ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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原作通りですがこのお話でちょっとだけオリ主にフラグを立ててます。

それではどうぞ。


第2話 「後悔と別れ」

空を駆けて行った光を目撃してから少し・・・

急な山道を登り、俺たちは・・・

 

「洞窟・・・ここが果ての山脈の洞窟?」

 

アリスの言葉通り・・・俺達はある洞窟の前へと到着した。中を覗くと、小さな川が洞窟の奥から流れており、その先は暗くて、よく見えない状態だった。

 

「とにかく・・・中に入ってみるしかないよね?」

 

そう言って、アリスはポケットから植物を取り出し、神聖術を唱え始めた。

 

「システムコール・・・ジェネレート・ルミナス・エレメント・アドヒア」

「「「おおっ!?」」」

 

明かりで先を照らし、俺たちは洞窟の中を進み始めた。

が・・・

 

「おい、キリト・・・洞窟に入ってすぐのところだが・・・氷のツララなんてどこにもないじゃないか?」

「・・・そんなこと言ったっけ?」

「言った!確かに言ったよ!」

 

俺とユージオの追及を、目線を反らすことで誤魔化すキリト・・・そう、氷のツララが見つからないのである。俺とユージオがジト目でキリトを睨んでいると、

 

「ユージオ、ちょっと明かりを近づけて?」

「うん?分かった」

 

ユージオが近づけた明かりにアリスが息を吹きかけた。すると、その息が白くなっているのが見えた。

 

「あっ・・・息が白く・・・!」

「うへぇ・・どおりでさっきから寒いと思ったら」

「この洞窟は、夏の気温である外と違って、冬のような環境なんだな」

「フォンの言う通り、きっと氷だってあるはずよ!」

「うん!もう少し進んでみよう!」

 

そう言って、俺たちは更に奥へと進み始めた。そのうち、話はここに住み着く白竜の話になった。

 

「ねぇ・・・本当に白竜に出くわしたら、どうするの?」

「そりゃ、逃げるしか・・・」

「大丈夫!白竜だって、ツララを取るくらい許してくれるさ?」

「それに・・・案外、逸話のように寝てたりしてるかもしれないしな?」

「・・・もしそうだったら、鱗の一枚くらいは手に入れられるか・・・」

 

そんなキリトの無茶な考えに俺とユージオは呆れていた。

 

「お~い~・・・なに考えてんだよ?」

「そんなことしようとしたら、キリトだけ置いて逃げるからな」

「だってさ、もし本物の竜を見た証拠を持って帰れたら・・・」

バキィ!

「「「「!」」」」

 

キリトの言葉を遮るように、何かがひび割れる音がした。先頭のユージオが足元を見ると、

 

「あっ・・・これ、氷だ!」

「本当にあった・・・やったな!」

「うん・・・・この先に、もっとあるはずだ!」

「行ってみようぜ!」

 

キリトの掛け声共に、俺達は駆け足で奥へと走り始めた。

 

 

 

そして、光があふれるところへ走り、ひらけた場所に出た時・・・

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

俺たちは言葉を失っていた・・・目の前には、美しい氷がずらりと並び、一面が氷の空間となっていたからだ。その壮大さに思わず、感動してしまっていた。

 

「これだけあったら、村中の食べ物を冷やせるわね?」

「それどころか、しばらく村を真冬にだってできるぜ?」

「甘いぞ、キリト・・・これで新しく商売とかもできるんじゃないか?」

「アハハ、フォン・・・それは天職を終えてからじゃないとできないよ・・・」

 

正気に戻った俺たちは氷の空間を模索しながら、そんなことを話していた。すると、キリトが急に歩みを止め、周りを見ていた俺とユージオはぶつかりそうになった。

 

「どうした、キリト・・・急にとま・・・!?」

「・・・・・なんだよ・・・これ」

「えっ・・・?」

 

俺とキリトの様子がおかしいことに気付いたユージオ、そして、アリスもそれに気づいた。

 

「これは・・・白竜の骨、なのか・・・?」

「そ、そんな・・・」

「死んじゃったの・・・?」

「うん・・・?」

 

