ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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いきなりのオリジナル戦闘シーンです
まぁ、純粋な剣道の試合なんですが・・・

それでは、どうぞ!

追記 アンケートご協力ありがとうございました。参考にさせて頂きます!


第3話 「芽生え始めた不信感」

オーディナル・スケールのイベントボス戦の翌日。筋肉痛に苦しむ木綿季に安静にしとくように言ってから、留守番を任せ、俺は・・・

 

「急にすまないな・・・音弥君」

「いえ、いつも稽古に参加させてもらってるんです。このぐらいは構いませんよ」

 

週2で稽古に参加させてもらっている道場に来ていた。俺は師範の先生へとそう答えながら、汗を流す門下生たちを見ていた。どうして、俺がここにいるのか・・・今日、この道場に他校の剣道部を招いての交流稽古が行われていたのだ。この道場ではそう珍しいことではないのだが・・・今日は、いつもとは訳が違った。

 

「全国大会出場の剣士ですか・・・確かに興味深いですね」

「ああ。今、試合をしている彼がそうなんだが・・・彼はレベルが違う」

 

俺と先生がそんな会話をしながら、模擬試合を行っている彼を見ていた。

俺から見ても、その剣士は他の剣士とは、一戦を画していた。

 

「・・・・・!」

 

鋭い一撃で、カウンターで抜き胴を決め、一本を取っていた。

 

「こちらも合同稽古を申し込んだ以上、彼にも何か経験を積んでほしいと思ってね・・・」

「それで、俺に参加を求めたわけですね?」

「ああ・・・かつて、全国レベルの腕を評された君の腕を見込んでね」

「・・・昔の話ですよ」

 

先生にそう言われ、俺は苦笑いしながら答えた。俺がそう評されたのは・・・本当に昔の話だ。そして、

 

「おっ・・・試合が終わったようだね。おーい、後沢君!」

「・・・!はい!」

 

鮮やかな面を決め、礼をしてから次の相手を探していた彼を先生が呼んだ。

 

「どうかしましたか?」

「いや。先ほどの試合は見事だったと思ってね。そこで、君さえ良ければなんだが、こちらの音弥君と、一回試合をしてみないかい?」

「えっ・・・?」

 

先生の急な提案に、彼・・・後沢君は驚いていた。

 

「音弥君はここの門下生ではないのだが、彼の実力は一線を画している。君にとっても良い経験になると思って、来てもらったんだ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

先生の言葉を受けた彼は、面越しに俺を見ていた。

 

「どうだい?一試合してみないかい?」

「・・・・・分かりました。音弥さん、よろしくお願いします」

「ああ。よろしく」

 

彼の言葉に、俺もそう返した。俺は、手早く防具を身に着け、再び彼の前に対峙した。

 

「・・・いきなりのことだけど、全力でいかせてもらうぜ?」

「・・・ええ。かつて、天才剣士と呼ばれたあなたの実力・・・見せてもらいますよ?」

「っ!俺のこと・・・知ってたのか?」

「僕も剣士の端くれですから・・・以前、あなたがそう呼ばれていた時の取材の記事を読みました。それに・・・」

「・・・それに?」

「いえ・・・互いにいい試合をしましょう」

「・・・ああ」

 

どうやら彼は、昔の俺を知っていたようだ。それと意味深な言葉が気になったが、今は試合に集中することにした。互いに距離を取り、一礼してから竹刀を構えた。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「・・・始め!」

「「っ!?」」

 

審判の開始の合図と共に、俺たちは互いに面を繰り出し、鍔競り合いに入った。

 

 

 

〈Other View〉

二人のスピードは完全に互角だった。今でも、稽古をしている蓮もそうだが、全国レベルと呼ばれる後沢の一撃は、完全に一線を画していた。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

鍔競り合いのまま、互いに仕掛けようと動く二人。先に動いたのは蓮だった。

 

「っ!はぁ!!!」

 

一瞬の体重移動によって、後沢のバランスを崩し、引き面を打つ。だが、後沢はそれを首の動きで避け、反撃に転じた。小手、面の二連撃を放つも、それを蓮が竹刀で弾く。そのまま、胴を放つも、竹刀の柄で防がれ、蓮は一旦距離を取った。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

(・・・できる・・・!)

