機動戦士ガンダムSeeD DESTINY~ANOTHER DESTINY~ 作:Pledge
本編ではなく、突発的に思いついた番外編です。
主人公も今まで出ていなかったキャラです。
楽しんで頂けたらなと思います。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦開始直前
地球連合軍は【ボアズ】を核で消滅させ補給を受けた後、ヤキン・ドゥーエに向けて侵攻を開始。地球連合軍の大部隊が接近中の中、中軍左翼に展開しているグラヴァー隊の旗艦で隊長のディグ・グラヴァーの言葉が艦内放送で流れていた。
「現在、ヤキン・ドゥーエに連合の大部隊が接近中だ。今回の戦い、今までに無い激戦となるだろう。しかも、奴らは核を使ってくるはずだ。【プラント】をやらせるわけにはいかん!各員の奮闘に期待する!!」
格納庫に格納されている
家族や恋人を思い浮かべ、必ず生きて帰ると誓う者。【プラント】を護るために戦う決意を新たにする者。仲間を討たれ、憎しみに駆られてMSを操る者。
その中に、赤服の彼はいた。【ZAFT】内でも名が知られるエースにして問題児、オルジラフ・カルヴァン。彼が乗る
ダークシルバーにカラーリングされた彼専用の
オルジラフは先の【ボアズ攻防戦】でMS19機、戦艦1隻を撃破。【アストレス勲章】を授与された。
アストレス勲章とはネビュラ勲章よりは下ではあるが高い戦績を残したものに授与される勲章で、ちなみにレオハルトも1度だけ受賞経験がある。
オルジラフは真っ暗のコックピットで操縦桿を握り、静かに目を閉じ瞑想をしていた。だが、不意にオルジラフが目を開く。
「総員に通達!前線部隊が交戦を開始!!司令部より出撃命令を受領!」
「MS隊、発進!!」
グラヴァーの合図ですでにカタパルトで待機していた隊員が出撃する。次々と出撃していき、最後にオルジラフの番がやってくる。
「全システムオールグリーン。カルヴァン機、発進よし!」
「オルジラフ・カルヴァン、出撃する」
その言葉と同時に、オルジラフはフットペダルを踏み込み操縦桿を限界まで押し出すと、オルジラフを急なGな襲う。
だか、強いGもオルジラフにとっては慣れたもの。宇宙に飛び出すと、オルジラフはすでに戦端が開かれた前線へと向かっていく。
前線では初の制式主力MSとして【GAT-X105
しかし、この機体は戦線を維持するために本来開発する予定だった機体を、大幅にダウングレードし簡易化して開発した機体だった。
とはいえ、ビームライフルを標準装備するなど【ZAFT】のこれまでの主力機であるジンやシグーを上回る攻撃力を有している。
オルジラフの目の前に広がる戦場では、敵味方を問わずに瞬きをする間に命が失われていく。
オルジラフは“MA-M21G ビームライフル”の引き金を引き、ダガーのコックピットを貫き撃墜。
だかその瞬間、コックピットで激しくアラートが鳴り響く。オルジラフの瞳に、ビームサーベルを振り上げたダガーが映る。
オルジラフの隙を突き、確実に撃墜したと確信する連合軍のパイロット。
だが、オルジラフはわずかに前進すると同時に機体を反転させると、頭部に装備されている“MMI-GAU2ピクウス 76mm近接防御機関砲”を発射。
ダガーのメインカメラを破壊すると、対ビームシールドの先端に内蔵された“MA-MV03 2連装ビームクロー”を展開し、ダガーのコックピットに突き刺す。
オルジラフはダガーを押し出すように蹴ってビームクローを引き抜くと、さらに前線へと向かっていく。
前線へと向かいながら、オルジラフはビームライフルでダガーを次々と撃墜していく。
そんなオルジラフに脅威を感じたのか、連合軍兵はオルジラフを包囲して撃墜するために動き出す。
オルジラフに向かうダガーは5機。5対1という余程の腕の持ち主でも無ければ、撃墜される状況。つまりは、自らの死を感じる状況。
一斉に向けられた銃口から発射されるビーム。だが、オルジラフの顔に浮かぶのは笑み。唇の左端を釣り上げ、狂気の笑みを浮かべるオルジラフ。
雨のように浴びせられるビームを器用に避けながら、オルジラフの笑みはさらに深くなる。
「ククッ……。……アッハッハッハッ!!」
ついには高らかに哄笑すると、オルジラフは一気にゲイツのスラスターに火を入れる。
敵へと接近しつつオルジラフは、ビームライフルの引き金を一瞬で5度引き絞る。
ダガーは攻撃を中止し回避。1機のストライクダガーの正面に現れると、再度ビームクローでコックピットを貫く。
その時、オルジラフは自身を狙ういち早く攻撃に転じたダガーのビームライフルの銃口に気付くと、ストライクダガーを貫いたまま自身を狙うダガーに投げつける。
