ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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無酸素怪獣 カンデア
深海竜 ディプラス  登場!


第33話「妖光の海」

人間界。

すっかり夜が更け、駒王町近くにある海岸にて海を眺める者が2人いた。

それは我夢、一誠の友達である松田と元浜であった。

 

 

「「はあ…」」

 

 

2人は深くため息を吐く。

彼らがここまで落ち込んでいる理由は最近、女子と交際している学園の男子が多くなっているので自分達も彼女を作ろうとナンパした。しかし、皆様のご覧の通り、見事玉砕した。

 

 

松田「なあ、松田。俺達って何でモテないのかね…」

 

元浜「さあ?女体に興味があると堂々と言ったら気持ち悪がられるし、それを隠そうとしたら疑われるし……はあ…」

 

松田「我夢とイッセーに慰めて欲しいけど合宿で忙しいからな………くっそぉぉぉーーー!!今頃、リアス先輩や姫島先輩とあんなことやこんなことをやってるだろうなぁぁーーーーー!!悔しいィィィーーーーー!!」

 

元浜「ああ、愛しの小猫ちゃんも今頃…ううう~……!!」

 

 

そう言いつつ、松田と元浜は滝のような悔し涙を流す。

この2人。モテるモテない以前に変態的な性格を治すべきと思うが、本人達は全く理解していない。

 

2人がしばらく夜の海が眺めながら泣いていると、

 

 

キラキラキラキラ……

 

「「…?」」

 

 

突然、青く煌めく巨大な光球が海から現れた。

それを見て疑問に思った2人は自然と泣くのを止め、それに目をやる。

 

 

松田「何だあれ?ロケットか?」

 

元浜「いや、この場所に実験施設があるはずが――うわぁぁ!!?」

 

 

光球の正体について考察していると、次の瞬間。青い光球は2人の頭上スレスレを通り過ぎ、どこか遠い空へ飛んで行った。

2人は頭を押さえていた手を離し、青い光球が飛んで行った空を不思議そうに見上げる。

 

 

元浜「何だったんだ?」

 

松田「さあ?」

 

 

松田と元浜が目撃した謎の青い光球。これが後に世界中で大問題を起こすとは、この時の2人には知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、冥界にいる我夢達はグレモリー邸の庭の一角にある露天風呂にお邪魔していた。

一誠と木場は身体の洗い合い、アザゼルと我夢は湯に浸かっていた。

 

 

アザゼル「変~われ~~ジャック♪大きく~強~く~~♪」

 

 

アザゼルは温泉にドップリと浸かりながら満足そうな様子で鼻歌交じりに歌っている。

普段、堕天使の総督として色々忙しいことがあって、相当疲れが溜まっていたのだろう。背中から12枚の黒い堕天使の翼を広げている。

 

 

アザゼル「ハハハハ、やっぱ冥界とはいえば温泉だよな~~!しかも冥界屈指の名家、グレモリーの私有温泉となれば名泉も名泉だろう!」

 

 

満足そうに顔を緩めるアザゼル。

基本的に冥界は西洋に似た暮らしなので、アザゼルはあまり日本の風習には慣れてないと思っていた我夢だが、自然に出来ているのでそうではないとわかった。

そう思った我夢はふと気になったことをアザゼルに訊ねる。

 

 

我夢「アザゼル先生って、日本文化が好きなんですか?」

 

アザゼル「おお!生活風習に文化、礼儀作法やその他諸々、冥界にはない奥の深さがあるからな!ガッハッハッハッ!」

 

 

そう答えて豪快に笑う我夢はやっぱり好きなんだなと確信する。

アザゼルの趣味嗜好と日本の文化はマッチしているのだろう。その証拠に初めて会った時、アザゼルは浴衣を着ていた。

 

湯に浸かっている2人がそんな会話をしている中、木場の身体を洗い終わった一誠は次は彼に身体を洗ってもらおうと、背を向けるが…

 

 

木場「イッセー君ってゴツゴツしてて、逞しいね…///」

 

一誠「――いっ!?」

 

 

と、頬を赤くし、何とも気持ちが悪いセリフを言いながら身体をベタベタと触るものだから、悪寒がした一誠はその場から飛び退く。

 

 

木場「…?どうして避けるんだい?」

 

一誠「バカっ!!俺にはそういう趣味は無ぇんだよっ!」

 

 

不思議そうに首を傾げる木場に一誠は顔を真っ赤にし、声をあらげて答える。

当然、一誠はそういった性癖を持ち合わせてはいない。

あと一歩遅かったら、貞操が危なかったかも知れないと一誠は危惧した。

 

 

ギャスパー「う…うぅん…」

 

 

そんな時、一誠は入り口で困った様子でうろうろしているギャスパーの姿を捉えた。

その様子から男同士で温泉に入るなんて初めてで、このまま温泉に入っていいのか躊躇っているのがわかった。

 

このままだといけない。そう思った一誠は「仕方がないな…」と呟くと、ギャスパーの元へ歩み寄り、左手首を掴んだ。

 

 

ギャスパー「きゃっ!?」

 

一誠「お前なぁ~~…何が『きゃっ!?』だ!変な声を出すなっ!」

 

 

可愛らしく悲鳴をあげるギャスパーを一誠は嗜める。

元から女の子と見間違うほどの容姿、更にはタオルを胸の位置に巻いているのも相まって、より女の子に見えてしまう。

そのせいではたから見れば、まるで一誠が女の子を無理矢理拉致しているようにしか見えないのだ。

 

すると、一誠と目を真っ直ぐ見ていたせいか、ギャスパーは頬を赤く染め、顔を俯かせながらボソボソとこう言う。

 

 

ギャスパー「……あ、あの…あまりこっち見ないで下さい……」

 

一誠「お、お前な!男なら腰でタオル巻けよっ!胸の位置まで巻いてるから、普段の女装以上に戸惑っちまうって!」

 

ギャスパー「…そ、そんな!?イッセー先輩は僕のことをそんな目で見ていたのですか…!?身の危険を感じちゃいますぅぅぅぅーーー!!」

 

一誠「うるせぇぇぇーーーー!!ウルトラハリケーン!!」

 

 

このまま話しても、自分が禁断の世界へズブズブはまっていっていくだけだ……。そう危惧した一誠はギャスパーを両腕で抱えあげると、どこぞの夕陽が似合う巨人が使う技のようにひねりを加えて、前方へ投げ飛ばす。

 

 

ギャスパー「ギャアァァァァ~~~~~!!」

 

 

ギャスパーは悲鳴をあげながらグルグルと左回転しながら上昇していく。そして、我夢達が入っている温泉の真上までくると、ピタッと回転が止み

 

 

ドッパァァァァーーーーーーーンッ!!

 

我夢「うっぷ!?」

 

アザゼル「どぺっ!?」

 

 

そのまま豪快に水柱を立てながら湯に墜落した。

辺りに大量の水しぶきが飛び散り、近くにいた我夢やアザゼの顔面にぶっかかる。

 

 

ギャスパー「いやぁぁぁぁぁん!あっついよぉぉぉーーー!!溶けちゃうよぉぉぉーー!!我夢先輩助けてぇぇぇーーーーーー!!」

 

我夢「あ、うん。わかったから、まず離れようか…」

 

 

湯加減が合わないのかギャスパーはすぐに立ち上がって悲鳴をあげると、紅潮させた体で我夢にすがり付く。

我夢はギャスパーの悲鳴に若干引きながらも、落ち着く様に呼び掛ける。

というのも、隣の女湯からはクスクス…とリアス達の笑い声が聞こえてきて恥ずかしいのだ。

 

それから何とか我夢はギャスパーを呼び掛けて落ち着かせた。

だが、ギャスパーは依然我夢にくっついたままで、広げた両足の間にちょこんと座っている。これで安心できるならいいが…と我夢は思いつつも、女の子と間違う容姿をしているギャスパーを危険な目で見てしまう自分と葛藤していた。

 

ふいにアザゼルは我夢に話しかける。

 

 

アザゼル「ところで我夢」

 

我夢「はい?」

 

