ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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醜悪悪魔 ディオドラ 登場!


第39話「明日なき対決」

待ちに待ったディオドラとのレーティングゲームは、テロリスト組織『禍の団(カオス・ブリゲード)』による罠だった!

 

その際、連れ去られたアーシアを救うべく、ディオドラの待ち構えている神殿の奥へと足を運ぶ。

 

立ちはだかる数々の壁を乗り越えたが、突如ジャグラス・ジャグラーがリアス達の前に立ち塞がる。

ジャグラーの相手をダイナに任せ、我夢達は先へ進む!

 

ダイナはジャグラーを倒せるのか!?果たして、我夢達はアーシアを救えるのだろうか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り、我夢達がレーティングゲームに向かう前日。

人間界では深夜となり、人通りも少なくなったこの時間。冷や汗をかいてフラフラと歩く少年とそれを支える少女が足音しか聞こえない、沈黙に包まれたトンネルを歩いていた。

 

その2人は行方不明となっている藤宮とイリナ、その人であった。

 

 

藤宮「はぁ……はぁ……」

 

イリナ「大丈夫?」

 

 

イリナは足元につくまで長いロングコートを羽織らせた疲弊している藤宮の肩を支えながら、労りの言葉をかける。

藤宮はギールⅡとの戦いから体力は大分マシになった方だが、それでも苦しい様子は変わらず、足取りも不安定だった。

 

 

藤宮「はぁ……はぁ……」

 

 

それでも藤宮はイリナに返事をせず、冷や汗を流しながらひたすら歩く。人間―――ましてや天使となった彼女に心を開く気にはなれないのだろう。

そんな彼をイリナは横目に見つつ、ふと思う。

 

 

イリナ「(勝手に着いてきちゃったけど、みんな大騒ぎにさせちゃってるんだろうな~~…)」

 

 

そんな事を頭の中で思いつつ、イリナは上司のミカエルや友人のゼノヴィアの顔が浮かぶ。

藤宮が自分を拐ったと思い、心配しているだろう。きっと迷惑をかけてしまっているだろうと申し訳なく思った。

ちなみにXIGナビは位置情報を知らされるので、電源は切っている。

 

 

「いけねぇなーー?こんな時間にブラブラ歩いてぇ」

 

 

しばらく歩き、トンネルの出口に差し掛かると、前から男がこちらへ話しかけてくる声が聞こえた。

イリナはそちらへ視線を送ると、3人組の男がいた。

男達はジャージやジャケットをだらしなく着ており、髪は染め、耳にはピアスを着けている。所謂不良だ。

 

それを見てイリナは「わぁー最悪」と思っていると、男達はニヤニヤしながら近寄ってくる。

先頭にいる銀髪の男がニヤニヤしながらイリナを品定めする様に体中を見ると、口を開け

 

 

「へぇ~結構可愛いじゃん。なぁ、いい提案があるんだけど、これから俺達を遊ばね?そんな死にかけの老害みたいなガキをほっといてよぉー。楽しいぜ?」

 

イリナ「どいて下さい。私、これから用事があるので」

 

「連れねぇなぁ~~…」

 

 

イリナはナンパを拒否するが、男はふて腐れた様に呟くがまだ諦めていない様子だった。

すると、イリナはその男の後ろにいた青髪の太った男が自分の隣にガンを飛ばしているのに気付いた。

 

 

「おい。何か文句あんのかよぉ?」

 

藤宮「…」

 

 

藤宮は青髪の太った男に訊ねられても答えず、顔をあげて睨み付けている。まるで地に吐き捨てられた汚物の様にだ。

 

 

「何か言えやっ!こらぁ!!」

 

「まあまあ…落ち着いて。暴力はダメよ☆そんな奴、無視して、ね♪」

 

「…ちっ!」

 

 

青髪の太った男は沸点が低いのか青筋を立てて藤宮に掴みかかろうとするが、その隣にいた金髪のヒョロヒョロの男にふざけた口調で宥められる。

その言葉に耳を傾けた青髪の太った男は舌打ちしつつも、気を鎮める。

 

銀髪の男はそれを見てやれやれと肩を竦めると、再度イリナの方へ顔を向け

 

 

「ま、とにかくよ。俺達と来いよ」

 

イリナ「あっ、ちょっ!?」

 

 

そう言いながら、強引に連れていこうとイリナの右手首に手をかけた瞬間

 

 

バキッ!

