ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

38 / 67
ドラマパートのみっす……はい


第六章 体育館裏のホーリー
第34話「過去からの来訪者」


9月―――多くの学生、会社員諸々は夏休みが終わり、気持ちを新たにして、学業や仕事に取り組む季節。

大抵の人は以前よりも少し変化がある。

この少年もその変化があった1人だ。

 

 

我夢「……んにゅ?」

 

 

朝。カーテンの隙間から洩れる朝日を浴びて、我夢はパチリと目が覚める。

我夢は目を擦りながら近くに置いてあるスマホを見ると、『6時30分』と表示されていた。

まだ余裕がある時間であることを把握した我夢はまだ早いので2度寝しようとしたが、周りの景色を見て、違和感を覚えた。

 

我夢は起き上がって布団を畳むと、辺りをキョロキョロ見渡す。

 

 

我夢「あれ…?こんな綺麗だったっけ?」

 

 

我夢の部屋はお世辞とも言えない程掃除が下手で、周りはいつも私服や実験器具や何やらが散らばっており、この寝室も例外なく汚い。

しかし、今の寝室はどうだろうか?辺りに散乱していた私服はいつの間にか設置されているタンスに収納され、寝る前に読んでそのまま床へ放り投げていた参考書の山も本棚へ綺麗に収納されている。

まるで最初からこの状態であったように。

 

 

トントントン…

 

我夢「?」

 

 

整理整頓された寝室の景色に我夢は首を傾げていると、台所の方から包丁を切る音が聞こえる。

我夢は恐る恐る寝室のドアを開け、リビングに出ると、テーブルの上には出来立ての味噌汁、ご飯、焼き魚など、美味しそうな日本定番の朝食の数々が並んでいた。

 

我夢は目の前のごちそうに目を奪われていると、台所で調理している割烹着姿の朱乃から呼び掛けられる。

 

 

朱乃「あら、我夢君。おはよう」

 

我夢「おはようございます…」

 

朱乃「朝ごはんもうすぐで出来ますから、椅子に座って待ってて」

 

我夢「はーい…」

 

 

ニコニコ笑う朱乃に促され、我夢はいつものように椅子に座って待つ…………

 

 

我夢「――じゃないっ!?朱乃さんっ、どうしてここにいるんですか!!?」

 

 

ハッとなった我夢は目を見開き、椅子から転げ落ちそうな勢いで飛びはね、朱乃に問いかける。

すると、振り向いた朱乃は微笑み

 

 

朱乃「あらあら、うふふ……♪()()、昨日から一緒に住むことにしましたの♪」

 

我夢「あ、そうだったんですね…………いや!?聞いてないですよ、そんなこと!?」

 

 

彼女の話にうんうん頷いていた我夢だが、またもやハッとなり、思わず大声をあげる。

その反応に朱乃は人差し指を口元に当てながら首を傾げる。

 

 

朱乃「あら?昨晩、入居書とお手紙をお送り致しましたけど」

 

我夢「…っ、あの時のか…」

 

 

朱乃の言葉を聞き、我夢は昨日の夜、ポストに手紙か何かが入っているのを思い出した。

しかし、その時の我夢は一誠の無茶苦茶な遊びに付き合わされて疲労困憊だったので、取りはしたが中身を見ず、そのまま寝室で寝てしまった。

 

 

我夢「はあ…」

 

 

手紙を見なかった自分が悪かったが、突然の同居に頭を抱える。

こうやって食事や掃除をやってくれるのはありがたい。

しかし、彼女のアプローチは日を増すごとにきわどくなっている。普段の学校生活でもドキドキするのに、唯一落ち着ける場所である家に同居となれば、色々と理性が持たない。

 

そうして頭を悩ませていると、我夢は朱乃の言葉の中に何か引っかかることがあるのを思い出す。

 

 

我夢「そう言えば、朱乃さん。()()って言ってたんですけど、他に誰が―――」

 

小猫「…おはようございます」

 

 

朱乃に訊ねる最中、リビングへ誰かが入ってくる。

我夢は振り向くと、それは小猫だった。

 

 

小猫「……これからよろしくお願いします」

 

我夢「ああ……」

 

 

小猫にペコリとお辞儀をされ、我夢は苦笑いで答える。

夏から秋に移り変わって2人の同居人が増え、我夢は嬉しさと共に色々と問題が発生しそうと頭を悩ませるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駒王学園。夏休みが終わったこの学校も既に始業式が終わり、2学期を迎えていた。

この時期は夏休み明けで色々イメチェンする―――所謂夏デビューする学生が大半を占めている。ある人は容姿が、ある人は性格が、更には大人の階段を上るなんて人もいる。

 

 

「「くぅ~~~~~っ!!!」」

 

 

当然何も変化がなく、ただ机に突っ伏して泣きわめく者もいる。言わなくてもわかると思うが、松田と元浜だ。

彼らは夏休み中に自分を変えようとナンパしたのはいいが、見事玉砕されたのは皆、ご存知であろう。

その様子を近くに座る我夢と一誠は苦笑いを浮かべる。

 

 

我夢「…ま、まあ、いいじゃないか。夏休みで変わる必要はないんだし……」

 