アザゼル「お前、昨日オーディンのクソジジイの付き人のヴァルキリーを『ユザレ』って呼んだらしいじゃねぇか?どうしてそう呼んだんだ?」

 

我夢「…っ」

 

 

アザゼルの問いかけに、我夢は昨日、ふいにロスヴァイセをユザレと呼んだことを思い出す。

確かにあの時、彼女のことをそう呼ばずにはいられなかった自分がいたのは紛れもない事実だ。

 

 

一誠「気になるなぁ~~」

 

ギャスパー「興味ありますぅぅ」

 

木場「僕も気になるね。誰だい、ユザレって?」

 

 

アザゼルの話題に一誠とギャスパー、それにいつの間に湯に浸かってきていた木場も興味深そうに我夢に訊ねる。

どう話そうかと我夢は悩んでいたが、4人の向けられた興味の眼差しに負け、正直に話すことにした。

 

 

我夢「……実は2週間前に失踪した超古代人に会う夢を見たんですよ。それがユザレです…。最初は夢だから自分の妄想だろうと思ってましたが、彼女の気配からそうでないとわかったんです。そして、何よりも驚いたのは――」

 

木場「――ロスヴァイセさんに似てた、からかな?」

 

 

言葉を続けるように訊く木場に我夢は頷き、

 

 

我夢「顔だけでなく、声や体型すらも瓜二つだったんだよ」

 

 

そう続けて話すと、皆は彼の言っていることは嘘ではないと納得する。

といっても我夢は変な嘘をつくような男でないことはここにいる皆は知っているが。

 

 

一誠「へぇ~~マジか……。アザゼル先生はユザレのこと知ってるんですか?」

 

アザゼル「ああ……といっても名前だけだがな。あの大戦後、俺達はしばらく人間界へ干渉しなかった。自分の種族保持が先決だったからな」

 

 

隣で浸かっている一誠に訊ねられたアザゼルは頷きながら答える。

この中で古のウルトラマンに会った当事者であるアザゼルでさえも彼女のことは詳しく知らないようだ。

 

 

木場「それで何か言っていたのかい?」

 

我夢「うん、『どのような手段を用いても避けられない“運命”があなたに近づいている』って。でも、肝心なとところで目が覚めたから、聞けずじまいだったけどね」

 

 

我夢の話に皆は「ううん…」と唸る。

ユザレは一体何を忠告しようとしていたのか?疑問が深まるばかりだ。

皆が考える中、ふいにニタニタといやらしい顔つきをしたアザゼルが一誠に近寄り、口を開く。

 

 

アザゼル「なあ、イッセー」

 

一誠「はい」

 

アザゼル「お前は女の胸を揉んだことはあるか?

 

「「ぶっ!?」」

 

 

いきなりのド直球の質問に一誠だけでなく、我夢も思わず驚いて吹き出す。

先程まで我夢達の脳裏に漂っていたシリアスな空気はアザゼルの質問によって吹き飛んでいった。

 

一誠はあたふたしながらも訊ねる。

 

 

一誠「いきなり何を聞くんすかっ!?」

 

アザゼル「いや、ちょっとした興味本位だ。んで、どうなんだ?」

 

一誠「……まあ、一応1回だけ触ったことなら…」

 

 

一誠が正直に答えると、アザゼルは「なるほど…」と呟きながらニヤリと口角をあげる。

一誠はリアスがライザーとの婚約を迫られた際に彼女自らが胸を触らせたことを思い出した。

自分からやった訳ではなくとも触ったのは事実である。

何を考えているのかアザゼルはうんうんと頷くと、今度は我夢へ顔を向ける。

 

 

アザゼル「我夢は?」

 

我夢「無いですね」

 

アザゼル「そうか…」

 

 

その質問に我夢はキッパリハッキリと答えると、アザゼルは少しつまんなげそうに呟く。

朱乃、ゼノヴィア…2人から大胆なアプローチを受けたことがあるが、辛うじて胸を触るまでには至っていない。

2人から確認したアザゼルは何か考えをまとめたのか、更にニヤニヤとした顔つきで2人を見据え

 

 

アザゼル「…わかった。お前ら2人がいか~~に人生を損しているかがわかった!女の胸を触っただけとそれすらしたことないじゃあ、人生を充分楽しんでいるとはいえねぇ……。いいか、女の胸は無限だ。“揉み”、“吸い”、“つつく”……それでこそあのオーフィスをも越える無限の可能性を秘めいているんだぜ?俺はその神秘の魅了され、堕天したんだ…!」

 

「「はぁ…」」

 

 

アザゼルは目をキラキラと輝かせながら熱く語っているが、2人にとってはただのエロ親父のセクハラ演説にしか聞こえない。というか、誰が聞いてもそうしか聞こえない。

アザゼルはしばらく語ると、「さて…」と呟きながら話に一区切りつけると、

 

 

ガシッ!

 

我夢「ん?」

 

ガシッ!

 

一誠「おっ?」

 

 

突然、我夢と一誠の両腕を掴んだ。

その行動に2人は疑問に思っていると、アザゼルは

 

 

アザゼル「つう訳で若いお前らには1流の悪魔になるための経験を積んでもらう。混浴という形でな!!」

 

「「っ!?待っ―――」」

 

アザゼル「そうらぁっ!!」

 

 

そう言うと、2人が拒否する間も与えず、女湯に向かって空高く投げ飛ばす。

我夢と一誠は男湯と女湯の境目の仕切りを飛び越え、真っ直ぐ綺麗な放物線を描きながら飛んで行き

 

 

ドッパァァァァァァァァーーーーーンッッ!!!!

 

 

そのまま女湯の温泉に墜落し、ギャスパーが投げ込まれた時よりも大きな水柱が立ち、大粒の水しぶきが辺りに飛び散る。

 

 

一誠「ぶはっ…!!」

 

 

一誠は湯の中でもがきながらも何とか湯から顔を出す。

水滴が滴り落ちる前髪を払いながら辺りを見渡すが、湯煙が大量に立ち込めているせいで近くにも遠くにも我夢の姿は見えない。

 

 

一誠「(我夢の奴、大丈夫かよ…)」

 

 

一誠が姿が見えない親友に心配していると

 

 

リアス「イッセー!?」

 

アーシア「イッセーさん!?」

 

一誠「!?」

 

 

湯煙の中から目を丸くしたリアスとアーシアが現れる。

当然、一誠は驚いた。それは彼女に女湯に入っているのを見られたからでもあるが、何よりも彼女達が何も身につけていない…生まれたままの姿だったからだ。

 

 

一誠「ぶほっ!!?」

 

 

出るところは出ている所謂、ボン!キュッ!ボン!のリアスに、彼女ほどではないがスタイルが良いアーシア…。思春期の少年にとって刺激が強すぎる女体美に一誠は鼻血を盛大に吹き出した。

 

 

リアス「イッセー、どうしたの!?」

 

アーシア「しっかりしてください!今、治しますっ!」

 

一誠「い、いや、平気ですよ…」

 

 

それを見て心配して近寄ろうとするリアスとアーシアに一誠は鼻血が流れている鼻を手で抑えながら、こっちへくるなと手で制する。

ただでさえ刺激が強すぎる女体が傍にくると、色々と抑えきれなくなり、逆効果だ。

 

 

アーシア「え?でも血が…」

 

一誠「ウルトラ大丈夫だ!!

