『アルテリア・クラニアム』
それは
そのクラニアム内部にて、4体の人型が激しい攻防戦を繰り広げていた。
「ちっ!(あのブレード持ち、斬り込んで来るのが速い……今はレイテルパラッシュがテルミドールの相手になってくれてるけど早く援護に向かわねぇとな……あの時の…あの時の二の舞いだけはもう沢山だ!)」
『…………』
『レイ!何とかブレードの隙を見極めろ!私の最高傑作のお前ならば出来るはずだ!やってみせろ!』
(マジか……結局ここでも無茶言ってくるのかよ……まあ、やるしかないけどさぁ!)
レイ、と呼ばれた男、正確には御歳17歳の青年は無茶を言うオペレーター兼母親のセレン・ヘイズがいつも通りの調子である事にアーマード・コア ネクストと呼ばれる機体のコクピット内で苦笑いを浮かべていた。
『…………どうした……来ないのならば……斬る…!!』
「!」
白銀のネクスト機、『スプリットムーン』のメインブースターがプラズマジェットを一斉に噴き出し、背面の追加ブースターの速度を上乗せして、右腕に取り付けられた大型レーザーブレード『07-MOON LIGHT』こと『月光』を構えながらレイの乗機『レイヴン』目掛けて一直線に迫る。
距離を詰めることに特化したレーザーブレード専門の高速戦闘型ネクスト、それが『スプリットムーン』であった。
が、レイの乗機『レイヴン』も同じ高速戦闘型のネクスト。ガワだけは同じ構成なのだが、色も内装も武装にまで違いがあった。
スプリットムーンがブレードを振るう接近戦型ネクストであるのに対してレイヴンは近〜中距離戦型ネクスト。
両手に
「ッ!」
右にクイックブーストを吹かしてギリギリ、紙一重で月光の切っ先を回避。そのまま少し飛び上がり、滞空しながら両手の063ANARを撃ちまくる。
それを見越していたかのようにその場でクイックターン。左右への連続クイックブーストでこちらの攻撃を容易く避けるスプリットムーン。そしてそのまま斬りかかってこようとする。
ナマス切りにされるのだけは避けなければならない。
『生きて帰る事』
それが俺の責任なのだと、母も、フィオナさんも、Unknownもそう言っていた。
その事を踏まえて月光の紫の光から逃れるべくバックブースターを最大出力で吹かしつつ射撃を継続、しようとして今更ながらヤツの両肩の装備に気が付いた。
(ロケット弾の発射機……?いやまさか…?!)
咄嗟にコクピット内で、フルフェイスヘルメットの中で目を瞑り、AMSと繋がった機体のカメラを意図的にダウンさせる。直後、閃光と共に紫電が迸った。
「………………」
己が振るった月光に手応えは無い。となればあの男は避けた。
フラッシュロケットを発射した直後のこちらの切っ先を読んで避ける姿は見事だ。だからこそ己は右腕を振るい、月光を"前に突き出した"。
『ぐぅっ……!!』
『レイ?!こんなバカな?!』
手応え有り……己の視界が開けてきたという事は向こうも視界は回復しているはず。
相手のオペレーターの焦り方を見るに向こうにとっては想定外の攻撃という事だろう。
開けた視界には……左肘から先を失ったレイヴンが。己の月光はエネルギーを吐き出し終え、黙ってはいるものの、次のエネルギーの充填はほぼ終わりかけている。次の一手を出すことは出来る。
「…………!」
レイヴンが引き下がりはじめ、右背面のSAPLAを展開しながら残った右腕の063ANARを乱射。
当然
『…………』
「…………」
互いに無言。言葉は不要。強力なクイックブーストで一気に間合いを詰め、再び振るわれた横一閃の月光が紫の光芒を放ち、レイヴンのコアを両断しようとして、
『まだだァッ!!』
「…………?!」
上に跳ね上げられた。
コクピットに伝わるほどの衝撃。レイヴンが己の右腕を月光ごと蹴り上げたのだ。
代わりに両断されたのは右マニュピレーターと063ANAR。マニュピレーターが無くなった事で手持ち式射撃武器は使えなくなったが無くとも腕部に装着するタイプの
すぐさまコアの格納領域からEB-O700を右腕に装着している。
見事。貴様の動きがどこまでも己を魅せてくれる。だがこの勝負、貴様に譲るわけにはいかぬ……
『……まだ、俺は死ねない。』
「…………応…」
己と貴様の間ならばそれだけで充分だ。それだけで合図になるのだから。
攻守交替を繰り返し続けているレイテルパラッシュとアンサングの、そのどちらかの流れ弾が己達の間を通り抜けた刹那、
