機動戦士ガンダムSeeD DESTINY~ANOTHER DESTINY~   作:Pledge

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お久し振りです。

久し振りに更新させて頂きます。

話が進んでいるかと思えば、進んでいない回です。

今回も温かい目でご覧頂ければと思います。


Operation - 5 監視者

レオハルトが【極秘任務】を完遂させてから数ヵ月。

 

レオハルトが現在居るのは、プラント首都アプリリウス議事堂9Fの一室。

 

レオハルトが【極秘任務】の報告を行った際、デュランダルから諜報部の改編、そして改編後の組織のトップへの就任を同時に命じられた。

 

改編後の組織名は世界情報局(World Intelligence Agency)、通称【WIA】。

 

レオハルトは【WIA】を4つの部署に分けると、【極秘任務】に協力・同行してくれたアイザック・クーロンを自身の補佐的立場にあたる、組織のNo.2にあたる筆頭補佐官に任じた。

 

そして、偽装部隊の隊長を務めたアーネスト・ラザフォードを極秘裏に設立した課の隊長に任じると共に、【WIA】のNo.3の次席補佐官にも任命していた。

 

【WIA】への当面の命令はすでに出し、後は上がってくる報告に随時指示を出す程度だった。

 

そして今日、レオハルトが評議会の月例会議に出席していた不在間に行われた、【WIA】の定例会議の報告を受けていた。

 

大きな木製のデスクを挟んで立つのは、【WIA】長官付書記長ウルライン・ターフェン。

 

アイザックやアーネストたちにも配置されている補佐官である。さらに、書記長ということで他の書記官のまとめ役という立場にもある。

 

しかし、あくまでまとめ役ということで上下関係があるということではなく、あくまで書記官に指示を出すのはアイザックやアーネストである。

 

レオハルトは決済する書類を止めることなく、会議で行われた話し合いの内容や、それぞれの課から上がってきた報告を聞いていく。

 

「次に【オーブ】です。【蛇】からの情報によりますと、マスドライバーの修繕に取り掛かる予定があるとか」

「カグヤの修繕か、放っておけ。【蛇】には以後も慎重にと伝えろ」

「はっ」

 

レオハルトは、決して【オーブ】を軽んじているわけではない。むしろ、逆である。

 

先の大戦において【ZAFT】は連合が開発した【G兵器】の強奪任務を決行した。その計5機の【G兵器】の開発に尽力したのは、【オーブ】が有する国営企業モルゲンレーテ社である。

 

【G兵器】の開発データが存在していたとはいえヘリオポリス崩壊後には【オーブ】主力MS、M1アストレイの量産化を行っている。

 

高い機動性により敵の攻撃を回避するというコンセプトで開発されたこの機体は、性能は【ZAFT】のジンや地球連合のストライクダガーと同等。

 

機体構造が簡略化された分、信頼性や整備性に優れるというメリットもある。

 

これらの点を踏まえ、レオハルトは【オーブ】を危険視すべき国家だということを認識していることは間違いない。

 

だが、【オーブの獅子】ウズミ・ナラ・アスハ亡き今、娘のカガリ・ユラ・アスハが代表首長の座に就いた【オーブ】を危険視しているかと聞かれると、疑問符が付く。

 

レオハルトとしては、今の彼女に一国家の舵取りを任せるには荷が重く、それほどの覚悟があるとも思えない。もっとも、他国であるレオハルトにしたら好都合と言えるのかもしれないが。

 

レオハルトは自身の中でそう考え、頭を切り替える。

 

「『(ミミズク)』は『飛び立ったか』?」

「はい。無事に『巣箱』に降り立ったと連絡がありました」

「そうか。『巣穴』との連絡は密に。サポートも怠るな」

「はい。最後に、【大天使】は未だ羽根を休ませているとラザフォード次席補佐官より報告がありました」

「そうか、監視はそのまま続けるように伝えてくれ」

「了解しました。では、失礼致します」

 

現時点で出す指示を出し、ウルラインはそれを受け部屋を退室する。ウルラインを見送り、高級そうな革椅子にもたれかかり溜息を吐くレオハルト。

 

現在、【オーブ】には先の大戦で活躍したアークエンジェルの面々が亡命している。その中でもレオハルトが注目しているのは、自身の半異父兄弟であるキラ・ヤマトの存在である。

 