 

リアス「…?」

 

 

それでもなお近寄ろうとするリアスとアーシアに一誠は必死に大声で止める。

当の2人はわかってはいないようだが。

 

 

一方、我夢は

 

 

我夢「……や、やあ……」

 

小猫「……」

 

 

冷や汗をダラダラと流しながら、苦笑いで胸元にタオルを巻いている小猫に挨拶をしていた。

実は我夢が温泉の中をさ迷っていると、偶然小猫に会ってしまい、一瞬だけだが彼女の全てを見てしまったのだ。

小猫はこちらを半目で見据えていて、言葉を発さなくても怒っていることが我夢にはわかった。

 

どう弁明しよう…我夢が必死に考えていると

 

 

朱乃「あらあら、うふふ…♪我夢君ったら、大胆ですわ♪」

 

我夢「…へ?」

 

 

反対方向から朱乃が現れる。

当然だが、彼女も生まれたままの姿だ。

我夢は慌てて目を瞑り、その上から両手で目元を隠す。

 

 

我夢「あ、朱乃さん!!前を隠して下さいよぉぉ!!」

 

朱乃「うふふ、そんなに照れなくてもいいじゃない。私の身体を好きに見ても触れても何も言いませんわ。ほら、捕まえた♪」

 

我夢「あっ…!?」

 

小猫「っ!」

 

 

我夢の言葉を無視し、朱乃は彼に真正面から身体を密着させる。

胸元に当たる2つの大きな柔らかな果実、そして全身に伝わる彼女の柔らかい肢体―――その妖しい魅惑に我夢は顔を赤くする。

 

朱乃のアプローチはこれまでに何度もあったが、今回は服という遮るものがないので、これまで以上に危なく、妖艶だ。

しかも近くには朱乃の抱擁で更に怒りのボルテージをあげている小猫がいる。

 

 

我夢「…すみませんっ!朱乃さん!」

 

朱乃「あっ…」

 

 

このままだと理性が陥落し、かつ小猫への弁明が出来なくなる――――そう判断した否や我夢は名残惜しそうな顔をする朱乃を引き剥がして距離を取ろうと後退るが

 

 

ツルッ!

 

我夢「ぐあっ!?」

 

小猫「っ!?」

 

 

床で足を滑らせ、小猫の胸元に飛び込む。

小猫は咄嗟であったが、キャッチし、我夢が頭を打つのを阻止できたが…

 

 

むに…

 

小猫「~~~~~~~!!//////////」

 

我夢「……っ!!?」

 

 

ラッキースケベと言うのであろうか。我夢の両手が小猫の慎ましい胸に当たっていたのだ。

恥ずかしさと怒りで顔を耳まで真っ赤にさせた小猫は猫又モードになると、拳に気を纏い始める。

 

 

我夢「小猫!聞いてくれっ!!これは――」

 

 

これには我夢は顔面蒼白となり、すぐさま離れて許しを請うが…

 

 

小猫「…最っ低ですっ!!」

 

我夢「マガジャッパッ!?」

 

ドッポォォォォンッッ!!!

 

 

時既に遅く、小猫の鉄拳が脳天に炸裂し、我夢は水柱を立てながら、温泉の床にめり込む勢いで叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日。

我夢達は訪れた石室コマンダーによって、グレモリー邸にある1室に急遽集められた。

 

 

石室「レーティングゲームで疲れている君達には悪いが、さっそくXIGの任務に当たってもらうが………我夢?どうしたんだ、そのケガは?」

 

我夢「…い、いえ!大丈夫です!ちょっと転んだだけですから!」

 

小猫「……ふんっ」

 

石室「?」

 

 

ミイラの様に包帯を我夢に不機嫌そうに鼻を鳴らす小猫。我夢は「女の子の胸を触ってケガしました」なんて死んでも言えないので、ごまかしつつ元気そう取り繕う。

さすがにおかしいと思った石室は怪訝そうにするが問題ないと判断し、さっそく本題に入ることにした。

 

 

石室「本題に入ろう。実は人間界では昨日ら()()9()()()()()()()()()()()()()()()()()()怪事件が発生した。もちろん日本もそうだ」

 

『!?』

 

リアス「何ですって!?」

 

 

石室の報告にリアス達は目を見開く。

世界中で酸素が消失する。しかも一気にだ。

この不自然な現象に我夢達は違和感をも感じた。

石室は続け

 

 

石室「ジオベースの情報によると、酸素が消失した地域には海から現れた青い発光物体があったそうだ」

 

一誠「えっ…!?まさか、アグルっすか!?」

 

 

青い光と聞き、思わずアグルを連想した一誠は石室に問いかけるが、石室は「それはわからない」と首を横に振る。

 

人類を削除する為にはどんな手段も選ばない彼なら確かにやりかねないが、ウルトラマンといえどそんな芸当ができるのか…?

我夢はそう内心考えていると、話は進み

 

 

石室「日本の森林地帯にもその発光現象が目撃されている。そこで我夢、木場。君達には至急人間界に戻ってもらい、G.U.A.R.D.の隊員との合同調査に当たってほしい。その他の全員は調査結果が出るまで待機するように」

 

『了解!/ラジャー!』

 

 

石室の司令に皆は快く返事すると、我夢と木場はXIGの隊員服を着用し、さっそく人間界へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間界に戻り、G.U.A.R.D.の所有するヘリに同乗させてもらった我夢と木場は発光現象が目撃された森林地帯へと向かっていた。

 

 

ピッ…ピッ…ピッ…

 

我夢「本当に酸素が……!半径1キロ以内の酸素が消失しているっ!」

 

木場「何だって!?」

 

 

我夢と木場は手元にあるパソコンの観測結果に驚愕する。本来、空気中を漂っているはずの酸素が森林地帯近辺にだけ全く無いのだ。

人間や他の生物は一定の酸素がなくては生きていけない。それが全く無いとなると、森林地帯近辺の生物は息絶えているだろう…。

 

 

我夢「(藤宮…君じゃないよね?)」

 

 

ヘリで上空を飛びながら、我夢は今回の事件が藤宮のしわざではないことを内心願っていた。

そう信じるのも地球を守る為に非情な行動に徹するが、彼も優しい心を持っていて、何より同じ地球の子だからだ。

 

 

「あれは…?前方に光る物体!」

 

「「!?」」

 

 

そんなことを思っていると、操縦席のパイロットから声がかかり、2人は前へ視線を送る。

 

 

キラキラキラ…

 

 

森林の中央には、青い球体が怪しい光を放ちながら佇んでいた。

それは松田と元浜が海岸で目撃したあの光球だった。

我夢はすぐさまXIGナビで石室に連絡する。

 

 

《石室「どうした我夢?」》

 

我夢「コマンダー、発光現象の正体を思われる球体を発見しました。アグルのしわざではありません。…ただ、まだ推測ですが、球体の光と酸素の消失には何らかの関係があると思います。無酸素エリアはゆっくりとですが広がって……このままでは危険です」

 

《石室「わかった、球体を破壊しろ」》

 

「了解!これより攻撃を開始します」

 

 

石室の攻撃命令を聞いたパイロットはヘリに備え付けられているミサイルや銃機砲で攻撃する。

 

 

ドガァッッッン!!

 

 

ヘリからの一斉攻撃に球体は木っ端微塵に爆発し、辺りに破片が飛び散った。

それによって、森林地帯の酸素が蘇った。

我夢達はその後、球体の正体を知る為、破片を回収し、ジオベースへと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「破片を調べてみたけど、確かにレスフェリン・レスフェラーゼ反応で発光している光だよ」

 

我夢「ということは、海で光ってる夜光虫や海蛍と同じものなんですね」

 

「ああ」

 

木場「やっぱり、あの光は海から飛来したものなんだね…」

 

 

ジオベースの海洋学者の報告を聞き、我夢と木場は納得する。

海からきた光とは言ってもアグルとは無縁であることが証明された。

我夢は少しホッとしていると、海洋学者はビーカーに入っている破片を手に持ち

 

 

「…確かにこの光は海から来たものと考えていいかもしれない。そして…光と酸素の消失も結び付けて考えていいと思うんだ」

 

我夢「本当ですか!?」

 

「ああ、それはね――――」

 

 

その後、海洋学者からの推測を長々と聞いた我夢と木場。

2人はその推測に驚きを隠せないでいた。

話が終わった後、我夢は石室に連絡をしていた。

 

 

《石室「攻撃兵器?あの球体がか…?」》

 

我夢「はい。飛躍した考えかもしれませんが……“何者か”があの球体を使い、地球から酸素を消し去ろうとしているんじゃないかと…」

 

《石室「“何者か”…とは?」》

 

我夢「海洋学者さんと僕の考えですが、海底の何処かでひっそりと暮らしていた無酸素生命体が()()()()()()()()で変異して、攻撃性を持ったものと考えています」

 

《石室「そうか…」》

 

 

