仮面ライダージオウ Nexus Future   作:あかLemon

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本編
EP01 2019:タイムレイン


 

───クジゴジ堂───

「ゲンムのウォッチを奪われた!?」

ゲイツからの報告を聞いてツクヨミは目を大きくした。

「ああ。よく分からん2人のライダーが現れてな。1人は"M"とか言ってたか...」

「2人の謎のライダーといえば...」

「我が魔王と私もさっき、謎の2人のライダーに遭遇したね。確か...」

「タイムレイン...」

ソウゴとゲイツは互いの口から同じ単語が出たので、思わず相手の顔を見てしまった。

「その4人のライダーがタイムレインのメンバーってこと?」

ソウゴは壁にある時計を一瞥しながら呟いた。

「そのタイムレインとやらがゲンムのライドウォッチを奪ったと言うなら、アナザーゲンムが街に現れたのも彼らの罠か」

ソウゴの視線の先にある時計を見つめながら、ウォズが言う。

「でも、なんのために仮面ライダーゲンムの力を欲しがったのかしら...?」

「Mという男は去り際、"材料が1つ手に入った"と言っていた...」

「ということは...?」

ウォズとゲイツの視線がソウゴに集中する。

「もうひとつ狙われているウォッチがあるとみていいはずだ。」

ソウゴの言葉に一同は唾を飲み込み、ゆっくりうなずいた。

 

──とある駅前イベント広場───

「おとーさーん、マグロレッドまだー?」

イベントステージの前には、たくさんの親子が座ってヒーローショーの開幕を待っていた。

「みなさーん!こーんにーちはー!」

舞台袖から現れたベージュの服の女性スタッフが、明るく挨拶する。

「こーーんにーちはーー!」

無邪気に子供たちが答える。笑顔でスタッフはシナリオを進めていった。

「みんなでヒーローを呼ぼう!」

ヒーローショー定番、子供たちの声援でヒーローがやってくる場面が来た。

「マグロレッドーー!」

希望と期待に満ち溢れた声援に押され、マグロレッドが現れた。圧倒的な力でステージの敵を倒していく。しかし、突如現れた強敵の攻撃を受け、レッドは倒れてしまった。

「みんなで応援しよう!負けないでレッドー!」

女性スタッフの呼び掛けに応じて子供たちも必死にその名を呼ぶ。

ここで脚本通りなら、レッドが立ち上がり、巨悪を打ち倒すのだ。

だがここで観客の一部や、スタッフが異変に気づく。

レッドがむくっと立ち上がったが、次の瞬間、マグロレッドのスーツはビリビリに破れ、スーツアクターの姿が見えた。

「え?どういうこと?」

ザワつく会場。さらにスーツアクターの顔から、正体である人工知能搭載人型ロボット"ヒューマギア"のパーツが露出した。

その顔は忌々しい骸骨のように変わり、たちまち戦闘員・トリロバイトマギアへと変身した。その傍らには、ナマケモノのような見た目をしたグロッソマギアがファイティングポーズをとっている。そう。レッドを倒した巨悪は、本物の怪人だったのだ。怪人グロッソマギアの攻撃を受けたレッドのスーツの中のスーツアクター型ヒューマギアが、戦闘員に変えられてしまったのだ。

グロッソマギアは長い腕を利用して周囲のスタッフ型ヒューマギアを次々トリロバイトマギアに変え、観客の親子たちを襲わせた。

「マギアだ!」

ちょうど駅にヒューマギアを配備する契約をとろうと営業中だった飛電或人は、猛ダッシュで戦場にかけつけた。

「イズ、このお客さんたちを安全な場所へ」

「承知しました。或人社長」

秘書のイズは、或人の指示を受けると、逃げ遅れた子供たちや、腰を抜かした老婆たちを連れて避難させた。

そして或人はゼロワンドライバーを腰に装着し、黄色いプログライズキーを起動、ドライバーにかざした。

[オーソライズ...]

