ヒロアカ×ダンベル何キロ持てる?   作:名無しの眼鏡

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ふっと湧いてきた一発ネタ。
もし緑谷出久がシルバーマンジムに入会していたらというお話。


体鍛えてみる?

「ヒーローになる為に鍛えたい?」

「はい」

 

 目の前の爽やかな青年に返事を返す。

 

「なるほど、確かにシルバーマンジムは体を鍛えるという点においては最適な環境を提供する事が出来るからね。緑谷君はどんな戦闘スタイルの格闘技を身に付ける予定かな?」

「特にこれといった武術は決まってはいませんがパンチをメインにする格闘技を身に付けたいと思っています」

 

 これといった武術は決まってはいない、と言ったが正確に言うならばどこの道場やジムでも門前払いを食らったので決めようが無かったというのが真実。

 "個性”という特殊能力が蔓延る超人社会において僕のような"無個性”がヒーローになる為に武術を習いたいと言っても鼻で笑われて、もやしっ子体型を鍛えてから出直してこいと言われるのが関の山だった。

 だからまず体を鍛えなくてはスタートラインにすら立てないのだ。

 

「それじゃあヒッティングマッスルをメインにバランスよく鍛えて行くのが良さそうだね。それでヒーローを目指してるって言っていたけれど……」

 

 爽やかな青年……トレーナーの街雄さんはそこで言葉を切ると。

 

「緑谷君はどんな個性を持っているんだい?」

 

 ーー来た。

 

 背中に冷や汗が伝うのを感じる。

 ヒーローを目指すと言った以上この質問が来るのは至極当然の事だ。体を鍛えるにしたって個性との兼ね合いを考えた上でトレーニングメニューを作る必要が有るからであろう。

 

「え、えーと……その……僕の、個性はですね……何と言いますか……」

 

 言葉に詰まる。無個性ですと言うだけなのにそれを口にするのがたまらなく怖い。

 また鼻で笑われるだけで終わってしまうのではないか。無個性にヒーローなんて無理だと現実を突きつけられるのではないだろうか。そんな不安が過る。

 

「む、無個性です……」

 

 言った……言ってしまった。

 思わず俯いて街雄さんから目を背けてしまう。街雄さんの表情を見るのが怖い。あの爽やかな笑みが侮蔑や呆れといった感情に染まっていたら僕の心は折れてしまうかもしれない。

 だけど……

 

「なるほど、それじゃあトレーニングメニューに大きな変更は必要なさそうだね」

 

 街雄さんは何事も無かったかのように続けた。

 

「え?」

 

 驚きに顔を上げて街雄さんの顔を見る。そこには先ほどと変わらず爽やかな笑みを浮かべる彼の姿があった。

 

「あ、あの、何も言わないんですか?」

「うん? 何をだい?」

「その、無個性がヒーローなんてやれる訳がない! とかそういう感じの事を……」

 

 あまりの変化の無さに聞かなくても良いような事をわざわざ聞いてしまう。

 

「確かに無個性のヒーローなんて聞いた事が無いし、それはとても困難な道だと思う。だけどね……」

 

 街雄さんは爽やかな笑みを真剣な表情へと変えて語る。

 

「君は本気でヒーローになりたいと思って勇気を振り絞ってここに来てくれたんだよね。だったらそれを全力でサポートするのが僕達シルバーマンジムの役割さ」

 

 その時の気持ちは何と言ったら良かったのだろうか。

 スタートラインにすら立てない、立たせて貰えない、そんな中で。

 街雄さんはヒーローになれるともなれないとも言わなかった。だけどそれはヒーローを目指してはいけないとすら言われているような気持ちだった僕にとっては確かに救いであった。

 

 僕は……ヒーローを目指してもいいんだ。

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 それから長い月日が経った。

 最初はほんの短い時間、少ない回数しかこなせなかったトレーニングも次第に長く、そして多くこなせるようにもなってきた。

 もちろんヒーローになる為の研究、勉強も怠らない。

元々趣味でやっていた側面もあるのでそこは苦にならなかった。

 

 そうして過ごしていく中、憧れのヒーロー、オールマイトに出会い彼の指導も受ける事が出来たのは望外の喜びであった。

 汗の量が酷い事になって上を脱いだ時にぎょっとした表情になったのは少し気になりはしたが……あなたも似たようなものじゃないですか。

 

そして、更に月日が経ち……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 ーー雄英高校入学式。

 

 そう、僕はついにあの雄英高校に入学したのだ!

それも普通科やサポート科ではなくヒーロー科で。

 

 これも諦めずにトレーニングを続けた結果だ。ありがとう街雄さん!

 

 胸を踊らせて教室に入るとそこには入学早々言い争いをしているかっちゃんの姿が!

 相変わらず柄悪いな……

 

「あ? てめえデクじゃねえか……」

 

 そんな事を思っているとかっちゃんがこちらに気付いた。

 

「てめえ、折角の俺の輝かしい伝説に泥を塗りやがって……どうしてくれるんだこら」

 

 そしてかっちゃんは相変わらずみみっちかった。

 

「君、そんなヤンキーみたいな絡み方をするのは止めるべきだ。俺達はヒーロー志望だろ!」

「あぁ!? てめえに指図される謂れはねぇよ!」

 

 

 先ほどまでかっちゃんと口論していた真面目そうな人が抗議の声をあげると再び言い争いが始まってしまった。

 

 これは流石に止めた方がいいだろう。

 

「そこまでにしておこうよ、かっちゃん」

「あ? てめえまで指図してくんのか? いつからそんなに偉くなったんだ?」

 

 案の定噛みついてきた。

 

「偉くなったつもりはないけど、そろそろ先生も来るだろうし、何時までも言い争ってたらまずいって」

「…………」

 

 流石に入学初日に先生の前で言い争う姿を見せるのはまずいと思ったのか治まってくれたみたいだ。

 後は……

 

「あなたもそれくらいにして下さい」

「ああ、すまない。こちらも熱くなっていた」

 

 真面目そうな人はすんなりと受け入れてくれた。

 しかし何故だろう、彼と話していると街雄さんの事を思い出す。

 

「良かった、また再度、喧嘩し始めたらどうしようかと思いましたよ」

 

 その時、僕の中で何かがスパークした。

 

「そう……再度……さいど……」

「……? デク……?」

 

 

 そうして内側から溢れだした何かを解放する!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイっ! サイドチェストォォォォ!!

 

 

 

 

 そうして、僕の鍛え上げた筋肉が服という檻をぶち破り解放される!

 

「!!?」

「な、何だこれは!?」

「幼さの残るもやしっ子フェイスの下に合成写真みたいなゴリマッチョが!?」

 

 合成とは失礼な。ちゃんと自前で鍛え上げた筋肉だ。

何故か教室は阿鼻叫喚の地獄絵図といった様相でかっちゃんは白目を向いていた。




これがやりたかっただけ。
一発ネタなので続きません。ごめんなさい……さい……サイ……
ハイっ! サイドチェストォォォォ!!
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