見とけよ、見とけよ…!
獣人 ウルフガス 登場!
ミズノエノリュウの件から翌日。
朱乃の説得に応じたミズノエノリュウは人類にもう一度チャンスを与え、地上へと戻っていった。
そして、それを裏付けるかの様に、駒王町全体に起きていた断水や電気トラブル等も起きなくなった。
因みに、我夢達がミズノエノリュウと戦っている際に駒王町各地の川に現れた龍の首も、ミズノエノリュウが地上へ帰ったと同時に煙の様に消滅した。
これにて一件落着………なのだが………
リアス「冗談じゃないわっ!」
我夢「ぶっ!?」
一誠のアザゼルに遭遇したという話を聞き、リアスは怒りのままに机に叩きつける。
そのあまりの大きな音に、紅茶を飲んでいた我夢は思わず口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
リアス「私の領地に勝手に入るだけでなく、悪魔……しかも私のかわいいイッセーに接触するなんて……!!」
一誠「ぶ、部長……。俺は別に何もされてないから――」
リアス「よく無いわよっ!ただでさえ、お互いの勢力が緊迫状態なのに…!『お互いできるだけ干渉しない様に』って協定を結んでいたのに、思いっきり違反してるじゃない!!」
リアスはそう言うと、頭を悩ませる。
彼女が怒るのも無理はない。
数日前のコカビエルの件で堕天使側には各勢力から不信感が強まっている。
アザゼルの主張としては、「コカビエルの件は我々の命令ではなく、コカビエル自身で行ったものだ」と言ってはいるが、まだその疑惑は消えていない。
ただでさえ疑惑を持たれているのに、「悪魔の領地に入り、そこの領主の眷属と接触した」なんてことが公に知れれば、大問題となる。
しかも、相手は堕天使の総督。下手にこちらから対処しようとしたらそれは逆に問題となる。
リアス「それで…アザゼルは何か聞いてきたの?」
一誠「はい。どうやってウルトラマンの力を手にいれた事とか、ジェクターガンの仕組みとか……。まあ、ダイナの事はともかく、ジェクターガンの仕組みはわかんないから適当に答えましたけどね」
更に一誠が「さすがにダイナについては濁しましたけどね」と付け加える様に言うと、それを聞いた一同はホッと安堵のため息をもらした。
木場「君のところには来たのかい?」
我夢「いや、今のところは来てない…」
リアス「ああー…もう、こんな時に来るなんて……アザゼルには自覚がないのかしら?」
そう呟き、頭を悩ませるリアスに我夢達は困った様に苦笑いを浮かべていると
???「アザゼルは昔からそういう男だよ、リアス」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
突然、部室内に聞き覚えのある声が響いた。
我夢達はその声のした方角に顔を向けると、そこにはリアスの兄であり、魔王であるサーゼクスとそのメイドであるグレイフィアがいた。
リアス「お、お兄様!?」
兄であり、現魔王のサーゼクスの突然の登場にリアスは驚く。
それと同時に我夢達は跪くが、
サーゼクス「おっと、頭を上げたまえ。今日は個人的な用事で来たのでね。そんな畏まる必要はない、いつも通りにして構わないよ」
それを見たサーゼクスが微笑みながらそう告げると、我夢達は顔を上げた。
リアス「……どうして今日ここに?」
サーゼクス「ああ、それはね…」
リアスがそう問いかけると、サーゼクスは懐から1枚のプリントを取り出し、リアス達に見える様に広げた。
それは授業参観のお知らせを伝えるプリントだった。
サーゼクス「来週、授業参観があるだろう?愛しの妹が勉学に励む姿を見たくてね。これは兄として当然の事さ」
それを聞いたリアスは恥ずかしげにワナワナと肩を震わせる。
リアス「で、ですがお兄様には魔王の仕事があるでしょう!?」
サーゼクス「ハハハ…なぁに、心配はいらないさ。妹の為とあれば、仕事なんてあっという間に終わらせるさ」
リアス「っ!///」
爽やかに笑うサーゼクスの言葉にリアスはより恥ずかしそうに顔を赤くした。
その光景を見ていた我夢と一誠は確信した。
「この人はシスコンだ」と……。
リアス「しかし、お兄様は魔王なのですよ!?私が魔王の妹とはいえ、1悪魔を特別扱いするのは…」
サーゼクス「いや、これも仕事のうちなんだ。実は数日前のコカビエルの件で堕天使側が謝罪、そして三大勢力での会談を申し込んできてね。そこで、
リアス「それで下見を…」
我夢「成る程………って!?」
「「「「「「「「ええぇぇーーーー!?」」」」」」」
不仲である三大勢力の貴重な会談を自分達が今いる駒王学園で行う……。
その衝撃的な言葉に、リアス達は目を見開き、驚きの声をもらした。
その夜。満月の光が雲の間から差し込み、静寂に包まれた闇を犬の遠吠えだけが聞こえる中、とあるビルの屋上の物陰から梶尾、我夢、一誠、そして匙の4人がこっそりと顔を出し、屋上にある電波塔を見上げていた。
梶尾「久しぶりの出番だ…」
一誠「何言ってるんですか?」
匙「はぁ…」
我夢「まあまあ…」
謎の言葉を呟き、やけに張り切っている梶尾に一誠はツッコむ。
だが、反対に匙は何で俺なんだ…と言わんばかりにため息をつく。
何故彼等がここにいるのか?
