ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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番外編の後編・・・前回の続きになります。

まさかのフォンに浮気の疑惑が・・・その時、ユウキは・・・?

そんなお話になります。
それではどうぞ!


第8話 「初めての・・・」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「お、おいおい…頼むから店を壊すのだけは勘弁してくれよ!?」

 

ALOの世界樹の麓にある中都アルン・・・そこの一画にあるエギルさんのお店。

その場の空気は、今までにないほど、冷え切っていた。店主のエギルさんが心配の声を上げる理由・・・それは、俺たちにあった。

 

そう・・・キスするのではないという程に顔を近づけ、両者睨みあったままの俺とユウキのせいだ。ユウキはともかく、珍しく俺も頭に血が上り、怒りを露わにしていた。

 

「フォ、フォン君…!ユウキも!?とにかく、落ち着こうよ!ねっ?」

「マ、ママ~…!」

 

なんとか仲裁しようと奮闘するアスナ・・・だが、ポケットに隠れたままのユイちゃんと共に、俺たちの怒気に押されてしまっていた。

 

「シ、シノンさん!なんとかなりませんか!?」

「…無理よ…!あの二人の周り、なんか近づけないバリアみたいな空気じゃない!?」

 

リーファとシノンの悲鳴に近い言葉も聞こえるが、そんなこと些細なことは、今の俺には、全く気になっていなかった。俺の意識は、目の前のユウキと、

 

「お、おい!?クライン!どうすんだよ、これ!?」

「い、いや~・・・まさか、こうなるとは・・・・・悪い、想定外だった」

 

この空気を作り出した、、

キリトとクライン・・・二人のコソコソ話に耳を傾けながら、この状況になった経緯を思い出していた。そう、こうなったのは、あの『泥酔』事件から少したった頃だった。ユウキ曰く・・・事の発端はキリトの一言だったらしい。

 

 

 

〈Yuuki View〉

「なぁ、フォンって…昨日の夜、何してた?」

「えっ…?」

 

あの『泥酔』事件から数日・・・目が覚めたボクは、あの時自分が何をしたのかを思い出し、すぐさまフォンに謝った。フォン自身は気にしてないと言っていたが、ボクは自分がしたことを・・・フォンに何を言ったのかをはっきりと覚えていた。

 

『ボクが・・・元HIVキャリアだから・・・ボクなんかとしたくないって、蓮だって』

 

自分でも最低なことを言ってしまったと思った・・けど、そう思っている自分も確かにいたのだ。確かにフォンは優しいし、ボクのことを考えてくれているとは思う。だけど、どうしても、フォンの愛を知りたいと思ってしまったのだ・・・あの時、ボクは確かにそう思ってしまい、思わずあんなことを言ってしまったのだ。

 

そんな時、ALOのアスナたちのログハウスでお茶を楽しんでいたところ、キリトからそんなことを聞かれたのだ。ボクは不思議そうに首を傾げた。

 

(昨日は・・・学校の後、フォンはエギルさんから急なバイトを頼まれて・・・そういえば、帰ってくるのが遅くなるって連絡があって、夕飯は近くのスーパーでお惣菜とか簡単なもので済ましたっけ…それで、ALOにログインして、朝には帰ってきてたよね…)

 

特段、おかなしことはなかったと思い、ボクは昨日の出来事を思い出しながらキリトに説明した。それを聞いたキリトはなぜか表情を曇らせた。その様子に、ボクとアスナ、ユイちゃんは思わず、首を傾げた。

 

「いやな…昨日、用事で夜遅くにバイクで帰宅していた時にさ、フォンを見かけたんだ。それが…あー…」

「…?どうしたの?」

 

何故か言葉を詰まらせたキリトの言葉が気になり、ボクはその話の先を促した。

 

「声を掛けようと、バイクを停めて、その後を追おうとしたら…フォンがホテル街に入っていくのが見えてさ…ユウキが何か知ってるのか、と思ったもんでな」

「……え……?」

 

キリトの言葉に、ボクの中で何かヒビが入るような音がした。その事実からあることを連想してしまった。

 

「それって…見間違いじゃなくって…!?」

「あ、ああ。間違いなくフォンだった。それにどこか困り顔だった気もする」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

フォンと長い付き合いのキリトがここまで言うということは、間違いないのだろう。問題はどうしてフォンがそんなところにいるのか、ということだ。

 

「そ、それって、まさか、フォン君…浮気…?」

「!?」

 

アスナの的確な一言に、ボクの中で完全に何かが崩れ落ちた。

 

フォンが浮気・・・?

