ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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第13話「復讐の(つるぎ)

サイコメザードの洗脳事件から3日程たった頃。

駒王学園は放課後となり、部活動がある生徒は学校に残って日が暮れるまで活動する。

 

もちろん、我夢が所属しているオカルト研究部も例外でなく、部室に集まっていつもの様に活動するのだが…

 

 

アーシア「わぁ~可愛い~~!これが小さい頃のイッセーさんと我夢さんですね!」

 

 

何故か一誠の家でアルバムの鑑賞会をしていた。

 

実は今日、いつも部室として使っている旧校舎が清掃の為、立ち入り禁止なのだ。

そこでリアスの提案で一誠の家で部活することになった。

最初は各々の契約件数の話や根源的破滅招来体への対策など真面目に活動していたが、それを見た一誠の母がいつも友達といっても我夢、松田、元浜ぐらいしか家に上がらせなかった事に感激し、昔の写真が入っているアルバムを取り出してき、いつの間にかアルバム鑑賞会になったという訳である。

 

 

アーシア「これが御二人が5才の頃なんですね!」

 

 

木場「へぇ~…この頃からイッセー君は野球好きで、我夢君は物理学を勉強してたんだね」

 

小猫「…こっちはイッセー先輩が我夢先輩をプロレス技の実験台にしてますね」

 

朱乃「あらあら、やんちゃな子だったのですね♪」

 

 

一同はアルバムの写真を眺めながら、興味深そうにコメントを呟いていた。

 

この様に、昔の写真を大勢の人に見られるのはさすがに恥ずかしいもので、我夢は恥ずかしげに苦笑いし、一誠は見るなよ!と顔を赤めながら叫んでいた。

 

 

リアス「小さいイッセー…小さいイッセー…」

 

 

その中でも特にリアスは何かに取り憑かれた様にぶつぶつと呟きながら、一誠の写真を凝視していた。

アーシアもその気持ち分かります!と意気投合していた。

 

 

我夢「部長…まさかメザードに操られてるんじゃ…」

 

一誠「ああ…ある意味そうかもな…」

 

 

そのどこからどうみても危ない光景に、我夢と一誠は顔を引きつらせながら頷いた。

 

 

朱乃「あらあら、こちらの写真はおねしょをした時の写真ですわね♪」

 

リアス「!…どれどれ」

 

我夢「えっ!?」

 

一誠「何っ!?」

 

 

それを聞いた瞬間、2人はその写真を必死に奪い取ろうとするが中々取れず、バタバタと部屋を忙しく動き回っていた。

 

 

木場「ははは…」

 

 

木場はその光景に苦笑いしながらアルバムのページをめくった瞬間、1枚の写真を見て、表情を変えた。

 

 

木場「ねえ、我夢君」

 

我夢「うん?」

 

 

木場に声をかけられた我夢は動きを止め、木場へ顔を向けた。

 

 

木場「この写真なんだけど……」

 

我夢「…ああ!昔、僕とイッセーが吉岡街に住んでいた時に、隣に住んでいた2人の幼馴染みと遊んだ時の写真だよ。その2人はしばらく会ってないけどね」

 

 

木場が指を指す写真は幼い頃の我夢、一誠、そして2人の男の子が写っていた。

そう説明していると、部屋中を駆け回っていた筈の一誠が我夢の後ろからひょこと顔を出してその写真を見た。

 

 

一誠「お、イリナに大悟(だいご)じゃねえか。懐かしいな~~……。で、その写真がどうしたんだよ?」

 

一誠は懐かしい幼少時代に思いをはせながら、木場に問いかけた。

 

木場「この剣だよ」

 

 

そう言うと木場は4人の背後に飾られた剣を指を指した。

我夢と一誠はそれを見て疑問符を浮かべていると、木場は言葉を続け

 

 

木場「これはね…『聖剣(せいけん)』だよ」

 

我夢「!」

 

 

我夢はその時、木場の目を見た。

 

その目は、人類と悪魔達に激しい憎悪と怒りを抱く藤宮と同じ目だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事があった2日後。

