ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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お久しぶりです。

仕事のイベントがドタキャンになったりして、
バタバタして執筆がなかなかできなかったりしてます・・・

皆さんも体調にはお気を付けください!

久々のバトル回をお楽しみ下さい。
それではどうぞ!


第3話 「シノンの依頼」

6月27日 土曜日

いつも通りVRMMOにログインしていた俺達。しかし、いつもと違う点が一つだけあった。

 

『こっちは誘い込みに成功。クラインたちの奇襲に敵は撤退を始めたわ。キリトとアスナが追撃に当たってるから、そっちのフォローに当たるわ・・・そっちにも車両が一台向かったから・・・・・頼んだわよ、遊撃コンビ』

「了解だ」「こっちは任せて、シノン!」

 

作戦成功の連絡を受け、潜伏を続けていた俺とユウキは茂みから移動を始めた。

 

そう・・・今、俺たちはいつものALOではなく、シノンの依頼でGGOへと来ていたのだ。

 

移動を開始し、少しして・・・

 

「ユウキ、ストップ」

「・・・了解」

 

音を聞き分けた俺の合図にユウキも制止し、気配を探った。すると、

 

ブルルルルルルルル!

 

「・・・・・行くぞ!」

「うん!」

 

俺の合図とともに、俺たちは車両の前に飛び出した。

 

「!?」

「ユウキ!」

「分かってる!」

 

突然の俺たちの登場に運転手は驚いていたが、体勢を立て直す暇など与えず、俺たちは突っ込んだ。

 

俺は腰に装備していた光剣を、ユウキも紫色の光剣を起動させ、すれ違いざまに車両のタイヤを貫いた。そのまま、車体を切り裂き、エンジンに致命傷を与える。

 

タイヤの破損とエンジンの誘爆で、コントロールを失った車両は車体を大きく揺らし、爆発した。だが、

 

(っ!?流石噂のスコードロンだな!爆発直前に脱出したか・・・!)

 

プレイヤー二人が車から飛び降り、脱出したことを確認した俺は内心、相手の手際の良さに舌を巻いていた。だが、驚いているままでいるわけもいかず、俺は臨戦態勢を取った。

 

「Shit!?Kill you!!」

「舐めるなぁ!」

 

暴言を吐きながら、ライフルをぶっ放すプレイヤー。

だが、その弾丸を俺は盾で弾き飛ばす。

 

「What!?」

「・・・そこだ!」

 

ライフルの弾丸の雨を無傷で凌がれ虚を突かれた相手に、俺は起動した光剣を蹴り飛ばし、更に不意打ちを食らわす。相手はそれをなんとか躱すも、

 

「遅い!堕ちろぉ!!」

 

体勢を立て直そうとした時にはもう遅く、射程距離に入った俺のショットガンと盾のオプション装備である小型ガトリングガンの直撃を受けたプレイヤーは、満タンであったHPを一瞬で喪失し、ポリゴンへと姿を変えた。

 

そして、ユウキの方へと視線を移すと、

 

「このぉ!」

「W,What!?」

 

マシンガンの弾丸を切り飛ばしながら、相手へと肉薄しようとしていた。マシンガンを切り飛ばす、というまさかの出来事に相手も困惑を隠せないでいた。そして、

 

「これで・・・終わり!!」

 

その掛け声とともに、ソードスキル〈ヴォーパル・ストライク〉を模した一撃でプレイヤーを吹き飛ばした。

 

「ユウキ」

「あっ・・お疲れ、フォン」

 

光剣をしまい、一段落ついたユウキに声を掛け、手を上げる。その手でハイタッチをして、俺たちは勝利を喜んだ。

 

「こちら、遊撃コンビ。こっちは撃破した。シノン、戦況は?」

『・・・こっちは逃げられたわ。キリトは一人を仕留めたんだけど・・・・・今日はここまでね』

「分かった・・・それじゃ、集合ポイントで落ち合おう」

 

そう言って、俺はシノンとの通信を切ったのだった。

 

 

〈Another View〉

「タイムアップか」

 

フィールドの崖の上。先ほどまでフォンたちが戦っていた場所から少し離れた所で、外国人風のアバターの男はセットしていたアラームを切りながら、そう呟いた。

 

「全チーム後退・・・グリット19から離脱しろ」

「あれが今日最後の獲物だろう?プレイヤー5人に車両一台の損失・・・負け戦で終わっていいのか・・・・・ボス」

 

吸っていたタバコを捨て、肌が焼けた東洋風アバターの男が、金髪の男に問いかけた。

 

「あんなイレギュラーなスコードロンと戦っても訓練にはならない。本番の作戦に悪影響が出ても困るしな・・・・・行くぞ」

 

金髪の男はそう言って、その場を後にした。その言葉を受けた肌黒の男は指示に従い、その場を後にしようとした。

 

(・・・光剣にあの剣筋・・・そうか・・・ならば、また会おうぜ・・・黒の剣士・・・そして、夢幻の戦鬼)

 

フードを被り、キリトとフォンに心の中でそう告げた男の目は、嗤っているように見えた。

〈Another View End〉

 

 

 

GGO首都 SBCグロッケンの酒場

 

「いや~・・・噂には聞いてたけど、ハードなゲームだな、GGOってのは?」

「圏外・・・フィールドなら、どこでキルされても文句が言えないくらいだからな?ALOよりも厳しい環境だな」

「・・・でも、楽しかった!こう・・・いつも狙われてる!っていう緊張感があるよね!」

 