『ウオオオォォォォォォッ!!』
「オオオァァァァァァァッ!!」
同時に突撃。互いを斬り裂くレーザーブレードが大きく振るわれる。短時間での決着。それを己もヤツも狙っていた。
何度も何度もブレードが交差し、その度に互いの装甲が削られていく。
何度目かの切り結びの際、レイヴンが不意に揺らいだ。
その原因の1つは左腕を破損した際に月光のエネルギー刃がコアの装甲と安定装置の1部を掠め、損傷させていたため。
もう1つはレイ自身の適性が不安定化し始めた為に機体制御も不安定になっていた。
これらの要素が重なった結果、レイヴンは姿勢を崩してしまった。
この大きな隙をスプリットムーンのリンクス、真改が見逃す訳もなく、
「……終止……」
右腕の月光を煌めかせながら左腕に持った
『クソッ!こんな時にっ…!!』
旧レイレナード製マシンガン、ヒットマンを上回る貫通力を持つモーターコブラの弾丸は確実にレイヴンのPAを削り、PAを貫通した数発の弾丸はアリーヤフレームの薄い装甲に穴を開けていく。
月光がレイヴンに届く直前、左側で起きた爆発と共にスプリットムーンは横に吹き飛ばされた。
「……なんと……」
至近距離での爆発。それを成したのはレイヴンの左背面に装備されたSAPLA。当然、レイヴンも吹き飛ばされていたがなんとか不安定化を脱したようで、コアの先端と脚部整波装置がひしゃげていたもののしっかりと衝撃体勢を取って踏ん張りを効かせていた。
先程のグレネードの炸裂により、モーターコブラと左腕は大破。コアにも損傷が起きている。整波装置が上手く作動していない。
これで奴と対等……ではない。向こうにはミサイルとグレネードが残っている。それに比べ、己には月光と追加ブースターしかない。
だが、そんな事は関係ない。最後に立っていれば良いのだから。
月光をもう一度構え、レイヴンを正面に捉える。
どちらからともなく前に出た。己が月光を振るう直前、レイヴンは前方に向けてバックブースターを噴射。続けてクイックブーストで後ろに飛び下がって月光の切っ先を躱す。
その一瞬の動作により、月光を振るった直後の己は硬直していた。
そして、流れるような動作でレイヴンはEB-O700をこちらに振るった。それも、コアを分断するように。
嗚呼…ここまで来て己は負けたか……
アンジェ……己は……貴女に届かなかった……
貴方の刀は己が相応しいと思った者に託す……己達の想いをここで絶やす事はしない……
『……無念……』
無線越しに聴こえた真改の最期の声……ではなかった。
『……此方に……来い……』
「…………」
コアを斬り付けて撃破したはずだった。だから返事など、生きていたなどと思っていなかった。だけどその言葉の裏にただならぬモノを感じたからか、身体はスプリットムーンに近付いていた。
『……お前に……これを……託す……己と、己が追い続けていた……その人の品だ……』
「…………」
スプリットムーンが右腕でパージした月光を掴んでいる。罠であれば近付き過ぎて一刀の元に斬り落とされるだろう。だが、そんな事は無いと根拠もなく近付いていった。セレンが何か言っているが何一つ耳に入らない。
右腕のEB-O700をパージして、右腕を差し出す。真改は最期の力を振り絞るかのようにレイヴンの右腕に月光を装着させた。己の半身を預けるかの様に。
『……お前ならば……使いこなせると……信じる……』
「…………」
その言葉を最後に、スプリットムーンは沈黙した。
「……安らかに眠れ……剣豪よ……」
急いでレイテルパラッシュの援護に向かう前に機体の状態を細部までチェック。
(残AP良し…弾薬もまだまだ残っている……損傷は……左腕とコア左脇の整波装置と安定装置……それに右マニュピレーターか……両膝の整波装置も機能停止……コア先端部も潰れかけてる……か……でも……)
この程度の損傷ならばまだ戦える。この機体は死んではいない。レイテルパラッシュの元へ向かうべくメインブースターを吹かしてレイヴンは動き出す。
レーザーキャノンとレーザーバズーカの応酬が続く中、ウィン・Dはレイの状況を可能な範囲で逐一確認していた。
彼のオペレーター、セレン・ヘイズから彼は適性がそれほど高いわけではなく、時々不安定化するという事を聞いていたからだ。
(先程不安定化していた様だが……持ち直したのか……速い……!)
