流石にフォン以外の視点も入れないと物語が成立しないので、こうなりました。
そして、いきなりオリキャラの登場です。
オリキャラで敵キャラを出したのは、初めてという驚きの事実。
それでは、どうぞ!
〈Other View〉
蓮と木綿季が病院で検査を受け、帰宅している頃・・・
和人、明日奈と共にオーディナル・スケールのイベントボス『カガチ・ザ・サムライロード』を倒した、ギルト『風林火山』のメンバーの一人・・・カル―は帰宅する途中に、オーグマーの指示に従って、路地に入っていた。
「おっ!こんなところにも、アイテムが・・・!」
だが、カル―がアイテムを取ろうとした時、目の前でアイテムが消失した。
そして、周りの明かりも消えた。その時、人の気配を感じ、カル―が振り返ると・・・
「あんた・・・誰だ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
長身に茶髪・・・紫に赤のアクセント、まるで西洋の騎士を想像させるようなスマートな戦闘服を身に纏ったプレイヤーがそこには立っていた。そして、その頭上には、ランキング3位を表す、数字が表示されていた。男は何も答えず、静かに腰の片手剣を抜いた。
「なんだよ・・・アイテム刈りかよ?3位のようだが、偉そうにすんなよ?そう簡単にはいかないぜ?」
カル―も両手剣を抜き、戦闘態勢に入った。男は、カル―を見たまま、覚悟を決めたように、静かに息を吐いた。
その後ろ姿を、一人のプレイヤーと歌姫が見つめていたのだった。
〈Other View End〉
「うわぁ・・・凄いね、これ・・・!」
夕飯(木綿季がカロリーを気にしてたので、鶏と大根の煮物に、五穀米ご飯、お味噌汁、ほうれん草の和え物、をテキパキにした)を食べ終え、お風呂に入ってから、俺と木綿季は和人から送られてきた、今日のイベントボス戦の動画を見ていた。木綿季が感嘆の声を上げたのは、『カガチ・ザ・サムライロード』とプレイヤーたちが戦うシーンだった。
・・・ちなみに、動画は和人の装着しているオーグマーによるものなので、和人視点での動画はかなり迫力があった。
そして、和人がカッコよく突っ込み、ボスの目の前でこけた(いきなり視界が転がったので、おそらくそうなのだろう)シーンで俺たちは苦笑し、風林火山の華麗なチームプレイに「おおっ!」と称賛の言葉を投げ、流れ弾がユナに直撃しそうになったシーンの時、一人のプレイヤーが飛び出し、その銃弾を剣で弾き返してモンスターに直撃させた。その男を見た時だった・・・
「うん・・・?」
「どうしたの、蓮?」
「いや、この2位のプレイヤー・・・どっかで見たことがあるような気がしてさ」
木綿季の言葉に、俺はそのプレイヤーをどこかで見たことがある気がした俺は記憶を巡らせていた。そんなことを考えている内に、そのプレイヤーが放った乱撃により、ダウンした隙を突いた明日奈の一撃がイベントボスを撃破していた。
その後だった・・・衝撃的なシーンが流れた。
なんと、ユナが明日奈の頬にキスをしたのだ。俺は驚きながら、ハッと思い、横の彼女を見ると・・・
「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐ!あ、明日奈ぁぁぁ・・・!?」
悔しそうに歯を食いしばり明日奈に嫉妬する木綿季。触らぬ神にたたりなしと思い、自然と目を晒した俺は・・・
「蓮!」
「は、はい!?」
「次は、僕たちも参加するから!いいよね!!!」
「・・・う、うん・・・」
やる気に・・・いや、キス目当てに執念を燃やした木綿季の迫力に、俺は頷くことしかできなかった。
4月26日 ALO 新生アインクラッド22層・・・キリトたちのログハウス
「いや~、ARで戦うフロアボスも本家同様の攻撃パターンとはいえ、生身で動きまくったから、体バキッバキだぜ」
「よくそんな人数で倒せたな?」
「俺とアスナは一回戦ってるから・・・周りは集団戦未経験者が多かったみたいで、大苦戦だったんだけど」