壮大な話に石室は頷きながらも驚いていた。

敵は宇宙だけでなく、地球からも攻撃の手を伸ばしてしたことに…。

しかし、()()()()()()()()とは何か?石室は考えていると、彼の前に割り込んでくる影が映った。

それは一誠だった。

 

 

《一誠「しかしよぉ~~…この広い海の中でどうやって探すんだよ?球体は日本だけじゃなくて、世界にも現れてるんだぜ?」》

 

 

一誠の疑問は的を射ている。

海といっても、地球の7割を占めている広大な世界で、陸上よりも捜索は困難だ。

それに対して我夢は

 

 

我夢「うん、だから少し聞き込みを行おうと思うんだ。コマンダー、少し時間をくれませんか?」

 

《石室「わかった。頼むぞ…」》

 

我夢「はいっ!」

 

 

石室の承諾を得た我夢と木場はさっそく調査へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから木場と我夢は手分けして、青い光球の目撃した人の聞き込みを行っていた。

ちなみに2人は他人から別人に見える効果を持つ『シグメット』を装着しているので、自分達を知る人達に怪しまれることはない。

数時間かけて、球体が放たれる場所を絞りこんだ我夢と木場はXIGナビで連絡する。

 

 

《木場「―――以上のことから、球体は駒王町近くの海岸――『白岩海岸』の海底、ポイント2(ツー)1(ワン)6(シックス)S(エス)9(ナイン)から送り込まれているのではと思われます」》

 

石室「わかった。2人共、よくやってくれた」

 

 

石室は2人に労いの言葉をかけると、XIGナビを閉じると、グレモリー眷属及び後で集合した匙除くシトリー眷属の方を振り向き、指示を出す。

 

 

石室「リアス!一誠!アーシア!ギャスパー!ソーナ!四之宮!草下!ポイント216S9に出撃せよ!都市防衛指令、発令っ!!

 

『了解!/ラジャー!』

 

 

7人は(ギャスパーは少々ビビリながら)敬礼すると、XIGの隊員服に着替え、人間界へ出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調査を終えた我夢と木場は我夢の母、重美の親戚が教授をしている大学へと歩いていた。

―――どうして海の生物が地上を無酸素の世界にしようと動き出したのか?我夢にはその理由が気になった。

なので、回収した白岩海岸の海水を重美の親戚に解析してもらおうと歩いていた。

 

その道中、横断歩道を渡ろうとした時

 

 

『こーーーーんげーーーーん…はめーーーーーーつーーーーー…』

 

シャン…シャン…

 

「「…」」

 

 

修行僧の様な格好をした怪しげな男女の集団が錫杖を地面につく教祖と思われる男を先頭にこちらへ歩いてくる。

この集団は『根源的破滅招来体』を神と崇める宗教団体、『根源破滅教団』だ。

我夢は以前、イリナとゼノヴィアと探す際に彼らを目撃したが、その時よりも団員が増えており、ますます薄気味悪くなっている。

 

我夢と木場は通り過ぎる集団の薄気味悪さに固まっていると、集団の中から沢山のビラを腕一杯に持った1人の男が出て、2人に近寄り

 

 

「破滅こそが救いなのです。あなたも我らと共に崇めましょう…」

 

 

そう言って木場にビラを手渡すと、そそくさと集団に戻り、再び「こーーーーんげーーーーん…はめーーーーーーつーーーーー…」と連呼する。そのまま集団は呆然としている我夢と木場を置いてどこかへ立ち去っていった。

 

木場と我夢は手渡されたビラを見ると、『根源破滅こそ真の救済』とでかでかと赤筆で書かれていた。

それを見て木場は困ったようにため息を吐き

 

 

木場「…『根源破滅こそ真の救済』、か……。勝手なことばっかりやってきたもんだからね、僕たちや人間はさ………。何かに滅ぼされたって自業自得ってところか。そうなってしまったほうが案外、地球のためかもしれないね」

 

 

と、冗談混じりに呟く。

しかし、これを聞いた我夢は

 

 

我夢「本気で思っているのかっ!!

 

木場「えっ…?」

 

 

怒りを露にし、自分でも信じられない声量で怒鳴る。

今は夜で周りに人がいないが、もし、いたら注目を浴びるくらいの声量だ。

 

 

我夢「…っ!ごめん、ついムキになっちゃった…」

 

木場「いや、いいよ。こっちにも非があるしね。さあ、先へ進もう」

 

 

 

いつもの彼らしからない行動に呆然とする木場を見て、我夢はハッとなった我夢は謝る。

木場はそれを許すと、2人は再び歩き出す。

 

その途中、我夢は

 

 

我夢「(僕は…焦っているのか……?)」

 

 

と、先程の発言から自分に対して疑問を抱いていた。

『根源的破滅招来体』、『禍の団(カオス・ブリゲード)』、そしてアグル。

様々な相手をしているうちに本当に自分がやっていることは正しいと証明することに焦りを感じていたのかもしれない。

そんな自分に自問自答しながら、我夢は大学へと歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、暗闇深い海底では2隻の潜水艦が光で前方を照らしながら進んでいた。

それはXIGが開発した青色の潜水艦『シグマリン』、そして黃色が特徴の潜水艦『セイレーン7500』だ。

 

シグマリンにはリアス達、セイレーン7500にはソーナ達が搭乗しており、ポイント216S9へと進んでいく。

ちなみにこの潜水艦には運転技術がない人でも扱える補助装置がついているので、座礁する問題はない。

 

 

一誠「ギャスパー。もうすぐでポイント216S9だ」

 

ギャスパー「はっ、はい!」

 

 

壁際のモニターを見ていた一誠から報告を受けたギャスパーは気を引き締めて舵をきる。

最初こそリアスや一誠、アーシアも初めての海底世界に感動していたが、今は真剣な顔になっており、必要なこと以外何も話さない。

 

そうして進んでいると、一際大きな裂け目がある岩肌の前についた。

リアスは腰に携えているアルファベットの『G』の形をした超小型コンピューター『W.I.T.(ウィット)』を開く。

 

 

リアス「シグマリン及びセイレーン、これより岩肌の裂け目に入ります」

 

《石室「わかった。ギャスパー、四之宮。慎重に行け…」》

 

「「了解っ!」」

 

 

連絡した2隻の潜水艦は岩肌の裂け目の中へ入っていく。

すると、

 

 

「プオォォォォォーーーーー!」

 

『!?』

 

 

地中からおぞましい鳴き声と共に岩肌のようにゴツゴツした皮膚をもつ四足歩行の怪獣が勢いよく飛び出した。

それこそ、地上中を無酸素にしようとした元凶『カンデア』である。

 

 

四之宮「アイツが無酸素生命体か…」

 

憐耶「突然変異って言っても…」

 

ソーナ「信じられない……無酸素のバクテリアの集合体というのですか?あんな巨大に……!」

 

カンデア「プォオォォォォォーーーーー!!」

 

 

皆が口々に驚きの声を漏らす中、カンデアは背中から突き出た砲身のような2つの突起から赤色の光弾で攻撃してくる。

 

 

ギャスパー「わわっ!?」

 

四之宮「っ!マーリンブラスト、発射!」

 

 

ギャスパーと四之宮は急いで舵をきって回避すると、操縦席にある赤いスイッチを押す。

シグマリンに装備されている銃口から青色のレーザー、セイレーンからは緑色のレーザーが放たれる。

 

 

カンデア「パォオオオオ~~~…ピィィィ~~~…!!」

 

 

レーザーが直撃し、体から火花が散りながら怯むが、それでもカンデアは背中の砲身から赤色の光弾で応戦する。

 

 

四之宮「会長!このままだとラチがあきません!」

 

 

四之宮は舵をきりながら、後ろにいるソーナに呼び掛ける。確かにこのままヒットアンドウェイを続けても無意味に神経をすり減らすだけだ―――そう考えたソーナの判断は早く、W.I.T.でリアスと回線を繋ぐ。

 

 

ソーナ「リアス、海底戦用結界を使いましょう。効き目は2分45秒しかありませんが、出し惜しみしている場合ではありません。セイレーンの操縦は四之宮に任せるつもりなのであなた方も海中に出て、戦いましょう」

 

《リアス「わかったわ!ギャスパー、運転頼むわよ!」》

 

《ギャスパー「はっ、はいぃ!」》

 

 

通信を終えた後、リアス、ソーナ、憐耶、アーシアは海底戦用結界を纏うと、転移用の魔法陣を通って外へ出る。

 

 

一誠「ダイナァァァァーーーーーー!!