 

「ぐへっ!?」

 

イリナ「!?」

 

 

突然藤宮が身を乗り出すと、銀髪の男の顎目掛けてアッパーを繰り出す。

もろに顎への不意打ちを食らった銀髪の男は苦しそうに顔を歪めながら後ずさる。

 

 

「この野郎ぉぉ~~!やっちまえっ!!」

 

 

藤宮を睨み付けながら銀髪の男がそう言うと、3人は藤宮の周りを取り囲む。

 

 

「おらっ!」

 

藤宮「がっ!?」

 

「このやろっ!このやろっ!」

 

ドガッ!バキッ!ボコッ!バキッ!

 

 

ヒョロヒョロの金髪の男が背中を殴りつけて藤宮を倒れさせると、それを期に男達は倒れた藤宮の顔や腹目掛けて蹴りつける。

 

 

イリナ「ちょっと、止めて!!」

 

「うっせぇな!!」

 

イリナ「あっ!」

 

 

イリナは止めさせようと銀髪の男の肩に手をかけるが、振り払われ、イリナは少し体制を崩しながら、後退る。

 

平和的に解決しようとしたのに無視し、大切な人を傷付ける彼らにイリナはカッチーーンと頭に来ると、藤宮へのリンチに夢中になっている銀髪の男に近寄り

 

 

イリナ「はっ!!」

 

「どべあっ!?」

 

「「!?」」

 

 

思いっきり後頭部へ正拳突きすると、銀髪の男は眼球が飛び出すぐらいの勢いで顔を前へ突き出すと、バタリとその場に倒れる。倒れた男の後頭部からは僅かだが血が流れており、白目を向いている。

2人の男はその光景に思わず藤宮へのリンチを止め、驚愕していると

 

 

イリナ「あなた達も同じ目に会いたい?」

 

「ひぃぃぃーーーーー!!」

 

「ごめんなさいぃぃぃーーー!!」

 

 

イリナが睨み付けながら低い声で脅すと、残された2人の男達は気を失った銀髪の男を抱え、一目散に逃げ出した。

イリナは情けないなと男達に呆れるが、すぐに痛め付けられた藤宮のことが気になり、倒れた彼のもとへ駆け寄る。

 

 

イリナ「大丈夫?」

 

 

イリナは膝をついて藤宮の体を軽く揺する。すると、藤宮はゆっくりと顔をあげて立ち上がろうとする。体中アザだらけだが命に別状はない。

だが、

 

 

藤宮「人間は汚いっ…!こほっ…!人間は醜いっ…!人間も…!悪魔も…!全部っ!この地球から吐き出してやるーーっっ!!」

 

イリナ「…っ」

 

 

藤宮は咳き込みながら険しい顔で絶叫する。更に人間や悪魔達への憎悪を募らせながら…。

そんな彼にイリナは悲しい目で見るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、エリアルベースのコマンドルームではG.U.A.R.D.の天文科学セクションから空の異常についての調査結果が送られてきていた。

 

 

「マグナケアの光学赤外線が捉えた映像です」

 

 

オペレーターがそう言うと、中央のモニターに天体図が表示され、各恒星の位置が事細かに表示される。

もう1人のオペレーターが続けて

 

 

「恒星の配列は“正常”です」

 

アザゼル「なのに、どうして地上からは歪んで見えるんだ?」

 

石室「ミカエルからも同じ報告だったな…」

 

 

報告すると、その観測結果にアザゼルや石室は疑問を抱く。天界もそうだが、G.U.A.R.D.も負けないぐらいの最新鋭の設備があるので結果は間違いないだろう。

しかし、何故地上からは異常に見えるのかという点が納得いかない。

 

考えていると、何やら通信を受けたオペレーターが石室へ振り向き

 

 

「コマンダー。G.U.A.R.D.ヨーロッパ技術顧問のダニエル氏から通信が入ってます」

 

石室「出してくれ」

 

「はい」

 

 

石室に頼まれたオペレーターは手元のキーボードを操作すると、モニターに茶髪の西洋人の男性が映る。

 

皆、この人を覚えているだろうか?

