ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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思いっきり説明回です。 

ここでこの話をしておかないと、UWでのお話に支障が出ますのでちょっと尺を割きました。

・・・ちなみに原作との相違点がいくつか出てますが、間違いではありませんので気にされずにお読みください。

それではどうぞ!

アンケートは今日の12時で締め切ります。


第6話 「アリシゼーション計画」

「あらら・・・もしかしてバレちゃったんすか、菊さん?」

「・・・比嘉さん、お久しぶりです」

「やぁ、音弥君。久しぶりっす」

 

俺がここにいることに驚きながらも、キーボードを操作する手を止め、挨拶した眼鏡をかけた人物・・・比嘉健さんが俺に向けて挨拶してきた。

 

この人にはSTLでのテストダイブでかなりお世話になった。だからここにいること自体、おかしくないと思い、俺はあまり驚きはしなかった。そもそも、菊岡よりもこの人とSTLやフラクトライトに関して話すことが多く、菊岡と違ってオープンな性格もあって、比嘉さんには結構良い印象を持っていたりする。

 

・・・まぁ、STLの初期テストダイブ時には幽霊騒動があったのだが、その話はまた今度にしよう。

 

「それで・・・そろそろ教えてもらえませんか?ここで、どうやって和人の治療をするつもりなんですか?」

 

俺の問いかけに菊岡は肩を竦めながら答え始めた。

 

「デス・ガンの逃亡犯・・・ジョニー・ブラックこと金本による襲撃で、キリト君の脳は現代医学では治療不可能なダメージを負ってしまった可能性が高い。今、MRIでの検査待ちの段階であるが、その可能性は高いだろう・・・だが、もしそうだった場合、このラースにのみ、彼を治療できる設備が存在する・・・それが、」

「STL・・・ソウルトランスレーター・・・・・そういうことか」

 

俺の言葉に頷きながら、菊岡が説明を続けた。

 

「ああ。STLで直接フラクトライトを活性化すれば、新たなニューラルネットワークの発生を促すことができる・・・もちろん時間はかかるがね」

「・・・なるほどな。損傷した脳細胞の部分を補う新たなネットワークの形成・・・脳の管にあるとされるフラクトライトの動きを活性させるわけか・・・そして、その時間を短縮するために、STLに搭載されたFLAを使って、短縮しようってことか・・」

「流石は音弥君!今の説明で、そこまで理解するとは流石っすね!菊さん、言ったじゃないですか・・・彼はこの計画に絶対気が付くって」

「・・・ああ。僕自身も、嵌められてから彼を侮っていたことを後悔したよ」

 

比嘉さんのツッコミに苦笑いしながら、肩を竦める菊岡。その様子にまだ余裕が隠れていることは確かだった。俺の視線を無視しながら、菊岡は話を続けた。

 

「キリト君の治療は、ここにしかないフルスペックSTLで行う予定だ。もちろん、専任の看護師も付けるつもりだ・・・君も知る人物だよ」

「・・・・・分かった。和人の治療については納得した・・・それについては信じるよ」

「・・・少しは信じてもらえたようでホッとしたよ」

(・・・よく言えるな、そんな言葉・・・)

 

ホッとしたような表情でそんな言葉を告げる菊岡に厳しい目線を向ける俺。だが、先程から全くと言っていいほど、気にしないところ、こいつの胆力が底知れないものだと判断できる。なら・・・

 

「それで・・・?一公務員のあんたが、どうしてこんな施設のトップみたいなことをしてるんだ?そもそも、ラースって一体何が目的なんだ?」

「・・・そうだね・・・本当は、君やキリト君には知ってほしくなかったんだがね・・・教えなければ、納得はしないのだろう?」

「・・・ああ」

「・・・それなら、まずは僕の正式な所属から説明しようか・・・自分は陸上自衛隊所属、菊岡誠二郎二等陸佐、であります!」

「っ!?じ、自衛隊!?」

「・・・少しは様になっていたかな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

敬礼しながら、口上を述べた菊岡に驚く俺。いつもとはちがった凛々しい言葉に一瞬気圧されるも、すぐさまいつもの笑顔に戻った菊岡にしてやられたと思った。

 

「自衛隊のあんたが・・・なんで総務省のVRに関する仕事に関わってたんだ?」

「・・・音弥君。君はSTLとフラクトライトについては理解しているね?」

「ああ・・・テストダイブの時に嫌と言う程、聞かされたからな」

「・・・だが、プロジェクトの目的については知らない・・・そうだろう?」

「・・・・・プロジェクト?」

「ボトムアップ型・・・汎用人工知能の開発さ」

「・・・ボトムアップ型、人工知能・・・?」

 

聞き慣れない菊岡の言葉に、思わず眉を顰める俺。人工知能・・・いわゆるAIがどういうものなのかは、ユイちゃんやユナの一件で理解しているつもりだが・・・ボトムアップ型とは・・・?

