超空間共生怪獣 クラブガン 登場!
その日の朝、駒王町から少し離れた場所に位置するダムにて、作業員達がいつもの様に仕事をしようとするが
ミィヤォォォォオン…
不気味な鳴き声が聞こえ、全員が見上げると、イソギンチャクの様な触手を持つ芋虫みたいな巨大生物がうねうねと身体を揺らしていた。
作業員A「うわっ!!」
作業員B「でででで出たァァァァーー!!」
それを見た作業員達はパニックになって、一斉に逃げ出した!
その混乱の中、慌てた作業員の1人がスマホから電話をかけた。
作業員C「も、もしもし!?自衛隊ですかっ!?か、かかか……怪獣が出ましたーーーーっ!」
その連絡から数分後、ダム周辺は自衛隊と警察による厳重な取り締まりで封鎖された。
それから数時間後、駒王学園は丁度昼休みの時間に入っていた。
我夢はいつもの様に、一誠、松田、元浜の3人と机を囲んで昼食を摂っていた。
我夢「ダム周辺が緊急封鎖?」
我夢は飲んでいたオロ○ミンCを机に置き、元浜へ聞き返していた。
元浜「ああ…。科学薬品を運んでいたトラックが事故を起こして、ダム周辺にその薬品が漏れたらしい。問題はその薬品に含まれている毒性の科学物質さ。その毒が蔓延しないように封鎖しているそうだ」
我夢「へえ~…」
松田「そりゃ大変だな」
一誠「コクッ」
元浜の説明に我夢と松田、一誠は頷いた。
一誠「お前がこんな真面目な話題を持ち出すなんて珍しいな?何かおかしい点でもあんのか?」
元浜「よくぞ聞いてくれたっ!!
一誠「裏切り者って…」
一誠の疑問に元浜は眼鏡をキランと輝かせながら、前のめりに一誠へ指を指した。
一誠は元浜の裏切り者という言葉にため息をついた。
実はライザーとの一件後、一誠は女子生徒に対するわいせつ行為、発言を一切しなくなり、我夢と一緒に変態行動を起こす松田、元浜を取り締まる様になった。
本人曰く、「新しい夢を見つけた」ということで、過去の未練が吹っ切れたそうだ。
その夢は、「リアスや仲間、生きている皆の夢を守る」という内容で、この場では我夢しか知らない。この事を知らない松田と元浜に当然反感を買っている訳である。
村岡「見て見て…またあのエロ眼鏡が吠えてる…」
片瀬「兵藤は改心したのに、あの2人は…。本当に嫌ね~……」
その様子を半目で見ていた村岡と片瀬は、元浜達に聞こえるか聞こえない声で、ヒソヒソと話していた。
女子生徒の間では、一誠の評判は良くなっている。
最近の一誠の行動に女子生徒達は最初は怪しがっていたが、段々と彼の本気が伝わり、元からの顔の良さもあいまって、今どきいない「熱血系イケメン」と、我夢と並んで密かに人気なのである。
松田&元浜「「ううう……」」
一誠「おっ、おい…」
我夢「えぇ……」
女子のヒソヒソ声が聞こえたのか、元浜と松田は泣き出した。どうやら、一誠が密かにモテ始めた事がかなりの精神的ダメージだったらしく、我夢と一誠は戸惑いながら、その様子を眺めるしかなかった。
松田と元浜はひとしきり泣くと、我夢に差し出されたハンカチで2人仲良く涙を拭いた。
一誠「それで、何がおかしいんだよ?」
一誠がダムの話題についての疑問を問うと、元浜は眼鏡をかけ直し、話そうとしたとき
???「
突然、元浜の後ろから少女の声が聞こえた。
4人は声のした方を向くと、眼鏡をかけた三つ編みの少女、「
彼女はこの学園1の情報通として有名である。
元浜「何だよ、桐生。俺が説明しようと―――」
愛華「うるさいわね、
元浜「うぐっ!?」
元浜はそう言われた瞬間、打ちひしがれた様な表情になり、自身の股関を手で隠しながら倒れた。
松田「元浜ぁぁーー!!」
その一部始終を見た松田の悲鳴が教室中に響いた。
愛華は情報通だけでなく、眼鏡を通して見ることで男のシンボルを数値化できる妙な特技を持っている。
そんな特技を持っていることから、男女問わず「匠」と呼ばれ、尊敬または畏怖の存在とされているのだ。
我夢「それで…警備のどこかおかしいの?」
我夢はそんな2人をよそに愛華へ質問した。
