ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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連投です!
オリ主とキリトによる考察回です。

例の大剣についてもちょこと話に触れます。
なので、あの人に登場してもらいました。

それではどうぞ!



第9話 「考察と相談」

「はい、枕と毛布」

「ありがとう」

「朝のお祈りが6時で、食事は7時よ。一応見に来るけど、なるべく自分で起きてね。お祈りに遅刻すると・・・シスターアザリアは怖いわよ?」

 

セルカに教会を案内してもらった後、キリトと共に部屋へと案内された俺。部屋には二つのベットと机が置かれていた。セルカにお礼を言って、教会の注意事項を聞いていると、

 

「消灯したら外出は禁止だから気を付けて・・・そこのあなたたちもよ!」

「あっ!見つかった・・・!」

「逃げろ!」

「「・・・アハハハハ」」

 

セルカの注意に、興味で俺たちをのぞき見しに来ていた子供たちが蜘蛛の子のように逃げ出した。その姿に思わず笑みが零れた。

 

「・・・まったく。他に分からないことはある?」

「大丈夫。色々とありがとう」

「そう・・・じゃあ、おやすみなさい。ランプの消し方は分かるわよね?」

「ああ。多分大丈夫だ」

 

セルカの問いにキリトと俺は交互に答える。

 

「「おやすみ、セルカ」」

「・・・ええ」

 

少し微笑んでそう返したセルカは部屋を後にした。セルカが部屋から離れて行くのを足音で確認した俺たちは大きく息を吐いた。

 

「ふぅ・・・とりあえず教会にお世話になれて良かったな」

「ああ・・・・・だけど、問題はこれからだよな?」

 

キリトの言葉に俺も真剣な顔で頷く。そう・・・今後、俺たちはどうしていくべきなのか・・・方針をこれから話し合うのだ。

 

「ここは現実世界じゃない。ステイシアの窓のように、あんなことができるのは仮想世界だけだ・・・そして、このクオリティの高いVRワールドは、STLが作り出す『アンダーワールド』・・・で間違いないよな?」

「ああ。キリトの推測通りでほぼ間違いないだろうな・・・まぁ、俺たちが二人揃って異世界に転身したとかそんな話じゃなかったらな」

「・・・・・お前が言うと本当にありそうだから止めてくれ」

 

一応冗談のつもりだったのだが、キリトの顔は引きつっていた。ちょっと自重しようと思った。

 

「・・・それにこの村。この村の人々は全員NPCじゃない・・・あんなに表情豊かなNPCが大勢いるとは考えにくい」

「だが、あんな大勢の人数がこの世界に来れるほどSTLがあるとも考えにくいだろう?」

「・・・これは俺の推測だけど・・・ユージオの話からすると、このアンダーワールドじゃ、内部時間にして300年以上が経っていることになる。そして、ユージオは少なくとも6年以上はここで過ごしていることになる・・・もしこの話が全て本当なら、そんなことができるのはただ一つ・・・STLのFLAシステムによるものじゃないかって思うんだ」

「(・・・流石はキリトだな。いきなり核心をついてきたな)それじゃ、この村の人は全てフラクトライトで作られたのか?」

 

少ない情報で本質を導き出したキリトに驚きながらも話を進めるために質問していく。

 

「ユージオたちはこの世界で一から育ったんじゃないかと思うんだ。多分、生まれたばかりの人・・・赤ん坊の魂とかをコピーして、この世界の中で成長させたんじゃないのか?・・・言うなれば、人の手によって作られたフラクトライト・・・そうとしか考えれば色々と納得がいくんだ」

「・・・人の手によって作られたフラクトライト・・・人工フラクトライトか」

「信じられないことだけどな・・・それに何の目的でこんなことを・・・見当がつかないな」

 

事実を知る俺はその言葉に何も答えることができず、黙ってキリトの話を聞き続けた。

 

「・・・そうだとしら、この世界はどれだけのスピードで加速しているだろうな」

「FLAの倍率のことか?お前の推測通りなら、今もこの世界は現実世界よりも早いスピードで時間が進んでいる可能性があるってことか?」

 

菊岡と比嘉さんの話では、俺たちがダイブ後にFLAを1000倍に引き上げるって言ってたな。つまり、UW今日一日の時間は現実世界では10分も経っていないことになる。そんなことを考えていると、

 

「なぁ、フォン。もし現実世界に戻る前に・・・ここで一生を終えたらどうなるんだろうな」

「・・・っ!?」

 

キリトの言葉に俺は思わず言葉を失った。ここに来る前は、キリトを一人で行かせるわけにはいかない、少しくらいの魂の寿命くらい削っても問題ない、その程度に考えていたが・・・

 

俺はどうやらとんでもない思い違いをしていたらしい・・・もしこの世界で寿命を迎えたら?そもそも、もしHP・・・天命を全損したりすれば・・・?