一誠「そ、そうだぜ?そのままだと安心するっていうか……」

 

 

慰める我夢に合わせて一誠も相槌を打つが、この2人の耳には全く届かない。

ガバッと立ち上がると、松田は一誠を羽交い締めにし、元浜は後ろから我夢を首絞めする。

 

 

一誠「痛っ!?何すんだよ!?」

 

松田「お前達にわかるかっ!!夏休み中、リアス先輩やアーシアちゃん達ときゃっきゃっうふふしてたお前達にっ!非リアの悔しさを味わえぇぇーーーー!!」

 

一誠「はぁっ!?俺達だって忙しかったんだぞ!」

 

元浜「()()()()()?さぞ、楽しくて忙しかったんだろうなぁぁぁーーー!!」

 

我夢「……誤解だって!ぐっ、苦しいぃぃぃー!!」

 

 

血の涙を流す2人の絞め技に我夢と一誠は「ギブ!ギブ!」と言いながら手でポンポンと叩くが、2人は緩めるどころか更に強くする。

すると

 

 

愛華「やれやれ、全く……。うるさいわね、童貞共」

 

 

と、言いながらニヤニヤ笑う愛華が現れる。

彼女の登場にムッとなった2人は我夢と一誠を解放する。

 

 

松田「何だよ、桐生。俺達を笑いにきたのか?」

 

愛華「ふふふ…どうせあんた達のことだから、意味のない夏を過ごしたんでしょ?負け犬の遠吠えなんて、みっともないわよ」

 

元浜「うっせ!」

 

 

嘲笑われてギャーギャー喚く2人を尻目に愛華は一誠に訊ねる。

 

 

愛華「ところで兵藤。最近、アーシアがたまに遠い目になるんだけど、何か合ったの?」

 

「「…っ」」

 

 

その質問に一誠のみならず、近くにいた我夢も顔を強張らせる。

理由はディオドラの求婚の件であることは2人にはすぐわかった。

あれからというものの、ディオドラは毎日の様にアーシア宛にラブレターが送られてきており、その度にアーシアが皆に謝り、リアスが処分している。

そのせいでアーシアは精神的に参っており、つい最近には学校の階段から落ちそうになった時もあった。

 

しかし、自分達が悪魔であることはバレてはいけない。

我夢と一誠は誤魔化すことにした。

 

 

一誠「あ、それがなぁ~~…俺にもわかんねぇんだよ」

 

我夢「そうそう!女の子特有の悩みなんじゃないかな?」

 

愛華「…そう」

 

 

とぼけた演技をする2人に言われて、愛華はそう呟くが、その顔は納得いかない様子だった。

半信半疑の愛華に2人はタジタジになりながらも、横目でアーシアへ視線を送る。

 

 

アーシア「えへへ…」

 

 

今、アーシアは楽しく女子生徒達と談笑しているが、その顔はどこかぎこちないのが我夢と一誠には感じられた。

彼女をここまで執拗に迫ってくるとなれば、最早ストーカーである。一誠達は日々、ディオドラへの怒りを募らせているのが実感できた。

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

 

そんなことを考えていると、始業を告げるチャイムが鳴り響く。我夢や一誠、席を離れていた他の生徒達も一斉に着席する。

しばらくすると、教室の扉が開かれ、担任の先生が入ってくる。

担任の先生はいつもの様に教卓に着くと朝礼をし、1日の流れを軽く話すのだが、今日は少し違かった。

 

 

「えー、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな仲間が増えます」

 

『えええっ!?』

 

 

その言葉に皆は一斉に驚きの声をあげる。

学校となれば『転校生がくる』というイベントはあるかもしれないが、まさかこの時期、このクラスにくるとは誰もが思わなかったことだろう。

 

「男子?女子?」やら「どんな子だろう?」と期待を膨らませる声があがる中、担任の先生は教室の入口で待っているであろう転校生に入室を促す。

 

 

「失礼します」

 

 

扉の奥からそう一言聞こえると扉が開かれる。

そして、転校生が教室に入ってきた瞬間、

 

 

『うおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!』

 

 

クラスの男子生徒から歓喜の声が湧きあがった。

女子生徒は男子生徒の反応に呆れている様子だが、彼らがそうなるのも無理はない。

栗毛のツインテールにスタイル抜群の美少女だったからだ。

 

 

我夢「へ!?」

 

一誠「っ!?」

 

アーシア「え!?」

 

ゼノヴィア「どうして…?」

 

 

当然、我夢達も驚いて目を丸くしている。しかし、その反応は彼女の容姿にではなく、彼女が何故ここにいるかという驚きだ。

 

忘れるはずもないだろう。それはコカビエルが引き起こした聖剣の際、深く関わった……ゼノヴィアにとっては縁の深い人物だったからだ。

 

我夢達が呆気にとられ、クラスの男子生徒が歓喜の声をあげる中、その転校生はお辞儀をし、こう自己紹介した。

 

 

イリナ「紫藤 イリナです!皆さん、よろしくお願いします!」

 

 

転校生――紫藤 イリナはそう言ってニッコリと微笑む。

そう、彼女はあの聖剣事件の際にゼノヴィアと共に来日したあの紫藤 イリナだったのだ。

 

