ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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リーファファンの皆さん!お待たせしました!
リーファメイン(?)回です!

書いてて、リーファがメインになってるか、よく分かんなくなってしまいましたが(笑)

それでは、どうぞ!


第16話 「目指せ、最速!ALO飛行レース!」

ユウキと結婚し、新居に引っ越してから幾ばくか・・・

 

「ついに・・・!ついにやってきましたねぇ、皆さん!!」

「あ、ああ・・・そうだな、リーファ・・・」

 

妙にテンションの高いリーファの言葉に引き気味のキリトを見ながら・・・

 

「燃えてるわね・・・リーファ」

「キリト曰く、スピード狂らしいからな・・・このレースに向けて、かなり練習してたらしいぞ?」

 

苦笑いのリズに俺はストレッチをしながら答えた。

リーファの誘いでキリトだけでなく、俺まで参加することになったこの飛行レース・・・今度こそは観客に専念しようと思っていたのだが・・・

 

「フォンさん!飛行だけは絶対に負けませんから!だから、勝負しましょう!」

 

と、リーファの鬼気迫った表情に、俺は思わず頷くしかなく・・・今に至るのだった。

 

「そ、そうなのね・・・というか、あんた一人なの、フォン?」

「うん?・・・ああ。そうだけど・・・」

「おやおや・・・結婚して早くも別行動ですか、新婚さん?」

「・・・なんのキャラだよ、それ・・・」

 

ニヤニヤしながらからかってくるリズをジト目でにらみ、今度は腕を十字に組んで伸ばしていく。

 

「ユウキはスリーピングナイツのところに行ってるんだよ。レース前に、円陣組んで気合い入れるためにな」

「・・・・・あんた、余裕ね~・・・キリトならもっと面白いリアクションしてくれるわよ・・・」

(俺にそれを求められてもな・・・)

 

リズの抗議に俺はそんなことを思いながら、今度は股関節を伸ばしていく。

 

「まぁ、頑張りなさいよ!」

「・・・ああ」

 

 

 

というわけで・・・早くもレース開始時間になり、選手がスタート地点に集結した。

 

『お~待たせしました!ALOの最速プレイヤーは誰だ!ALO飛行レース、まもなくスタートします!』

「「「「「「いえぇぇぇーーーーーーーーーーーーい!!!!!」」」」」」

(すげぇ、歓声だな・・・)

 

実況の声に反応した観客の声に俺は苦笑いしながら、そんなことを考えていた。

 

『さぁさぁさぁ!やってきました、ALO飛行レース!先日、行われたALO統一トーナメントでは、ALO最強のプレイヤーを決定しました!

そして、今回・・・ALOのメインでもある飛行機能・・・武力ではなく、単純な早さが求められるこのレース!出場選手に、『黒の剣士』キリト、トーナメント優勝者の『夢幻の戦鬼』フォン、優勝候補の風妖精リーファに、1パーティでのボス攻略で知らぬ人はいないギルド『スリーピングナイツ』の面々・・・豪華絢爛の顔触れです!』

 

実況の声に、歓声の声が更に高まる。

 

「皆さん!頑張って下さい!」

「経験のあるリーファか・・・抜群のセンスを持つキリト、フォン、ユウキ・・・誰が勝つのかしら?」

「さぁ・・・全く読めないわね。アスナはどう思う?」

「う~ん・・・私的にはキリト君を応援したいけど、ユウキに勝ってほしいかな」

 

シリカが応援する横で、リズとシノン、アスナが何かを話していたが、歓声が邪魔して、内容は聞こえなかった。

 

『さぁ。選手の皆さん!もう間もなくレース、スタートです!観客の皆さん、カウントの準備はよろしいですか?い~きま~すよ!10、9、8、7、6・・・・・』

 

歓声と共に空中のカウントが減っていく。

選手たちは翅を展開し、それぞれが身構える。

 

『「「「5!4!3!2!1!・・・」」」』

 

そして、

 

『「「「「「0!!!!!」」」」」』』

「「「「「「「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」」」」」」」

 

カウントが0になった瞬間、選手たちが一斉に飛び立った。俺も加速と共に飛び立ち、選手たちの合間を抜けていく。先頭にいるのは・・・

 

『選手、一気にスタートしました!先頭は・・・優勝候補のリーファ選手です!

