機動戦士ガンダムSeeD DESTINY~ANOTHER DESTINY~   作:Pledge

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大変お久し振りです。

上の人間が代われば、仕事のやり方も全く違いますね。
改めて痛感した、この数ヶ月でした。

それはともかく、かなり久し振りの投稿になります。
これ以上悩むと、ずっと投稿出来なくなりそうなので更新します。



Operation - 3 保持者

C.E72年5月下旬

 

レオハルトはある日、随行員を1人引き連れてある場所を訪れていた。

 

レオハルトらが目的の【プラント】に到着し港を出ると、送迎車と白服の男と黒服の男女2名が待っていた。

 

レオハルトに気付くと、彼らは同時にレオハルトに対し敬礼。レオハルトらも立ち止まると、答礼をする。

 

「お待ちしておりました、リベラント特別議員。ようこそ、【アーモリーテン】へ。案内役を仰せつかった、ガイゼン・ジーマです」

 

【アーモリーテン】。

 

アーモリー市を構成する【プラント】の一つで、アーモリーとはArmsとFactoryの造語であり、『兵器工廠』を意味している。

 

だが、この【アーモリーテン】のみに関しては少し意味合いが違っており、【アーモリーテン】には未来の【ZAFT】を育成する士官学校(アカデミー)が存在している。

 

レオハルトがここを訪れたのは、新たに国防委員長に就任したタカオ・シュライバーの名代として【アーモリー市】の視察である。

 

そのためレオハルトは以前デュランダルから受け取った、赤地に右肩から左脇腹にかけて斜めに黒線が入ったコートを着ている。

 

レオハルトは今回、軍人としてではなく政治活動の一環として訪れている。だからこそ、いつもは左胸に光る徽章を外しているのだ。

 

とはいえ、やはり身体に染み付いた習慣によってレオハルトは敬礼に対して、即座に答礼してしまった。

 

特別議員として立場を明確にするため制服に身を包み徽章を外したというのに、到着早々に出鼻を挫かれた気分であった。

 

レオハルトは内心で苦笑しながらガイゼンと握手を交わす。

 

レオハルトは2日ほどの時間を掛けて視察を行い、【アーモリーテン】が最後の視察場所である。

 

「部下の紹介もしたいところですが、時間も惜しい。車の中でさせて頂きます。こちらへ」

 

案内によりレオハルトらは特別製のリムジンに、対面する形で座る。

 

「では、改めて名乗らせて頂きます。こちらは、マグウェル・ファウター。そして、オルキア・ミジェールです」

「よろしく頼む。こちらも紹介しよう、随行員のアイリッシュ・ハウンドだ」

 

今回、レオハルトの随行員として同行している赤服のアイリッシュ・ハウンド。

 

その名前は偽名であり、所属は【WIA】第四課護衛部所属のゼルデア・ミスト。護衛部でも指折りの実力者で、MSの操縦技術も高い、数少ない人物である。

 

互いの挨拶も済ませ、車は士官学校(アカデミー)へと向かう。

 

 

 

 

士官学校(アカデミー)に到着したレオハルトはジーマの案内であらかた周り終えた後、レオハルトは窓から見える一角に格闘訓練を受けている者たちを見つける。

 

「ご興味がありますか?」

「問題無いか?」

「教官たちにはリベラント隊長が訓練を視察する可能性があることは伝えてあります。問題無いでしょう。こちらへ」

 

レオハルトらが窓から見えた場所に着くと、訓練を見守っていた教官が真っ先に気付き、遅れて周囲の生徒たちも誰かは分からないが偉い人が来ていることに気付きだした。

 

「気を付け!敬礼!!」

 

教官の突然の号令にも、生徒たちは叩き込まれたことに従い姿勢を正すと、教官と同じ集団に敬礼をする。

 

「構わない。訓練を続けてくれ」

 

レオハルトは答礼をした後、教官に訓練を続けるように促す。それに続いてジーマも同じことを告げ、ようやく教官は訓練再開の声を上げる。

 

レオハルトがその場に集まっている生徒たちを見渡した時、一人の少年と目が合う。

 

長い金髪を束ね、レオハルトに険しい視線を向ける一人の少年。レオハルトは少年と視線を一瞬だけ交わすと、視線を外し訓練へと視線を向けた。

 

「ねぇ。あの一人だけ違う服を着た金髪の人、誰なのかしら?」

「俺に聞くなよ。レイは知ってるか?……レイ?」

「……ああ。彼はレオハルト・リベラント。顔は知らずとも、名前は知っているだろう。彼は今、評議会の特別議員という役職も担っている。ここに来たのは、視察だろう」

 

何でもないことのように淡々と語る金髪の少年、レイ・ザ・バレル。対して、一番最初に疑問を投げかけた少女、ルナマリア・ホークは驚きの表情を浮かべる。

 

「あの人が、レオハルト・リベラント……。最強を破った、真の最強」

 

ルナマリアの質問に素っ気なく答え、だが今はレオハルトを憧れの眼差しで見るのはシン・アスカ。

 

この三人は同期の間でも特に仲の良い三人組で、一緒にいることも多い。

 

レオハルトへ尊敬の視線を向けていると、不意に目が合い焦って視線を外すシン。

 

「(この感覚は……)」

 

シンを見て覚えのある感覚に襲われ、わずかに眼を細めるレオハルト。

 

「そこまで!よし、十分の休憩を取る。水分補給を忘れるな!」

 

教官がそう言うと、生徒たちはそれぞれ水分補給のために動き出す。

 

目が合って焦っていたシンも仲間に急かされ、水分補給へと走る。

 

「すまない。少しトイレに行ってくる。一人で構わん」

 