ORCA旅団の首魁、マクシミリアン・テルミドールが駆る旧レイレナード製逆節型ネクスト《アリシア》をベースとしたネクスト《アンサング》から4発のミサイルが放たれ、レイテルパラッシュを落とさんと迫る。
その程度で彼女も落ちるわけにはいかない。可能な限りパルスキャノンで撃ち落とし、落とし切れなかったミサイルは素早いクイックブーストの連続使用で避ける。
が、それでも伏兵として放たれていたレーザーバズーカが直撃していた。
「限界だと?まだ行けるだろう、レイテルパラッシュ!!」
APが大きく削られ、コクピット内部に警告音が鳴り響く。いつもならば、こんな事はそうそう無かった。
細長く、上から突き出ている構造物により想像以上の狭さを見せるアルテリア・クラニアム内部ではクイックブーストを吹かす度に構造物に引っ掛かりそうになるため、気を遣わなくてはならない。
それゆえにどうしても被弾が多くなってしまう。
『すまない、今から援護に入る。』
「助かる。」
『レイ・リンクス……やはりお前を説得して引き入れておくべきだった……』
『テルミドール……アンタの考えは分からなくはない。』
「…………」
『だけど他にアサルトセルを潰すやり方があったんじゃないか、とさえ今でも思ってるよ。』
『……確かに、そうだろうな。だが、それに時間を掛ければかけるほどその間に人類は壊死してしまう……私はそれが見えているからこそこのように行動を起こしたのだ。レイ、お前にならば分かるだろう?私の言っている意味が。』
『分かるさ。』
『ならば、何故私の元に来てくれなかった!!お前となら……お前とならば必ずやクローズプランを成し遂げられると思っていた!!』
テルミドールの悲痛に満ちた叫び。私にも分かっていた。クレイドルを維持し続ければ大地の汚染が更に深刻化する事も、それによって人類が衰退して行く事も、何れはクレイドル宙域でさえも汚染されていく事も。
だが、それでもーーー
『スマン、テルミドール……俺は……やっぱり……『今を生きる人々』を守ってやりたい。俺達がこんなやり方をしなくてももう少し待てば何か良い方への足掛かりを掴めるんじゃないかってバカみたいに信じてる。』
『……………そうか………』
『そりゃあ……その前に衰退しちまう可能性は否定出来んよ。でも俺は僅かな可能性があるならそれを慎重に手繰り寄せたい。』
「クレイドルに住まう多くの人々が汚染された地上で生き延びる事は難しい。だから、レイの言うように残された可能性を探す事もーーー」
『ーーー黙れ。……もう御託は聞き飽きた。』
「……それが答えか……」
『テルミドール…………』
『……お前達……最早言葉は不要か……』
アンサングからロックされている事を知らせる警告音。咄嗟にクイックブーストを吹かして左へ跳び、左背面のデュアルハイレーザーキャノンを展開。先程まで居た場所にレーザーバズーカとアサルトライフルの弾痕が刻まれる。
「レイ、そちらの機体の状態はどうだ。教えてくれ。」
『損傷率89%といった所か。左腕を潰されたのが残念だがグレネードとミサイル、フレアはまだ使える。』
「ずいぶんボロボロにされたな。分かった。こちらも損傷率73%だ。早く片付けなければ危うい。」
レイヴンがミサイルを発射しながらアンサングに迫る。右腕の月光を振るう魂胆なのは見え見えだが、何もしないよりはマシ。
だが、アンサングはレイヴンには目もくれずにこちらを屠らんと攻撃を続ける。致命打だけは辛うじて避けているが、どうしてもアサルトライフルには被弾してしまう。それに時折発射されるプラズマキャノンが厄介だ。
当たりさえしなければなんということは無いのだ。だが、着弾点の周辺にECMを発生させる事からレーダーが潰されてしまう。加えてアンサング自体のカラーリングがクラニアムに溶け込むような保護色にもなっている上に、連戦で消耗しているこちらは余計に見失いそうになる。
と、一瞬の隙を突かれてレーザーバズーカの直撃でデュアルハイレーザーキャノンが破損してしまう。
「くっ……!!まだまだ!!」
『どうした。新しい世界への道を閉ざしてでも今を生きる人々を守るのではなかったのか?』
続けざまに撃ち込まれたアサルトライフルによって損傷率95%と非常に不味い状態に追い込まれた。
