機動戦士ガンダムSeeD DESTINY~ANOTHER DESTINY~   作:Pledge

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活動報告でも申し上げたとおり、遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
前作が終了する際にも申し上げました通り、新年の投稿となりました。

原作通り、前作の続編となります。
たいしてストックも無いのに、投稿します。

2014年も私の小説を、よろしくお願い致します。


原作前
プロローグ


【プラント】首都アプリリウスにある上級裁判所内に、大勢の【ZAFT】兵の姿があった。

 

本日、この場所では【ユニウス条約】で決定している戦犯裁判を行われる。集まっている【ZAFT】兵たちは裁判を見守るためにいるのではなく、裁かれるためにここに居るのだ。

 

「ではこれより、【ユニウス条約】に従い【プラント】内における戦犯裁判を開廷する」

 

そしてついに、ギルバート・デュランダル新議長をトップとした【プラント】の戦犯裁判が始まるのだった。

 

裁判長により読み上げられる戦犯者の氏名。その数は百名ほどに達した。

 

「なお、ラウ・ル・クルーゼ、レイン・エルミーラは【プラント】に反逆し地球軍に【NJC(ニュートロンジャマーキャンセラー)】を故意に漏洩させたとして、本人死亡のままA級戦犯とする」

 

裁判長によって読み上げられた、【プラント】を最大の脅威に陥れた二人の罪人。二人は死亡のまま一番上のA級が適用され、永遠に【プラント】の歴史に名を刻まれることになる。

 

「以上である。では、これにて戦犯裁判は」

「異議あり!」

 

裁判長が裁判を終えようとした瞬間、部屋の中にぎゅうぎゅうに押し込められた兵の後ろから、一人の青年が歩み出てくる。

 

ややくすみがかった肩上ほどの金髪に赤服。左胸に輝くのは【FAITH】の徽章。【プラント】に知らぬ者無しと言われる彼だった。

 

予想通りの人物が歩いて来るのを見て、裁判の様子を見守っていたデュランダルは小さく笑みを零す。

 

「どういうことだ、彼らを裁くというのは」

「戦犯者を裁くのは当然。何か問題が?」

「問題だと?大ありだ、無能が!」

 

裁判長の心の底から不思議という問いかけに、彼は裁判長に向けてそう吐き捨てる。無能と侮辱された裁判長は、言われた言葉を理解してか徐々に怒りで顔が紅潮していく。

 

「む、無能だと?こ、この私が?」

「何度も言わせるな、無能」

 

怒りで頬を引きつらせ、聞き間違いかと思い再度問いかける裁判長。だが、返ってきた答えは同じものだった。

 

だが、裁判長がそう思うのも仕方ない。上級裁判所の裁判長になるのは、コーディネイターの中でも一握りの存在。だからこそ、エリート意識というのが強かったのだ。

 

彼は裁判長から視線を外すと、裁判長の両端に座り裁判を見守っていた評議会の議員たちに目を向ける。

 

「彼らが戦犯だと?ふざけるのもいい加減にしろ!彼らは貴様らの命令に従い、死の恐怖と戦い【プラント】を護るために戦った英雄たちだ!」

 

彼は自分の後ろに立つ大勢の【ZAFT】兵たちを見た後、議員たちに語り掛ける。今回の戦争は侵略戦争ではなく、あくまでも【ユニウスセブン】に核が撃ち込まれたことによる報復のための戦争。

 

無論、コーディネイターとナチュラルの関係がそれまで良好だったわけではないが、本格的な戦争に発展した最大の理由と言えることは確かである。

 

「貴様らが今そうして座っていられるのは、誰のお陰だ!前線で命を懸けて戦い、命を散らした者たちがいてこそだ!こんな当たり前のことも分からない貴様らに、国のトップである資格など無い!」

 

先程までは小声で会話していた議員たちも、いつの間にか静まり返り黙ってレオハルトの言葉を聞いていた。議員たちだけでなく、それは後ろの兵たちも同じだった。

 

「……」

「…………」

 

兵の中にはイザークとディアッカの姿もあり、二人は一様に似たような表情を浮かべる。二人の胸の内は同じ。命を散らした仲間を想い、唇を噛み締める。

 

「どうしても彼らを裁くというなら、戦争初期から前線で戦い多くの命を屠った俺も裁かれるべきだ!【FAITH】であることなど関係無い!」

 

誰一人口を開かず、この場に集まった人間の視線すべてが彼に向けられていた。そして彼の視線は、静かに見守っていたデュランダルに向けられる。

 

叫ぶように訴えた後、彼は【FAITH】の徽章を荒っぽく取り外し捨てた。その行動に、議員たちは一様に驚愕の声を上げる。

 

だが、当の本人はそんな議員たちのことなど無視し、笑みを浮かべるデュランダルに視線を向ける。デュランダルはその視線に気づくと、静かに立ち上がった。

 

