本編のオリジナル設定に関してや、作者が映画しか見ずに書いたツケを禊いだり、色々と触れてはいけない点に触れたりなど、いつも通り安定(?)の混沌となっております。
…べ、別に評価が下がったことなど気にしてませんから……!
と、強がりたいところですが、結構心にダメージ負ってたりします(苦笑)
そんなこともバネに変えようという感じで、WoUを書き始めたところです。
それではどうぞ!
「みなさん、こんにちは!そーどあーと・おふらいん おーでぃなる・すけーる編の時間です!司会のユウキです!」
「解説のフォンです。どうぞ宜しく」
オーディナル・スケール仕様へと彩られたいつものセットの司会席…オーディナル・スケールのバトルスーツ・バトルドレスへと身を包んだユウキ、フォンの挨拶と共に番組がスタートした。
「この番組はオーディナル・スケール編における裏話や設定に関して、本編で語り切れなかった部分をお伝えする懺悔回です!」
「…ああ。遂にユウキまで懺悔なんて言葉を使うようになってしまうとは…この番組に毒され過ぎだろう」
元気よく番組趣旨を説明するユウキの姿に、思わず頭を抱えてしまうフォン。開始早々から彼の胃が心配だが、お決まりのパターンなので彼には耐えてもらうしかないだろう。
「さて、今回のゲストはもちろんこの人!ARアイドルのユナちゃんです!それでは登場してもらいましょうか、どうぞ!」
「君のメモリーにユビキタス!…こんにちは!ユナで~す!!」
「キャー!ユナちゃん!!」
持ち歌のフレーズと共に現れたユナの姿にユウキのテンションが一気に上がる。
「フフッ。こんにちは!」
「こ、こんにちは!あ、あのあの!?もし良かったら、ボクのオーグマーにサインと、ツーショットをお願い…」
「あー!夢幻の戦鬼だ!」
「えっ…?!」「えっ!?」
ユウキの言葉を遮り、ユナはなんとフォンの眼前へと移動し、その手を取ったのだ。いきなりのことにフォンも驚き、ユウキの表情が固まる。
「本編だと黒の剣士としか絡みがなかったから、貴方とこうして話してみたいと思ってたんだ!夢幻の戦鬼のフォンだよね!」
「あ、ああ…そういえば、ユナと話したのも悠那としての意識が君に反映されていた時だったか」
「そうそう!あの黒の剣士と共に鋼鉄の城を登り続け、あの神までもが存在を知らなかったウルトラユニークスキル『幻想剣』の担い手で、全ての武器を変幻自在かつ超絶技巧で使いこなしたもう一人の救世主!
決め台詞は、『無限の武器を操る彼に、全ての敵は為すすべなく、蹂躙されていった』…だったわよね!」
「い、いや…それは誤解だ!?俺はそんなことを言った覚えはないし、そもそも夢幻の戦鬼という二つ名も俺から名乗ったわけじゃない…!?」
過大評価に加え、ユナの放った言葉に流石のフォンも慌てて否定するも、どういうことかと眼前のユナは首を傾げながら、頭に疑問符を浮かべていた。
「…そうなの?でも、エイジやカレットが読んでいた本にはそんな感じで書いてあったよ?」
「あー…『SAO事件記録全集』のことか…あれはボス攻略の日時や出来事についての記載は確かに正確なんだけど……登場人物に関しては、特定を避けるためにかなりの脚色が加えられているんだ。防衛省の菊岡さんがその辺りは徹底させたと言ってたからな」
「じゃあ、黒の剣士が二刀流だとか、閃光と呼ばれた血盟騎士団副団長が攻略の鬼と恐れられたのに、フロアボス部屋から逃げ出したっていうのも違うの?」
「いや、それは両方とも事実だぞ?多分74層のことを言って…あれ、メールだ。誰から…ひぃ!?」
ユナにそう問われて、その通りだと答えたフォンだったが、番組公式アドレスに届いたメールを見て、思わず悲鳴が出てしまった。なぜなら、
『フォン君 番組が終わった後、背後に気を付けた方がいいと思うよ? A』
…おそらく件の水妖精さんからのメールだと直感したフォンは戦慄した。思わず、助けを隣にいるユウキに求めようとしたが、
「な、なぁ、ユウキ…こんな悪戯メールがき…ひぃぃぃ!?」
そこには修羅がいた…ヒロインがしてはいけない顔かつ発してはいけないオーラを放つ絶剣が腰に差している片手剣へと手を掛けていた(彼女の名誉のために詳細な描写を避けております。ご容赦ください!)