レオハルトにとって、キラは異質な存在である。ヒビキ夫妻を両親とするキラと、アル・ダ・フラガとユーレン・ヒビキの遺伝子を配合し、ヴィア・ヒビキによって誕生したレオハルトとは半異父兄弟。

 

遺伝子的には兄弟である。だが、一般的な兄弟間の情を持っているかと問われれば、レオハルトは否と答えるだろう。

 

しかし、レオハルトがキラに何の感情も持っていないのかと問われると、それもまた否である。自分と同じ創られた存在であるということで親近感のような感情を持ちつつも、同族嫌悪している部分もある。

 

引き出しを開けると、中に入っている写真を取り出す。これは、アーネストが持ってきた報告書類の一部である。

 

「力ある者より、意志ある者が戦うべきだ。お前はそこに居るんだ、キラ」

 

写真を見てレオハルトは小声で呟く。その写真には、キラが子供たちと遊ぶ様子が映っていた。レオハルトの瞳に感情は無く、機械の様だった。

 

 

 

 

 

 

 

オーブ連合首長国の近海に、スサノオ島という小さな島がある。オーブ本島とつなぐのは、午前午後にある定期便のみ。島の住人は100にも満たない、本当に小さな島である。

 

この島に、彼らはいた。

 

前大戦で多大な活躍を残した【アークエンジェル】や【エターナル】を始めとした、【三隻同盟】の面々である。

 

FREEDOM(フリーダム)のパイロット、キラ・ヤマト。そして、未だに【プラント】内部で多くの支持者を持つラクス・クライン。

 

【アークエンジェル】艦長、マリュー・ラミアス。元【ZAFT】北アフリカ駐留軍司令官にして【砂漠の虎】の異名を持つ、アンドリュー・バルトフェルド。

 

他にも【アークエンジェル】のクルーなどが同様に【オーブ】に亡命し、人によっては名を変え【オーブ】の一市民として暮らしていた。

 

そんな彼らは、このスサノオ島に【オーブ】代表首長にして姉弟(兄妹)であるカガリ・ユラ・アスハから海岸沿いの住居を貸し与えられ居住していた。

 

徐々に陽が沈み始めた夕暮れ時、テラスではキラが椅子に座り夕日を眺めていた。さざ波が聞こえる静かな時間とは裏腹に、家の中からは子供たちの元気な声が聞こえてくる。

 

キラは元気な子供たちを見て笑みを浮かべると、海へと視線を戻す。

 

この家に住む子供たちは、孤児である。前大戦の際に【オーブ】が地球連合軍に侵攻を受けた際に家族を失い、行き場を失った子供である。

 

そんな子供たちの一部をラクスが率先して引き取り、共に暮らしている。

 

「キラ」

 

声を掛けられ視線を向けると、立っていたのは親友のアスラン・ザラだった。

 

元【ZAFT】特務隊所属にして、【プラント】最高評議会議長も務めたパトリック・ザラを父に持つ。だが、そんな父も同じく大戦にて失い、【オーブ】へ亡命。

 

だが、実際にはアスランの持つザラの名に人が集まり、旗頭となることを恐れ厄介払いをしたかった当時の評議会議長アイリーン・カナーバと利害が一致したことによるものだった。

 

そして今、アスランはをアレックス・ディノと名を変え、代表首長カガリ・ユラ・アスハのSPを務めると共に、【オーブ】の市民権を獲得している。

 

「アスラン、お疲れ。今日は早いんだね」

「カガリが最近働き詰めでな、たまには早く休めと言われていたよ。そうなると、必然的に俺の仕事も終わりだ」

「そっか。カガリ、大変そうだね」

 

アスランはキラの隣に置かれていた椅子に腰掛けると、同じように海を眺める。

 

「そうだな。国土の復興に、各国との外交。やることはまだまだ山積みだ」

「アスラン。君も、身体には気を付けてね」

「ああ、ありがとう。お前もな、キラ」

 

そう言って2人は顔を見合わせると、笑みを浮かべた。

 

 

 

 

ほぼ同時刻。

 

本島からの定期便が来た今日、ラミアスはスサノオ島にある唯一の雑貨店にて2日分の食料を買いに外出していた。

 

1人では大変のためバルトフェルドが同行し、買い込んだ食料や生活用品を車に積み込んでいく。荷物を車に載せつつバルトフェルドは、ふと視線をずらす。

 