 

「人工知能の開発には二つのアプローチがある・・・一つがトップダウン型。これはプログラムに知識と経験を積ませ、学習によって最終的に本物の知性へと近づけようというものだ」

「・・・ああ。オーグマーに搭載されていたディープランニングみたいなものか」

「その通りッス、音弥君。この間までここで協力してもらっていた重村教授含め、現在、人工知能と呼ばれるほぼ全てがこのトップダウン型ッス」

「・・・重村教授もここにいたんですか?」

「そうッス。オーディナル・スケールの一件で菊さんが目を点けて、ラースで研究に協力してもらっていたんッスよ」

 

比嘉さんの説明を受け、そういえば、あの一件もAIに関する事件だったなと思い、ユナもトップダウン型AIということになるのか・・・と俺なりに納得していた。

 

「だが、トップダウン型は学習していないことには適切な反応ができない」

「・・・経験や対応するデータを持ち合わせていないからか?」

「そうだ・・・つまり、真の知能とは呼べるレベルに達していないんだ」

「・・・・・言われたことや学習済みの行動しかすることができない・・・ロボットみたいなもの、という解釈でいいのか?」

「厳密には少し違うが、解釈としては概ね間違ってはいない」

 

俺の解釈の仕方に頷きながら菊岡が説明を続ける。

 

「そして、次にボトムアップ型人工知能。これは人間の脳、脳細胞が1千億個連結された生体機構そのものを人工的に再現し、そこに知性を発生させようという考え方だ」

「ちょっと待った。そんなこと、技術的に・・・・・っ!そうか、もしかして・・・!?」

「・・・そう、君の言う通り、これまでは不可能だと考えられていた。だが、それを可能としたのが・・・」

「人間の魂・・・そうと目されるフラクトライトを捉えることができるSTL・・・!」

「そうッス。そして、人間の脳とほぼ同容量のデータを保存するメディアとして、ライトキューブを開発したッス」

「・・・そして、我々はもう既に人の魂のコピーに成功している」

「・・・っ!?」

 

淡々と告げられる説明の途中で爆弾を落とされ、思わず言葉を失った。それは・・・ここでは既に人間の魂ですら複製が可能なまでの技術が確立されているということだ。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!それは・・・クローン技術と同じなんじゃ・・・!?」

「・・・そうだね。そのコピーした魂が人工知能に転用可能だったら、君の言う通り、禁忌の技術になっていただろうね」

「・・・『なっていただろう』?」

「我々は愚かにも気付いてなかったのさ・・・人の魂のコピーと真の人工知能との間には、途方もなく広い谷が存在していることにね・・・」

「・・・・・どういう、意味だ?」

 

菊岡の真意が図れず困惑する俺を横目に、菊岡は比嘉さんに指示を出していた。

 

「比嘉君、例のものを」

「・・・えー。菊さん、趣味が悪いですよ。いくら音弥君とは言えど・・・何を言われても知りませんからね」

 

そう言って、比嘉さんがキーボードを操作すると、VRの映像を映していたスクリーンに違うウィンドウが表示され、何かが再生された。

 

『サンプリングは終わったんッスか?』

「・・・これは、比嘉さんの声?」

「ああ。全て問題なく終了したッスよ・・・」

『そりゃ良かった』

 

そのまま、比嘉さんと映像の声の主が会話していくが・・・すぐに異変が起こった。

 

映像の声の主・・・いや、この時点でその正体には見当がついていた。比嘉さんのフラクトライトのコピーだ。コピーは比嘉さんと菊岡の制止する声を無視し、自分が本物の比嘉健だと主張するが、どんどんと音声が乱れていった。そして、自分が本物だと証明する円周率を10も述べることもできず、

 

ブツン!!

