ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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醜悪悪魔 ディオドラ
アスタロト眷属   
合成狂獣 フリード 登場!


第38話「醜悪の塊」

ウルトラマンアグル――藤宮 博也は世界各地で怪獣を呼び覚ました…。

 

ウルトラマンガイア、ウルトラマンダイナはアリゾナのゾンネルⅡを棲み家へ戻してやるが、ウルトラマンアグルは自ら呼び覚ましたギールⅡを葬り去る。

 

藤宮に何が起きたのか!?3人のウルトラマンは永久にわかりあえないのか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わって冥界の病院に立ち寄った後、一誠は我夢、ゼノヴィア、ギャスパーと共にリアス達へ事の顛末を説明した。

当然、知らせてくれなかったリアスは不服だった。後で一誠が石室に聞いたことだが、どうやらサーゼクスが駒王町にはニュースが伝わらない様、情報操作していたようだ。

 

レーティングゲームが控えているということはわかるが、それでもどうして頼ってくれなかったのかがリアスには納得出来なかった。

 

藤宮と共に行方を眩ましたイリナのことは皆(特にゼノヴィア、アーシア)は不安に思いつつも、サーゼクスらに任せることにした。

 

リアス達による1時間の質問攻めが終わると、一誠は自室へ戻り、ベッドで横になっていたのだが…

 

 

一誠「…!?」

 

 

どういう訳か一誠は今、砂塵が舞うだだっ広い砂漠に1人立っていた。

辺りを見渡すと、古びたステンドグラスがある教会だったであろう廃墟がポツンとあるのみで、後は砂漠一面だ。

世界の終末―――いかにも世紀末の光景を目の前にして唖然とする一誠に渇いた横風が髪を揺らす。

 

一誠はとにかく歩こうと一歩右足を前へ出した時、何か固い物が足下にぶつかった。

よろめきながら何だろうと足下を見た瞬間、一誠は驚愕した。

 

 

一誠「っ!?嘘だろ…!?」

 

 

その物体を見た瞬間、一誠は驚愕した。それは親友である我夢――ウルトラマンガイアのライフゲージだった。目の色を変えた一誠は足下周辺を見渡すと、自分は土像の様に朽ち果て、砂漠に横たわっているガイアの上に立っていた。

しかも、砂塵が晴れた遠くの方にはガイア同様に生気を失ったアグルが埋まっていた。

 

 

ユザレ「一誠…。ようやく会えましたね」

 

 

一誠が目の前の光景に驚愕していると、背後から突然現れたユザレが声をかけてくる。

 

 

一誠「あんたは…?」

 

ユザレ「私は地球星警備団団長ユザレ。我夢からは話は聞いてますね?」

 

一誠「お、おお…(うわ~…マジでロスヴァイセさんそっくりだ…!)」

 

 

一誠は目の前にいるユザレを見て、以前、我夢がロスヴァイセと見間違えたことを思い出す。

会った時間は少ないが、顔、声、容姿…どこをどう捉えてもそっくりであり、間違えても無理ないなと納得する。

 

 

一誠「っ、そうだ!ユザレ!これは何だよ!どうして我夢と藤宮がっ!?」

 

 

そんなことを思っていると、一誠はハッとなり、目の前に広がる光景についてユザレに問いかける。

すると、慌てた様子の一誠とは逆に冷静なユザレは口をゆっくりと開き

 

 

ユザレ「…これは避けられない運命―――ガイアとアグル、()()()()()2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です」

 

一誠「何だって!?」

 

ユザレ「それだけでなく、2人やこの世界に住む人々が死に絶えるでしょう…」

 

 

彼女の言葉に一誠は言葉を失う。

2度は戦ったことはあるらしいが、基本的に穏やかな我夢が藤宮を憎み、戦うなんて想像がつかない。しかも、地球を救いたい2人が破滅へ導く原因とは皮肉だろうか。

 

 

一誠「あいつらの戦いはどうしても避けられないのか?」

 

ユザレ「近いうちに確実に……。一誠、あなたに頼みがあるのです」

 

一誠「頼み?」

 

ユザレ「2人を止めてほしいのです…。光の巨人が争う―――それこそ世界は終わる……未来は変えられないかも知れませんが、キッカケは与えられるやも知れません……」

 

 

ユザレの顔はほぼ無表情だが、頼み込む姿勢からその必死さが伝わる。それを読み取った一誠の答えは

 

 

一誠「わかった。任せてくれ」

 

 

サムズアップして承諾する。気に食わない藤宮はともかく、親友の我夢が危機に晒されているのだとしたら黙っておく訳にはいかない。

彼の承諾にユザレは静かに微笑み

 

 

ユザレ「頼みましたよ」

 

 

そう一言お礼を言われると、一誠の意識は段々遠ざかっていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠「…?」

 

 

意識が戻り、パチリと目を開いた時、一誠は自分の部屋のベッドに横になっていた。

見渡すと砂漠やユザレの姿はなく、何も変わらないいつもの自分の部屋だ。先程の出来事は全て夢だったと察した。

 

 

一誠「(あれは…)」

 

 

一誠は上体を起こして先程の夢のことについて考える。

確かにあの砂漠や3000万年前の人間が話しかけてくるなんて夢以外あり得ないことだろう。

しかし、ユザレの言葉には現実味があり、自身が体験した砂漠の触感や風が当たった感覚は今でもハッキリ覚えている。

 

 

一誠「そうだ!こうしちゃいられない!」

 

 

ユザレの言葉を思い出した一誠は我夢の安否を確認しようと軽い身支度を整え始める。すると、

 

 

アーシア「イッセーさん?」

 

一誠「アーシア…」

 

 

そこへ寝巻き姿のアーシアが部屋に入ってきて、2人は思わず目を合わせて固まってしまう。

わだかまりがあって以降、前の様に一誠のベッドで一緒に寝ることはなかったが、こうして部屋に赴いたということは何か話すことがあってきたのだろう。

 

お互い話を切り出せずしばらく沈黙していたが、我夢の事で頭をすぐに切り替えた一誠は話を切り出す。

 

 

一誠「アーシア、我夢は部屋にいるのか?」

 

アーシア「いえ、お外に出られてます。稲森博士のお墓参りへ」

 

一誠「わかった、ありがとう!」

 

 

一誠は短くお礼を言い、そのまま部屋を出ようとアーシアの横を通ろうとした時、アーシアに裾を掴まれて止められる。

 

 

一誠「…?」

 

 

どうしたんだと一誠が不思議そうに思いながら顔を俯けているアーシアを見る。

すると、顔を俯けていたアーシアは視線に気付いたのか顔をあげ、一誠の顔を見つめると、口を開き

 

 

アーシア「イッセーさん…あの、私のこと、どう思ってます…?私は…イッセーさんのこと!そのっ、お友達とかじゃなくて、男の人として、だっ、大好きです!」

 

一誠「っ!」

 

 

不安で顔を曇らせながらもしっかりと告白するアーシアに一誠は胸を痛める。

人生で初めての告白で心踊らせる自分もいるが、それよりも悲しさが勝った。

 

―――自分はどうしようもなく、馬鹿で、女心もわからない。そのせいで自分を愛してくれる女の子を不安にさせ、泣かせてしまった…。

 

 

一誠「(バカ野郎…俺、最低だな…)」

 

 

一誠は自分の覚悟のなさで、こんなにも健気で優しい女の子の笑顔を奪い去ってしまったことに自分への憤りを感じた。

 

だが、答えは未だ決まっていない。

早く出した方が彼女も楽になるが、早まった決断でもし返答したらそれはそれで自分への後悔に繋がる。

 

 

アーシア「あの…?イッセーさんは?」

 

 

一誠は自分が考えている中、返答を待つアーシアを見ると、申し訳なさそうに両肩に手を置き、

 

 

一誠「アーシア、ありがとう。初めての告白だったから凄く嬉しいよ。…でも、ごめんな。まだ答えが決まってないんだよ。ちょっと気持ちの整理が出来てないことがあってて…」

 

アーシア「…」

 

一誠「けど、今度の体育祭が終わるまでにはきっと答えを出すから。こんな情けない俺だけど、それまで待っててくれるか?」

 