 

 

遅れて一誠は掛け声と共にリーフラッシャーを斜め上に掲げると、光に包まれてウルトラマンダイナに変身し、光を纏ったままシグマリンを透過して外に出た。

 

 

「「行くわよっ!/行きましょう」」

 

「「はいっ!」」

 

 

2人の『(キング)』が先陣をきると共に、ダイナ達も駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、大学に着いた我夢と木場は石室に白岩海岸の海水の解析結果についてをXIGナビで通して報告していた。

 

 

我夢「白岩海岸の海水を知人に調べてもらった結果、多くの産業廃棄物に含まれる成分が検出されました。8年前、極秘に海底に産業廃棄物が捨てられ、それが海流の影響を受けたものが怪獣の正体かと…。廃棄物の窒素、リンの影響で大量に発生した微生物が酸素を吸収して海底に無酸素空間が出来てしまった………。彼らを変異させるきっかけを作ったのは我夢、人間の作った環境かもしれません……」

 

石室「人間が自ら招いた災厄………ということか」

 

 

我夢の報告を聞いて石室は何とも言えない顔で呟く。

敵は来るものだけではなく、自らが作り出してしまうことであることを石室や我夢、木場は改めて思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海底ではダイナ達とカンデアが激しい水中戦を繰り広げていた。

ダイナは勢いよく駆け出して助走をつけると、両足をつきだす。

 

 

ダイナ「デェアッ!」

 

カンデア「パァアァァァァ~~~…」

 

 

ダイナのドロップキックがカンデアに命中し、前足をバタバタしながら仰向けに倒れる。

ダイナはすかさず馬乗りになると、パンチやチョップの嵐を叩き込む。

 

 

カンデア「プォオォォォォォ~~~!」

 

ダイナ「グアッ!?」

 

 

しかし、カンデアの顔面両脇にある突起から噴射される毒素をダイナは顔面に真面に受け、怯む。

その隙にカンデアが起き上がると共に前足で蹴り飛ばされ、ダイナは海底に叩きつけられる。

 

 

リアス「くらいなさいっ!」

 

ソーナ「はっ!」

 

カンデア「パァアァァァァ~~~…」

 

 

ダイナと入れ替わるようにリアスは滅びの魔力を、ソーナは水の魔力でカンデアに攻撃する。

2人の魔王の妹の強力な攻撃にカンデアは苦しげな声を出しながら怯む。

 

 

四之宮「くらえっ!」

 

ギャスパー「え、えいっ!」

 

カンデア「プォオォォォォォーーー!」

 

 

これを好機に四之宮とギャスパーも加わり、レーザーで攻撃する。

リアス達の集中砲火にカンデアは身動き出来ず、体から火花を散らすだけだ。

 

 

リアス「今よっ!決めなさいっ!」

 

ダイナ「ハァァァァ~~…デェアッ!」

 

 

リアスの指示に反応したダイナは素早く立ち上がると、両手を胸の前に合わせてそのまま掌を突きだし、虹色の光球『フラッシュ光弾』を放つ。

フラッシュ光弾は怯んでいるカンデアに真っ直ぐ向かっていく。

だがその時、

 

 

「ガァヒィィィーーーー!」

 

ダイナ「フッ!?」

 

『!?』

 

 

近くの岩肌から触角が着いた海蛇のような怪獣『ディプラス』が勢いよく飛び出すと、カンデアの前に立ち塞がる。

突然の出現にダイナ達は驚くが、フラッシュ光弾は既に直撃する寸前で、このまま2体ともまとめて爆発するだろう。

しかし、

 

 

ビシシシィウゥゥゥゥン……

 

ダイナ「ッ!?」

 

 

フラッシュ光弾は大口を開けたディプラスの口へ吸収される。

そのままディプラスはオレンジ色に光る触角を動揺しているダイナに向けると、吸収したエネルギーで強化した赤色の光線を撃ち返す。

 

 

ダイナ「グアァァァァーーーーッ!!」

 

ディプラス「ガァヒィィィィィーーー!ガァヒィィィーーー!」

 

 

ダイナは胸元から火花を散らして、その場で膝をつく。

ディプラスは間髪入れずダイナに接近すると、彼の体を長い胴体で巻きつける。

 

 

ギシギシギシ…

 

ダイナ「グアァッ!!グアァァァァーーー!!」

 

 

長い胴体で体中を締め付けられ、ダイナは苦悶の叫びをあげる。

 

 

リアス「イッセー!」

 

アーシア「イッセーさんっ!」

 

ソーナ「…っ、助けようにもあんなに密着されてたら、兵藤君にも当たってしまう……!」

 

 

ソーナは目の前で苦しむダイナを見ながら悔しげに歯を噛み締める。

彼女の言う通り、このまま攻撃してはダイナを巻き込んでしまう。

 

 

カンデア「プォオォォォォォ~……!」

 

『っ!』

 

 

そんな時、立ち直ったカンデアが背中の砲身に似た突起から放つ赤色の光弾を放つ。

すかさずソーナ、憐耶の2人が前に出て、防御結界を展開するが

 

 

憐耶「きゃあっ!!」

 

ソーナ「くっ!」

 

アーシア「ああっ!」

 

リアス「うぐっ!」

 

 

光弾は防いだが勢いを殺せず、4人は砂を撒き散らせながら、まとめて後方へ吹き飛ばされる。

 

 

ダイナ「…ッ!ハァァァァァァァァーーーー……ン"ン"ン"ン"ン"ン"ン"ンンーーーーー……!!」

 

 

その光景を見て奮起したダイナは額のダイナクリスタルを赤く輝かせ、ストロングタイプにチェンジすると、強引に脱出しようと試みるが

 

 

ディプラス「ガァヒィィィィィィーーー!!」

 

バチバチバチッ!!

 

ダイナ「グアァァァァァァァァーーーーーーッ!!」

 

 

ディプラスが身体中に電撃を走らせ、ダイナは先程よりも大きな苦悶の叫びをあげる。

締め付けと電撃という逃れようのない攻撃にダイナの体力はみるみる削られていく。

 

 

ダイナ「グアァァッ……」

 

[ティヨン]

 

 

ディプラスが離れた頃にはダイナは両膝をつき、遂にその場で倒れこんでしまった。

胸元のライフゲージも青から赤に点滅し始めた。

 

 

四之宮「くっそぉぉぉーーーー!!」

 

ソーナ「四之宮、おやめなさいっ!」

 

 

倒れる仲間達を見て激昂した四之宮は制止しようとするソーナの声を無視し、ディプラスに向かっていきながらセイレーンの武装で攻撃していく。

だが、

 

 

ディプラス「ガァヒィィィィィィーーー!!!」

 

四之宮「…なっ!?」

 

ドガァァァァンッ!!