「・・・1分8秒・・・フラクトライト崩壊ッス」

「っ・・・!?アンタ!?」

「お、音弥君?!」

 

その光景を見た瞬間、俺は思わず菊岡に掴み掛かっていた。まさか俺がそんな行動に出るとは思ってなかったようで、比嘉さんが慌てて止めに入った。

 

「済まない・・・だが、これは直接見てもらわないと説明はつかないだろう?」

「そのためにあのコピーを崩壊させたのか!?あんた、正気かよ?!」

「お、音弥君!落ち着くッス!?」

 

抵抗しない菊岡に、襟を掴む俺の腕の力も強くなった。比嘉さんが俺をなんとか菊岡から引き剥がしたところで、俺は乱暴に比嘉さんの腕を振り払い、今日一番の怒りの視線を菊岡に向けた。

 

「おお、怖い怖い。だが、分かってもらえただろう?僕を含め、10人以上の人間のフラクトライトを複製したのだが、例外なく己がコピーであるという認識に耐えることができなかった」

「・・・それは残念だったな」

「ああ。だから、僕たちはこう考えた・・・丸ごとのコピーが無理なら、最初から育てればいいんだと・・・・・そこで、僕たちは生まれたばかりの新生児の魂をコピーし、育てることにした」

「・・・っ!?まさか・・・!」

 

菊岡の言葉に、俺は今までの点と点が繋がった・・・それを可能とする設備がここには揃っているのだ。つまり、今俺が見ているVRらしきスクリーンの映像は・・・

 

「・・・気付いたようだね、音弥君。現実世界ではそんな長時間での育成ができる環境は用意できない・・・だが、仮想世界の世界にはいたるところに存在していると僕も気付いたんだ」

「VRMMO・・・『ザ・シード』を使ったVRワールド・・・」

「そうッス。ザ・シードを使って、小さな村と周囲の地形を作って、STL用に変換したッス」

「一番最初に作った村では、4人のラーススタッフが16の精神原型・・・つまり、AIの赤ん坊を18歳程度まで成長させた。すくすくと成長した若者たち・・・便宜上、人工フラクトライトと呼ぶが、彼らの出来栄えは相当に満足すべきものだった。みんな従順で善良だったよ・・・夫婦となった彼らには赤ん坊・・・新たな精神原型を与え、育てさせた。そして・・・」

「・・・FLAで一気に内部時間を加速させたのか」

「その通り。現実世界だと3週間・・・内部時間だと300年が経った頃、人口8万人という一大都市が形成されるに至ったんだよ。今では、内部時間は480年が経過し、首都セントリアの人口も2万に達している」

「・・・・・まるでちょっとした街造りシミュレーションだな」

 

思ったことがそのまま口から出てしまったが、あながち間違った感想ではないだろう。俺が感心していると、比嘉さんが説明口調で言葉を続けた。

 

「現時点で人工フラクトライトはボトムアップ型AIとして、期待通りの成長を遂げている。これなら、次の段階へと進むことができる、と喜んだわけッス。しかし・・・」

「・・・また何か問題が起きたんですか?」

「・・・ああ。公理教会と呼ばれる行政機関が禁忌目録という法律を作り上げたんだ」

「・・・禁忌、目録・・・?」

 

菊岡の告げた言葉にどこかひっかかりを覚えるも、はっきりと思い出すことができず、俺は話を聞き続けた。

 

「そこには、現実世界と同じように殺人を禁じる一項もあった・・・だが、人間が如何にその法を守らないかは、君も知っての通りだろう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ところが、フラクトライトたちは法を守る・・・守りすぎるほどにね」

「それは・・・法令順守が強すぎるってことか?」

「・・・そうだ。音弥君・・・この街を見て、どう思う?」

 

菊岡にそう問われ、俺はVR世界が映されたスクリーン・・・首都セントリアの映像を見た。そして、思ったことは・・・・・

 

「綺麗すぎるな・・・潔癖なぐらいに」

「そう、その通りだ。この街は綺麗すぎるんだ。道にはゴミ一つなく、泥棒は一人もおらず・・・・・当然、殺人事件など一度たりとも起きたことはない」

「・・・・・人を殺すAIを作る上じゃ、人工フラクトライトの精神は全く役に立たないってことか」

「「!?」」

 

俺の言葉に菊岡と比嘉さんが言葉を詰まらせた・・・どうやら当たりのようだ。

 