 

 

 

そして、3年生のクラスでも負けないくらい驚きの声があがっていた。

ここ、3年4組ではある1点に注目が注がれていた。

 

 

「嘘でしょ、あの四之宮が…!?」

 

「生きてたんだな…!」

 

「あれ…?これって現実か?」

 

四之宮「(俺はシーラカンスかよ……)」

 

 

クラスの生徒達のこそこそ話に四之宮は呆れた様子で内心ぼやく。

そう、この2学期になって今まであまり学校にきてなかった四之宮が登校したのだ。

 

学校行事をよくサボり、テストや課題の時にしか顔を見せないが、何故か進級は出来ている彼。

しかし、あまり周りとも面識が会わないせいでいつの間にか“行方不明説”やら“死亡説”、はたまた“M78星雲に帰っていった説”など生徒、教師含め、散々囁かされているのだ。

 

だが、こうして登校している。しかも特にイベントがない日に。そのせいで生徒はおろか、学園中の教師から本人確認される始末だった。

 

 

四之宮「はあ……」

 

散々な出来事の連続に四之宮は深くため息をつくと、胸元から学生証を取り出し、眺める。

 

 

四之宮「(…こいつ、どんだけ学校に行ってねぇんだよ。こんな目に会うなんて初めてだぞ!?……こいつに取り憑いたのは失敗だったか?)」

 

 

四之宮―――否、四之宮に憑依している人物は内心、呆れながら後悔する。

憑依した先でこんなこと出来事に巻き込まれるとは想定していなかったようだ。

 

 

四之宮「やれやれ…」

 

 

四之宮(に憑依した存在)はそう呟きながら肩を竦めると学生証を胸ポケットに入れると、窓を眺め、四之宮に憑依した出来事を思い出していく…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月前、白岩海岸付近。

この日、四之宮はリアスやソーナ達と共に海底でカンデア、ディプラスと戦っていた。

 

しかし、次々と倒れていく仲間の姿を見て激昂した四之宮はディプラスに猛攻を仕掛けようとしたが、反撃に遭い、乗っていたセイレーンごと爆破されてしまった。

海底で爆破され、海中戦結界を纏っていない四之宮は確実に死んでいるだろう。

 

しかし、四之宮は幸運にも生きており、白岩海岸の浜辺に流されていた!

セイレーンが攻撃された瞬間、近くにあった海中戦結界が偶然誤作動して四之宮の体を纏い、爆発した衝撃で吹き飛ばされ、近くの海流に乗って浜辺に流されて助かったのだ。

 

 

(四之宮「かっ……はっ…!」)

 

 

仰向けの四之宮は苦しげに口から血を吐く。

四之宮の体はディプラスの攻撃やセイレーンの爆発の際の火傷にやられて深く傷ついており、最早虫の息だった。

 

――――このまま死を待つばかりか。段々血の気が冷めていく中、四之宮がそう諦めていると、

 

 

(「よお」)

 

(四之宮「……?」)

 

 

突然自分を呼ぶ声が近くに聞こえ、四之宮は一旦思考を止めた。

声のした方を見上げると、ゴツゴツとした皮膚に禍々しく光る緑色の眼。胸元には三日月のような形をした赤い傷痕。更に右手には日本刀の様な刀を持っている人型の怪人がこちらを見下ろしていた。

 

 

(四之宮「誰だ……あん、た……?」)

 

 

四之宮がそう問いかけると怪人は「ンッフッフッ…」と不気味に笑うと、紳士の振る舞いの如く、深くこうべを下ろし名乗った。

 

 

(ジャグラー「お初にお目にかかる。俺の名はジャグラスジャグラー、通りすがりの“風来坊”だ。以後、お見知りおきを」)

 

 

怪人――――ジャグラーはわざと腹立たせるような口調で話す。もうじき四之宮が死ぬのをわかっている上でだ。

 

 

(四之宮「…ふふっ、風来坊か……」)

 

 

しかし、対する四之宮は腹が立つどころか何故か心が安らいでおり、笑みすらこぼしていた。

これから訪れる“死”。それが彼の思考を麻痺させていたのかもしれない。

 

そんな彼の様子を見て、ジャグラーは可笑しそうに首を傾げる。

 

 

(ジャグラー「おいおい、これから死ぬってのに何がおかしいんだ?」)

 

(四之宮「……このまま死んだら、会長のうるさいお説教を聞けなくなるからいいかなって………。まあ、会長の料理…食えなくなるのが心残りだけどなぁ………」)

 

(ジャグラー「ハハッ!死ぬ寸前まで食い物の心配か…!面白ェ!」)

 

 

彼の話を聞いて興味を持ったジャグラーは可笑しそうに笑うと、四之宮の傍で跪き、提案をする。

 

 

(ジャグラー「…中々、面白い奴だ。このまま見殺しにするにはもったいねぇ…。なあ、俺と“一心同体”にならねぇか?そうすればお前の命は助かる……どうだ?」)

 

(四之宮「…ああ、お前に俺の命を託すよ。頼む…」)

 