 

一誠の頼みにアーシアは不安が残りつつも僅かに笑みを浮かべ

 

 

アーシア「…わかりました。私、待ってますから」

 

一誠「ありがとう、アーシア!んじゃ、行ってくる!」

 

アーシア「はい!お気をつけて」

 

 

一誠は見送りに手を振ってくれるアーシアにサムズアップすると、部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、駒王町にある墓地では我夢が稲森の墓の前で花を供え、手を揃えて深くお辞儀していた。

ゴメノスとの一件後、稲森の葬儀はすぐに関係者のみで行われた。稲森の関係者曰く、「今でも死んだのが信じられない」とのことで、動揺の色を見せていた。

 

 

我夢「博士…。博士は本当に藤宮の考えが正しいと思いますか…?」

 

 

我夢は頭をあげると、ふいに稲森の墓に向かって問いかける。しかし、当然ながら死者から返ってくる答えはない。

それでも我夢は教えてほしかった。未だ人類を滅ぼそうとする藤宮を止めてはいけないのかと…。

 

 

一誠「我夢!」

 

我夢「っ、イッセー…!」

 

 

どうしてここに?と驚く我夢に一誠はホッと安堵のため息をつくと、口を開き

 

 

一誠「今日はもう遅い。明日のゲームの前に風邪でもひいたら大変だぞぉ?」

 

我夢「ははっ!そうだね」

 

一誠「(…大丈夫そうだな)おしっ!んじゃ、俺も稲森博士の墓参りするから、待っててくれ!」

 

我夢「ああ」

 

 

冗談を聞いて笑う我夢を見て、今のところ問題ないなと安心した一誠は稲森の墓へ手を揃えて深くお辞儀する。

一誠がお祈りしている間、我夢は夜空に浮かぶ星を眺めていた。

 

 

我夢「…?」

 

 

だが、ある一点を見て、目を細める。

そこに浮かぶ星々は円を描く様に歪んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エリアルベースのコマンドルームでは、アグルがギールⅡを倒す一部始終を収めた映像を石室、アザゼルは怪訝そうに観賞していた。

 

 

アザゼル「アグルの目的は地球に棲む怪獣を呼び覚ますことではなかったのか?」

 

石室「奴にはギールを倒す気がなかった筈……。一体、何があったんだ…?」

 

 

アザゼルと石室はアグルの突然の心変わりを不思議に思い、考えて込む。

すると、1つの通信がオペレーターの耳に入る。

 

 

《ピピッ!》

 

「章雄…お父さん…?」

 

石室「?ああ、俺だ。すまない」

 

「弘希君から電話がかかってます」

 

石室「ありがとう」

 

 

石室は軽く会釈すると、オペレーターから手渡されたヘッドセットを顔に近付ける。

ちなみに弘希とは、石室の息子である。

 

 

石室「どうだー?調子は?」

 

 

久しぶりに話す親子の会話にオペレーターは微笑ましく見守り、アザゼルはニヤニヤしている。

だが、息子から返ってくる言葉は予想外のものだった。

 

 

《弘希「変だよ」》

 

石室「…変?」

 

《弘希「空を見てよ。どの恒星も配列がめちゃくちゃなんだ」》

 

石室「空の配列がめちゃくちゃ?」

 

 

それを聞いた石室とアザゼルは不思議そうに窓に集まり、夜空を眺める。

しかし、上空からは見えないのか、窓からはその異変は全く見えない。

 

 

アザゼル「そういう報告は入っているのか?」

 

「はい。天文科学セクションが現在調査中です」

 

石室「…」

 

 

天体の異変に石室は何かしら悪い予感がするのか空を見据える。

すると、またも次の通信が別のオペレーターの耳に入る。

 

 

《ピピッ》

 

「コマンダー。冥界のサーゼクス様から連絡が入っています」

 

石室「よし、モニターに繋いでくれ。…弘希、お休み」

 

《弘希「お休みなさい」》

 

 

石室はそのオペレーターにそう指示しつつ弘希にお別れの言葉をかけると、通信を切り、オペレーターに返す。

オペレーターが操作すると、1秒も経たず、モニターにサーゼクスが映し出される。

 

 

石室「サーゼクス、例の件はどうなった?」

 

《サーゼクス「ああ。リザードに調査させたところ、やはりディオドラは限りなく黒だ」》

 

アザゼル「やっぱり、グラシャラボラス家次期当主の不審死とディオドラの突然の魔力増大の件は『禍の団(カオス・ブリゲード)』が裏で手を引いていると?」

 

《サーゼクス「ほぼ、確実だろう。ディオドラとそれらしき組織の人物とコンタクトをとっている情報も掴んでいる」》

 

 

それを聞いた石室とアザゼルは顔を曇らせる。ただでさえ今はアグルへの対処で忙しいというのに、禍の団が、しかも明日のリアスとの対戦相手と絡んでくるということは非常に厄介である。

 

 

アザゼル「話変わるけどよ、藤宮と連れ去られた紫藤 イリナの行方はどうなんだ?」

 

《サーゼクス「未だ行方は掴めていない。現在、リザードに捜索させているところだ」》

 

アザゼル「そうか。ハッ、リザード(あいつら)も大変だな…」

 

 

アザゼルはニヒルに笑いながら同じ苦労人として、リザードの過労に同情する。

そんなことを言いつつも、アザゼルはリザードの捜査網を信頼してることもあり、イリナ達の捜索は問題ないと安心している。

 

 

《サーゼクス「『禍の団』が裏についているということは今度のゲームはただ事では済まないだろう…。アザゼル、今度のゲームは我々総出で迎え撃つしかあるまい」》

 

アザゼル「ああ、そうするしかねぇだろうな。あいつらにはちょいと悪いことをするがな…。石室、お前も戦場に出るか?」

 

石室「ああ」

 

「「…!?」」

 

 

石室の返答にアザゼルとサーゼクスは驚く。アザゼルはほんの冗談で言ったのだが、司令官という役職とあって、普段あまり前線に立って戦わない石室が承諾したからである。

 

 

《サーゼクス「珍しいな。戦いを退いた君が再び前線へ出るとは…」》

 

 

サーゼクスは物珍しそうに呟く。そう言うのも、彼とは種族を越えての長い付き合いだからである。

それを聞いた石室は窓を見据え

 

 

石室「…嫌な予感がするからな。テロリスト以上に、もっと強い脅威の……」

 

「「…」」

 

 

そう重々しく呟いた。『禍の団』以上の厄介な脅威―――その言葉は果たして思い過ごしか…?それとも現実となるのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な葛藤、不安、陰謀が渦巻く中、日は流れ、遂にディオドラとのレーティングゲーム当日を迎えた!

 

 

リアス「そろそろ時間ね」

 

 

XIGナビで時間を確認したリアスはそう言い、部室のソファーから立ち上がる。

時刻は深夜を回り、生徒も教員も誰もいない駒王学園のオカルト研究部の部室に集まった我夢達。

今日こそはあの因縁深いディオドラとの対戦であり、皆(特に一誠とゼノヴィア)は気合いが入っていた。

 

 

リアス「さあっ!私達の力、見せつけてやりましょう!」

 

『はいっ!』

 

 

リアスの檄に皆は力強く答えると、足下に用意された転送用魔法陣の上に乗り、転送を始める。

 

そして、ピカッと魔法陣に光が走った時、我夢達の視界は眩い輝きに包まれた――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠「……着いたのか?」

 

 

眩んでいた視力が戻り、皆は恐る恐る目を開けて辺りを見渡す。そこは虚空の空間が広がっており、足下は古風な石造りの床で出来ていた。

 

 

我夢「イッセー、後ろ見てよ!」

 

一誠「…ん?おあっ!?」

 

 

隣にいる我夢に言われるがまま、一誠が後方に振り返ると、そこにはギリシャの彫刻家が作った様な巨大な神殿がそびえ立っていた。荘厳で古風な雰囲気を醸し出してはいるが柱や建物にはひび1つ入っておらず、まさに出来立てと言わんばかりの様相を見せていた。

 

 

木場「…ということは、ここが僕達の陣地ですね」

 

朱乃「ええ、そうみたいですわね」

 