更に4発のミサイルとプラズマキャノンが迫っている。これはーーー
ーーー死ぬかもしれないーーー
ーーーそう思った瞬間、黒が立ち塞がり、
『させるかァァァァ!!』
『!!』
レイヴンがレイテルパラッシュとプラズマとの間に飛び出し、プラズマキャノンの直撃を受けながらミサイルをミサイルで迎撃。
『テルミドールッ!!』
損傷率97%になったレイヴンの攻撃。突然飛び出してきた事に驚いたアンサングに最大出力の月光を上から叩き付けーーー
『レイッ!!』
ーーーアンサングのコアが斬り裂かれた。
だが、アンサングも反撃の一手を打っていた。
『が……ぁ……』
レイヴンのコア背面の上部から飛び出た鋭利なモノ。それはアンサングの持っていたアサルトライフル。本来その様な用途は無かったはずだが、テルミドールは咄嗟の判断でガラ空きになった胸部下側から突き刺した。これにより両機は大破。
アンサングは着地後に片膝をつき、レイヴンは仰向けで地面に叩き付けられた。
『最後に敗れる……そんな運命か…………覚えておけ、貴様等の惰弱な発想が、人類を壊死させるのだと…!』
『……あぁ……覚えておくぜ……テルミ……ドール……』
「人類など何処にもいないさ……オッツダルヴァ……」
完全に沈黙したアンサングを見て、すぐさまレイテルパラッシュをレイヴンの元へ移動させる。まだ間に合うかもしれない。
「レイ、聞こえるなら返事をしてくれ!」
『レイ!返事をしてくれ!お前を失ったら私は……!』
聞こえてくるのは荒い呼吸音と血かなにかを吐き出したような音だけ。急いでレイヴンを牽引して安全地帯に運ぼうとするも、軽量機のレイテルパラッシュには荷が重かった。
加えて先程の戦闘で受けたダメージが想像以上に大きく、機体に負担をかけられない。そんな時だった。
『アンビエント、これより加勢に……遅かったようですね……』
『こちらマイブリス。戦闘は……終わってたか……』
『ロイ!レイヴンを運ぶ!手を貸せ!』
BFF所属、ランク2リンクス、リリウム・ウォルコットの駆る中量機『アンビエント』と独立傭兵、ロイ・ザーランドの駆る重量機『マイブリス』が到着した。
『おいおい、何がどうなってんだ……』
『急げ!』
『レイ……頼む……死なないでくれ……!』
オペレーターのセレン・ヘイズの悲痛な声が聞こえる。元オリジナルリンクスでもある彼女がここまで入れ込むとは……
それこそレイ・リンクスを自分の養子にしてしまったほどの入れ込み具合だ。文字通りの『一人息子』、『一人前のリンクス』として育て上げた自信があるから失いたくないのだろうか。
私に全てを分かる術はないが彼女の気持ちは痛いほどに分かる。私ももう1人のパートナー、ロイを失ったら、と考えれば当然だった。
『牽引するぞ。どこまで引っ張れば良い!』
「とにかくここから離れるぞ!確かクラニアムの入口付近にACSISがあったはずだ!そこまで行こう!」
『任せとけ!』
『ストレイド様……周辺警戒はリリウムが行いますので皆様は方は先にACSISへ。』
マイブリスがレイヴンを引き摺りながらクラニアム入口を目指す。アンビエントだけとはいえ、私の乗機、レイテルパラッシュもボロボロだが何とか自力で動けるため、念の為に周囲を警戒しつつ進む。
『ここか!よっと。』
何とか辿り着いたACSISでリリウム、ロイ、ウィン・Dは急いでネクストから降り、簡単な洗浄の後オペレーター、セレン・ヘイズと合流して防護服に着替えた。そのままレイヴンのコクピットへ向かい、コクピットハッチの緊急解放ボタンを叩く。
爆圧ボルトによってハッチが吹き飛び、コクピット内部の状態を確認するとレイは確かにパイロットシートに座っていた。
損傷部から対Gジェルが抜け落ちていたおかげで良く見えた。レイの左脇腹辺りに深々と食い込む"アサルトライフルのパーツ"まで。
『……』
力無く項垂れた状態の彼を引き摺りだそうとするも、食い込んだアサルトライフルのパーツが邪魔をする。どうやら背骨まで巻き込んでいるらしい。
どうにもならない状態でありながら、セレン・ヘイズは彼のフルフェイスヘルメットを外していた。
ヘルメットバイザーも鮮血に染まっていたが外された彼の顔は口元以外はそれほど血で汚れてはいなかった。
