ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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甲殻怪地底獣 ゾンネル(ツー)
マグマ怪地底獣 ギール(ツー) 登場!


第37話「アグルの決意」

ジリリリリ…!

 

 

稲森が命を散らしたその日の夜。G.U.A.R.D.日本支部ジオベースはけたたましい警報が鳴り響いていた。

それもその筈、突如現れた侵入者が正面突破を仕掛け、次々と警備網を潜り抜けているからだ。

 

 

「止まれっ!」

 

「それ以上近付くと、撃つぞ!」

 

 

またも警備網を突破した侵入者に向けて、隊員達は立ち塞がり、銃火器を向ける。

すると、次の瞬間。侵入者は一瞬体を青く発光させると、目にも止まらぬ速さで近付き、隊員達を気絶させていった。

 

 

「かっ、はっ…!」

 

 

最後の1人を気絶させた侵入者は堂々とした態度で進んでいくと、とある一室へ入っていった。

そこはジオベースが極秘にしているデータが保管されているデータベースルームだった。

 

侵入者は入るや否や、近くにあるデスクの上のパソコンに近付くと、パソコンから発する光で顔が露になる。

その侵入者は藤宮 博也、その人だった。

 

藤宮はさっそくハッキングしてログインすると、手元のキーボードを操作して、何かを探し始める。

 

 

藤宮「…これだっ」

 

 

何回かクリックした後、お目当てのデータを見つけた藤宮は筐体にUSBメモリを挿し、データをコピーし始める。

 

画面にコピーの進行度が表示され、1分も経たないうちにコピーが完了した。藤宮はUSBメモリを抜き取り、すぐさま立ち去ろうとしたが

 

 

「藤宮 博也!外は完全に包囲されている!大人しく投降しろ!!」

 

藤宮「…っ!」

 

 

出入口からジオベースの隊員の警告が聞こえる。藤宮は気配を探ると、扉の先には何十もの武装した隊員が待ち構えている。

ここは機密情報を扱っているので窓などはなく、この扉1つか出入りは出来ない。まさに八方塞がりだ。

 

 

藤宮「仕方ない…」

 

 

人間の姿では強硬突破は難しいと判断した藤宮は諦めたかのように呟くと、右手首のアグレイターを顔の横で掲げ、青い光に包まれた。

 

 

 

 

 

その頃、ジオベースの外では藤宮の侵入したことを知らされたチームリザードの瀬沼とその部下が駆け付けていた。

 

 

瀬沼「遅かったか…」

 

「隊長!」

 

瀬沼「ん?くっ…!」

 

 

瀬沼達が倒れているジオベースの隊員の安否を確認していると、ジオベースの建物から青い閃光と共にアグルが現れた。

 

 

アグル「……トゥアッ!!」

 

 

瀬沼達がいることに気付いたアグルは彼らを見据えると、何もせず、夜空へと飛んで行った。

 

 

瀬沼「…くそっ!してやられたっ!」

 

 

アグルを取り逃がした瀬沼は悔しげに歯を噛みしめながら拳を振り下ろした。

 

ジオベースでの一連の出来事は、すぐにエリアルベースに知らされた。

 

 

 

 

 

 

 

エリアルベースのコマンドルームではほぼ在中している石室、アザゼル、それに珍しくサーゼクスの姿もあった。どうやら、防衛組織の前線基地の視察という魔王の職務で来たそうだ。

3人はモニターに映るジオベースのメインチーフ、樋口からの報告を真剣な面持ちで聞いていた。

 

 

《樋口「―――藤宮はデータベースルームにあるデータファイルを盗むだけで、死傷者は誰1人出ませんでした」》

 

石室「…わかった。それで、奴が盗んだコンピューターのデータファイルには何が?」

 

《樋口「世界各地で目撃された怪獣によるものとされる異常現象を集めたデータです」》

 

アザゼル「何?」

 

 

樋口の言うそのデータはサーゼクスは授業参観の時に見たが、石室、アザゼルもXIGが創設間もない頃に見させてもらったことがある。以前、美宝山に現れたゾンネルもそのデータに記録されていた。

樋口の話は続き

 

 

《樋口「根源的破滅招来体によって目覚めさせられ、未だ地中に潜伏している地球怪獣達………盗まれたデータにはその正確な位置が記されています」》

 

アザゼル「おいおい?そんなもん盗んでどうすんだ?また怪獣を操るつもりか?」

 

サーゼクス「…わからない。ただ、何かしら不穏なことが起こりうるということだけは明確に言えるだろう……」

 

石室「……」

 

 

藤宮の行動に不審に思いつつも、皆はサーゼクスの言う

通り、嫌な予感がするのを感じられずにはいられなかった。

稲森博士という大切な存在を失った今、藤宮の精神は異常なまでに危険であり、歯止めがますますきかなくなるだろう。

 

 

石室「サーゼクス。お前のリザードを藤宮の捜索にあたらせたい。構わないか?」

 

サーゼクス「ああ、構わないよ。瀬沼も躍起になっているからね………あと、アザゼル。リアス達には連絡を入れるつもりかい?」

 

アザゼル「いいや。あいつらにはレーティングゲームが近い。変に情報を入れて、集中を削ぐ訳にはいかないからな」

 

サーゼクス「それがいいだろう。この件は極秘とし、ミカエルやセラフォルーに伝えて、ソーナや天界にも協力をあおごう」

 

石室「わかった」

 

 

話が纏まり、サーゼクスはアザゼルと共に冥界へと戻っていった。残された石室は窓から夜空を眺め

 

 

石室「何も起きなければいいが…」

 

 

そう不安に思いつつもただ切に願うばかりだった。例えそれが現実的でないにしろ、ただ単純に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本から遠く離れたアメリカのアリゾナ州。広々とした赤茶げた高地には、峡谷『グランド・キャニオン』が並び立つ。

この広大な場所には若い男女が焚き火を囲い、和気あいあいとした様子で踊っていた。俗に言うキャンプファイヤーだ。

 

 

ドォォン!