一誠「よっし!俺達の実力を見せつけてやりましょうぜ!!」

 

『おーーーー!』

 

「「お、おー…?」」

 

 

一誠の気合いの言葉に皆は掛け声と共にノリノリで拳を掲げる。リアスを差し置いていつの間にか仕切っている一誠に、我夢とリアスは困惑しつつも拳を掲げる。

 

そんなことをして勇んだ皆は、ゲーム開始のアナウンスがなるのを待っていたのだが…

 

 

リアス「………おかしいわね」

 

我夢「そうですね…」

 

 

いつまで待ってもアナウンスが流れず、リアスは怪訝そうに呟くように、皆も訝しげに思う。

ゲーム開始時刻はとっくに過ぎており、本当ならもう作戦タイムは終わり、ゲーム本戦に入っている頃だ。

 

 

ブゥゥゥゥゥン…

 

『?』

 

 

運営に何かトラブルがあったのか?と皆が首を傾げながらあーだこうだ言っていると、我夢達の周りを囲むように大量の魔法陣が次々と現れ始める。

やっとゲームが始まると思った一同だが、

 

 

木場「アスタロトの紋様じゃない!」

 

『っ!』

 

 

木場の一言に皆は緊張が走り、一斉に身構える。

その間にも彼らを囲う魔法陣は次々と増えていき、100か1000…否、それ以上になっていく。

 

そんな中、朱乃が雷を纏わせながら言う。

 

 

朱乃「…魔法陣全てには共通点はありませんわ。ただ、この紋様……記憶が確かなら―――」

 

リアス「ええ、『禍の団(カオス・ブリゲード)』の旧魔王派に傾倒した者ね」

 

『!?』

 

 

リアスが朱乃に続けて話した言葉に皆は驚愕する。

レーティングゲームのゲームエリアは冥界でも凄腕の術師によって厳重な結界が張られている。なので、関係者以外誰も侵入できない筈だが、まさかこう易々と襲撃してくるとは予想だにもしなかった。

 

 

我夢「(誰かが手引きをしたのか…?)」

 

 

我夢は魔法陣から次々と現れる悪魔達を見据えながら思った。関係者以外立ち入りは出来ない……つまり、運営側の者しか抜け穴を知らない。そう、()()()()()()()()()()()()()()()と…。

 

魔法陣の光が消え、すっかり悪魔達に囲まれた我夢達。

すると、首謀格らしき悪魔が前に出て、リアスを見据え

 

 

「忌々しき偽りの魔王の血縁者、グレモリー。ここで散ってもらう」

 

リアス「(やはり、旧魔王派の者ね…)」

 

 

と敵意を剥き出しにして挑発的な物言いをかける。

この発言から我夢達はこちらを取り囲んでいる集団は旧魔王支持派であると断定した。

だが、その時

 

 

アーシア「きゃっ!」

 

一誠「アーシア!?」

 

 

アーシアの悲鳴が聞こえ、皆は振り向くが彼女の姿はない。

 

 

ディオドラ「こっちさ」

 

アーシア「イッセーさん!」

 

 

一同はどこだどこだと辺りを探す中、空から声が聞こえ、上を見上げる。

そこにはアーシアは捕らえ、勝ち誇った様に笑みを浮かべるディオドラの姿があった。

 

 

ディオドラ「やあ、リアス・グレモリー。それとウルトラマン君。アーシア・アルジェントは頂いたよ」

 

一誠「てめぇ、ふざけたことを言ってんじゃねぇっ!!アーシアを放せ!!」

 

 

剣幕立てる一誠にディオドラは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディオドラ「やだね」

 

『―――っ!』

 

 

と初めて見せる醜悪な笑みを浮かべながらあっさり拒否する。

元々、彼に良い印象を持っていなかった我夢達だが、これがディオドラの本性であるとわかった。

 

 

リアス「この状況はどういうことかしら?アーシアはゲームをして手にいれるって言ってたじゃない?」

 

 

リアスは込み上げる怒りで口を震わせながら、ディオドラに問いかける。確かにディオドラは5日前にゲームで必ず手に入れる……そう言ったのは記憶に新しい。

すると、ディオドラはハッと鼻で笑い

 

 

ディオドラ「何言ってるの?ゲーム?そんな馬鹿馬鹿しいものなんてしないさ。君達はここで『禍の団(カオス・ブリゲード)』のエージェントに殺されるんだからさ」

 

リアス「あなたっ、裏切るというの!?冥界の未来を決めるゲームを汚すだけでなく、アーシアを奪い去ろうだなんて!!それでもアスタロト家の悪魔なの!?」

 

ディオドラ「アスタロト家の悪魔?ハハハ!そんなもの、何の役に立つんだい?彼らと行動した方が自由気ままにできるからね。そっちに着く方がいいだろう?それに、()()()()()()()()()()()()()()()()()?どんな手を使ってでもね。ハハハハハハーーーーーー!」

 

ゼノヴィア「貴様ーーっ!!」

 

 

嘲笑するディオドラにゼノヴィアは飛びかかり、デュランダルで斬りつけようとするが、

 

 

ディオドラ「おっと」

 

ゼノヴィア「ぐあっ!」

 

我夢「ゼノヴィアッ!」

 

 

ディオドラにひらりと横へかわされ、横腹に魔力弾をくらい、地面へ叩きつけられる。

我夢がゼノヴィアに駆け寄り、介抱する中、ディオドラは親指でクイッと神殿を指差し

 

 

ディオドラ「アーシアを追いたければ神殿の奥まで来てごらん?来れるものならね」

 

 

そう言って挑発すると、ディオドラとアーシアがいる空間がぶれ始める。

 

 

ディオドラ「さて、そろそろ失礼させて貰うよ。彼女と大切な契りを交わすからね」

 

一誠「アーシアッ!!」

 

アーシア「イッセーさんっ!ゼノヴィアさ――」

 

 

助けを求めるアーシアの言葉を最後に、2人はフッと姿を消した。

 

 

一誠「くっそぉぉぉぉーーーーーー!!」

 

木場「待つんだ、イッセー君っ!」

 

 

アーシアが消えた後、一誠は悔しげに叫びながら後を追おうとするが、木場に止められる。

 

 

一誠「放せよっ、木場!」

 

木場「冷静になるんだ!今は目の前の敵に集中しよう!」

 

我夢「そうさ。どんなに悔しくても頭を冷やないといけないって前に教えてくれたじゃないか。そうじゃないと、救える者も救えないだろ?」

 

一誠「…っ!」

 

 

抑える木場に加えて我夢にも説得され、一誠は「ここで無茶してもアーシアは取り返せない」と落ち着きを取り戻す。

 

 

朱乃「さて…」

 

リアス「どう突破しましょうか…」

 

 

一誠が冷静になるのを見て安堵した朱乃とリアスは周りを取り囲む敵の軍勢を見渡しながら困った様に呟く。

現在、我夢達を取り囲む旧魔王派の悪魔達は数が多いばかりでなく、魔力の高い上級悪魔もチラホラ見える。

 

この軍勢から放たれる攻撃から身を守りつつ突破するのは体力を多く消耗してしまうので、まず強硬突破は論外だ。出来たとしても、待ち構えているであろうディオドラの眷属を相手をしなければならないので、ここで体力を不必要に消耗するのはナンセンスだ。

それは例え2人のウルトラマンがいてもだ。

 

――どうすればいいのか?リアスが必死に考える内にも敵は魔力を高め、今にも一斉砲火してこようとしてくる。

そんなピンチの時、

 

 

ドガァァァァァーーーーーンッ!!