そう・・・それは竜の骨だった。場所的に考えると、逸話の白竜のものなのだろうか。俺たちがショックを受けていると、キリトが何かに気付き、骨の一部を抜き取った。

 

「なぁ・・・これ、いっぱい傷がついてるし・・・先っぽも綺麗に欠け落ちてる」

「何かと戦ったの・・・?でも、竜を殺せる生き物なんて・・・」

「これ・・・もしかして、剣の傷じゃないか?」

「ああ・・・この竜を殺したのは・・・人間だ」

「「!!!」」

 

俺とキリトの言葉に、ユージオとアリスは息を呑んだ。だが、そうなると、こんなことをできる人というのはかなり限られてくる。そう・・・

 

「だ、だって・・・あの英雄ベルクーリでさえ、逃げ帰ることしか・・・あっ!」

「・・・・・整合騎士、かもしれないな」

 

俺と同じ考えに至ったアリスが驚きの声を上げた。

 

「ま、まさか・・・公理教会の整合騎士が、人界の守護者である白竜を殺したの・・・?」

「わ、分からない・・・もしかしたら、闇の国にも、凄い強い騎士がいるのかもしれない・・・でも・・・それなら、闇の軍勢が果ての山脈を超えてきてもおかしくないはず・・・」

「・・・そう、だよな?・・・キリト?」

 

アリスとユージオの言葉に頷きながら、白竜が殺された原因を考えていると、キリトが金貨の山から何かを引きずり出していた。

 

「め、めちゃくちゃ重いな・・・これ・・・!?」

「キ、キリト!?これってもしかして・・・?」

「ああ・・・ベルクーリが盗み出そうとした、青薔薇の剣だろうな」

 

引きずって来た物を見て、俺は驚愕した。氷のように美しい青、柄に薔薇の装飾が施された片手剣・・・そう、キリトの言う通り、これは『青薔薇の剣』だ。そして、キリトが両手で青薔薇の剣を持ち上げようとするが、

 

「ぬぬ、ぬぬぬ・・・!!だ、駄目だ。重すぎる・・・」

「俺達3人でならなんとかなるか?」

「・・・いいや。まだ色々なお宝はあるみたいだけど・・・」

「・・・持って帰る気にはなれないわね・・・墓荒らしみたいだし」

 

ギブアップしたキリトに俺とユージオも手伝うことを提案したが、キリトとアリスが白竜のことを想い、お宝は置いていこうということになった。

 

「でも、氷くらいなら・・・」

「自然でできたものなら、白竜も許してくれるかもな」

 

キリトの言葉に頷き、本来の目的であった氷を俺たちは集め始めたのだった。

 

 

 

「綺麗・・・持って帰って、溶かしちゃうのがもったいないね」

「それで俺たちの弁当が長持ちするのなら、いいじゃないか?」

「村のみんなの、でしょ?」

「そうだぞ、キリト・・・それに、また足りなくなったら、取りにくればいいさ。もちろん、最新の注意を払っての話になるが・・・」

「そうだね・・・あっ、そろそろ戻らないと、夕方までに帰れなくなさそうだ」

「・・・そうね・・・あれ?」

 

ユージオの言葉に、もうそんな時間かと思い、俺たちは村に戻ることにした。その時、アリスが首を傾げた。

 

「・・・私たち、どっちから入って来たんだっけ?」

 

その言葉に、俺たちは顔を見合わせ・・・

 

「あっち」「こっち」

「・・・・・どっちだっけ?」

 

キリトとユージオがそれぞれ違う出口を指さす中、俺はてっきり二人のどちらかが出口を覚えているものかと思っていたため、その光景を見て、アリスにそう言うことしかできなかった。

 

そして、

 

「もうずいぶん歩いたけど、やっぱり反対側の道だったのかしら?」

「近い方だからって、こっちの道を選んだのは・・・」

「まぁまぁ。もう少し歩いてみて、まだ出口に着かなかったら、もう一つの出口の方に行ってみようぜ?ユージオ、まだ明かりは大丈夫か?」

「うん。大丈夫そう・・・待って、静かに・・・」

 

