別名バレンタイン特別回です。
ゲリラ投稿みたいな形になってすみません。
珍しく木綿季視点です。ちなみに初めてオリ主の容姿にちょっと触れてます。
そのうちまたどっかで詳しく書きたいと思います。
短いですが、お楽しみ頂ければと思います。
それではどうぞ!
「・・・で、できた~!!!」
チョコペンでトッピングを終え、僕はホッとして安堵の声を上げた。ここまで集中したのは人生で初めてだったかもしれない。
・・・いや、アンダーワールドとかALOの出来事とか考えたらそうでもなかったかもしれないけど、現実世界においては間違いなく一番集中した出来事だった。そんな僕を見て、
「お疲れ、木綿季!」
「うん!本当にありがとうね、明日奈!」
明日奈がねぎらいの声を掛けてくれた。お礼を言って、僕は作り上げたチョコを見ていた。ハート型に枠をホワイトチョコでコーティングした、正真正銘手作りチョコだ。真ん中の先ほどチョコペンで書き上げた『Dear You』の文字を見て、思わず笑みが零れた。
今日は2月13日・・・バレンタイン前日。12月24日をクリスマスイブって言うから、今日はバレンタインイブなのかと思ったのは僕だけかな・・・?
そんな話はさておき・・・土曜日で学校が休みである今日、僕は明日奈の家に泊まり込みでチョコを作りに来ていたのだ。
ちなみに明日奈も和人のために本命チョコを一緒に作っていたけど・・・・あまりにも凄すぎるハイクオリティレベルのチョコに驚かされたのは余談だけど・・・
「ううん・・・やっぱり難しかったなぁ」
「でも、この一週間で頑張ったよ。これなら蓮君も喜んでくれるよ!」
「・・・うん!」
明日奈の言う通り・・・このチョコ作り、1週間前から始めていたんだけど、デザインやら味付けやらを考えて、明日奈に教わりながら色々と試行錯誤を繰り返して・・・やっと完成したんだ!
・・・チョコを直接温めて焦がしたり、味の配合を失敗してとてつもなく中途半端な苦さや極度に甘いチョコを試食した結果、顔を青くしたり、最後の仕上げの文字をなんと書こうかと迷い、何度も書き直したり・・・
チョコ作りだけでも様々な困難があったけど・・・
「でも、一番びっくりしたのはあれだよね」
「・・・ああ、あれね」
僕の言いたいことが伝わったのか、明日奈は苦笑いしていた。そんな明日奈の横で僕は遠い目をしながらそのことを思い出していた・・・それは昨日の出来事。
「おはよう、木綿季!」
「あっ、おはよう、明日奈!」
蓮のバイクで学校に登校した僕は、バイクを停めに行った蓮と別れ、下駄箱で明日奈に出会った。挨拶してから明日のことを相談しようと思っていると、
「ねぇ、もう渡した?」
「うんうん、まだ・・・」
「私は下駄箱に置いてきたわ!」
「やっぱりみんな盛り上がってるわね」
「14日が日曜日だもんね。ALOで会うことはできても、リアルでチョコを渡せるのは今日がチャンスだもんね」
「休み明けに渡す人もいるかもしれないけど、ほとんどの人は今日渡すみたいね」
廊下を歩きながら、聞こえてきたみんなの声を背景に明日奈とそんな会話をしていた。僕たちもバレンタインの空気にちょっと飲まれていたのか、明後日には蓮にチョコを渡すと思うと、テンションが上がって会話の声も弾んだ。
そんな時だった・・・僕の耳に恐ろしい言葉が聞こえた。
「ねぇ、音弥先輩にチョコ渡した?」
「・・・実はさっき下駄箱に入れてきたんだ!!」
「「!?!?」」
その事実に僕たちに激震が走った。特に僕の体には電撃のような衝撃が走った気がした。
「えっ!?早くない?!というか、音弥先輩って彼女いるじゃなかった?」
「知ってるけど・・・やっぱりかっこいいし!!去年もチョコを渡したら、ホワイトデーにお返しのクッキー、もらったから!ダメ元で渡してみようかと思ってね」
(・・・えっ?去年も?)
更なる事実に思わず手に力が籠った。
(えっ?えっ?ちょっと待って・・・音弥って、僕の彼氏で同居人の音弥蓮だよね?前髪がくせ毛で、伊達眼鏡なんかかけたら、更に理知的に見えて更にかっこよく見える『夢幻の戦鬼』のことだよね!?)