その背後には両腕で二本の刀を持つ般若が控えているような幻覚を見たフォンは思わず後退った。
(このままでは殺される…!?)
全身のあらゆる警鐘が鳴り響くフォンが冷や汗を流し続けるが、そんなことなどお構いなしにユウキが(目が笑っていない)笑顔で口を開いた。
「ねぇ、フォン?」
「ひゃ、ひゃい!?」
「楽しい?ボクの前であのユナちゃんといちゃつくなんて…ただでさえ、アリシゼーション編でボクの出番激減してて、幽霊ヒロインとなろうとしているのに、彼女を差し置いてアイドルと…しかもどこか嬉しそうだし、顔も少し赤くなってるし……へぇ…ふーん……」
「っ…!?っ…!?」
「…ちょっとセット裏で話そうか…ね?」
「…ひゃい…」
拒否権はないと悟ったフォンはユウキの言葉に唯々頷くことしかできなかった。二人の険悪な雰囲気に流石のユナも慌てて間に入ろうとするが…
「ちょ、ちょっと待って!?二人とも喧嘩は…!?」
「喧嘩じゃないよ?お説教してくるだけだから」
「い、いや…それは…」
「お説教だよ?じゃ、ちょっと待っててね、ユナちゃん」
「えっ、ちょ……行っちゃった」
有無を言わさずフォンを連れて行ってしまったユウキ…止めることが叶わなかったユナはスタジオに一人残され、思わず呆然としてしまう。そして、5分程時間が経った…
「……えへへへ!」
「……はぁぁ…」
帰ってきた二人の様子はどこか可笑しかった。先程まで病む一歩手前だった筈のユウキは顔を真っ赤にし、嬉しさを隠しきれない様子であるのに対し、フォンの方はかなり疲れ切った様子を見せていた…どこかやつれているようにも見えるのは気のせいだろうか…
そんな二人の様変わりにユナは驚き、慌てて何があったのかを尋ねるのだが、
「さ、さっきの時間で何があったの?今、ユウキさんがフォンをとても公の場では表現できないようなことをしそうな勢いで連れて行ったのに…!?」
「エヘヘ…秘密です!」
「…聞かないでくれ…」
「本当に何があったの…!?」
序盤から収集がつかなくなりそうな危機だったが、ユウキの機嫌が直ったことでようやく進行が再開するも、ユナの頭には大量の疑問符が浮かぶのだった。
ちなみに、セット裏で何が行われていたのかというと…ユウキの狂気が発動する前に、フォンがユウキを壁ドンし、キスできそうな距離にまで顔を近づけた上で、あらゆる甘い言葉を投げ掛け続けたからである……尤も、帰った後も甘える約束を取り付けられてしまったのも大きいが、それがどんな内容なのかはフォンの様子から察してほしいところだ。
「…さて、話が大きく脱線したが…とりあえずプレイバックのコーナーだ。今回はオーディナル・スケール全編を通して、気になったところをピックアップするぞ」
「オリキャラとか描写がなかったことについて補足していく形だから、ユナちゃんも遠慮なくコメントしてくれればいいからね!」
「もちろん!任せてよ!」
「それじゃ、まずは第1話からこのシーンだ」
〈フォンとユウキ、倉橋医師にオーディナル・スケールに参加していいかどうか、許可をもらいに行くシーン〉
「病院…?ユウキさんって、どこか体悪いの?」
「ううん。今は元気満々だよ!でも、少し前まで入院していたからさ…VRと違って、体をかなり使うARはボクも未経験だったから、お世話になっている先生に確認しておいた方がいいって、フォンと話し合ったんだ」
「流石に退院してから日も浅かったからな…流石にそんな人がいきなりARMMOに挑戦するのは、小説的にもどうなんだと作者が思った結果がこうなったんだ」
本編の活躍からとても病院に許可を求める必要がないと思っていたユナの疑問にユウキとフォンが苦笑しながら答える。流石のユウキも自身が罹患していた病気については答え辛かったようで、敢えてそれ以上は触れようとしなかった。