 

 

ディプラスの触角から放たれる赤色光線を避けきれず、まともに受けてしまい、セイレーンごと爆発四散した。

 

 

ソーナ「四之宮っ!!」

 

 

ソーナは海中でセイレーンの破片を見ながら悲痛の声をあげる。

四之宮は海中戦用結界を纏っていないので、恐らく助からない…。

目の前で眷属を失ったソーナはショックのあまり、その場で膝をつく。

 

 

リアス「許さないわ……!はあぁぁぁーーーー!!」

 

ギャスパー「ハイパーブルーレーザー、発射っ!!」

 

ディプラス「ガァヒィィィィィィーーー!!」

 

 

幼馴染みの眷属の命を奪ったディプラス、カンデアに怒りを露にしたリアスは滅びの魔力を、ギャスパーは青色のレーザーを放つ。

しかし、この2つの攻撃でさえもディプラスの口に吸収されてしまう。

 

 

ディプラス「ガァヒィィィイーーーーーー!!!」

 

カンデア「プォオォォォォォ~~~…!」

 

リアス「ぐあぁっ!」

 

ギャスパー「きゃあっっ!!」

 

 

そのまま2体の反撃をくらい、リアスはまたもや後方へ吹き飛ばされ、ギャスパーのシグマリンは操縦不能となり、地中へ埋もれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地上でもリアス達のピンチが迫っていることが伝わっていた。

 

 

《石室「どうしたっ!?リアス!ソーナ!応答しろっ!!」》

 

「「っ!」」

 

 

突然、応答不能となり、危機迫った石室の呼び掛けをXIGナビで聞いていた我夢と木場はリアス達の危機を察すると、XIGナビを閉じ、急いで大学の施設から出る。

 

我夢は走りながらエスプレンダーを取り出し、そのまま変身しようとしたが

 

 

我夢「…藤宮っ!?」

 

藤宮「…」

 

木場「くっ…!」

 

 

その道中、目の前に現れた藤宮に我夢と木場は思わず足を止めた。

木場は素早く聖魔剣を作り出すと、剣先を藤宮に向けながら身構える。

藤宮は『禍の団(カオス・ブリゲード)』並、もしくはそれ以上に危険視されているテロリスト。そんな人物が目の前にいるのだから、2人は警戒する。

 

 

藤宮「そんな顔をするなよ、我夢。お前達が本気であの生物を倒すつもりか…確かめに来ただけだ」

 

 

藤宮は2人にそう言うが、一向に警戒を解かない。

藤宮は気にも止めず、そのまま我夢へ問いかける。

 

 

藤宮「アイツが急に現れたのは誰のせいか……お前ももうわかっているだろう?」

 

我夢「アイツは……あれは進化の方向を間違った、地球の生態系を守るためには仕方のない―――」

 

藤宮「笑わせるなっ!」

 

 

そう言って、問いかけに答えようとする我夢の意見を一蹴する。

藤宮は不機嫌そうな声色で言葉を続ける。

 

 

藤宮「さんざん生態系を狂わせたのは誰なんだ? 進化の方向を間違えたのは人類だ。お前もそれがわかってるだろ? ただ、認めたくないだけのくせに…!」

 

 

藤宮の言う通り、カンデアは人類自らが招いた災厄だ。

進化の方向を間違え、発展の為にと海を汚した人類が受けるべき復讐かもしれない。

しかし、我夢にはだからと言ってこのまま見過ごす訳にはいかないという気持ちが勝っていた。

 

藤宮は我夢へ冷ややかな眼差しを向け

 

 

藤宮「行って勝て、我夢。人の愚かさを隠す戦いに……後で面白いものを見せてやる」

 

我夢「…」

 

 

そう告げる藤宮の瞳を我夢は見据えると、そのまま彼の隣を走って通り過ぎ、近くの物陰で赤い光を発しながらガイアへ変身した。

 

 

藤宮「俺にはもう迷うものはない。我夢…」

 

 

 

藤宮は海へと飛んでいくガイアの赤い光を見上げながらそう呟き、そのまま立ち去ろうとするが

 

 

木場「このまま帰れると思うかい?」

 

藤宮「…」

 

 

木場が首もとに聖魔剣の切先を立てる。

目の前にいるテロリストを易々見逃すほど、彼は甘くない。

 

 

カッ!

 

木場「!?」

 

 

しかし、次の瞬間。藤宮は青い光を発し、あまりの眩しさに木場は思わず目を奪われる。

 

 

木場「逃げたか…」

 

 

次に目を開けた時には既に藤宮の姿はどこにもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャスパー「どっ、どうしよう……!」

 

リアス「くっ…!」

 

 

海底では、ギャスパーはパニック状態になっていた。

仲間は倒れ、殺され、更には自分が操縦するシグマリンも地中にすくわれ、身動きが取れない。

しかも、カンデアとディプラスは未だピンピンしており、自分達を殺そうと一歩一歩と迫ってくる。

 

そんな絶対絶命のピンチの時、

 

 

キィンッ!

 

ギャスパー「…っ!?…………ああっ……」

 

 

眩い赤い光が光を通さない暗闇の世界の深海を照らす。

思わず、ギャスパーは目を塞ぐが、段々光が晴れてくると、絶望だった顔は希望へと変わる。

それは自分が誰よりも尊敬するウルトラマンガイアだった。

 

ガイアは地中に埋まっているシグマリンをすくいあげると、海中へ解き放つ。

 

 

ギャスパー「我夢先輩…」

 

ガイア「…」

 

 

嬉しさのあまり目尻に涙を溜めるギャスパーの呟きにガイアは優しく頷く。

 

 

ガイア「…デュアッ!」

 

 

そして、次にガイアは地面で倒れているリアス達へ右手を向けると、黄色の糸状の光線が彼女達を包む。

黄色の光線で掴んだガイアはそのままシグマリンへ右手を向けると、彼女達はシグマリンの内部へ転送された。

 

 

カンデア「ピィィィィ~~~~…!」

 

ディプラス「ガァヒィィィィィィーーー!!」

 

ガイア「…ッ、デュアッ!」

 

 

ガイアを威嚇する2匹の怪獣の鳴き声にガイアは振り向くと、ファイティングポーズを取る。

お互い間合いを取って身構えながら、様子を伺う。

ディプラスにいたってはとぐろを巻いて、様子を伺っている。

 

 

 

カンデア「パァアァァァァ~~~~~…」

 

ガイア「グアァァァァーーー!」

 

 

そして、次の瞬間。カンデアとガイアは同時に飛び出し、海底の地面を駆け抜ける。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

カンデア「パァアァァァァ~~…ピィィィィ~~~…」

 

 

その勢いのまま、ガイアは右足を振り上げ、かかと落としをカンデアの脳天にくらわせる。そのままガイアは間髪入れず頭を掴んで、右手でチョップを叩きこむ。

 

 

ガイア「グオッ!?」

 

 

このままやられるカンデアではなく、反撃にとガイア頭突きで突き飛ばす。

相手は深海に慣れているからか威力はガイアの予想以上に強く、大きく吹き飛ばされる。

怯んでいる隙にカンデアは突進攻撃を仕掛ける。

 

 

ガイア「ダッ!」

 

カンデア「パァアァァァァ~~…」

 

 

ガイアは負けじとすぐさま体制を整えると、突進してくるカンデアを横へ避けて回避すると、左の回し蹴りを横腹を蹴りつけ、後ろへ回り込む。

 

カンデアも方向転換すると、上体をあげてガイアへ突進するが

 

 

ガイア「グアッ!ダァァァァァーーーー!!」

 

カンデア「パァアァァァァ~~………」

 

 

ガイアは体全体を使ってカンデアを受け止めると、受け流すように後ろへ投げ飛ばす。

カンデアは地面に体をぶつけながら転がっていく。

 

 

ディプラス「ガァヒィィィィィィーーーー!!」

 

ガイア「ッ!」

 

 

と、そこへ様子を見ていたディプラスが助太刀に入ろうと押し潰していたバネが跳び跳ねる様に飛び出す。

そのまま大口を開け、強靭な牙でガイアへ襲いかかろうとするが

 

 

ドォォンッ!

 

ディプラス「ガァヒィィィィィィーーーー!?」

 

ガイア「?」

 

 

横から放たれたミサイルが胴体に直撃し、ディプラスは怯む。

ガイアはミサイルの放たれた方へ視線を送ると、それは先程助けたシグマリンによるものだった。

 

 

《リアス「我夢。この怪獣は私達が相手をするから、あなたは気にせず戦いなさい!」》

 

ガイア「…ッ、ダッ!」

 

 

シグマリンのスピーカーから聞こえるリアスの指示にガイアは頷くと、カンデアの方へ体を向ける。

一旦らファイティングポーズをとると、側転でカンデアの真横へ接近する。

 

 

ガイア「デュアッ!グアァァァァ…!」

 

 

そして、そのままカンデアに飛びつくと、尻尾を掴んでズルズルと地面をひきずりながら後ろへ引っ張る。

 

尻尾から手を離したガイアは右の回し蹴りで蹴ると、

 

 

ガイア「デュアァァァァーーーー!!」

 

カンデア「パァアァァァァ~~…!ピィィィィ~~~…!」

 

 

その場で前転宙返りし、左のかかと落としをカンデアの脳天へ蹴りつける。

あまりもの激痛にカンデアは前足をジタバタさせながら、苦痛の悲鳴をあげる。

 

 

ガイア「ダッ!デヤッ!ダッ!」

 

 

ガイアはカンデアに休む間も与えず、右、左、右と回し蹴りとかかと回し蹴りを織りまぜたコンボで攻め立てる。

 

 

ガシッ!