(ジャグラー「お前の体を使って好き放題するかもしれねぇんだぞ?それでもいいのかぁ~?」)

 

 

瞳を怪しく歪めながら挑発するような口調で忠告するジャグラーだが、四之宮は首を縦に振る。

四之宮の揺るぎない信念を確認したジャグラーは立ち上がると、右手に持っている刀『蛇心剣(じゃしんけん)』を逆手に持ち替え、その切っ先を四之宮の体へ向ける。

左手を持ち手に携えながら、ジャグラーは呪文の様な詠唱を始める。

 

 

(ジャグラー「星の瞬く狭間の闇よ……。暗黒に染まりし我を小さき器と1つにしたまえ………ハァァァーーーーーッッ!!」)

 

 

詠唱を唱え終えたジャグラーは蛇心剣を勢いよく天へ掲げる。

すると、掲げた切っ先の空間から霧状の闇が溢れ、ジャグラーはその闇に包まれると、霧と同じ色の球体になり、四之宮の体の中へ飛び込んだ。

 

 

(四之宮「っ!?」)

 

 

球体になったジャグラーが体内に入り込んだ衝撃で四之宮は一瞬ビクンと体を反らすと、再び倒れる。

 

そして、1秒後には意識を取り戻し、ゆっくりと立ち上がると自分の体をまじまじと見る。

憑依した影響なのか、重傷だった体の傷は塞がっており、先ほどまで流れていた血も止まっている。

四之宮――いや、ジャグラーは体が無事であることを確認すると、ジャケットのファスナーを開き、胸元の学生証を取り出して中身を見る。

 

 

(四之宮「駒王学園3年4組、四之宮 龍……くっ、ハハハ…ハッハッハッ…ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハァァァァァーーーーーッ!!」)

 

 

四之宮と一心同体となったジャグラーは何が可笑しいのか、高らかに笑い出す。

まるで、自分の目的が達成出来たかのように…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四之宮「(―――と、思っていた時期があったが…)」

 

 

思い返した四之宮はうんざりすると、窓から視線を自分の机の上へ向ける。

 

 

四之宮「(こいつが思ってた以上にぶっ飛んでいる奴だったのは予想外だったが、()()()()()()()()()()だけでも良しとしよう。…まあ、記憶も共有しているから生活に困ることは無いしな……)」

 

 

四之宮は内心少し後悔しつつも自分をフォローする。

そう、全ては自分の思惑の為に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアス「紫藤 イリナさん、私達はあなたの来校を歓迎するわ」

 

 

場面は変わり、放課後。

旧校舎にあるオカルト研究部の部室では、オカルト研究部はもちろん、アザゼル、ソーナが集まり、イリナを歓迎していた。

 

イリナの話によると、彼女は天界側の支援メンバーとしてミカエルに派遣され、この学園に転校してきたという訳だ。もちろん、XIGの隊員としてだ。

イリナは一礼して、

 

 

イリナ「はい、皆さん!初めての方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね!紫藤 イリナと申します!天使様の使者として、XIGの隊員として精一杯頑張りたいと思います!これからよろしくお願いします!」

 

パチパチパチパチ…!

 

 

そう挨拶すると、皆は歓迎の拍手を贈る。

聖剣事件の時は色々あったが、今こうして破滅招来体と戦う仲間として来てくれるのは心強いと我夢は思った。

 

 

ゼノヴィア「イリナ、元気そうで何よりだよ」

 

イリナ「ゼノヴィアこそ!お久しぶり~!ごめんね、酷いこと言って…」

 

ゼノヴィア「いや、あの件については私も悪いさ。でも、こうして再び会えただけで嬉しいよ」

 

 

2人は再会の握手を固く交わす。

最後に会ったのが半ば喧嘩気味に別れた時と聞いたので我夢達は心配してたが、それも杞憂な様である。

 

2人は微笑み合うと、イリナは近くにいたアーシアに目が合い、頭を下げる。

 

 

イリナ「アーシアさん!この間は『魔女』だなんて言ってごめんなさい!」

 

アーシア「気にしてません。これからは同じお友達、同じ主を敬愛する同士として仲良くできたら幸いです」

 

「「「ああ、主よ!」」」

 

 

和解した3人は喜びのあまり神へ祈りだした。

お互い色々とあったわだかまりが消え、嬉しそうに笑う3人を見て、我夢達は自然と笑顔になる。

 

笑っていた我夢だが、ふいに何か思い出すと、隣にいた一誠に耳打ちする。

 

 

我夢「イッセー

 

一誠「ん?

 

我夢「イリナって神が死んだことを知らないんだよね?

 

一誠「ああ、それがどうしたんだよ………はっ!?

