収まるのを待った。そして、収まった時に空中には、『Congratulations』の文字が浮かんでいた。

その文字を見て、俺とユウキは

 

「やったな!」「やったね!」

 

ハイタッチをして、勝利を喜んでいた。

 

 

 

「良かったね!あのお爺さんも喜んでたし」

「・・・そうだな。久々に歯ごたえのあるボスだったな」

 

依頼人のNPCに報告を終えた帰り道・・・俺とユウキは他愛もない話をしながら、レストランで食事をしていた。ユウキに

 

「せめて、剣のお礼くらいはさせてほしい」

 

と言われ、以前アルゴさんに教えてもらった、NPCが経営するちょっとした隠れた名店に来ていたのだ。

ちなみに、俺はトマトとナスのミートパスタ、ユウキは目玉焼きの乗ったデミグラスハンバーグを食べていた。

そして、話は・・・この前の相談の件に移った。

 

「そっか・・・それじゃ、フォンも仲直りできたんだ」

「仲直りって言うよりは・・・まぁ、俺の早とちりだったってことだよ。もっと早く俺が切り出しとけば、父さんにも母さんにも心配かけずに済んだと思うとさ」

「・・・まあまあ」

 

俺の言葉にユウキは慰めの言葉をかけてくれた。

 

「でも、お父さんが弁護士だと、そういう風に考えちゃうのもしょうがないのかもね?」

「・・・かもな・・・」

「ねぇ、フォン・・・」

「うん・・・?」

「フォンはさ、将来何になりたいの?」

「・・・・・いきなりだな・・・

そうだな・・・・・・・今は全然決まってないな」

「・・・そうなの?」

「うーん・・・そりゃ、昔は弁護士を夢見てたけど・・・VRMMOを経験して、ちょっと迷ってる、ってのはある」

「・・・そっか・・・それじゃあさ・・・結婚とかもまだ考えてないの?」

 

ユウキの意外な言葉に俺の思考は停止した。

 

 

〈ユウキ View〉

「フォンはさ、将来何になりたいの・・・?」

 

・・・フォンとの食事中、ボクは思わず聞いてしまった。もっと、フォンのことを知りたいと思ったのだ。

 

「うーん・・・そりゃ、昔は弁護士を夢見てたけど、VRMMOを経験して、ちょっと迷ってる、ってのはある・・・」

 

ボクにそう聞かれたフォンは苦笑しながら、そう答えてくれた。

 

「そっか」

 

その答えを聞いて、僕は唐突に思ったことをそのまま聞いてしまった。

 

「それじゃあさ・・・結婚とかもまだ考えてないの?」

「・・・えっ・・・?」

 

その言葉にフォンの表情が固まった。そして、

 

(・・・ボ、ボク・・・何聞いちゃっての!?)

 

自分がした質問に気付き、思わず顔が赤くなるのを感じた。

フォンの方をまともに見ることができず、ちらりと見てみると・・・

フォンの方も口に手を当て真っ赤になっていた。

 

「ゴ、ゴメン!変な事聞いちゃって!?わ、忘れて・・・!?」

「お、おう・・・」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

(ううう・・・気まずいよ・・・!)

 

もうまともにフォンと目を合わすことができないでいた。

 

(・・・アスナがあんなことを言うからだ・・・!)

 

ボクはこの前のアスナとの会話を思い出していた。

 

 

キリトのなんとかプローブを使って、初めて学校に行った日・・・

結婚の話題になった時だ・・・アスナに頼み、フォンと距離を取ってもらって・・・

 

「それで・・・蓮君のどこが好きになったの?」

『ア、アスナ!・・・ボ、ボクはそんなことは・・・!?』

「・・・思ってないの?」

『・・・・・そうじゃないけど・・・』

 

アスナの追及に、否定することができずにそう答えた。

僕の顔は今、真っ赤になっているだろう。

 

「言わないの?好きだって・・・」

『・・・・・うん』

「・・・あのね、ユウキ・・・勝手かもしれないけど、蓮君なら、どんな形でも答えてくれると思うよ?」

『・・・・・そうかな?』

「・・・うん。それとも、私から言っちゃおうか?」

『ダメ!絶対にダメ!』

・・・

・・・・・

・・・・・・・

 

その後、アスナには口止めを頼んだ。

その時からだ。気づいたらフォンのことを目で追ってしまっていた。

 

(だって・・・あんな運命的な再会をしちゃったら・・・あんなかっこいいところや真剣に怒ってくれる顔を見たら・・・好きになっちゃうよ)

 

未だに顔を真っ赤にしている、フォンを見ながら、ボクはそんなことを考えていた。

 

 

 

次回 SAO~夢幻の戦鬼~

「戦闘開始!」

 

「っ・・・全員、飛べ!!!」

「「「「「「!?!?!?!」」」」」

 

「させるかぁ!!!」

 

「行け、ユウキ!!!!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

『The Battler of Phantom Demon』

・・・今、フォンの力が全開する!

 

 

 




【ソードスキル解説】
幻想剣《細剣》8連撃ソードスキル〈エイトニング・カウント〉
高速での8連突きを縦横無尽に動きながら、繰り出す。その動きはまさしく、義経の『八艘飛び』を連想させる。名前の由来は『八艘飛び』と某ガンダムの仮面キャラの二つ名『ライトニング・カウント』より

幻想剣《短剣》多重4連撃ソードスキル〈アザー・ワンズ・ストライク〉 
攻撃の直前で、本体と分身の2体に分裂し、挟み込むように4連撃を喰らわせる。
残像の攻撃にもヒット判定があるため、実質8連撃の攻撃から、多重連撃ソードスキル扱いとなっている。

幻想剣《短剣》多重6連撃最上位ソードスキル〈ファントム・ボーン・ダスト〉
スキル発動と共に分身、そのまま、分身と共に空中から切りかかり、高速移動での5連撃を喰らわせる。その攻撃があまりにも早すぎることから、本体・分身とともに残像が発生し、さらに分身したように見える。
名前の由来は海賊ガンダムのタイトル。

※幻想剣《短剣》ソードスキルは全てに分身が発生するが、攻撃後のタイミングで、分身が本体に戻るため、対人戦においては、強プレイヤーにそれを見抜かれてしまい、不利に働くことがある。ちなみに、スキルコネクトで発動した場合、分身は発生しない。

まさかのオリ武器無双・・・かと思いきや、定番(?)のオリ主無双でした。

そして、二人の関係にも動きが・・・?
温かく見守って頂ければと思います。

次回もバトル回になります。お楽しみに下さい!

次回更新 4日0時予定

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