すると、愛華はふふふ…と少し不気味な笑みを浮かべながら、スマホを取り出し、1枚の画像を我夢達に見せながら疑問点を話し始めた。
愛華「普通、毒性の薬品が漏れたくらいの騒ぎなら、警察だけで取り締まれば充分よ。でも、今回の事故の警備は武装した自衛隊もいるのよ?しかも、かなり厳重に……」
愛華の疑問に我夢と一誠は確かにおかしいと呟きながら、頷いた。
愛華は更に言葉を続け
愛華「まるで、
我夢&一誠「「!」」
我夢と一誠はそれを聞いた瞬間、「怪獣」という言葉が浮かんだ。幽霊の様な怪獣は「ガンQ」という前例があるので、我夢達は全く疑問に思わなかった。
そんな事を思っていると、愛華はまぁ、噂だけどね…と呟きながらスマホをしまった。
愛華「信憑性がないし、そんな難しい顔しなくてもいいわよ」
我夢「え…そんな顔してた?」
愛華「してたわよ~」
我夢と一誠はハッとした表情で、自身の顔をペタペタ触りながら問うと、愛華はニヤリと笑みを浮かべながら言葉を続け
愛華「そこの2人(松田と元浜)もだけど、もうすぐで昼休み終わるし、早く食べ終わらないと間に合わないわよ~。それじゃ」
一誠「あ、あと5分しかねぇ!」
我夢「えぇ!?」
愛華「それじゃあね~」
愛華はあわてふためいている我夢と一誠をよそにそう言うと、自分の席へ戻っていった。
我夢「ううう…」
木場「大丈夫かい?」
放課後、ソファーに座っている我夢は苦しそうに唸りながら木場に背中をさすられていた。
あの後、我夢達は何とか5分以内に昼食を食べ終わった。しかし、次の時間が急遽体育に変更になった為、胃の消化を終えてない我夢達、特に運動が苦手な我夢にとってはいつも以上の苦痛だった。
悪魔は体が丈夫でも、胃袋までは人間と変わらないのだ。
木場は我夢をさすり続けながら、正面でいつもの様に座り、楽しそうにアーシアと会話している一誠へ視線を向けた。
木場「イッセー君も同じ時間に食べ終わっていたのに、何であんだけ元気なんだろうね?」
我夢「あいつの胃袋が異常なだけだよ…」
木場「はは…」
木場は我夢にそう答えられると、苦笑いを浮かべた。
そんなこんなでしばらく会話していると、リアスと朱乃、小猫がきた。
リアス「4人共、待たせたわね…って我夢?貴方大丈夫なの?」
我夢「な、何とか…」
心配そうな表情を浮かべるリアスに我夢は腹を抑え、ぎこちない笑顔で答えた。
リアス「そ、そう…無理しないでね」
リアスは心配そうに言うと、部長席へ歩いていった。
我夢は未だに襲ってくる腹痛に耐えていると、隣に小猫が座ってき、カバンの中から小さな箱を取り出した。
小猫「先輩、良かったらこれ……」
小猫は取り出したその箱を我夢へ差し出した。それは市販の腹痛薬だった。
我夢「はは…ありがとう」
我夢は力なく笑いながら腹痛薬を受け取り、すぐにそれを2粒程飲み込んだ。
そんなやりとりをしていると、リアスが部長席に座った瞬間、先程わいわいと話し合っていた部員達も一斉に静かになった。
静寂の中、リアスは口を開き
リアス「みんな、部活を始める前に今朝のトラックの事故を知ってるわね?」
その話題に部員達は頷いた。
リアス「表向きではトラックの転倒で毒薬が漏れたってことになってるけど、やけに警備が堅かったりと妙なの。そこで今日はその件に関しての依頼が山程きているから、私達で調査しようと思うの」
リアスは今回の活動内容を伝えると、1枚の写真を取り出した。
リアス「これはダム近辺を使い魔に撮らせた写真なんだけど…封鎖の原因はこの怪獣の影響ね……」
その写真には今朝、ダム近くに現れたあの芋虫の様な怪獣の姿が写っていた。
その写真を見た部員達は我夢と一誠と同じ事を思っていたのか、やはりといった表情を浮かべた。
リアス「我夢。この怪獣の解析を任せたいんだけど―――」
リアスが我夢にそう頼もうとしたとき
ティロン♪
朱乃「あら?」
一誠「お」
我夢「あっ」
突然、我夢のズボンからメールの着信音が部室に鳴り響いた。
我夢はすみません、と申し訳ない表情でリアス達に謝りながら受信されたメールを見た。
