ソードアート・オンライン~夢幻の戦鬼~   作:wing//

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女の子を部屋に連れ込んだキリトに疑いの眼差しを向けるのはもう避けられないのでは?
そんなことを思いながら、前半書いてたりしてました。

それではどうぞ!

追記 お気に入り300突破!&前話で日間ランキングに入賞しました!かなり驚いてます(笑)
今後ともよろしくお願いします!


第11話 「果ての山脈」

(うーん・・・流石にここにある本じゃこれくらいが限界か)

 

ユージオの手伝いを終え、教会に戻ってきた俺たち。

先に風呂に入った俺はシスターアザリアから許可をもらい、この世界に関する歴史やユージオが言っていた神聖術に関する本を何冊か借りた。

 

それをベッドに座りながら一通り読み終えた俺は、思考を纏めるためにベッドに体を預けた。

アンダーワールドにおける大体の歴史は理解した。大まかな流れは菊岡が言っていた通りであり、そこにステイシア神やテラリア神、ソルス神にベクタ神といった逸話が加わった歴史がこの世界での正史らしい。

 

神聖術も形はALOの魔法に近いようだ。呪文を述べることで術が発動する形式らしい。

 

そして、この世界に何故か存在するソードスキルに関してだが・・・どうやらこの世界では流通している剣術の秘奥義と呼ばれている技に置き換わっているようだ。

 

どういった流派があるのか気になったが、それに関する本は教会にはないようだ。更に詳しい本はおそらく大きな街にでも行かないと存在しないのだろう。

 

(神聖術に関しては、明日ユージオにでも聞いてみるか。使えるのなら覚えておいて損はないだろうしな)

 

そんなことよりも、気になったのは禁忌目録と公理教会の存在だった。

 

(菊岡は公理教会が禁忌目録を作ったって言ってたけど、そもそも公理教会って何なんだ?それを作った人物・・・本によれば、公理教会の最高司祭っていう人物らしいが・・・そんな高度な組織を人工フラクトライトが作ったっていうのか?)

 

この世界に来る前・・・オーシャン・タートルで話を聞いた時にはそこまで疑問には思っていなかったが、アンダーワールドに来て、俺の懸念は大きくなっていた。

 

そもそもボトムアップ型人工知能・・・戦争用のAIを生み出そうとしているアリシゼーション計画に、法令順守を強要させる禁忌目録は不都合でしかないはずなのだ。

 

(・・・考えれば考えるほど分からなくなってきたな・・・あっ。でも、アリスはその禁忌目録を破ったってことだよな。

菊岡たちも禁忌目録に逆らったフラクトライトがいたことを確認していたし・・・ということはそのフラクトライトがアリスなのか?)

 

今分かっていることを纏めながら状況を整理していると、部屋のドアが開いた。

 

風呂に行っていたキリトが部屋に戻ってきたのかと思い、体を起こすと・・・キリトと意外な人物が入り口に立っていた。

 

「あれ・・・セルカ?」

「お邪魔するね、フォン」

「・・・どういうことだ、キリト。まさか・・・?」

「ち、違う違う!?誤解だ!セルカに聞きたいことがあって部屋に誘ったんだ!?」

「・・・・・本当か?」

「ほ、本当よ!?」

「・・・そうか」

「なんでセルカの言葉はあっさり信じるんだよ・・・!?」

 

キリトに邪推の目を向けながら尋ねるが、慌てたセルカの言葉に俺は信じることにした。キリトがげんなりした目でこちらを見ているが、4件の前科持ちの言葉を信じろという方が難しいだろう。 

 

セルカをキリトのベッドに座らせ、俺とキリトは俺のベッドに並んで座った。

 

「それで聞きたいことって何?」

「セルカのお姉さんのことなんだけど・・・」

「えっ?お姉さまのこと・・・?」

「ユージオから話を聞いたんだが・・・」

「えっ!?ユージオが話したの?!お姉さまのことを?!」

 

キリトと俺の言葉に食いつくセルカにちょっと驚きながらも話を進めていく。

 

「アリスもこの教会で神聖術の勉強をしていて、6年前に整合騎士に連れていかれたって聞いた・・・ユージオはその時、自分は何もできなかったってかなり後悔してるみたいだったけど・・・」

「・・・そうなんだ。ユージオ、まだアリス姉さまのことを・・・・」

 

どうやらそのことはセルカも知らなかったようだ。セルカの表情が少し沈んでいた。

 

「・・・ユージオが笑わなくなったのは、やっぱりアリス姉さまのせいなのね」

「「ユージオが笑わない?」」

「ええ。いつも暗い顔で、あまり話もしないでしょ?」

「あ、ああ・・・」(そう、なのか・・・?)