 

『!?』

 

「What!?」

 

 

そんな中、突然空から地響きと共に何かが降りてくる。

若者達は足元をすくわれながらも地響きがなった方へ視線を向けると、夜空の月を背景にアグルが立っていた。

 

 

「Ohhhhー!Blue giant!!」

 

「Fuuuuーーー!!」

 

アグル「ホワッ!フォォォォォ……!!」

 

 

アグルの登場に若者達が歓喜の声をあげる中、アグルは右の拳を天高く上げた。すると、青白い稲妻状のエネルギーが彼の右腕に集まっていく。

 

 

アグル「ドォアッ!!」

 

 

そして、アグルはエネルギーを纏った右腕をそのまま地面へ叩きつけると、エネルギーは地中に波紋の様に広がりながら流れていった。

アグルはそれを終えると、またどこかへと飛び立っていった。

 

 

 

その後もアグルはアリゾナだけでなく、世界各地に現れた。G.U.A.R.D.の追跡を振り切り、エネルギーを流し込んでは消えを繰り返していた。

 

 

「南太平洋の堕天使部隊の攻撃、効果なし。ターゲット、北東へ飛行続行」

 

アザゼル「ちっ、また逃げられたか…!」

 

 

オペレーターの報告を聞き、エリアルベースに戻ったばかりのアザゼルは頭を抱える。

サーゼクスやアザゼルはさっそく部下を派遣し、G.U.A.R.D.と連携してアグル捕獲作戦を決行させているのだが、虚しくもウルトラマンの力の前では全く無意味であり、こうして手を焼いていた。

 

アザゼルやサーゼクスといった実力者が出撃すれば、何とかなるのかもしれないが、目撃者の記憶操作や戦う場所を考えなければいけないので、中々出るにも出られない状況である。

苦しい状況の中ではあるが、アザゼルは冷静に思考を切り替えると、今回の状況を纏め始める。

 

 

アザゼル「…藤宮はジオベースから怪獣の場所を示すデータを盗み、怪獣の眠りを覚ます………しかし、奴は何を考えてやがる?パーセルでも怪獣を自由に操れなかった……なのに、何故だ?」

 

 

アザゼルはずっと気になっていた。藤宮が怪獣を目覚めさせようとしているのは怪獣のデータが盗まれたと聞いた時からわかっていた。

しかし、同じ様にしようとしたであろう稲森でもコントロールは出来なかった。なのに、パーセルを無意味と判断した彼が怪獣を目覚めさせようとしているのかわからなかった。

 

アザゼルは顎に手を当てて考えていると、石室は口を開き、

 

 

石室「アザゼル。これは俺の仮説だが、もし、藤宮が怪獣を操ることを前提にしていなかったとしたら……」

 

アザゼル「っ!?まさか!」

 

石室「そうだ。考えられるのはたった1つ。怪獣を暴走させることだ…」

 

アザゼル「っ、最悪だな…」

 

 

石室の言葉を聞き、この場にいる皆は息を飲む。

藤宮の目的は“怪獣を暴走させ、人類を滅ぼす”――――それしか考えれない。

 

 

アザゼル「何とか食い止めねぇとな…」

 

石室「ああ。現在、日本にある怪獣の潜むポイントにはソーナ達に警戒してもらっている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、6時間後。アグル―――藤宮は休む間もなく飛び続け、日本の駒王町近くの山へと降り立った。

辺りはまだ薄暗いが、東の空から朝日が見え始めていた。

藤宮は前方を阻む草木を掻き分けながら、手に持つ探知機を頼りに目的地へ歩いていく。これも彼の信念によるものだからである。

 

 

藤宮「はあっ…はあっ…はあっ…」

 

 

しかし、藤宮は疲労困憊だった。体中脂汗を流し、足元はフラフラしていて今にも倒れそうな状態だ。

世界各地を飛び回って地中にエネルギーを流すだけでなく、G.U.A.R.D.にも追われている。彼には休む暇などどこにもなかった。

 

 

藤宮「…っ」

 

 

その道中、藤宮は苦しげな顔を浮かべながら、ふと空へ目を向けると足を止めた。

彼の視線の先にある夜空は渦を描くように歪んでいた。

 

 

藤宮「もう……時間がない…!」

 

 

血の色を変えた藤宮は焦った様に呟きつつも、冷静に手元の探知機へ視線を下ろす。

探知機は藤宮が求める場所を示す様に赤いランプがチカチカと点滅していた。

 

 

藤宮「ここか…」

 

 

確認した藤宮は気持ちを切り替えると、右手首にはめているアグレイターを掲げる。アグレイターのブレード部分から発する青い光に包まれ、藤宮は本日、何度目かもわからないぐらい変身したアグルへと姿を変えた。

 

丁度、その頃。近くをパトロールしていたファイターチーム・『チームライトニング』が山中を歩く青い巨人の姿を捉えた。

 

 

梶尾「こちら、ライトニング。ウルトラマンアグルが現れました!攻撃の許可を」

 

 

梶尾は無線でコマンドルームにいる石室へ攻撃許可を求める。アグルは梶尾達に気付いてはいるが、無視して歩を進める。

 

 

石室「…」

 

 

石室は悩んだ。確かに彼は人類に脅威をもたらしているが、正体は自分と同じ人間である。彼は信念を持って行動している……攻撃には抵抗がある。

 

―――しかし、彼を今止めなければ多くの犠牲者が出る。そう言い聞かせた石室は心を鬼にすると、攻撃の許可を下ろす。

 

 

石室「…Go a head」

 

梶尾「了解!攻撃…開始!」

 

 

攻撃の許可を得た梶尾達、ライトニングは照準をアグルに定める。アグルは右拳を天高く上げ、またもエネルギーを溜めるのに集中していて無防備である。

ロックオンした3機のファイターは操縦桿の引き金を引き、アグルへの一斉攻撃を始めた。

 

 

ドカカカァァァーーー!!

 

アグル「ウゥッ!?」

 

 

背後からの魔力弾の嵐にアグルは火花を散らし、前へよろめく。

 

 

アグル「アァァーーー…ドゥアァァァーーー!!!」

 

梶尾「っ!攻撃を…まともに…?」

 

 

だが、それでもアグルは反撃せず、再び右拳を天高く上げ、青白い稲妻状のエネルギーを集約し始める。

その反応に梶尾は一瞬驚いて、思わず攻撃の手を止める。だが、アグルの行動の危機感に気持ちを切り替え、攻撃を続ける。

 

 

ドカカカァァァーーーン!!