 

『ギャアァァァァーーーーーーー!!』

 

『!?』

 

 

空から巨大なエネルギー波が目の前に降り注ぎ、それをくらった数100人の悪魔達は絶叫しながら消滅した。

我夢達が突然の出来事に驚愕していると、

 

 

「ホッホッホッ…」

 

 

空から笑い声が聞こえ、見上げる。そこには髭を擦りながら愉快に笑う老人がいた。

その老人を見た我夢達は目を丸くして、口々に言う。

 

 

我夢「あっ、あれは!?」

 

木場「北欧の主神!」

 

一誠「オコリンボール!!」

 

オーディン「違うわっ!!わしはオーディンじゃわい!『オ』しか合っとらんわっ!」

 

 

オーディンは名前を間違えた一誠にツッコミを入れつつ、ゆっくりと空から地上へ降り立つ。

突然の北欧の主神の登場に我夢達のみならず、旧魔王派の悪魔達も驚いている様子だ。

 

 

リアス「オーディン様!どうしてここへ?」

 

オーディン「うむ。その前にこの状況を説明するとな、()()()()()()()、『禍の団(カオス・ブリゲード)』に乗っ取られたんじゃよ」

 

我夢「やっぱり…」

 

 

オーディンの話を聞き、我夢は納得する。

つまり、ディオドラは『禍の団(カオス・ブリゲード)』を手引きしてゲームエリアに侵入させるだけでなく、運営や顧客の悪魔達を襲撃させているのだ。

 

 

オーディン「今、運営側と各勢力が協力体制で迎え撃っておる。向こうのことは心配せんでよい」

 

リアス「は、はい…」

 

オーディン「それでの、わしがここに来た理由じゃが――」

 

「相手は北欧の主神だ!討ち取れば、名が揚がるぞっ!」

 

 

オーディンが今まさに説明しようとする最中、旧魔王派の悪魔は魔力弾による一斉攻撃を仕掛けてくる。すると、オーディンは杖をトン…と1度地へ軽く叩くと

 

 

ボボボボボォォォォン!!

 

『!!?』

 

 

向かってきた無数の魔力弾は一瞬で弾け飛び、宙で爆発した。これにはこの場にいるオーディン除く皆が敵味方関係なく驚く。

オーディンは「ホッホッホッ…」と髭を擦りながら愉快に笑いながら、旧魔王派の悪魔達を見据え

 

 

オーディン「焦るでない、小童が…。相手なら後でたっぷりとしてやるわい」

 

『っ…!』

 

 

と、低い声で威圧すると、そのプレッシャーの前に敵はぐうの音も出ず、たじろぐ。

それを見て我夢は以前はただのエロジジイと思っていたが、先程の迫力といい、実力といい、伊達に神様を名乗ってないなと改めて思った。

 

そんな中、オーディンは「あっ、話を戻すとな…」と言いながら、先程の陽気な感じに戻ると

 

 

オーディン「わしはアザゼルの小僧にお主らの手助けをしてこいと言われてのぉ、それで来たわけじゃ……ったく、年寄りを使いに出すとは何考えおるのか……。ああ、そうじゃ!これを渡しておかねば」

 

 

そう言ってぶつくさ文句をぼやきつつも、オーディンは

懐から取り出した小袋をリアスに手渡す。

 

 

リアス「これは?」

 

オーディン「アザゼルの小僧が作った通信機の全員分の改良チップが入っておる。占領されている今、このエリアは通信が効かん……それをお主らが使っているしぐなび?じゃったかな?それに入れると使えるようじゃ」

 

リアス「オーディン様、ありがとうございます!ありがたく使わせて頂きますわ!」

 

オーディン「うむ。さて、ここはこの老いぼれに任せて、お主らは神殿に行けい」

 

リアス「はいっ!」

 

 

この場をオーディンに任せることにした我夢達は駆け出し、神殿の中へ入っていく。その道中、旧魔王派の悪魔達はオーディンの気迫に負け、誰1人として攻撃を仕掛ける者はいなかった。

 

神殿の中へ入り、我夢達の姿が見えなくなるのを確認したオーディンは「ホッホッホッ…」と笑い

 

 

オーディン「…さて、久しぶりに大暴れするかのぅ」

 

 

と不敵に呟くと、地が震える程のオーラを纏いら旧魔王派の悪魔達に挑んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後方をオーディンに任せた我夢達は神殿の入口に入るなり、オーディンから渡された改良チップをXIGナビに取り付けていく。

 

後ろから戦いの爆撃音が聞こえる中、XIGナビからピピッと通信音が鳴る。

皆は一斉にXIGナビを開くと、そこにはアザゼルが映っていた。

 

 

《アザゼル「あー…あー…こちらアザゼル。お前達の顔が見えるってことはとにかく無事みたいだな」》

 

一誠「先生!アーシアがっ…!」

 

《アザゼル「――っ!そうか。色々話したいことがあるだろうが落ち着いては話を聞いてくれ。リアス、オーディン(爺さん)から何が起きているのか聞いているな?」》

 

リアス「ええ、このゲームは『禍の団(カオス・ブリゲード)』に襲撃されているのよね?」

 

《アザゼル「ああ、そうだ。ディオドラが『禍の団(カオス・ブリゲード)』と繋がっているのは前々から予測は出来ていた。だが、他の勢力には決定的な証拠を示す必要があった」》

 

リアス「…そこで私を囮に使った訳ね」

 

《アザゼル「…」》

 

 

リアスが低い声で言うと、アザゼルは申し訳なさそうに黙り込む。我夢達は今回の襲撃対策はやけに準備が出来ているなと薄々思ってはいたが、まさか本当だとは…。

 

 

一誠「…っ、じゃあ!アーシアが危険な目に合うこともわかってて、見殺しにしたんですかっ!?最低っすよ!!」

 

我夢「イッセー、よせよ」

 

 

それを聞いて、怒りの声をあげる一誠を我夢は嗜める。

自分達に黙っていたことも許せないが、それよりもアーシアを連れ去られることをわかっていながら何をしなかったアザゼルを許せないのだろう。

これに対して、アザゼルは顔を曇らせ

 

 

《アザゼル「……我夢。イッセーの言う通り、俺は最低だ。戦わせてばかりでいたお前達に羽を伸ばしてもらおうと思ったゲームも敵を炙り出す為に戦場のど真ん中に放りこんじまって、挙げ句の果てにはお前らの大切な仲間を連れ去られてしまった。……すまない」》

 

一誠「…!」

 

 

そう謝罪すると、一誠は怒りを鎮めた。

いつものお茶らけた雰囲気ではない心痛な表情をするアザゼルに対してこれ以上怒りが湧かなかった。

 

 

リアス「…それで、私達はどうすればいいの?」

 

《アザゼル「ああ、とにかく神殿を真っ直ぐ突き進め。ゲームエリアが敵の拠点に塗り替えられた以上、何が起こるか分からないが、ジッとしておくよりかは危険は少ない」》

 

朱乃「―――存分に暴れていい、ってことですわね?」

 

《アザゼル「その通りだ。神殿の外にいる連中は俺達に任せて、とにかくディオドラのもとへ行けっ!……黙っていた俺が言うのも何なのだが、とにかく指示を出すぞ。存分に暴れてこいっ!そして、アーシアを救ってこい!」》

 

『了解!!/ラジャー!!』

 

 

アザゼルの指示を受けたリアス達は気合いの籠った返事をする。やられっぱなしでいるのはグレモリー眷属の性に合わない。

アザゼルの通信を切れた事を確認すると、リアスは我夢達、眷属の顔を見合わせると

 

 

リアス「さあ、みんな!私達を敵に回した恐ろしさをディオドラに見せつけてやりましょう!」

 

『はいっ!』

 

 

そう檄を飛ばすと、我夢達一同は神殿の奥へと進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢達は柱が並ぶ通路を進んでいくと、広々とした空間に出た。そこにはディオドラの眷属らしきフードを深く被った女性10人が横1列で待ち構えていた。

 

それを見て我夢達が臨戦態勢を整えていると、

 

 

《ディオドラ「やあ、リアス・グレモリーとその眷属の皆さん」》

 

一誠「ディオドラッ!?どこだっ!出てきやがれっ!」

 

 

どこからか聞こえてくるディオドラの声に一誠はキョロキョロ辺りを見渡しながら声を荒げる。

そんな彼をどこからか見ているのか、ディオドラはクスクスと嘲笑い

 

 

《ディオドラ「そんなことしても僕は見つからないさ。言ったじゃないか、僕は神殿の奥にいるって」》

 

一誠「ちっ!」

 

《ディオドラ「…まあ、折角来てくれた訳だし、ここらで1つゲームでもしようじゃないか?」》

 