それは数分前、謎の生命反応を怪獣探知機が探知し、急遽、手の空いている彼等に捜索を任されたからである。
匙と梶尾がいるのは、リアスがソーナに「2人だけだと心許ないから」と頼んだからである。
彼等の視線の先にある電波塔の頂上には、狼の様な人型の獣が遠吠えをあげている。
梶尾はその獣を見つめつつ、耳に装着しているインカムでソーナに連絡をとる。
梶尾「会長、謎の生命体を発見しました。これより捕獲作戦を開始します」
《ソーナ「頼みます。それと、これより作戦の全指揮は貴方に任せます」》
梶尾「了解。総員、ジェクターガンのカートリッジを麻酔弾にセット」
梶尾がそう指示すると、我夢達はジェクターガンを操作し、黄色のラベルが付いたカートリッジに変えた。
梶尾「グレモリー、いざとなったら対象を射殺しても構わないな?」
《リアス「ええ」》
梶尾「わかった。総員、配置につけ」
梶尾はインカムをきってそう指示すると、我夢達は物陰を移動し始めた。
狼がジェクターガンの銃口を獣へ向けた。
狼「アオーーーーーン!」
しかし狼は気付いてないのか、未だ遠吠えを続けている。
全員が配置に付いたのを確認した梶尾は我夢達に3…2…1…と指でカウントダウンし
梶尾「今だ、麻酔弾発射!」
その合図と共に4人は一斉に物陰から身を乗りだし、ジェクターガンの引き金を引いた。
狼「!」
麻酔弾はピュンと風がきる音を出しながら狼の方へと向かうが、狼は間一髪気付き、紙一重でかわした。
そして狼は我夢達に怯えたのか跳躍し、地上へ降り立つと、一目散に逃げ始めた。
梶尾「追うぞ!」
「「「はい」」」
梶尾達も地上へ降り立ち、狼を追跡し始めた。
それから5分後。4人は2人組に分かれて捜索することにした。
ちなみにペアは「我夢・梶尾」、「匙・一誠」のペアである。
匙と一誠のペアは公園近くの路地を捜索していた。
匙「はあぁぁ~~~~…何でこんな事に」
一誠「文句言うなよ、これも立派な任務なんだぜ?」
匙「お前は前向きでいいよな……。もし、この作戦が失敗でもすれば、会長に何てお仕置きされるか…」
ますます気落ちする匙に一誠はやれやれといった様子で肩をすくめると、ある言葉をかけた。
一誠「じゃあ逆に考えてみろよ。もし成功したらよ、ソーナ会長の最高のご褒美が待ってるかもしれないだろ?」
匙「ご褒美?」
その言葉に匙は反応すると、一誠は頷き
一誠「ああ、例えば…膝枕とか添い寝とか……やってくれるかもしんないだろ?」
匙「でも、あの会長がやってくれるとは思えないんだけどなぁ……」
一誠「だからこそ、今を精一杯頑張ればきっと良いことが巡ってくるんだよ!ほら、ソーナ会長の役に立ちたいだろぉ?」
匙「役に…立つ…役に…立つ………」
難色を示す匙にささやくと、匙は繰り返し言葉を呟くと、段々表情が明るくなった。
匙「役に…立つ……うおぉぉぉーーーーーーーー!!
俺は会長の役に立つんだ!やったるぜぇぇーーーー!!