 

ガイア「デュアァァァァーーーーーー!!」

 

 

そして、そのまま両手で頭を掴むと、思い切り後ろへ投げ飛ばす。

カンデアはまたもや地面に体をぶつけながら転がっていく。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

勢いついたガイアはカンデアの頭に掴みかかる。

だが、

 

 

ブシュュューーーーーー!!

 

ガイア「グアァァァーー!?」

 

 

カンデアの頭の両脇にある突起から噴射される毒素を顔面にくらい、ガイアは体制を崩して後ずさる。

そのチャンスにカンデアはすかさず背中の砲身から赤色の光弾を連射する。

 

 

ガイア「デュアッ!?グアッ!!」

 

 

光弾の嵐にガイアは体から火花を散らし、大きく後退していく。

あまりもの猛攻に体制を立て直す隙もなく、遂には足下の地面がぬかるんでいる場所まで追いやられた。

 

ガイアを追い詰めたカンデアは今までより強力な光弾を発射する。

 

 

ガイア「グアァァァァァァァァーーーー!!」

 

 

ガイアは体をくの字に曲げながら大きく後方へ吹き飛ばされると、そのまま頭以外、ぬかるんでいる地面へのめりこんでしまう。

 

 

カンデア「ピィィィィ~~~!!」

 

ガイア「ジョワッ!?グアァァァ…!」

 

 

カンデアは毒素を撒き散らすと、大きくジャンプし、ガイアを沈めようとのし掛かる。

ガイアはそうなってたまるかと両腕で必死に押し返すが、体の大半が地中に埋まっているせいで力が足りないのとカンデアの重さもあってどんどん地中へ沈んでいく。

 

 

ガイア「グアァァッ…」

 

ギャスパー「我夢先輩っ!!」

 

『!!』

 

カンデア「ピィィィィ~~~…」

 

 

終いにはガイアは完全に地中へ沈んでしまい、ギャスパーの悲鳴が響く。

カンデアは勝利を確信したのか、前足をバタバタとさせながれ鳴き声をあげる。

だが、

 

 

キィンッ!

 

カンデア「!?」

 

 

突如、地中から出てきた眩い赤い光がカンデアを後ろへ押し返す。

それは間違いなく、ガイアが放った起死回生の必殺技『クァンタムフラッシュ』だ。

 

 

カンデア「パァアァァァァ~~……!」

 

ガイア「デュアッ!!」

 

 

カンデアはすかさず背中の砲身でガイアが埋まっている地面を攻撃するが、ガイアは勢い良く上へ飛び出して回避する。

 

 

ギャスパー「よかったですぅぅーー!!」

 

リアス「ええ…」

 

 

地面へ降り立つガイアを見て、リアス達は安堵の表情を浮かべる。

しかし、彼女らが相手をしているディプラスはその隙を見逃さなかった。

 

 

ディプラス「ガァヒィィィィィィーーーーー!!」

 

『!?』

 

ガイア「ッ!?」

 

 

ディプラスは地面でとぐろを巻いて、バネの要領でリアス達の乗るシグマリンに襲いかかる。

ガイアの復活に気をとられていたリアス達は回避する時間もなく、ガイアも光線を撃っても間に合わない。

 

このままリアス達がディプラスの牙の餌食になろうとした時

 

 

ダイナ「…デェアッ!!」

 

[ティヨン]

 

ドガガガガガガガガガァァァァァァーーーーーーンッ!!

 

 

意識を取り戻したダイナが放ったガルネイトボンバーが炸裂し、ディプラスは声を出す間もなく爆発四散した。

 

 

ガイア「デュアァァァァーー…!!」

 

 

その光景を見て安心したガイアは目の前のカンデアへ顔を向けると、クァンタムストリームの体制に入るが

 

 

(藤宮「行って勝て、我夢。人の愚かさを隠す戦いに……」)

 

ガイア「…ッ!」

 

 

先程の藤宮の言葉が頭を過り、思わず手を止めてしまう。

カンデアを倒しても、それは人類が招いた“不都合”を抹消するだけでは…?そのことがガイアの脳裏に流れ、思わず倒すのをためらってしまったのだ。

 

 

カンデア「パァアァァァァ~~~~~…!」

 

ガイア「ッ!」

 

 

ためらっている間にもカンデアは背中の砲身から赤色の光弾を放ち、ガイアを攻撃してくる。

ガイアは咄嗟に両腕を交差させて光弾を防ぐと、両腕を広げて、頭に赤い鞭状の光刃を形成すると、

 

 

ガイア「デヤァァァァーーーーッ、デュアッ!」

 

カンデア「ピィィィィイィィイ~~~~!!」

 

ドガガガガガガガガガァァァァァァーーーーーンッ!!

 

 

フォトンエッジを放ち、カンデアは体中が刃で切り刻まれた閃光が走ると、たちまち爆発四散した。

 

 

キラキラ…

 

 

飛び散ったカンデアの肉片は青い光の粒子となり、淡い光を放ちながら消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ひと足先に地上へ戻った我夢は海上を照らす町の明かりを1人眺めていた。

ちなみにG.U.A.R.D.の報告によると、カンデアが消滅した瞬間、全世界にある青い球体も消滅したそうだ。

これで、地上が無酸素になる危機は回避された。

 

 

藤宮「我夢」

 

我夢「っ、藤宮!」

 

 

そんな時、遠くから藤宮が近寄ってくる。

藤宮は我夢が眺めている町の明かりを一目見ると、我夢へ視線を向け

 

 

藤宮「残ったのは悪魔の光だ。地球の資源を奪い、傷付けながら作られた、愚かな光…。お前が守りたいのは本当にこんなものなのか?」

 

 

藤宮は冷ややかな眼差しでそう問いかけると、どこかへ歩き去っていく。

我夢は遠くなっていく彼の背中を見つつ、こう呟いた。

 

 

我夢「それでも…それでも僕はこの光を守り続ける」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、20分後。リアス達も地上へ降り立った。

初めての水中戦で苦戦しつつも何とか勝利を収めたが、彼らの空気は暗かった。

 

 

憐耶「四之宮先輩…」

 

『……』

 

 

その理由は四之宮が戦死してしまったことだ。

不登校気味で生徒会の仕事や悪魔契約の仕事をまともにやらない彼だが、ソーナ達、シトリー眷属やグレモリー眷属にとってもかけがえのない存在には変わらない。

 

 

リアス「ソーナ…辛いなら私が―――」

 

ソーナ「…いえ、リアス。四之宮は私の眷属なのです。彼の死は私で報告します。それが…主人である私のやるべきことなのです」

 

一誠「会長さん…」

 

 

悲しげそうに話すソーナを見て、皆はますます気持ちが沈む。ソーナはXIGナビで石村に連絡しようとしたその時

 

 

四之宮「おーーーーーいっ!!」

 

『!!?』

 

 

遠くから呼び掛ける声が聞こえ、皆はその方角を振り向く。すると、そこには死んだはずの四之宮がニコニコしながら駆け寄ってくる姿が見えた。

それを見た皆はいてもたってもいられず、一斉に四之宮に駆け寄る。

 

 

ソーナ「四之宮っ、あなたどうやって…!?」

 

四之宮「はい!実は怪獣の攻撃に当たった時、近くにあった海中戦用結界が起動して、俺を守ってくれたんですよ」

 

 

あの時、セイレーンには防御用結界のストックが余っていたことをソーナは思い出した。

 

 

一誠「でも、あの爆発で無傷ケガは無いんですか!?」

 

四之宮「おん?俺を誰だと思ってる?“不死身の龍様”だぜ?」

 

一誠「ああっ!?それ、俺の名セリフ!!」

 

