僕は幻想郷に入ってはいけなかったかも知れない。 作:敗北勇者
魔理沙が帰っていった後、僕は別れの言葉を考えていた。
どうにかして霊夢を押さえつつ別れたいのだ。
普通に別れよう、と言ったのではダメだ。
考えに考えを重ねた僕は、幻想郷に来た理由がわかり、帰ることになった、と言うことにした。
これなら霊夢にも納得してもらえる。
何時でもここにこれる、と言えばさらにだ。
そんなことを考えている内に、霊夢が帰ってきた。
「ただいま...」
「お帰り~」
霊夢の声に何時もの元気がなかったことさえも僕は気づかなかった。
ガラッといつものように障子をあけ、入ってきた霊夢は、僕の前に座った。
ん?どうしたんだ?
「零悟。ちょっとお話があってネ」
「ん?どうしたの?」
これは霊夢の方から言い出してくれるかもしれない。
だとしたらこれは素晴らしい。
「今日、ここに魔理沙が来たでしょ?」
「えっ?」
な、なんで知ってるんだ?あの時確かに霊夢は人里に...
「あのね。私が人里にいっている間あなたを見ていない訳じゃないの。貴方が逃げないように、離れていてもずっとそばにいられるように...私は工夫してるのよ?」
そう言って霊夢が取り出したのは、カメラと盗聴器だった。
「これに貴方の画像と音声が入ってるわ。貴方が魔理沙のハンカチで涙を拭いているところや、寂しいと泣きじゃくっているところもね...」
僕は冷や汗が背中を伝うのを感じていた。
これはヤバイ。僕がやっていることは正真正銘不倫だ。
魔理沙の言う通り、僕に執着してるのだとしたら、これは本当にヤバイことになる。
「ねえ。聞いてもいい?私と魔理沙。どっちが好き?」
僕は即答出来なかった。
霊夢は確かに僕に愛を与えてくれた。
が、その愛はなにか違うような気がする。
魔理沙との関係はあまりないが、短い期間でも、なにか別の愛を感じた。
「すぐに答えられないのね。気持ちが動揺している証拠だわ。」
さっきから墓穴ばっか掘っている。
今のは考えずに霊夢、と即答すればよかった。
「ねえ、貴方は私に永遠の愛を誓ったんじゃないの?なんでそれを魔理沙なんかに崩されるの?私たちの永遠、はそんなに儚いものだったの?」
「ネェ、コタエテヨ...」
「違っ違うよ!そんな訳じゃ...」
霊夢のマジトーンに怯えながら必死で抵抗する。
「これが、最後よ?」
「私と魔理沙。どっちが好きなの?」
この問いは僕が何ヵ月たっても出せなかった、どっちが本物の愛か、と言うのに繋がっている。
僕は頭を抱えた。ここで、霊夢、と即答したら、僕の未来は押し潰されてしまいそうだった。
どっちが、どっちが本物の愛なんだ......?
そして僕は。
「......魔理沙。」
と呟いた。霊夢の愛は本物ではない。魔理沙がいっていた通り、これはただ一方的に愛されているだけ。
僕はそれに惑わされていたんだ、と。
「貴方は魔理沙を選ぶのね。」
長い沈黙の後、霊夢は口を開いた。
その目には涙がたまっていた。
「どうして?貴方はそんな人じゃなかった!私に永遠の愛を誓ってくれた。違う!貴方はそんなことを言う人じゃない!返せ!カエセ!この偽物が!私の零悟を返せ!」
「お前は零悟なんかじゃない!シネ!シネ!コノニセモノガ!」
僕は避ける暇なんかなかった。あっと言う間に血走った目の霊夢が包丁をもって接近し。
グサッグサッ
「シネ!ニセモノ!」
グサッ
グサッ
グサッ
グサッ
僕は断末魔の叫びをする暇もなく。
グサッ...
その後、黄色い服を着た少女と、赤い服を着た少女が折り重なって死体になっているのを近隣の住民が発見。
赤い服を着た少女は、首を吊っており、
黄色の服の少女は、首が無惨に切られていた。