「……」

 

わずかに険しくなるバルトフェルドの目つき。だが、すぐに元に戻ると最後の荷物を積み終わると、カートを返してきたラミアスと合流すると車に乗り込み、バルトフェルドは車を発進させた。

 

車道を走らせつつバルトフェルドはバックミラーで後方を確認。1台の車が来ているのを確認する。

 

「やれやれ。毎日毎日、ご苦労だねぇ」

「尾行ですね」

「こんな善良な市民を監視とは。やれやれだね」

 

ここ数ヶ月の間、自分たちを監視している者たちがいる。監視しているので隠れてはいるが、バレても良いぐらいの考えで監視されている。

 

今、後ろから追ってくる車に乗っている人間も、自宅を監視している一団も、同じ目的を持って監視している者たち。同じ組織、同じ命令権者からの命令で動いている。

 

「問題は、監視している理由」

「目的はやっぱり、ラクスさんかしら」

「彼女だけが目的なら、僕たちを監視する必要は無いんじゃない?奴らのこれまでを考えると、彼らの監視対象は大戦で“あの”三隻、特に君と僕の艦の人間。中心となった人間と考えると妥当かな」

 

バルトフェルドは再びバックミラー越しに後ろを走る車を一瞥し、そう結論付ける。

 

その言葉にラミアスの表情が険しくなると、同じようにミラー越しに車を見る。依然として後方の車は一定速度で走っており、付かず離れずの距離を保っている。

 

「でも、“彼ら”のこれまでの行動からして、自分たちの存在を隠そうとはしていませんよね」

「その通り。むしろ、バレても問題無いという考えで行動しているだろうね」

 

バルトフェルドの言う通り、“彼ら”は自分たちの素性はバレないようにしても、監視していることは隠そうともしていない。

 

そしてバルトフェルドは、“彼ら”が只者では無いことも理解している。足の運びや尾行、さり気ない視線の動き。明らかに素人ではない。バレても問題無いと考えていたからこそ、早く気付くことが出来た理由だろう。

 

素人どころか、正規の軍人の動きであることは明白だった。それどころか、正規の訓練に加えて特殊訓練を受けた者であるということも、バルトフェルドは元【ZAFT】軍人として直感していた。

 

「特に実害があるわけではないけど、気分は良くないよねぇ」

「とは言っても、排除するわけにはいきませんよね」

「ああ。“彼ら”は恐らく」

「【ZAFT】、ですよね」

 

バルトフェルドの言葉に被せるようにして、ラミアスが確認するように呟く。バルトフェルドは小さく頷くと、ようやく見えてきた自宅の前に車を停める。

 

“彼ら”の車は家を通り過ぎ、カーブを曲がっていき見えなくなった。

 

「何とかしたいところですけど、今は静観するしかないないですね」

「そうだね。まあ、幸いなことに何かするわけではないからね。今は、放っておこう」

 

そう言って2人はとりあえずの結論を出すと、家にいたキラやアスランを呼び買ってきたものを家の中に運んでいく。

 

バルトフェルドは家に入る直前にわずかに山の上の森林地帯に目を向けるが、すぐに視線を外し中に入るドアを閉めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「【虎】が戻った」

 

双眼鏡を覗きつつ呟くと、隣にいる仲間が小さく頷く。

 

謎の人物たちの姿は一般人とは程遠く、パッと見ただけでは人間が居るとは分からないほどに森と同化している。だが、そこには絶対バレないようにという考えがあるようには見えない。

 

つまり、隠れることが出来ればそれに越したことは無いが、バレても問題無い。という考えで行動している。

 

「先程【正義】も戻り、全員帰って来たか」

「今日も変化無し」

 

その時、2人の耳に付けたイヤフォンから声が。

 

「こちらデルタ。P-αに到着。シグマ、交代だ」

「こちらシグマ。了解、移動する。目標に変化無し」

「了解。アウト」

 

2人は声に短く応答して最低限の荷物を手に、静かにその場を立ち去る。

 

同時に、また別の場所に2名の人物が姿を現し、眼下の家を監視を始めるのだった。

 




次回の更新も近々行う予定です。
週末ぐらいに更新します。

恐らく、次の話も含めて2、3話で本編に突入すると思います。

また次の話もよろしくお願いします。
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