 

 

小声で話す我夢の言葉を聞いて、一誠は彼が何を言おうとしているのか察した。

イリナは人一倍信仰心が強い……。ゆえにもしそれがバレたりでもしたら、精神が崩壊して大変なことになってしまう。

 

 

我夢「だから、イリナの前では神がいるってことにしよう

 

一誠「それがいいかもな…

 

 

2人はこれが彼女の為だと思い、口裏を合わせる。

だが、

 

 

アザゼル「お前さん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろう?」

 

我夢「ええっ!?」

 

一誠「せ、先生っ!?そりゃ、ねえっすよ!?」

 

 

そんな心配をお構い無しにイリナへ訊くアザゼルに我夢と一誠は目を丸くしながらツッコむ。

そんな2人の反応にアザゼルは嘆息すると、

 

 

アザゼル「…アホか。ここに来たということは、そういった情報も頭に入れているのも承知のはずだ。この周辺の土地は三大勢力の協力圏内でも特に重要視されている場所の1つだ。ここに関係者が来るってことは、そういった情報の差違がないように事前に知ってるのは当然だろ?」

 

「「なるほど…」」

 

 

アザゼルの説明に我夢と一誠は納得した様に掌にポンと相槌を打つ。イリナもうんうんと頷いている。

そして、彼女は口を開き

 

 

イリナ「2人共、安心して。主の消滅は認識してるから……。でも、ミカエル様に知らされた時にはそれはそれはショックで、7日7晩寝込んでしまったけどね…」

 

 

と、遠い目を浮かべながら話す。

今は平気であるが、この様子から余程立ち直るのは苦難であったことが伺える。

 

 

アザゼル「…んで、それからは教会からミカエルの遣いになった訳か」

 

イリナ「はい。その際に天使にさせてもらったんです!」

 

アザゼル「…?天使だと…?」

 

 

天使になる。その言葉が気になり、怪訝そうにするアザゼルを見て、イリナは「見ててください」と言ってその場でお祈りのポーズをする。

すると、彼女の体が輝き、頭上には天使の輪っか、背中からバッと勢いよく白い翼が生えた。

 

これには皆驚き、唖然とするが、アザゼルは顎に手をやりながら冷静に質問する。

 

 

アザゼル「…お前、天使化したのか?」

 

我夢「天使化?天界にもそんなテクノロジーがあるんですか?」

 

アザゼル「いや、実際にはなかったはずだ。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われてはいたが……」

 

 

じゃあ何だろうと考え込むアザゼルと我夢の疑問にイリナが答える。

 

 

イリナ「実はセラフの方々が悪魔や堕天使の用いている技術を転用して、ミカエル様の転生天使になったんです」

 

アザゼル「なるほどな……『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の技術を使った訳か」

 

 

アザゼルは興味深そうに呟く。

ちなみに悪魔がチェスの駒に対して、天使はトランプに例えているらしい。

転生天使とはいえ、神の消滅で天使は誕生出来なくなっているので、これで天界側の人員問題も解決するだろう。

 

 

我夢「それで、イリナはどの札になったんだ?」

 

 

トランプといってもカテゴリー、スート…色々種類がある。

どうでもいいかも知れないが、気になった我夢は問いかけると、イリナはえっへんと胸を張り

 

 

イリナ「私はA(エース)よ!ふふふ、ミカエル様のエース天使として光栄な配置を頂いたのよ!」

 

 

と目を輝かせながら言うと、左手の甲を見せる。

そこには「A」の文字が浮かび上がっていた。

 

 

一誠「新たな人生の糧はミカエルさんかぁ…」

 

ゼノヴィア「うん。でも、自分を見失わないよりかはマシさ」

 

木場「そうだね。まあ、『A(エース)』といったらギロチンばっかり使いそうな気がするけどね」

 

 

誇らしげに語る彼女を見て、一誠達は各々呟く。

その中で木場が意味不明なことを言っているが、それは無視しておこう。

 

 

ソーナ「その辺りの話は後にして、今日は紫藤 イリナさんの歓迎会としましょう」

 

リアス「ええ、そうね!」

 

ピピッ…!

 

 

ソーナの提案にリアスは賛成した瞬間、リアスの左手首に着いているXIGナビの通知音が鳴る。

リアスは突然何だろうと思いながらXIGナビのモニターを開くと、それは石室からだった。

 

 

《石室「リアス。今、そっちにはイリナとソーナがいるか?」》

 

リアス「はい、いますけど……何か御用で?」

 

《石室「ああ、実は“例のやつ”が完成したんだ」》

 

リアス「えっ、本当ですか!?」

 

『?』

 

 

嬉しそうに頬を緩ませるリアスに石室は頷く。

事情を知っている素振りを見せる我夢、朱乃、ソーナ、アザゼル以外の皆は首を傾げる。

 

 

《石室「とりあえず、来てくれ。他の皆にも説明する。話はそれからだ」》

 

リアス「了解」

 

 

リアスは石室に短く返事すると、XIGナビのモニターを閉じる。

そのままリアスは歩き出すと、部室に出入りする扉の前に立つと、ドアノブに手をかける。

 

 

リアス「確か…こうだったかしら?」

 

 

リアスはぶつぶつ呟きながらドアノブを右2回→左1回→右3回の順に回す。

そして、最後にドアノブの鍵穴を押すと、扉は自動的に開いた。

 

 

一誠「なんじゃ、こりゃ…」

 

 

扉の先はいつも見ている旧校舎の廊下ではなく、何もない真っ白な一本道の空間が広がっていた。

事情を知らない一誠達が驚愕していると、リアスは皆に振り向き

 

 

リアス「みんな、ついてきてちょうだい」

 