 

間合いの一歩外で、牽制し合いながら、蓮は後沢の実力に驚いていた。技を出すタイミング、スピード、体の使い方・・・その全てが、蓮と互角・・・いや、それ以上といってもいいレベルであった。そして、

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

「っ!?」

 

連は動揺した。後沢が間合いの外から、攻撃を仕掛けてきたのだ。その跳躍は、蓮の認識を超えた一撃だった。その攻撃に蓮の反応が一瞬遅れてしまい、首の動きでなんとか避ける。

そのまま、後沢の猛攻が始まった。

 

「・・・・・っ!?」

 

先程以上のスピードで連撃を繰り出す後沢。これが本気の攻撃だと言わんばかりのラッシュが続いた。だが、蓮もやられぱっなしではなかった。その猛攻を防ぎきっていた。攻めきれない後沢も、蓮の実力に内心焦りを感じていた。

 

そして、勝負が大きく動いた。一気に攻勢に動いた後沢の動きが止まった瞬間、蓮が攻撃を仕掛けた時だった・・・

 

(なぁ!?・・・避けた!?)

 

後沢が蓮の面の一撃を躱したのだ。その速さに、蓮も一瞬、後沢の動きを見失いかけた。だが、VRMMOでの経験から、後沢が自身の横に移動したことを気配で察した蓮。完全なる隙を突いた後沢の一撃が蓮を襲おうと・・・

 

「っ!?でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「なぁ!?」

 

後沢が驚きの声を上げた。完全に面が決まったと思い、勝ちを確信したはずだったのに・・・その瞬間、竹刀ごと、後沢の身体を蓮が吹き飛ばしたのだ。カウンターでの交差法、横からの遠心力を生かした、重みの乗った一撃は後沢に確かな隙を作った。

 

((勝負!))

 

追撃に出た蓮とすぐさま体勢を立て直し後沢が、互いに竹刀を放った。その竹刀はぶつかり、互いの面を・・・

 

「そこまで!!!」

「「っ!?」」

 

審判の声に、二人の動きが止まった。互いに放った竹刀は少しずれ、防具の有効打ではないところに当たっていた。そして、二人が我に帰り、周りを見渡した時だった。

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」

 

道場にいる全員が二人の試合を見ていた。練習中にも関わらず、全員が手を止め、その試合を見ていたのだった。そして、

 

「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」

 

全員が歓声を上げるのだった。

 

〈Other View End〉

 

 

 

試合を終え、道場にいる全員から質問やら感想やらを聞かれ、師範の先生が全員を宥めたことで、俺はようやく人ごみから解放された。そして、彼の姿を探して、道場の外に来ていた。

 

「おっ、いたいた」

 

目当ての人物・・・後沢君を見つけた。彼は汗を拭いながら、涼んでいた。

 

「ちょっといいかな?」

「うん?ああ、音弥、さん・・・」

「音弥でいいよ。確か、同い年だったよな?えーっと・・・」

「あっ、すみません。後沢尚也って、いいます。僕も尚也でいいです」

 

俺の声に気付き、彼は立ち上がった。その際に、ある本を持っていたのだが・・・俺はそれに触れずに、話を続けた。後沢君・・・尚也の差し出してくれた手に、俺も握手で答えた。

 

「さっきは凄かったよ。流石は全国大会出場選手だな」

「いえ、音弥さんにはほとんどを防がれてしまいましたから・・・僕なんて、まだまだですよ」

「そうでもないさ。俺だって、防ぐのに必死だったさ」

「・・・そう言って、頂けるとありがたいです」

 

以前、直葉ちゃんと戦ったことを思い出しながら、彼の実力の高さを俺はそう評価していた。

呼び捨てで、俺の名前を呼ばない辺りからも、彼の謙虚さが伺えた。そして、俺の視線は自然と持っていた本に移ってしまった。彼も俺の視線に気づいたようだ。

 

「・・・ああ、すみません。最近、話題になっていて、ハマってまして」

「そうか・・・オーグマーの関係でかなり話題になっているからな」

 

申し訳なさそうにする尚也が持っている本・・・『SAO事件記録全集』に俺は苦笑いしてしまった。

 

『SAO事件記録全集』・・・VRMMOに革新と混乱をもたらし、悪魔のゲームと呼ばれた『ソードアート・オンライン』。ある一人のプレイヤーが、その事件に関する全ての記録を書いた、SAO事件に関するノンフィクション本だ。先月、出版されたばかりなのだが、オーディナル・スケールにて、SAOのボスが現れ始めたことで、更に注目を浴びるようになったとニュースでも話題になっていた。

 

