僕は幻想郷に入ってはいけなかったかも知れない。 作:敗北勇者
その日の後、魔理沙は来なくなってしまった。
霊夢が人里にいっている間僕は考え続けた。これが本当の愛なのかと。
愛人が外に出ることを拒否することが本当の愛なのかと。
しかし、魔理沙の言葉を信じたくはなかった。
何度も言い聞かせた。これが愛だと。
初めて僕に愛を教えてくれた霊夢を否定したくなかった。
でもいつか終わる、と深刻な顔で呟いた魔理沙を思い出すと、どうしようもない気持ちになるのだ。
でも、そんなことを言ったら霊夢に嫌われてしまう。
せっかく手にいれた愛を失うのは嫌だ。
結局霊夢に言い出せないまま、今日も縛られながら答えを探すのだ。愛とはなんなのか。僕はこのままでいいのか。
答えが出ないまま日は過ぎる。
僕はだんだん精神が疲労していくのを感じていた。
霊夢には相変わらずしたがっていたが、すれ違いが多くなっていた。
「ねぇ、最近どうしちゃったの?」
「うん?いや、どうもしてないよ?」
「なんか最近私に冷たくない?永遠のアイh...」
「大丈夫だって。僕は霊夢のことが大好きだよ?」
「それならいいんだけど...なにかあったら必ず私に言うのよ?」
「邪魔者は排除しなキャ...」
「うん?なんかいった?」
「いいや、大丈夫よ?」
霊夢と話すのが億劫になり、毎日が疲れていた。
これは魔理沙の言う通りだ。
でも、霊夢には言い出せないよ。
誰か、誰か......
何ヵ月たっても答えは出なかった。
もうどうだっていい、と思い始めていた。
今日も縛られている。もう馴れてしまったため、苦痛を感じることはないが、肉体は絶えず解放を求める。
それらを押し込んで、眠りにつこうとした時。
バァーン、となにかが吹き飛ぶ音とともに、ガラッと障子が開かれた。爆発音とともに発した強烈な光に目を潰されていたが、
「よぉ」
と聞き知った声はしっかり聞き取ることができた。
「......魔理沙」
「どうした。いつもの元気はどうしたんだ?」
まさか、と魔理沙はニヤリとし、
「私の予言が当たったな?」
「どうやらそのようだよ。もう疲れちゃった...」
「霊夢もお前への執着心がえげつないな。ここの博麗神社の回りに結界が張られてたんだ。パチュリーとかに頼んで壊してもらおうかと思ったんだができなくてな。最終的には霖之助につくってもらったミニ八卦の強化版で破壊したんだ。ってなに泣いてんだ?」
久しぶりに孤独から解放されたようで、自然と涙腺が緩んでしまっていた。
「ほらほら、見苦しいぜ。はい、私のハンカチ。」
「うう、ありがとう......」
僕が泣き止むと、魔理沙はまた来るな、といって帰っていった。
頑張れ、と言葉を残して。
僕は魔理沙の言葉に勇気付けられ、霊夢に言い出すことにした。
別れよう。と。