 

昨日・今日のユージオの様子から、俺たちはセルカの言葉に驚いた。あの笑顔は無理をして笑っていたということなのだろうか。

 

「だけど、姉さまが村にいた時はいつでもニコニコしてたの。笑顔でない時を探すのが難しいくらいだったわ。でも、今は安息日も家に閉じこもるか、森に出掛けるかでいつも一人ぼっち・・・」

(・・・あのユージオにそんな一面が)

 

セルカからユージオの一面を教えられ、思わず言葉を失った。あんなに優しい笑みを浮かべるユージオが・・・後悔して生きる彼の姿がどこか自分と重なったのだ。

 

真実を告げず、多数の人間に偽りの顔を向ける今の自分と・・・

 

俺がそんなことを考えていると、キリトがとんでもないことを言い出した。

 

「セルカはユージオのことが好きなんだな」

「なぁ!?そんなじゃないわよ?!もう・・・!」

「・・・!キリト、お前、デリカシーってものはないのか・・・」

 

考え事をしていたため、会話に入るのにワンテンポ遅れてしまった。キリトに肘鉄を入れながら突っ込んでいると、俺たちの様子を見てセルカが笑っていた。

 

「フフフ・・・でもね。みんな口には出さないけど、私を見るとため息を吐いていたわ」

「・・・えっ?」

「私を見るとお姉さまのことを思い出すみたいでね・・・なんだか堪らないの」

「・・・気にしすぎじゃないのか?」

「そうかもね。でも、ユージオは私のことを避けているわ。偶に会ってもいつも辛そうな顔をするの・・・姉さまがいなくなったのは私のせいじゃないのに」

 

そう言って、涙を流す彼女に俺は近くにあった布を手渡した。それを受け取り、涙を拭うセルカ。

 

「ゴメンなさい。取り乱したりして・・・」

「いや・・・それに泣きたい時には泣いた方が良いと思うよ」

「キリトの言う通りだ。泣き言くらいなら聞くからさ」

「うん、ありがとう。少しだけ気持ちが楽になったわ・・・人の前で泣いたのは随分久しぶりだったわ」

 

そういうセルカの顔は少しだけスッキリしていた。それを見て、俺たちも安堵した。

 

「それは良かった。それにしても、セルカは強いな。俺なんかこの年でも泣きまくりだぜ」

「・・・キリト。もしかして記憶が戻ったの?」

「えっ!?い、いや!なんとなくそうだったかなと・・・!」

「そ、そんな感じだったってことだよな!うん!」

「・・・そうなの?」

 

記憶を失っているという設定を忘れていた俺たちは慌てて否定した。訝しむセルカに誤魔化すために俺は話を強引に変えた。

 

「と、ともかく!自分は自分ってことだ。誰も他の人にはなれないってことだと思うぞ」

「セルカも自分にできることをすればいいじゃないか?」

「・・・そうね」

 

俺たちの言葉にどこか納得したセルカ。その時、就寝を告げる鐘の音が聞こえてきた。

 

「そろそろ戻らないと・・・」

 

そう言って部屋を後にしようとしたセルカが立ち止まった。どうしたのかと思っていると、セルカが尋ねてきた。

 

「ねぇ。二人は整合騎士がどうしてお姉さまを連れていったのかも聞いたの?」

「えっ?ああ、聞いたけど・・・どうしてだ?」

「私は知らないのよ。みんな教えてくれなくて・・・理由は何だったの?」

 

そう答え、俺はキリトの方を見た。答えるべきかどうか迷い、キリトにアイコンタクトで相談したが、キリトは答えるべきだと判断したようだ。キリトはセルカに6年前のことを話し始めた。

 

「確か・・・果ての山脈を抜けて、闇の国に入ってしまったから、ってユージオは言ってたぞ」

「・・・・・そう。果ての山脈を・・・」

「・・・セルカ?」

 