我夢「(ん?)」
そのメールを見た瞬間、懐かしさと疑問が入り混じった表情を浮かべた。
メールにはこう書いてあった。
『近づいてはいけない
意識してはいけない』
我夢は見終わるとすぐにスマホをズボンにしまい、自身の荷物をカバンに積め始めた。
リアス「我夢、どうしたの?」
我夢「すみません、部長。今回の件で心当たりがある場所を思い出して!失礼します!」
一誠「あ、おい…」
我夢はそうオカ研メンバーにそう言い終えると同時にカバンを手に、部室から飛び出していった。
リアス「……どうして私の兵士は部室を飛び出したがるのかしら……?」
朱乃「あらあら、うふふ…♪」
我夢が飛び出していった扉を見つめているリアスの呟きに、朱乃はいつもの様にニコニコしながら微笑んだ。
現在、我夢は駒王ダムから少し離れた場所の山道を歩いていた。
ゴツゴツとした路面をどこかの場所への記憶を辿りながら休まず、かれこれ
普通の人間ならとっくに呼吸をきらしているだろうが、我夢は悪魔に転生したことに加え、記憶に新しいライザーとの戦いに備えた特訓で身体能力が常人よりはるかに高くなっているのだ。
我夢「ふぅ」
これも悪魔に転生した賜物だと思いながら山道を登っていると、研究所のような建物が見えてきた。我夢は一気に入口から700メートルぐらいの地点までかけあがった。
我夢「(久し振りだな…)」
我夢が受け取ったメールの差出人は彼の旧友からだったのだ。その旧友から久し振りに連絡が来たこともあり、どぎまぎしながら進もうとすると
ガンッ!
我夢「いてっ!?」
見えない透明のバリアに阻まれ、思い切り顔をぶつけた。
我夢「~~っ!」
女性「?」
我夢はぶつけた痛みに悶えていると、研究所の入口から白衣を着た20代半ばのロングヘアーの女性が出てきた。
その女性は不可思議な顔を浮かべていたが、我夢の顔を見た途端、満面の笑みに変わった。
女性「あら、我夢じゃない!久し振り~~!」
我夢「や、やあ、
我夢は旧友の古代生物学者、『
未来「駄目よ」
未来は先程の笑顔から一変。不機嫌そうな顔に変わり、あっさりと我夢の頼みを断った。
我夢「そんな…何で?」
未来「ダム周辺に現れた生物について聞きに来たんでしょ?まぁ…、その顔を見ると考えてはいたそうね。我夢は昔から疑問があったら首をつっこむものね…」
我夢はそれを聞き、ダムの封鎖はやっぱりあの怪獣が絡んでいると心の中で思った。
未来は言葉を続け
未来「それを聞いてどうするつもり?貴方も
未来はそう淡々と告げ、研究所の中へ戻ろうとするが
我夢「待って!」
未来「?」
我夢に呼び止められ、未来はまだ何かあるの?といった顔で歩を止め、我夢を見つめた。
我夢は真剣な表情になり、たて続けに口を開いた。
我夢「確かに僕もその事については気になるし、もし害を及ぼす怪獣だったら倒した方がいいのは間違ってないとも考えてるさ!でも、その生物が何なのか知りたいんだ!君は僕に警告するのと同時に理解してほしいからメールを送ってきたんだろう?頼むよ、未来!!」
未来「……」
我夢は必死に頭を下げながら、未来に頼んだ。
未来はしばらく黙りこんでいると、我夢の熱意に負けたのか、やれやれといった感じで肩をすくめ、白衣のポケットから取り出したリモコンのボタンを押し、バリアを解除した。
未来「はぁ、負けたわよ。ついてきて」
我夢「…!ありがとう」
我夢は笑顔を浮かべると、未来と一緒に研究所の中へ入っていった。
我夢「何を知ってるんだい、あいつについて?」
研究室に向かう道中に我夢はそう問うと
未来「よく言うでしょ。浮かばれない幽霊って自分を意識してくれる人のところに出るって」
我夢「幽霊?あいつが…」
未来は前を向いたまま歩みを止めずに答えた。
その言葉から、我夢はガンQの様な不条理の塊なのかと考えていると、いつの間にか研究室に着いた。
未来「さぁ、入って」
我夢「うん」
未来は扉を開け、我夢を中へ招き入れた。
研究室の中は古代生物の化石やそれに関する図鑑、様々な実験器具が縦横無尽に置かれていた。