クラインの感想に頷きながら、俺は賛同した。今回、GGOが初めてだったユウキは、剣士なりの感想を述べてくれていた。ちなみに、今のユウキのアバターは紫を基調としたラバースーツに赤のショートパンツ・・・いつものカチューシャは外し、猫耳型のカチューシャを着けた、彼氏殺しのかわいいアバターである。

 

余談だが、キリトに感化され、光剣の二刀流だったりする。彼氏としては、彼女に危ない真似はしてほしくはないのだが、弾丸をキリト並みに斬り飛ばす凄技を見せらてしまっては、反対することもできず、黙認することにしたのだった。

 

「けど・・・いくら自由にPKできると言っても、さっき戦ったスコードロンは異常だわ」

 

シノンの言葉で、ユウキのアバターに見とれていた俺の思考は本題へと引き戻された。

 

「普通のPKはお金とかアイテム狙いだけど・・・」

「あいつら、俺たちを殺すことしか考えてなかったな。グレネードやスモークもバンバン使ってきたし・・・あれじゃ、完全に赤字じゃないか?」

「・・・それに、俺とユウキが戦った相手もかなり手馴れてた。爆発する車から咄嗟に脱出するなんて、並大抵の芸当じゃできないことだろう?」

「・・・キリトの言う通りでしょうね。そして、フォンの指摘通り、かなり手練れてる。あいつらは現れる時はいつもあんな感じなのよ。フィールドで孤立してるスコードロンを襲って、皆殺しにして・・・まるで狩りをしているかのような戦法をとるのよ」

 

キリトと俺の言葉に、今まで被害にあったスコードロンのことを説明するシノン。すると、アスナが口を開いた。

 

「あの人たち、勝率100%って本当なの?」

「私の知る限りはね。で、とことん変則的なスタイルでな勝てるかもって思って、みんなに協力してもらったんだけど・・・・・ゴメン、私の作戦が甘かったわ」

「・・・シノンのせいじゃないさ。あんなに簡単に撤退されたら、こっちも攻めようがなかったしな」

「フォンの言う通りだぜ!それに負けじゃねーよな?いや・・・あいつらが逃げたんだ。勝ちみてーなもんだろう」

「そうそう!それに何人かは倒したしね!」

「正体とか目的とかはさっぱり分かんないままだけどねー?」

「「そ、それは・・・ううう・・・!」」

 

リズのツッコミに言葉を詰まらせるクラインとユウキ。二人をフォローしようとアスナが動いた。

 

「せめて、リーダーの名前くらいは分かれば良かったんだけど・・・」

「あの中の誰かがリーダーなのかもはっきりしませんでしたよね?」

「ああ。GGOには、小型ドローンがあるくらいだから、もしかしたら遠くから戦闘を見ていただけっていう可能性もあるからな」

 

アスナ、シリカの話に頷きながら、死銃事件のことを思い出した俺がその可能性を話している時だった。

 

「ふぇぇ!?ちょ、ちょっと、キリト!寝落ちしないでよ!?」

「木曜からずっと学校休んで、企業見学に行ってたみたいなの・・・そういえば、フォン君も一緒だったよね?フォン君は大丈夫なの?」

「・・・・・正直言うと、緊張が抜けたせいか、今、物凄く眠い」

「・・・あんたら・・・また妙なもんにクビ突っ込んでるじゃないでしょうね?」

 

アスナの質問に苦笑しながら答えると、シノンにジト目で睨まれた。

 

「そんなことは・・・ないと思う」

「・・・はぁ。いい?あんたもキリトも・・・大切な人がいるんだから。あんまり心配をかけるじゃないわよ?」

「・・・・・分かってるよ」

 

シノンからの忠告に俺は真面目に頷いた・・・キリトは未だに夢の中だったが・・・

 

 

 

「みんな。今日は手伝ってくれて本当にありがとう」

 

シノンの言葉と共にそれぞれがログアウトしていく。

 

「それじゃ、俺達も落ちるな?アスナ、悪いが、キリトを頼むな?」

「うん。それじゃ、しののん。私たちも・・・」

「あっ・・・アスナ。それに、フォンとユウキもちょっといいかな?」

「「「・・・?」」」

 

シノンに呼び止められ、俺たち3人は首を傾げた・・・ちなみにキリトさんはぐっすり夢の中へと旅立っている。

 

「実は・・・手伝ってほしいことがあるんだけど・・・」

「PKスコードロンのことか?」

「それとは別件なんだけど・・・明日、キリトと一緒に向こう側で会えないかな?」

 

シノンの視線に、目を向けると・・・彼女が俺達に依頼しようとしていることに察しがいった。そこには、第4回BoBの結果と第5回BoBのお知らせがあった。

 

「う~ん・・・私は夕方からならOKかな?」

「俺も大丈夫だ」

「ボクも大丈夫・・・あっ、でも、ちょっと用事で遅れるかもしれないけど大丈夫?」

「大丈夫よ」

「それなら、明日、エギルさんの店でどうだ?」

「了解。ああ、相談内容はこの後、メールしておくから読んでおいてくれる?」

「分かった」「了解」「オッケー!」

 

そう言って、シノン、アスナ、ユウキはログアウトしていった。俺は・・・

 

「いつまで寝てんだ、この真っ黒野郎・・・」

「・・・・・ウハァ!?」

 

未だに寝続けるキリトを起こしてから、今度こそログアウトするのだった。

 

 




GGOのスコードロンって確か6人編成だったような気がしたんですが・・・
アニメもキリトたちは6人だったので、フォンとユウキは遊撃コンビという二人一組のスコードロンという設定です。

ちなみにフォンとユウキのGGOのアバターについては番外編かどっかで更に詳しく述べたいと思います。

次回は説明回になります。

次回更新 2月16日0時予定

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