そう呟く彼女の様子にどこか引っ掛かりを覚えるも、すぐに表情を変えたセルカの言葉に俺は気のせいかと思った。

 

「明日は安息日だけど、ちゃんと起きるのよ!フォンがいるから、私が起こしに来る必要はないんだろうけど」

「俺は大丈夫だが・・・こっちは分かんないな」

「・・・ど、努力するよ」

 

俺の半眼の視線に苦笑いするキリト。そんな様子の俺たちに微笑みながら、部屋を後にするセルカ。

 

俺はこの時、気付いてなかったんだ。セルカの心情の変化にも・・・俺たちがとんでもないことをしてしまったことにも・・・

 

 

 

翌朝

教会の裏側にある井戸で俺たちは顔を洗っていた。

 

「ふう・・・早起きもいいもんだな」

「だろう?休みだからって、寝ているだけなんてもったいないからな」

 

昨日の経験からか、俺と同じタイミングで目を覚ましたキリトとそんな会話を交わしていた。すると、

 

「おはようございます」

「ん?シスターアザリア、おはようございます」

「えっと・・・おはようございます」

 

シスターアザリアがやってきて、慌てて挨拶する俺たち。俺たちに用かと思い、シスターの言葉を待った。

 

「キリトさん、フォンさん。セルカを見ませんでしたか?」

「いえ。今朝は見てませんが」

「セルカがどうしたんですか?」

「朝から姿が見えないものでして・・・礼拝にも来ず、部屋にもいなくて。こんなこと一度もなかったものでして・・・」

「そうなんですか?」

「それは・・・変ですね」

 

シスターアザリアの言葉に思わず首を傾げる俺たち。決まりを遵守するこの世界の住人からすれば確かに考えにくいことだ。

 

「もし見かけたら、教えてくれますか」

「分かりました」

 

そう言って、シスターアザリアは再びセルカを探しに行ったようだ。俺たちも心配になり、捜しにいくことにした。すると、着替えを終えて教会を出たところでユージオにばったり出会った。

 

「あっ、キリト、フォン」

「ユージオ、セルカを見なかったか?」

「朝から姿が見えないらしくて、今から探しに行こうとしてたところなんだ」

「見てないな・・・どうしたんだろう」

 

どうやらユージオも見ていないらしい。ともかくセルカが行きそうな場所を探すしかないようだ。

 

「ユージオ。セルカが行きそうな場所に心当たりはないか?」

「・・・最近あまり話してないから」

「そう言えば、セルカが同じ事を昨日言ってたな・・・待てよ・・・・・・・まさか!?」

 

昨日の会話を思い出した俺は、昨日感じたセルカに感じた違和感が頭をよぎった。

 

(もしこの考えが間違っていないのなら・・・マズイ!?)

 

最悪の考えが頭に浮かび、俺はユージオに詰め寄って尋ねた。

 

「ユージオ!果ての山脈はどこにあるんだ?!」

「えっ!?は、果ての山脈・・・?」

「昨日、セルカにアリスの話をしたんだ!その時、様子が変だったんだ!」

「まさか・・・セルカは果ての山脈に!?」

「もしかしたらだけどな・・・!」

「っ!?それは不味いよ!早く連れ戻さないと・・・!?」

 

昨日の会話を思い出したキリトに答える俺の姿に、ユージオも事情を理解したようで走り出した。俺たちもユージオの後を追った。

 

ユージオの先導の下、川を辿りながら果ての山脈を目指す俺たち。その時、何かに気付いたユージオが立ち止まり、俺たちも足を止めた。

 

「この草、踏まれた跡がある・・・・・天命も少し減ってるから、しばらく前に誰かが通ったのは事実みたいだね」

「やっぱりセルカは果ての山脈に・・・」

「急ぐぞ!」

 

そう言って、俺たちは再び走り出した。岩場を超え、川が流れ出る洞窟へと到着した。

 

「ここだよ・・・ここが果ての山脈。昔、アリスと一緒にきた北の洞窟だ」

「・・・これが果ての山脈なのか」

 

キリトの言葉に俺もその切り立った岩肌を見上げた。果ての山脈というだけあり、険しい壁が続いていた。

 

「僕も初めてここに来た時は驚いたよ」

「この先が闇の国なのか?」

「うん。急ごう、セルカが心配だ!」

 

そう言って、ユージオは懐から草を取り出して、

 

「システムコール・・・ジェネレート・ルミナス・エレメント・アドヒア」

 

ユージオが呪文らしきものを唱えると、持っていた草に光が灯った。

 

「ユ、ユージオ・・・それって!?」

「もしかして、神聖術か?」

「そうだよ・・・と言っても、凄く簡単なやつだけどね」

 

驚くキリトの横で、昨日読んだ本で概要だけは知っていた俺は驚きながらもユージオに尋ねた。簡単な術式であれば、ユージオも使用できるらしい。・・・というか、気になるワードが聞こえたぞ?!

