D story   作:Azzoo

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前回までのあらすじ。
魔女の儀式は、その地方ならではのものだ。
こんなことは、本来ではありえない。だが、そこが魔女と人間の違いなのだと思う。











この話は、動画化の活動報告をする前に書いていたものです。
これからは、更新が超スローペースになります。首を長くしてお待ちいただけると、幸いです。


第43話「パペットマスター」

――――翌日 午後21:00 塩那峠頂上―――――

魔理沙は結局、昨日の夜感じたざらつきが何かわからなかった。

だが、アリスを見ると、すごくざらつきが激しくなった。

 

魔理沙は今、FDの中で気持ちを落ち着かせてる。

魔「まだざらついてる…。」

 

ハク「何を血迷ってるのさ。」

 

魔「やらなきゃいけないことはわかってるんだ…。」

 

ハク「やるしかない。そうでしょ?だったら全力でやってやろうじゃん。」

 

魔「ああ・・・・。やってやるさ。」

 

そういった魔理沙は、FDの中から出る。

霊「あ、魔理沙。どう?少しはましになった?」

 

魔「あぁ。少し…な。」

 

霊「やっぱり完全になおらない…か。」

 

魔「ま、でもやる気は出てきたから大丈夫だ。行けるぜ、レミ。」

 

レ「ええ。じゃあ行かせるわ。」

 

魔「じゃ、行ってくるぜ。」

 

霊「勝ってきなさいよ?」

 

魔「当たり前だろ♪」

 

FDに乗り、走り出す魔理沙。下にはいつも通り咲夜がいる。

FDが駐車場を出ると、レミリアがMRS側に行こうとする・・・が。

もうアリスのエボⅣの姿はなかった。

 

レ(あ…れ…?おかしいな…。)

 

――――塩那峠 ヒルクライムスタート地点―――――

2台のフロントライトがスタート地点に来る。

咲「お、魔理沙が来た。」

 

フ「あれ?もう1台来るよ?あれってアリス?」

 

咲「そうですね。」

 

FDとエボⅣが、進行方向に一度向かい、ターンして戻ってくる。

そして、咲夜とフランがいるところでぴたりと止まる。

魔理沙がFDから顔を乗り出して、咲夜に話す。

魔「なぁ…咲夜。」

 

咲「何?」

 

魔「さっきから気になってたんだが…。アリスから何か出てないか?」

 

咲「え?特に何も出てないけど・・・・。」

 

魔「そうか…。」

 

そういうと、魔理沙はFDから降りるそぶりを見せ、再び乗り込む。

すると、アリスも同じようなそぶりを見せる。それを見た魔理沙は、顔色が変わった。

 

魔(フッ。そういうことか。やっとわかったぜ。この気持ち悪さの意味。)

「いいぜ。咲夜。始めても。」

 

咲「え、ええ。それじゃ、カウント行きます!」

 

「5!4!3!2!1!GO!!」

 

エボⅣ先行、FD後追いでバトルが始まる。

 

勢いよくスタートした2台は、軽いコーナーをいくつか抜ける。

迷いがないFDの動きにも、アリスは動じなかった。せっかくの魔理沙とのバトルなんだから、私の本気絵おきちんと見せてあげないとね。そんな走りだった。

 

ハク「さすがにエボだね。結構速い。」

 

魔「そうか?私はそういう風に見えないけどな。」

 

ハク「どういうこと?」

 

魔「じきにわかるさ。こいつの『本当の姿が』な。」

 

ハク「……?」

 

2台は一つ目の折り返しに入る。

1つ前のコーナーを抜けたところから減速していった魔理沙に対し、アリスはコーナー前35M前ほどで急にブレーキをかける。

 

魔(あいつの走り方は…あんなもんじゃない。私とは紙一重の違いで、コナー出てすぐにブレーキかけるのが私で、10Mほどでブレーキかけるのがアリスだったはずだ。…ま、そんなことばかり気にしててもらちが明かないんだけどな。)