「ゆ、木綿季・・・?」
「・・・ねぇ、明日奈・・・蓮は去年、どれだけチョコをもらってたの?」
「・・・ひっ?!」
自分でも驚くほど冷たい声が出たが、そんなことよりも僕は気になったことを明日奈に尋ねていた。僕の声に明日奈が一歩下がったようだが、おかまいなしに僕は尋ね続けた。
「ねぇ、教えてよ・・・蓮は何個チョコを受け取って、誰から告白されたの?」
「お、落ち着いて、木綿季!?チョコは受け取ってたけど、告白はされてないから?!」
「・・・はっ!?」
明日奈の声に正気に戻った僕は、明日奈に詰め寄りすぎていたことに気付き距離を取った。安堵の息を吐いた明日奈は指を2本立てた。それを見て、
「・・・なんだ、2個だけか」
「・・・・・・ううん、20個」
「・・・えっ?」
「下駄箱に5個、同じクラスの女子から8個、下校時に違うクラスの子たちから7個・・・計20個もらったって聞いたわ・・・和人君もリズやシリカちゃんからもらってたんだけど、他は全然だったから、私は蓮君のもらった量に驚いたんだけどね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
明日奈から告げられた事実に思わず言葉を失う。どうやら、僕が思っていた以上に蓮はもてるようだ。そりゃ、かっこいいのは分かるけど・・・予想外の出来事に頭痛がしてきたのはきっと気のせいじゃないはずだ。
「・・・明日奈!」
「は、はい!?」
「明日のチョコ作り、僕・・・絶対、蓮に美味しいって唸らせるチョコを作ってみせるから!」
「・・・う、うん」
モテモテの蓮に思わず嫉妬する僕の横で、明日奈が苦笑いしていた。絶対に美味しいチョコを作ると気合いの炎を目に灯した僕は、
(言えない・・・実は、木綿季も男子からかなりの人気があって、ホワイトデーにはモテモテになるかもしれない、なんて相談を蓮君から受けてるなんて)
なんてことを明日奈が思っているとは露とも知らず、燃えたいたのだった。
「・・・結局、蓮ったら、チョコやクッキーを23個も貰うなんて・・・どんだけ人気なんだろう」
「まぁ、蓮君ってSAOの時から人気があったからね。帰還者学校だと知っている人ばかりだからしょうがないよ」
昨日のことを思い出し終えた僕は、明日奈の言葉に納得しながらも思わずため息が出てしまった。流石の蓮もせっかくくれたバレンタインの贈り物を受け取らないなんてことはできなかったようで全部貰っていた。
まぁ、昼休みに僕とお弁当を食べている時、年下の女子からチョコを渡された時には見たことないほど汗を掻いて、何度も僕に謝っていたけど・・・
ちなみにフィリア・・・琴音は蓮にチョコを渡していなかった。どうしてかと思い、放課後、偶然下駄箱で会った時に聞いてみたら、
『だって、本命の木綿季より先に渡したら流石に悪いと思ってね。私は休み明けに渡すから』
と言っていた・・・僕を気遣ってくれたらしい。ちなみにセブンは・・・
『来週日本に行くから!その時に手渡すから覚悟しなさい!!』
と、少し前にALOで宣言していた・・・流石はセブンというか、堂々と渡す宣言してくるとは、と驚かされたのは余談だ。
「まぁまぁ・・・さぁ、早くラッピングを済ませちゃおう?」
「うん!」
明日奈の提案に頷きながら、僕はもう一度出来上がったチョコを見た。
(蓮・・・喜んでくれるかな?)
今頃、エギルさんのお店でバイトしているであろう蓮のことを思い、顔が赤くなるのを感じながら、僕はチョコのラッピングを始めた。
「ただいまー!」
「おう、おかえり」
僕を出迎えたくれた蓮が荷物を受け取ってくれたので、靴を脱いでからまず洗面台に手を洗いに行く。リビングに戻ると、僕が帰ることを予想してか、蓮が紅茶の用意をしていた。
その間に僕は床に置かれていた鞄からチョコを取り出した。紅茶を淹れ終えた蓮がトレイを持ってこっちへと来たので、僕はソファーに座って待った。蓮もその横に腰かける。
いつもなら何かしら会話があるんだけど、僕も(多分だけど)蓮も色々と意識してしまって、珍しく無言だった。
流石に今の空気の状態でチョコを渡すのは憚られたので、僕から切り出すことにした。
「ねぇ、一昨日貰ったチョコとかはどうしたの?」
「えっ!?あ、ああ・・・あれは冷蔵庫に全部入れてるよ。手作りの奴もあったから、早いうちに食べないといけないよな・・・」
「・・・・・待って。もしかして一個も食べてないの?」
蓮の言葉に引っかかるものを覚え、僕は目を丸くしながらそう尋ねた。すると、蓮が頬を掻きながら、
「・・・やっぱり一番は木綿季のチョコが食べたいな、って思ってさ・・・子供っぽいかもしんないけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
顔を真っ赤にした蓮の言葉に、僕自身も顔が赤くなるのを感じた。だけど、その目は蓮の顔から離れることはなかった。一昨日のことなんか忘れてしまいそうになるくらい嬉しかった。