 

アグル「ウ"ゥ"ゥ"ゥオ"ァ"ァ"ァァァーーー!!」

 

 

夜闇を照らすぐらいの火力攻撃にアグルは苦痛の叫びをあげ、周囲に爆煙があがる。アグルはその攻撃の苦痛と疲労も相まって遂には仰向けに倒れてしまう。

 

 

匙「よっしゃ!!」

 

四之宮「…」

 

 

倒れたアグルを見て、ガッツポーズを取る匙と難しい顔で見下ろす四之宮。

匙は自分達の脅威を倒したという喜びからであるが、四之宮はどこか共感めいた様な心情からである。まるで、かつての自分を見る様に……。

 

 

アグル「フォォォォォ……!ディアァァァァーーーーーー!!」

 

「「「!?」」」

 

アグル「デュアァァァァーーーーーーー!!」

 

 

各々が様々な心情を浮かべていると、アグルはふらつきながらも立ち上がった。執念とも言うべきタフさに梶尾達は目を奪われていると、アグルは最後の力を振り絞り、エネルギーを込めた右拳を地面に打ち付ける。

地面に打ち付けられたエネルギーは水面に伝わる波紋周囲に伝わっていった。

 

 

アグル「…ッ」

 

 

エネルギーを消耗しきったアグルはふらつきながら立ち上がると、青い閃光を放ちながら消えていった。

 

 

梶尾「ターゲット消失。これより地上に降り、近辺の捜査を開始します」

 

《石室「わかった。だが、殺しはするな。確保するだけだ」》

 

「「「了解!」」」

 

 

3機のファイターは山中に降り立つと、消えたアグル―――藤宮の捜索を開始した。

その時、既に駒王町は朝日に包まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝7時。辺りはすっかり明るくなり、心地よい小鳥のさえずりが聞こえるこの時間。

我夢、一誠、ゼノヴィア、イリナ、そしてギャスパーの5人は学校指定のジャージに着替え、まだ出歩く人が少ない路地でジョギングしていた。

 

 

ゼノヴィア「朝早くから体を動かすとは気持ちがいいなっ」

 

一誠「そうだなー…ま、これでも物足りないけどな」

 

 

ちなみに先頭を走るのは脳筋…もとい体力自慢の一誠とゼノヴィアで、その後ろを我夢、ギャスパー、イリナが追う形で走っている。

 

 

ギャスパー「ぜぇっ…ぜえっ…先輩方、少しペースを落としましょうよ~」

 

我夢「これでも遅めなんだけどな……そういや、朝苦手なのにどうして着いてきたの?」

 

ギャスパー「ぼ、僕、前回のゲームですぐにやられちゃって…!それで、今回は、少し、でもお役に立ちたいですっ…!」

 

 

ギャスパーは息を切らしながら真剣な顔で答える。確かにギャスパーは前回のシトリー眷属とのゲームで一番最初で、しかも序盤にやられた。相手にギャスパーの行動を読まれてたからではあるが、それでも悔しいものは悔しい…。

そう訴えるギャスパーの瞳はいつもの弱気で頼りなさそうなものでなく、信念が強い男そのものだった。

 

そんな彼の成長に我夢は我がことの様に微笑むと、

 

 

我夢「大丈夫、ギャスパーはきっと活躍できるさ。僕も前回リタイアしちゃったし、お互い、頑張ろう」

 

イリナ「そうよ、そうよ!私の分まで頑張ってよ!」

 

ギャスパー「は、はいっ!僕、もう怖がったりしません!一生懸命頑張ります!!」

 

 

激励を受けたギャスパーは嬉しそうに微笑みながら答える。微笑ましい光景に我夢は皆と一緒に微笑みつつ、横目でイリナの様子を伺う。

 

 

我夢「(見たところ、大丈夫そうだな)」

 

 

和気あいあいとする彼女を見て、我夢はほっとする。実はここ最近、イリナは藤宮や稲森のことがあって思い悩むことが多々見受けられたからだ。

周りも心配していたが、この様子だと心配はいらないと我夢は安心した。

 

そんなこんなしていると、一行は森の中へと入っていく。森ではあるが、道は人が通れる様に舗装されているので気軽に足が運べる様になっており、多くの人がジョギングコースとして利用している。

…と、いっても悪魔や天使である我夢達にはそんな問題はいらないが……。

 

5人は談笑しながらしばらく走っていると、前方に見知った人物に出会い、足を止める。その人物は藤宮の捜索中である梶尾であった。

 

 

一誠「梶尾さん!」

 

梶尾「…ん?おお、お前達か。どうしてここに?」

 

我夢「朝のジョギングですよ、ゲームに備えての。それより梶尾さんこそどうしたんです?隊員服なんか着て…」

 

梶尾「っ!」

 

 

我夢の問いかけに梶尾はギクリとなる。今回の任務は藤宮を捕らえるのが本題だが、リアス達、グレモリー眷属に知られない様にするのが大前提だ。ここで本当のことを話す訳にはいかない。

 

 

梶尾「ひっ、久しぶりに自主練でもしようと思ってな~~……隊員服着れば、モチベーションがあがるから…」

 

イリナ「本当です?」

 

梶尾「ほ、本当だ!」

 

ゼノヴィア「目が泳いでないか?」

 

梶尾「気のせいだ、気のせいっ!」

 

 

ゼノヴィアの指摘通り、梶尾の目は泳いでおり、如何にも嘘をついているとアピールしている。これでは逆効果だ。

 

 

我夢「梶尾さん。本当のことを言って下さい」

 

梶尾「く、うぅ…」

 

 

怪しさが濃厚となり、我夢達が梶尾を問い詰めていると、

 

 

ガサガサ…

 

『!?』

 

 

と草影から物音が聞こえ、皆がそちらへ顔を向けると、目を丸くした。

そこには冥界や人間界を騒がせているお尋ね者――ウルトラマンアグルこと藤宮が疲労困憊の様子で木に寄りかかっていた。

 

 

ギャスパー「ひぃぃぃぃーーーーーーー!!」

 

ゼノヴィア「!」

 

梶尾「くっ!」

 

 

先程の勇気はどこへやら…。ギャスパーは藤宮を見るなり、怯えた声をあげ、我夢の後ろへ隠れる。

ゼノヴィアはデュランダル、梶尾がジェクターガンを構えて警戒する中、我夢はギャスパーを一誠に託し、慎重な足取りで近付きつつ、藤宮に訊ねる。

 

 

我夢「藤宮、君はクリシスの解答が正しいって…人類を消し去ることでしか地球は救えないって…本当に信じているのか?」

 

藤宮「……」

 

我夢「稲森博士の死をどう思っているんだ……?答えろ、藤宮っ!!