ゼノヴィア「ゲームだと?」

 

 

ディオドラの唐突の提案に我夢達は目を細めて疑問に思っている中、ディオドラは話を続ける。

 

 

《ディオドラ「ま、ルールを説明すると、お互いの駒同士を出しあって試合をするんだ。相手の数に合わせて出す必要はないから心配はいらないよ。ただ、1度使った駒は僕のもとへ来るまでは使えない。それだけは注意してね」》

 

一誠「ふざけんなっ!何がゲームだっ!今なら顔面1発殴るだけで許してやるから、アーシアを返せっ!!」

 

《ディオドラ「ハハッ、そうカッカしないでよ。無くなったレーティングゲームの代わりと思って楽しもうじゃないか。第1試合、僕はそこにいる『兵士(ポーン)』8名、『戦車(ルーク)』2名を出すよ。ちなみに『兵士(ポーン)』達は全員『女王(クイーン)』に昇格してるけど、大丈夫よね?何せ、強力な眷属を持っていることで有名なグレモリー眷属だから。じゃあ、楽しんでね」》

 

 

吠える一誠を無視してディオドラはそう言い残すと、我夢達が承諾する間もなく、聞こえなくなった。

その直後、一誠はリアスが自分達の顔を選ぶように見ているのに気付いた。

 

 

一誠「部長!あいつの提案を呑むつもりですかっ!?」

 

リアス「ええ、その通りよ。イッセー、ディオドラはアーシアを人質に取っているのよ?下手に刺激するようなことをすれば、アーシアの身に何が起こるかわからないわ」

 

一誠「っ!は、はい…」

 

 

リアスに嗜められ、一誠は大人しくなる。

確かに人質を取られている以上、ここで相手の要求を呑まなければただでさえ厄介な事態は更に悪化してしまうことになるだろう。

 

それから10秒程経つと、リアスは

 

 

リアス「じゃあ、小猫、ギャスパー、ゼノヴィア。そして、我夢。頼むわね」

 

『はいっ!』

 

 

そう返事すると、指名された4人はディオドラの眷属が待ち構えている中央へ向かう。

中央に辿り着いた我夢達は目の前にいる相手を見据えつつ、小猫は猫耳と尻尾を出し、ギャスパーは意識を集中させ、ゼノヴィアはデュランダルを構え、

 

 

我夢「ガイアッ!!

 

 

我夢はその掛け声と共に取り出したエスプレンダーを前へ突き出すと、赤い光に包まれ、等身大のウルトラマンガイアに変身した。

 

 

カァァァンッ!!

 

 

その瞬間、どこからかゴング音が鳴り響くと、両陣営は駆け出した。

 

始まって早々、ゼノヴィアは立ち止まり、デュランダルを天高く掲げ、デュランダルの力を集中させる。

そんなことを敵が許す筈もなく、ディオドラの『戦車(ルーク)』2人はゼノヴィア目掛けて飛びかかるが

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

「「ぎっ!?」」

 

ガイア「グァァァッ…!」

 

 

先陣にいたガイアが右手から出した糸状の光線に後ろから体を捕まれる。2人を捉えたガイアは右腕に万力の力を込めて前方へ引っ張り、

 

 

ガイア「ダァァッ!」

 

ドォォォンッ!

 

「「かはっ!」」

 

 

そのまま思いっきり地面に叩きつける。叩きつけられた床は砕け散り、2人は苦しげな顔で吐血する。

 

 

「隙ありっ!」

 

ガイア「ッ!」

 

 

糸状の光線をガイアが解いた瞬間、3人の『兵士(ポーン)』が左側から襲ってくるが、

 

 

ピタッ…!

 

 

3人の『兵士(ポーン)』は時が止まったかの様にその動きを止めた。ガイアは後ろへ視線を送ると、ギャスパーが瞳の『神器(セイクリッド・ギア)』の時間停止能力を発動させていた。

 

 

ガイア「ナイスだ、ギャスパー!」

 

ギャスパー「はいっ!」

 

 

ガイアはギャスパーにサムズアップを送ると、時を止められて動けない3人の『兵士(ポーン)』を左回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

 

小猫「やっ、はあっ!」

 

 

猫又の力を解放した小猫は仙術を纏った拳で別の『兵士(ポーン)』3人の動きを止め、次々と倒していく。

すると、3人を倒した小猫は一瞬クラっと目まいがする。

 

 

小猫「…(…張り切りすぎたかな?)」

 

 

小猫はまだ猫又の力を解放して日が浅いことがあって、そんなに慣れていなかった。

前回のゲームの時は力を抑えつつ戦っていた為、長時間戦えたが、今回は少し張り切りすぎた様だ。

 

 

「はっ!」

 

「お命頂戴!」

 

小猫「っ!」

 

 

そんな彼女にいつの間にか接近していた2人の『兵士(ポーン)』が襲いかかる。

不意を突かれた小猫は咄嗟に身構えることが出来ず、身を固めるが

 

 

「「がっ!?」」

 

小猫「…?」

 

 

小猫の後方から飛んできたくさび形の赤い光弾が炸裂し、敵は大きく体制を崩して倒れる。

小猫は不思議に思っていると、

 

 

ガイア「大丈夫?」

 

小猫「…先輩」

 

 

後ろからガイアが優しい言葉をかけてきながら駆け寄ってくる。

小猫は助けに来てくれたガイアの頼もしさに一瞬見惚れるが、『兵士(ポーン)』の2人は立ち上がるのを感じると、ガイアと共に身構える。

 

 

ガイア「ギャスパー!コウモリに変身してゼノヴィアを狙う敵を撹乱させるんだっ!」

 

ギャスパー「は、はい!」

 

 

ガイアは目の前の敵を見据えつつ後ろにいるギャスパーに指示を出す。そして、隣にいる小猫に話しかけ

 

 

ガイア「小猫。戦えるな?」

 

小猫「……勿論。先輩こそ大丈夫ですよね?」

 

ガイア「ああ!行くぞっ!」

 

 

戦えることを確認し合った2人は一斉に駆け出す。2人は2人の『兵士(ポーン)』へそれぞれ得意の格闘戦を仕掛ける。

いくら『女王(クイーン)』に昇格して強靭な力を得ても、流石に格闘戦のエキスパートであるこの2人相手には通用せず、押されていく一方だ。

 

 

小猫「…先輩っ!」

 

ガイア「ッ!」

 

 

小猫が声をかけると、ガイアと小猫は側転して対峙する相手を入れ替え、戦いを再開する。

こうして途中途中に相手を入れ替えるせいで敵は小猫とガイアのパターンを読めず、ただただ圧倒されていく。

 

ある程度攻めた小猫とガイアはバク転で距離を取る。その間に敵は魔力を溜め、今にも魔力弾を放とうとしてくる。

 

 

ガイア「失礼っ!」

 

小猫「…え、きゃっ!?」

 

 

咄嗟にガイアは小猫をお姫様抱っこすると、宙に高く放り投げる。突然の事に困惑している小猫だが、どんどん上へ上がっていき、下にいるガイアが小さくなっていく。

 

 

「くらえっ!」

 

ガイア「ッ!」

 

 

そして、『兵士(ポーン)』2人が限界までに溜めた魔力のエネルギー波がガイアに襲いかかる。莫大な魔力のエネルギー波はガイアを簡単に呑み込む程の規模を形成している。

ほぼ回避不可能なこの攻撃を前にガイアは

 

 

ガイア「ダァァァーーーーー!!」

 

「「!?」」

 

ドガァァァーーーーーン!