他の女性の人と会ってる・・・?

ボクに内緒で・・・?

 

その事実をボクは受け入れることができずにいた。

 

「ユ、ユウキ!?だ、大丈夫だよ!だ、だって、フォン君だし…えーと…」

「そ、そうだな!?お、俺の見間違いかも…いや、あれは確かにフォンだったし…」

「マ、ママ!?パパ!?フォローになってません!?」

 

アスナたちが何かを言っていたけど、今のボクにはまったく届いていなかった。ここにいてもしょうがない・・・正気に戻ったボクはすぐさまメニューを開き、フォンの居場所を調べた。

 

「っ!?」

「「ユ、ユウキ!?」」「ユウキさん!?」

 

居ても経ってもいられずボクはログハウスを飛び出した。目指すは・・・エギルさんのお店だ。

〈Yuuki View End〉

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「わ、悪かったって…フォン」

 

エギルさんのお店で、俺はムスッとした顔でノンアルコールカクテルを飲んでいた。その横でクラインが謝っていたが、俺は目を合わせることなくエギルさんが出してくれたつまみを食べていた。

そのエギルさんもやれやれといった表情でアイテムの鑑定をカウンターを挟んだ向こうで行っていた。

 

「昨日は本当に悪かった!だから、この話はここだけの話にしてほしいんだ!頼む!」

「その辺にしてやったらどうだ、フォン。お前に頼んじまった俺にも非はある。そろそろ許してやってくれないか?」

「…はぁ。エギルさんにまで言われたら、許すしかないじゃないですか」

「そ、それじゃ…!?」

「キリトたちには内緒にしとくよ。話しても、苦笑いされるだけだろうしな」

 

俺の言葉にクラインは安堵の表情を浮かべた。一方の俺は、ユウキになんというべきか、言い訳の言葉を考えていた。

 

昨日は、クラインの一件で帰るのが深夜になってしまい、朝も寝坊してしまったため、弁当を作れず、学校でも会うことがなく、昨日のことをユウキに説明する時間がなかったのだ。

 

この前の『泥酔』事件の一件から、ユウキとは微妙な距離感が空いてしまっていた。俺も、気にしていないとユウキには言ったのだが、互いに気まずい状態で日々を過ごしていたのだった。そんなことを思い出していていると・・・

 

バン!

「フォン!」

「うぉ!ユウ…キ…?」

 

勢いよく開かれた扉に俺達3人は驚き、店の入り口を見た。そこにいたユウキに・・・俺は思わず、言葉に詰まった。

 

なぜなら、ユウキの表情は不安一色で、今にも泣きだしそうな顔をしていたからだ。その表情が、以前、押し倒された時と同じであり、あの時のことを思い出してしまったのだ。

 

「フォン…ちょっといいかな?」

「あ、ああ…」

 

どこか凄みのあるユウキの声に、俺は更に動揺してしまい、少し後退ってしまった。空気を察したエギルさんとクラインはいつの間にか端っこに退避していた。

 

「ユ、ユウキ!…あっ、フォン君!」

「…これ、ヤバくないか…?」

 

ユウキを追いかけてきたのか、アスナとキリト、ユイちゃんまで現れた。俺は一向に訳が分からず、更に混乱した。

 

「こんにちは、エギル、さ…ん?」

「…こ、これ…どういう、状況……?」

 

そして、偶然お店を尋ねたリーファとシノンがこの混沌とした場に困惑していた。そんな彼女たちと放っておいて、ユウキが俺に詰め寄った。

 

「ねぇ…昨日の夜、何してたの?」

「えっ…それは……」

 

ユウキの追及に、俺は先ほどのクラインとの約束が浮かび一瞬回答に困った。だが、約束は果たすべきだと思い、俺は嘘を吐いた・・・吐いてしまったのだ。

 