我夢は放課後の教室に1人、昨日の出来事について考えていた。

 

あの写真を見た後の木場の様子がおかしいのである。

常にぼうっとしており、何か深く考える事に意識を集中させていた。

それにより悪魔稼業、果てにははぐれ悪魔討伐にも支障をきたし、仲間を危険にさらしたのだ。

さすがにリアスも叱ったが、それでも様子は相変わらずである。

 

 

我夢「(木場君、もしかして…)」

 

 

その時、我夢の脳裏に”復讐”という文字が浮かんだ。

あの剣と何があったのかはわからないが、憎しみを持っていることは確かであると。

そして、そうでなければあんな鋭い目をするはずがないと思った。

 

 

我夢「(もし、木場君が復讐を考えているとしたら……)」

 

 

我夢は推測を立てながらどこかの本の内容を思い出した。

復讐者の心情、そして復讐を成し遂げた復讐者の悲しい末路を―――。

 

そんな事が脳内をよぎったが、そんな筈ないとブンブンと頭を左右に振り、考えをもみ消した。

 

 

我夢「じゃあ、何なんだよ!くそ~思いつかない!」

 

 

我夢は頭をかきむしると、壁に近付き、そのまま逆立ちをした。

 

 

我夢「(もう一度考え直そう…)」

 

 

我夢はあの目は見間違いかも知れない、もっと別な事に悩んでるに違いない。そう思った時

 

 

ガラガラ…

 

我夢「ん?」

 

一誠「あ」

 

 

教室の戸が空き、我夢が視線を向けると、いぶしげな表情を浮かべながらこちらを見ている一誠の姿があった。

 

 

一誠「何…してるんだ?」

 

我夢「ああ、こうすれば考え事が浮かぶかなって」

 

一誠「はぁ…逆に、頭に血がのぼって考えられないだろ…。お前が待っててくれって言うから俺ら乗降口で待ってたのによ…」

 

我夢「はは…ごめんごめん」

 

 

少しふてくされている一誠に我夢は逆立ちを止めて謝ると、荷物を手に、一誠達と学校を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠「ところでよ、我夢。俺ん家の夕飯がすき焼きだからさ、もし用事が無かったら寄ってかね?」

 

 

太陽も沈み行く中。帰路につきながら、一誠は我夢に尋ねた。

 

 

我夢「すき焼き!?うん、ぜひお邪魔させてもらうよ!」

 

一誠「おしっ!盛大にやろうぜ!」

 

 

我夢は嬉しげに微笑みながらOKを出し、一誠はガッツポーズをとりながら微笑んだ。

 

そんなやりとりをしていると、一誠の家の前に着いた。

2人はすき焼きに胸を踊らせながら玄関の扉に近付いた瞬間

 

我夢&一誠「――!!」

 

 

ゾクッと背中に悪寒が走った。

まるで背中に氷を入れられた様な気持ちが悪い感覚――――それを感じ取ったのだ。

2人は不安になり、顔を見合わせて頷くと、急いで扉を開けて足早にリビングへ向かった。

 

 

一誠「母さん!」

 

 

一誠がそう大声で言いながらリビングの扉を開けると、そこには―――

 

 

一誠の母「あら、イッセー。それに我夢君、お帰りなさい」

 

 

いつもの様に夕飯の支度をしている一誠の母の姿に2人はホッとするが、リビングのテーブルに視線を向けると、見慣れない2人組の少女がいた。

その少女はゼノヴィア、そして一誠と我夢の幼馴染みであるイリナだった。

 

 

我夢「(えっ!どうしてここに…?)」

 

 

我夢は内心驚いた。

もう1人の少女は知らないが、サイコメザードと戦っている際に居合わせ、そしてアグルに助けられた栗色のツインテールの少女がどうしているのかと。

その視線に気付いたのか、イリナはにこっと微笑みかけ

 

 

イリナ「イッセー君に我夢君!久しぶり、変わらないわね!」

 

 