 

 

軽く跳躍すると、そのまま腕を足を一直線に伸ばすと、体をドリルの様に高速回転させ、エネルギー波に突っ込むと衝突し、爆発した。

その行動に敵2人は驚くが、「バカなやつ」と自滅したと嘲笑うが、その笑みはすぐに消える。

 

 

ガイア「―――――ダァァァァァーーーーッ!」

 

「「っ!?」」

 

ガイア「デヤッ!」

 

 

何と爆風の中から無傷のガイアが回転を止めず、突っ込んでくる。

目の前の結果に2人は目を丸くするが、声をあげる間もなく、衝突し、後方の柱へ叩きつけられる。

 

 

ガイア「…」

 

小猫「…わっ」

 

 

地へ降り立ったガイアは上にいる小猫見上げると、落ちてくる位置を確認して腕でキャッチする。

 

 

小猫「……はっ、早く下ろして下さい!!/////」

 

ガイア「?」

 

 

キャッチされた小猫は頬を赤く染めながら、ガイアに下ろす様に急かす。現在、小猫はガイアにお姫様抱っこされている状況だ。人が沢山いるこの場でされたら、恥ずかしいったらあらしない。

ガイアは何で小猫が恥ずかしがっているのか不思議に思いつつも、素直に小猫を地へゆっくりと下ろす。

 

 

小猫「……だ、大胆!嬉しいけど、もう少し場所を考えてくれたら……

 

ガイア「…?ハッ!」

 

小猫「…え?」

 

 

照れながら何やらぶつぶつ呟く小猫にガイアは首を傾げていると、先程地面に叩きつけた2人の『戦車(ルーク)』が迫ってくることに気付いた。

ガイアは小猫の両手を持ちながら後ろ回し蹴りで敵を怯ませる。

 

 

ガイア「ダッ!」

 

小猫「…あぁっ!?」

 

「「ぐえっ!?」」

 

 

そして、手を繋いだまま小猫を横へ振り回すと、宙に浮いた小猫の足が敵の顎に炸裂し、大きく吹っ飛ばす。

 

ガイアは「ごめんね…」と小猫に謝りつつ、地に足がついた小猫から手を離すと、ガイアブリザードの体制に入る。

 

 

ガイア「ジョアッ!!」

 

パキキ……

 

 

ガイアの揃えた両手から放たれる冷凍光線は吹っ飛んだ『戦車(ルーク)』のみならず、ギャスパーと戦っていた3人の『兵士(ポーン)』も凍りつく。

 

 

ゼノヴィア「溜まったぞ!!みんな、しゃがめーーーっ!!」

 

「「「!!」」」

 

 

 

丁度その時、ゼノヴィアの声が響く。ゼノヴィアが持つデュランダルは充分にエネルギーが溜まっており、その溢れ出るオーラはこの建物一帯を破壊するまでの迫力を放っている。

デュランダルの力の凄さを察したガイア達は一斉にしゃがむ。

 

 

ゼノヴィア「くらえっーーー!!これが私達の親友を助ける為の力!聖剣デュランダルの力をーーーー!!!」

 

 

そう叫んだゼノヴィアは莫大なオーラを纏ったデュランダルを振り回す。聖なる力を纏った強力な一撃は建物ごとディオドラの眷属を捉え、彼らを呑み込んだ。

 

攻撃が終わり、次にガイア達が目にしたのはゼノヴィアの前方から真上の天井が消え去った神殿と、床で気絶しているディオドラの眷属の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝利を確信したガイアは変身を解くと、小猫達と一緒にゼノヴィアに駆け寄る。

 

 

我夢「みんな、お疲れ!ゼノヴィア、さっきの一撃凄かったよ!」

 

ゼノヴィア「ふふ、何。我夢の指示やギャスパー達のおかげさ」

 

ギャスパー「す、凄い迫力でしたぁぁーー!!」

 

小猫「…お疲れ様です」

 

 

4人が労いの言葉を掛け合っている中、我夢は

 

 

我夢「しっかし、驚いたよ~。小猫って意外と可愛い声出せるんだね」

 

小猫「……!////」

 

 

その話に小猫は咄嗟にお姫様抱っこされ、高く放りあげられたことを思い出し、顔を赤くする。

突然の事とはいえ、自分らしくない声を聞かれてしまった事実を。

 

 

ゼノヴィア「…?どういうことだ?」

 

我夢「ああ、僕が小猫を腕で抱えあg―「ふんっ!」がっ!?」

 

 

ゼノヴィアに説明しようとする我夢の横腹を小猫は肘打ちで刺す。唐突な攻撃でもろにくらった我夢はその場で踞り、悶絶する。

 

 

ギャスパー「えっ!?小猫ちゃん、どうして!?」

 

小猫「……うん、ちょっと小突いただけ」

 

ゼノヴィア「ちょっとにしては苦しそうだが…?」

 

小猫「…さあ?とにかく、先へ進みましょう」

 

 

戸惑う2人に小猫は強引に話を進めると、先へ進む様に促す。

悶絶する我夢を後ろから見ているリアスはため息をつき

 

 

リアス「まずは女の子の接し方を教えないとね…」

 

朱乃「あらあら、困りましたわね…」

 

 

呆れたリアスといつもの様にニコニコ笑う朱乃は今後の我夢の教育課題を考えるのだった。

 

 

第1試合――――グレモリー眷属の勝利。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから回復した我夢はリアス達と共に神殿の奥へと進んでいく。

そして、次に開けた場所に出ると、今度は3人の女性が待ち構えていた。

 

 

木場「…僕の記憶が正しければ、あの3人は『僧侶(ビショップ)』2名に『女王(クイーン)』です」

 

我夢「ここでくるのか…」

 

 

木場の冷静な分析を聞き、皆は気を引き締める。

僧侶(ビショップ)』はともかく、膨大な魔力が売りの『女王(クイーン)』は厄介だ。投入してくるのは『騎士(ナイト)』かと思っていたが、まさかこの2戦目にくるとは思ってもいなかった。

 

 

朱乃「あらあら、では私が出ましょうか」

 

我夢「朱乃さんっ!」

 

 

そんな緊張の中、我先と前へ出たのは朱乃だった。

相手に『女王(クイーン)』がいるならば、同じ『女王(クイーン)』である朱乃が出るのは必然だ。

更に

 

 

リアス「後の『騎士(ナイト)』2人は祐斗がいれば問題ないわね。私も出るわ」

 

一誠「部長!」

 

 

ならばとリアスも前へ出る。滅びの力を持つリアスと雷光の力を持つ朱乃―――最強のお姉さまタッグが戦場に並び立つ、これ以上にない頼もしさだが…

 

 

朱乃「あら、部長。私だけでも十分ですわ」

 

リアス「何を言っているの?いくら雷光を扱える様になったからって、油断は禁物よ」

 

朱乃「あらあら、部長。いくら最近、戦う場面が少ないからって便乗はいけませんわ」

 

リアス「うっ、痛いところ突くわね……。確かに出番は最近少ないけど、それは関係ないわ。ここでダメージを最小限に抑えつつ前へ進むことが今回の戦いで重要なのよ?」

 

朱乃「大丈夫ですわ。私の実力を甘く見ないで欲しいですわ。ここは大人しく私に」

 

リアス「いいえ、下がらないわ!」

 

 

当の2人は口論し始め、期待どころかますます不安になっていく。

これには我夢達だけでなく、目の前にいるディオドラの眷属達もいつ戦いを始めていいのか戸惑っていた。

 

 

一誠「喧嘩始めちゃったよ…」

 

我夢「このままだと一向に終わらない!ど、どうすれば…?」

 

一誠「…う~ん、そうだっ!」

 

 

この不安な状況に何かを閃いた一誠は手をポンと叩くと、朱乃へ顔を向け

 

 

一誠「朱乃さーーーーーーん!!我夢がその人達に完勝したら、今度の日曜日にデートしてくれるって!!」

 

朱乃「…」ピクッ

 

 

そう叫ぶと、朱乃はその言葉を聞いて耳をピクッと反応させると、口論を止める。ちなみに我夢はそんな約束は考えていない。

 

 

我夢「ええええぇぇぇぇーーーーーーーー!!?ちょっと、ちょっと!?イッセーーーーーー!?」

 

 

当然、唐突に投下された爆弾発言に当の本人は納得出来ず、目の大きく見開いたまま、一誠に詰め寄る。

一誠は朱乃達に背を向ける形で我夢と肩を組むと、こそこそと話す。

 

 

我夢「何勝手に約束取り付けてるの!?デートなんかしたことないよっ!

 

一誠「まあいい機会と思えばいいじゃないか

 

我夢「何でだよっ!後でどう説明すればいいんだ!?