ありがとな、兵藤!目が覚めたぜっ!!」
一誠「おう」
闘志に火が点いた匙はそう叫ぶと、一誠と熱い握手をかわす。
一誠は微笑みつつも内心、ちょろいなと思った。
一誠「じゃあ、俺はあっちみてくるから」
匙「おう!任せたぜ!」
一誠がそう告げると、匙はサムズアップで答える。
2人は離れて捜索を続けることにした。
匙「(やってやるぜ…!)」
匙は意気込みながら物陰を探していく。
しばらく続けていると、背中をチョンチョンとつつかれるが、匙は一誠だと思い、無視をする。
匙「兵藤!しつこいって……!」
だが、それでもしつこくチョンチョンと背中をつついてくるので、苛ついた彼は少し声を荒げて振り返ると
狼「ガウ」
匙「………」
そこには首を傾げるあの狼がいた。
匙は目を見開き、しばらく沈黙ののち
匙「ギャアァァァァァァーーーーーーーーー!!!」
先程の闘志はどこにいったのか、一瞬で顔が青ざめると、悲鳴をあげた。
しかも情けない事に腰を抜かしてしまった。
一誠「匙、どうしたっ!?…って、怪獣がいる!捕まえてやる」
狼「ガウ!」
その悲鳴を聞いて駆けつけた一誠は狼の姿を見ると、捕獲しようとジェクターガンで狙撃する。
だが、狼は跳躍して避けると、一誠の背後に回り、再び逃走する。
一誠はその後を追いかけると、狼の前に匙の悲鳴を聞いた我夢が鉢合わせた。
狼「ガルル…」
我夢「っ!」
一誠「我夢!」
我夢は一瞬驚くもジェクターガンの引き金をひく。
しかし、狼はまたも跳躍して、我夢の背後の道を逃走し続ける。
我夢「何て跳躍力だ!」
一誠「感心してる場合かよ!行くぞ!」
狼の大ジャンプの光景に感心している我夢に一誠は軽くツッコミ、2人は夜の町を逃走する狼を追う。
狼「ガウ…」
狼はその後も逃げ続け、橋の近くを歩いていた。
後ろを振り向き、3人の姿がいない事がわかると、ひと安心したように唸る。
だが
梶尾「ここまでだ!」
狼「!?」
梶尾が颯爽と物陰から現れ、狼にジェクターガンの銃口を向ける。
狼は何故ここに…?といった様に困惑していると、梶尾は説明し始めた。
梶尾「ふっ…俺の親父は自衛隊なんでね。俺もサバイバル訓練に参加させてもらったことがあるのさ。その時の感覚でお前の行動パターンを読ませてもらった」
狼「!」
梶尾「鬼ごっこは終わりだ!」
梶尾はそう言い終えると、ジェクターガンの引き金を引いた。
今度こそ捕まる…!狼はそう思い、身をかためるが
ピュン!
狼「?」
その銃弾はあらぬ方向に逸れた。
梶尾はもう一度射つが、銃弾は狼とは無関係の方向に飛んで行き、夜の闇に消える。
その様子におかしいと思ったのか、狼は首を傾げる。
そうしていると、後ろから我夢が駆けつける。
梶尾「くっ!」
我夢「梶尾さん、何をやってるんですか?早く!」
梶尾「分かってる!」
梶尾は口ではそう言うが、何度も何度も放った銃弾はあらぬ方向に飛んで行く。
その光景を見た我夢は確信した。
我夢「梶尾さん……もしかして、射撃は下手?」
梶尾「くっ!」
我夢にそう言われると、図星だったのか梶尾は少し恥ずかし気な表情を浮かべる。
なおも引き金を引くが、銃弾は虚空の空へと消えて行き、ついには銃弾が無くなった。
梶尾「貸せっ!」
我夢「あっ」
梶尾は中々当たれない事にやけになり、我夢のジェクターガンを少々乱暴に奪い取る。
そしてまた引き金を引くが、銃弾は当然当たらない。
狼「ガウッ!」
これをチャンスと見た狼は後方へ大きく跳躍すると、橋の上に着地する。
そして、そのまま逃走を再開した。
一誠「逃がすかーーー!」
匙「チキショー!待てーーー!!」
その後を遅れてやって来た一誠と匙が射撃しながら追いかける。
梶尾「追えっ!追えーーーーーーーーー!!」
我夢は不安でしかないこの状況にひたすら困惑するしかなかった。