「それにしても、黒の剣士はモテるんだね…みんなでバイクの後ろ席を争うなんてね…フォンはそういったことはないの?」
「えっ!?あ、あー……」
「…(ジーーーーー)」
「…ノーコメントで…」
「えー…!気になる!気になるーー!」
「ええい!?俺の女性関係はどうでもいいだろう!?ほら、次に行くぞ、次!?」
隣の彼女の視線に耐え切れず、言葉を濁すフォン。アリシゼーションの一件からとても潔白だとは言い切れないフォンは、ユナの追及を半ば強引に振り切り、次のプレイバックコーナーへと話を移した。
〈オリジナルキャラ カレットについて〉
「……カレット……」
「…ユナはカレットとどんな感じだったんだ?」
「あんまり話したことはなかったかな…でも、エイジと同じように私に優しくしてくれたよ?私が悠那のデッドコピーだと知っていても、人間と変わらない様に接してくれたわ。でも、いつも悲しそうな表情を浮かべていて…エイジや私を見て、どこか泣きそうな表情をしていたかな……」
当時の彼らのことを知っているユナは、フォンの思い切った質問にそう答えた。それを聞いた司会二人も表情が沈んでしまう。
「今回、カレットが登場したのは『もしエイジや重村教授が万が一を想定して、現実世界での戦闘経験が高い味方を引き入れていたら』という理由からだったんだよな。もちろん、ただ登場させるだけではあまりにも適当すぎるから、闘う理由として、『兄の狂気を理解しながらも、それを受け入れる弟』という形で俺と闘うことになったんだよな」
「…フォンが剣道の経験があるといっても、途中まで圧倒してたもんね。ある意味、執念…ううん。お兄さんのエイジを想って、その罪を共に背負う覚悟をしたからあそこまで戦えたんだね」
「……でも、どんな理由があっても、エイジやカレットがしたことは駄目だよ。そのせいで、アスナさんだけでなく、たくさんの人が傷ついたから…」
流石のユナも、エイジとカレットのしたことは許されないことだと言葉にする。その表情はとても辛そうなものだった。
「一応、後日談でもある『コーディアル・コード』でキリトから要請を受けて、彼らと共闘したんだ。その時には二人ともしっかりと前を向いていけるようになっていたと思うよ…ちなみに、エイジの方にはお兄さんがいるという原作設定がありますが、本作ではそんなお兄さんはおらず、エイジ・カレット共に母親に引き取られたという設定です!」
「アハハ…作者がアニメしか見ずに書いた弊害がここに出てきた所存だね」
しんみりした空気を打破すべく、ワザととんでもない事実を暴露するフォン。ユウキもそれを察してフォローに入る。そのまま話をカレットの実力へと話を移していく。
「う~ん…こう見ると、カレットって本当に強かったんだね!エイジはズルしてたけど、彼は特殊なパワースーツなしでフォンと互角に戦っていたんだね」
「それに、カレットは全国大会に出場する程の剣の腕を持っていたからな。あの時の闘いはどっちが勝ってもおかしくはなかったと思う」
「フォンがそこまで言うなんて…VRならともかく、ボクだと流石にきつかったかな…アスナをあんな酷い目に遭わせたんだから、ボクが…と思ってたんだけどな」
「まぁまぁ…」
「そういえば、アニメだと私やエイジもアリシゼーションに出てたけど、この作品だとどうなるのかしら?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
フォンに宥められるユウキだったが、ユナからのぶっとんだ質問に二人してその動きが止まる。
「……えー、要検討中…と作者からメールが届きました」
「一応前向きには考えているみたいなんだって…」
「…そうなんだ!なら、出られることを楽しみにしてるね!」
((言えない…!もしかしたら出さないかもしれないという選択肢が作者の中にもあるとは絶対に言えない?!))