 

「ログアウト・・・できるなんてオチとは思えないよな?」

「・・・最悪の場合はフラクトライト・・・俺たちの魂にどれだけのダメージが加わるか・・・予想がつかない」

「・・・・・まるでSAOと一緒だな」

 

キリトの推測を聞き、体に寒気が走った。この世界で死を迎えれば、現実世界の俺たちは・・・・・顔色が悪くなった俺を気遣ってか、キリトが話題を変えた。

 

「・・・ともかく。俺たちの目的は一つ・・・現実世界に帰ることだ。そのためにも、菊岡となんとか連絡を取らないといけない」

「この村じゃそれは絶望的だよな」

「ああ。それに大きな街に行くとしても、今の俺たちにそんな装備や準備をするための金もない・・・知識すらも不足してる。だから、この世界の人に協力をしてもらわないと難しいと思うんだ」

「・・・・・ユージオか?」

「ああ・・・まだ天職とか禁忌目録とか分からないことは多いけど・・・俺はユージオに協力を仰ぎたいと思う」

 

キリトの提案に俺も納得がいった。ユージオにも央都に行きたい理由がある。こちらの真意を告げなくとも協力を取り付けられるのではないかという打診もあったが・・・直感だが、ユージオは信頼できると思ったのだ。

 

(まぁ、ユージオのあの無茶苦茶な天職から解放するという無理難題があるが・・・それを考えるのは明日からにするか)

「もう遅いし、今日は寝ようぜ?」

「・・・そうだな」

 

キリトにそう言って、ランプを消そうとする俺たち。ランプのステイシアの窓を開こうとするがなぜか窓が表示されず、手動で火を消すのだと気付いたのはあたふたして5分経ったころだったのは余談だ。 

 

電気を消し、ベッドに入った俺たち。そこで俺は気になったことをキリトに話すことにした。

 

「なぁ、キリト。ベクタの迷子っていう言葉だけど・・・もしかしたらログアウト・ログインのことじゃないのか?」

「・・・えっ?ユージオや村の皆が言ってた言葉のことか?」

「ああ。ベクタの迷子って、いきなり現れたり消えたりする人のことで、その人は記憶を失っている・・・そういう話だったよな?」

「そうか・・・ログアウト・ログインした時に消えるアバターのことか。そして、記憶を失うっていうのは・・・」

「フラクトライトによる記憶のロックだろうな。テストダイブの時、現実世界の記憶はロックされるから、何も知らない人間がいきなりアンダーワールドに放り出される・・・それがベクタの迷子と呼ばれるのかもしれないな」

 

そんな推測を述べながら、俺は他にも気になったワードを相談してみることにした。

 

「それじゃ、『ステイシアの窓』や『テラリアの恵み』っていう言葉に出てくる、ステイシアやテラリアは何の意味なんだろうな?」

「ステイシアはステータスのことだろうけど・・・テラリアっていうのは分からないな」

「ううん・・・天職っていうのは仕事・・・ジョブのことだよな?」

「ふわぁぁ・・・そうだろうな」

 

欠伸を殺しながら答えるキリトの声に俺も眠気を誘われ、そろそろ寝ることにした俺たち。キリトに声を掛けてから俺たちは布団をかぶった。

 

だが、俺はなかなか寝付けないでいた。キリトを起こさないように布団から顔を出し、考え事をすることにした。

 

(気になるのは2点・・・

まずはロックされたはずの俺たちの記憶が残っていること。いくら菊岡が腹黒いといっても、流石にここまではしないだろう。ということは、あっちにとってもこの事態は予想外だってことだろうな。向こうが気付いてくれれば、対処してくれるかもしれないが・・・あっちが認識するには時間がかかるかもしれないし、問題ないとみなされたらこのままっていう可能性も十分にあるしな・・・それよりも、)

 

一番気になったこと・・・倉庫にしまった大剣のことを思い出していた。

 

(あの大剣・・・絶対に菊岡たちが準備したものじゃないよな?ということは、原因は俺なのか?もしかして幻想剣がまた・・・?でも、今回はALOのアバターをコンバートさせたわけじゃないし・・・・・あー!!考えれば考えるほど頭がこんがらがってきた?!)

 

分からないことだらけで俺の頭は完全にパンクした!

 

・・・あまりにも情報が足りなさ過ぎて、とりあえず何かが分かり次第ちょっとずつまとめていくことにした。その内、メモやら日記とか付けていったほうがいいのかもしれない。

 

ともかく、抜くことすらできない剣のことで悩んでしまってもしょうがないし、頭を使ったことで眠気が襲ってきた。

 

(・・・現実世界じゃちょっとしか時間経ってないんだよな・・・木綿季、どうしてるのかな?)

 

木綿季にとってはそう長い時間ではないが、俺にとっては何年になるか分からない冒険だ。一応のことはしてきたが・・・それでも、

 

(俺、耐えられるのかな?)

 

そんな不安が俺の頭をよぎったところで俺の意識は夢の中へと旅立った。

 

 

 

〈Other View〉

「・・・なんじゃ、この神器は?」

 

どこの一室。端から端まで本と本棚で埋め尽くされた空間で、帽子を被った少女がフォンたちが映った映像を見ていた。その姿は幼い姿に合わない賢者のような恰好をしていた。その視線はフォンが背負っている大剣に注がれていた。

 

「それにこやつらは・・・・・外から来た者か。ならば・・・」

 

そう言って、何かを思いついた少女は自身の使い魔である蜘蛛に指示を出し始めた。指示を終えた少女は再び視線をフォンたちに向けた。

 

「それにしても何なのじゃ、あの剣は?ワシでさえ概要が読み取れないとは・・・」

 

その事実に少女はフォンにだけ疑いの眼差しを向けていた。フォンが自分にとって、味方として戦ってくれるのか、敵として立ちはだかるのか・・・それを見極めようとしていた。

 

〈Other View End〉

 




最後に登場したキャラクター・・・
ほとんどの方はもうお分かりだと思いますので、敢えて置いておきます。

大剣の謎はまだまだ深くなりますので、ご推測頂ければと思います。

それではまた。

次回更新 22日0時予定

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