 

梶尾「説得は無駄だ!こいつは力ずくで止める!お前達は下がってろ!」

 

 

我夢が語気を強めて訊ねても一向に答える気配のない藤宮にしびれを切らした梶尾は今にも撃つ勢いで我夢の前に出る。

 

 

イリナ「やめて!」

 

『!?』

 

 

すると、その瞬間。イリナが藤宮を庇う様に梶尾の前へ立ち塞がる。彼女の思わぬ行動に皆は驚く中、梶尾は怪訝そうに声をかける。

 

 

梶尾「どけ!そいつは危険なんだ!!捕らえるなら、弱っている今がチャンスだ!」

 

イリナ「やめて下さい!おかしいですよ!人と人が争うなんて…!」

 

ゼノヴィア「イリナ、気持ちはわかる!だが、藤宮 博也を野放しにしたら、それこそ多くの人が犠牲になるんだぞ!」

 

イリナ「わかってる……でも、やっぱりおかしいよ!憎しみでしか解決できないなんて!悲しすぎるよ!」

 

 

仲間の説得にイリナは反発し、一歩も譲らない。いつものどこか能天気なキャラとは大違いだ。

 

そういったやり取りをしていると、藤宮は遂に限界がきたのか、バタリと倒れてしまう。

 

 

我夢「藤宮!」

 

藤宮「……聞こえる。…………地球の……命の…叫びが……」

 

イリナ「藤宮君!」

 

 

藤宮は意味深に呟くと、そのまま気を失った。

イリナを筆頭にゼノヴィア、我夢が駆け寄って藤宮を介抱する中、一誠は梶尾に

 

 

一誠「梶尾さん。事情を話してくれますか?」

 

梶尾「…ああ」

 

 

真剣な眼差しに梶尾は観念し、この場にいる皆に一連の出来事を話すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾンネルⅡ「ゴアァァァァーーーーー!!」

 

丁度、その時。アリゾナ州・スコッツデールの地中から土砂を巻き上げながら、怪獣『ゾンネル(ツー)』が現れた。

 

この出現はエリアルベースでもキャッチしていた。

 

 

アザゼル「遂に始まったか…!」

 

石室「出撃可能な部隊は?」

 

「グループD、チームトルネイドが出撃出来ます」

 

石室「わかった。チームトルネイド出撃!」

 

 

石室が出撃命令を出すと、エリアルベースの前方のハッチが左右に開く。すると、そこから赤青黄色と派手なカラーリングの戦闘機、XIGイーグルが発進ゲートと共に現れる。

 

このXIGイーグルに乗るチームトルネイドのメンバーはシトリー眷属の椿姫、巡、由良の3人だ。

 

 

椿姫「チームトルネイド、シュート!」

 

 

椿姫が勢いよく横のレバーを引くと、XIGイーグル後部のブーストから炎が吹き出し、そのまま上空へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃。後からやって来た匙と四之宮、我夢達に事情を話した梶尾にも怪獣出現の報告が来ていた。

 

 

《アザゼル「――つう訳でアメリカに怪獣が出現した。早く戻ってこい」》

 

梶尾「了解!……我夢、俺はエリアルベースに戻り、出撃体制を取る!」

 

我夢「僕は――」

 

梶尾「とにかくこいつを病院へ運べ。俺のツテがある冥界の病院へ転送出来る魔法陣を渡すから」

 

 

怪獣の出現に居ても立ってもいられない我夢を梶尾はなだめると、ポケットから出した魔法陣が描かれた紙を手渡す。

 

 

梶尾「後の判断はお前達に任せる」

 

我夢「はい!」

 

梶尾「行くぞっ!」

 

匙「はい!」

 

梶尾「……?」

 

 

梶尾は仲間を引き連れ、エリアルベースへ向かおうとするが、違和感に気付き、足を止める。

 

 

梶尾「匙。四之宮は?」

 

匙「あ、はい。四之宮さんなら腹痛でトイレに…。あと、『長引きそうだから先に行っといれ』と」

 

梶尾「ちっ!呑気なやつだ。仕方ない、俺達だけでも行くぞ!」

 

匙「うっす!」

 

 

梶尾は四之宮のマイペースさに呆れながらも匙を引き連れて、走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アメリカ・アリゾナ州で目覚めたゾンネルⅡはG.U.A.R.D.アメリカの戦車部隊と交戦していた。

しかし、人間の作り出した兵器をもってもゾンネルⅡには傷1つも付けられなかった。

 

 

ゾンネルⅡ「グルルォォアァァァァァ…!!」

 

ドガガガァァァァーーーーーン!