「キリト君もバテバテだったからね~」
「キリト・・・動画を見たけど、あそこでこけるのはないぞ?」
「むぅ・・・AR戦闘に慣れてなかっただけだよ」
いつものメンバーが集まり、この前のオーディナル・スケールのイベントボスについて、皆と話していた。アスナと俺の指摘にキリトが反論してから、バツの悪い表情をしていた。
「ああ、でも、あのユナって子が応援に来てくれててさ。最後には、ご褒美で・・・」
「「えええぇぇ~~~!?!?」」
キリトの言葉に、リーファとシリカが揃って、悲鳴を上げた。
「お兄ちゃん!ユナとボス戦やったの!?」
「本当ですか!?」
「お、おう・・・」
「お兄ちゃん!」「キリトさん!」
と、ユナの大ファンであるリーファとシリカがキリトに詰め寄る横で・・・
「いいよね、アスナ・・・ユナちゃんにキスしてもらったもんね?ね?」
「ユ、ユウキ・・・ちょっと怖いよ?」
ユウキが笑顔でアスナに詰め寄っていた・・・目が笑っていないその表情にアスナは怯えていた。かくいう俺も、何も言うまいと既に諦めの境地でいた。俺は何も見ていない。
すると、クラインが・・・
「ライブ見られて、満足だったぜ。俺、ユナちゃんのライブチケット応募しそびれちまってよ・・・」
「ああ・・・そういや、オーディナル・スケールの登録キャンペーンでペアチケットもらったぞ、俺・・・」
「・・・私も当たった」
「「・・・・・・・・・え~~~!?いいなぁぁぁぁ~~~~!!!」」
エギルとシノンの言葉に、リーファとクラインの悲鳴が重なった。その後、クラインはエギルからチケットを譲ってもらう一方で、剣道合宿でライブに参加できず崩れ落ちるリーファに俺達は苦笑するしかなかったのだった。
「それにしても、一体どういうことなんでしょうか?」
「オーディナル・スケールに旧SAOボスの階層ボスが現れていることか?」
「そういえば、妙な話よね?特にタイアップの告知もされてないんでしょう?」
ピナにお菓子をあげながら、そう言ったシリカの疑問に、俺とリズはその言葉を引き取り、続けた。
「うん。そもそも、タイアップしようにもSAOを運営していたアーガスはもう無くなっちゃってるし・・・」
「イベントに参加していたプレイヤーはSAOのボスだって気付いてたんですか?」
「そんな様子はなかったかな・・・ボスの攻撃パターンを知っていたのは私たちだけだったと思う」
リーファの質問に、アスナはその時のことを思い出しながら答えた。その時、俺はあの2位のプレイヤーのことがふっと頭をよぎった。
「アスナ・・・あの2位のプレイヤーはどうだったんだ?」
「2位って、あの凄い動きをしていたプレイヤーのこと?」
「ああ。あの2位もボスの攻撃を分かっていたように見えたんだが・・・アスナとキリトはどう思った?」
ユウキの言葉に頷きながら、俺はそのプレイヤーを直接見た2人にそう尋ねた。
「う~ん・・・引っかかる、とは思う。どこかで見たような気もするんだけど・・・キリト君は?」
「俺は記憶にないな。でも、アスナも言うように、今後も旧SAOのボスが出現し続けるのなら、気付く奴も出てくるだろうな。もらえるポイントもけっこうな額だしな」
「そう、か・・・」
キリトとアスナの言葉に俺の気のせいだったのかと思い、とりあえずこの疑問は俺の中にひとまず締まっておくことにした。
「つまり、現実世界でアインクラッドを再現しようとしてる、ってか?」
「・・・でも、ナーブギアみたいに命の危険はないんでしょ?考えすぎでしょ」
「一応、そうとは言われてるけどな・・・」
エギルの言葉にシノンが言葉を続けた。俺はその言葉に同意しながらも、どこか納得できない部分があり、言葉を濁してしまった。
「ともかく、ユイ。何か分かったら、教えてくれ」
「はい、パパ!」
キリトの頼みに、ユイは元気よく返事した。
「ユナと一緒に戦えるのなら、私も参加したいです!」
「私も!」
「ボクも!」
シリカ、リーファに続き、ユウキも挙手しながらオーディナル・スケールへの参加を表明した。もっとも・・・