懐かしげに挨拶してくるイリナに2人は誰?といった感じで首を傾げて誰だろうと思い出していると、突然、一誠はあっ!と思い出した様に声を出した。

 

 

一誠「お、お前……もしかして………!」

 

 

思い出したのか、久しぶりに再開する幼馴染みにかける言葉にイリナ、ゼノヴィア、一誠の母はどきどきし、誰だろうかと答えが気になる我夢は期待の眼差しを送った。

 

そして、一誠のかけた言葉は――――――

 

 

一誠「もしかして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新手の詐欺師かっ!?」

 

ズコーーーーンッ!

 

 

その言葉に我夢と一誠除く全員は思わず、ギャグ漫画の様にずっこけた。

イリナは立ち上がり、違うわよ!と言うと、2人はじゃあ誰だろうと考えているとイリナは諦めた顔をし

 

 

イリナ「イリナよ、紫藤 イ・リ・ナ!忘れちゃったの!?」

 

我夢&一誠「あっ!あぁぁ~~~…」

 

イリナ「やっと、思い出したのね!」

 

 

その名前に2人は昔遊んでいたあのイリナかと思い出し、納得した表情を浮かべ、相槌をうった。

だが、あれ?と2人は疑問の表情を浮かべ

 

 

我夢&一誠「「君(お前)、女の子(女)だったんだ!?」」

 

イリナ「男だと思われてたの!?」

 

 

イリナは2人の言葉に内心ショックを受けながら、驚愕した。

 

 

 

 

 

 

イリナ「もう、酷いわ!確かに昔はやんちゃだっただけど、男と思ってたなんて!!」

 

我夢&一誠「はは……」

 

 

プンプンと怒っているイリナに我夢と一誠はイリナ達と向かい合わせに座りながら苦笑いを浮かべて話を聞いていた。

その内容はこの駒王町に用事があるということで、その用事のついでに一誠の家に立ち寄ったというものだ。

 

2人は話を聞いてるが、隣に座っている無言の少女―――ゼノヴィアの隣に立て掛けられている布に巻かれている物体に意識が向いていた。

先程から気分が悪いのは、その物体から発する嫌なオーラのせいであろうと2人は思った。

 

しばらく会話をしていると、イリナは椅子から立ち上がった

 

 

イリナ「さて。外も暗くなり始めたし、お(いとま)させてもらうわね」

 

 

2人にそう言うと、イリナとゼノヴィアは帰り支度を始めた。

 

 

一誠の母「あら?ご飯くらい食べてっていいのに」

 

イリナ「いえいえ、挨拶に来ただけですから」

 

 

一誠の母にニコッと微笑みながら断ると、玄関の方へ歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

一誠「なぁ、本当にいいのかよ?」

 

イリナ「うん。宿は取ってあるし、手持ち金もあるから食事も困ってないよ」

 

 

イリナとゼノヴィアを見送りをする為、我夢と一誠も外の玄関前に出ていた。

気持ちが悪い感覚があるが、久し振りに会った幼馴染みだ。一誠はせめて食事していって欲しいと思い、そう言うが、イリナはその提案をやんわりと断った。

 

そして、それに…と言葉を続け

 

 

イリナ「あんまり悪魔と仲良ししてちゃ、怒られちゃうからね」

 

我夢&一誠「「!!?」」

 

 

その言葉に2人は驚いている間に、イリナとゼノヴィアは去って行ってしまった。

 

 

一誠「なあ、我夢。もしかして、あいつら…」

 

我夢「うん、完全に教会の関係者だろうね…。さっきすれ違った時に十字架のネックレスを着けてたの見たし、あの台詞も…」

 

一誠「………なんか、昔の様に戻れない気がするな」

 

我夢「うん…」

 

 

残念そうに呟く一誠に我夢は頷くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日。

我夢達はいつもの様に扉を開け、部室に入ったのだが…

 

 

ゼノヴィア「……」

 

イリナ「やっほー、我夢君にイッセー君」

 

一誠「え!?」

 