「前に、和人や明日奈と話したことがあった・・・あんたがVRMMOに関心を寄せてる理由は、その技術が自衛隊や警察の訓練に利用できるからじゃないかって推測してた・・・けど、ここに来てさっきの話を聞いて確信したよ。ここまでの大規模な計画を行う理由は・・・戦争用の兵士・・・人殺し用のAIを作るため・・・・・そうだろう!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

最後の言葉が感情的になってしまったが、俺は菊岡にそう問い詰めた。菊岡はその笑みを一段と深め答えた。

 

「・・・5年前。ナーブギアが発表された時、僕は気付いたんだ。この技術には、戦争という概念を根底から一変させてしまうほどの可能性があるとね」

(俺がSAOの世界に来る前・・・そんな時から・・・)

「SAO事件が起きた時、僕は志願して総務省に出向し、対策チームに加わった。それも全て、このプロジェクトを立ち上げるためだ。5年かかってようやくここまできたよ」

「・・・大層な計画だな。AIを戦争の兵隊にする・・・まるでSFのような夢物語だな」

 

菊岡の真意に呆れながら、俺は比嘉さんに気になったことを尋ねた。

 

「・・・比嘉さんはどうしてこの計画に参加したんですか?あなたもこの人みたいにAIに戦争をさせたいですか?」

「・・・ハハハ・・・キツイ言い方ッスね。僕の理由は・・・個人的なもんッスよ」

 

俺の棘のある言葉に苦笑いしながら、答えてくれた。

 

「学生の頃から、韓国の大学にダチがいたんッスけど・・・そいつ、兵役中に死んじゃって・・・」

「・・・っ!」

「そんでまぁ・・・この世界から戦争が無くなることがないとしても、せめて人間が死なずになるならって・・・ガキっぱい理由ッスけどね」

「・・・・・すみません、そうとは知らずに・・・」

「いやいや、音弥君が謝ることじゃないッスよ」

 

比嘉さんの事情を聞き、感情的に言ってしまったことを謝罪するも、比嘉さんは気にしてないといった風に答えてくれた。

 

「そういうことなら、俺はともかく・・・和人にこの話はしなかったわけですね」

「・・・・・君なら、分かってくれると思ったよ・・・音弥君」

「・・・・・・・勘違いしないでもらえますか?」

 

笑みを浮かべる菊岡に俺は冷たい声で答えた。その温度の落ち方に菊岡だけでなく、比嘉さんも表情が崩れた。

 

「・・・俺はあんたらの考えは理解できると思っただけだ。和人や明日奈ならこの計画の真意を聞いたら、真っ先に反対したでしょう・・・・・俺も、和人たちと同じ意見です。いくら失う肉体がないからって・・・育て上げた人工知能を戦争の道具として使うなんて・・・あんたたち・・・神にでもなったつもりかよ・・・!!」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「しかも・・・生きてる人間とほぼ変わらない思考を持つ人工フラクトライトを・・・和人がそんな計画を知ったら、協力なんてするわけがない・・・!」

「・・・君はリアリストかと思っていたんだが・・・もちろん君の言う事も分かるが、僕からすれば10万の人工知能の命は1人の自衛官の命よりも軽い」

 

この時、俺はこの人とは絶対に分かり合えない・・・そう思った。菊岡と俺とでは、価値観が全く異なっていた。菊岡の言う事も確かに理解ができる・・・人が死ななくなることは確かに間違ってはいないのだろう・・・俺もその考えには賛同だ。

 

だが、俺が菊岡の考えに賛同できないのは、人工知能の在り方を人間が決めてしまっていることだ・・・ユイちゃんと過ごしてきた和人たちを見て、俺はどうにも菊岡たちの考えが受け入れられなかった・・・人工知能にだって、役割や生き方を選ぶ権利があってもいいはずだ。

 

「・・・そもそも、どうして俺達を騙してまでこんな計画に参加させた?最高級の機密が漏洩する危険だってあっただろう?・・・現に俺がこの計画の真意を知ることになったのに・・・」

「・・・僕たちは考えたのさ・・・人工フラクトライトが禁忌目録を破れないのは何故か?そこで一つの実験を考えついた・・・本物の人間の記憶を全てブロックし、幼い子供に戻して仮想世界に成長させた場合、被験者は禁忌目録に背けるかどうか・・・」