その瞬間空から巨大なバッタが飛来し、或人の周りを元気に跳ね回る。

或人は大きく腕を回し、ポーズを決めた。

「変身!」

プログライズキーをドライバーに装填。

「プログライズ!飛び上がライズ!ライジングホッパー!A jump to the sky turns to a riderkick.」

リズミカルでクールな変身音と共に、仮面ライダーゼロワン ライジングホッパーに変身した。

 

────再び、クジゴジ堂───

「そう言えばソウゴくん、忍者のお友達最近見ないけど、どうしたの?」

「忍者...?ああ、牛三かぁ、牛三なら旅行中だけど、どうしたのおじさん?」

牛三は、かつて1575年にソウゴたちがタイムトラベルした際、現代にやってきて、そのままクジゴジ堂に住み込んでいた男だ。故郷が恋しくなったので、少しの間だけ里帰りがしたいと、ゲイツに送られて元の時代に帰っている。いつでも連絡が取れるように、既に使われなくなったゲイツのファイズフォンXをもたせているらしい。

「へー、旅行かぁ。また突然だねぇ。元気してるといいけどねぇ。」

順一郎はお茶を自分と、ソウゴの近くと2つ置いた。

「なんかまた物騒なことになってるみたいだね」

「物騒...?」

「ほらー、なんか茶色い、兵隊みたいなのがそこら中に湧いてきて人を襲うって」

アナザーゲンムのことかと一瞬考えたが、茶色い兵隊という言葉にソウゴはどうも引っかかった。

そうしていると、ドタバタと階段を駆け下りてくる音が聞こえた。

「何なにどうしたのゲイツくーん、朝から調子がいいねぇ」

「ジオウ!ついてこい」

「えっ?なにゲイツ突然」

騒がしく階段をおりてきたかと思えば、突然の呼び出しに、ソウゴは口をポカーンと開けたままだった。

「ライダーの兵隊がうじゃうじゃといる」

「え?」

ソウゴとゲイツは1度目を合わせると、そのまま出口を駆け抜けていった。

「えっちょっソウゴくん、お昼ご飯まだ...」

ゆっくりと階段を降りてきたウォズとツクヨミも、順一郎の方には目もくれず、2人を追っていった。

「あっお二人さんソウゴくんに...あちゃー、行っちゃった...お昼ごはん作ってたのに~」

 

「なんだこれ!?数が...」

ソウゴ達はライドプレイヤーが成すライダー兵の軍勢に絶句するしかなかった。

「全てはァ!"M"の召すままにぃ!」

ソウゴにとって聞き覚えのある声だった。

「M...エム...?」

その呼び名に違和感を抱きつつ、聞き覚えのある声の方に視線をムーブさせる。

その先には、1度遭遇したことのある仮面ライダーキュリスことセキエイが佇んでいた。

「Mが言っていた。現世で最も醜いもの。それは令和だとな」

セキエイの隣にタイヨウが並ぶ。

「令和が...醜いもの?」

ツクヨミの声が聞こえたようだ、数人の白服の集団がセキエイ達の後ろに並び立ち、

ゲイツと交戦したシンゲツも、2人の横に並び立つ。そして3人の前に黒と金の玉座が置かれた。

異様な光景に見入る一同。

「昔の私を見ているようで虫酸が走るが、やはりこれは...」

「さあ!仮面ライダー諸君よ!刮目するがいい!」

セキエイが、右手を大きく掲げ、狂ったように笑いながら言い放った。

「ホウジョウエム!さぁ、玉座へ...!」

ソウゴは違和感の正体を完全に突き詰めた。そしてそれはウォズの内心をもっと抉るものに違いないと確信した。

かつて、常磐SOUGOが玉座に座ったあの日。ウォズとは誰なのかが分かったあの日。あの日がフラッシュバックする。

「ホウジョウエム...やっぱり...!」

ホウジョウエムが、ソウゴの知る仮面ライダーエグゼイドこと宝生永夢を指しているわけではないことは、すぐに察した。

ゲイツが出会った、"M"なる人物。その男はゆっくりと、一歩一歩を踏みしめるように玉座に近づき、ゆっくりと腰掛けた。

「今日が宝生EMが最高神として君臨する日、平成の記念日となるだろう!」

シンゲツは左腕を掲げながら高らかに宣言した。

「平成の記念日?今は令和じゃ...」

ソウゴのつぶやきに、ウォズが勘づいた。

「醜いものは令和...まさかタイムレインとやらの目的は...!」

「流石は元クォーツァー・ウォズ。その通りだ!」

EMは適当に拍手をしながら、玉座から立ち上がり、余裕の表情を浮かべ、こう言い放った。

 

「2019年5月。令和という時代が始まり、殺人、放火、テロ、災害。混沌の時代と呼ばれた平成が終わっても街は平穏どころかむしろ崩壊に拍車をかけた。令和の存在が地球を汚した。だから」