そして、すっかり夜が明け、朝になった。
狼を一晩中追いかけていた我夢達は…
我夢「うう…」
梶尾「はぁ…はぁ…」
一誠「ぜぇ…ぜぇ…」
匙「おえっ」
ヘトヘトとなり、地面に寝転がっていた。
4人はもう一歩も動けないといった感じであり、匙に至っては吐きそうな様子だ。
4人はあの後も追跡したが、中々捕まえれず、遂には朝になり、見失ってしまったのである。
その光景を見たリアスとソーナは情けない…と言わんばかりにため息をつく。
リアス「いくら捜索に慣れてないからって、基礎体力を1から鍛え直さないとね…」
ソーナ「匙、梶尾。帰ったらトレーニングをいつもの100倍の量で行います」
匙「うっぷ…そんな……」
リアスとソーナの呆れた視線に我夢達はただただ縮こまるしかなかった。
そんな彼らをよそにリアスは今後の対策に考えて始めようとした時
サーゼクス「やぁ、リアスにソーナ」
リアス「お兄様っ!?」
ソーナ「サーゼクス様!?」
我夢「ふえ…?」
突然彼女の背後からサーゼクスとグレイフィアが現れた。
その登場に一同は跪こうとするが、サーゼクスはそのままでいいと制止した。
サーゼクス「リアス。この状況を見ると、手こずっている様だね」
リアス「はい、すみません…」
サーゼクス「いやいや、構わないよ。侵入者を取り逃がすことなんて領主たるもの誰でもあるさ。そこで1つ提案がある」
リアス「提案?」
首を傾げるリアスにサーゼクスは頷き、言葉を続けた。
サーゼクス「ここから先の捜索は、特殊捜査チーム『リザード』に任せてもらえないだろうか?」
リアス「リザードですって!?」
我夢「リザード?」
「リザード」という単語に驚くリアス。
その聞き覚えのない単語に我夢と一誠は首を傾げていると、梶尾が説明し出す。
梶尾「『リザード』はサーゼクス様直属の特殊捜査部隊だ。隠密が得意なはぐれ悪魔の捜索や不正を行う悪魔の個人情報の確保などが仕事だ。最近はG.U.A.R.Dの特殊捜査チームとしての顔もあるらしいがな…」
一誠「へぇ~~」
我夢「悪魔版の特殊警察か…」
その説明を聞き、一誠と我夢は納得した表情を浮かべる。
その間にもサーゼクスとリアスの会話は続いた。
リアス「ですが、いいのですか?私などの為にお兄様の手を煩わせる訳には…」
サーゼクス「いいさ。それにリアス、君らだけの問題じゃない。もしかしたら、その生物は破滅招来体かもしれない……。こういう事態には私達に頼ってくれても構わないさ」
リアス「は、はい…」
サーゼクスに説得され、リアスはついに折れたのかサーゼクスの協力を受ける。
その返事が承諾したと受け取ったサーゼクスは指を鳴らすと、ぞろぞろとG.U.A.R.D.の隊員服を着た男達が集まってくる。
その群衆から黒いスーツを着た男が前に出て、自己紹介する。
瀬沼「『リザード』隊長の
その後、捜索はリザードに引き継がれ、狼の怪物が出現した地域の封鎖を始めた。
近くに通った住民に狼の怪物の事を隠しながらも注意喚起し、包囲網を張っていった。
隊員「隊長、ほぼ全てのエリアの封鎖を終えました」
瀬沼「よし、後はここの橋だな………うん?」
隊員の報告を受け、瀬沼はすぐに橋の閉鎖をしようとするが、桟橋の上で川を眺める少年がいることに気付いた。
瀬沼は彼に近寄り、声をかける。
瀬沼「あなたもすぐに避難して下さい。ここは危険です。さあ、安全な場所へ」
その警告を聞いた少年―――藤宮は瀬沼の顔を見つめ
藤宮「安全な場所なんてあるんですか、今の地球に?」
瀬沼「?」
そう冷たく問いかけると藤宮は去っていく。
瀬沼は遠ざかっていく彼の背中を疑問の表情で見つめるしかなかった。
再び訪れた夜。
我夢は瀬沼と共に車で町を捜索していた。
何故我夢がいるのか?