 

 

ゾンネルは大きく口を開くと、火球を放つ。

たったその一撃だけで戦車部隊はあっという間に全滅してしまった。

 

 

椿姫「ターゲット確認。これより戦闘を開始します」

 

「「了解」」

 

 

丁度、その時。チームトルネイドが駆けつけ、ゾンネルⅡとの交戦を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――冥界

 

我夢達は梶尾からもらった魔法陣を使って彼のツテがある病院にきていた。

病院は人里から離れた山奥に位置しており、自然と多く触れあえ、外界からの影響が少ないので、ここを利用する患者は多い。

 

藤宮は現在、担架に乗せられて緊急治療室へと運ばれていき、我夢、ゼノヴィア、イリナの3人は大広間で彼の回復を待っていた。

ちなみに一誠とギャスパーは駒王町に残り、独自で警戒に当たってくれるとのことでここにはいない。

 

 

「「「…」」」

 

 

3人はただ何も言わず、大広間で待っていた。次から次へと起こる事態に何を話していいのかわからないのだ。

 

我夢は変装用に買ったキャップ帽とマスクを深く被り、ゼノヴィアは腕を組んで柱に寄りかかり、ベンチに座っているイリナはため息をつきながら通りすぎていく人達を眺めていた。

 

 

《「アリゾナ州・スコッツデールは今、完全に戦場と化しました」》

 

我夢「…?」

 

 

そうしていると、我夢は大広間の一角で患者達が観ているテレビニュースがふと耳に入る。

気になった我夢は患者達が囲うテレビへ近寄ると、それは人間界で起きているゾンネルⅡについてのニュースだった。

 

 

《「G.U.A.R.D.戦車部隊は90%が壊滅。XIGの攻撃も全く効果がなく、怪獣の進行は全く衰えを知りません。死傷者もかなりの数に登っている模様ですが、大規模な火災の為、全く進んでおりません。このままでは、スコッツデールの壊滅も時間の問題です」》

 

 

キャスターが報じる人間界の悲惨な状況に患者の悪魔は「自分達もこうなるのかも知れない」という危機感を感じる声や「冥界には関係ないだろう」という問題を度外視している声など、様々な声でざわついていた。

 

 

我夢「…」

 

 

我夢はこの現状に憤りを感じていた。その理由は梶尾から事情は聞いたが、手出しはしないようにと釘を打たれたからだ。

そう言うのも、自分達にレーティングゲームが迫っているからだというのはわかっている。しかし、動ける自分が何も出来ないこの状況、しかも大好きな人間界がピンチになっているのに駆け付けられないことへの怒りで胸が一杯だ。

 

 

「きっとウルトラマンが来てくれるよ」

 

我夢「…っ」

 

 

我夢が憤っていると、前にいる車椅子の男の子が言った言葉が胸に響く。そして、我夢は自問自答をした。

 

―――君は僕に力をくれた。でも、それは本当に意味のあることだった。教えてくれ―――と…。

 

 

ゼノヴィア「我夢?」

 

我夢「…っ!」

 

 

話しかけるゼノヴィアの声に我夢はハッとなった。辺りを見渡すと、病室だった。横には不思議そうにこちらの顔を覗くゼノヴィアがおり、ベッドには藤宮が眠っており、イリナがその隣で彼の流れる汗をタオルで拭き取っていた。

どうやら考え込むうちに無意識に病室に来ていたと我夢は理解した。

 

 

イリナ「私、今は信じたいのかな?」

 

我夢「え?」

 

イリナ「藤宮君と出会ったのは偶然かも知れない………でも、出会ったことにはきっと意味があるって。人は分かりあえるって」

 

我夢「出会ったことの…意味が…」

 

 

我夢はそう呟きながら、ガイアに出会った意味を考えた。地球が力を授けてくれたのは、自分が超古代人の末裔以外に何かあるのではと…。

イリナは悲しげに眠っている藤宮の顔を見ながら、言葉を続け

 

 

イリナ「そうじゃなきゃ、何も変えられないもの…」

 

 

そう話す彼女を見て我夢だけでなく、ゼノヴィアも目を点にしていた。それもそのはず、全てが全て己の信じる神のおかげと言っていた以前の彼女からは考えられないからだ。

 

 

ゼノヴィア「(イリナをここまで変えたのは、彼の影響か…)」

 

 

ゼノヴィアは驚きつつも眠っている藤宮を見て納得する。理想主義だったイリナにとっては現実主義である藤宮との出会いは大きかったと…。

 

 

我夢「イリナ、ゼノヴィア。藤宮の傍に居てくれるかい?」

 

イリナ「うん」

 

ゼノヴィア「ああ。我夢、君はどこへ?」

 

 

病室を出ようとする我夢をゼノヴィアが呼び止める。

その問いに我夢は

 

 

我夢「ちょっと外の空気を吸いに」

 

 

と言って微笑むと、我夢は病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病室を後にした我夢はそのまま早歩きで移動し始めると階段に足をかける。ロビーがある下へでなく、上へ上へ上っていくと、屋上へ出た。

我夢は帽子とマスクを脱ぎ捨てると、エスプレンダーを取り出し

 

 

我夢「藤宮!僕だってウルトラマンなんだ!」

 

 

そう言ってエスプレンダーを前へ突き出し、ガイアへと変身した。そのままガイアは赤い光の球体となってアメリカ・アリゾナ州へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――アメリカ・アリゾナ州

 

ゾンネルⅡとチームトルネイドは激しい攻防を繰り広げていた。すっかり夕陽に染まったこの地を舞台に攻撃を繰り返していたが、アグルの力を受けた影響かゾンネルⅡには全く効果がなかった。

 

 

椿姫「分離!」

 

「「了解!」」

 

 

次の瞬間、XIGイーグルは椿姫の掛け声と共に3機の小型戦闘機に分離し始める。

由良が乗るイーグルの先端部だった赤い機体はイーグルα、椿姫が乗るイーグルの中央部だった青い機体イーグルβ、巡が乗るイーグルの後部だった黄色い機体イーグルγへ分離した。

 

分離した3機はゾンネルⅡへ攻撃していったが

 

 

ゾンネルⅡ「ゴワァ!」

 

由良「うわぁっ!?」

 

 

ゾンネルⅡは旋回を終えた瞬間を狙い、由良の乗るイーグルαへ向かって口から火球を放つ。

回避不可能の攻撃に由良は目を瞑って悲鳴をあげる。

その時、

 

 

キィン!