 

そう告げると、我夢、ソーナ、朱乃、アザゼルは中へ入っていく。

呆気にとられていた一誠達もすぐに気を取り戻すと、恐る恐る後に続いて入ると、一同はリアスを先頭に歩き出した。

 

 

イリナ「リアスさん?これからどこに行くんですか?」

 

 

その道中、どうしても気になったイリナが不思議そうに訊ねる。その疑問は一誠、木場、小猫、アーシア、ゼノヴィア、ギャスパーも同じだ。

すると、リアスは歩きながらイリナを横目で見て、答える。

 

 

リアス「ええ、これから行くのはやっと完成したばかりのXIGの本拠地よ」

 

『!?』

 

 

彼女の返答に事情を知らない一同は驚く。今までXIGは基地と呼べる場所は存在しなかった。

それが完成したとなれば、XIGはより連携がとれる組織として成長できるだろう。

 

事情を知らない一誠達がどんなところだろうと胸に期待を膨らませていると、いつの間にか真っ白い金属質の扉の前に着いた。

 

 

リアス「開けるわよ」

 

 

リアスがそう言って扉を開けて先へ進むと、皆は後に続く。

真っ白い空間から抜けた扉の先は……

 

 

アーシア「わあぁ……」

 

一誠「すっげぇぇ~~~~……!!」

 

 

無線や何かの機械類が置かれているいかにも防衛軍の指令室っぽい1室に着いた。

しかも窓から見える景色は青空が広がっており、見たことがない形をした輸送機がこの基地へ行き交いしている。

それを見たゼノヴィアはハッと気付いた。

 

 

ゼノヴィア「もしかすると、ここは空の上なのか?」

 

『え!?』

 

石室「そうだ」

 

 

ゼノヴィアの仮説にその通りだと答える人物が1人。

皆は声のした方を向くと、石室がいつの間にか立っていた。

石室は口を開き、

 

 

石室「よく来てくれた。ようこそ、XIGの前線基地『エリアルベース』へ。完成したばかりここの船への搭乗を心から歓迎する」

 

 

と我夢達へ歓迎の言葉をかける。

ここは赤道上に浮遊している全長600mの空中母艦、エリアルベースだ。

天使、堕天使、悪魔の3種族に加えて、人間の技術力を結集して密かに作り上げたXIGの基地で、職員は種族問わず働いている。

 

石室の話によると、我夢達がいるこの部屋は『コマンドルーム』と呼ばれる指令室で、ここではXIGの最前線を担っている。

この船にはもちろん戦闘機も配備されており、『XIGファイター』、『XIGイーグル』、『XIGウイング』といった戦闘機や輸送機、戦車等多くある。

 

他にもカフェテリアやトレーニングルーム等の娯楽施設、整備場や格納庫、更には隊員全員の私室もあるらしい。

 

ちなみにエリアルベースの設計には我夢も関わっており、この船を浮遊させている反重力浮遊装置『リパルサーリフト』は彼が開発したもので、XIGの戦闘機にも搭載されている。

リパルサーリフトは我夢が夏休み中に量子物理学と三大勢力の技術力を組み合わせ、応用したものだと聞き、リアス達が感服したのは余談だ。

 

長々と話し終えた石室は「さて…」と呟くと、遠くのデスクに置いてある白い大きな四角形の紙箱を我夢達がいる中央のテーブルまで持ってくる。

そしてその紙箱を開くと、中に入っていたのは「紫藤 イリナ これからよろしく!」と書かれたチョコプレートが乗ったショートケーキだった。

 

石室は職員に持ってきたもらったジュースが入ったグラスを後からやって来た生徒会含め、皆に手渡し、

 

 

石室「紫藤 イリナの駒王学園の転入、そしてXIGへの入隊を記念して、乾杯っ!」

 

『乾杯っ!』

 

 

その合図と共に皆はグラスで乾杯し、イリナの歓迎会を快く行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから我夢達は迫る2学期の大イベントの1つ、体育祭に備え、練習に励んでいた。

ちなみに一誠はアーシアとペアで2人3脚、我夢とイリナは借り物競争に出る。一誠は当初、別の競技に出ようとしたが愛華の(無理矢理な)計らいがあって、アーシアと2人3脚に出ることになってしまった。

 

その間に色々ありながらも我夢達は学園生活を順調満帆に送っていたが、3日後の放課後。招かねざる客がオカルト研究部の部室へやって来た。

 

朱乃はその客の前に淹れたての紅茶を出す。

 

 

ディオドラ「ありがとう」

 

朱乃「いえ…」

 

 

招かねざる客―――ディオドラは軽く会釈すると、朱乃も軽く会釈する。しかし、その顔はいつもの様にニコニコしてなく、ディオドラを軽蔑するような冷たい眼差しだった。

彼に対する不快感はこの場にいる我夢達も同じだ。アーシアを散々困らせ、私生活にまで悪影響を及ぼしている張本人が悪気もなく、ノコノコとやって来たからだ。

特に一誠は苛立ちのあまり、血が滲むほど拳を強く握りしめている。

 

 

リアス「…それで?アポもなしに何の用かしら?」

 

 

