僕は幻想郷に入ってはいけなかったかも知れない。 作:敗北勇者
第六話
能面は歌う。死んでしまった少年を生き返らせる為に。
能面は歌う。まだ少年が知らない愛を教えるために。
能面は歌う。新たな幻想郷を作り直すために。
..................
「......ん?」
ここは、どこだ?
まず感じるのは美味しそうな匂い。
雑多な物がたくさんならんだ部屋。
どうして僕はここに?
......なんか思い出せそうで思い出せないな...
覚えているのは、赤い服。なんだ?赤い服って。
すると足音が聞こえた。そちらを振り向くと。
「う、うわっ...起きてたんなら一言声かけてなんだぜ..」
黄色い服の少女が。
どっかで見たこと有る。絶対に。
なんだっけ?あの赤い服と関係があったようななかったような。
「......君は?」
「私は霧雨魔理沙。お前は道端に転がってたから拾ってきたんだぜ?」
道端で転がる理由が全く思い付かないが、取り敢えずありがとうと返した。
てか何でこいつはさっきから顔が真っ赤なんだ?しかも僕の顔ずっと見てるし。
「えと、僕の顔になんかついてる?」
「え??あ、いやなんでもないよ...それより、はい、これ。」
霧雨魔理沙と名乗った少女はお粥を渡してきた。
「気分悪そうだからこれを飲んで少し落ち着いてよ。」
「いいの?ありがとう!」
「い、いや、これはお前が可哀想だなとかそう言うこと思って渡してるんじゃな、ないからな!ただ材料が余ってたから、作っただけだからな!」
え、えぇ、唐突になにを言ってるんだ?そういうことされると余計つっこみたくなるんだが...
いや、て言うか可愛いな、普通に。
こんな少女の家にいれるだけでも幸せだ。
「じゃ、じゃあ私はまた家事をしてくるから、お前はゆっくり寝てるんだぞ?疲れてるだろうから。」
そう言って魔理沙は部屋を出ていった。
なんなのだろう。久しぶりに心が温かくなった。
僕は冷えた手を暖めながら早速いただくことにした。
「いただきます。 ふぅ、やっぱりあったかい物は落ち着くな...」
魔理沙、ほんとに大丈夫かなぁ?顔真っ赤だったけど...
いや、普通に可愛かったな...
「......なにニヤニヤしてんだ?」
「ふぇ?」
思わず変な声が出てしまう。
「ま、魔理沙?ずっと見てたの?......魔理沙?どうしたの?僕の顔見て。」
「い、いや。なんでもないんだ。ただ、可愛いなって(ボソッ)」
「ん?なんかいった?」
「いや、なんでもない。それより、まだお前の名前を聞いていなかった。名前、なんて言うんだ?」
「そういえば言ってなかったね。僕は零悟。よろしくね」
「よし零悟。これからよろしくな?」
......あれ?これから?僕は1日だけにしようと思ってたんだが......
まあ、いいや。