キリトの異名である『黒の剣士』、そして、俺の異名『夢幻の戦鬼』の話(かなりの脚色を加えたもの・・・何故か、「無限の武器を操る彼に、全ての敵は為すすべなく、蹂躙されていった」みたいな脚色まで加えられている)も記載されており、その本を読んだ時には、顔を真っ赤にしたものだ。しかも、木綿季にそのことで色々聞かれ、訂正しながら答えたのは記憶に新しい出来事だ。俺がそんなことに頭を悩ませていると・・・

 

「・・・『夢幻の戦鬼』・・・」

「っ!・・・えっ?」

「・・・この本に出てくる・・・英雄の人たちは、一体どんな人だと思いますか?」

 

尚也にそう聞かれ、俺は思わず言葉が詰まった。その視線は、まるで何かを確かめたいかのような視線だった。

 

「そうだな・・・案外、俺達とそう変わらない人物なんじゃないのか?」

「・・・・・そうですか。そうかもしれませんね」

 

俺の答えに、尚也はそう返した・・・その表情が、期待外れだ、というような反応だった気がしたのは、俺の気のせいなのだろうか。

 

「今日はありがとうございました。また、いつか試合をしましょう。それでは」

「あ、ああ・・・」

 

身支度を整えた尚也はその場を去ろうとした。その時、ふと気になったことを尋ねた。

 

「君も・・・オーディナル・スケールをやってるのかい?」

「・・・ええ。もしかしたら、そちらでお会いするかもしれませんね」

 

そう言って、尚也は道場へと戻って行った。俺はその背中を見つめることしかできなかった。

 

 

 

「血盟騎士団のノーチラス・・・?いや、覚えてないな」

「そっか・・・そうだよね。フォン君、あんまりウチのギルトとは関わりを持たないようにしてたもんね」

「い、言い方に棘がありませんか、アスナさん?」

 

キリトに呼ばれ、ALOにログインした俺とユウキは、アスナから、以前話に出たランキング2位のプレイヤーが、SAOの時に血盟騎士団に所属していたノーチラスかもしれないと知らされた。

だが、俺はピンと来ず、アスナからそう言われてしまった。確かに事実ではあるが・・・

 

「アスナから声を掛けようとは思わなかったの?」

「うーん・・・同じギルドメンバーだからって、声を掛けたからって、向こうにとってはいいことだとは言えないじゃないかって思って・・・」

「・・・まぁ、SAOのことを思い出したくないって人も少なくないだろうしな・・・」

 

ユウキの質問に、アスナと俺はそう答えた。あの世界には、確かに良い思い出もあったが、それが全プレイヤーそうだった、とは言えないのが現状だ。アスナの考えはある意味正しいことだろう。

 

そうこうしている内に、呼び出された案件・・・ユイちゃんが発見した重大な事実の発表が始まった。

 

「これを見て下さい。ボスモンスターは今のところ毎日21時に出現しています」

 

そう言って、現実世界の地図を指さしながら、ユイちゃんが説明を続けていく。

 

「ここ秋葉原UDXが、先日パパとママが『カガチ・ザ・サムライ・ロード』と戦った場所です。そして、ここ代々木公園が昨日ママが戦っていた場所です・・・今まで出現した他の9体のボスもプロットします」

 

その言葉と共に、地図にこれまで出現したボスの位置情報が表示された。

 

「これに、旧アインクラッドの平面図を重ねます・・・すると、」

「これは・・・」

「旧アインクラッドの迷宮区と、イベントボスの出現場所がピッタリ重なっているじゃない!?」

 

俺とリズがその事実に驚きの声を上げた。ほとんどの位置が一致しているのだ。これが偶然だというのは、無理があると思う程だ。

 

「正確には、迷宮区と重なる座標の、最寄りの広場や公園のようですが・・・それも含めて、予測は可能です。今夜の21時には、渋谷区の恵比寿ガーデンプレイスに出現すると予測されます!」

「場所があらかじめ分かっていれば、私も参加できますよ!」

「夜になっちゃうけど、大丈夫?」

「みんなと一緒なら、大丈夫、大丈夫!VRだと親に文句言われるのにね・・・」

「私はその時間バイトがあるからちょっと難しいかな」

 

ユイちゃんの解析と予想に全員がオーディナル・スケールへの参加に乗り気になっている中、俺はユイちゃんの解析について、考えていた。

 

(あれは本当に偶然なのか?そもそも、SAOを管理していたアーガスは解散し、それを引き継いでいたレクト・プログレスも今はない・・・それなのに、一体どこから、SAO時代の迷宮区の情報を入手したんだ?)