この人は昔、大学時代に藤宮と共にクリシスの研究をした同志、あのダニエルだ。

 

藤宮がいなくなった後、研究を引き継いだダニエルは仲間と共にクリシスの改良を重ねた。

その後、破滅招来体の襲来をクリシスが言い当てたことで世界中から評価され、現在はクリシスと一緒にG.U.A.R.D.ヨーロッパの技術顧問となっている。

 

 

《ダニエル「コマンダー。外気圏の位相が歪んでいます。だから、地球には屈折した恒星の光しか届いてこないのです」》

 

石室「その情報は確かなのか?」

 

《ダニエル「ええ…」》

 

 

石室の問いにダニエルは頷く。

この情報が本当なら、空ではなく、()()()()()()()()()()()()となる。

 

 

石室「わかった。こちらでも調査を進めておく。それと、クリシスには異常が観測されてないのか?」

 

《ダニエル「はい。今のところは何も……。何かあれば、すぐに知らせます」》

 

石室「わざわざすまないな」

 

《ダニエル「はい。では…」》

 

 

ダニエルは一言告げると、石室との通信を切り、座っていた椅子の背に体重を乗せる。

選りすぐりの技術者と提携しても、旧友の藤宮が作った最高傑作の光量子コンピューター、クリシスを持ってしても原因が掴めない状況に頭を悩ませていた。

 

ダニエルは遠い空を見るように天井を眺め

 

 

ダニエル「藤宮君…。こんな時こそ力が欲しいのに……君は一体、どこで何をしてるんだ?」

 

 

かつて共に同じ志を持って研究に励んだ旧友の名を呟く。彼の安全を願う様に…。

 

しかし、彼を見下ろす夜空は怪しく円を描いて歪んでいた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時は進み、現在。

レーティングゲームを行われる筈だった空間にある神殿のとあるエリアでは、ダイナとジャグラーが白熱のバトルを繰り広げていた。

 

 

ダイナ「デュッ!ダァァッ!!」

 

ジャグラー「フッ!ハッ!」

 

 

駆け出したダイナは拳と蹴りの攻防で激しく攻め立てる。

対するジャグラーは右手に持つ蛇心剣を駆使して防ぎ、適切に剣擊で攻めるが、ダイナに間一髪避けられたり、腕で防がれる。

 

 

ズジッ!!

 

ジャグラー「!?」

 

ダイナ「デェアッ!!」

 

ジャグラー「ウッ!」

 

 

両者一歩も譲らない攻防を繰り広げていたが、隙を見たダイナは振り下ろされる蛇心剣を両腕を頭上でクロスして防ぐと、がら空きの胴体目掛けて蹴り飛ばす。

 

 

ダイナ「ハッ!」

 

 

続け様にダイナは後退るジャグラーへダイナスラッシュを3発放つ。放たれた3つの丸のこ状の光輪はジャグラーに向かっていくが

 

 

ジャグラー「フッ!」

 

パキンッ!パキンッ!パキンッ!

 

 

体制を整えたジャグラーは素早い剣捌きで光輪を斬り落とす。斬り落とされた光輪は粉々になると、粒子状になって霧散する。

 

 

ジリッ……ダッ!

 

ダイナ「!?」

 

 

ジャグラーは蛇心剣を腰に携えて深く腰を落として、跳躍すると、姿を消した。

どこだとダイナがキョロキョロ辺りを見渡していると

 

 

ジャグラー「こっちだ」

 

ダイナ「ハッ!?グアッ!」

 

 

背後から声が聞こえ、ダイナは驚愕しながらも振り向くが、避ける暇はない。

ジャグラーの横払いの剣擊をくらい、胸元から火花を散らしながら、大きくのけ反りながら吹き飛ばされる。

 

 

ダイナ「…グッ」

 

ジャグラー「シャッ!」

 

ダイナ「ハッ!」

 

 

ジャグラーは追い討ちにと前へ跳躍し、膝をつきながらも立ち上がろうとするダイナ目掛けて蛇心剣を振り下ろす。

刀は助走の勢いもあって素早く、真っ直ぐダイナの脳天目掛けて振り下ろされるが

 

 

パシーーーーーンッ!!