「今度こそキリトさんのバイクの後ろに・・・!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
という、シリカの小さな宣言を、俺とシノンだけが聞き取っていたのは余談だ。シノンの目が一瞬光ったような気がしたのは・・・気のせいじゃないだろうな。もっとも・・・
「今度こそ、ユナちゃんのキスを・・・キスを・・・!」
シノンの横でそう呟き続けるユウキの姿があったが・・・絶対に触れてはいけないと思い、俺は何も見なかったことにした。隣のシノンも気付いているのだろうが、冷や汗を流しながらも、スルーすることに決めたようだ。
「できれば、もっと参加しやすい時間にしてほしいわよね?」
「そんな女性の方々のために車出してるから、送り迎えぐらいしてやるよ?」
「それ、セクハラじゃないのか?」
「フォンの言う通り・・・そっちの方が心配じゃない?」
「え~!?それはないぜ・・・ユナちゃん・・・」
俺とリズの容赦のない言葉に、クラインが沈んだ。その頭に、慰めをかけるようにピナが乗った姿に、俺たちは笑うしかなかったのだった。
その数日後・・・
「遼太郎さんが指定した場所・・・代々木公園って、ここだよな?」
「うん。本当に、明日奈のお家の近くだね」
バイクを駐車場に止め、ヘルメットを脱ぎながら、木綿季とそんなやりとりをしていた。
俺達がどうしてここにいるのか・・・話は少し前に遡る。
食事を終え、木綿季と入れ替わりで風呂に入っている時だった。木綿季がクライン・・・遼太郎さん(現実世界では、流石に呼び捨てで呼ぶのは失礼なので、本名を呼ぶときは、さん付けで呼んでる)から、オーディナル・スケールのボス戦が代々木公園で行われるから、俺たちや明日奈の住んでる場所からそこまで遠くない距離であったため、参加しないか・・・という話があったのだ。
もちろん、参加しない理由もなく、ユナのキス獲得のために燃える木綿季も参加することを即決し、バイクで大急ぎで来たのだ。
ともかく遼太郎さんたちと合流すべきだと思い、木綿季と共に公園の入口へと向かっていると、
「お~い、フォン!ユウキちゃん!こっちだ、こっち!」
「あっ!クラインさん!」
聞き慣れた声が聞こえ、手を振っていた遼太郎さんと風林火山のメンバーがいた。遼太郎さんの呼びかけに木綿季も手を振って、応えていた。
「よく来たな。急な呼び出しだから、どうかと思ったんだが」
「まぁ、俺はともかく・・・俺のパートナーがやる気なので・・・そういえば、アスナは?」
「・・・まだ来てない、っと・・・噂をしたらだな。アスナ、こっちだ!」
遼太郎さんの言葉に振り返ると、小走りでこっちにやって来た明日奈が見えた。
「急にお呼びだてしちまって、すまないな・・・」
「いいえ、大丈夫です。フォン君達も来れたんだ!」
「まぁな。それにしても、門限は大丈夫だったのか?」
「うん。お母さんの許可は貰ってるから。お風呂に入ってたんだけど、急いで来ちゃった!」
「あっ、アスナも?僕もそうだったんだ!」
「お、お風呂・・・!?」「「「「お、おおぉぉぉ・・・!!!」」」」
明日奈と木綿季の言葉に、野生と期待の目を向ける野郎一同・・・
「クライン・・・・・一回、死んどくか?」
「お、落ち着け、フォン!?じょ、冗談だって!なぁ?」
「「「「(コクコクコク!?!?!?)」」」」
俺の笑顔の発言に、一同は態度を改めてくれた。人の彼女に、なんて目を向けてくれるのやら。
(ここがVRだったら、容赦なくデスペナを味わせてやるのに・・・)
そんな物騒なことを俺が考えていると、明日奈が何かに気付いた。
「あれ、まだ全員じゃないんですか?」
明日奈の言葉に、正気に戻った俺も、風林火山のメンバーが一人いないことに気付いた。
リーダーであるクラインもその問いかけに苦笑していた。
「あ、ああ。メンバーが一人、連絡着かなくってな・・・揃ったら、すぐに参戦するから、お前たちは先に行ってくれよ」
「分かりました!」