「・・・っ!?あんた、まさか・・・?」

「実験の被験者には、仮想世界での動作に慣れていることが条件として上げられた。それも1週間・・・いや、1か月ではなく、年単位での経験がね・・・・・そう、僕達には君たちが必要だったんだよ・・・このアリシゼーション計画にはね」

「・・・・・っ!?!?」

 

菊岡の言葉に歯ぎしりし、俺は奴を睨んでいた。人を殴りたいと思ったのは久しぶりだが、これほど人を信じられなくなったのは初めてだった。

 

 

 

(・・・・・和人)

 

STLでダイブ準備を進める和人を見守りながら、俺は焦燥していた。

 

(俺が・・・俺たちがこの計画の一端を担わされていたなんて・・・)

 

明日奈の心配通り・・・菊岡の策に嵌められてしまったことに俺は手に力が籠っていた。その怒りは、菊岡に対してでもあり、情けない自分に対してでもあった。

 

(プロジェクト・アリシゼーション・・・そして、アリスか)

 

『アリス』という言葉で、先程の菊岡との会話を思い出していた。

 

『『アリス』というのは、全ての計画の礎となった一つの概念に与えられた名称でもあったんだ』

『・・・概念?』

『『人工高適応型知的自立存在』さ。英語では、『Artificial Labile Intelligence Cybernated Existence』・・・その頭文字を取って、『A.L.I.C.E.』。僕らの究極の目的は人工フラクトライトを『A.L.I.C.E.』に変換させることなんだ』

 

(それにしても、公理教会か・・・人工フラクトライトが他のフラクトライトに干渉できる権限を持つなんて・・・・・そんなこと本当に可能なのか?)

 

菊岡たちから聞いた、禁忌目録を破った人工フラクトライトとその修正を行った公理教会・・・だが、アリスの名を聞いた時、俺は頭の中で何かが引っかかっていた。今すぐに何かをしなければならないことがあったような気がしたのだ。

 

俺がそんなことを思っている。

 

「やぁ、音弥君。久しぶり」

「・・・っ!安岐さん!?どうしてここに・・・!」

「もちろん、桐ヶ谷君の専属看護師としてよ」

「・・・えっ?でも、貴方は千代田区の病院の看護師じゃないですか?」

「アハハ。確かに驚くわよね」

 

驚く俺に苦笑しながら、安岐さんが説明してくれた。

 

「安心して。私は、あの胡散臭いおじさんと違って、正式なナースよ。ただ、卒業した学校が自衛隊東京病院高等看護学校ってところなんだけどね」

「・・・・・まさか」

「安岐ナツキ二等陸曹であります。桐ヶ谷君の身体生命は本官が責任を持って守ります!・・・・・なんてね」

「・・・・・驚きの連続で頭が痛くなってきました」

 

やはり菊岡の奴を殴っておくべきだったかと今更ながら後悔する俺だった。そのまま、和人が寝てるSTLへと目を向ける。

 

「ここにはSTLが複数置いてあると聞きましたが、この4台で全部なんですか?」

「いいえ。このオーシャン・タートルにはSTLが全部で6台置かれているわ。ここには4号機から7号機が置かれているの。1号機と最近テストが終了した8号機が六本木の分室、2号機、3号機はここのロアシャフトに設置されてるわ。確か、君と桐ヶ谷君がテストで使用したのは六本木の分室に置かれたSTLだったはずよ」

「・・・STLが8台・・・安岐さん。和人の隣にある5号機はすぐに使用することはできますか?」

「・・・えっ?それは可能だけど・・・・・・・まさか・・・!?」

 

俺の考えを察した安岐さんが驚きの声を上げていたが、俺の決意はもう固まっていた。

 

「・・・俺も行きます・・・アンダーワールドへ」

 

 




オリ主は菊岡たちの考えに一定の理解は示しますが、協力しようと思うまでは賛同してません。ただキリトたちのように理想だけを提示するわけでもありません。

このお話でユウキのUWへのフラグを立ててますが、アリシゼーション編の基幹となるフラグをも立てています。

ようやく説明やらフラグ立てやらが終わりましたので、次回からUWのお話に戻ります・・・オリジナル要素も出てきますので、お楽しみにお待ち頂ければと思います。 

それではまた。

次回更新 8日0時予定
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