ユナの純粋な笑みを守るために、そのことだけは黙っておこうと決めた司会の二人だった。そんなこととは露とも知らないユナの笑顔を見ながら、次の場面…第6話へと話は移った。
〈フォン、オーディナル・スケール前にユウキといちゃつくシーン〉
「ちょ…!?」
「なんでこの場面が!?」
「スタッフ!?頼むから、早く画面を消してくれぇぇぇ!?」
まさかのいちゃいちゃシーンがお茶の間に流され、赤面しながら慌てるフォンとユウキ。映像が消えるも、ユナが追及しないわけがなく、
「…今のって、フォンがユウキさんをベットに押し倒してたよね?」
「あー!?あー!?何のことかなぁ!?」
「それでユウキさんも満更でも嬉しそうにしてて…」
「あわわ!?あわわわわ!?何でもない!何でもないから!?」
「しかもキスまでして…そのまま抱き合って…」
「ストップ!ストップ!?それ以上、解説しないでくれ!?」
「本編だとそれ以上は書かれてなくて、読者の予想にお任せしますみたいな感じだったけど……もしかして、キリトとアスナさんみたいに二人も…」
「ユナ」「ユナちゃん」
「「それ以上踏み込むというのなら、こっちも容赦しないよ?」」
「あっ……でも、気になるし…」
「もしこの先を聞きたいと言っていうなら、選択肢は『デス』か『デリート』しかないけど、いいのかな?」
「………いえ、やっぱり止めときます」
フォンの脅迫……もとい、明らかに冷えるような声音の回答に流石のユナも引き下がった。司会陣二人とも全く目が笑っていなかったので、分が悪いと思ったのだ。
ちなみに本作ではフォンが紳士(という名のヘタレ)なので、現実世界ではまだ二人はそこまでの関係に至っていない。そう…現実世界ではまだである!(大事なことなので二度言いました)
そのまま話題を逸らすためにフォンはユウキのお泊りに関して、話を振った。
「そういえば、アスナの家にお泊りに行ったんだよな、ユウキ。もう結構な頻度で行ってるから、そろそろお泊りセットとか置いてもらった方がいいぐらいかもな」
「あっ、それならこの前にアスナとお買い物に行った時に買ったよ?」
「…そ、そうなんだ。いつの間に…」
「アスナさんの服装もそうだったけど、ユウキさんの服もオシャレだよね?ボーイッシュって感じで私好きだな!あれもフォンがセレクトしてるの?」
「いや、ユウキの服に関しては、ユウキが選んだものとか、俺の母さんが時たまに送ってくれるものとかだな」
「フォンのお母さんがデザイナーで、色々な服を送ってくれるんだ!」
「へぇ…それじゃ、コスプレとかも送ってくれたりもするの?」
「「っ……それはないかな」」
「…?どうしたの、二人とも?」
メイド服からナース服にくノ一…これまで計8種類のコスプレが送られてきたとは口が裂けても言えないフォンとユウキの様子がおかしいことに首を傾げるユナだったが、それ以上は追及することはなく、話は次のプレイバックの場面へと移った。ちなみに、メイド服を着た時点で(理性とか色々な物が危険になった)コスプレたちはフォンにより封印されたとか…
〈アインクラッド100層のラスボス戦〉
「この時のみんな…本当にカッコ良いね!私も歌で応援したかったな…!」
「確かオーディナル・スケールだと、ユナの歌によるバフ効果は攻撃力・防御力・HP最大値アップだったよな?VRだと他の追加効果もあったりしたかもしれないな」
「…フォン。またいつもの研究癖が出てるよ?」
「…はっ…!悪い…」
慣れた手つきでフォンにツッコミを入れるユウキの姿を見て、ユナも苦笑を禁じえず、笑ってしまっていた。そのまま画面はフォンたちがSAOやALOといったアバターへと姿を変えるシーンになる。
「あれがSAO時代のフォンやキリト…夢幻の戦鬼や黒の剣士の姿なんだね」