キリトが余計なことを言う前に話題を変え、俺の前を歩く先頭のユージオに声を掛けると、ユージオが真剣な声でそう言った。その言葉に、俺達も息を殺した。耳を澄ますと、

 

「・・・あっ、風の音?」

「外が近いんだ!こっちで良かったんだよ!」

「ちょ、ちょっと・・・!?」「ユージオ、急ぎすぎだ!」

 

出口が近いと気付き、走り出したユージオを慌てて、追いかける俺達。少し走ると、出口の光が見え、外に出ると・・・見たことのない光景が広がっていた。

 

「・・・ダーク、テリトリー・・・?」

 

アリスの言葉が全てを物語っていた。空は不気味な赤黒い色に染まっており、木々や大地は荒廃していた。まさしく、死に欠けの大地というのがふさわしい表現だと、俺は思った。

 

「だ、駄目だ・・・これ以上、進んじゃ・・・!」

「ああ・・・早く引きもど・・・!?」

 

ユージオの言葉に頷きながら、俺は3人に引き戻すよう言おうとしたが、その声は鈍い金属音によって、遮られた。

 

「「「「!?」」」」

 

音に釣られ、空を見上げると、竜に乗った騎士たちが剣をぶつけ合っていた。一人は白い鎧に白竜・・・もしかすれば、ここに来る前に見たあの流星の正体ではないかと思った。もう一人は黒の鎧に黒龍と共に空を駆けていた・・・彼がダークテリトリーの住人だということを理解するのは簡単だった。

 

「・・・竜騎士?」

「・・・・・公理教会の整合騎士なのか?」

「それじゃ、戦ってる黒い方は・・・」

「・・・ダークテリトリーの騎士だろうな」

 

キリトたちも戦っている人物がどういった人物たちなのか、理解したようだ。

 

そうこうしている内に、整合騎士が操る白竜がブレスを吐き、黒騎士に直撃し、大爆発を起こした。突然起きた出来事に俺達が驚いたまま、その光景を目撃していると・・・ブレスを受け、身動きが取れない黒騎士に整合騎士が弓を構え、止めを刺そうとしていた。整合騎士が放った矢は高速で空気を裂き、黒騎士に直撃した。そのまま、黒騎士は地面に落下し、遅れて黒龍も地面に堕ちた。俺たちが目を開けると、

 

「・・・・・まだ、生きてる・・・」

 

こちらに手を伸ばす黒騎士を見て、俺は呟いていた。その手は助けを求めているようだった。

それを見たアリスは、その助けの手に応えようと、ダークテリトリーの方に・・・

 

「・・・っ!?駄目だ、アリス!?」

「「「!?」」」

 

いち早く正気に戻ったキリトの言葉に、俺たちも我に返ったが・・・その声に驚いたのか、アリスが体制を崩した。慌てて俺たちがアリスに手を伸ばすも・・・

 

「アリス・・・っ!?」

「「・・・!?」」

「・・・あっ!?」

 

俺達は見てしまった・・・倒れたアリスの指先がダークテリトリーの土地に触れてしまっているのを・・・

 

『禁忌目録第1章3節11項・・・何人たりとも、人界の果てを囲む『北の山脈』を超えてはならない』

 

先日のアリスが話していた、禁忌目録の項目が頭をよぎった。俺は首を振り、まだ呆けているキリトとユージオに怒鳴った。

 

「ユージオ!早くアリスを起こせ!キリト!整合騎士がどうしてるか様子を見ててくれ!」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「・・・早く!!」

「っ?!ア、アリス。大丈夫!?」

 

俺の怒声に我に返った二人も動き始めた。ユージオに助け起こされたアリスは震えていた。

 

「わ、私・・・・・私!?」

「大丈夫だ・・・手を見せてくれ」

「そ、そうだよ!フォンの言う通り、大丈夫だよ!洞窟を出たわけじゃないし・・・!?」

 

ユージオと共に、アリスに大丈夫だと声を掛けながら、異変がないかアリスの状態を見ていた。その時、後ろに気配を感じ、俺は振り返った。俺の動きに釣られ、キリトとユージオも後ろを見た・・・・・空間が歪み、そこには白目の男の顔が浮かんでいた。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「な、なんだ・・・あれ?」