我夢「どうしてここに…!?」

 

 

何故か部室にイリナとゼノヴィアの姿があった。

そして部室は緊迫した空気に包まれており、今にも一触即発な雰囲気だった。

 

 

リアス「それで…悪魔を毛嫌いしている教会側の人間が私達に何の用かしら?」

 

 

リアスがそう問うと、ゼノヴィアが口を開いた。

 

彼女が言うには、少し前に教会にある聖剣「エクスカリバー」が6本ある内の3本が堕天使に盗まれた。

 

そもそも、本来のエクスカリバーは大昔の地球でおこった大戦で折れてしまったが、その破片から長い年月をかけて7つに分けて作られた。しかも、偽物とかでなく全て本物である。

だが、そのうち1本は紛失し、現在残っている6本はそれぞれ3つの派閥に2本ずつ保管されていたが、何者かの手引きで堕天使にあっさりと盗まれたのだ。

 

彼女達がこの町に来たのは、その堕天使からそれを取り返しに来た為である。

そして、その堕天使はただ者ではなく、堕天使組織「神の子を見張る者(グリゴリ)」の幹部、「コカビエル」という上級堕天使である。

その強さは聖書に名を残すほど堕天使の中でもとりわけ強い存在なのだ。

 

激戦になると予想した教会はエクスカリバーを支給することを決め、ゼノヴィアは「破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)」、イリナは「擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)」をそれぞれ支給された。

 

そして、わざわざ彼女達がリアスのもとへ来た理由は…

 

 

リアス「その際に私達に一切干渉するな…と。私の領地で好き勝手にする上に要求も勝手ね」

 

 

リアスはゼノヴィアが語る要求に眉をぴりぴりと震わせ、明らかに怒りを表していた。

ゼノヴィアはそんなことを気にすることなく、口を開き

 

 

ゼノヴィア「なに、聖剣が無くなるのは君たち悪魔達だって好都合だろ?鬱陶しい存在を消すと言う互いの利害があればね…」

 

リアス「…遠回しに手を組んでいると言いたい訳?」

 

 

リアスは不機嫌そうに睨み付けながらそう問うと、ゼノヴィアは頷き

 

 

ゼノヴィア「本部はその可能性を考えている」

 

リアス「冗談じゃないわ!グレモリーの名をかけて、そんなことしないわ!」

 

ゼノヴィア「だといいがな…。話は以上だ。イリナ、行くぞ」

 

 

ゼノヴィアはイリナと一緒に我夢達を横切って立ち去る途中、アーシアに目を止めた。

 

 

ゼノヴィア「…?もしかして君は『魔女』アーシア・アルジェントか?」

 

アーシア「!?」

 

 

「魔女」―――かつて教会で蔑まれた言葉にアーシアはびくっと体を震わせた。

それを横から見ていたイリナも

 

 

イリナ「えっ、もしかして教会を追放されたあの元聖女さん!?行方知らずだったけど、まさか悪魔になってたなんて…」

 

アーシア「え…あの…」

 

哀れむ様な眼差しを浮かべながら呟いた。

突然の事にアーシアは狼狽えていると、ゼノヴィアは口を開き

 

 

ゼノヴィア「安心しろ、本部には報告しない…。しかし、堕ちたものだな…聖女と呼ばれた者が悪魔となっているとは」

 

一誠「!」

 

 

その言葉にカチンときた一誠はゼノヴィアに掴みかかろうとするが、小猫と我夢に止められた。

一誠は邪魔するなと言わんばかりに2人を半目で見るが、2人の堪えろとアイコントを見て、怒りを抑えた。

ゼノヴィアは更に言葉を続け

 

 

ゼノヴィア「だが、君はまだ我ら神を信仰しているみたいだな」

 

イリナ「えっ、待ってよゼノヴィア。悪魔になったのに神を信仰している訳がないでしょ?」

 

 

ゼノヴィアはいや…とイリナの言葉を否定すると、アーシアに詰め寄り

 

 

