それでは、どうぞ!
第0話 「プロローグ」
都内某所・・・
『ARGUS』の文字が入ったひび入りの看板を掲げた、今は空室となっているオフィスに一人の男性の姿があった。初老で、眼鏡をかけ、白衣を纏った姿は、科学者らしい風貌を見た者に与える・・・それが男の印象だった。
男はまっすぐ進み、奥の部屋へと入った。そこは、複数のパソコンと冷却機器・・・ゲームでいうメインサーバーを管理する部屋だった。
男はそのままメインサーバーの前に立ち、持っていた本・・・『SAO事件記録全集』と書かれた本を開いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その一節を無言で見つめ、そのまま閉じた。そして、稼働を続けるサーバー本体に付けられた、『SAO』の文字が刻まれたプレートを触った。その触り方は何かを懐かしみ、そして、後悔が混じったような印象を与えるような触り方だった。
「・・・(ボソボソ)」
男が何かを小さな声で言った。その傍らで、ノートパソコンの画面にて、何かのプログラムが進行し続けていた。
『すみません!その耳に着けてる物はなんですか?』
『はい?これですか・・・?これはオーグマーです!』
街頭インタビューで質問を受けるカップル。そのまま、番組の内容はそのデバイスの紹介へと移っていった。
(ウェアラブル・マルチデバイス・・・通称『オーグマー』、か)
紹介VTRを見ながら、俺は自身が装着しているオーグマーへと触れた。VTRでは、フィットネスでの健康管理やARでの疑似体験の話から、VRデバイスであるアミュスフィアとの違いがテーマとなっていた。
(VRだけでなく、ARまで・・・ここまで進んでるとはな)
そんなことを、どこか他人のように感じながら、俺は歩きながら、ニュースを見ていた。そして、話が今、注目のオーディナル・スケールに入った時だった。
「ねぇ、蓮、聞いてる?」
「・・・おっと。悪い、木綿季。何の話だった?」
いきなり現れた恋人の・・・木綿季の顔に、オーグマーで見ていたニュースから目を離し、彼女の話に集中することにした。
「もう、酷いな!早く行かないと、明日奈たちとの待ち合わせに遅れちゃうよ?」
「・・・おお、マジか・・・ちょっと急ぐか」
「うん!」
木綿季の言葉に、時間を確認すると、確かに約束の時間まで、もうあまり余裕がなかった。俺と木綿季は歩くスピードを早め、目的地へと急いだ。
「何見てたの?」
「このオーグマーについてのニュースだよ」
「ああ・・・確か、ARアイドルも人気だっていう、ニュースあったよね!僕、ユナちゃんの歌、好きだな!」
そんなことを話しながら、俺たちはいつもと変わらない日々を過ごしていた。
そう、これから起きるもう一つのSAOに関する事件に巻き込まれていくとも知らずに・・・
ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~ オーディナル・スケール
ちょっとしたプロローグでした。
次回から本編に突入します。
オーディナル・スケールは日・水の週2の更新となります。
時々、気分で短編挟むかもしれませんが、ご了承下さい。
次回更新 20日0時予定
アリシゼーション編で、フォンに使ってほしい武器はどれでしょうか?(両手剣、片手剣はデフォルトです)
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刀
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両手斧
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槍
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弓
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片手棍