だから、そんな蓮の気持ちにもっと答えたいと思った僕は・・・
「ねぇ、蓮・・・僕のチョコ食べたい?」
「ああ」
「・・・それじゃあ、ちょっと目を瞑ってくれない?」
「・・・へぇ?」
「いいから、いいから!早く瞑って!」
「あ、ああ・・・」
驚きの声を上げる蓮に目を瞑るよう言って、僕は用意していたチョコの包装を丁寧に開けて、チョコを取り出した。そして、
「いいふぁ(いいよ)」
「えっ?もういいのか・・・・・へぇ?」
蓮が本日二度目となる間抜けな声を上げていた。まぁ、その理由は僕にあるんだけど・・・
蓮の前には、チョコを咥え、必死に口を突き出している僕がいたからだ。
かなり恥ずかしいけど、考えるよりも先に体が動いていた。僕よりも蓮の方が座高が高いから、僕が蓮を下から少し見上げているように突き出している。もしここに明日奈たちがいたらと思うとだけど、ここには僕と蓮の二人しかいない。今日はバレンタインなんだから、これくらい積極的になっていいもいいだろう・・・僕自身、確実にバレンタインという名の熱に侵されているようだ・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ふぇん?(蓮?)」
「・・・・・はっ!?ゆ、木綿季?」
珍しくポカーンとしっぱなしの蓮の名前を呼ぶと、ようやく正気に戻ってくれたようだ。
「・・・はへて(食べて)」
「・・・・・あ、ああ」
そう言って、蓮は・・・どこか諦めと覚悟を決めた表情をしているのは気のせいかな?・・・僕の肩に手を掛け、チョコに口を近づけた。
(こ、これって・・・キスみたい!?)
近づいてくる蓮の顔と今の体勢に僕の顔の赤さが加速した。蓮とは恋人になってから色々としてきたが・・・胸のドキドキが蓮に聞こえてしまうじゃないかと思うくらい大きく鳴っているような気がした。そのまま蓮がチョコを咥え・・・流石に口だけでは齧れなかったようで、肩からチョコへと手を移し、今度はしっかりとチョコを齧った。
そのままチョコを食べる蓮の口元に注目する。ゆっくりと味わう蓮を静かに見守る。そして、蓮がチョコを食べ終えたところで僕の方から尋ねた。
「ど、どうかな・・・美味しかった?」
チョコを口から外し、おそるおそる聞いてみると・・・
「ううん!?」
蓮に唇を奪われた。いつもと違い、僕が味付けの際に試食したチョコの甘さ控えめのほろ苦い味がした。唇が離れた後も僕は少し呆けてしまった。そんな僕を見て、悪戯が成功したような笑みを浮かべた蓮が、
「・・・美味かったよ。だから、木綿季にもお裾分けだ」
「・・・もう。蓮ったら・・・!!」
その言葉に僕自身も思わず笑みが零れた。そのまま、チョコを小分けにして、蓮に食べさせてあげる。偶に蓮も僕に食べさせてくれた。そして、チョコを食べ終えた僕たちは・・・
「ありがとうな、木綿季」
「ううん。こっちもありがとね、蓮」
お礼を言いあって、僕たちはゆっくりとバレンタインを過ごした。
・・・余談だけど、ALOにログインすると、キリトがアスナたちと修羅場を繰り広げていたり、セブンがフォンに猛アタックを仕掛けるのをフィリアと一緒に阻止したり、イベントクエストをこなしたり・・・色々あったけど、それはまた別の機会に話そうと思う。
「ねぇ、蓮。あのもらったチョコは結局どうするの?」
「・・・ゴメン、木綿季。一緒に食べてくれないか?」
そんなことをお願いされ、苦笑する僕だった。
ちなみに時系列は前回の年末年始回の続きです。
なので、アリスも出そうかと思ったのですが、アリシゼーション編のネタバレにしかならないので、すみません、出せませんでした。
その代わりにサブヒロインのフィリアとセブンがちょっことだけ登場です。
本編登場はまだまだ先ですが先行登場です。
では、次回はホワイトデー特別回でお会いしましょう!
・・・アニメの最終クールのPVが公開になりましたね。
今から放送が待ち遠しいですね・・・やべぇ、アリシゼーション編の執筆ができてねぇ!?
サブヒロインは必要でしょうか?(オリ主はユウキ一筋ですが、断り切れない性格。かつ、ユウキはヤキモチは焼きますが、相手の心情を察して、黙認する、という設定を考えております)
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あり オリ主ハーレム万歳!
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ありかも・・・ちょっとだけ見てみたい
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どっちともいえず・・・甲乙つけ難い
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なしかな あくまでも、友情以上恋人未満
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ありえない!ユウキ至上主義!