『シンギュラーユニット・・・リテクディド。IDトレーシング・・・・・・・・・』

 

男は意味の分からない言葉を次々と並べていき、そして、消えた。

 

「な、なんだったんだ、今の・・・?」

「分からない・・・」

「・・・ともかく、今はここにいるのはマズイ。早く戻るぞ!」

 

いきなりのことに困惑を隠せない俺達。だが、ここに居続けることだけは危険だと思い、俺たちは急ぎ来た道を引き返すことにした。

 

 

 

「「「「・・・はぁ・・・はぁ・・・」」」」

 

来た道を駆け足で戻り、ようやくルーグリットの村に戻って来た俺達。

だが、その空気はかなり重い物だった。その空気を察したのだろう・・・キリトが口を開いた。

 

「さぁ、早く家に帰ろうぜ?」

 

その言葉に俺達も頷いた。さっきのことは黙っておこう・・・暗黙でその意図を理解したからだ。

 

「じゃ、これは家の地下室に入れておくね?」

「・・・ああ。頼んだ」

 

アリスの問いかけに、代表して、俺が答えた。ここで、アリスとはお別れだ。家の道を歩いていくアリスを見送っていると、アリスがこちらに振り返った。何事かと思い、俺たちが心配になっていると、

 

「・・・明日のお弁当、楽しみにしててね?」

「・・・おう!」

「明日も頼むな!」

「・・・う、うん」

 

そう言って、駆け足で去っていたアリスは笑顔だった・・・だが、俺にはその笑顔が無理しているように見えた。そう感じたのは、俺だけではなかったようで・・・ユージオの表情にも陰りが出ていた。

 

 

 

翌朝

 

「ユージオ・・・大丈夫か?」

「・・・えっ?」

「今日・・・ずっと顔色が悪いぞ?」

 

キリトがギガシスダーに切り込みを入れているのを見守っていると、俺は気になったことをユージオに尋ねていた。今朝からユージオの様子がおかしいかったのだ。昨日のこともあり、心配になって、声を掛けたのだ。

 

「・・・はぁ。フォンには、お見通しか。実はね・・・・っ、フォン!?」

「・・・!?あれは!?キリト!」

「・・・っ!?」

 

ユージオの言葉に俺は空を・・・正確には、影を差したそれを見た。俺の言葉にキリトも空を見上げ、

 

「白竜・・・!?」

「・・・昨日の整合騎士だ・・・!まさか、アリスを・・・?」

「嘘、だろ?あんな・・・あれだけのことで!?」

「・・・っ!ともかく、急いで村に戻ろう!」

「・・・おう!」

「お、おい!キリト、フォン!」

 

俺とキリトは慌てて村に戻るのを追いかけるユージオ。村に着くと、既に整合騎士も到着していた。何事かと、輪を作る村人たちの中にアリスの姿を見つけた俺達は、

 

「おい、アリス」

「・・・!三人共!」

「しっ!静かに・・・今のうちにここからは離れた方がいい」

「・・・えっ?」

 

俺達の言っていることに困惑を隠せないアリス。すると、村人たちから驚きの声が上がった。何事かと視線を整合騎士に戻すと、

 

「・・・お父様?」

「村長を務める、ツーベルクと申します」

 

代表して、アリスのお父さんが整合騎士に話しかけていた。アリスも動揺を隠せないでいた。

 

「ノーランガルス北域を統括する公理教会、整合騎士・・・デュソルバート・シンセシス・セブンである。ガスフト・ツーベルクの子・・・

アリス・ツーベルクを禁忌条項抵触の咎により、捕縛・連行し・・・審問の内、処刑する」

「「!?」」

「しょ、処刑・・・?」

「・・・えっ?」

 

整合騎士から放たれた言葉に俺達は言葉を失った。だが、整合騎士はそんなことお構いなしに、淡々と事実を述べていく。

 

「罪状は、禁忌目録第1章3節11項・・・ダークテリトリーへの侵入である」

 

そう告げられ、アリスの手からバスケットが落ちた。

 

 

それから、大人たちの動きは早かった。アリスを拘束し、アリスの父親がアリスを鎖に繋いでいった。だが、俺たちはそれを黙って見ていることなんて、できるわけがなかった。

 