その後ろを、『絶剣』のユウキ選手、キリト選手!更にその背中を、フォン選手や多くの選手が追う形になっています!』

 

実況から状況を把握した俺は前を見た。

 

(流石はリーファ!言うだけのことはあるな・・・これ以上、差をつけられるわけにはいかないな!!)

 

俺は差を縮めようと、一気にスピードを上げる。

 

『おおっと!フォン選手、スピードを上げ、集団から飛び出しました!やはり、この大会も王座を手に入れるのは、フォン選手なのでしょうか!?』

 

俺につられ、スピードを上げる選手もいたが、それに構わず、俺は先頭の3人に追いつこうとした。

 

『さぁ、先頭のリーファ選手!第一関門の『霧の空歩道』に間もなく差し掛かります!』

(『霧の空歩道』・・・?)

『この『霧の空歩道』では、視界が制限される霧が発生しております!更に、障害物として、岩柱や魔法機雷が設置されています!スピードを下げ、安全に攻略するか・・・それとも、障害物を気にせず、全速力で駆け抜けるか!プレイヤーの判断力も問われます!』

(なるほどな・・・!そうなると・・・)

 

実況のアドバイスから、攻略方法を見つけた俺はスピードを緩め、ウィンドウを開いた。

 

(あまり使わない魔法だからな・・・呪文は・・・よし!)

 

俺が確認を終えたところで、先頭のリーファは『霧の空歩道』に突入し、それにキリトとユウキが続いていた。俺もスピードを戻し、先ほど確認した呪文を唱えた。すると・・・

 

『・・・?』

 

小さな羽の生えた光球が現れた。光球は不思議そうに首を傾げていた(のようなポーズだと思う)。

 

「道案内、よろしくな」

『!・・・!!』

 

俺の言葉に、体を縦に揺らしながら、了承の意を示した(みたいだ)。

 

「いくぞ!」

 

そして、俺も『霧の空歩道』へと突入した。

 

 

 

『霧の空歩道』は、その名前の通り、霧に包まれた・・・1m先も全く見えない状態だった。さっきから、爆発音がする度に、

 

「うわぁ!危ねぇ!?」

「うわわわわ!?ぶ、ぶつかる!?」

 

キリトとユウキの悲鳴が聞こえてくる・・・一方の俺は・・・

 

「・・・順調だな」

 

障害物を完璧によけながら、コースを駆け抜けていた・・・光球の案内のもとでだ。

 

(こういう魔法があるって覚えてて良かったな)

 

そう、先程召喚したこの光球・・・実はサーチャーの一種なのだ。このサーチャーは夜間に照明の目的で使えるのだが、PKを推奨しているALOでは、とにかく目立ってしょうがない。なので、ほとんどの熟練プレイヤーが使用しないのだ。だから、使用頻度は少ないのだが・・・

元々、夜間での使用を考慮されたものなので、道案内機能も優れているのだ・・・なので、

 

(障害物をよけて、道を先導してくれるから・・・こういう時、重宝するんだよな)

 

そんなことを考えながら、俺は『霧の遊歩道』を突破した。

 

『おお!順位に変動があったようです!先程、リーファ選手が『霧の空歩道』を突破しましたが、それに続き、突破してきたのは・・・なんとフォン選手です!

キリト選手とユウキ選手はまだ突破できていないようです!フォン選手2位に浮上しました!』

(リーファは・・・見えた!この距離なら、追いつける!)」

 

俺はスピードをさらに上げ、リーファとの距離を詰めた。すると、リーファも俺の動きに気付いたようで、

 

「流石、フォンさん!あの霧の攻略法、分かったんですね!」

「ああ!あまり使わないが、一通りの魔法は頭に入れてたからな!」

「フフフ!でも、レースはこれからですから!絶対に負けませんよ!」

 

そう言って、リーファは一気に加速した。

俺もこれ以上、差をつけられまいと、それについていく。

 

『おおう!どうやら、『霧の空歩道』を続々と抜ける選手が出てきました・・・キリト選手とユウキ選手も、ちょっとボロボロになってますが、無事通過したようです!そして、先頭のリーファ選手とフォン選手は第2の関門へと差し掛かったようです!』

「・・・これは・・・!?」

「・・・乱気流!?」

 