 

由良「………?」

 

 

横から飛んできた赤い光が火球をはね飛ばした。由良は何が起きたのかわからず、目を開けると、地上には赤い大地の巨人―――ウルトラマンガイアが勇敢に佇んでいた。

 

 

巡「ウルトラマン…!」

 

椿姫「ガイア!」

 

 

彼の登場に椿姫達は喜びつつも何も出来なかった自分達の自負の念を抱いた。

 

 

ゾンネルⅡ「グルルォォアァァァァァァ…!」

 

ガイア「グアッ……!トアッ!」

 

 

ガイアは素早く身構えると、その場から駆け出して威嚇するゾンネルⅡへ近付くと、そのまま勢いで真っ直ぐ顎を蹴る。

 

 

ゾンネルⅡ「グルルォォ…」

 

ガイア「デヤッ!」

 

 

間髪入れず、怯んでいるゾンネルⅡの横顔を蹴飛ばす。

こうして、日本から遠く離れた地で怪獣との対決が幕をきったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。腹痛と称し、梶尾達と別れた四之宮は1人駒王町の山中で地面を見ながら何かを探し歩いていた。

 

 

四之宮「お?ここか」

 

 

しばらくして、四之宮は探し求めていたものを見つけると、禍々しいオーラを纏い、本来の姿であるジャグラス・ジャグラー魔人態に変身した。

 

 

ジャグラー「お前の真意、確かめさせてもらうぜ。ハアッッッ!!」

 

 

ジャグラーはエコーかかった声でそう呟くと、足下の地面に蛇心剣を突き立てる。

すると、蛇心剣を中心に闇のオーラが地面に広がるが、次には消滅した。

蛇心剣を地面から抜き取り、ジャグラーは四之宮の姿に戻ると、「ンッフッフッ…」と怪しく笑い

 

 

四之宮「…さて、()()()()()藤宮 博也。お前は光か?はたまた闇か?」

 

 

そう1人で問いかけると、四之宮はどこかへ歩き去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――冥界

 

藤宮「何故、お前は地球の意思に逆らおうとする!」

 

イリナ「っ!?」

 

 

我夢がガイアとなってゾンネルⅡと戦い始めたことを気付いた藤宮は目を開けて怒りの声をあげると、起き上がる。気付いたイリナはどこかへ行こうとする彼を必死に止める。

 

 

イリナ「待って!これ以上何するつもりなの!?」

 

藤宮「地球を滅びに導くのは人間の愚かさだ!それを知りながら邪魔する奴を俺は倒さなければならないっ!」

 

イリナ「そんな愚かな人間をどうして助けたりしたのよ!!」

 

藤宮「…っ!」

 

 

イリナの反論に藤宮は思わず病室を出ようとする足を止める。イリナを始め、憎しみの対象でしかない筈の悪魔の女の子を幾度も助けてきた。

その行動に藤宮本人も矛盾を感じている。しかし、彼はそれを振り払い

 

 

藤宮「俺が救うのは、この地球だけだっ!!

 

 

そう言い放った瞬間、外では地中から怪獣が現れた。

しかも、それは冥界にはいない筈の地球怪獣『ギール(ツー)』だった。

以前の個体の違いは体色が灰色から赤紫色というだけだ。

 

 

 

 

 

 

このイレギュラーな出現にはエリアルベースのコマンドルームも慌ただしくなっていた。

 

 

アザゼル「おい、マジかよ!?石室!!」

 

石室「何故、地球の怪獣が冥界に…?チームライトニングは戻ったのか?」

 

「いつでも発進出来ます」

 

石室「よし、さっそく迎撃に当たらせてくれ」

 

 

石室の指令を受けたチームライトニングは冥界へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギールⅡ「ギィガァァァァーーー!」

 

 

冥界の山奥に突如現れたギールⅡは人の気配がする病院へと真っ直ぐ向かってくる。

 

 

ジリリリリ…!

 

「早く逃げてーー!」

 

「落ち着いて、避難誘導に従って下さい!」

 

 

怪獣がここに迫ってくると知った患者達は当然、パニック状態となり、一斉に逃げ始める。

医師や看護師の誘導に従い、歩ける患者は手を繋ぎ、歩けない者は抱えて出口へ向かっていく。

 

 

ゼノヴィア「イリナ!」

 

 

藤宮とはぐれたイリナは逃げ惑う人混みを掻き分けて探していると、ゼノヴィアがこちらを見つけて駆け寄ってくる。

 

 

イリナ「ゼノヴィア!どこにいたの!?」

 

ゼノヴィア「ああ、イッセー達に連絡をな。それより、何の騒ぎだ?」

 

イリナ「怪獣がここに来るの!」

 

ゼノヴィア「何!?」

 

イリナ「とにかく!私は藤宮を探すから、ゼノヴィアは避難誘導を手伝って!!」

 

ゼノヴィア「お、おい!?イリナ!」

 

 

ゼノヴィアが承諾する間もなくイリナはその場から駆け出し、藤宮を捜索する。

―――体力が完全に回復していないことから、まだ遠くへは行っていない。そう考えたイリナは今いる階の物陰から隅々まで探していく。

 

 

イリナ「見つけた!」

 

 

しばらく探していると、藤宮らしき後ろ姿を発見した。藤宮は苦しそうに肩で息をしながら片足を引きずって歩いている。

イリナは駆け寄ろうとするが

 

 

「うあっ!?」

 

イリナ「!?」

 

 

藤宮の前を松葉杖で歩く老婆がバランスを崩したのか倒れてしまう。イリナは目の色を変えてその場から駆け出す途中、藤宮が老婆の隣を通るが

 

 

藤宮「…」

 

イリナ「…っ!」

 

 

藤宮は目の前の老婆にも目もくれず、足を引きずって通りすぎていく。

そんな藤宮にイリナは怒りを募らせつつも、老婆に駆け寄る。

 

 

イリナ「お婆さん、大丈夫!?掴まって!」

 

「ああ、ありがとう…」

 

 

イリナは老婆を助け起こすと、彼女を近くにいた看護師に託し、藤宮の後を追う。

 

藤宮はおぼつかない足取りで歩きながら自分に言い聞かせていた。

―――自分は人間なんか救わない。滅ぼす存在を救う必要はない。この場にいる全ての悪魔が、冥界がどうなろうと知ったことではない―――と。

藤宮はただそれだけを考え、歩いていると

 

 

「ウルトラマーーン!助けてよ!ウルトラマーーン!」

 

藤宮「…」

 

 

通りすぎようとした隣の病室から男の子が悲鳴が聞こえ、藤宮は足を止める。

そのまま病室へ顔を向けると、そこには車椅子から落ちてしまった男の子が泣きながら自分で描いたであろうイラストを手にして助けを求めていた。

 

