ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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ちょっとしたシリアス回です

フォンの隠された内心とは・・・?

短いですが、今後のお話でどうしても押さえないといけない話になります

シリアス回に限って、短くなる自分の文才の無さが辛い・・・

それでは、どうぞ


第14話 「明かす真実」

「あ~・・・疲れた・・・!」

「やっと・・・解放されたな」

 

デュエルトーナメントの表彰式を終え、数多の男性プレイヤーの猛攻を潜り抜け、

俺とユウキはなんとか俺が泊まっている22層の宿にたどり着き、一息をついていた。

 

表彰式が終わった瞬間、一気にデュエル申請してくるプレイヤー達、詳細を根掘り葉掘り聞いてこようとしてくる情報屋(アルゴさん以外)に俺達は包囲されかけたのだ。

 

『行け、フォン!止まるなぁ!!!』

 

あの時・・・キリトたちの犠牲がなければ、今頃どうなっていたことやら・・・

足止めを買って出てくれたキリトたちには感謝しかない・・・最も・・・

 

『ギリド!アノウラギリモノヲガバウヅモリガァ!(訳:キリト!あの裏切り者を庇うつもりかぁ!?)』

 

血涙を流しながら、キリトに詰め寄っていたクラインには・・・いや、もう忘れよう・・・

 

「ね、ねぇ、フォン・・・ふ、二人きりだね」

「あ、ああ・・・」

 

顔を真っ赤にしたユウキの言葉に、俺もそう返すしかできなかった。

 

(・・・・・いやいやいや!落ち着け、俺!ユウキをここに連れ込んだのは、そんな目的じゃないだろう!?・・・話さないといけないことがあるだろう!?)

 

恥ずかしがってるユウキが可愛いと思いながらも、俺は本来の目的を思い出していた。

 

「ユウキ、ちょっといいか?」

「な、なに!?」

「・・・・・実は、もう一つ・・・ユウキには話さないといけないことがあるんだ」

「・・・・・フォン?」

 

俺の真剣な態度にユウキも何かを感じたらしい。その目に、不安な色が映っていた。

 

(・・・・・そういう顔をしてほしくないのに・・・俺はユウキにこんな話をしないといけない。それでも・・・)

 

『・・・ボクも・・・フォンのことが好き・・・大好き!だから、よろしくお願いします!』

 

(俺の気持ちに応えてくれたこの娘に・・・俺の全てを打ち明けないわけにはいかない・・・)

 

今から話すことに覚悟を決めた俺は、一息ついてから話し始めた。

 

「ユウキ・・・これから俺が話すのは、荒唐無稽の話だと思う。話す理由も俺のエゴだ・・・それでも、ユウキには知ってもらいたいんだ・・・」

「・・・・・聞かせて、くれる・・・?」

 

ユウキの真剣な声に、俺は呼吸を整え・・・

 

「・・・すぅ・・・・・・・俺は・・・音弥蓮は、この世界の人間じゃないんだ」

「・・・!?」

 

その言葉に、ユウキは目を見開いた。

 

「仮想世界とか、VRとか・・・そんな次元の話じゃない。俺はこの世界とは別の世界・・・いわゆるパラレルワールドから来たんだ」

「・・・パ、パラレルワールド・・・?別の、世界・・・?」

「・・・気が付いた時には、俺はSAOの世界にいて、ソードアート・オンラインに巻き込まれていた・・・俺がいた世界じゃ、SAOの世界は小説の中の話だったんだ。俺が読んだ物語の通り、色々なことが起きた。キリトたちと出会って、モンスターと戦って・・・ラスボスとも戦って・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ポツリ、ポツリ語る俺の言葉をユウキは黙って聞いてくれていた。

 

「・・・SAOが終わっても、俺はこの世界にいたままだった・・・こっちに来た原因も、元に戻る方法も分からない・・・気が付いたらこっちの世界に溶け込んでた・・・俺自体が小説のような・・・夢のような体験をしてるってわけだ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「前に相談した両親の件もそれが原因なんだ・・・父さんたちにとっては俺は息子でも・・・俺にとってはよく似た他人・・・

それでも、俺の両親に変わりないってことは頭では分かってたんだけどな・・・」

 

・・・全てを話し終えた俺は深く息を突き、視線を落とした。

ユウキの様子を見るのが怖く、目を合わせることができずにいた。すると、

 

ギュ・・・!

「・・・!?ユ、ユウキ・・・?」

 

いつの間にか、立ち上がっていたユウキに抱きかかえられていた。

 

「・・・もう、大丈夫だよ、フォン」

「・・・えっ?」

「だって、フォン・・・・・泣いてるよ?」

「っ・・・・・!?」

 

ユウキの言葉に俺は頬に流れる涙に気付いた。

 

「ボクはここにいる・・・フォンだって・・・ボクたちは確かにここにいるよ?」

「・・・・・・・・・」

「・・・ボクが好きになったのは、優しくて、強くて・・・誰かのために真剣になれるフォンだからだよ・・・フォンが別の世界の人だからって、そりゃ正直驚いたけど・・・それでも・・・ボクはフォンのことが好きだよ」

「・・・ユウキ」

 

その言葉と共に、俺を抱きしめるユウキの力が強くなった。俺もユウキを抱きしめ返した。

 

「・・・ありがとう、ユウキ」

「・・・ううん」

「・・・・・好きだ」

「・・・うん!」

 