 

一誠「だからよ、後でどうにかすればいいだろ?それにこう言ったら、朱乃さんがパワーアップするしよ

 

我夢「はぁ?パワーアップ?そんな言葉1つでまさか―――」

 

バチッ!バチバチバチッ!

 

我夢「え!?」

 

 

突然、背後からけたたましい電撃音が聞こえ、我夢は何事かと振り替えると目を疑った。

雷光を纏い、激しいばかりの稲妻を辺り一面に放出する朱乃の姿があった。

 

 

朱乃「…うふふ!うふふふふふふふふふふ!我夢君とデート出来る!!」

 

我夢「……」

 

 

最早、病的にも見える迫力の笑みを浮かべた朱乃の雷光は更に強くなっていく。

当の本人の我夢はその光景に何も言えず、固まっていた。

 

 

リアス「ちょっと、朱乃!危ないわよ!デートの約束ぐらいで馬鹿みたいにテンションあげて!」

 

朱乃「うふふ、リアス。あなたにはわからないでしょうね。この喜びが。異性と1()()()()()()()()()()()()()()()()()()のあなたには」

 

リアス「何ですって!?小心者!?聞き捨てならないわ!たかがデ、デートぐらいで雷を迸らせるいやらしい朱乃なんかに言われたくないわっ!!」

 

朱乃「何ですって?」

 

我夢「イッセー、何か不味くない?」

 

一誠「~~」

 

 

混沌とした目の前の状況に我夢は一誠に訊ねるが、一誠は冷や汗をかきながら知らん振りをする。

不安な状況を覆すどころか再び口論を始め、ますます収拾がつかない状況に陥っている。

 

 

朱乃「未だ抱かれる様子もないあなたに言われたくないわ。その体、魅力ないのではなくて?」

 

リアス「朱乃!それはあなただって同じじゃない!我夢にベタベタくっつくことでしか愛情表現出来ないじゃない!見てるだけでみっともないわ!」

 

朱乃「あらあら、心がうぶなリアスには早すぎましたかしら?それにベタベタくっつくんじゃなくって、“スキンシップ”って言いますのよ?わかります?」

 

リアス「いいえ、わからないわ!大体、朱乃!あなた調子に乗りすぎよ!私には私なりの愛情表現がある!いくら年が同じだからって、下僕のあなたが私のどうこう指図する権利はないわっ!」

 

朱乃「あら?私は事実を申したまでですわよ?大体、リアスもいい加減意中の相手をものにしたらどうなの?」

 

 

白熱した口論はエスカレートしていき、2人から迸る魔力がぶつかり合い、神殿そのものが崩れるのではと思うぐらい震える。

しかし、この混沌とした空気にしびれを切らしたディオドラの『女王(クイーン)』が

 

 

「あなた方!いい加減になさい!私たちを無視して、そんなどうでもいいことを――――」

 

「「うるさいっ!!」」

 

 

異を唱えた瞬間、リアスと朱乃の容赦ない一撃が放たれた。その特大の魔力は前方の建物ごと3人の眷属を包み込んだ。そして

 

 

シュ~~~…

 

我夢「…!?」

 

 

立ち込めた煙が晴れると、我夢は口をあんぐりと開け、固まった。すっかり後片もなくなった建物の残骸には、黒こげになった『女王(クイーン)』と『僧侶(ビショップ)』が倒れていた。

ただ、正論を言っただけなのに…。

 

 

リアス「朱乃!今度こそ今度は許さないわ!」

 

朱乃「それはこっちのセリフよ!大体、リアスは――」

 

 

しかし、それでも2人の口論は止まらない。

もうすでに倒す相手を倒してしまっているにもだ。

 

 

一誠「だ、駄目だこりゃ…」

 

我夢「あ、あはは…」

 

 

困った様に呟く一誠と苦笑いを浮かべる我夢。

勝敗は決したが、この混沌とした状況に我夢達は傍観するしかなかった。

 

第2試合 グレモリー眷属の圧勝?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分が経ち、やっと落ち着いたリアスと朱乃は口論をやめた。

そんな困難?がありながらも一同は先へ進んでいくと、広々とした空間に出た。

 

木場の分析によれば、次の相手は『騎士(ナイト)』2人が待ち構えているはずだが、見覚えがある人物を目撃し、我夢達は足を止める。

 

 

フリード「や、お久さ~!」

 

一誠「フリード!?」

 

 

見覚えがある人物とは、レイナーレや聖剣騒動の一件で散々我夢達の前に立ちはだかった白髪の狂人神父、フリードだった。

聖剣騒動で駒王学園で戦った際、木場に致命傷を負わされ、そのまま行方を眩ましていたが、まさかここで再会するとは思わなかった。

 

 

木場「まだ生きていたんだな…」

 

フリード「感動の再会にかける言葉が“まだ生きていたんだな”ってひどいなぁ~~。僕ちん、ご覧の通りキッチリキッカリ生きてござんすよぉ~?」

 

 

そう言って相変わらず吐き気がする笑みを浮かべるフリード。

何故フリードがここにいるのかはともかく、ディオドラの2人の『騎士(ナイト)』が一向に姿を見せないことに不審に思っていると、

 

 

フリード「おんや~?もしかして『騎士(ナイト)』のお2人をお捜しで?それならいませんよ……()()()()()()()()()から」

 

『!?』

 

 

衝撃の言葉を告げるフリードに皆は驚いていると、何かに気付いた小猫は汚物を見るような目でフリードを見て

 

 

小猫「……その人、人間を辞めてます」

 

我夢「何だって!?」

 

フリード「ヒャハハハハーーーーーー!!」

 

 

そう忌むような呟きに皆が疑問に思っていると、フリードは人間と思えない狂った笑い声をあげる。

すると、フリードはボコッ!ぐにゅう!と異様な音を立てながら身体が膨れ上がる。神父の服を突き破り、身体が巨大化していくと、コウモリやらドラゴンやら色々な生物を掛け合わせたような得体が知れない怪物へと変貌した。

 

 

フリード「ヒャハハハハッ!!この姿か?てめぇらに恥をかかされ、命からがら逃げ出した後、アザゼルからリストラされちまってよぉ!!行き場をなくした俺に『禍の団(カオス・ブリゲード)』が力をくれるっていうから乗ったらこの様だよっ!!合成獣(キメラ)だってさ!ヒャハハハハーーーーーーーー!!!」

 

木場「何て醜い……」

 

 

木場は狂い叫ぶフリードの成れの果てを見て吐き捨てるように呟く。

元から狂っていたものの、以前はまだ人間としての面影があった。しかし、その姿はもう無く、ただの本能のままに喰らい殺す…ただの狂った猛獣となってしまった。

 

 

フリード「あっ!そうそう、面白い話をしてやるよ。ディオドラはんの女の趣味をよ!」

 

一誠「それが俺達に何か関係あんのか?」

 

フリード「ああっ!そう睨むなって!大有りさ!今から教えてやるから、よぉ~~~~く聞きなすって!」

 

 

フリードは睨む一誠を宥めると、ディオドラの女の趣味を長々と語り出した。

 

 

フリード「ディオドラはよ、教会に通じた女が好みなんだよ!しかも狙うのは全て熱心な信者や教会本部に馴染み深い女ばかりだ!さっきイッセー君達が倒してきた眷属悪魔は女ばかりだろ?そいつらは元々は教会の信者ばかりなんだよ!自分の屋敷に囲っている奴らも同じさ!……いやぁ~スゲーよな!()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだからよぉ!まさに悪魔の囁きだ!」

 

我夢「…!?待て。じゃあ、もしかしてアーシアも――」

 

 

熱心な聖女様を言葉巧みに操って堕とす―――。その言葉を聞いて感付いた我夢は声をあげると、フリードはニヤリと口角をあげ

 

 

フリード「その通りさ、優男君っ!アーシアちゃんが教会から追放されるのも全てあのお坊ちゃんの()()()()()()さ!」

 

一誠「何だとっ!?」

 

 

フリードの言葉に他の皆も大体察したが、一誠はただ1人どういうことだと疑問に思う。

すると、フリードはやれやれと肩を竦め

 

 