味方同士でぶつかった瞬間を狙い、オルジラフはビームライフルを撃つ。精確に射抜かれたコックピット。爆散するダガーなどすでに眼中に無く、残る敵に牙を剥くオルジラフ。
「来いよ、俺を殺してみろよ!!俺を殺せないなら、お前らが死ぬしか無いよなーっ!!」
再びオルジラフを襲うビーム。オルジラフは後方へと退きつつ、両腰に装備された“MMI-M10カストール レールガン”を発射する。
本来ならこの場所には“エクステンショナル・アレスターEEQ7R”が装備されているのだが、オルジラフが必要無いと言ったことから排除された。
その代わりに実装されたのが、フリーダムに装備されている“MMI-M15クスィフィアス レール砲”の同系統の武装が搭載された。
武装の型番からも分かる通り、エネルギーの関係もあり劣化版であることは否めない。だが、それでもPS装甲を有していない機体には充分に有効であり、利便性も高い武装である。
カストールがダガーのコックピット部分に直撃。爆発こそしないものの機体は大破。
あっという間に仲間の4機を撃破され、残りの1機となってしまったダガーのパイロットは恐怖に襲われる。
そんな状態でまともに戦えるはずもなくあっさりとビームクローで撃墜されると、オルジラフは口元に笑みを浮かべたまま叫んだ。
「俺を殺してみろ、ナチュラル!!」
いつなのか。『恐怖』という感情をオルジラフが失ってしまったのは。オルジラフは考えてみたことがある。
だが、いつだったのかは結局分からない。物心ついた時には、すでに無かったようにオルジラフは記憶している。
いつからだろうか、オルジラフが『死』というものに忌避感を感じなくなったのは。オルジラフが【ZAFT】に志願してから、幾人もの『死』というものを間近に見てきた。
だが、それに対してオルジラフが感じたのはただ一つ。運が無かった、それだけだった。
人間はこの世に生を受けた瞬間から、『死』という階段を登り続けている。病気で死ぬも、事故で死ぬも、誰かにあるいは自分で命を奪うのも、結果は同じ。『死』である。
それこそが、オルジラフの『強さ』。『恐怖』や『死』が理解出来ず、オルジラフはひたすら『強者』との戦いを求める。
戦闘開始から時間が経ち、オルジラフの撃墜数も確実にその数を増やしていた。
狂気の中にあった感情も落ち着き、オルジラフはダガーを潰していた時だった。
アラートが鳴りレーダーに視線を落とすオルジラフ。そこには、
挨拶代わりにオルジラフはビームライフルを1発撃つと、
「カスタム機!?エース機か!!」
「久し振りだなぁ、アスラン・ザラ!!」
「!? その声、オルジラフ・カルヴァン!【銀狼】か!」
「『あの時』の決着をつけようじゃねぇか、ザラ!」
アスランはオルジラフの
アスランとオルジラフは、かつて1度だけ戦ったことがある。戦ったとはいえ、もちろん命を賭けた戦いでは無い。
部隊の練度向上を目的とした部隊対抗の模擬戦である。オルジラフ所属のグラヴァー隊、アスランが所属するクルーゼ隊。その時、オルジラフとアスランはぶつかった。
両者共に譲らず、模擬戦とはいえ緊迫感ある戦いだった。だが、勝負は母艦が大破判定を受けたことでオルジラフの所属するグラヴァー隊の敗北。
グラヴァー隊の人間も良い線までいったものの、イザーク・ディアッカ・ニコルといった、最終的にはパイロットの実力差が現れた形となってしまった。
結果、オルジラフとアスランの勝負の決着は付かず終い。オルジラフとしては、納得のいかない終わり方だった。
「今あなたに付き合っている暇は!!」
「敵と戦場で会えば、戦うのは当たり前だろう!さあ!今度は、命を賭けた戦いをしようか!!」
オルジラフはビームライフルの引き金を2度引き先制攻撃。次の瞬間にはビームクローを展開し近接攻撃を仕掛ける。
「早くヤキンに向かわなければ!!」
アスランは“MA-M20ルプス ビームライフル”で距離を詰めてくるオルジラフに牽制射撃を行う。
だが、牽制射撃程度でその進みを止めるオルジラフでは無かった。左右に動いてルプスを回避し、さらに距離を詰める。
アスランは小さく舌打ちをすると、“MA-4Bフォルティス ビーム砲”を発射。オルジラフは機体をバレルロールさせて回避。正面を向くと、カストールを放つ。
「(手を抜いて、易々と退けられる人ではないか!)」
アスランは改めてオルジラフの強さを痛感すると、本気で戦いオルジラフを退け急いでヤキン・ドゥーエに向かう。
これが最短だと考え、アスランはオルジラフと対峙することを決めた。
「やる気になったか。さあ、殺り合おうじゃねぇか!」
そう吠え、オルジラフがアスランに向かっていこうとした時、横槍が入る。
直感的にオルジラフが操縦桿を引いた瞬間、先程までいた場所をビームが通過する。
「アスラン!!」
「カガリ!?」