 

ジャグラー「ッ!」

 

 

ダイナは紙一重で白刃取りして、防ぐ。ジャグラーは今の一撃を受け止められたのが意外だったのか、少し驚いた様な声を漏らした。

 

 

ダイナ「ハァァァーーー……!!」

 

グググ……

 

ジャグラー「ヌッ!オォォォ……!」

 

 

ダイナは白刃取りしたまま力を込めて立ち上がろうとする。ジャグラーは負けじと蛇心剣に力を込めて抑え込もうとするがダイナの力を前にグングン押し返されていく。

 

そして、立ち上がったダイナは頭を大きく後ろへ引くと

 

 

ゴチンッ!!

 

ジャグラー「ガッ!?」

 

ダイナ「グアァッ!!」

 

 

思いっきり勢いをつけた頭突きをジャグラーの額にぶつけると、ジャグラーとダイナは大きく後退る。食らったジャグラーは勿論、食らわしたダイナも痛そうに頭を抱える。

 

 

ジャグラー「おいっ!もっとマトモな攻撃しろよ!痛ぇじゃねぇかっ!馬鹿なのかっ!!」

 

ダイナ「うるせっ!誰が馬鹿だ!!これが俺の戦い方なんだよっ!」

 

 

額の痛みを堪えながら激しく吠えたてるジャグラーとダイナ。生きるか死ぬかの戦いにマトモも卑劣もないと思うが…。

 

 

ジャグラー「まあ、それにしても思ったよりやるじゃねぇか」

 

ダイナ「へっ、そっちもやるじゃんか!トゲトゲ星人」

 

 

不敵に笑うジャグラーとダイナ。

両者の攻防は互角で、戦い始めてから5分経つが、まだどちらも深手を負っていない状況だ。

 

そう言ったジャグラーは額の痛みが引いたのか、「さて…」と呟きながら身構えると、

 

 

ジャグラー「続きを始めようか?」

 

ダイナ「ああ」

 

 

そう招く様に言うと、ダイナも痛みが晴れたのか不敵に返すと、両者は再び戦い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、人間界では―――

 

 

藤宮「………?」

 

 

藤宮が目を覚まし、体を起こす。辺りを見渡すとどこかの廃屋にいることに気付いた。下へ視線を送ると、かけ布団代わりなのかロングコートが腰元にかけられており、近くの床には熱冷ましの代わりであろう四方形に折られた僅かに湿っている白いハンカチが落ちていた。

 

 

藤宮「…」

 

 

次に右手首に装着してあるアグレイターに目をやると、液晶に青い光がほんのり灯る。

まだ完全な輝きに戻ってはないが、休んだおかげで本調子ではないがある程度回復できたことがわかる。

 

 

ザザァ…

 

 

さざ波の音が耳に入った藤宮は扉へ顔を向ける。ほんの少しだけ開いている古びた扉から見える外の景色から得られる情報―――それは、自分が愛してやまない海がある浜辺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザァ…

 

 

さざ波が流され、浜辺に打ち上げた漂流物を見下ろしつつ、イリナは藤宮が起きるのを待ちわびながら散歩していた。

 

 

イリナ「あ」

 

 

歩いていると、砂浜に打ち上げた漂流物の中に白い大きな巻き貝を見つける。小さい頃、(藤宮)がくれた貝殻よりもひとまわりも大きいが、似ているその貝殻を柔らかい手つきで拾い上げる。

 

イリナは思い出す……。

小さい時に海で出会った少年に初めて恋をしたこと…。

その少年を前に初めて女の子口調になったこと…。

別れ際に泣いたこと…。

そして、今も着けている貝殻の髪飾りを初めてもらったことを…。

 

短く、ほんの数時間の思い出だが、イリナにとってはかけがえのない楽しいひとときだったことは忘れない…。

 

 

イリナ「……!」

 

藤宮「…」

 

 

追憶に浸っていたイリナだが、後ろに気配を感じて振り返ると、そこには遠い目で海を眺める藤宮がいた。

イリナは貝殻を両手に包みながら、藤宮に歩み寄る。

 

 

イリナ「駄目よー、また寝てなくちゃ…。元気になんないよ?」

 

 

藤宮が自力で立てる感じを見ると、ある程度は体力が回復したことが分かるが、また無茶をして倒れるかもしれない。

念には念を押しておこうと思い、促す。

すると、藤宮はただ海を眺めながら口を開き

 