 

「お、お前・・・システムとか、意味は知ってるのか?」

「意味・・・?意味なんてないよ。式句だからね。神様に呼びかけて、奇跡を授けて下さるように呼び掛ける言葉なんだ」

「・・・一種の呪文の扱いってことか」

「・・・というか、神様にお願いって・・・設定が雑すぎないか?」

 

納得するキリトとは対照的に、俺は思わず突っ込んでいた。もう少し設定にこだわれよ!とあの腹黒眼鏡自衛官に物申してやりたいが、そんなことよりも今はセルカを追う方が先決だ。

 

「よし、行こう」

「「ああ!」」

 

ユージオの掛け声に俺たちは応え、洞窟に突入した。

洞窟の中は暗く、かなり温度が低いようだ。息を吐くと白くなるほどの寒さだった。

 

「ううう、寒いな・・・本当にセルカはここを通って行ったのかな?」

「それは・・・見て!この氷・・・」

「誰かが踏んだ跡か・・・セルカがここを通ったのは間違いないみたいだな」

 

セルカがこの先に進んだことは間違いないようだ。確信した俺たちは慎重に進み始めた。

 

「なぁ、ユージオ。もしセルカが闇の国に入ったら、その場で整合騎士が捕まえにくるのか?」

「・・・いや。多分、整合騎士は翌日の朝にやってくると思う。6年前もそうだったから・・・」

「なら、最悪の場合でもセルカを助けるチャンスはまだあるんだな」

「そうだな・・・そうなる前にセルカを連れ戻せるのがベストだが、最悪の可能性も考慮しておくべきだろうな」

 

そう言う俺たちの考えに疑問を持ったユージオが足を止めた。

 

「・・・二人とも、何を考えてるの?」

「単純な話さ。もしセルカが禁忌目録を破ったとしても、一日は猶予があるわけだろう?」

「整合騎士が来る前に、セルカを連れて村からさっさと逃げるんだよ。そうすれば、整合騎士から逃げ切れるかもしれないしな」

「・・・そんなこと・・・できるわけないよ。天職だってあるし・・・」

「元々は俺が口を滑らしたのが原因だ。その責任は取るさ」

「そういうことだ。逃げるのなら俺たちだけで逃げる。ユージオには迷惑を掛けない・・・お前がそれでいいっていうのなら、だけどな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

俺の問いかけに押し黙るユージオ。ユージオもそれが本心ではないのだろうが、禁忌目録に逆らうべきではないという考えが捨てきれていないのだ。その時だった。

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!!」

「今の声・・・!?」

「セルカ?!」

 

悲鳴に反応したユージオが駆け出し、慌てて追う俺たち。すると、開けた場所へと出た。周りのいたるところに氷があることから、ここが昔、ユージオたちが来たという白竜の巣だと理解した。

 

「二人とも、隠れろ!」

 

キリトに続き、氷柱の背後に身を隠す俺たち。キリトの視線を辿り、俺が目にしたのは・・・

 

「あれは・・・ゴブリンなのか?」

「・・・みたいだな。かなりの数だな」

 

キリトの言葉に頷きながら、俺はゴブリンの様子を窺っていた。どうやらどこかを襲ってきた後らしく、略奪した品を整理していたり、持っている鉈から血が滴り落ちていた。すると、奥の荷車に誰かが載せられているのが見えた。

 

(シスター服に金髪・・・間違いない、セルカだ!)