「早く来ないと、クラインたちのポイントも俺たちが代わりにもらっちまうからな?」
「そうそう!」
「そ、そりゃねーぞ!お前ら!?」
俺と木綿季の言葉に、慌てだすクラインの姿に思わず、全員が笑いだしてしまった。
そのまま、俺たち3人はイベントボスが行われる公園へと向かった。
「うわぁ・・・かなりの人数がいるんだね?」
「ああ。百閒は一見に如かず、とは言うけど・・・これを見ると、オーグマーによるARの拡大は確かに進んでるだな」
公園の中は、これからボス戦に参加するのであろう人でにぎわっていた。これがオーディナル・スケール初参戦となる木綿季と俺は周りをキョロキョロしながら、話していた。
「私もこの前のボス戦の時には驚いたよ。しかも、ボスの出現時間・場所の発表はいつもギリギリなのに、この集まりようだからね」
「リズが言ってたのも、ちょっと分かるかもね。場所が遠いと、フォンやキリトみたいに足がないと参加すらできないもんね」
「まぁ、現実世界だから、混乱を避けることからも、そういうやり方が行われているのかもしれない」
明日奈と木綿季の言葉に、俺は状況を分析しながら、答えた。これがVRであれば、サーバーの拡大や人数規制などでなんとかなるのだろうが、現実世界で展開するARではそうはいかない・・・それが、ARの弱点であり、今後の改善点ともなっていくのだろう・・・そんなことを俺が考えていると、
「あっ、そろそろ始まるよ?準備しないと!二人とも、準備はいい?」
明日奈の言葉に時計を見ると、開始時刻の9時まで、あと少しといったところだった。
「もちろん!ユナのキスは僕がもらうもんね!」
「まぁ、ユナが来てくれたらな?ええっと・・・専用のワードを言えば、ゲームが起動するんだったよな?」
「うん。それじゃ、いくよ・・・?」
気合に満ちた木綿季を落ち着かせながら、俺は明日奈に起動方法を確認していた。そして、俺たちはその言葉を発した。
「「「オーディナル・スケール、起動!」」」
その言葉と共に、俺たちの姿が変わる。オーディナル・スケールの剣士タイプが装備する・・・白を基調に蒼のアクセントラインが入ったバトルコートを纏い、腰に装備していたエグゼキューターが片手剣『ヒロイック・ホープ』に変化した。
一方、赤のアクセントが加わったバトルドレスを纏った明日奈の横で、紫のアクセントのバトルドレスの着心地を確認するように動く木綿季は、片手剣『ノア・ホイント』を試し切りするように振っていた。
すると、公園の時計が9時を指し、公園の風景が一気に変わる。証明に照らされた夜の公園が、ARのバトルフィールドへと変貌し、代々木競技場もARによって、異界のモニュメントへと姿を変えた。そして、
「・・・来たか」
召喚音と共に、イベントボス・・・SAO第11層ボス:『ザ・ストームグリフォン』が姿を現した。またしても、旧SAOボスが現れたことに、俺は思わずそんなことを呟いていた。
すると、
「みんな!準備はいい?」
「あ~!!ユナだ!ユナが来たよ!!!」
「さぁ!戦闘開始だよ・・・ミュージック、スタート!」
ユナがステージの舞台らしきところに、まるで降臨するかのように登場した。ユナの登場に、テンションを上げながら、木綿季が喜んでいた。そのまま、ユナの応援とともにプレイヤーたちに強化バフがかけられる。ユナが代表曲の一つ、『longing』が流れ始めた。
「よ~し、いくよ!」
「ユ、ユウキ!?ちょっと待て!」
気合が入った木綿季が先手必勝とばかりに飛び出した。それを慌てて、追いかける俺。
すると、ボスは飛翔し、前方のプレイヤーたち目掛けて、突進攻撃を仕掛けた。
「っ!?」
「ユウキ!」
ボスの攻撃に、反応が遅れた木綿季を庇い地面へと伏せた。俺たちの頭上をボスが掠めて飛んで行った。
「ゴ、ゴメン・・・!」
「大丈夫だ。VRと違って、こっちじゃ動きや反応速度に認識のズレがあるんだ。VRと同じ感覚で動いてたら、やられるぞ」
「わ、分かった・・・」