 

藤宮「…人間は地球のバイ菌だ。バイ菌は殺菌しなきゃ……地球は破滅する」

 

 

と、最後にイリナを見つめながら話す。

彼の瞳は増悪、恨み、絶望…あらゆる負の感情が込み上げられている。

藤宮は何としても地球を守らなくては…。その使命を果たさなくてはと必死に思っていると

 

 

イリナ「…ぷっ、あははは!」

 

藤宮「何が可笑しい!」

 

 

唐突にイリナは噴き出すと、そのまま笑い出す。

自分を嘲笑っているのかと少し頭にきた藤宮は険しい表情で問いただすと、イリナは

 

 

イリナ「まるで自分が地球になった様に話すんだもの」

 

藤宮「当たり前だ!俺はその為にウルトラマンの力を授かった!」

 

 

可笑しそうに話す彼女に藤宮は語気を強めて言い返すと、藤宮は彼女の隣を通って一歩、二歩と歩き出す。

すると、イリナは笑うのを止めると、藤宮をもの悲しそうに見つめ

 

 

イリナ「可哀想…」

 

 

と、哀れむ様に呟く。

その呟きが耳に入った藤宮は足を止める。

 

 

藤宮「……人間が?」

 

イリナ「藤宮君がよ。地球から選ばれて…選ばれたが為に苦しんで……自由を無くしてる」

 

 

その言葉に頭にきた藤宮は振り返ると、イリナを見据え

 

 

藤宮「俺にウルトラマンになるなと言うのか!?他の人間の様に!身勝手に生きろと!」

 

イリナ「自分を大切にしてって言っているの!地球を思う前に、まず自分を大事にしてよ!自分を大事に出来ない人に地球を守れる訳ないよっ!」

 

藤宮「…っ」

 

 

イリナの懇願に藤宮は藤宮は言葉を詰まらせる。

いつもだったら「お前に何がわかる」と冷たく言い返すが、何故かこの時ら彼女の前では何も言い返す気が起きなかった。

――自分を大事に…?その言葉が心に響いた藤宮は海を眺め考えていると、イリナが微笑みながら顔を覗き込む。

 

 

イリナ「ねえ?藤宮君のこと知りたい。ずっと一緒にいるのに私…何も知らないもの。小さい頃、私を助けてくれたでしょ?」

 

 

訊ねる彼女に藤宮は幼い頃、溺れた女の子を助けたことを思い出す。あの時の女の子が目の前にいるイリナだということはもう既にわかっている。

だが、

 

 

藤宮「…知らない。話すことは何も――」

 

 

藤宮は頑なに否定し、依然として心を開かない。

いくらイリナが出会った人でまともな部類だとしても、相手は憎むべき元人間であり、天使。

自分を語っても無駄だと…。そう判断したのだが、イリナには見透かされていた。

 

 

イリナ「嘘。私、調べたんだからね!それと、藤宮君にだって、昔は色んな夢があったでしょ?」

 

藤宮「……ない」

 

 

藤宮は否定すると、苦し紛れに顔を背ける。

すると、視線の先にあるものを見て、顔を険しくする。

 

 

イリナ「?……っ!」

 

 

イリナもつられて藤宮の視線の先を見つめると、そこには1人の部下を引き連れてこちらへ歩み寄ってくるチームリザードの瀬沼の姿があった。

 

 

瀬沼「藤宮 博也。我々と一緒に来てもらおうか?」

 

藤宮「…」

 

 

ジェクターガンを突き立て、迫り寄ってくる瀬沼達。

藤宮はイリナに危害を加えない様、彼女を手で制して下がらせるが

 

 

イリナ「藤宮君!瞑って!」

 

「「!?」」

 

 

突然イリナがそう叫ぶと、どこかから取り出した手榴弾の様なものを瀬沼達の前の地面へ投げつける。

すると、カッと地面から閃光が走り、瀬沼達は目が眩む。

 

 

「閃光弾かっ!」

 

瀬沼「くっ、くそっ!」

 

イリナ「ごめんなさい!」

 

 

藤宮を連れたイリナは苦しむ2人に謝りながら横切ると、坂をかけ上がって道路に出る。

近くにあった瀬沼達が乗ってきたであろう黒い車に乗り込む。

 