俺とリーファは第2の関門の前で思わずストップしてしまっていた・・・俺達の前に広がるのは、乱気流が外から見える雲だった。

 

『そう!第2関門は『雲荒野』です!中はいくつもの乱気流が発生しており、自由に飛行することは難しくなっています!いつもと違った環境で、どうこの雲を抜けるか!選手たちの動きに注目です!』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・とりあえず、行くしかないか・・・!」

 

無言で雲を見つめるリーファとは逆に、俺は乱気流に突っ込む覚悟を決め、一気に突入した・・・のだが、

 

「うぉぉ!?こ、これは・・・上手く、飛べない・・・!?」

 

乱気流の風は思っていた以上に強く、前に進もうとすると、姿勢が崩れてしまいそうになり、風に抵抗するので、精一杯の状態だった。

更に、風の向きがランダムで変更されるようで、それに対応するのに追われ、この区間を攻略するにはどうすればいいのか、考えが纏められない状態だった。

 

『おおっと!?選手たちが、次々と『雲荒野』に挑戦していきますが・・・リーファ選手、さっきから動かずにずっと『雲荒野』を見つめています』

 

実況がリーファの行動に疑問を持った時だった・・・

 

「・・・・・うん!大体、分かったかな!」

 

その言葉と共にリーファは『雲荒野』に突入したようだ・・・だが・・・

 

『・・・な、なんと・・・!?リ、リーファ選手、『雲荒野』をすいすいと進んでいきます!』

「えっ!?」

 

実況の解説に俺は思わず、リーファの方を見た・・・リーファは吹き荒れる風を気にせずに進んでいた。

 

「う、嘘だろ!?」

 

風に逆らいながら、ようやく半分まで来ていた俺は後ろから追いついてくるリーファの動きに驚きを隠せないでいた。

 

「フフフ!お先です、フォンさん!」

「ど、どうやって!?」

「風に逆らっちゃ駄目ですよ、フォンさん!船と同じ原理ですよ!!」

 

俺を抜き去ったリーファはそう言葉を残し、あっという間に行ってしまった。

 

(逆らっては駄目・・・?・・・・・・・・・・・・そうか、そういうことか!?)

 

リーファがくれたヒントから、答えを察した俺は、風を読むために目を瞑った。

そのまま、抵抗を止め、身を風に任せた・・・すると、さっきまで、動こうとする方向とは逆に吹いていた風が俺の体を前へと押し始めた。

 

(・・・なるほど・・・抵抗しようとすればするほど、逆風が強くなるシステムなのか・・・というか、これ・・・速さの他に頭の回転力も求められてないか?)

 

レースの趣旨が合っているのかと思いながら、俺はようやく『雲荒野』を抜けたのだった。

 

『さぁさぁ!レースも半分を終え、トップはリーファ選手が死守しております!そして、遂にフォン選手も『雲荒野』を・・・おおっと、同時にユウキ選手も『雲荒野』を抜けてきた!先程の遅れを取り戻して来ました!』

「っ・・・ユウキ!」

「あっ、フォン!」

 

どうやら、ユウキと同時に『雲荒野』を突破したらしい。俺に気付いたユウキは俺と並走するように近づいてきた。

 

「フォンも抜けられたんだね!」

「ああ・・・ユウキも抜けられたみたいだな・・・もっとも、リーファにはさっきから負けっぱなしだけどな・・・」

「このままじゃ、負けちゃうね・・・追いつこう!」

「ああ!」

 

その言葉と共に、俺とユウキはリーファに追いつくために一気にスピードを上げた。

 

『さぁさぁさぁ!遂にレースも佳境に差し掛かりました!順位は以前、リーファ選手が1位!それを、フォン選手とユウキ選手が追いかける形になっています!そして、最後の関門・・・それは・・・!』

 

パチン!