木綿季に、ここが現実世界であり、VRのように動けないことを認識させた。いかに『絶剣』と呼ばれた彼女でも、日常生活に戻ったばかり・・・VR世界のように動けるかといえば、反応速度は問題ないが、体がそれに追いつけないのだ。下手すれば、和人よりも酷いかもしれない。
「あのボスも俺とアスナは戦ったことがある。パターンは分かってる・・・アスナ!」
「うん!」
プレイヤーたちの銃撃を掻い潜りながら、飛翔を続けるボスを良く観察しながら、俺は明日奈に目配せで合図を送った。
「ユウキ。俺とアスナでボスに隙を作るから・・・ラストアタックを狙え。それまでは、ボスの動きを見て、攻撃を避けながら反撃するんだ!」
「分かった!」
俺の指示に、木綿季も再び剣を構え直した。そして、空中を飛び回るボスの動きを見ながら、俺たちは距離を詰めていった。俺たちが接近したことに気付き、ボスが雄たけびを上げる。
「3秒後に突進攻撃が来る!俺が合図したら、横に飛びながら、剣を振るんだ!」
「了解!」
「・・・・・・よし、今だ!」
並走する木綿季にそう言って、俺はタイミングを計りボスへと突っ込んだ。そして、合図とともに、俺と木綿季は、空中から突進してきたボスを躱し、カウンターで剣を叩き込んだ。それによって、ボスの体はふらつき、飛行スピードが落ちた。追撃と言わんばかりに、銃装備のプレイヤーたちが弾幕を展開するが、決定打は与えられていなかった。
その時、ボスが柱の一本へと止まり、体に電気を貯め始めた。
(あのモーションは・・・!)
SAOでも見た攻撃モーションに、明日奈にアイコンタクトを送り、俺も動き出す。
「広範囲攻撃が来るわ!」
「タンクは奴のヘイトを集めてくれ!凌いだら、反撃のチャンスだ!」
「お、おう・・・!」
明日奈と共に他のプレイヤーたちに指示を飛ばす。俺は木綿季に駆け寄り、
「ユウキ・・・(ボソボソ)・・・」
「・・・うん、分かった!」
俺の指示を受け取った木綿季は移動を始め、俺は再びボスへと近づいた。
「もうすぐ大技出してホバリングするから、羽を狙って!」
「えっ!?あ、ああ・・・」
「打ち落としたところを一気に攻めるぞ!ディーラーはついてきてくれ!」
「分かった!」
各プレイヤーに協力を求めながら、俺と明日奈は戦場を駆けていく。前線指揮が得意な俺と指揮官としての才能を発揮する明日奈の指示に、集団戦未経験者のプレイヤーたちも団結していった。
「ほら、こ~い!」
「こっちだ!」
「ほらほら!!」
タンクプレイヤーたちによるヘイト集めにより、ボスの向きがタンクへと向いた。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
ボスの雷による大技が放たれるも、タンクプレイヤーたちはそれを防ぎ切った。
「撃って!」
スガガガガガガガガガガガ!!!
『GOAAAAAAAAAAAAAAAAA!??!』
明日奈の号令に、銃プレイヤーの全員が一斉砲火をかける。銃の雨が、ボスの羽を貫き、地上へと落下させる。
「今だ!突っ込むぞ!」
「うし!」「おおう!」「やったるぜ!!」
近接武器を持ったプレイヤーたちが、俺の掛け声と共に、ボスへと突撃を仕掛ける。ダウンしたボスに、それぞれ強力な一撃を喰らわせるが・・・
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!』
「っ・・・しまった!?」
プレイヤーたちの攻撃を耐えたボスは、最後の抵抗と言わんばかりに、地面を駆け始め、プレイヤーたちを次々と跳ね飛ばしていった・・・だが、
「「ユウキ!!!」」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
その抵抗すらも、一度戦ったことのある俺たちは知っており、彼女の名を呼んだ。俺の指示で、剣を構え、待機していた木綿季が、その反射速度で、ボスの突撃をスレスレで躱し、逆にカウンターを喰らわせた。その体が、剣で横一閃に切り裂かれ、
ズドゥゥゥゥゥン!!!