我夢はあの後、自分が取り逃がしたという自責の念があり、狼の怪物の捜索の協力を申し出たからである。
助手席に座る我夢は通りすぎる夜の町並みを見つつ、隣で運転する瀬沼に声をかける。
我夢「すみません、無理をいって」
瀬沼「いえいえ、問題ないですよ。私共も高山さんの冷静な分析力を是非ともお借りしたいと思ってたんですから」
申し訳なさそうに頭を下げる我夢に瀬沼はにこやかに答えると、捜査の状況を我夢に話し始めた。
瀬沼「あの後、我々は包囲網を張って捜索を続けました。狼の怪物が荒らした痕跡は多く見つかりましたが、肝心である怪物のすみかすら見つかりませんでした。まるで夜だけ現れたみたいに……」
我夢「夜だけ現れる……まるで狼男みたいですね」
瀬沼「ええ、だから我々はあなたにも捜索を要請をしようと思ったのはそういう理由があるからです」
瀬沼がそう言うと、我夢は納得する。
瀬沼と我夢は車からの捜索を続けると
「わぁーーーーー!?」
突然、恐怖に怯えた男性の悲鳴が聞こえた。
その悲鳴に我夢と瀬沼は顔を見合わせる。
我夢「今の声は!?」
瀬沼「ええっ、行ってみましょう!」
瀬沼はすぐさまハンドルをきると、悲鳴が聞こえた方へ車を走らせる。
2人は悲鳴が聞こえた場所に着くと、すぐさま車を降り、悲鳴をあげた人物を捜索する。
周辺を探すと、2人は地面に倒れている男性を見つけた。
2人は男性に駆け寄った。
瀬沼「大丈夫ですか!?」
男性「ううっ……」
瀬沼は男性に声をかけると、気を失っているが息がある事を確認する。
瀬沼は男の腕に目をやると、獣か何かに引っ掻かれたケガをしており、そこから血が流れていた。
我夢「やっぱり、あの怪獣が…」
瀬沼「ええ、とりあえずこの男性を車に運びましょう。そこで応急処置を…」
狼「グルルル…」
「「っ!」」
我夢と瀬沼は男性を抱えようとした時、唸り声が聞こえた。
2人はその唸り声のした方を見ると、あの狼の怪物がいた。
狼の怪物は威嚇するように唸り声をあげながら、ジリジリと我夢達へ近付いてくる。
瀬沼「化け物めっ!」
狼「キャウン!?」
瀬沼は素早く懐からジェクターガンを取り出すと、連射する。
銃弾が命中した狼は火花を散らし、地面を転がっていく。
その間に我夢は男性を抱え、車の後部座席に乗せた。
その後も銃弾は止むこともなく、しばらく撃ち続けると、狼が動かなくなった。
瀬沼は気絶もしくは死んだと思い、ジェクターガンを懐にしまい、狼に近付く。
だが、
狼「ガウッ!」
瀬沼「うおっ!?」
狼は生きており、近付いてきた瀬沼の右腕を引っ掻く。
瀬沼は左腕で懐からジェクターガンを取り出したが、狼にはたき落とされた。
そして、そのまま抵抗する間も与えず、狼は瀬沼をドロップキックで蹴り飛ばす。
瀬沼「ぐっ…!」
瀬沼はそのまま後ろにある木に衝突すると、その衝撃で気絶してしまう。
狼「ガルルル…」
我夢「っ!」
狼の怪物は今度は我夢を標的にすると、素早いスピードで疾走する。
我夢は向かってくる敵に身構えると、物陰から1人の少年が狼の前に立ち塞がった。
その少年は藤宮だった。
我夢「藤宮っ!?」
狼「グルワッ!」
我夢は突然の藤宮の登場に驚く。
狼も驚いて一旦、足を止めるが、唸り声をあげて新しい標的である藤宮に襲いかかろうとするが、藤宮はニヤッと不敵に笑い、身体が青く輝いた。
狼「!?」
その現象に狼は目を見開き、足を再度止める。
青い輝きの中、藤宮の姿は一瞬だけアグルの姿に変化した。
狼「キャウン…」
それに怯えた狼は藤宮に背を向けて、一目散に逃げ出した。
助かったと一安心した我夢はその場から立ち去ろうとする藤宮に声をかけた。
我夢「藤宮、ありがとう」
藤宮「勘違いしないでもらおうか。俺はやつに興味があっただけだ」
我夢「興味?もしかして、君はあの狼の怪物について何か知ってるのかい?」
我夢がそう問いかけると
藤宮「やつは宇宙からやって来た存在だ。恐らく、破滅招来体によって遣わされたものだろう」
我夢「そうか……でも、もう1つだけ聞きたいことがある。アイツはどうして日が出てる内に姿を現さないんだ?夜行性の生き物なのか?」
藤宮の言葉に納得する。
そして我夢は再び問いかけると、藤宮は不敵に笑い