リアスは眉間にしわを寄せながら正面のソファーに座るディオドラに問いかける。ディオドラはカップに注がれている紅茶を1口飲むと、話を切り出す。

 

 

ディオドラ「リアスさん、単刀直入に言います。あなたの『僧侶(ビショップ)』アーシア・アルジェントと、僕の『僧侶(ビショップ)』とトレードをお願いしたいのです」

 

 

それを聞いたリアスはやはりと言った表情を浮かべる。

トレード――それは『(キング)』同士で同じ駒を交換できるレーティングゲームのシステムである。

ディオドラはアーシアに求婚するまで執着しているのだから、当然トレードを用いて我が物にしようとするのは想定できる。

 

 

アーシア「…」

 

ゼノヴィア「…っ」

 

 

アーシアは困惑した表情を浮かべ、我夢達は更にディオドラへの怒りを募らせる。

 

 

ディオドラ「こちらが用意するのは―――」

 

リアス「待って」

 

 

そんな彼らを尻目にディオドラはトレードをする前提で自分の眷属が乗っているカタログを取りだそうとした矢先、リアスが制止する。

爽やかな笑顔のまま首を傾げるディオドラにリアスは

 

 

リアス「あなたが()()()()()()()()()()()、彼女への愛情は確かにわかったわ………でも、ごめんなさい。私はトレードを受ける気はないの。それはあなたの眷属が釣り合わないとかじゃなくて、純粋にアーシアを手放したくないから。私にとって、大事な眷属であり、もう1人の家族だから」

 

 

と若干ディオドラへの怒りを見せつつ、はっきりと断る。

リアスは他の悪魔に比べて、眷属への愛情が深い。眷属を家族のように接する彼女にとっては眷属を手放すなんてマネは決してしない。

それにアーシアを困らせる原因であるこの男に引き渡すなんて絶対に許さないだろう。

 

 

ディオドラ「それは能力?それとも彼女自身の魅力?」

 

 

普通ここまで言われたら誰でも食い下がる。しかし、この男、ディオドラは執念故か、それでも尚食い下がらず、問いかける。

その問いかけにリアスは考えるまでもなく、はっきりと言い放つ。

 

 

リアス「両方よ。私は彼女を妹のように思っているわ」

 

アーシア「部長さんっ!」

 

 

依然譲らない姿勢のリアスの言葉にアーシアは口元に手をやり、嬉しそうに瞳を麗わせる。

リアスが妹として思われているのが嬉しいのだろう。

 

 

ディオドラ「……わかりました。今日はこれで帰ります」

 

 

この様子を見て、さすがにこれ以上食い下がっても無駄だとわかったのかディオドラは立ち上がる。

このまま帰ると思ったが、「けれど…」と呟くとアーシアに近寄り、その場で跪くと、彼女の手を取る。

 

 

ディオドラ「アーシア、僕は諦めない。大丈夫、誰が何と言おうと運命は決して僕たちを裏切らない。必ず君を迎えにくるから」

 

アーシア「あっ…え…!」

 

 

困惑する彼女に愛を誓うように告げると、ディオドラは手の甲に接吻しようと口を近付ける。

あたふたするアーシアだが、ディオドラの唇は徐々に近付いていき、あと数ミリの距離に近付いた瞬間、

 

 

一誠「おい……いい加減にしろよ」

 

 

額に青筋を立てた一誠が怒りが籠った声で言いつつ、彼の肩をグイッと力強く引っ張ってアーシアの手から離していた。

だが、ディオドラは依然とした爽やかな笑顔を浮かべたまま一誠を振り向くと、見上げた姿勢のまま言う。

 

 

ディオドラ「放してくれないか?救世主気取りの薄汚い化け物くんに触られるのはちょっとね。回れ右してお座りしてくれないかな?」

 

一誠「…っ!てっめぇぇぇぇーーーーー!!」

 

 

ディオドラの軽蔑の言葉にカチンと頭にきた一誠は左手で胸ぐらを掴んで無理矢理立ち上がらせる。

その行動に我夢達は切羽詰まった表情で止めにかかる。

 

 

リアス「よしなさい!イッセー!」

 

我夢「ここでコイツを殴っても意味がないだろう!」

 

ディオドラ「ははっ!これが本性さ!ウルトラマンも所詮、破滅招来体と変わらない汚わらしい侵略者なんだよっ!」

 

一誠「っ、言わせておけばぁぁぁぁーーーーーーー!!」

 

 

なおも嘲笑うディオドラに更に怒りを爆発させた一誠は仲間達の制止を振り切り、拳を振り上げた。

その時、

 

 

パチンッ!

