そして、タイトルが一番思いつかなかったお話になります。副題つけるのが、オーディナル・スケール難しい!?
そんなかんやで、第4話です。どうぞ!
追記 もう1つの小説、投稿開始しました。
メインの更新はこっちですが、そちらもお読み頂けると嬉しいです・・・あれ、なんか宣伝っぽくなってしまった(^^;
「いないな・・・」
「・・・悪い。こんな時間まで付き合わせちまって」
「気にするな。とりあえず、休憩といこうぜ?」
和人から幽霊の話を聞いた俺は、和人と共にこれまでボスが出現した場所を巡っていた。もしかすれば、件の幽霊が現れるかもしれない。和人と合流する前に、俺も調べてみたのが、どうやらイベントボスが出現した場所で、似たような目撃情報があったようだ。そういうことで、新宿都庁前、新宿TOHOシネマズ前のゴジラロード、六本木ヒルズなどなど、色々と巡ってみたのだが、全て空振りに終わってしまったのだ。
最後に訪れた、北の丸公園・・・もう既に日は沈み、これ以上は厳しいと思い、俺たちは休憩も兼ねて、自販機で飲み物を買うことにした。
「えーと・・・蓮はどれにする?」
「そうだな・・・紅茶でたの・・・和人!」
「えっ?うわぁ!?」
「!!!」
和人の質問に答えようとして、気配がした方を振り向くと・・・フードの少女・・・件の幽霊がすぐ傍にいた。和人も、俺の声に気付き、大声を上げた、その声に驚き、少女もしりもちを着いてしまった。
「ようやく会えたな?」
「君が・・・和人の言ってた、幽霊・・・」
「・・・私を探してたの?」
俺達の言葉に、少女は少し警戒しながらそう答えた。俺と和人は目線を彼女に合わせるために、しゃがんで話を続けた。
「・・・どうやら幽霊じゃないみたいだな」
「君は・・・一体誰なんだい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
だが、俺たちの言葉を無視し、少女は橋の方へと歩き始めた。それを慌てて、追いかける。
「君の名前は?俺に何かを探してほしいのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
和人の言葉に何も答えず、少女はある方向を指さした。そして、その姿がブレ、彼女は消えてしまった。俺と和人は声をかけることもできなかった。
「消えた・・・?」
「・・・和人。今のが?」
「あ、ああ・・・うん?ちょっと待ってくれ。エギルからだ」
そう言って、和人はスマホを取り出した、どうやら、エギルさんから電話がかかってきたようだ。
「もしもし・・・・・・ああ、悪い、悪い。運転中だった。あっ、ちょっと待ってくれ。蓮も一緒にいるんだ。スピーカーモードにする」
そう言って、和人が電話をスピーカーに切り替えてくれた。
『おう。蓮も一緒だったか』
「ええ。それで、どうしたんですか?」
少し焦ったようなエギルさんの声に俺は要件を尋ねた。
『和人からクラインの行方を聞かれててな。夕べから、代々木の病院に入院してたぞ!腕の骨を折っちまったらしい』
「何だって!?事故にでも逢ったのか?」
「ちょっと待った・・・代々木って、昨日のボス戦の・・・!?」
『ああ。なんでも、そのボス戦に向かう前にトラブル前に逢ったらしい』
「わ、分かった。詳しいことが分かったら、教えてくれ」
『おう。お前らも、バイク気を付けろよ』
そう言って、通話が終わった。だが、俺と和人は思わず、顔を見合わせていた。
『パ、パパ・・・フォンさん』
「和人・・・菊岡さんなら、何か分かるんじゃないか?」
「・・・そうだな。すぐにメールを送ってみる」
俺の提案に、すぐに和人がメールを打ち始めた。スマホの時間は20時半を少し過ぎたころだった。
〈Yuuki View〉
(蓮・・・何があったんだろう・・・?)
明日奈たちと合流し、オーディナル・スケールのボス戦が始まるのを待っていた。だけど、僕の頭の中は、今日、参加しないと言った連のことでいっぱいだった。
なんとなくだが、蓮が今日参加しないといった理由が嘘だと思ったのだ。和人とアイコンタクトを取った後、蓮の顔が普段と違うと思ったからだ。いつもは優しい蓮の顔が・・・少し怖く見えたんだ。
(・・・大丈夫だよね、蓮)
僕の勘は当たらない方なのだが、何故か嫌な予感がしていた。すると、
「そろそろだよ」
明日奈の言葉に、思考の海から意識を戻した僕は時計を見た。時計が9時を示し、周りがARの風景へと変貌していった。そして、広場の中央にヤドガリのようなボスモンスターが現れた。そして、
「みんな!準備はいい?さぁ、戦闘開始だよ!ミュージックスタート!」
「あっ、ユナ!」
「良かったわね!シリカ、ユウキ!」
「う、うん・・・」
ユナちゃんが現れ、シリカが喜びの声を上げた。リズの言葉になんとか普通に答えるも、ちょっとぎこちなかったかなと思った。
(駄目だ!駄目だ!・・・今は、目の前に集中しないと!)