フリード「イッセーくん、相変わらず鈍いんだから…。まあ、詳しく教えてやるよ。ある日、シスターを手篭めにするのが好きな悪魔のお坊ちゃんは好みの美少女聖女様を見つけました。会ったその日から手にいれたいと思ったけど、警備が強くて中々上手く出来そうにありません。そこで、“ある方法”を考えました」

 

一誠「ある方法?」

 

フリード「その聖女様は誰に対しても分け隔てなく優しいお方です。知り合いから、“彼女の神器(セイクリッド・ギア)は種族関係なく傷を治す力”というアドバイスを受けたお坊ちゃんはそこに目をつけ、実行に移しました。わざと自分を傷つけて聖女様の前に現れれば、優しい聖女様はきっと悪魔である自分でも治してくれる……。そして、それを他の奴に目撃されれば教会を追放されるってね!!ギャハハハ!!」

 

 

その事実を聞いた皆は一瞬血の気が凍り付いた感覚を覚えた。アーシアがディオドラを治療して教会を追放された後、散々な人生を歩んだきたことは知っている。

まさか、人生を狂わせたのも初めからディオドラの企みだったとは予想もつかなかった。

 

 

フリード「そして、信じていた教会から追放され、信仰していた神も信じられなくなって人生滅茶苦茶になれば、簡単に自分のもとへ転がり込んでくるってね!!!ヒャハハハハーーー!!馬鹿だね~~そのまま見殺しにしておけばこんなことに会わなかったのによぉぉ~~~!!」

 

一誠「っ、てめぇ~~~!!」

 

木場「待って」

 

 

腹を抱えて笑うフリードに一誠は怒りを堪えきれず、前へ出ようとしたが、木場に止められる。

 

 

一誠「木場…」

 

木場「イッセー君、気持ちはわかる。だが、ここは僕に任せてくれ。その怒りはディオドラにぶつける方がいい」

 

一誠「……わかった」

 

 

一誠は納得がいかない様子だったが、木場の気迫を感じ、大人しく引き下がる。いつも爽やかなその瞳は自分に負けないぐらいはらわたが煮え繰り返ったものだったからだ。

 

木場は最早異形の怪物となったフリードの前に立つと、1本の聖魔剣を造り出す。

それに気付いたフリードは笑うのを止め、木場をジロリと見下ろし

 

 

フリード「やあやあやあ!てめぇはあの時、俺をぶった斬りやがったクソイケメンじゃーーーあーりませんか!んだけど、あの時とは違いますぜ?ディオドラの『騎士(ナイト)』を食って、パワーアップしたんだからよぉぉぉーーー!!」

 

木場「御託を言ってないでかかってこい」

 

フリード「何をぉぉーー!?調子に乗ってんじゃ―――」

 

ズシャッッ!!

 

『!?』

 

 

――ねぇぞ!と叫ぶ前にフリードの声はかき消される。

フリードの背後から飛んできた禍々しいオーラを纏った斬擊が体を縦真っ二つに切断したからだ。

木場達が驚く間もなく絶命したフリードは真っ二つに別れ、左右に倒れた。

 

一体、何があったのか?と皆が疑問に思っていると、木場の前に刀を持ち、ゴツゴツとした異形の怪人―――ジャグラスジャグラーが現れる。

 

 

木場「誰だ!『禍の団(カオス・ブリゲード)』の者か?」

 

ジャグラー「おいおい、よしてくれよ。俺はまだ敵か味方すらも言ってねぇぜ?」

 

 

その姿、雰囲気から警戒して聖魔剣の切っ先を向ける木場にジャグラーは呆れた様子で肩を竦め、宥める。

それを聞き、切っ先を下ろす木場にジャグラーは安堵すると、我夢達を見て自己紹介する。

 

 

ジャグラー「俺はジャグラスジャグラー。自由気ままに生きる風来坊さ。愛称込めて、『ジャグジャグ』って呼んでもいいぜ?惚れ惚ぉれする…♪名前だろ?」

 

 

若干ふざけた口調で話すジャグラーに皆は呆気にとられる。見た目から凶悪な奴かと思っていたが、こんなフレンドリーなキャラとは思わなかったからだ。

 

皆が調子が狂う中、リアスは

 

 

リアス「それで?風来坊さん、ここに何の用?ディオドラの命令で私達を始末しに来た訳?」

 

ジャグラー「フッ、いーや。俺は奴とは関わりがないし、そもそも『禍の団(カオス・ブリゲード)』なんていう小物組織とも繋がっちゃいない。それに俺はお前達と争う理由も無いから、好き勝手に先へ進めばいい」

 

 

ジャグラーの返答に皆は目を丸くする。てっきり自分達の足止めに来たのかと思ったが、予想とは180度も違う返答が来たからだ。

それを聞いたリアスは皆を引き連れて先へ進もうと動き出すが、「ただし…」と付け加えるジャグラーに止められ

 

 

ジャグラー「兵藤 一誠。そいつと戦わせてくれれば、先へ進ませてやる」

 

一誠「へ?」

 

リアス「待ちなさい。あなた、私達の敵じゃないんでしょ?どうしてイッセーと戦わせる必要がある訳?」

 

 

突然提示された条件にリアスは詰め寄る様に訊ねるとジャグラーは鼻で笑い

 

 

ジャグラー「おいおい、俺は()()()()()()()()()風来坊だぜ?敵じゃないとは言ったが、()()()()()()()()()ぜ?」

 

リアス「くっ…」

 

 

そう話すと、リアスは納得いかないながらも言い返せなかった。

確かに敵対する意思はなくとも味方とは言っていない…それは紛れもなく会話から得られる事実だ。

 

この事にリアスが苦虫を噛んだ表情を浮かべていると、一誠がポンとリアスの肩を叩き

 

 

一誠「部長。俺に任せて下さい」

 

リアス「イッセー…」

 

一誠「大丈夫です!ここは俺に任せて、先へ進んで下さい」

 

 

リアスをそう諭した一誠はジャグラーを見つめ

 

 

一誠「おい、トゲトゲ星人。俺が戦えば、部長達を先に進ませてくれるんだろ?」

 

ジャグラー「ちっ、誰がトゲトゲ星人だ!…まあ、その通りだ。約束してやる」

 

一誠「わかった……みんな!アーシアを頼むぜっ!!」

 

 

ジャグラーの条件が嘘偽りないことを確認した一誠は皆にそう言うと、我夢達は彼らを横切り、先へ向かって走り出す。

 

 

リアス「頼むわよ!」

 

一誠「ラジャー!」

 

小猫「…無理はしないで下さい」

 

一誠「わかってるぜ!」

 

木場「危なくなったら助けを呼んでくれ!」

 

一誠「おう!」

 

ゼノヴィア「死ぬなよ!」

 

一誠「当たり前さ!」

 

 

その途中、皆にエールを送られ、一誠は笑顔を浮かべながらサムズアップで答える。そして殿の我夢が通った時

 

 

一誠「我夢!俺の分までディオドラをぶん殴ってくれ!頼んだぞ!」

 

我夢「ああ!そっちこそ、調子に乗って油断するなよ?」

 

一誠「おう!」

 

 

2人は励まし合いながらサムズアップを交わすと、我夢達はあっという間に神殿の奥へ進み、姿が見えなくなった。

 

一誠は目の前にいるジャグラーに向き合うと、懐からリーフラッシャーを取り出し

 

 

一誠「ダイナァァーーーーーッ!!

 

 

そう叫ぶと、光に包まれ、等身大のウルトラマンダイナに変身した。

 

その姿を見たジャグラーは毒々しい口調で呟く。

 

 

ジャグラー「ちっ、嫌な姿だ…!」

 

ダイナ「何か言ったか?」

 

ジャグラー「…何でもない。さあ、本気でかかってこい」

 

 

ジャグラーは左手で招く様にクイックイッと指を動かして挑発する。

 

 

ダイナ「ハッ!」

 

 

それを見たダイナは意識を集中させて深く身構えると、その場から駆け出したのだった。

 

 

 

 

 




次回予告


藤宮「俺が本当のウルトラマンだ!」

我夢「僕が本当のウルトラマンだ!」


これがガイアとアグルの最終決戦!

次回、「ハイスクールG×A」
「明日なき対決」
これが運命なのか…!?
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