その言葉と同時に俺はユウキにキスをしていた。俺が下から唇を重ねる、さっきのキスとは違う姿勢からのキスだった。

 

「・・・ねぇ、一つ聞いていい?」

「・・・うん?」

「フォンはさ、元の世界でボクたちの世界が小説になっていた、って言ってたけど・・・もしかして、ボクのことも知ってたの?」

「・・・いいや。知ってたのは、ソードアート・オンラインの中でも、SAOのことだけだよ・・・しかも、その中でも一部分だけだ。

ユウキのことを知ったのは出会ってからだよ・・・あの洞窟も本来の物語にはなかったしな」

「そっか・・・良かったぁ・・・!」

「・・・えっ?」

 

何故か喜ぶユウキに、思わず俺は首を傾げてしまった。

 

「だってさ・・・フォンだけボクのこと知ってて、ボクだけ知らずに好きになるなんてさ・・・ズルいなぁ、と思ってさ・・・」

「・・・なるほど」

 

その言葉に、思わず納得してしまった・・・まぁ、そう思うのは当然か。

 

「ふぁぁ・・・なんか疲れちゃったね」

「・・・フフフ。そうだな・・・俺も、疲れたよ」

「そ、それじゃ・・・寝る?」

「うん・・・?ああ、そうだな」

 

何故か顔を真っ赤にしたユウキの提案に賛同し、ベッドに向かいながら、装備を寝間着に変更していく。

今日一日、肉体的にも、精神的にも疲れてしまった・・・色々なことがあったが、

今の俺はどこか心が軽くなっていた。これなら良く寝られると思い、ベッドに入ったのだが・・・

 

「あの・・・ユウキさん?」

「な、なに・・・?」

「・・・・・なぜに一緒のベッドに入っているでしょうか?」

 

何故か、俺のベッドに一緒に潜り込んだユウキに思わず敬語で尋ねてしまった。

 

「えっ!?だ、だって・・・!?こ、恋人なら、一緒のベッドで眠るんだって・・・そ、それで・・・恋人の営みをするんだって・・・・・ア、アスナが・・・!」

「・・・・・なるほど(アスナめ・・・!)」

 

顔をこれでもかという程に真っ赤にしたユウキの証言に、次会ったら覚えてろよ、とおませなアスナに悪態をつきながら、俺はこの状況をどう打破するべきか、思考を高速回転させていた。

 

(お、落ち着け!ユウキは14歳!まだ中学生だぞ!?た、確かに将来的にはそんな関係もありだとは思うけど!つ、付き合った初日にそれはどうなんだ!?お、俺達には俺達なりのペースが・・・!

・・・あれ?ユウキが求めてくれてるのなら、それでいいのでは・・・?

い、いや、流されるな、俺!?そ、それこそ健全な付き合いを・・・!?)

 

・・・ここまで、0,2秒・・・欲望をなんとか理性と論理で抑えながら、

俺はユウキになんと言うべきか言葉を探していると・・・

 

「ねぇ、フォン・・・恋人の営みって、なんなの?」

「・・・・・へぇ?」

 

ユウキからのまさかの質問に、俺の思考は停止した・・・今、なんて言った・・・?

 

「ア、アスナから・・・一緒に寝ればいい、って言われたんだけど・・・恋人の営みって、一緒に寝ることでいいの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ボン!)」

「フォ、フォン!?」

 

ユウキの言葉に、さっきまでいやらしいことを想像していた自分を殺したくなった・・・思わず、枕に顔を埋めた俺にユウキが驚く。

 

「ゴメン・・・ユウキ・・・」

「ど、どうしたの!?な、なんかボク間違ってた!?」

 

色々と会話が成立していないようだが・・・今の俺にそんなことを突っ込む余力はなかった。

 

「なんでもない・・・なんでもないんだ。ユウキは、いつまでもそのままのユウキでいてくれ・・・」

「う、うん・・・うん?」

 

俺の言葉に、首を傾げながら、よく分かっていないユウキはとりあえず頷いていた。

ともかく、純粋なユウキをこれ以上汚すまいと俺は強引に話を打ち切り、寝ることにした。

 

「・・・おやすみ、ユウキ」

「・・・おやすみ、フォン」

 

そう言って、キスしてから、俺たちは眠りについた。

 

 

翌日、出会い頭に某バーサクヒーラーにアイアンクロ―をかましたのは余談だ。

 

 

 

次回 SAO~夢幻の戦鬼~は・・・

 

「・・・実はさ・・・ちょっと見に行きたいものがあってさ・・・家」

「・・・えっ?」

 

「・・・ユウキ!」

「えっ・・・うわぁ!?」

 

「これなんてどうかな?」

「柄が派手じゃないか?」

 

(ユウキが笑っていられる場所に・・・俺がなれたらな)

 

『デートと新居と家具探し』

 




こういう時に、クラインがああいうポジションに書きたくなる作者をお許しください。
決して、クラインが嫌いではなく、好きだからこそ、弄りたくなるのです(反省の色ゼロ)

ということで、フォンの独白回でした。
キリトの前でもそうでしたが、なかなか弱さを見せないフォンにとって、ユウキの存在は大きなものになりました。(両依存とかではないので、ご安心下さい)

最後のアスナさんの描写は皆様のご想像にお任せします。結構おませなイメージがあるのは、自分だけでしょうか?

次回もオリジナルエピソードになります。お楽しみ頂ければ、幸いです!

次回更新 8日 0時予定

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