「...だから、なんだ」

ゲイツは険しい表情で聞いた。

「令和という時代をこの世から抹消し、平成31年を存続させる」

「そんなこと、許されると思ってるの?」

ツクヨミの怒号を鼻で嗤い、EMは続けた。

「俺たちは時間を歪ませる力を手に入れ、令和にまつわる全てをこの世から消し去る。その為に、宇宙にコミットし時の概念を歪めるゲンムのライドウォッチを手に入れた。しかし、まだそれだけではあの強大な力は使えない。エグゼイドの...天才ゲーマーの力を宿したライドウォッチが必要なんだ」

シンゲツが、EMの右手に何かを渡し、続きを説明した。

「しかし我々タイムレインは、平成の産物である君達平成ライダーと敵対したい訳ではない。素直にエグゼイドウォッチを手渡してくれるなら、今後一切襲撃しないと誓う」

「...そう言って我々が素直に頷くとでも思ったのかい?」

怒りに震えた声で、ウォズが突き放した。

ソウゴ達もタイムレイン一行を睨みつけた。

「言ったはずだジオウ・ウォズ。我々は平成ライダーを過去の遺産にしたくないと。平成が続けば、君たちは過去のものにならずに済むんだよ?」

セキエイはそう言いつつ、その表情は"想定内の返答だった"と言わんばかりに笑っている。

「なら、こうするまでだ」

[ダイアクス!]

EMは右手に持ったダイアクスライドウォッチを起動すると、ジクウドライバーに装填、大きく振り回した両手を右肩あたりに構える。

「変身!」

「このポーズは...」

ソウゴが、かつて見た、永夢の変身ポーズとまるで同じ。EMがジクウドライバーを回転させると、背後の時計に巨大な"ライダー"の文字が現れた。

[ライダータイム!仮面ライダー!ダイアクス!]

仮面ライダーダイアクスに変身したEMは、右手の親指で胸アーマーの歯車をなぞると、ガシャコンタイムブレイカーを召喚し、ソウゴの方へゆっくり歩み寄っていった。

「ここは俺に任せて、ライダー兵を頼む」

それを聞いてゲイツ達はその場を離れる。ソウゴはジオウライドウォッチとグランドジオウライドウォッチを起動し、ジクウドライバーに装填して変身した。

[祝え!仮面ライダー!グランド・ジオーウ!]

サイキョーギレードを構え、ジオウもダイアクスの方へ近づいていく。

「フンッ!」

2人の初動は全く同じタイミングだった。つばぜり合いになり、ジオウが押し負けた。キックを浴びてよろけてしまう。

隙を見て、ダイアクスは風魔ライドウォッチを起動した。

風魔ウォッチの力で2体の忍者プレイヤーが召喚され、グランドジオウを攻撃する。さらにガシャコンタイムブレイカーによる追撃もハマり、3人の猛攻で吹き飛ばされる。

ジオウはエグゼイドを召喚しようとレリーフに一瞬手をかざしかけた。ここで、先程の戦いのワンシーンがフラッシュバックし、手を離す。ゲンムウォッチの力でエグゼイドの力が相殺されることに気がついたのだ。この迷いの時間が大きな隙だった。ダイアクスはパラドクスウォッチの力で高速パンチを炸裂させた。さらにポッピーライドウォッチを起動し、大量の楽譜型ビームをジオウに浴びせた。

[フィニッシュタイム!タイムストライク!]

EMはジクウドライバーを回して必殺技を発動させる。右脚に闇のオーラを纏わせ、天空から急降下しながら連続キックを繰り出した。

「うぐわぁぁぁぁぁあ!」

最後の一段でグランドジオウは突き飛ばされ、強制的に変身を解かれた。

「我が魔王!」

駆けつけたウォズが、咄嗟にストールを伸ばしてソウゴを拾い、一同はここで退散した。

「なっ!まあいい、焦ることは無い...セキエイ、このウォッチを君に預ける、騎士を連れてこい。」

「"騎士"ね、了解した」

それだけ言ってセキエイ、タイヨウ、シンゲツはその場を後にした。

 

とある喫茶店、黒いスーツに赤いシャツの男は、コーヒーに角砂糖を溶かしながら、傍らの新聞に目をやり、ずずっと1杯を口にした。

マドラーでクルクルとコーヒーをかき混ぜつつ、店の角にあるテレビに目を移す。

そして胸元から数枚の写真を取りだし、じっくりと見つめてポケットに戻した。

「だいたい分かった。」

門矢士は残りを飲み干して、マスターにごちそうさん、とだけ言って喫茶店を出た。

 

「お宝の予感がするなぁ。」

この男もまた、次なるお宝に目を輝かせていた。

 

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