「昨日はエギルさんのお店でバイトした後、ちょっと散歩がてらバイクを走らせてたんだよ。調子にのって、遠くに行きすぎて帰るのが遅くなったんだよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ゴメンな、言うのが遅くなって。だから「嘘だ!」っ!?」

 

ユウキの叫びの俺の声は遮られた。そして、俺はそこで気付いた・・・俺はとんでもないことをやらかしたのだと・・・ユウキの目からは涙が零れていた。

 

「嘘だ!嘘だ!…フォンの嘘吐き!!昨日、キリトが見たんだ!フォンが、ホテルがいっぱいあるところに入って行くのを…なんで、そんな嘘を吐くの!?」

「…っ!?」

 

胸を叩きながら、叫ぶユウキの言葉に俺は言葉を詰まらせてしまった。それが状況を悪化させてしまった。

 

「いつもそうだ!フォンは、大事なことはすぐに言ってくれない!全部、一人で背負いこもうとする!そんなにボクが信用ならないの!?そんなに、ボクが………嫌いなの!?」

「ち、違う…!そう、じゃなくって…」

「…もういい…」

 

俺の言い方に、ユウキは諦めたような表情でそう言った。そして、

 

「フォンは…ボクのことなんか、本当は好きじゃないでしょ…?」

「っ…!?なんだと…?」

 

その一言に俺は思わずイラっとしてしまった。俺の方も我慢が限界だった。

 

「さっきから聞いてれば…こっちの事情も知らないで…!?」

「事情…?どうせ、ボクがいないところで女の人といいことしてるんでしょ!?」

「ふざけんな!そんなことをするわけないだろう!ユウキの勝手な推測だ!」

「…ふーん、どうだか…」

「「むむむむむむむむむ……!!!」」

 

完全にヒートアップした俺たちの口論を誰も止めることができず、俺とユウキは睨み合いの硬直状態になった。

 

そして、今に至るという訳だ。

 

「いい加減に白状したら!?ボクよりも、大事な人がいるんでしょ!?」

「いい加減にしろ!そんな奴はいない!勝手に決めつけるなよ!?」

「そうやって何人の人を誑かしてきたのさ!フォンも、どうせキリトと同じなんでしょ!?」

「誰が、ハーレム野郎だ!?そんな趣味はない!」

「口が美味い人ほどそういうことを言うんだよ!この前、テレビでやってたもん!」

 

今まで聞いたことのないユウキの怒鳴り声に、俺も思わず怒鳴り返していたが、俺たちの勢いは止むことがなかった。一方・・・

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

「お、おい…キリトたちがなんかへこんでるぞ」

「あの二人の言葉にやられたんだろう…くわばら、くわばら…」

 

外野が何か言っているが、そんなことは今の俺にはどうでもいいことだった。

 

「この前だってそうだったじゃん!ボクがあんなに誘惑したのに襲ってくれないし!」

「あれは…俺達にはまだ早いと思ったんだよ!辛いのはユウキの方なんだぞ!」

「うるさい!?フォンがヘタレなだけでしょ!」

「誰がヘタレだ!?」

「じゃあ!ここで、ボクにキスしてみせてよ!さぁ!?」

 

その一言に、俺は思わず・・・

 

「ああ、分かったよ!!!」

「えっ・・・・・うんん!?!?」

 

そう言ってユウキの唇を奪った。当然のことにユウキは困惑して驚いていた。

 

「うぅ・・・んんん!?うんん!?!?」

 

そのまま、舌をねじ込み、大人のキスをする。突然の・・・しかも、いきなりのディープキスにユウキは体をよじって、逃げようとするも俺は逃がさまいとその体を強く抱きしめた。呼吸が続くまで、俺はユウキの唇を奪い続けた。

 

「ハァ…ハァ…ど、どうだ?」

「…う、うん…凄かった」

 

顔を真っ赤にさせたユウキの感想に、思わず頬を掻いた。俺の顔も真っ赤になっている。キスしてから、さっきまでヒートアップしていた俺の頭は幾ばくか、冷静になっていた。それはユウキも同じようであった。

 

「あー…その、ゴメン。いきなり、しかも乱暴にキスして…」

「う、ううん…その、凄く、良かったよ…?」

「…これで少しは信じてくれたか…?こんなキス、俺はユウキ以外とは絶対にしない…したくない」

「……言葉だけじゃ信じられないよ…だから」

 