「ちっ!邪魔をするんじゃねぇ!!」
オルジラフにとって、アスランは自分が求める存在。同時に、アスランのような強者と戦う歓び。
オルジラフの『聖戦』を邪魔したのは、MBF-02
オルジラフはカガリに鋭い牙を向ける。ビームライフルの銃口をカガリに向けると、3度ビームを発射。
カガリは2発は避けるが、最後の1発はシールドで防ぐ。カガリが反撃に出ようとシールドをズラした目の前には、モノアイを光らせる
驚愕で目を見開くカガリを、オルジラフは至近距離でカストールを撃つ。コックピット部分に直撃したカストールによって、カガリを激しい衝撃が襲う。
「カルヴァン!」
オルジラフはフットペダルを踏み込み、スラスター噴射でアスランが放ったビームを回避。
オルジラフがアスランへと視線を向けると、アスランは“MA-M01ラケルタ ビームサーベル”の柄同士を連結させ“アンビデクストラス・ハルバード”となった。
アスランは“アンビデクストラス・ハルバード”を手に、
「来いよ、ザラ!!」
オルジラフの意識からカガリのことなど一瞬で消えると、同じようにオルジラフもアスランへと突っ込んでいく。
交錯する瞬間、オルジラフは右のフットペダルのみ踏み込み、
“アンビデクストラス・ハルバードを回避。
一瞬の交錯。アスランは決めたと思った一撃だった。だが、結果はギリギリであるが避けられてしまった。
反対に、オルジラフは狂喜していた。今のアスランの攻撃、オルジラフは避けられるとは思っていなかった。だが、寸でのところで避けることが出来た。
厳然たる事実として、オルジラフはエースとしての実力を兼ね備えている。そのオルジラフをしても、まさに紙一重の交錯だった。
それほどの戦いを繰り広げられる相手、それが今自身の目の前にいる相手なのだとオルジラフは狂喜の笑みを見せた。
「最高じゃねぇか、ザラ!だか、まだだ!!まだまだこれからだろ、ザラ!!」
「何を言ってるんですか、あなたは!【プラント】が、核の脅威に晒されているというのに!!」
「俺はただ、戦場に立つだけだ!!政治の世界に興味はねぇ!!俺たち軍人がするのは、敵を殺すことだろう!!」
オルジラフは交錯した後、すぐさま機体を反転。オルジラフとアスランは同時に引き金を引いた。アスランはフォルティスを撃ち、オルジラフはビームライフルを撃った。
両者のビームは別方向へと逸れたが、続けてオルジラフはカストールを発射。間髪入れず、オルジラフはビームクローを展開し距離を詰めていく。
アスランはカストールを難なく避け、“MMI-GAU1サジットゥス 20mm近接防御機関砲”の引き金を引くと、頭部の両側に装備されている砲門から小口径の弾が次々と吐き出されていく。
「俺は、この戦争を止めに来たんです!時間が無いんだ、俺には!!」
「それこそ俺の知ったことか!先に進みたいなら、俺を殺せ!!」
オルジラフは機体を停止させると、横へと進路転換しサジットゥスから逃れる。
その時、オルジラフは視界の端にダガーを捉える。オルジラフはさらなる邪魔者に舌打ちをすると、ビームライフルを素早く向けると連射。一発目で頭部をつぶし、二射目でコックピットを貫いた。
再びオルジラフはアスランへと意識を集中した瞬間、オルジラフは飛来してきた“ファトゥム-00”を回避。ビームクローを再び展開し、ビームを撃ってくる
「どうしたよ、ザラ!お前の力は、この程度か!おれをがっかりさせんじゃねぇ!!」
「俺は!!ここで止まるわけにはいかない!!」
瞬間、アスランの内に眠る【SEED】が覚醒。再度起こった両者の交錯。すれ違った時には、
「ハッハッハッハッハッ!!調子が出てきたじゃねぇか、ザラ!!だが、もっとだ!もっとだよ、ザラ!!」
「いい加減に!!」
アスランは激怒すると、“RQM51バッセル ビームブーメラン”を手にすると投擲。オルジラフは残った左腕に装備されたビームクローでバッセルを弾き飛ばす。
その時、突然背後から飛来したビームによって両脚が吹き飛ぶ。それに引き続き、背後から飛んできた何かによってオルジラフを激しい衝撃が襲う。
「ぐぅっ!」
その正体は、先ほどアスランが射出したファトゥム。アスランがマニュアルで遠隔操作を行い、フォルティスで
アスランはファトゥムを背部に連結すると、最後の止めとして左腕を切断し頭部を破壊。
カガリと共に再びヤキンへと猛スピードで向かっていってしまった。その背を見送りながら、オルジラフは笑みを浮かべる。
「敵に止めを差さねぇとは。甘ぇな、お前は。・・・・・・チッ。また、負けちまったか」
今回の話に出てきた、オルジラフ・カルヴァン。
強さ的には、上位と思ってください。
レオハルト>キラ=アスラン=シン=クルーゼ>レイ=オルジラフ
という感じです。
では、またの更新をお楽しみに。