未来「まずはこれを見て」
研究室を見渡していていた我夢は未来に呼ばれ、机に置かれている小さな化石を見た。
我夢はそれを見た瞬間、目を丸くした。
我夢「…!これって…」
その小さな化石には、小さいながらもダム近くに現れたあの巨大生物と全く同じ姿だった。
我夢は驚きの声を漏らすと、未来は頷き
未来「うん。これは古代カンブリア紀に存在し、絶滅した生物、『アネモス』の化石よ」
それから未来は我夢に語り始めた。
アネモスの化石は自身が3年前に発掘したこと。
アネモスは今から46億年前の地球に生息していたこと。
必死に生き残ろうとしたが、結局絶滅したこと。
そして、現代に現れたアネモスは「生物」なのでなく、「幽霊」―――即ち、残留思念が物質化した存在だと言うことを。
我夢「つまり、あのアネモスは僕達に認知する為だけに存在する『幽霊』みたいなものってことかな?」
未来「ええ…、だから彼らを意識させないようにメールを自衛隊や我夢に送ったのよ…」
説明を一通り聞いた我夢の解釈に未来は頷き、そう答えた。
我夢は何で現代に現れたのだろうかと考えていると、恐ろしい事に気付いた。
我夢「(…!もしかして、このまま多くの人に認知されると、本当に目覚めるんじゃ!?)」
それに気付いた我夢は急いでスマホを取り出し、リアス達へ調査をやめるようという事と、ダム近辺に人を立ち寄らせないようにしてほしいという事を連絡した。
ピッ!
我夢「(これで、何も起きないといいけど…)」
連絡を終えた我夢は一抹の不安を感じながら、スマホを閉じた。
しかし、その不安は的中することをまだ我夢は知らない。
その頃、藤宮は薄暗い部屋の中でチェストプレスという大胸筋や三角筋を鍛えるマシンで汗だくになりながらトレーニングしていた。
藤宮「…ふっ!」
藤宮は筋トレを終えると、近くのデスクに置かれている飲料水をとり、グイッと口の中へ流しこんだ。
藤宮「…ふぅ」
藤宮は飲み終えると机に戻し、その隣に置いてあったタオルで額を流れる汗を拭いた。
藤宮「……地球の生物を滅ぼす権利を果たして人類が持っているのか?我夢、兵藤…」
藤宮は、壁に貼られているガイアとダイナについての話題が書いてある新聞のスクラップを見ながら呟くと、再びトレーニングを開始した。
一方、我夢からアネモスの事を聞き、調査をやめる進言
されたリアス達、オカルト研究部はダム近辺に人が近寄らせない為の作戦会議をしていた。
リアス「祐斗とイッセーはBエリアを。私はアーシアとAエリアで取り締まるから、朱乃と小猫はこのCエリアを頼むわ」
木場「はい」
一誠「ラジャー!」
アーシア「はいっ!」
朱乃「うふふ…わかりましたわ♪」
小猫「…了解です」
リアスの指示に各々が返事した。
リアスは全員の顔を見ると、
リアス「いい、皆?とりあえず、ほとぼりが冷めるまで警戒を怠らないで。もし、我夢の言う通りにアネモスが本当の意味で復活したら、恐ろしい事になると思うの…。絶対に何人も通しちゃ駄目よ」
リアスの言葉に部員達は頷くと、さっそく指定されたエリアへ移動する魔方陣の準備をするが
木場「…!部長、待ってください!!大変です!」
木場は何気なくスマホを開くと、目を丸くし、思わずリアスを呼び止めた。
リアス「どうしたの?祐斗」
一誠「どうしたんだよ?」
木場「これを…」
リアス「!!」
一誠「うそだろ…、おい」
リアスと一誠は首を傾げながら木場のスマホを見ると、驚きの表情を浮かべた。
そこには、KCBの生中継映像に映るアネモスの姿があった。
木場「おそらく、警備を掻い潜ってきたんでしょうね……」
一誠「くそっ!何てことしやがんだ!!」
木場と一誠はその生中継映像を苦虫を噛み潰した様な表情で呟いた。
同時刻、未来の研究室で何気なくテレビを点けた我夢と未来も驚いていた。
未来「……アネモス!?」
我夢「そんな…何で…?」
我夢はどうして厳重な取り締まりがしてあるのに、KCBがアネモスを撮影できてるのかと困惑していた。
すると
ミィヤォォォオン……!