「待って下さい!」「騎士様!話を聞いて下さい!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

人を掻き分け、声を張り上げた俺とキリトに、整合騎士は無言でこちらを見た。

 

「アリスは・・・ダークテリトリーになんか入っていません!片手を・・・ほんの少し地面に触れさせただけんなんだ!」

「そもそも!もし、ダークテリトリーに侵入したっていうのなら・・・一緒にいた俺達も同罪のはずです!」

「・・・・・禁忌目録に触れたのは、アリス・ツーベルク只一人・・・貴殿達は禁忌に触れておらぬ・・・それに、それ以上どのような行為が必要だ?」

「・・・・・っ!?」

 

淡々と告げる整合騎士は、俺たちに興味を失くしたように白竜へと歩み寄った。

 

「ユージオ。それにフォン・・・力を貸してくれ」

「キリト・・・?」

「・・・俺が斧で打ちかかるから、その間に二人でアリスを・・・!」

「・・・分かった・・・!」

「キ、キリト?フォンまで・・・でも、それは!?」

 

キリトの作戦を理解した俺は、いつでも駆け出せるように体勢を整えた。だが、ユージオだけが戸惑っていた。

 

「禁忌に反するって?・・・知るか!禁忌よりもアリスの命だ!」

「ああ!ユージオ、それはアリスの命よりも大事なものなのか!?」

「・・・えっ・・・で、でも・・・・・!?」

 

未だに覚悟ができないユージオを置き、俺とキリトは目配せでタイミングを合わせる。整合騎士が白竜に乗ろうとした瞬間・・・キリトが仕掛けた。

 

「っ・・・・・おおおおぉぉ!?」

 

だが・・・整合騎士は指先一つ動かさずにキリトを吹き飛ばした。

 

「っ!?くそ・・・アリス!」

「・・・無駄だ」

 

なんとかアリスの拘束だけでも・・・そう思い、突撃した俺も謎の衝撃波で吹き飛ばされた。

 

「キリト!?フォン!?」

「・・・その子供たちを広場の外に連れ出せ」

「くそぉ・・・!?」」「まだだ!離せよ!?」

 

諦めず突撃を駆けるも、俺とキリトの身体を整合騎士の命に従った大人たちが抑える。

 

「ユージオ、頼む!行ってくれ!」

「えっ・・・えっ・・・」

 

キリトがユージオに懇願する横で、怒りの限界を超えた俺は怒鳴っていた。

 

「あんたら・・・!アリスがどうなってもいいのかよ!?そんなに、禁忌目録が正しいっていうのかよ!?」

「黙れ、フォン!」

「うるさい!人の命と目録、どっちが大切なんだよ!?」

「ユージオ!せめて、こいつらをどかしてくれ!?そしたら、俺たちが!?」

「で、でも・・・・・!?」

 

困惑して動けないユージオ。そして・・・俺とキリトが拘束から解放された時・・・もう既にアリスは整合騎士に連れられ、空の彼方へと消えてしまっていた。

 

「・・・っ!?アリスゥゥゥゥゥゥ!!!」

「・・・・・くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?」

 

何もできず、残された俺とキリトの慟哭だけが広場に響き渡った。

 

 

 

「っ!?」

 

目が覚めた時・・・そこは見慣れない部屋だった。体を起こすと、点滴が視界に入り、隣に視線を移すと、どうやら同じタイミングで目覚めた和人が体を起こしているところだった。

 

(ここは・・・?そうか、俺たちは・・・っ!?)

 

状況を徐々に思い出した時、俺の手に何かが落ちた・・・その時、俺は自分が涙を流しているのだと初めて気が付いたのだった。

 

 




神聖術の呪文が合ってるのか自信ないです(苦笑)

ここから再びアンダーワールドに戻ってくるまで時間が掛かってきます(笑)
説明回やったり、フラグ立てたり、オリ主がプッツンしたりしますので、それらが終わるまではアンダーワールドのお話はちょっとお休みです。

次回はアニメオリジナルのGGOのお話です。
それではまた。

次回更新 2月9日0時予定

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