藤宮「我夢、『木の葉を隠すなら森に』だ」
意味深な言葉を告げると、藤宮は歩き去っていった。
我夢「木の葉を隠すなら…森に…」
我夢は彼の遺した言葉を呟きながら、ヒントともとれるその言葉の意味を必死に考えた。
狼「アオーーーーン……!」
藤宮から逃亡した狼は、どこかのビルの屋上の上で遠吠えをしていた。
今度こそ撒いたであろう…そう思い、遠吠えを続けていると
狼「グルッ!?」
グサッと胸元に何かが刺さった感覚が襲った。
狼は自身の胸元に視線を向けると、ドクロマークがついた巨大な注射器が深々と刺さっていた。
中に入っているいかにも怪しいピンク色の液体が体内に注入されていくと共に、段々と意識が遠退いていく。
狼「ZZZ~~~」
液体が全て注入されると、狼はその場で死んだように眠りについた。
梶尾「ミッション完了!」
その様子を空から見ていた梶尾は嬉しげにガッツポーズを決めた。
そう、あの麻酔入りの注射器は彼が投げ飛ばしたものである。
梶尾は瀬沼に狼の現在位置を教えると、そのままどこかへ飛んで行った。
梶尾の連絡を受けた我夢と瀬沼は急いでビルの屋上へ向かった。
我夢「あっ」
瀬沼「慎重に行きましょう…」
我夢「はい…」
瀬沼が扉を開けると、そこには麻酔によってスヤスヤと気持ち良さそうに寝ている狼の怪物がいた。
瀬沼と我夢はジェクターガンを構えながら、捕獲するために近寄る。
あと数センチ。
それぐらいの距離になり、丁度朝日が昇り始めた瞬間。
我夢達は目を見開いた。
我夢「えっ!?」
瀬沼「っ!?」
何と、狼の怪物の体は段々ガス状になった。
太陽の光が強くなっていく度に体は消えていき、最終的に朝日が完全に昇りきった時には跡形もなくなっていた。
そして、その昼。我夢は瀬沼と別れた後、学校を休みを入れ、自宅で何かを調べていた。
それはガス状となった狼の怪物の気体の一部で、何故朝日を浴びた時に消滅したのか気になり、解析しようと思って回収したのである。
ちなみにこれらを調べる機器は全てリアスが揃えてくれたものである。
気体の検査結果を終えると、我夢はパソコンに表示された気体の詳細に目を通す。
我夢「アイツ…ウルフガスはガスで構成されているのか。なるほど…太陽光線を浴びると体がガスになる性質を持っているのか……。だから日が差している日中には出なかったのか」
我夢はウルフガスの正体を知り、納得していくと、ふと藤宮の言葉が頭をよぎった。
我夢「『木の葉を隠すなら森へ』……もしかして!?」
我夢はその言葉の意味を理解すると、すぐさまリアスに電話をかけた。
三度訪れた夜。
リアスとソーナは眷属を率い、駒王町にあるガスタンクがある工場地帯を見回っていた。
リアス達がいるのは、我夢から「ウルフガスは太陽光を浴びるとガスになる。なので日中はガスがあるところに隠れているのでは?」と連絡を受けたからである。
リアス「ここが一応最後ね。皆、あの獣を見つけたらすぐに連絡して」
「「「「「「「はい」」」」」」」
リアス達は手分けして捜索を開始する。
ガスタンクの回りやその近くにある機器など、1つ1つ細かく探索していく。
それから数分後。ウルフガスの姿は未だ見つけられておらず、一向はより念入りに捜索した。
木場「ふう、次はここかな?……うん?これはっ!?」
木場は次のガスタンクを調べようと近付くと、ガスタンクの表面には時限爆弾が取り付けられていた。
タイマーはあと3秒しかなく、取り外そうと思っても間に合わない。
木場「爆弾だーーーー!」
「「「「「「「!?」」」」」」」
ならば皆に知らせるしかないと、大声で叫んだ。
その瞬間、爆弾は起爆し、木場はその爆発に巻き込まれた。
リアス「祐斗!アーシア、手当てを頼むわ」
アーシア「はいっ!」
リアスがそう指示すると、アーシアは爆心地へ向かう。
リアスはこれからどうしようと考えていると、一誠が目を丸くしてどこかを見上げていることに気付いた。
リアス「どうしたの?」
一誠「部長、あれを…」
リアス「嘘でしょ…?」
我夢「そんな!」
朱乃「あらあら…困りましたわね」
小猫「大きい…」
我夢達の視線の先には身長40mもあろう巨体に変化したウルフガスの姿があった。