 

折り返しヘアピンの後は、中速セクションが3段目まで続く。

魔「ハク。じきに見えるといったが、もう見えてくるぜ。」

 

ハク「え?」

 

魔「次の折り返し、そしてそこからは岸壁から目を離すなよ。」

 

ハク「う、うん。」

 

中速セクションでアクセル全開にするFD。中間でエボが体制を崩し、その隙をついてFDが前に出る。

 

魔(さて…前に出れたのはいいが、問題はここからだ。とにかくもっと離しておこう。)

 

アクセル全開でコーナーをひょいひょいと抜けるFD。そして、2つ目の折り返しに入る。

ハク「ここから…?」

 

魔「ハク。融合できるか?」

 

ハク「いいけど…どうして?もう前に出てるよ?」

 

魔「私と同じ視線で見た方が分かりやすいし、もっと離しておきたいからな。」

 

ハク「う、うん。」

 

そう会話を交わすと、FDが光りはじめ、光の中から白いFDが現れる。

白魔「さて、攻めるか!」

(う、うん。)

 

アクセルを踏みこむ。当然前にぐんぐんと進む。

あっという間に3つ目の折り返しポイントに付く。エボがぴったりと張り付いている。

すると、折り返しのポイントの岸壁に、本来エボの中にいるべきアリスがいたのだ。

 

白魔(!!)

「分かっただろ?あいつはアリスじゃない。おそらくあいつの人形。蓬莱か上海だろう。」

 

(…え!?あれって…人形が操ってるの!?)

「そうとしか考えられまい。」

 

(た、たしかにそうだけど…。)

 

すると、アリスにも魔理沙の姿が見えたのか、折り返しの後、ブーストをかけたようにエボを加速させた。

白魔「やはり来たか…。だが、そっちの動きは想定済みだ!!」

 

FDが加速する。白いFDの加速はすさまじい。なにせ、VS文戦で体制を崩した文を速攻で置いてきぼりにしたほどだから。

 

――――3つ目の折り返しの岸壁。

パ「まったく。あなたも大胆なこと考えるわね。」

 

ア「当然よ。魔理沙と直接バトルだなんて、私にはまだ不向きだもの。」

 

パ「不向き?あなた、魔理沙を愛してたんじゃないの?」

 

ア「当然魔理沙のことは好きよ。実力でまだ追いつかないって面もあるし、私はこっち側のほうが速く走れるのよ。」

 

パ「ふーん。不思議なものね。実際に走るより、いいタイム出るなんて。」

 

ア「だから私はこう呼ばれるのよ。」

 

 

―――――『パペットマスター』ってね。

 

 

バトルはいよいよ終盤に入る。

スパートをかけたエボのペースに合わせて、FDも加速する。

 

当然、アリス(上海)のほうは人形のため、マスター以上のことはできないし、指示以上のことには対処しようがない。

 

アリスには、前を走るFDの姿は見えていた。だが、それ以上アリスはペースを上げなかった。

 

攻めて魔理沙とは正々堂々バトルしたい。私がこのエボに乗ってることがばれたって、それで魔理沙は降りて文句を言うような人じゃない。だから、私は私なりにやれることをやる。それがこのバトルで見出す、私なりの見解だから。

 

バトルはそのまま決着がついた。エボは永遠とFDの後ろをつけていた。

 

それで、アリスは満足だったのだろうか。正々堂々バトルするとは、どういうことなのか。はっきりとけりをつけたい魔理沙は、頂上に戻ってきた魔理沙に喝を入れる。

魔「アリス…。お前にとって正々堂々とはなんだ?」

 

ア「もちろん。こういうことよ。私は私にしかできないことをやる。それが私がこの世界でやる目的みたいなものなのだから。」

 

魔「ふーん。」

 

なぜか納得してしまった。

冷静に考えると、そうだ。私自身の考えを押し付けることはよくない。

むしろ、いろんな人のことを聞くことで、良いドライバーになれる。

そう理解したからだ。


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