「彼の言うことも尤ものようだ。彼らは【プラント】に住む我々のために戦ってくれた英雄たちだ。そんな彼らを、裁くことに意味は無い。謝らせてほしい。今回は、私の判断が間違っていたようだ。申し訳なかった」

 

デュランダルは真剣な面持ちで言葉を投げかけると、【ZAFT】兵たちに頭を下げる。

デュランダルのこの言葉を最後に戦犯裁判は終了。解散することになるのだった。

 

戦犯裁判終了後、彼はデュランダルの待つ議長執務室を訪れていた。

 

「すまないね、呼び出してしまって」

「いえ」

「ふふ。では、本題に入ろうか。君の質問は分かっている。何故、自分を戦犯から外したのか」

「答えて頂けますね?」

「もちろんだよ。戦犯裁判は【ユニウス条約】で決まっている。建前として、やる必要があったのだよ」

 

彼がこの部屋に入ってから、その表情から笑みを絶たすことなく諭すようにそう答えるデュランダル。

 

それとは対照的に、彼は内心では苦々しい感情を抱いていた。

 

「建前だというのなら、私を外す必要は無かったはずです。それも、建前でしょう。私に何をさせたいのですか?」

「察しが良いね。話が早くて助かるよ。これから君には、【最高評議会】の会議に参加してもらいたい」

「……理由を聞くぐらいは許して頂きたいのですが」

「無論、説明するさ。君はMS・指揮能力共に高く、政治方面にも長けている。だが、今までは一軍人だったため政治への介入は出来なかった。君という優秀な人間がいたからこそ、ザラ議長は自らの思い描く未来に進むことが出来たと思っている」

「私の存在が、ザラ議長の暴走を引き起こしたと?」

「そこまでは言わないよ。だが、責任の一端はあったかもしれない」

 

一瞬笑みを消したかと思えば、再び笑みを浮かべ話を続けるデュランダル。自らの腹の内を決して見せず、言葉巧みに自分のペースに引き込んでいく話術。

 

デュランダルが言うように政治方面に長けているとはいえ、今まで軍人として生きてきた彼とデュランダルの経験の差というのは大きい。

 

デュランダルのペースに巻き込まれていることを彼自身も理解している。だからこそ、その内心は非常に苦々しいものだった。

 

「無論、その大部分を担っていたのはラウだったと思うがね」

「…………」

「評議会の人間は机仕事ばかりだ。以前は現場にいたとしても、長くなれば勘も鈍る。我々を第三者として、客観的に見てくれる存在を求めているのだよ」

 

デュランダルの言葉に納得はするが、本来ならば戦犯として裁かれる立場にあってもおかしくないという考えを彼は持っている。

 

そう考える彼にとって、デュランダルの提案は自身の昇進のように思えてならなかった。

 

その考えを率直にデュランダルにぶつけると、デュランダルは小さく頷いて見せる。

 

「確かに、考え方によってはそうかもしれない。だが、私はそうは思わない。これは、“責任”と“義務”だよ。軍人としてではなく、これからも政治にも介入するのだ」

「…………」

「軍人として命令を聞く立場から、指揮官としてではなく時には政治の面から指示することにもなる。“責任”と“義務”は、これまで以上に重くなるだろう。この案件は、他の議員たちも了承済みだ」

 

デュランダルは自分の意見を言い終えたのか、沈黙するレオハルトに視線を送る。レオハルトはデュランダルの視線を受けつつ、自らの中で考えをまとめる。

 

デュランダルの言葉通り、この件を引き受ければ“責任”と“義務”は飛躍的に大きくなる。レオハルトが背負う命も、これまで以上に多くなる。

 

同時にレオハルトは、自分の存在がパトリックの暴走の一端を担った。この言葉は、レオハルトにとって図星ともいえる指摘だった。

 

レオハルトはシーゲル・クラインがスパイではないと理解しながら殺害し、クルーゼに協力することで間接的にパトリックを支援したと言っても過言ではない。

 

「(これも、俺の罪か……)」

「どうだろうか?」

「……わかりました。お引き受けします」

「ありがとう。引き受けてくれると思っていたよ」

 

デュランダルの提案を了承するレオハルトに、感謝の意を示し笑顔を浮かべるデュランダル。デュランダルは文官を内線で呼ぶと、何かを取りに行かせる。

 

文官が戻ってくると、その手には箱を持っていた。その箱を受け取ると、デュランダルはレオハルトに見せるように箱を開けた。

 

「これからの君は、【ZAFT】であり評議会のメンバーでもある。そのため、“これ”を用意してみた」

 

箱の中には、一着のコート。赤地に右肩から左脇腹にかけて斜めに黒線が入っていた。デュランダルを始めとした評議会の議員たちが制服の上に着ている物と同じような感じである。

 

「会議に出席するときは、それを着てくるといい」

「了解しました」

「私としては、君には別の形で権限を与えたいと思っていたのだよ。独立部隊の隊長という形でね。だが、何事にも万が一というものがあるだろう?小心者の私としては、最後の一歩が踏み出せなかったよ」