 

藤宮「運転できるのか?」

 

イリナ「ゲ、ゲームでねっ!」

 

 

助手席で困惑する藤宮にイリナは苦笑いを浮かべながら返すと、エンジンをかけ、そのまま車を走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、我夢達は遂にディオドラが待ち構えているであろう神殿の最奥にたどり着いた。

 

 

リアス「開けるわよ」

 

 

リアスは皆が頷いたことを確認すると、目の前にある大扉を思いっきり開け、皆は警戒しながら内部へと入っていく。

 

部屋の内部は今まで戦闘場で使った広間同様、広々としている。だが、今までと違う点は明かりがあまりないのか薄暗く、壁には何かの装置の部品なのか、巨大な宝玉があちこちに埋め込まれている。

そして、部屋の奥には

 

 

ゼノヴィア「アーシアッ!!」

 

 

何かの装着に磔にされているアーシアの姿があった。

見たところ外傷はないが、目元が腫れていたことに皆は気付いた。

すると、

 

 

ディオドラ「やっと来たんだね。待ってたよ」

 

 

アーシアと隣へ不気味な程ニコニコと優しげな笑みを浮かべるディオドラが現れる。

その顔を見た瞬間、皆は敵意を燃やして身構える。

 

ディオドラはそんな我夢達に嘲笑う様に笑みを浮かべたまま見渡すと、一誠がいないことに気付いた。

気付いたディオドラはククク…と笑い

 

 

ディオドラ「…あれ?ダイナがいないじゃないか?まさか、尻尾巻いて逃げ出しちゃったのかな?」

 

リアス「イッセーなら用事が出来たからいないわ。それに、()()()()()()()()()に戦わせるまでもないわ」

 

ディオドラ「ハハッ、言ってくれるじゃないか」

 

 

挑発を含めたリアスの言葉にディオドラは眉1つ顔の変化をさせずに軽やかに笑う。

それは感情を表に出さない為なのか、それとも気が長いのか…。どちらにしても不気味だ。

 

 

ゼノヴィア「ディオドラッ!貴様っ、全てアーシアに話したな!」

 

 

そんな中らゼノヴィアはディオドラを睨み付けながら問うと、ディオドラはニヤリと口角をあげながら頷き

 

 

ディオドラ「うん、全部話したよ。フフフ、いやぁ~~君達にも見せてあげたかったな。彼女が嘆き悲しむ様をっ!僕の手のひらの上で転がされていたことをっ!ハハッ、教会の女が堕ちる瞬間の顔は何度見ても堪らないね」

 

『っ…』

 

 

愉快に話すディオドラに皆は怒りを募らせる。悪魔を助けたことを後悔していないとアーシアは皆に言ったことがあるが、その助けられた張本人がまさか自分の人生を滅茶苦茶にした黒幕だと知らされたら悔しいものだ。

その証拠にアーシアは声にならない音ですすり泣いている。

 

ディオドラはすすり泣くアーシアを横目で楽しそうにニヤニヤと見ると、我夢の方を向いて指指し

 

 

ディオドラ「そこの君。君がレイナーレを倒してしまったせいで僕の計画が台無しになってしまったよ。本当なら、レイナーレにアーシアを一旦殺させてから颯爽と僕が現れてレイナーレを殺し、その場で僕の眷属にする予定だったんだ。まあ、ちょっとした手違いが発生したけど、やっと僕のもとに帰ってきたよ」

 

我夢「……」

 

 

そう自白すると、我夢は静かに怒りを覚える。

――アーシアや一誠が受けた苦しみ、悲しんだレイナーレの一件も全てコイツのせいだと……。

そう怒りに震えていると、我夢は自然に一歩二歩と前へ出ていく。

 

 

ゼノヴィア「手を貸すぞ」

 

我夢「いや、平気さ。こんなヤツ、君の手を借りるまでもない…」

 

 

途中、ゼノヴィアから助太刀を受けるが、我夢はそう答えると、懐からエスプレンダーを取り出す。

エスプレンダーをはめた右手を一旦左肩につけてから、まっすぐエスプレンダーを突き出すと、我夢は赤い閃光に包まれ始めるが

 

 

ディオドラ「先手必勝っ!!」

 

ドドドドドドドドドッ!!