 

「はやくきてーー!ウルトラマン、助けて!ウルトラマン!!」

 

藤宮「…」

 

 

藤宮は思わず病室に足を運び、その男の子の手に持つイラストに目を通す。

その画用紙に描かれたイラストは青空の下でガイア、ダイナ、そしてアグルが()()()()()()()()()姿だった。

そのイラストを目にして、藤宮は何故か心を痛め、固まってしまう。

 

 

イリナ「大丈夫!?しっかりして!」

 

 

固まっている藤宮の脇を追い付いたイリナが通り、男の子を抱えあげる。

 

 

藤宮「(俺は…どうしてこんなにも心が痛むんだ…?)」

 

 

藤宮は手を取り合うイラストを見てこんなにも胸が締め付けられるのかがわからず、困惑していた。

何故?何故?と自問自答するが一向に答えが出ない。

 

 

ゼノヴィア「……」

 

 

そうこうしていると、ゼノヴィアがやってくる。

ゼノヴィアはイリナと男の子、そして藤宮の順で見ると

次の瞬間、藤宮の胸ぐらを掴んだ。

 

 

イリナ「ちょっと!?」

 

 

突然のことにイリナは驚く中、ゼノヴィアは藤宮を睨み付けると、口を開き

 

 

ゼノヴィア「地球だけを救いたいんだろ!?愚かな人間は関係ないんだろ!?…さっさと行けっ!!」

 

 

そう怒りの声をあげて、藤宮を突き放す。

そう言われた藤宮は何も言わず、どこかへ歩き去っていく。

 

 

 

 

 

 

その頃、アメリカ・アリゾナ州。

 

 

ガイア「ドアァァァァーーー!?」

 

 

ガイアは苦戦していた。ゾンネルⅡの雨あられの火球攻撃をくらい、体中から火花が飛び散る。

これもアグルの力を受けた影響だろうか、以前のゾンネルよりも遥かに強い力をこのゾンネルⅡは持っている。

 

 

ガイア「グアッ…」

 

ゾンネルⅡ「ゴォアァァァァ……!!」

 

 

ふらふらと立ち上がるガイアに向かってゾンネルⅡは突進攻撃を仕掛ける。

だが、その時

 

 

ダイナ「シュワッ!」

 

ゾンネルⅡ「グルルォォ…!?」

 

 

遠くの空からダイナが颯爽と現れ、空中から頭部目掛けてビームスライサーを放ち、ゾンネルⅡの突進を中断させる。

ゾンネルⅡがもがいている中、ダイナは地上に降り、ガイアを助け起こす。

 

 

ガイア「ありがとう…どうしてここが?」

 

ダイナ「ゼノヴィアから連絡を受けてな。こうして助けにきた訳だ」

 

ゾンネルⅡ「グルルォォァァァァ…!!」

 

 

会話を終えた2人は夕陽を背に雄叫びをあげるゾンネルⅡへ身構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィアから突き放された藤宮は病院の屋上にいた。

ふらふらとした足取りで歩きながらこちらへ向かってくるギールⅡへひと目見ると、右手に持つアグレイターに目をやる。

アグレイターの液晶パネルの奥に光る青い光はエネルギーをほとんど使い果たした影響で弱々しく輝いていた。

 

 

藤宮「無駄だとわかっていて…それでも守るのか、人間を!」

 

 

そう呟いた藤宮は雄叫びをあげながら近付いてくるギールⅡへ再び目を向ける。

大地を、木々を踏み荒らし、破壊の限りを尽くさんとばかりの勢いで迫ってくる怪獣。

当初はどうでもいいと思っていた藤宮だが、あの男の子のイラストを見てから、どうにも立ち去れない…。

 

 

藤宮「それが…ウルトラマンだと言うのかっ!!

 

 

藤宮は自分の心情に戸惑いつつも、腕に着けたアグレイターを掲げる。

すると、ブレード部分が展開し、そこから発生する青い光に包まれ、アグルに変身した。

 

 

ドォォォォン!

 

ギールⅡ「ギィィィ~~~!!」

 

アグル「ホワッ!フォォアァァ……!!」

 

[テレン]

 

 

土砂を巻き上げて豪快に着地したアグルはギールⅡの前に立ち塞がると、突進を受け止める。

アグルはエネルギーが充分に回復していない影響でライフゲージは変身して間もないのに赤に点滅している。

それでもアグルは残り少ないエネルギーをフルに使い、必死に踏ん張る。

 

 

「あ!お姉ちゃん、見て!」

 

イリナ「!」

 

ゼノヴィア「…アグル」

 

 

必死に守ろうとするアグルの姿は病院にいるイリナ達にも見えていた。

男の子はやっぱり来てくれたと嬉しそうに微笑み、イリナとゼノヴィアはまさかの行動に驚いていた。

 

 

アグル「テアッ!」

 

ギールⅡ「ギィィィ~~~」

 

アグル「ドゥアッ!」

 

 

アグルは思いっきりギールⅡを上体を跳ね起こすと、顔面を回し蹴りで蹴飛ばす。

ギールⅡは手足とジタバタさせながら、倒れる。

 

 

アグル「…ッ」

 

[テレン]

 

 

それと同時にアグルも苦しげに片膝をつく。体力が万全でない彼にとってはただの蹴りを放つだけでも精一杯だった。

 

丁度、その時。梶尾達、チームライトニングが乗る3機のXIGファイターが駆けつけた。

 

 

梶尾「青い巨人が…何故?」

 

 

アグルがとった行動の一部始終を見ていた梶尾は信じられない様子だった。人類と同じで悪魔を憎んでいるアグルが病院にいる多くの悪魔を救ったのだ。

 

 

梶尾「…各機、ウルトラマンを援護する」

 

 

梶尾は何か目的が違ったのか?等、色々考えが浮かぶが、とにかく今にも倒れそうなアグルを援護することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ゾンネルⅡと対峙しているガイアはダイナが加勢にきたことで戦況が有利になっていた。

 

 

ダイナ「ハァァァァーー………デェアッ!」

 

ゾンネルⅡ「グルルォォァァァァ…!!」

 