そう言って、首元に抱き着いてきたユウキは俺の耳元で、

 

「…もっと愛してほしいな…」

「……よろこんで」

 

そのささやきに俺は再びユウキの唇を奪おうと・・・

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「「…はっ!?」」

 

叫び声で、二人っきりの空間から意識を戻した俺は・・・叫び声の主、リーファの方を見た。すると、リーファだけでなく、その場にいる全員が唖然としていた。エギルさん以外は、顔を真っ赤にさせていた・・・あのシノンまでもがである。

 

「あ、あんたらね…!ちょっとは場所を考えなさいよ!?」

「マ、ママ!?どうして目隠しするんですか!?」

「ユイちゃんにはちょっと早いかな…」

 

ユイちゃんに見せまいとアスナが苦笑いする横で、シノンが呆れていた。その言葉に、俺とユウキは何をしたのかを理解し・・・顔を真っ赤に爆発させた。勢いで自身がとんでもないことをしてしまったことに気付き、

 

(穴があれば入りたい・・・いや、誰か俺を埋葬してくれ!)

 

そう思いながら、俺は手で顔を覆った。横でユウキも顔を真っ赤にさせていた。

 

「あ、あうあうあう…!?」

「リ、リーファ!?しっかりしろ!」

 

一方のキリトは、状況がうまく呑み込めていないリーファの肩を揺すりながら、正気に戻そうとしていた・・・当分は無理そうだが・・・そんなことを俺が考えていると、

 

クイックイッ

「………」

「…ユウキ?」

 

まだ少し顔が赤いユウキに、無言で袖を引かれ、俺は彼女を見た。どうしたのかと思っていると、

 

「……本当に、浮気してないんだよね?」

「…してないって。さっきのキリトの話は…あー、分かった。正直に話すよ…」

 

不安の色が残る彼女の頭を優しく撫で、俺は観念して話すことにした。

 

「お、おい、フォン!?嘘だろう!?」

「……諦めろ、クライン。今回はお前が悪い」

 

俺が言うことを察したクラインが慌て始めるが、エギルさんが諦めるように諭していた。

 

「さっき言った話は確かに嘘だ…本当は、キリトが見たようにホテル街に行ってたんだ…クラインを迎えにな…」

「「「「「「えっ…?」」」」」」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俺の言葉に、全員の視線がクラインに集まった。

当の本人はバツが悪そうに頭を掻いていた。

 

「あの日、バイトが終わった後…バイクで帰宅してる時にエギルさんから連絡があったんだ…」

「あー…、あの日は店の方がかなり混んでいてな。フォンには、時間ギリギリまで手伝ってもらっていたんだ。だから、フォンが店を出たのは10時過ぎだったか。その少し後に、クラインから電話が掛かってきたんだ…財布が無くて、飲み代が払えない、ってな…」

「…クライン」「…クラインさん」

「……そ、そんな目で見ないでくれぇ!?」

 

俺とエギルさんの証言に、キリトとアスナが冷めた目で見つめていた。その視線に耐え切れず、クラインが叫び、地面に膝をついた。

 

「まさか…会社に財布を忘れるなんて思ってもみなかったんだよ…昨日はかなり飲んじまってたから、会計するまで気付かず一人で飲んでたんだよ…」

「それは…ご愁傷様、です…?」

 

クラインの懺悔にリーファが疑問形で頷くのだった。だが、

 

「そんなになるまでお酒を飲むなんて…何か嫌なことがあったんですか…?」

「…えっ…!?」

 

ピュアなユイちゃんの問いかけに、クラインが言葉を詰まらせた。事情を知ってる俺は本人が告白する前にその理由を暴露した。

 

「狙ってた後輩の女の子に彼氏がいることが発覚してやけ酒してたらしい…いつもの失恋パターンだよ」

「「「「……ああ…」」」」

「なんだよ!?その、いつものことか…みたいなパターンは!?」

 

その理由に、キリト、アスナ、リーファ、シノンの目が更に冷たくなり、クラインが泣きかけていた・・・自業自得だ・・・

 

