仮面ライダージオウ Nexus Future   作:あかLemon

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エピローグ
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「こうなることはわかってたんだよね...ごめんね、EMくん」

タイヨウ、シンゲツ、そしてダイアクス=宝生EM。ともにタイムレインとして平成の存続、令和の抹消を果たすべく戦ってきた同志たちの最期を、倉庫裏で見届けたキュリスは、彼らの遺品と化したライドウォッチ達を回収していた。

「ループベントでみた未来ではEMは神として君臨することは叶わなかった。ある程度その未来が確定しつつあると踏んだ時点で撤退して正解だったよ、マヌケ共」

ダイアクスが落としたエボルライドウォッチを拾い上げ、語りかけるように優しく呟いた。

「マヌケはどちらだろうな?」

「...檀黎斗?」

背後に聞き覚えのある声を感じてキュリスは振り返った。そこには憎しみと嗤いが入り交じった表情で、タイムレインの傀儡として使われていた檀黎斗が佇んでいる。

「お目覚めか。まあいい、君に用事はないし、消させてもらうよ」

「消せるものなら消してみろ。私を利用した罰だ...少しモルモットになってもらう!」

そう言うと黎斗はゲンムライドウォッチを取り出し、自慢げにキュリスに見せつけた。

「ゲンムウォッチ?...ああ、あいつの遺品か。それをどうする気だ?お前にライダーの記憶なんてないはずだろ?」

「侮るな。神の才能を」

[ゲンム!]

ゲンムウォッチを起動すると、ゆっくりと目を閉じる。大きく息を吐くと、カッと目を見開いた。

「ブゥゥゥン!」

吠えながら、ウォッチを胸元に押し付けた。ウォッチが変化したオーラの一部が変身ベルト・ゲーマドライバーとなって黎斗に装着される。さらに紫の禍々しいオーラは広がり続けていく。

「??」

次の瞬間、キュリスは愕然とした。

紫のオーラが消え去った時、黎斗の胸元にあったのはひとつのガシャットだった。

「なっ...!」

「フフフ....」

[ゴッドマキシマムマイティX!]

ゴッドマキシマムガシャットが起動され、ゲームエリアが一面に広がっていく。

「グレードビリオン。変身」

ガシャットをゲーマドライバーに装填し、レバーを展開する。左の手首でガシャットの天面のボタンを押すと、仮面ライダーゲンムへと変身した黎斗をゴッドマキシマムゲーマが飲み込み、黎斗は仮面ライダーゲンムゴッドマキシマムゲーマーレベルビリオンへと変身を遂げた。

 

「私のレベルはビリオン。レベル...10億だ!」

「何故...何故だ!そもそもお前にはライダーの記憶がないはず...!」

「簡単なことさ。他の時間軸とこの世界の時間軸が融合した時、仮面ライダーエグゼイドにまつわる歴史が消えていない時間軸も融合した。その時間軸における2023年、エグゼイドに敗北する寸前だったその世界の私...バグスターである檀黎斗IIが、その融合のタイミングで意識を失っていたこの世界の私に"感染"した。今は時間の歪みが修正され黎斗IIは元の世界に戻ったが、去る前に私と互いの記憶を共有したのさ。あくまで各世界各時間軸の混在が解消されただけで、時間の歪みが起きた事実そのものがなかったことになった訳では無いからね...、共有された記憶は保持されるのさ。

だから今の私にはゲンムの記憶がある」

「なんだと...ならば!」

キュリスは武器を構え、

「ループベント!」

と叫んだ。しかし、一向にループは始まらない。

「なっ?」

「フンッ!ハァッ!」

動揺するキュリスの隙をついてゲンムが飛び込み、胸ぐらを掴んで掲げた。

「宇宙は時の概念を歪める、君たちがいちばんよく知っていることのはずだ。私は...宇宙にコミットしている」

片手でキュリスを掴んでクルクルと腕を回すと、砲丸投げのように放り投げてしまった。

「コズミッククロニクル、起動!」

コズミッククロニクルの能力で降り注いだ無数の隕石が落下したキュリスを追撃する。

ゲンムは腕を伸ばして彼の元へ高速移動すると、また胸ぐらを掴んで天空へ放り投げた。

「うわぁぁぁぁ!」

宇宙空間に投げられてしまったキュリス。ゲンムもジェット噴射で宇宙に到達した。

「これで、ゲームオーバーだァ!」

[ガッチョーン!カミワザ!]

ゲンムはゲーマドライバーのレバーを一旦閉じ、再び展開した。

[ゴッドマキシマム!クリティカルブレッシング!]