「あの時はボスを倒すことで精一杯になってたけど、SAO時代のフォンの姿を見られるチャンスだったと思えば、もう少しよく見とけば良かったかな…」
「ア、 アハハ…まぁ、ALOだとどうしてもアバターの関係で、防具が似てても結構容姿
が違うからな。オーディナル・スケールのバトルスーツ・バトルドレスもいいが、やっぱりあの恰好が一番馴染んでる感じは否定できないな」
感慨深く頷くフォンにユウキとユナは「へぇ~」といった感じに話を聞いていた。
「そういえば、ユウキはともかく、SAO時代のアスナがOSSである〈マザーズ・ロザリオ〉を使用できたってことは、あの時のアスナは無自覚で心意の力を応用してたってことなんだよな…キリトはヒースクリフや世界樹のグランド・クエスト、死銃戦で、俺も死銃と化したキバオウとの闘いで無自覚で使用したけど、アスナは3人目ってことになるんだな」
「ちなみにこの時のフォンって、SAOのアバターデータだから、いつもALOで使ってるスキルコネクトじゃなくて、武器単発で発動できるスキルチェインで硬直なしのソードスキル連続使用をしてるんだよね?」
「ああ。久々でぶっつけ本番での使用だったが…意外に体が感覚を覚えてるもんだな。すんなりと成功できたからホッとしたよ」
当時のことを思い出しながら、安堵するフォン。フォンとキリトが現実世界に出現し、オーディナル・スケールのボス群を一層するところで映像は終了し、プレイバックのコーナーは終わりを迎えたのだった。
「それでは次のコーナーに行きましょう!お次はフォンのお悩み相談のコーナーです!」
ユウキの紹介コールと共に拍手(のような効果音)が鳴り響き、フォンがコーナーの紹介へと移る。
「このコーナーでは番組に届けられた視聴者の皆様からの質問に、俺…フォンが答えていくコーナーだ。ゲストのユナからも何か意見があったら、遠慮せずに発言してもらっていいからな」
「うん!任せといて!」
「それでは、最初のお便りです!ペンネーム『漆黒の剣士K』さんからです」
「…って、おい!?隠す気ゼロだろ、あいつ!?」
ユウキが読み上げたペンネームに、どこぞの黒の二刀流剣士であることを確信したフォンが思わずツッコミを入れるが、ユウキは構わず先を読み続ける。
「『最近、知り合いの女性たちがバイクの後ろ席を巡って火花を散らしております。自分的には、できれば付き合っている彼女だけを乗せたいのですが、どうすればいいでしょうか?』……だって」
「う~ん…世の中にはキリトみたいな人が沢山いるんだね?」
「そうみたいだね…でも、ボクとしてはこの漆黒の剣士さんの気持ちもちょっとは分かるかな。フォンはどう思う?」
「(えっ!?嘘だろう、二人とも気付いてないのか…!)あ、あー…そうだな」
ユナとユウキが差出人に全然気が付いていないことに驚きながらも、フォンはなんと答えたものかと考える。
「…やっぱりビシッと言うしかないんじゃないか?まぁ、キリ……漆黒の剣士さんも他の女友達に遠慮してるから言い辛いとは思うが、時には言うことも大事だと思うぞ……但し、その他のことをねだられることもあるかもしれないから、そこは覚悟しとくべきじゃないかな?」
「お~…流石は夢幻の戦鬼!はっきりと言ったね!でも、皆どうしてバイクの後ろに乗りたがるのかな?」
「えーっとね、ユナちゃん…女の子だったらね、好きな人のバイクの後ろ姿には座りたいものなんだよ?」
「そうなの?」
「うん、間違いないよ!」
「なら、フォンのバイクの後ろはユウキ専用ってわけね!」
「えっ!?あ、あー…そ、そうだね…!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ユナの真っ直ぐすぎる言葉にユウキとフォンは赤面し、互いに顔を背けるのだった。
「そ、それじゃあ!次のお便りにいきましょうか!えーと…暴走治療師Aさんからのお便りです」
(…もう突っ込まないぞ…!)