我夢&未来「「!?」」
不気味な鳴き声がテレビから部屋中、それどころか山中に鳴り響いた。
その声に不気味に思いながら我夢はテレビを見ると、アネモスは体中に空いている穴から紫色の体液を飛ばし始めた。
我夢「一体…、何をしてるんだ?」
我夢はその行動に疑問しか浮かばなかった。
そう思っている内に、その体液の多くは近くの川に落ち、紫色へどんどん染め上げながら流していった。
未来「もしかして、警報フェロモン?」
我夢「警報フェロモン?」
未来「ええ、アネモスは身の危険を感じると共生仲間である『クラブガン』を呼ぶフェロモンを出す習性があったとされてるの」
未来はそう言うと、もう1つのザリガニの様な姿をした生物の化石―――クラブガンの化石をアネモスの化石の隣に並べた。
未来「46億年前、アネモスはどんな環境でも生き延びられるように完全生物を目指して進化していった…地球に選ばれることを信じて…。
でも一つの種でそれが叶わないと知り全く違う能力を持つ別の種と共に生きるという知恵を得た」
我夢「それがクラブガンか…」
未来は我夢に頷くと、2つの化石をくっつけた。
未来「それでも、彼等は選ばれなかった!これって悲しいことだと思わない!?彼等は再び地球で生きたいだけなのよ!」
我夢「未来…それは……」
悲痛な表情で叫ぶ未来に我夢は反論しようとするが
キィシャ!キィシャオ!
アネモスとは違う不気味な鳴き声が再び部屋中に鳴り響いた。
未来「来る…」
未来はその鳴き声が聞こえた瞬間、研究所を飛び出した。
我夢「…未来!待って!」
我夢は飛び出した未来を急いで追っていった。
一方、アネモスはクラブガンが来るのを待つようにくねくねと身体を揺らしていた。
すると、遠くの空から自衛隊戦闘機部隊が近づいてきた。
自衛隊もまた、アネモスがクラブガンを呼んでいることを知り、共生される前に焼却しようと考えたのである。
隊長「焼却作戦、開始っ!!」
その攻撃開始の宣言と共に、火炎弾による戦闘機部隊からの一斉射撃が開始された。
アネモスは着弾した火炎弾から放たれる炎に襲われ、一瞬で火だるまになった。
アネモス「ミィヤォォォオン…!」
火に包まれたアネモスは、苦しそうに鳴きながら身体を揺らしていた。
未来「やめて!これ以上傷付けないで!!」
その様子を近くの森から見ていた未来は、戦闘機に向かって悲痛の叫びを出した。
しかし、地上から声を出しても上空にいる戦闘機に聞こえるはずもなく、攻撃は続いた。
未来はアネモスに近寄ろうとするが
我夢「未来!」
我夢に手首を掴まれ、妨害された。
未来「放してよっ!」
未来は必死に振りほどこうとするが、彼女は人間。
転生悪魔である我夢の腕力にはかなわず、全く振りほどけなかった。
我夢は真剣な眼差しで見つめながら口を開いた。
我夢「君はわかってるのか?おそらく、アネモス達はコッヴ、『根源的破滅招来体』に人類の天敵として目覚めされたんだ!もし、彼らが完全生物になったら人類の脅威になるんだぞ!」
未来「地球ではもう5回、2600万年ごとに生物の大絶滅が起こっている……。あいつは地球に選ばれなかった!地球に愛されなかったものの悲しみを聴いてほしくて来たのよ。我夢、わからないの?地球に選ばれなかった者の悲しみが……。人類に彼らを消してしまう権利なんてないはずよ!」
我夢「だけど、破滅させられる理由もない!」
お互い言い争いを繰り広げているが、一歩も譲らない状況だった。
そんなやりとりをしていると突然、辺りは白色のガスに包まれた。
我夢「!?」
突然の事態に我夢は言い争いを止め、手を払い、未来の安否を確認したが、そこに彼女はいなかった。
時は巻き戻り、我夢達が言い争いをしていた時間に戻る。
自衛隊は火だるまになっているアネモスに一気に攻めていた。
―――――あと一歩で倒せる。誰もがそう思ったとき
ブシュュューーーー……
「「「「「!?」」」」」
アネモスは突然、地上から放たれた白色のガスに包まれると、身体中を襲っていた炎が消え去った。
自衛隊がガスが放たれた方へ視線を向けると、そこにはザリガニの様な二足歩行の怪獣、クラブガンがいた。
隊長「あのガスは消火ガスで、仲間を助けに来た訳か…!各戦闘機、現れた怪獣もまとめて攻撃!」
「「「「了解!」」」」
自衛隊隊長は悔しげに呟きながらも指示を出すと、戦闘機部隊はクラブガンにも攻撃を開始した。
クラブガン「キィシャオ!」
アネモス「ミィヤォォォオン…」
クラブガンとアネモスは銃弾の雨に襲われながらも駆け寄り、その距離が0距離になった瞬間、アネモスがクラブガンの腹部へ溶ける様に融合した。
上半身はクラブガン、下半身はアネモスといった奇妙な出で立ちをした完全生物「アネモス&クラブガン」へと姿を変えた!