 

ダイナは尻尾を掴んでハンマー投げの様に振り回すと、ゾンネルⅡを投げ飛ばし、岩肌に叩きつける。

岩肌に叩きつけられた衝撃でゾンネルⅡは動けない様子だ。

 

 

ガイア「デュアッ!グアァァァァ……!!」

 

 

このチャンスにガイアはフォトンエッジを放とうと頭部にエネルギーを集中させるが…

 

 

ゾンネルⅡ「ゴォアァァァァー!!」

 

ガイア「…ッ」

 

ダイナ「?」

 

 

ゾンネルⅡの苦悶の叫びがふと耳に入り、ガイアは攻撃を中断する。突然、攻撃の手をやめたガイアにダイナは何してるんだ?と首を傾げている。

 

 

ガイア「…」

 

 

ガイアは今まで倒してきた怪獣のことを思い出していた。地球を守る為、仲間の為と思って倒してきた数多の怪獣達。

しかし、それは本当にすべきだったのかとガイアは思いとどまったのである。

 

 

(イリナ「憎しみでしか解決出来ないなんて!悲しすぎるよ!」)

 

 

イリナが梶尾達に言った言葉を思い出すとガイアはこちらへ向かって突進してくるゾンネルⅡへ顔を向ける。

ゾンネルⅡは死にもの狂いで向かってきており、ガイアの隣にいるダイナは親友の突然の行動に戸惑いつつも迫りくる攻撃に身構えている。

 

そんな中、呆然と立ち尽くすガイアは思った。

今まで怪獣達は破滅招来体に操られているから暴れてると考えていたが、それはこちらの認識違いによるものだったと。

 

 

ガイア「ッ、グアァァァァ……!!」

 

 

ガイアは考えを改めると、フォトンエッジの体制に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冥界では、疲労で身動き出来ないアグルにギールⅡが突っ込もうとしていた。だが、

 

 

ドカカカカァァァァーーーーー!!

 

ギールⅡ「ギィィィ~~!!」

 

アグル「!?」

 

 

上空から3機のXIGファイターがアグルの援護射撃を行う。予期せぬ援護にアグルは一瞬驚くが、この好機に悲鳴をあげる体に鞭打ってすぐさま立ち上がる。

 

 

ギールⅡ「ギィィィ~~!!」

 

 

そうはさせまいとギールⅡは二足歩行で立ち上がると、腹部の第2の口を開き、アグルへ照準を定める。

ギールⅡの第2の口は前に現れた個体同様、必殺技であるマグマ弾の発射口だ。

 

 

アグル「…ホワッ!ハァァァァ……!!」

 

[テレン]

 

 

ライフゲージは先程よりも点滅が速くなっており、残された時間はあと僅かだ。

アグルは最後の力を振り絞り、フォトンクラッシャーの体制に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガイア「――アァァァ…!デュアァァァーーーーー!!」

 

 

アメリカ・アリゾナ州にいるガイアはフォトンエッジを放つ体制から両腕を後ろ向きに回してから両手を揃えて前へ突き出すと、淡い優しい光がゾンネルⅡへ放たれる。

 

 

ゾンネルⅡ「!?…………?」

 

 

放たれた光は驚くゾンネルⅡを優しく包み、全身へ入っていく。

すると、先程まで闘争本能を剥き出していたゾンネルⅡの眼は穏やかなものとなり、戦意は全く感じられなくなった。

 

 

ダイナ「ッ!」

 

 

これには倒すとばかりでいたダイナも驚いていた。以前彼から聞いたことがあるが、ガイアが放ったあの光線は対象を沈静化させる『ガイアヒーリング』だった。

使い道がないと言っていた本人がまさか怪獣相手に使うことになるとは誰も思ってなかっただろう。

 

 

ゾンネルⅡ「……」

 

ガイア「……」

 

 

大人しくなったゾンネルⅡはガイアを見据える。それは疑問なのか?憎しみなのか?はたまた……?

ゾンネルⅡは踵を返すと、棲み家がある方向へ帰っていった。

 

2人はその後ろ姿が見えなくなるまで、見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アグル「ドゥアァァァァァーーーー!!」

 

 

そして、冥界で戦うアグルはギールⅡの第2の口目掛けてフォトンクラッシャーを放った。

 

 

ギールⅡ「ギィィィーーーーーー!!?」

 

ドガガガガガガガァァァァァァァァーーーーーーン!!

 

 

まともにくらったギールⅡは断末魔をあげると、体中が刃で切り刻まれた様なエフェクトが入り、爆発四散した。

 

 

アグル「…」

 

イリナ「…」

 

 

戦いを終えたアグルは満身創痍ながらも病院にいるイリナへ顔を向ける。

アグルのつり目かつ無表情の顔からはわからないが、イリナはこの時、彼が何を思っているのかがわかった気がした。

 

アグルは青い光に包まれると、姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いを終えたガイアとダイナは戦いの後始末をG.U.A.R.D.に任せ、急いで藤宮がいる冥界の病室へ向かった。

 

しかし、病室はもぬけの殻目だった。後で合流したゼノヴィアによると、自分たちが目を離した隙に藤宮はイリナと共に逃亡したという。

 

 

我夢「…」

 

 

誰もいない病室で我夢は立ち尽くすと、複雑な思いで窓から差し込む夕陽を眺めたのだった…。

そんな彼を四之宮は廊下からこっそり覗くと、顔を引っ込めて壁にもたれかかり

 

 

四之宮「それがお前の真意か…」

 

 

誰に向かって言っているのか?そう呟くと、四之宮はどこかへ歩き去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この時。我夢達は知らなかった。

G.U.A.R.D.ヨーロッパが怪獣が潜伏する地中へ向けて、地中貫通爆弾を使用することを決定したことを…。

 

そして、それが新しい悲劇を生み出すことも……。

 

 

 




次回予告

ディオドラとのレーティングゲーム!しかし…


ディオドラ「アーシア・アルジェントは頂いたよ」


本性を表したディオドラにアーシアが拐われた!
救え、グレモリー眷属!!

次回、「ハイスクールG×A」!
「醜悪の塊」!


「惚れ惚ぉれするぅ…♪」
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