四之宮「お前、そんなこと言ってるけど、あんまりこの作品で使ってねぇだろ?」

 

一誠「いや、メタいな!?」

 

 

そう言ってギャーギャー騒ぐ一誠といつものように飄々とした態度の四之宮。

あまりの出来事にしばらくポカンとしていたリアス達だったが、ソーナは目尻に涙を溜めながら静かに笑い

 

 

ソーナ「…本当に生きていて良かった……」

 

 

誰にも聞こえない声量で呟いた。

厳しいことで有名なソーナがあまり表で見せない優しさの気持ちそのものが現れたのだ。

 

 

リアス「イッセー、アーシア!祐斗と我夢と合流して冥界へ帰りましょう!」

 

「「おおーーー!」」

 

 

そうしているうちにリアスは一誠とアーシアを連れて去っていった。

 

 

憐耶「会長、私達も帰りましょう」

 

ソーナ「そうですね。行きましょう」

 

 

リアスの後を追うようにソーナ、憐耶、遅れて四之宮も帰路へと歩き始める。

その道中、四之宮が

 

 

四之宮「面白ェ…」

 

 

と呟きながら、妖しげな笑みを浮かべていたことは誰も気付かなかった。

その瞳が一瞬、いつもの黒色から禍々しい緑色になったことさえも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから何事もなく、我夢達は冥界を満喫し、気付ければ夏休みも終盤に差し掛かっていた。

我夢達、グレモリー眷属はリアス一家からの見送りを受けた後、人間界行き列車に乗っていた。

 

 

我夢「驚いたよね~まさかグレイフィアさんがサーゼクス様の奥さんだったなんてね」

 

 

我夢の言葉にうんうんと頷くゼノヴィアとアーシア。

実は帰り際、ふとリレンクスの母親が誰か気になった我夢はサーゼクスに訊ねると、母親がグレイフィアだったことが発覚したのだ。

 

我夢自身、いつもグレイフィアを呼び捨てにするリレンクスが時折、『お母様』と呼び間違えたことを覚えている。

時々学校で先生をお母さんと間違えて呼んでしまうあれかと思ったが、間違いではなく本当だったとは思わなかった。

 

そんなことを思い出しながら、我夢はふと視線を隣の座席に座っている一誠の方へ向ける。

 

 

一誠「があぁぁぁぁ~~~!!」

 

 

一誠は目の前の椅子に置かれている大量の宿題を見ながら絶叫に近い声を出しながら頭を抱えている。

冥界に来てから色々戦ったり遊んでたりしたが、すっかり夏休みの宿題の存在を忘れていたのだ。

ちなみに他の皆は夏休みに入ったすぐに終わっており、終わってないのは一誠のみであり、現在リアスと木場が隣で教えている。

 

 

木場「イッセー君。ここの二次方程式間違ってるよ」

 

一誠「マジかぁ~~~……。部長。終わりそうにないんで、我夢に答え見させてもらってもいいっすよね?」

 

リアス「こら!宿題くらい、ちゃんと自分でやりなさい!」

 

一誠「勘弁してください~~~~~!!」

 

 

最後の望みを砕かれた一誠は悲痛な叫びをあげる。

我夢も最初は去年と同じように答えを見せようと思ったが、リアス達の様子を見て、あえて助け船を出さず、見守ることにした。

 

さて、ここから1時間以上かかるので暇である。

各々暇潰しが出来ており、ギャスパーはハネジローとゲーム対戦、前に座るアーシアとゼノヴィアは他愛ない会話をしており、朱乃は車窓から景色を眺めている。

 

 

我夢「(どうしようかな~…)」

 

 

暇潰しのアイデアが思いつかない我夢は悩んでいると、

 

 

小猫「……失礼します」

 

我夢「え?」

 

 

近寄ってくると思うな否や、小猫はいきなり向かい合う形で我夢のひざに座る。

突然のことで状況が飲み込めない我夢だったが小猫を見ると、彼女はいつの間にか出した猫耳をピクピク動かせ、尻尾を気分よさそうにフリフリを動かしている。

行動の意味がわからない我夢に小猫は見上げると

 

 

小猫「にゃん♪」

 

我夢「っ!?////」

 

 

と、可愛らしい満面の笑みを送る。

今まで彼女に対してそんなに異性の目を向けていなかった我夢だが、この笑顔を見て不覚にもドキッと胸が高鳴り、頭が真っ白になった。

 

これを見ていた一同は

 

 

『小猫ちゃんは我夢(君)のことが好きなんだ』

 

 

と一瞬で察し、微笑ましい気持ちに包まれる。

ただ、

 

 

朱乃「…」

 

 

この状況を好ましく思わない者もただ1人いるのは余談である…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、数時間経ち、人間界の地下ホームに到着した一同は帰路に着こうと歩いていた。

久しぶりの人間界に一誠は大きく背伸びする。

 

 

一誠「う~~ん、着いた着いた」

 

我夢「色々あったけど、案外楽しかったね」

 

一誠「そうだな!さて、俺ん家に帰ろうぜ、アーシア―――」

 

 

と振り返りながらアーシアを呼び掛けようとした時、彼女は見知らぬ男に詰め寄られ、たじたじになっていた。

 

 

「アーシア・アルジェント……やっと、会えた」

 

アーシア「あ、あの……」

 

一誠「ちょっと待てよ」

 

 

ニコニコしながら詰め寄る男の前に割り込む一誠。

男は彼女を知っている様子だったが、当のアーシアは思い当たりがない様子だったので変質者か何かと思ったのだ。

しかし、男は笑顔を崩さず、アーシアに語り続ける。

 

 

「僕を忘れてしまったのかな?僕達は()()()出会ったはずだよ。ほら、この傷を見れば思い出すかな…?」

 

アーシア「…あっ!?」

 

 

そう言って、男が服の胸元を開いて大きな傷痕を見せた瞬間、アーシアは驚きの声を漏らしながら目を見開いた。

 

 

アーシア「その傷はもしかして……」

 

 

何か思い出したアーシアが問いかけると、男は頷き

 

 

ディオドラ「そう、僕はディオドラ・アスタロト。あの時は顔を見せられなかったけれど、僕は過去に君の『神器(セイクリッド・ギア)』に助けられたあの悪魔さ」

 

『っ!?』

 

 

その一言にアーシアのみならず、我夢達までも言葉を失う。

過去にアーシアは偶然倒れていた悪魔を助けたせいで“魔女”と忌み呼ばれ、協会を追放された。ディオドラはそのきっかけとなった悪魔だった。

 

 

リアス「…ディオドラ?ディオドラね」

 

一誠「部長、知ってるんすか?」

 

リアス「ええ、あなたも1度あったことあるわよ。若手悪魔の会合で…」

 

一誠「あっ!あの時にいた…」

 

 

リアスの話を聞いた一誠は6人の若手悪魔の中に確かにディオドラがいたことを思い出した。

 

 

リアス「それで、ディオドラ?一体何しに来たの?」

 

ディオドラ「はは、何しに来たってただお遊びで来た訳じゃないさ。僕と彼女にとって、()()()()()でね……。アーシア―――」

 

 

リアスの問いかけにディオドラはニコニコしながら答えつつ、アーシアを真っ直ぐ見つめると、次の瞬間、衝撃の言葉を告げる。

 

 

ディオドラ「―――僕の妻になってほしい。突然で困惑するかもだけど、僕は君を心から愛しているんだ」

 

アーシア「!?」

 

『!?』

 

 

夏が終わろうとする頃、ディオドラはアーシアに求婚したのだった。

暑かった夏から秋に移り変わろうとしている。

 

しかし、この瞬間の出来事に我夢は何か良からぬ波乱が始まろうとしたことを感じられずにはいられなかった……。

 

 

 




次回予告

2学期突入!
XIGの拠点『エリアルベース』が遂に登場!
懐かしき転校生と共にディオドラがアーシアに忍び寄る……。


次回、「ハイスクールG×A」!
「過去からの来訪者」
その笑顔に気をつけろ……!




今回、アザゼル先生が歌っていた歌は何の曲かわかるでしょうか?
それと四之宮はカラコンでも始めたんですかね?(すっとぼけ)

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