 

『っ!?』

 

ディオドラ「…」

 

 

誰かの手がディオドラの頬をひっぱたく。皆がひっぱたいた張本人へ顔を向けると、今までにないくらい眉間にしわを寄せたアーシアが平手打ちした姿勢になっていた。

アーシアはぶたれた頬が赤くなっているディオドラに続けて

 

 

アーシア「そんなこと……言わないで下さいっ!!」

 

 

と言い放つ。穏やかで敵・味方問わず優しく接する彼女が今まで見たことがない怒っている姿に、いつの間にか一誠は怒りを鎮め、辺りはシーン…と静まっていた。

 

 

ディオドラ「…ふふっ、そういったところも気にいったよ」

 

 

しかし、ディオドラはひっぱたかれて痛いはずなのに笑みを止めず、反省するどころか逆にご褒美と言わんばかりに嬉しそうにする。

ここまでされても笑みを浮かべて嬉しそうに笑みを浮かべ続ける彼に我夢達は最早病気と言える狂気を感じた。

 

 

一誠「…おい、いいからさっさと帰れよ」

 

ディオドラ「君に言われなくてもそうするさ」

 

 

薄気味悪いと思いながらそう促す一誠にディオドラは冷たく返すと、足下に魔法陣を展開しようとしたその時、

 

 

ピピッ!

 

アザゼル「おっ」

 

 

とアザゼルのスマホから着信音が鳴る。

アザゼルはスマホから送られたメールの内容を確認すると、リアスとディオドラの顔を見合せ、口を開く。

 

 

アザゼル「リアス、ディオドラ、丁度いい。5日後に行われるゲームの対戦相手が決まった。次の対戦相手はお互い、目の前にいるやつだ」

 

『っ!』

 

 

アザゼルにそう告げられ、我夢達に緊張が走る。我夢達もいつかゲームでディオドラを完膚なきまで叩きのめそうとは考えてはいたが、まさかこんな早く望みが叶う機会がくるとは思わなかった。

 

一誠とディオドラは不敵な笑みを浮かべながらお互い睨み合い

 

 

ディオドラ「ウルトラマンダイナ、兵藤 一誠。次のゲームで君を倒すよ」

 

一誠「それはこっちの台詞だ。その言葉、後で後悔させてやるからな!」

 

 

そう宣戦布告すると、ディオドラはそのまま帰っていった。

こうして、我夢達はアーシアを渡さない決意を固めたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の帰り、一誠とアーシアはすっかり夕暮れになった町中を歩き、帰路についていた。

ちなみにいつも一緒に帰っている我夢はXIGのメカの微調整があるので、ここにはいない。

今日は兵藤家にお邪魔することになっているのだが、遅くとも夕飯が出来るまでには帰るそうだ。我夢の頭脳明晰さにかかれば、遅くなる心配もないだろう。

 

2人は横に並んで歩いていると、アーシアはチラッと横目で一誠の顔を見ると、声をかける。

 

 

アーシア「…イッセーさん」

 

一誠「ん?」

 

アーシア「私のこと、どう思っています?」

 

一誠「そりゃあ、友達として―――」

 

アーシア「いえ、私のこと、異性としてどう思ってます?」

 

 

当たり前の返答をする一誠だったが、アーシアにそうじゃないと言われ、更には問いかけられた内容に呆気にとられる。一誠は顎に手を当てて、考えて始める。

 

 

一誠「(どうすりゃいいんだ…!)」

 

 

一誠は彼女が自分に1人の男として好きなのは理解はしている。正直なところ、嬉しい。

しかし、“交際相手に自分が本当に相応しいのか?”という疑問が頭にのし掛かり、迷っているのだ。

天使のような優しさを持つアーシアと短期な自分――それを比べると、付き合ったとしても彼女自身を不幸にさせてしまうかもしれない。だから、彼女のことを“妹”のように思うことで迷いを振り切り、今まで誤魔化していたのだ。

 

散々考え、答えを絞りだした一誠は返答を待つアーシアに向かって口を開く。

 

 

一誠「…その、俺も部長と同じようにアーシアのことを妹と思っている」

 

アーシア「っ!?」

 

 

顔をそむけながらそう答えると、アーシアは目を見開く。

――これでいい。これが最善だ。こう言えば明日も今まで通り過ごせる…。

一誠は内心そう思ってアーシアへ顔を向けると、動揺する。

 

 

一誠「…っ!?」

 

アーシア「…」

 

 

アーシアは悲しげに瞳から涙をポロポロと流していた。ドラマとかで見る告白して振られた女の子のように。

アーシアは「あっ…」と気付いて声を出すと、涙を手で拭う。知らず知らずのうちに流れていたようだ。

 

 

アーシア「…そう、ですよね……。弱くて、部長さんみたいにカッコよくない私なんて、“妹”にしか見えませんよね……」

 

一誠「ア、アーシア…」

 

アーシア「すみません、イッセーさんっ!私、先に帰りますので!」

 

 

動揺する一誠を置いてアーシアは足早にその場から駆け出した。悲しげな表情で涙をポロポロ流しながら…。

その顔を一瞬だけ見た一誠は彼女が走っていった方を見ながら前髪をくしゃっと手で掴み

 

 

一誠「俺に、俺に何が出来るって言うんだ…!」

 

 

悲痛な表情で弱々しく呟くが、誰1人答える者はおらず、ただ、カラスの鳴き声が虚しく聞こえるだけだった…。

 

 

 

 




次回予告

少年の住む町にある謎の遺跡。
襲来する宇宙雷獣!
破滅招来体は人々の心まで閉ざしてしまったのか?

次回、「ハイスクールG×A」
「石の翼」
その時、石室コマンダーは!?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。