ゼノヴィア「彼女からは罪の意識を感じながらも神を信じる『信仰心』がまだ匂う。私はそういうのに敏感でね…。どうかな?」

 

アーシア「…捨てられない…だけです。ずっと、信じてきたものなので…!」

 

 

その問いにアーシアは悲しげに答えると、視線を下へ下ろした。

彼女にとって信仰とは生まれた時からずっと毎日の様に行っていたので中々止められるものでないだろう、と我夢が思っていると、ゼノヴィアは手に持っていたエクスカリバーの切先をアーシアへ向けた。

 

 

ゼノヴィア「なら、今すぐ私達に斬られるがいい…。我らが神ならば、罪深き君を許して下さる筈だ。せめて、断罪してやろう……神の名のもとにな」

 

 

そう言った瞬間、アーシアとゼノヴィアの間に一誠が割り込んだ。

一誠は額に青筋をたてながらゼノヴィア達を睨み付け

 

 

一誠「…お前ら!さっきから黙って聞いていりゃ、好き勝手言いやがってっ!!アーシアの苦しみを何も知らねぇ癖に、挙げ句の果てにゃあ断罪するだとっ!?一体何様のつもりだ!!」

 

ゼノヴィア「その方が彼女の為だからだ。それにこれはただの殺しではない、”救世”だ」

 

一誠「ふざけるなっ!何が”救世”だ!!アーシアが苦しんでる間に何もしてくれない神なんて、くそくらえだ!!」

 

ゼノヴィア「何っ!?今の発言、聞き捨てならんぞっ!!」

 

イリナ「ちょっと!?ゼノヴィア、落ち着いて!」

 

 

カチンと頭にきたゼノヴィアは一誠を斬ろうとエクスカリバーに纏っている布を取ろうするが、イリナに止められた。

すると、少し落ち着いたゼノヴィアは口を開いた。

 

 

ゼノヴィア「じゃあ、君達にとって、『アーシア・アルジェント』とは何だ?」

 

 

そう問うと、一誠も口を開き

 

 

一誠「アーシアは家族だ!友達だ!仲間だ!!お前らが手を出そうって言うんなら、俺はお前ら全員を敵に回しても戦うぜ!」

 

ゼノヴィア「その言葉、交戦の意志ありと受け取っていいのだな?いいだろう、表へ出ろ」

 

 

さすがにこれ以上はまずいだろうと思ったリアスは制止するため、口を開こうとした瞬間

 

 

木場「僕がやろう」

 

 

先程から扉の近くで黙って立っていた木場が待ったとばかりに声をかけた。

 

 

ゼノヴィア「誰だ、貴様は?」

 

木場「ふふ、君達の先輩だよ…。『失敗作』だけどね……」

 

 

ゼノヴィアの問いに木場は不適な笑みを浮かべて答えると、ゼノヴィアへ詰め寄ろうと歩きだすが

 

 

木場「我夢君?そこを退いてもらえるかな?」

 

我夢「……」

 

 

突然、我夢がそれ以上は近寄らせまいと木場の前に立ち塞がった。

 

我夢は気付いたのだ。木場の瞳はいつもの様に穏やかな輝きがなく、メラメラと燃えたぎる憎しみの炎だけが灯っていることを…。

そして、そのまま戦いでもすれば、只事じゃすまないだろう―――――そう判断し、立ち塞がったのである。

 

 

我夢「悪いけど、木場君。これ以上は通させない。今の君じゃ彼女達を軽いケガで済まさせないと思うし君も大怪我を負う…。それは君や彼女達からしても、メリットがない。だから、決闘はやらせない…」

 

木場「何を言ってるんだい?君はアーシアさんがこんなに侮辱されたのにどうでもいいっていうのかい?」

 

一誠「そうだ!こんな奴らに腹が立たないのか!?」

 

 

木場に続ける様に一誠は信じられないといった顔でそう言った。

すると、我夢は一誠へ振り向き

 

 