 

そう言って、実況が指を鳴らした。

その瞬間、先頭を走っていたリーファの周りにモンスターがポップしたのだ。

 

『最後の関門は、無限に沸き続けるモンスター地獄!モンスターハウス、改め、モンスター空庭!それを抜ければ、残りは1キロの直線勝負となります!さぁ、ALO最速の座を手に入れるのは、一体誰なのでしょうか!!!』

「「「そういうことなら・・・!」」」

 

実況の言葉に、俺とユウキ、リーファはそれぞれ細剣と片手剣を抜き、モンスターを強行突破していく。俺はすれ違いざまに敵を落としていき、ユウキはギリギリのタイミングで攻撃を躱し、一撃で敵を倒していく。リーファもスピードを落とさず、敵を倒し続け、更には・・・

 

「これでも喰らいなさい!」

 

風属性の上級魔法〈タイラント・ハリケーン〉を放ち、一気にモンスターを一掃していく。キリトたち後続たちも参戦し、場は乱戦状態となった。そして、

 

『抜けた、抜けた!抜けたのは・・・フォン選手だ!その後ろをリーファ選手が追いかける形でモンスター空庭を抜けました!』

(このまま、一気に突っ切る!)

 

最後の難関を抜けた俺は、細剣を手早くストレージに片付け、スピードアップの魔法をかけようとした瞬間だった。

 

「フフフ・・・!アハハハハ!!!」

「・・・へぇ!?」

 

俺の横を何かが物凄いスピードで抜き去っていた・・・いや、今の笑い声は・・・?

 

『な、なんと!?リ、リーファ選手!?も、物凄いスピードでフォン選手を抜き去り、再び1位に・・・ま、まだスピードが上がってます!!あっという間に、2位のフォン選手との距離がどんどん空いていってます!?』

「く、くそぉ・・・!」

 

慌てて、スピードアップの魔法〈クイック〉を使うのだが・・・

 

(お、追いつけない・・・!?)

 

魔法を使って、全速力で追いかけているのだが、全然距離が縮まらないのだ・・・

 

「アハハハハハハハ!アハハハハ!」

 

本人はとても気持ちよさそうに飛んでいるのだが・・・

 

(もしかして、キリトが言ってたスピードホリックの意味って・・・!?)

『ゴ~~~~~~~~~~ル!!!優勝は・・・数多の実力者を退けた、リーファ選手です!!!』

 

圧倒的なスピードでゴールテープを切ったリーファを見ながら、俺はキリトの言葉の意味をようやく理解したのだった。

 

 

 

「ま、負けちゃった・・・」

「いや・・・あれは相手が悪いよ、ユウキ」

 

結局、その後、俺が2位でゴールし、ユウキ、キリトが同着で3位に入賞した。

リーファや俺に負けたユウキはアスナに慰められてた。俺もユウキの頭を撫でながら、その健闘を讃えていた。一方のリーファは・・・

 

「勝った!勝ったよ、お兄ちゃん!」

「わ、分かったって!?ス、スグ!?」

 

喜びのあまり、キリトに抱き着いていた・・・もちろん、その光景を・・・

 

「(じ~~~~~~)・・・・・」

 

正妻のアスナさんがしっかりとにらみつけていた・・・ユイちゃんやユウキには見せられない顔で・・・これは後で説教されるパターンだな・・・

 

「「「(じ~~~)・・・・・・・・・・・・・」」」

(・・・ああ、あちらの方々も同じか・・・!)

 

リズ、シリカ、シノンの目も大変教育によろしくないものになっていた。特にシノンに関しては、今にもキリトに火矢をぶち込みそうな勢いの目だった。

 

(お前ら・・・そこは見逃してやれよ。せっかく優勝したんだからさ)

 

と、俺は心の中でそう突っ込むのだった。

こうして、ALO飛行レースはリーファの優勝で幕を閉じたのだった。

 

 

 

次回 SAO~夢幻の戦鬼~

 

「・・・うん・・・うん・・・それで頼んでいいかな?・・・ありがとう」

 

「・・・・・紺野木綿季の財産に関しての調査報告で今日は参りました」

「・・・・・!?」

 

「・・・・・もし、そのご自宅を保持することができるとしたら・・・どうされたいですか?」

「・・・・・!?!?」

 

「・・・大好き」

「・・・俺も木綿季が好きだ」

 

『約束を叶えに』

さぁ、ショータイムだ!

 




この小説では、珍しく魔法の描写を使ったなぁ、と書いて思ったのは余談です。

これを書いてる時に、リーファの中の人の結婚のニュースが流れてたので、驚きましたね。

さて、次回は現実世界でのお話になります。
小難しいお話が多いですが、ご覧頂ければと思います。

次回更新 10日 0時予定

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