レオハルトはジーマにトイレに行くことを伝えると、変わらず自分を見ていたレイと視線を合わす。

 

そして何も言わずに、隊舎の中にあるトイレへと向かっていく。

 

「トイレに行ってくる」

「ああ、わかった」

 

その後をレイが静かに追い掛けた。

 

レオハルトが洗面台で手を洗っていると、その後ろにレイが静かに現れる。

 

「久し振りだな、レイ」

「……はい、レオ」

 

どう声を掛けようか迷っていたレイに、レオハルトが先に声をかけるとレイは逡巡したあと頷いて見せた。

 

「レオ、俺に何か用でしょうか」

「お前にあると思ったよ。俺に聞きたいことでもあるのか?」

「……っ!」

「意地の悪い質問だったな。ラウのことだろう?」

 

先の戦争の最終戦、レオハルトは親友のラウ・ル・クルーゼと死闘を繰り広げた。

 

最終的にラウは、レオハルトを庇い【ジェネシス】に焼かれて死亡した。

 

「レオ。何故、ラウと戦ったのですか」

「ラウと俺では、考え方が違かった。それだけだ」

「それだけでは納得出来ません」

「だろうな。納得する必要もない。俺はラウを殺した。それだけを理解していろ」

「ラウは!!……レオが手を下したわけではありません」

 

レオハルトのクルーゼを殺したという発言に、レイは一瞬だけ感情的になり声を荒げる。

 

だが、一度深呼吸して気を静めるといつも通りの口調で言った。

 

普段は冷静なレイが珍しく感情を露わにし声を荒げたことに、レオハルトは驚きの顔を見せる。

 

だが、すぐにいつもの表情に戻ると、自嘲気味に唇の端を釣り上げる。

 

「【プラント】は英雄を求めている。英雄を騙った裏切り者を、真の英雄が倒す。政治の世界にも、物語は必要だ」

 

先の戦争が終結した後、【プラント】はレオハルトのことをプロパガンダの意味合いも込めて大々的に報道した。

 

【プラント】を裏切った人間を討った、彼こそが英雄だと。【プラント】の守護者だと。

 

レオハルトは内心、そのことを苦々しく思いながらもそれを受け入れた。

 

「もっとも、指示を出しているのはギルだろうがな」

「ラウは自分の赴くままに生き、そして死にました。後悔はしていないと、俺は思います」

「そう願いたいものだ。……俺が言うのもおかしい話だがな」

「ラウは、あなたのことを親友と言っていました。ラウも……本望かと」

 

レオハルトは小さく微笑を浮かべると、レイを置いて歩き始める。だが、不意に歩みを止めると背中越しに話しかける。

 

「レイ、体調はどうだ?」

「……いつも通りです。レオは?」

「いつも通りだ。ではな、また会おう」

 

それ以上は何も言わず、立ち去るレオハルトを見送るレイ。レイはレオハルトとは別の道を通って、訓練場所へと向かう。

 

「レオ。俺もあなたも………」

 

その時、近くを大型車が通りレイの呟きは騒音にかき消されてしまった。

 

 

 

 

 

視察を終えた夜。

 

レオハルトは宿泊先のVIP専用の客室で、私物のPCを開き仕事のメールを確認していた。

 

PCに映し出される情報を一つずつ細かくチェックし、頭の中で精査していくレオハルト。

 

画面に映し出されているのは、MSの設計図及び開発コンセプト。取捨選択されたものが、表示されているものである。

 

CHAOS(カオス)GAIA(ガイア)ABYSS(アビス)

 

現在、【プラント】では最新鋭のMSの開発が進行している。開発を担当するのは勿論、【統合三局】。

 

そして、開発の総指揮にレオハルトが就任している。これは、デュランダル直々のご指名でもある。

 

IMPULSE(インパルス)SAVIOUR(セイバー)。そして、OURANOS(ウラノス)。総数は六機か」

 

送られてきたデータに、レオハルトは意見を一機ずつ添えて返信していく。

 

すべての機体に対しての返信を終え椅子から立ち上がると、窓から見える景色を眺める。

 

思い出すのは、昼間のレイとの邂逅。レイとは長らく会っておらず、最後に会ったのは先の大戦が始まる前だとレオハルトは記憶していた。

 

「戦火は燻る、か……。どう思う」

 

レオハルトは何者かへと静かに語りかける。

 

レオハルトの目の前の窓ガラスには、軍服をキッチリと着込んだアイリッシュが立っていた。

 

「申し訳ありません。お返事がなかったのですが、失礼させて頂きました」

「構わない。で、どう思う」

「パトリック・ザラを信奉する一派。水面下で動くクライン派。【オーブ】に身を隠した【アークエンジェル】。火種を挙げれば、キリがありません」

「確かにな。連合も、いつまでおとなしくしているか」

 

アイリッシュの言葉に同意すると、レオハルトはグラスに注いだ水を飲み込む。

 

たった一度でも強い風が吹き荒べば、存在する多くの火種は瞬く間に燃え盛り【プラント】を戦火に包み込むことだろう。

 

その火の粉を払いのけるのがレオハルトの仕事であり、そのための力でありMSである。

 

「夜も遅い。アイリッシュ、そろそろ休め。俺も休む」

「了解しました。私は隣の部屋に居ります。何かあれば、すぐに」

 

アイリッシュはそう言い残すと、敬礼をすると踵を返し部屋を退室した。

 

「SEED保因者も現れた。戦火は、俺の思っている以上に近いのかもな」

 




如何だったでしょうか。

次話についてですが、今週中にもう一話更新します。
出来ないと思われるでしょうが、お任せ下さい。

では、次回の更新もよろしくお願いします。
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