「『彼氏が両親に挨拶に来ましたが、その際に娘を紹介するのを忘れてしまい、ショックのあまり口を聞いてくれなくなってしまいました。どうすれば、仲直りできるでしょうか?』…うわぁ」
「まさかのそっち系の質問かよ!?」
ペンネームへのツッコミは我慢したフォンだったが、質問の内容がユイに関することで、大真面目な質問だったことに流石に耐え切れず、突っ込んでしまった。
「む~…それは娘さんもいじけるのはしょうがないよ」
「やっぱりご両親への挨拶は大事だから、Aさんも彼氏さんも緊張してたんだよ。でも、娘さんも紹介してもらえるかもしれないと期待していたから、ショックはかなり大きかっただろうね?」
「そ、そうだな……あっ。そうだ…それなら、そのご両親にもALOに来てもらったらいいんじゃないか」
自身の体験(マザーズ・ロザリオ編第9話参照)から、ALOで直接会えばいいのではないかという妙案を思いついたフォン。アスナの母親が彼女のもう一つのアカウントを使ってALOにダイブしたことを聞いていたこともあり、直接VR世界で会う方がいいと思ったのだ。
「あっ!いいね、それ!」
「…あれ?でも、ALOって確か年齢制限なかったけ?その娘さんが小さかったら、ちょっと難しいような気が…」
「いや、そこは問題ないと思うぞ…きっとな」
「「…?…?」」
(というか、ユウキもユナも両親の挨拶に子供を連れて行かなかったのか、という点には疑問を持たないんだな…)」
フォンの核心に満ちた回答に事情を理解していない二人が首を傾げるも、疑問を持ってほしいところはそこではないとフォンは思ってしまうのだった。
「それでは、次のお便りです。ペンネーム『ストレート・リーフ』さんからの相談です」
(おっ…今度は一般の人からの質問か)
「『本編でも私の出番が丸ごと削られたのに、劇場版の本作でもそのままの尺で出されてしまいました。どうすれば、ヒロインらしく登場できますでしょうか?』」
「くそっ!?まさかのストレートの英訳かよぉぉ!?」
「「フォ、フォン!?」」
確実にどこぞのスピードホリックな風妖精であることを悟ってしまったフォンが絶叫する。いきなりの様変わりにユウキとユナも驚くしかない。
「知るか!?ロスト・ソング編まで待ってろぉ!作者も気に入ってるキャラの一人だから、しっかりと補完してくれるわ!?」
「えっ?えっ?なんで、そこで作者さんが出てくるの!?」
「気にするな!次だ、ユウキ!」
「う、うん……?」
「なんか無理矢理流された気がする…」
フォンの勢いに押されたユウキが戸惑いながらも次のお便りを取り出す様子に、ゲストのユナから批難の声と視線が飛んでくるも、フォンはスルーするのだった。
「で、では…次のお便りはペンネーム『クラインポット』さんからのものです…『年下の友人たちがモテてます。どうすれば、自分もモテますでしょうか?』…かなり切羽詰まった質問みたいだね…あれ、どうしたの、フォン?」
「…い、いや、なんでもない」
気のせいか背筋が冷たくなったフォン。その様子がおかしいことに気が付いたユウキだったが、フォンは大丈夫だと誤魔化したのだった。きっと侍スタイルの火妖精だろうと内心思いながらも、フォンは回答を始めた。
「モ、モテる方法か……逆に意識しない方がいいと思いますよ、クラインポットさん?意識しての行動は相手にも不自然さを感じさせますし、必ずどこかで綻びが出てしまっては台無しかと…後は言動に気を付けるとかじゃないでしょうか……(ボソッ)そうしたら、兄貴分なところとか、人情味溢れてるところとかでモテそうなのに…」
「えっ…フォン、今何か言った?」
「なんでないよ。それじゃ、次の質問に行こうか?」
最後に誰にも聞こえない声でフォンが呟いたのをユナが微かに聞いていたが、本音を隠したフォンはユウキに次の質問へと移るように催促するのだった。
「それじゃあ…あー…次が最後の質問だね。ペンネーム『カウレッジ』さんからです」
「…えっ!?そのペンネーム…まさか…!?」
「『付き合っている人がなかなか手を出してくれません。自分を大切にしてくれていることはよく分かっていますが、アンダーワール…コホン…他の女性と仲良くしているのを見ていると、胸の内に嫌な感じがする自分がいます。どうすればいいでしょうか?』…………」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その質問を聞いたフォンは何も言うことができないでいた。そして、隣で俯いてしまっているユウキの顔を見ることができずにいた。
「うわぁ…かなり深刻な相談がきたね。手を出す?っていうのは分からないけど、その彼氏さんがモテることに嫉妬しちゃってるんだね」
「そ、そうだな…」
「…?フォン、どうしてそんなに冷や汗を掻いてるの?」
ユナの指摘にフォンは目を逸らすことしかできなかった。どう答えたものかと考えていると、ユナの天然追撃が炸裂した。
「でも、この彼氏も彼氏だよね?彼女にここまで言わせるとか…」
(グサッ!)