「さぁ!ポイント稼ぎに行きますか!」
「「「おおう!!!」」」
意識を切り替えた僕は、リズの掛け声にみんなと一緒に応えた。そして、ボス戦が始まった。
〈Yuuki View End〉
菊岡さんからの返信を待ってる間、今日のボス戦が気になった俺たちは、急ぎ恵比寿へと来ていた。走りながら、オーグマーを装着し、あの言葉を言う。
「「オーディナル・スケール、起動!」」
俺と和人の姿が変わり、景色がAR空間へと変わる。そのまま、俺たちは柱の影から、ボス戦を観察していた。どうやら、リズがタンクを担当し、ユウキたちが側面から、ダメージを与えているようだった。そして、今回もユナが応援に来ているようだった。ユナを見た時、
(あの娘、どっかで・・・?)
以前見た時と違い、俺はどこか既視感を覚えていた。
(以前、第2位のプレイヤーを見た時と同じ感覚・・・ということは、彼女ともSAOで・・・?)
そんなことを考えている時だった。残り時間が3分を切り、一斉攻撃を仕掛けようとした時だ・・・ユナの曲が変わった。だが、変わったのは、それだけではなかった。
「キリト!見ろ!」
「あれは・・・ピナ?」
フィールドに光の柱が出現し、そこに俺達がよく知る、フェザーリドラのピナが出現した。珪子が近寄っていき、声を掛けているようだったが、どうやら様子がおかしかった。そんなことを考えていると・・・
『GWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
「「っ!?」」
ピナによく似た小竜は、赤銅色の鱗を持つドラゴンへと姿を変えた。いきなりの出来事に俺と和人は驚くしかなかった。
『パパ!フォンさん!あれは、91層のボスに予定されていた『ドルゼル・ザ・カオスドレイク』という名のモンスターです!』
「91層!?」
「くそっ!行くぞ、キリト!」
ユイちゃんの解説に、俺と和人は、タゲられている珪子を助けるため、広場に降りようとした。だが、広場へとつながる階段は観客と、逃げ出すプレイヤーとでごった返しになっていた。
「くそっ!?」
「・・・!キリト、先に行くぞ!」
俺は階段の柱に飛び乗り、一気に下って行った。そのまま、広場に着地し、珪子の元へと駆け寄ろうとした。91層のモンスターは珪子だけを狙っていた。そして、珪子がぶつかったプレイヤー・・・2位のプレイヤーが珪子を無慈悲に突き飛ばした。
「「シリカ!!!」」
不味いと思い、俺は更にスピードを上げた。これなら、間に合う・・・俺が必死に珪子の元へと駆け寄ろうとしていた時だった。殺気を感じ、咄嗟に剣を構えた。その瞬間、俺目掛けて剣が振るわれていた。
「っ!?邪魔するなぁ!!!」
「・・・残念ながら、あなたをここで通すわけにはいきません」
「!?その声・・・君は!?」
襲撃者に怒気を飛ばすも、その声に聞き覚えがあり、顔を確認すると・・・今朝、稽古を共にした、後沢尚也・・・彼が俺に剣を振るった人物の正体だった。俺がその事実に驚いていると・・・
「余所見をしてていいですか?」
「しまった・・・!?」
その言葉に、我に帰った俺は珪子へと視線を戻した。その時、見たのは・・・
「シリカちゃーん!!!」
珪子を庇い、明日奈がボスモンスターの一撃を受け、ゆっくりと倒れていくシーンだった。
「・・・アスナァァ!?クソ!どけよ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺の力任せの一撃を、尚也は冷静に受け流した。どうやら、俺を進ませてくれるつもりはないらしい。明日奈の方は和人と木綿季が駆け寄っていた。和人が2位のプレイヤーに詰め寄っているのを、横目に確認しながら、俺は尚也へと視線を戻した。その時だった・・・
「残念!」
「っ!?」
ユナの言葉と共に、ボスモンスターが撤退を始めた。どうやら、時間切れになったらしい。その瞬間、尚也が剣を降ろし闘気を消した。
「・・・今日はここまでか・・・」
「・・・っ、待て!?」
そう言い残し、尚也は速足にその場を後にしようとした。俺は奴に詰め寄りたかったが、明日奈のことが心配でそちらを優先することにした。明日奈の元に駆け寄ると、皆が既に集まっていた。
「アスナ、大丈夫?」
「・・・う、ううん・・・」
里香の掛け声に、明日奈は辛そうに、だがゆっくりと頷いた。どうやら意識はあるようで、ホッとした。すると、
「残念。今日はお預けね?それじゃ」
ユナが明日奈にそう言ってから、姿を消した。