ウルフガスは梶尾によって注入された麻酔で体質変化を起こし、更にガスタンクが爆発した際に漏れた天然ガスを吸収した影響で巨大化してしまったのである。
一誠「メタフィールド展開っ!」
リアス「みんな、戦闘準―「待ってください!」…我夢?」
一誠が周囲にメタフィールドを展開すると同時にリアスは眷属達に指示しようとするが、我夢に止められる。
どうしたんだ?と皆が我夢に視線を向けると、我夢は理由を語りだす。
我夢「ウルフガスの体はガスで出来てます!ただでさえ体質変化しているヤツに下手に攻撃でもすれば、近くにある住宅地も爆発に巻き込まれます!」
一誠「くそっ…何もできねぇのかよ…!」
そう聞いたリアス達は下手に手出しが出来ない事に悔しげに遠吠えをするウルフガスを見上げる。
そんな彼らの様子を物陰から藤宮が見つめていた。
藤宮「……」
藤宮は不敵に笑いながら右手首に装着しているアグレイターを下に下ろすと、翼状のパーツが左右に展開する。
そして、そのままアグレイターを胸の前に掲げると、ライフゲージに似たパーツが回転する。
そこから発生した青い光に包まれると、藤宮はアグルに変身した。
万事休すか…と思っていたリアス達は突如、ウルフガスの背後に青い光の柱が現れた事に気付く。
そして、光が晴れるとそこには両腕を力強く広げたアグルが現れた。
小猫「…アグルっ!」
我夢「(藤宮っ!)」
アグル「…」
またも現れたアグルに驚くリアス達を尻目に、アグルはウルフガスの肩を叩く。
ウルフガス「…!?」
アグル「ツォワッ!」
ウルフガス「キィィィン!?」
アグルはウルフガスが自分の顔を見て、驚愕するな否や、すかさずウルフガスの顔面を殴り飛ばす。
ウルフガス「グルルル…グワッ!」
ウルフガスは怯んで後ずさるが、すぐにアグルを睨み付けると、大地を蹴って跳躍し、そのままアグルへ飛びかかる。
アグル「ホワァァァーーー!」
ウルフガス「キャイン!」
だが、アグルもそれに合わせる様に飛び上がり、胸元に目掛けて蹴りをくらわせる。
直撃したウルフガスは地面に体をぶつけながら転がっていく。
アグル「ホワッ!アァァァァァ……」
ウルフガス「クゥン…!」
地面に降り立ったアグルは素早い動きで近寄ると、ウルフガスの尻尾を持ち、ブンブンと回り始める。
アグル「ツォワァッ!!」
ウルフガス「キャウウ~~~ン!!」
そして、ハンマー投げの様に投げ飛ばすと、ウルフガスは再び地面を転がっていく。
そのあまりにも酷い光景にリアス達は何てひどいんだ…と各々呟いた。
アグルは追い討ちをかけようと歩み寄り、怯えているウルフガスを無理矢理起こす。
ウルフガス「グルワッ!!」
アグル「ッ!?ドアァァッ!」
その瞬間。ウルフガスは爪を立てると、先程のお返しとばかりにアグルの胸元を引っ掻いた。
ウルフガスはアグルを油断させる為に怯えているフリをしていたのだ。
その演技に騙され、油断したアグルはほんの少し怯むと、ウルフガスの顔に目掛けて拳を放つが
ウルフガス「ガウッ!」
アグル「ウッ…!?ドァァァ…!」
ウルフガスは口を開くと、繰り出される拳に噛みつく。
その鋭い歯が拳に刺さっていく感覚にアグルは苦痛の声をあげる。
アグル「ホワッ!」
ウルフガス「キャウン!?」
だが、すぐに自分の拳を噛まれた事に逆上すると、アグルは反対の拳でウルフガスの胸元を殴り、拳を強引に解放させる。
アグルはウルフガスを睨み付けながら、解放された手を痛そうに振るうと、ウルフガスを蹴り飛ばす。
アグル「ホワァァァァーーーーーー!!ドワッ!テェアッ!」
ウルフガス「キャウゥゥゥゥゥ~~~~~~~ン!」
そのまま休む間も与えず、アグルはパンチやキックの応酬でウルフガスを攻め立てる。
ウルフガスは次々と繰り出される攻撃になすすべもなく、サンドバッグの様にくらい続ける。
その様子は戦いというよりも、最早弱いものいじめである。
アグル「ツォワァッ!」
ウルフガス「キャウン!?」
アグル「ホワッ!アァァァァァ………!!」
ある程度痛め付けたアグルはウルフガスを投げ飛ばすと、額の前で両腕を交差させ、額にエネルギーを集中させ始める。
そう、フォトンクラッシャーの体制である。
我夢「っ!」
それを見た我夢はアグル――藤宮の狙いがわかった。
ウルフガスを町ごと破壊しようとしていると。