 

セルカを見つけたことを二人にこっそり伝えようとした時だった。俺の視線を辿って、ユージオもセルカに気付いたらしく、俺が止める前に飛び出してしまったのだ。

 

「セルカ!!」

「っ!?バカ!!」「お、おい!?」

「「「「「!?」」」」」

 

ユージオの叫び声に、ゴブリンたちが反応しないわけもなく・・・俺たちの存在に気付かれてしまった。思わず舌打ちしたくなる状況だったが、場慣れしていないユージオに言ってもしょうがないことだと思い、この状況をどうするべきか頭を働かせていた。

 

「おい、見ろよ!また白イウムのガキが3匹も転がり込んできたぜ!」

「どうする?こいつらも捕まえるか!ゲヒヒ、イーヒヒヒ!」

(ゴブリンが・・・あんなに流暢に言葉を!?ただのモンスターじゃないのか?!)

 

モンスターが喋るとは思っていなかった俺は衝撃を受けていたが、そんな衝撃を吹き飛ばすように事態は悪化した。

 

「あぁ!?男のイウムなんぞ、連れて帰っても売れはしねーよ!!面倒だ・・・ここで殺して、肉にしろ!!!」

(でかい・・・親玉か!?)

 

他のゴブリンたちよりも二回り背丈が違う、大剣を背負ったゴブリンが洞窟の奥から姿を現した。俺たちを見て、ゴブリンたちに指示を下し、指示を受けたゴブリンたちは戦闘態勢を取り始めた。

 

「キリト、動けるか?」

「・・・ああ。ユージオはどうだ?・・・・ユージオ?」

 

俺の問いかけにキリトも覚悟を決めたようだ。そして、ユージオに声を掛けたが・・・ユージオからの反応はなかった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ユージオ!しっかりしろ!・・・・・ユージオ!!」

 

キリトの呼びかけに、恐怖のあまり動けないユージオはそれどころではなかったようだ。

このままで不味いと思った俺は、ユージオを落ち着かせるために氷柱に体を引っ張りこんだ。

 

「はぁ・・・!はぁ・・・!」

「落ち着け、ユージオ!」

「はぁ・・・!はぁ・・・!はぁ・・・!」

「聞くんだ、ユージオ!!」

「・・・!キ、キリト・・・?」

 

俺とキリトの叱責にようやく正気に戻ったユージオに早口で作戦を伝えていく。

 

「いいか。俺とフォンでなんとかゴブリンたちを倒す」

「三つ数えたら、前衛の4匹を体当たりで突破するから、お前は篝火を倒してくれ」

「あ、ああ・・・」

「この洞窟は薄暗い。だから、その草を失くすなよ?篝火が消えたら、床から剣を拾うんだ!」

「そして、ゴブリンたちに隙ができたら、セルカを連れて急いで村まで逃げるんだ!いいな?」

「で、でも・・・あんなに大きいゴブリンを相手にしたら死んじゃうよ!?」

「・・・なら、セルカを見捨てるのか!?」

「・・・っ!?」

 

ユージオの心配に、俺は思わず怒鳴ってしまった。胸倉を掴まれたユージオは言葉を詰まらせた。

 

「お前はアリスが連れ去られたことを今でも後悔してるんだろう!今、ここにいるのは俺たちだけだ!整合騎士や村の誰かを待ってたりしたら、今度はセルカを失うことになるんだぞ!」

「っ!?」

「それが嫌だってことはお前が一番分かってるはずだ!青薔薇の剣を引きずってでも、アリスのことをまだ諦めてない・・・それがお前の本心だろうが!?」

 

俺の言葉にユージオは黙って聞き続けていた。そのままユージオの胸倉を離し、俺とキリトは駆け出せるように姿勢を低くした。

 

「それに言っただろう?俺たちの天職は剣士だ。お前が一人で守れないって言うのなら・・・俺たちが一緒に助けてやる!」

「フォンの言う通りだ!セルカを助けるんだ!俺たちで・・・!」

「・・・・・・・・・・・・・分かった」

 

俺とキリトの言葉にユージオも腹を括ったらしく、その表情から迷いと恐怖が消えていた。

 

「1、2,3・・・行くぞ!」

 

キリトの合図と共に、俺たちは氷柱から飛び出した!

 




キリのいいところ考えてこんな形になりました。
初戦闘回は次回のお楽しみということで。
・・・残念ながら、大剣の出番はまだまだ先なのですが・・・

それではまた。

次回更新 4月5日0時予定

100話記念アンケート第2弾! どういったお話がいいですか?

  • そーどあーと・おふらいん むげんのせんき
  • フォンに聞きたい!100の質問
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