我夢「…正直、僕だって腹が立ってるさ。でも、自分が原因で争って、アーシアが喜ぶと思うのかい?もし、それで君達が傷付けばアーシアはもっと悲しむ…。それでもいいのか!」

 

一誠「!」

 

木場「…」

 

 

我夢の言葉に一誠はハッと思った。争ってもアーシアの為にはならないという事を。

それに気付いた一誠は怒りを沈め、我夢は未だ鋭い眼差しを浮かべる木場に顔を向けた。

 

 

我夢「それに、木場君。君はアーシアさんの事以外の事も考えてるだろう?」

 

木場「……」

 

 

我夢がそう問うが、木場は沈黙を続けた。

これ以上答えを待つのは無駄だろうと判断した我夢はゼノヴィア達へごめん…と謝罪した。

すると、ゼノヴィアは肩をすくめ、アーシアの方を振り向き

 

 

ゼノヴィア「…アーシア・アルジェント。今回はこの男の謝罪に免じて断罪しないでやる。それに…」

 

 

ゼノヴィアはそう言うと、今度は一誠と木場へ顔を向け、

 

 

ゼノヴィア「貴様らも許してやる。ここで一戦交えても、無駄に体力を消費するからな……。命拾いしたな」

 

一誠「っ!」

 

木場「……」

 

 

ゼノヴィアは不適な笑みを浮かべながらそう言うと、イリナと一緒に部室から去っていった。

我夢は足音が遠ざかるのを確認すると、はぁ…と安堵のため息をもらし、膝をついた。

 

 

アーシア「すみません、我夢さん。私のせいで…」

 

我夢「いや、アーシアのせいじゃないよ。それにしても、緊張したなぁ~…」

 

リアス「我夢、ありがとう。私が本来やるべき立場なのに…」

 

我夢「部長、頭をあげてください。僕は自分がやりたいと思ったことをやったまでですから」

 

リアス「ありがとう」

 

 

頭を下げるリアスに我夢は微笑みながらそう言うと、今度は一誠が皆に頭を下げた。

 

 

一誠「みんな、不安にさせてごめん…。俺、血がのぼってしまって……戦っても何の為にならないのにな」

 

アーシア「そんな、気にしないでください。私、イッセーさんに助けられて感謝してるんです」

 

小猫「…もう過ぎたことです」

 

朱乃「あらあら、確かに危なっかしいですが、とても男らしかったですわよ♪」

 

一誠「お、男らしい…?いやぁ、そうでしょ、そうでしょ!!はははっ!」

 

 

アーシア、小猫、朱乃の励ましを受けた一誠は先程の落ち込んでいた表情から一変、ニコニコと鼻をのばしながら笑った。

 

 

我夢「また調子に乗っちゃって…」

 

リアス「ふふっ」

 

 

その様子を我夢は半目で見ながら呟き、リアスは穏やかに笑った。

そんな談笑をしていると、

 

 

ドンッ!!

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

木場「………」

 

その衝撃音に一行は談笑をやめ、一斉に振り返ると、先程から黙っていた木場が不機嫌そうに壁を殴っていた。

いつもと違う様子に皆は不安に思うと、木場は我夢に鋭い眼差しを浮かべながら近寄り、口を開いた。

 

 

木場「我夢君、君は余計なことをしてくれたね……」

 

我夢「余計?いつもらしくない君が戦いでもすれば、大怪我―――」

 

木場「いつもらしい?ははっ、我夢君。君は僕の何がわかるんだい?()()()()()()()()()()()()()がっ!」

 

我夢「…!」

 

 

木場にそう問われた我夢は答えきれず、言葉を詰まらせてしまった。

すると、木場は部室を立ち去ろうと扉へ歩いていき、ドアノブに手をかけた。

 

 

リアス「祐斗、どこにいくの?部活は終わってないわよ」

 

 

不安そうな表情を浮かべるリアスにそう尋ねられると、木場はドアノブから手を離し、ゆっくりと振り返ってリアス達へ顔を向けた。

 

 

祐斗「部長、どこだっていいでしょ?それに思い出したんです……。僕が何の為に悪魔になったのかを……」

 