アネモス&クラブガン「キィシャオ!ミィヤォォォオン!」
ブシュュューー!!
アネモス&クラブガンは完全生物へとなれた喜びの産声をあげると、アネモスの口から黄色のガスを噴射し始めた。
隊長「くそっ!何をする気か知らないが、全機攻撃―――!?」
自衛隊隊長はアネモス&クラブガンに驚きながらも、攻撃命令を下そうとした時、地上で有り得ないものが視界に映った。
「「「「「…………」」」」」
そこには地上で取り締まりをしていた自衛隊の隊員や警察官、中にはアネモスを生中継したKCBのクルーの姿があった。
しかし、それはどこか虚ろな目をしており、ゆっくりとした足取りでアネモス&クラブガンの元へ向かっていた。
隊長「(あの黄色いガスは
そう思った隊長は、地上にいる人々に被害を与える訳にもいかないので、各戦闘機に上空で待機するように指示すると、悔しげにその様子を眺めるしかなかった。
我夢「やっぱり、あいつらは…」
我夢はアネモス&クラブガンが人々をエサとして誘導している姿を見て、確信した。
――――人類の天敵として蘇ったのだと。
我夢はエスプレンダーを懐から取り出して変身しようとするが、誘導されている人々の中に未来の姿があるのに気付いた。
アネモス&クラブガン「………」
未来「けほっ、けほっ!あなた達が母なる地球に見捨てられて、悲しいんでしょ?私ならあなた達を理解できr……」
未来は咳き込みながらも悲しげな表情で理解を示そうと語りかける途中、誘導ガスの影響で意識を失った。
アネモス&クラブガン「キィシャオ!キィシャオ!」
だが、未来の想い虚しく、アネモス&クラブガンは未来をエサとしか思っていなかった!
意識が朦朧としている未来をハサミで持ち上げ、そのまま口に運ぼうとしていた。
我夢「!!」
未来のピンチに、我夢は周りから正体がバレないようにアネモス達から少し離れ、エスプレンダーを真上へ突き出した。
すると、エスプレンダーから赤い光が開放され、その光に包まれると、我夢はガイアへと変身した!
未来「……」
未来は朦朧した意識の中、目の前の光景を見た。
そこには、美味しそうにこちらを見つめ、口からよだれをたらしているクラブガンの顔があった。
ゆっくりと、その口へ運ばれようとした時
ガイア「デュアッ!!」
近くからガイアが紙一重でハサミに捕らわれている未来を飛行しながらすれ違い様に手で救い出した!
ガイア「…」
ガイアは意識を失っている未来を地上へゆっくり下ろすと、アネモス&クラブガンへ振り向いた。
ガイア「デュワ!」
ガイアはファイティングポーズを取ると、アネモス&クラブガンへ走り向かっていた!
ガイア「ダッ!デュワ!グァッ!」
アネモス&クラブガン「キィシャオ!?ミィヤォォォオン…!!」
ガイアはパンチやチョップで激しく攻め立てた!
アネモス&クラブガンは次々と繰り出される攻撃にタジタジしていた。
そして、ガイアは振りかぶったチョップを繰り出すが
ガチィン!
アネモス&クラブガン「ミィヤォォォオン!」
アネモス&クラブガンは攻撃に出来た隙に背中の甲羅を盾にし、その攻撃を防いだ。
ガイア「グワッ!?」
ガイアは痛そうに手を振ってる中、アネモス&クラブガンは逆立ちをし、上半身をアネモス、下半身をクラブガンにした第2形態になった。
アネモス&クラブガン「キィシャオ!キィシャオォォォオン!!」
アネモス&クラブガンは先程よりも速いスピードでガイアへ突進した。
ガイア「グァ!」
接近してくることに気が付いたガイアはその突進を受け止めるが
ガシッ!