ウルフガスはガスで出来ている。
なので、かなりの火力を持つウルトラマンの光線を当たったりしたら、町はまるごと吹き飛んでしまい、大きな被害が出る。
不味いと思うや否や、我夢はエスプレンダーを掲げると、ガイアへ変身した。
ウルフガス「!?」
アグル「ホワァァァァーーーーーー!!」
ガイア「デヤッ!!」
ガイアはすかさずウルフガスとアグルの間に割り込むと、アグルの放つフォトンクラッシャーをフォトンエッジで相殺させた。
ガイア「グアッ!」
アグル「……」
邪魔されたアグルはどこか怒りの眼差しを浮かべながら、ガイアを見据えると、ガイアは身構える。
正に一触即発だ。
アグル「ホワッ!アァァァァァ……」
ガイア「デヤッ!グァァァ……」
アグルはリキデイターの体制をとると、それに合わせる様にガイアもクァンタムストリームの体制にはいった。
その頃、地上では2人の巨人の対立をリアス達は眺めていた。
リアスは渋い顔で呟く。
リアス「不味いわね…。このままの状況だとますますリスクが大きくなるわ」
そう不穏になるリアスの隣に1台の車が止まった。
一同は車に視線を向けると、車から瀬沼が降りてきた。
瀬沼「間に合いましたか…」
リアス「あなた…どうしてここに?」
瀬沼「ええ、高山さんに頼まれたものがようやく完成したので、届けにきたんですよ」
朱乃「我夢君が?」
瀬沼「はい。と言うものの私はXIOベースに製作を依頼したんですがね」
瀬沼はそう言いながら、懐からドクロマークのラベルがついてあるジェクターガン用のカートリッジ取り出した。
それを見て首を傾げるリアス達に瀬沼は説明する。
瀬沼「これは細胞気化弾です。これをウルフガスに撃ち込めば、元のガスに戻ります」
木場「それがあれば…!」
瀬沼「ええ、最悪の事態も回避できます。すみませんが、どなたか撃って下さいませんか?」
一誠「俺にやらせて下さい」
瀬沼が頼み込むと、一誠が手をあげた。
瀬沼はそれを承諾して頷くと、一誠に細胞気化弾を手渡した。
その頃、ガイアとアグルは今にも光線を発射しそうな状況であまり時間が残されていない。
瀬沼「頼みます」
一誠「はい!細胞気化弾…発射!」
一誠はジェクターガンに細胞気化弾を装填すると、引き金をひく。
発射された細胞気化弾は見事ウルフガスに命中した。
ウルフガス「アオーーーーーン…」
アグル「ッ!」
ガイア「ッ!」
すると、ウルフガスの体は段々ガス状に変化し、近くのあるガスタンクの中に吸い込まれていった。
その光景にアグルとガイアはお互いの技を中断する。
ガイア「(間に合ったか…!)」
それを見たガイアは安堵した。
実はガイアは心の中でウルフガスはもしかしたら宇宙から送り込まれてきた被害者ではないかと思っていた。
だから、始めからウルフガスを殺すのではなく、救ってあげようと考えていたのだ。
ガイアはウルフガスが収められているガスタンクをそっと地上から引き抜くと、両手で優しく持ちながらアグルの方へ体を向ける。
アグル「……」
ガイア「…デュアッ!」
アグルが何かしら仕掛けてくるかと警戒していたが、何もせず、ただ見つめている。
その様子を見て何もしないと判断したガイアはガスタンクを持ちながら、上空へと飛んで行く。
そのまま高く飛んで行き、大気圏を突破し、宇宙空間についたガイアはガスタンクを宇宙へ解放した。
ガイア「……」
ガイアはガスタンクが見えなくなるまで見守ると、地球へと戻っていった。
そして、ガイアが宇宙空間に向かって飛んで行く頃。
藤宮はアグルの変身を解き、遠ざかって行くガイアの姿を冷ややかな眼差しで見つめていた。
藤宮「ガスに戻して宇宙に返す……それでヤツを助けたつもりか…我夢。君というやつがつくづく分からなくなったよ。いつか俺のやり方を分かってもらう、必ず。そのつもりでいてくれ…」
藤宮はそう呟きつつ、暗闇に消えるように歩き去っていった。
次回予告
プール開きだ!
夏の醍醐味を楽しむ我夢達。
白龍皇を名乗る少年、そして秘められた朱乃の血筋とは?
次回、「ハイスクールG×A」
「
君ならどう受け止める?
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