「それに彼女がいるのに、他の女の子と仲良くするとか酷いよね?そういう男に限って、口が上手かったりするんだよね」
(グザッ!!)
「そもそもの話、他の人に言っておいて、自分がなるとは思ってもみなかったりするタイプじゃないのかな、この彼氏も」
(ドゴォン!!!)「ガハァ!?」
「フォ、フォン!?」
ユナの(悪意のない)口撃により、フォンはメンタルに気絶寸前のダメージを受けた。どういうことか、事態を理解していないユナが驚くも、フォンはなんとか耐え切り、重い口を開き始めた。
「…あー……そうだな。もしその彼氏が俺だとしたら……多分怖いんだと思う。その人のことが大切で、守りたいからっていうエゴだとしても、その人のことを考えているから、変に距離を取っちまうじゃないかな。
それに、多分その人も意識して、他の女の人と話してるわけじゃないと思うぞ。でも、それでカウレッジさんが不満に感じるのも当然だと思う……その時ははっきりと相手にその想いを伝えるべきだと思う。おれ…コホン…その彼氏さんも、カウレッジさんのことを一番大切に想っているのなら、必ずその想いに応えてくれると思うぞ。だから、勇気を持って話してみたらどうかな」
「……そっか。そうだね…うん!」
「…?…?なんでユウキが納得してるの?」
「えっ…!?な、なんでもないよ、うん!?」
「アハハ…以上、フォンのお悩み相談のコーナーでした」
ユナに疑問を尋ねられ、慌てて誤魔化すユウキと話を強引に逸らしたフォン……互いの顔が耳まで真っ赤になっていることに、ユナは更に頭上にはてなマークを浮かべるのだった。
「さて、あっという間にお別れの時間が来ちゃいました。『おふらいん おーでぃなる・すけーる編』はお楽しみ頂けましたでしょうか?」
「結局、今回も色々と……いや、いつもに比べれば、まだ平和だったのかな?ユナはどうだった?」
「うん!本編だとなかなか絡めなかったフォンや、ユウキさんとも更に仲良くなれて楽しかったわ!またライブをやる時に是非見に来てほしいな!」
「もちろん!!」
ユナの誘いに全力の笑顔でそう答えるユウキ。その姿に先程の不安な表情は見えず、少しは晴らすことができたかとフォンは安堵するのだった。
「それじゃ、そろそろ〆の挨拶とするか。〆のご挨拶として、作者からメッセージが届いておりますので、ユウキ、代読を頼むわ」
「うん!えー…『現在更新中のアリシゼーションにも繋がるオーディナル・スケールは、作者もオリキャラを始めて出すなど、色々と挑戦してみた章でもございました。ある意味、原作とは異なる展開…パラレルワールドとしてのSAOを明確に示した章でもあり、それがテーマとなるアリシゼーションへの布石だったとも言えます。
まだまだ至らない点もございますが、これからも応援やご感想など頂ければと思いますので、これからも「ソードアート・オンライン ~夢幻の戦鬼~」を宜しくお願い致します』…だそうです!」
「私も登場するWoUも是非ご期待してね!」
「それでは…!」
「「「ばいば~い!」」」
『この番組は、活気溢れるARMMOの躍進を促すオーグマーの製造会社「カムラ」の提供でお送り致しました』
オーディナル・スケール編を書いていた時、ここまでアリシゼーション編が長くなるとは思ってなかったんですよね(苦笑)
ようやく息抜き回(という名の作者のやりたい放題)も全て終わりましたので、年明けからはWoU編を投稿していきます!
上手くユーアリが書けるのか、伏線を回収できるのかと不安もありますが、温かい目で見守って頂ければと思います。
また、年末の挨拶で詳しいことはお伝えできればと思いますので、もうしばしお待ち下さい。
Lankasさん、
ご評価ありがとうございました。
それでは!