リアス「…っ!」

 

我夢&一誠「「?」」

 

 

それを聞いたリアスはまさかといった顔をし、我夢と一誠は頭に疑問符を浮かべた。

そして、木場は言葉を続け

 

 

木場「僕はあなたの為に悪魔になったんじゃない、僕は僕自身の目的の為になったんだ。()()()()()()()()()()()()の為に……」

 

リアス「祐斗…」

 

一誠「!!」

 

我夢「(やっばりか…)」

 

 

「聖剣の破壊」――――その言葉に我夢は心の中で納得した。

そして、確信した。理由はわからないが、木場君はエクスカリバーに対して並ならぬ憎しみを持っていると。

 

我夢がそんなことを考えていると、木場はリアス達の制止も聞かず、部室を飛び出す様に出ていった。

リアスはその一部始終に困ったように額に手を当てた。

 

 

リアス「大変なことになったわ…。我夢、大丈夫?」

 

我夢「はい。大丈夫ですが、木場君と聖剣に何か因縁があるのですか?」

 

 

リアスは我夢にそう尋ねられると、木場祐斗の過去に大きな影響を与えた「聖剣計画」という教会側が起こした大事件について語り始めた。

 

その計画とは教会側で聖剣、特にエクスカリバーを使える人間を増やす為、人工的に作った子供達を育成させる計画のことであった。

 

数年前まで当たり前のようにあったその計画は、悪魔にとっては究極の兵器ともいえる聖剣を扱える人間が増えることは脅威であった。

 

木場も人工的に作られた子供の中の1人で、毎日厳しい訓練を受けながらも、仲間と切磋琢磨に仲良く過ごした。

木場は「仲間と共に立派な聖剣使いになる」。

ただそれだけを願いに訓練に明け暮れていた…。

 

だが、その願いはある出来事で崩れ去った!

 

その計画には”成功者”、つまり聖剣を完璧に扱える子供は1人もいなかったのである。

それを判断した教会は木場や他の子供たちを”不良品”、”失敗作”と判断し、毒ガスが充満している独房に閉じ込め、”処分”という名目の大量殺戮を起こしたのである。

 

だが、木場は唯一仲間達によって助けられ、命がらがら施設から脱出した。

 

だが、脱出したはいいが、もうすでに身体中に毒が回っており、彼は死にかけた。

リアスはそんな彼を見かけ、悪魔へ転生させ、今に至るという訳である。

 

これが聖剣によって人生を狂わされた男、「木場祐斗」の過去である。

 

 

リアス「祐斗が自身が魔剣創造(ソード・バース)の所有者だって知ったとき、喜びにうち震えていたわ。これ以上に聖剣を破壊する復讐(ちから)はないって…」

 

我夢「そう、だったんですか……」

 

 

我夢はその壮絶な過去に複雑な心境を抱いた。

聖剣のせいで、人間のエゴのせいで多くの仲間を失い、危うく自分の命も失うところだった。

そんなものがあるから木場君は許せないだろう…と我夢は思った。

 

我夢の行動を余計だと言ったのは、せっかく目の前に聖剣があるのにそれを破壊するのを邪魔されたからである。

 

我夢は「地球」と「人類」、「悪魔」ら異種族の為に決意したが、本当に正しいのだろうかと決意が揺らいだ。

 

 

(藤宮「我夢。自身の欲望の為に他人を平気で蹴落とす人類を本当に守る価値があるのか?」)

 

 

我夢はそんな藤宮の声が聞こえた様な気がした気がした。

 

 

我夢「(もしかしたら…藤宮も何か……)」

 

 

藤宮が人類と悪魔を憎んでいるのはそういった復讐心があるからではと我夢は1人思った。

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

木場を助ける為、ゼノヴィア達と密かに協力することにした我夢達!
そんな時、ついに聖剣事件の黒幕が姿を現す!

次回、「ハイスクールG×A」!
「邪悪なる陰謀」!
イリナが危ない!








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