下半身のクラブガンのハサミがガイアの足を挟むと、アネモスの口から黄色いガスを顔に浴びせた。
ガイア「グァァァァーーーー!!」
それを喰らったガイアは、苦しげに声をもらした。
避けようと思ってもクラブガンのハサミがそれを逃さない。
ガイアはピンチに陥った。
その頃、駒王町では
松田「お、おい…何だアレ!?」
元浜「ひぃ!?」
どよめいている人々は、駒王川に視線を向けていた。
そこには大量のクラブガンの影がダムの方角へ泳いでいた。
その様子を朱乃と小猫はビルの屋上から眺めていた。
小猫「もし…全てのクラブガンがアネモスと共生し、人類に牙を剥いてきたら……」
朱乃「……」
2人はゾッとしながら、再びクラブガンの大群による川登り眺め続けた。
ガイア「グァァァァ…!」
そんなガイアは何とか脱出しようと必死に身体を動かすが、もがけばもがくほどハサミの締まりが強くなり、挟まれている足首からギチギチと嫌な音がなった。
そして、ガスをだいぶ吸い込んだせいで意識も朦朧とし始めた。
ガイア「グァ…ァァ……」
アネモス&クラブガン「キィシャオ!キィシャオォォォオ!」
朦朧とする意識な中でガイアはここまでなのか…と悔しく思ったその時!
ダイナ「デェアッ!!」
アネモス&クラブガン「キィシャオォォォオ!?ミィヤォォォオ!!」
ダイナ「見たか、俺の超ファインプレー!!」
空からダイナがアネモス&クラブガンに目掛けてドロップキックを放ち、アネモス&クラブガンを大きく後方へぶっ飛ばした!
着陸したダイナは誇らしげに胸を張りながらガッツポーズした。
ガイア「グァ…」
ダイナ「我夢!」
アネモス&クラブガンから開放されたガイアは膝をついた。ダイナは急いで近寄り、ガイアに手を差し出した。
ダイナ「我夢、遅くなって悪ィ!」
ガイア「来てくれたのか…!」
ダイナ「当たり前だろ?俺達、何もするのも一緒だろ?」
ガイア「…そうだね!」
ガイアは喜んだ様な声で答えると、出された手をとり、立ち上がった。
アネモス&クラブガン「キィシャオ!ミィヤォォォオン!」
アネモス&クラブガンは上半身がクラブガン、下半身がアネモスの第1形態に戻り、乱入したダイナへ威嚇の咆哮をあげた。
ガイアは身構えたが、ダイナはそんなガイアの肩を叩き、俺に任せろと呟きながらガイアの前へ割り込む様に出た。
ダイナは胸の前に両腕をクロスさせると、額の「ダイナクリスタル」が青く輝いた。
ダイナ「ハッ!!」
ダイナはそのまま両腕を横に広げると、青い光に包まれ、銀色のボディーに青いライン。そして、体つきも通常のフラッシュタイプよりもスマートになったダイナの第2の姿、「ミラクルタイプ」へとタイプチェンジした!
ガイア「!!その姿は…?」
ガイアは姿を変えたダイナに驚き、つい戦いの最中と忘れ、質問した。
ダイナ「ん?まぁ……考えんのは後だ。まずはこいつをやっつけてからにしようぜ」
ダイナはアネモス&クラブガンに親指で指しながらそう言うと、アネモス&クラブガンへ体を向けた。
ダイナ「デェアッ!」
右腕を前、ひっかくような形にした左手を腰の位置に持ってくる独特のファイティングポーズをとり、迫ってくるアネモス&クラブガンに身構えた。
アネモス&クラブガン「ミィヤォォォオン!!」
アネモス&クラブガンは威嚇の咆哮をあげながら、どんどんダイナへ近づいていったが
ダイナ「…」
ダイナは近づいてくるのに気付かない様にファイティングポーズを構えていた。
60、50、40m…と距離が近づいてきても、ダイナは微動だにもしなかった。
ガイアは一瞬不安になったが、何か策があるんだろうと思い、ダイナの後ろ姿を見守っていた。
アネモス&クラブガン「キィシャオ!キィシャオォォォオ!」
距離が20mをきり、アネモス&クラブガンは先程妨害された仕返しか、その強靭なハサミでダイナへ突き刺したが
アネモス&クラブガン「!?」
ダイナの姿が一瞬で消え、そのハサミは空を切った。
どこにいったのかと驚いていると
ダイナ「デェアッ!」
アネモス&クラブガン「キィシャオ!?」
いつの間にか後ろに回り込んでいたダイナに横腹を回し蹴りされ、その衝撃でよろめいた。
アネモス&クラブガン「ミィヤォォォオン!!」
アネモス&クラブガンはハサミを振り回すが、ダイナは先程と同じ様に消え、また横腹に回し蹴りを入れられた。
そして、アネモス&クラブガンが反撃してダイナが消えて反撃されの繰り返しが続き、アネモス&クラブガンの体力は確実に減っていた。
ガイア「(…すごい)」
ガイアは一方的に攻めるダイナの戦いに圧巻した。
実はダイナのミラクルタイプはパワーが下がる代わり、超能力に優れているのである。
姿が消えたのはその超能力の1つ、「ダイナテレポーテーション」で瞬間移動したからである。
ダイナ「デェアッ!!」
アネモス&クラブガン「ミィヤォォォオン…!」
次々と繰り出されるダイナの瞬間移動攻撃にアネモス&クラブガンは遂にフラフラになった。
ダイナ「!」
ガイア「……デュワ!」
その間にエネルギーをためたガイアは、ダイナがバク転で離れるのを確認すると、クァンタムストリームでアネモス&クラブガン腹に目掛けて発射した!