 

柔和な笑顔を浮かべて語るデュランダルだが、言っている内容は軽いものではなかった。つまり、レオハルトの反乱の可能性を考えそれを恐れたということ。

 

言外にそうデュランダルは述べ、レオハルトに視線を送る。そう考えるのは、レオハルトが親友であるクルーゼを討ったという事実からか。最終的な命を奪ったのはレオハルトではないが、命を奪われる一端を担ったのは事実。

 

それとも別の理由なのかは定かではないが、デュランダルがその“もしも”の可能性を考えているということは確実だった。

 

「そろそろ本題に入ったらどうだ、ギル」

 

レオハルトが不意にそう声をかけると、ギルバートはわずかに笑みを浮かべ話を切り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

同時期

 

オーブ連合首長国

 

長きに渡る戦争を終え、【三隻同盟】と呼ばれているうちの一隻は地球のとある場所にいた。先の大戦で地球軍の侵攻によりオーブ本島に甚大な被害を受けた、オーブに。

 

オーブの秘密ドックに件の艦、【アークエンジェル】がいた。この艦は本来なら、地球軍の所属艦。だが、故あって脱走した艦。乗員も脱走兵である。

 

脱走は重罪として規定されており、捕まれば銃殺刑は免れない。そのため、【アークエンジェル】の元乗員たちの中には偽名を使う者も居り、それぞれの生活を始めていた。

 

海沿いに立つ家のデッキで椅子に座り、浜辺で楽しそうに遊ぶ子供たちを眺める二人の青年。戦争の中に生き、戦い傷つき生き抜いた二人。

 

子どもたちを見つめるその瞳は優しげながらも、瞳の奥底は悲しみで彩られていた。

 

「本当に良かったの?」

「何がだ」

「僕たちと一緒に来て。君は、【プラント】で」

「俺は【プラント】を裏切った身だ。居場所は無いさ。それに、お前たちと共に歩むと決めた」

 

キラ・ヤマト、アスラン・ザラ。

 

同じコーディネイターであり、親友。だが、再会した場所は命のやり取りを行う戦場だった。かつては親友だった二人は、互いに憎み銃を向け殺し合った。

 

だが、その二人も今はこうして肩を並べて座り、共に平和な時を過ごしている。それぞれが何かを失い、ここまで来た。

 

「それより、あの話」

「……うん。あの人は、僕の兄。遺伝子上の話だけどね」

「遺伝子上とはいえ、兄弟に違いない。そんな運命を背負いながらも、あの人は確かな信念を。確固たる意志を持って生きている。……だが、俺は」

 

【ヤキン・ドゥーエ】での戦闘の際、ラウ・ル・クルーゼより告げられた事実。それはキラにとって確かに衝撃であり、戦闘中は動揺もしてしまった。

 

だが、時間が経った今となってはどうということはなかった。兄弟とはいえ、つながりがあるのは遺伝子のみ。これまで関係が無かったのだ。情が湧かないのも当然である。

 

「アスラン。あの人は、迷っていたよ。迷いながらも、道を選んだんだ。その結果、僕たちと戦うことになってしまった」

「何故、そう言えるんだ」

「分からない……。何となく、かな」

「何となくか。……だが、そうかもしれない。だからあの時、俺たちを見逃したくれたのかもしれない。そう考えると、遠かったあの人も身近に感じてしまうな」

 

次第に空は赤く染まり始め、水平線の向こうに沈もうとしていた。それでも、子どもたちは二人の視線の先で遊んでいる。

 

遊び始めてから数時間が経過しているはずだが、子どもたちに疲れている様子は無かった。

 

「この平和が、いつまで続くんだろうな……」

「アスラン?」

「言われたよ。今この時だけの戦争を止めたとしても、意味は無いと。コーディネイターとナチュラルの確執が解消されたわけじゃない。いずれ、戦争はまた起きる。そう考えているようだった」

「確かに、そうかもしれない。……でも、意味はあったと思う。そうじゃないと、僕たちは何のために……」

 

目を伏せ、その瞳に涙を浮かべるキラ。彼もまた、この戦争で多くを失った。平和な生活、平和な未来、大切な友人。それでも、生きている以上は前を向き生きなければいけない。

 

キラは今にも零れ落ちそうな涙を強引に拭うと、アスランに向けて笑顔を見せた。

 

「前を向こう、アスラン。過去にしがみついてばかりではいけない。少しずつでも、前を向かないと」

「そう、だな……。それが、生きている俺たちの責任なのかもしれないな」

「うん」

「……願わくば、この平和が長く続くことを」

 

二人は、遊ぶのを止め家に笑顔で帰ってくる子どもたちを見ながらそう呟く。どうか彼らの笑顔が、消えないようにと。

 

だが、世界は平和を願う者達の願いとは裏腹に、再び戦火へと歩み出すのだった。

 

だがそれでも、今このときは平和な時を享受するのだ。

 

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