 

あまりにもできすぎた話に、俺の頭の中でオーディナル・スケールに関して、何か違和感を感じ始めていた。それが何なのか、考えていると・・・

 

「・ォン!フォンってば!」

「っ・・・ユウキ?」

「もう!ボーとして、どうしたの?」

「悪い・・・ちょっと考え事してた。えーと・・・確か、今日のオーディナル・スケールに参加するかどうか、って話だよな?」

 

考えごとをしながら、中途半端に聞いていた話に意識を戻し、参加すると答えようとした時だった・・・キリトと目が合ったのだ。その目を見た俺は・・・

 

「・・・悪い。俺も、今回はパスにしとくわ」

「えっ?アンタも参加しないの、フォン?」

「ああ。ちょっと急用ができてな。ユウキは参加するんだよな?」

「う、うん・・・」

「悪いんだけど、今日は電車で行ってくれるか?アスナ、ユウキのこと頼んでいいか?」

「う、うん。分かった」

 

シノンの驚きの声に理由を述べながら返し、参加する気だったユウキのことをアスナに頼んだ。

 

「バイク・・・」

「・・・よーし!ユナちゃんの前で、私たちの華麗なパーティプレイを見せてやろう!」 

「「おーーー!!!」」

 

残念がるシリカの小声を、またしても俺とシノンだけが拾っていた。そして、リズの掛け声と共に、SAOガールズが気合を入れるのであった。

 

「ところで、クラインの奴は?」

「さぁ?今もどこかでオーディナル・スケールにのめりこんでるじゃないの?」

「そうそう・・・昨日バトル前に見かけたけど、結局参加してこなかったよ。ねぇ?」

「ああ。確か、風林火山のメンバーが一人来るのを待ってから参加するって言ってたんだけどな」

「それに、帰り道じゃ見かけなかったから、僕たちも不思議に思ってたんだ」

 

キリトの言葉で、クラインに話が移った。シノンの推測に答えるアスナ。俺とユウキも昨日の出来事を伝えた。

 

「ARバトルは現地集合しないといけないから、ちょっと面倒よね?」

「まぁ、そこがVRとARの違いの一つとも言えるしな」

 

シノンの言葉に、俺も頷きながら賛同する。すると、

 

「待ち合わせと言えば、流星群を見に行く時の集合時間も決めておかないとですよね!」

「「「「!?」」」」

「ちょ、ユイ!シーー!!」

「???」

 

ユイちゃんの爆弾発言に、キリトの嫁たち&ユウキが反応した。慌てて、キリトが制止をかけるも、ユイちゃんはよく分かっていないようだった。シノンから物凄い目で見られるキリト。そこにリズが助け船を出した。

 

「まぁまぁ。今夜の打ち合わせをしましょう!」

 

そう言って、話を今夜のボス戦へと切り替えてくれた。すると、キリトがユイちゃんを伴って、外のバルコニーへと出ていくのが見え、後を追った。

 

「キリト」

「・・・フォン。さっきのは悪かったな。本当は、フォンも参加するつもりだったんだろう、今日のボス戦?」

「・・・まぁな。けど、お前も何か引っかかることがあったんだろう?」

 

俺の言葉に、キリトも真剣な表情へと変わった。おそらく、キリトも同じ疑問を感じていたんだろう。さっきのアイコンタクトから、キリトの考えをなんとなく読み取った俺は、理由をテキトーにつけて、参加しないと言ったのだ。ユウキには悪いと思ったのだが・・・

キリトがあんな表情をするには、それなりの訳がある・・・そう思い、話を聞きに来たのだ。

 

「フォン。ARに・・・オーディナル・スケールに幽霊がいると思うか?」

「・・・詳しく聞かせてくれ」

 

キリトの真剣な口調から、冗談ではないと悟った俺は詳しく話を聞くことにした。

キリトが出会った、フードの少女の話を・・・その少女が、「探して」という言葉をキリトに託したことを・・・

 




SAO事件記録全集・・・フォンは菊岡から受け取って、読んだ瞬間、即効処分を決意しましたが、まさかのユウキにバレ、恥ずかしさで死にそうになった・・・という裏設定があります。

ここら辺も短編か何かで書けたらと思ってます。

それでは、次回でお会いしましょう!

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