アネモス「ミィヤォォォオ…」
クラブガン「キィシャオ…」
腹部に命中したアネモス&クラブガンは、融合する前の2体の怪獣に戻り、弱々しく鳴き声をあげてのたうち回っていた。
ガイア「デュワ!グァァァァ……!」
ダイナ「ハァァァァ……!」
その隙にガイアはフォトンエッジの体勢、ダイナは両腕をダイナクリスタルの前でクロスして、右手に圧縮したエネルギーをためた。
ガイア「デュワァァァァァァーーーーー!!」
ダイナ「デュワッ!!!」
ガイアはクラブガンに向かってフォトンエッジ、ダイナは圧縮したエネルギーを一度右腰に添えて、衝撃波で敵の背後に発生させたブラックホールに送り込んで次元の狭間で圧殺する技、「レボリウムウェーブ」をアネモスに放った!
クラブガン「キィシャオォォォオ!」
アネモス「ミィヤォォォオン…」
フォトンエッジが直撃したクラブガンは粒子の様になって消滅し、アネモスはブラックホールに吸い込まれ、跡形もなく消滅した!
ガイア「デュワッ!」
ダイナ「シュワッ!」
勝利を確信したガイアとダイナは、両腕を空高く広げると、遠い空へ飛んでいった。
戦いが終わったその日の夕刻。
夕陽に照らされたダム近くの川を我夢と未来が眺めていた。
ちなみに一誠は今回の一部始終を報告するため、一足先にリアス達の元へ帰っている。
リアスは今回の件も我夢達に頼った事を気にしているらしく、領主失格かも…と落ち込んでいるそうだ。
帰ったら僕も慰めようと我夢が思っていると、未来がこちらへ視線を向けた。
我夢「どうしたんだい?」
未来「ねえ、我夢?私が何故、古代生物達に強い共感を持ったのか…知りたい?」
未来の問いに我夢は頷くと、未来は川を見据えながら自身の半生を語り始めた。
未来「実は、私の両親も古代生物学者だったの。2人共、研究熱心でね……私の事なんか気にかけてもくれなかったわ」
未来は近くにあった石を手に取り、言葉を続けた。
未来「でも、私の小さい頃にモンゴルで行方不明になったの。待っても中々帰ってこず、ある日思ったの。『研究のために両親に見捨てられた』ってね。だから、『地球に見捨てられた』古代生物に感心と共感を持ったって訳よ」
未来はそう言うと、手に持っていた石を川へ投げ捨てた。
未来「いつか、人類もクラブガンやアネモス…それ以外の多くの生物と同様に地球に見捨てられるのかもしれないわ」
そう言いながら川を悲しげに見つめている未来の様子に我夢は見てられないと、口を開き
我夢「地球は…人類を見捨てないよ!」
そう言うと、未来は我夢の方へ顔を向けた。
未来「どうして、そう言えるの?」
我夢「それは…」
その問いに我夢は少し戸惑っていると、未来はふふっと笑い
未来「説明できないんじゃない。昔から我夢はそうだった…いつだって直感ね♪」
彼の優しさに満足したのか、満面の笑顔で研究所へ戻っていった。
どんどん離れていく彼女の後ろ姿を見ながら我夢は呟いた。
我夢「それは…
地球が人類を見捨てるつもりなら、ウルトラマンはいない……」
我夢は自身の答えを出すと、リアス達の元へ戻っていった。
次回予告
暗闇に電話のベルが鳴る…。
その時人間は…。
我夢の故郷を襲う怪事件!
それは新たなる招来体の襲撃なのか?
次回、「ハイスクールG×A」
「マリオネットの夜」
君も興味を持たれている…。
何か最近の回は、食事から始まることが多いような……。
そして、何気にミラクルタイプの初戦闘回!
次回はガイア屈指のホラー回の1つ!
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