「すみません、アスナさん。あたしがヘマしちゃったせいで・・・」
「あのナンバー2の奴に突き飛ばされたでしょ!?なんなのあいつ?」
「ああ。でも、流石はアスナだったよな。流石は血盟騎士団の副団長さんだったな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、アスナ・・・どうしたんだよ、アスナ?」
和人の声が聞こえてない様子の明日奈に、違和感を感じ、俺が声を掛けた。
「アスナ・・・本当に大丈夫か?」
「えっ?う、うん・・・本当に大丈夫だよ・・・!」
そう言って、明日奈は少し笑みを浮かべていた。すると、木綿季の声が聞こえないと思い、彼女の姿を探すと、沈んだ表情をしていた木綿季がいた。
「ユウキ・・・」
「あっ・・・フォン。アスナ・・・本当に大丈夫かな?」
「ああ。今のところは外傷とかもないみたいだしな・・・」
「う、うん・・・」
(・・・かなり気にしちまってるな)
木綿季の反応から、明日奈が今の状態になってしまったことをかなり気にしているようだった。ともかく、今日は解散とのことで、俺たちはその場で別れたのだった。
「木綿季、ちょっといいか?」
「えっ・・・う、うん・・・」
家に戻り、先に風呂に入った俺は、風呂から上がった木綿季に声を掛けた。木綿季は、まだ先ほどのことを気にしているようで、元気がなかった。
「さっきのこと・・・あれは木綿季のせいじゃない」
「・・・・・うん」
「・・・なぁ。俺の考えが違ってたら、謝る・・・もしかして、何か他に気にかかることがあったのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は、木綿季が元気がない理由が他にあるのではないか・・・そう思い、木綿季に思い切って、尋ねてみた。木綿季は黙ったままだったが、俺は木綿季が話し始めてくれるまで気長に待つことにした。そして、木綿季がゆっくりと話し始めた。
「あの時・・・明日奈がボスモンスターの攻撃を受けた時ね・・・僕、思い出しちゃったんだ。姉ちゃんの時のことを・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
木綿季の言葉を黙って、聞き続けた。ポツリ、ポツリと語る木綿季の言葉を待った。
「僕、怖かった・・・また、大事な人がいなくなるんじゃないかって!明日奈が、死んじゃうんじゃないかって!?ぼく・・・!?」
「・・・木綿季」
これまで我慢していたのだろう・・・涙を流し始めた彼女を優しく抱きしめた。その涙が、声が止まるまで、ゆっくりと抱きしめていた。
「・・・もう、大丈夫か?」
「・・・・・うん」
落ち着いた木綿季の頭を優しく撫でながら、そう問いかける、まだ覇気がないが、少しは元気を取り戻したようだ。
「ゴメンね。心配かけて・・・」
「いいや。むしろ、こうやって打ち明けてくれただけ、嬉しいよ」
「・・・明日奈、本当に大丈夫かな?」
「・・・・・ああ」
木綿季の言葉に、俺はそう答えることしかできなかった。SAOの旧ボス、第2位と尚也の目的、明日奈や遼太郎さんに起きた出来事・・・何かが確実に動き始めている。だが、それが何か分かっていない俺は、はっきりと答えることができず、自分の無力さを悔やんだ。
「・・・ねぇ、蓮。今日、眠れるまで・・・抱きしめてくれる?」
「ああ。いいよ」
木綿季のお願いに、俺たちはベッドに入り、眠くなるまで話をし続けた。
翌朝・・・和人からの連絡を受けた俺達は、すぐさま倉橋先生のいる横浜港北総合病院へと向かった・・・明日奈がSAOの記憶を失ったというのだ。
ちょっとしたシリアスとイチャイチャ回でした。
このお話でユウキにあんな表情をさせたことが、フォンの逆鱗に触れることになります。
ユウキにとって、フォンやアスナが傷つくことは、自身が傷つくことよりも辛いことです。これは、アリシゼーション編にも影響しています。
次回更新 4日0時予定
まだ構想段階ですが、番外編でアリシゼーションの前日譚になる『バーサス』のお話を書こうかと考えてます。フォンの相手はどういった相手がいいでしょうか?(アクセル・ワールドのキャラはなしの方向で考えてます。アリシゼーション編に登場する武器に関連した相手を想定しています)
-
日本刀を使う『麒麟児』と呼ばれた青年
-
ガンダムの力を身に纏い、世界を救った少年
-
霊刀に選ばれた『鬼神』の覇気を持つ少年
-
別作品の『二人で一人の仮面ライダー』
-
全部(作者が死にます)