「…大変だったよ。行ったら、いい年こいたおっさんが泣きべそかいてるわ…酒臭いわ…俺が未成年なこともあって、エギルさんに電話して、事情を説明してもらうわ…一人で帰れないからタクシーを呼ぼうとしたら、お金が足りなくてバイクで送るしかなくなるわ…」

「フォ、フォン…辛辣だな」

「…ユウキをこんな状態にしたんだ…容赦ない言い方になるのは当たり前だろう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俺の酷評に引きつり笑いを浮かべるキリト。黙ったまま俺の話を聞き続けているユウキを優しく抱きしめながら、俺はジト目でクラインを睨んだ。

 

「クライン…あなた、当分禁酒した方がいいじゃない…?」

「………すみませんでした!?」

 

俺のジト目とシノンの冷え切った言葉に、耐え切れなくなったクラインは地面に伏せたまま、土下座するのだった。

 

「ま、まぁ…クラインの奴も反省していることだし…フォン、お前らはもう帰れ」

「…えっ?」

「誤解だったとはいえ、ユウキちゃんが悲しい思いをしたのは事実だろう?その穴埋めをしてやれ…それが今のお前のやらないといけない仕事だ」

 

既婚者であるエギルさんの言葉は説得力のあるものだった。納得した俺はその言葉に従うことにした。

 

「………分かりました。それじゃ、あとお願いします…行こう、ユウキ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

未だ無言のままのユウキを連れ、俺はエギルさんの店を後にした。ログハウスに戻る道中、俺たちは無言のままだった。ユウキはともかく、俺自身、何を話せばいいのか、分からないでいたからだ。

 

そうこうしている内に、俺たちのログハウスに着いた瞬間だった。

 

ギュ・・・!

「っ…ユ、ユウキ…?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

玄関でユウキの抱きしめられた・・・俺の声に反応しないユウキに、俺は困惑するしかなかった。それでも、俺はユウキの言葉を待った。そして・・・

 

「……本当に、浮気…してないんだよね…?」

「…ああ」

 

やっと顔を見せてくれた・・・不安の色を残したユウキの言葉に、俺は彼女の目を見て、はっきりと答えた。

 

「…本当はね、信じてたんだ。フォンがそんなことをするわけないって…でも、キリトの話を聞いて………フォンのことを信じられない自分が出てきちゃたんだ…」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「だからね…今日だけでいいんだ…ボクのことを…んんん!?」

 

ユウキの言葉が続くことはなかった・・・その前に俺がその唇を塞いだからだ。いきなりのことにユウキは驚いていたが、2度目となる大人のキスとなると、順応して、舌を絡ませてきた。

 

「フォ、フォン…?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「…?きゃぁ…!?」

 

キスを終え、惚けているユウキをお姫様抱っこで抱きかかえる。いきなりの俺の行動にユウキから可愛い悲鳴が上がる。そのまま寝室に移動し、俺はユウキをベットに降ろし、馬乗りになった。

 

「………ユウキ」

「…フォン…?」

「…ゴメン…俺の意志、結構弱かったみたい…これからユウキに酷いことするかもしれない」

「‥‥‥‥いいよ?フォンに傷つけられるなら…大丈夫」

「…分かった」

 

そう言って、俺たちはメニューを開き、オプションの奥にある・・・倫理コードを外した。

 

そのまま・・・・・おっと、これ以上は俺とユウキだけの秘密の話だ。

 




と、いうわけで・・・マザーズ・ロザリオの後書きでも書いてましたが、一歩進んだ二人のお話でした。

ちなみに時系列はアリシゼーション編の手前・・・5月後半のお話になります。

そして、待望のアリシゼーション編は2月1・2日に第1話・第2話を投稿開始します。週1での投稿を予定しております。 

お楽しみにお待ち頂ければと思います。それではまた。

次回更新 2月1日 0時予定

サブヒロインは必要でしょうか?(オリ主はユウキ一筋ですが、断り切れない性格。かつ、ユウキはヤキモチは焼きますが、相手の心情を察して、黙認する、という設定を考えております)

  • あり オリ主ハーレム万歳!
  • ありかも・・・ちょっとだけ見てみたい
  • どっちともいえず・・・甲乙つけ難い
  • なしかな あくまでも、友情以上恋人未満
  • ありえない!ユウキ至上主義!

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