伸縮自在の脚を大きく伸ばし、月に接続した。そのまま月ごとキュリスに突進する。

「神の恵みを、有難く受けとれェェェェェ!」

「何!ぐわぁぁぁぁ!」

 

─クジゴジ堂─

「大変だよソウゴくん達!月が!月が!」

常磐順一郎が、目を大きく見開き、心霊現象でも見たのかというくらいにガタガタと震えながらクジゴジ堂の入口から叫んでいる。

「おじさんお帰り、どうしたの?」

「ソウゴくん、つ、月が、ととと、とんでもない速さで動いてる!」

「何ぃ?」

聞きつけて、ゲイツもやってきた。

ツクヨミも慌てて駆けてくる。

「月が動いてるだと?」

ウォズもゆっくりと寄ってきた。

「別になんてことないけど?」

外に出て確認してきたソウゴがキョトンとした顔で帰ってきた。

「そんなこと...あれ?」

順一郎がもう一度確認した時、月は本来あるべき方角にあった。

「私にも、特に異変は感じられないが...?」

「あれぇ、僕ちょっと疲れてるのかな?」

順一郎は不思議だ、というように頭を抱えた。

「おじさん働きすぎなんじゃない?ゆっくり休みなよ」

「ラベンダーの香りだ。リラックスして快眠できるぞ」

そう言いながらゲイツはパタパタと香料をうちわで扇いでいる。

「ゲイツ、それどっから取ってきたのよ」

「ハハハハ!」

ソウゴ達の顔には、満面の笑みが浮かんでいた。

─飛電インテリジェンス─

「いやぁ参ったよイズ」

「お疲れ様です或人社長。」

社長室の椅子に腰掛け、或人はぐったりしていた。

イズはそんな或人をよそ目に散らかった机の上を整理し始めた。

「にしても、"令和の象徴"だってよ俺。いやー、参ったなぁ!人気者はやっぱ、つれーわ!」

自分で言っておいて少し照れたのか、自分の茶髪を右手で掻きながら笑顔で語っていた。

「今のは、"令和"とつ"れーわ"をかけた、非常に面白いジョーク」

テキパキと整理を終えたイズが右手を掲げて言い始めた。

「えっ?」

「はいっ、アルトじゃ~ないと!」

くるっと回って人差し指を突き出す、決めポーズがビシッと決まった。

「別にギャグとかのつもりじゃないから!あとそのポーズ!お願いだからそれやんないで~!」

恥ずかしくなって、ジタバタとあがいてしまった。その手が当たって書類が次々に床に落ちいく。

「うそーーーーーん!誰か助けて~!」

情けない悲鳴が社長室にこだまする。

令和を背負う若社長の激務はまだ、始まったばかりだ。

─倉庫─

圧倒的な威力を誇るゴッドマキシマムクリティカルブレッシングを受けたキュリスはそのまま爆散し、ライドウォッチだけが地上に遺った。

変身を解除した黎斗はゲンムウォッチに1度キスをして、口角を大きく釣り上げた。

「やはり私は...不滅だァ!私こそが...最高神だァァァァ!ブーハハハハ!」

地球の裏側まで聞こえるくらいの高笑いをしながら、黎斗はそのまま倉庫を後にした。

彼に待つ未来は、神としての君臨(ハッピーエンド)か、人としての腐敗(バッドエンド)か。檀黎斗の運命は、まだ誰も知らない。

 

「へー、あらゆる星を喰らい尽くす宇宙最強の力ねぇ。なかなかのお宝じゃないか」

黎斗が去っていったのを確認してから、金髪に白いコートの男が、傷だらけのエボルライドウォッチを拾い上げてポケットにしまった。

「また性懲りも無く泥棒か。まったく、飽きないやつだな、海東」

「士!」

門矢士が、首にかけたマゼンタのカメラに戦火の跡をおさめた。

「この世界の歪みは正された。もうこの世界に用はない」

「僕も、めぼしいお宝はあらかた手に入れた。この辺でお暇するとしようかな」

士は、オーマジオウの...2019年に誕生した、最高最善の魔王の写真を見て、僅かに笑みを見せた。

「僕はこの世界、なかなか楽しかったよ」

「俺は災難だったがな」

「さて、次のお宝はどこかな」

最後にもう1枚だけ、"この世界"の風景をカメラにおさめると、2人はオーロラの中へ消え去った。

 

「ところで我が魔王。野暮かもしれないが...これからもオーマジオウとして君臨するつもりかい?」

「うん。ゲイツや、ツクヨミや、ウォズがいて、今の俺があるんだ。みんなが、俺が最高最善の魔王になれるって思うなら、そうなんだと思う。今の俺なら...なんか行ける気がする!」

「それでこそ..."我が魔王"だ。」

本当なら、ウォズが付き従うのは"常磐ソウゴ"では無いはずだった。しかし今この瞬間、彼は改めて感じた。自分の意思で、ソウゴについたのは、間違いなく自分の中では正解なのだと。この男に付き従うことこそが己の幸せなのだと。そしてそれは多分自分だけでなく、ここにいるゲイツやツクヨミも同志に違いないと。

「よし、みんなお腹すいたでしょ。今夜は派手に、すき焼きでもやっちゃおうか!」

「やったー!」

その日は、クジゴジ堂に笑いが絶えることはなかった。

 

────

「かくして元・普通の高校生常磐ソウゴは最高最善の魔王オーマジオウとして君臨し、世界は晴れて令和を迎えました。我が魔王の覇道と、令和の1号ライダー、ゼロワンの活躍に今後もご期待下さい」

 

「祝え!混沌の時代を乗りこえ誕生した新たな時代、その名も令和!次なる歴史の、最初の1ページである!」

ウォズが天高く掲げたボードには、力強く

新時代の名が刻まれていた。

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