AR独特の消滅エフェクトと共に、ボスの姿が光の粒子へと姿を変えた。そして、
「「「「「・・・おおお!やったーーーーーーーーー!!!」」」」」
ボスクリアの音楽が場に流れ、プレイヤーたちが歓喜の声を上げた。
「つ、疲れた・・・」
「お疲れ、ユウキ、フォン君」
「アスナもな。それに、見事なラストアタックだったぜ、ユウキ」
「エヘへ・・・ありがとう、フォン。二人の指示のおかげだよ」
肩で息をしながらも、まだ動けそうな木綿季に、明日奈と共にねぎらいの言葉をかけた。イベントが終了したことで、異界となっていたAR空間も元の景色へと戻っていった。すると、俺たちの周りにプレイヤーたちが集まってきた。どうしたのかと、俺が考えていると・・・
「あんたら、すげぇな!」
「「「えっ?」」」
「ナイスディレクション!」
「なんかのゲームの経験者なのか?」
「ま、まぁ・・・」
「ありがとう!でも、みんなの協力もあったからだよ!」
プレイヤーたちの称賛の言葉に俺達は思わず固まってしまった。どうやら、俺達のプレイが一目置かれたらしい。戸惑う俺と明日奈に対し、木綿季はここにいるプレイヤーみんなのおかげだと、言葉を返していた。すると・・・
「またあなたね!おめでとう!」
先程まで応援してくれていたユナが俺達の傍へと飛んできた。すると・・・
「ひぃぃ!!!」
明日奈が、見たことないスピードで後退りした。現実世界でもそんなスピードを出せる程に、前回のキスがNGになっていたのか・・・と俺が呆れ半分驚き半分で明日奈を見ていると、
「あら、残念。でも、今日のMVPは・・・あなたよ」
「えっ?」
チュ!
「あっ!」「おっ・・・」
明日奈に避けられ、残念がるユナだったが、その言葉と共に木綿季の方を向いた。木綿季が驚いている内に、その頬にユナのキスがプレゼントされていた。突然のことに、明日奈と俺はそれぞれ異なった反応をしていた。そして、
「い、今・・・キ、キス・・・・してもらえたーーーーーーー!!!」
ユナファンの木綿季が喜びを爆発させていた。これでもかという程にはしゃぎまわっていた。可愛いので、とりあえず写真に収めようと、オーグマーのカメラ機能を使って、連写する。もちろん、さっきのキスシーンも撮影済みだ。俺がそんな木綿季を撮影することに集中していると、
「それじゃ・・・またね・・・アスナさん、ユウキさん」
そう言って、ユナが消え、明日奈が安心した。とりあえず、未だに喜びの舞を踊る木綿季を止めようかと思い、明日奈と苦笑しながら、彼女に近づいた。
「閃光のアスナさん・・・それに、夢幻の戦鬼のフォン・・・死の恐怖から解き放たれたオーディナル・スケールこそ、真にリアルなMMOゲームなのです」
この時、俺は気付いてなかったんだ。
「ここで、僕の本当の力を教えてあげますよ・・・僕たちがね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺達を見つめる、二人の人物がいたことに・・・そして、
「クラインさんたち・・・結局来なかったね?」
「うん・・・さっきの場所にもいなかったしね」
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
帰り道・・・イベントに参加しなかった遼太郎さんたち風林火山のメンバーを心配する木綿季と明日奈の言葉に、俺は一抹の不安を感じていた。
その予感が現実のものになっていることを・・・そして、悲しい陰謀が進み始めていることを・・・俺はまだ何も知らなかったんだ。
さりげなく発揮されるフォンの女子力・・・!
オリキャラの設定は後々記載する予定です。今書くと、もうネタバレしかないので(笑)
次回は別の意味での戦闘回となります。
また、アンケートも新しいものになります。
ご期待頂ければと思います。
それでは、また。
次回更新 27日0時予定
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