赤毛が少し混じった黒髪と銀灰色の瞳がハッキリと分かる。顔は元からなのかは分からないが儚さを併せ持つそこそこ整っている顔立ち。
「レイ、私が分かるか?」
「ストレイド様……リリウムです、分かりますか?」
「……セレン……リリウム……結構……やられた……スマン……」
「……レイ……お前は良くやった……クレイドルはまだ飛び続けられる……お前が守ろうとしたものはまだ無事だよ……」
「そっか……良かったぁ……」
声が、小さくなっていく。
「ストレイド様……申し訳ありません……リリウムが、リリウムが駆け付けるのが遅かったせいで……」
彼と恋仲であるBFFの王女が瞳を濡らす。
「レイ……遅くなっちまった……スマン……」
「……結局、全て貴方任せだった……すまない……!」
ロイも、私も枯れ果てたはずの涙を流していた。
「…リリウム……」
「……ストレイド様……」
BFFの王女はとめどなく溢れ続ける涙を止めることは無かった。世を去ろうとしている愛する者の言葉を聞かねばならない。そんな時に涙を止めていては聞くことに集中出来ないから。
「来週……リリウムと出掛ける約束……守れない……」
「……それは……困りましたね……リリウムはとても……とても楽しみにしていたのですが……」
「ホントに……ゴメン……」
「仕方……ありません……またいつか……出掛ける約束にいたしましょう。」
「そう……だね………………セレン……俺は……セレンの期待に……ちゃんと……応えられて……いたかな?」
「……ああ!……お前は……お前はしっかり応え続けてくれていたとも!私は嘘は言わん!」
元オリジナルリンクスがかけがえのない存在の問い掛けに答える。
「……なら……良いんだ……企業の連中に……言われてもイマイチ……ピンと来なくて……さ……セレンに直接……言ってもらえたら……それで良いや……俺がちゃんと……有用性を示せてたんだから……」
「そうだ……最高だよお前は。私の最高傑作で、私の最高の息子だ……」
「……ありがとう……セレン……もう……寝るよ……疲れた……」
「……ああ……ゆっくりおやすみ……レイ……」
「おやすみなさい……レイ様……」
皆、多くは語らなかった。分かっていたから。レイの命の灯火が消えていく事を。
セレンが握っていたレイの手から力が抜けていった。
レイは……最期に乗っていたネクストの名前の通り、
ORCA事変は態度を翻した企業側の最新型AF『アンサラー』等による掃討戦により、ORCAの残滓達は一掃され、全ては幕を下ろした。
アルテリア・クラニアムでの戦闘の後、私はカラードランク1に繰り上げる事が言い渡された。正直言ってそんなランクなど私には似合わなかった。
ランク1に相応しいのは"彼"のはずなのだがな……
テルミドールの懸念しているように未だに経済戦争は続いている。
リリウム・ウォルコットは今やBFFのトップ(王小龍はその補佐)につき、多忙な日々を送っているという。よくお見合いを申し込まれるようだが全てキャンセル。
まあ、『王大人』の影響が無いとは言い切れないが、"彼以外と添い遂げるつもりはありませんのでお見合いは一切承りません"と公の場で言い切ってしまったから世の男どもも分かりきっているはずなのだが……それでも絶えないと愚痴を零された。
私か?私は……ロイと結婚したよ。熱心にプロポーズして来るものだから……な……
まあ夫婦揃って未だにリンクスをやっている事が上層部は気になるらしくて、降りたらどうだ?と言ってくる者も居るが……降りるつもりは無いというのに……
おっと……今の話は貴方達にはあまり関係無かったな。申し訳ない。
あの日からしばらくしてセレン・ヘイズは自殺未遂を犯した。幸い助かったが……やはり"彼"を亡くした事が原因でね……相当な入れ混み具合だったからな……ああ、今は立ち直ってきたみたいでね。近い内に退院してラインアークに戻れるみたいだ。
後は、彼女から聞くと良い。私はそこまで"彼"の事を深く知らないからな。では、これで失礼するよ。
また何かあれば連絡を入れさせてもらう『Unknown』……それとも、こう言えば良いか?もう1人の師匠『レグルス・オーエン』……いや…………
『アナトリアの傭兵』
と。
初めてのアーマード・コア×ドールズフロントライン小説ッ!ずっと書きたかったァ!以上!
感想お待ちしておりまァァァ!!