 

ドォォォォンッ!!

 

 

ディオドラは変身中の隙を狙い、魔力弾をしこたま我夢へぶつける。

次々と放たれる強大な魔力弾は我夢に直撃すると大爆発を起こし、爆心地から煙があがる。

 

 

ディオドラ「ハハッ、油断大敵だよ!いくら君が凄くても、オーフィスからもらった『蛇』でパワーアップした僕の敵じゃないっ!!ハハハハハハハハ………ハ?」

 

 

不意打ちし、勝ったと思ったディオドラは高笑いをあげるが、すぐにその笑みは消え去る。

その理由は爆煙から無傷のガイアが平然と佇んでいたからだ。

 

 

ディオドラ「ばっ、馬鹿な!?あれだけの攻撃を受けて無傷なんて……!」

 

ガイア「デュアッ!グアァァァァ………!」

 

 

戦慄してディオドラは思わず固まっていると、ガイアは両腕を広げて深く腰を下ろしながら頭部にエネルギーを集中させていく。必殺技、フォトンエッジの体制だ。

 

 

ガイア「デュアァァァァーーーーーーーッ!!」

 

 

頭部に鞭の様にしなるエネルギーを形成したガイアは頭を前へ突きだし、エネルギー刃を真っ直ぐ飛ばす。

これこそ、必殺のフォトンエッジだ。

 

 

ディオドラ「…はっ!?くそっ!」

 

 

呆気にとられていたディオドラだが、ガイアの光線が迫り来ることに気付いて気を取り戻すと、両手を前へ出し、魔力の壁を形成する。

形成したバリアは分厚く、ガイアのフォトンエッジを容易く防ぐ。

 

 

ディオドラ「ハッ、どうだっ!お得意の必殺技もこの防御障壁は破れないだろっ!!僕は上級悪魔だ!ウルトラマンとはいえ、転生なりたての悪魔ごときが敵う筈ないんだっ!!」

 

 

勢いに押されていたディオドラだが、ガイアの光線を防いだことで自信を取り戻したのか、余裕の笑みを浮かべる。

だが…

 

 

ガイア「デュアッッ!!」

 

パキパキ…!パリィィィンッ!!

 

ディオドラ「…っ!?」

 

 

ガイアがほんの少し光線の威力を上げると、バリアはひびが入ると、儚い音を立てながら消滅した。

バリアを突破した光線は驚愕するディオドラを真っ直ぐ捉え、

 

 

ディオドラ「ギィアァァァァァーーーーーーッ!!」

 

ドォォォォン!!

 

 

直撃し、全身が刃で切り刻まれた様なエフェクトが入ると、ディオドラは苦痛の叫びをあげながら大爆発を起こした。辺りには爆風が吹きすさび、リアス達は思わず吹き飛ばされそうな感覚に陥るが、何とか踏ん張る。

 

 

シュウゥゥ……

 

 

爆風が静まると、爆心地には全身傷だらけかつ黒焦げのディオドラが白目を剥いて倒れていた。端正な顔は原型を留めてない程恐怖に歪んでおり、誰がどう見ても再起不能である。もう2度と我夢達に立ち向かおうとはしないだろう。

 

 

ディオドラ「はー…はー…はー…」

 

 

しかし、ディオドラはそれでもしぶとく生きていた。意識を失っていながらも微かに動かせる肺を精一杯動かして呼吸をしている。

実はガイアは殺さない程度にフォトンエッジの威力を抑えていたのだ。ディオドラはテロリストに加担したとはいえ、現魔王ベルゼブブの血筋である。

もし、殺しでもしたら、それはそれで大問題に発展してしまうからだ。

 

ディオドラに近づき、生存確認したガイアは後ろに控えている仲間達へ振り向くと

 

 

ガイア「朱乃さん、木場君。コイツを拘束しておいてくれませんか?」

 

朱乃「わかりましたわ」

 

木場「うん。君はアーシアさんを頼むよ」

 

 

2人が承諾して、早速ディオドラの拘束にかかるのを確認したガイアは装置に磔にされているアーシアのもとへ向かおうとするが

 

 

ガイア「おっと!忘れ物!」

 

ゴスッ!

 

 

何かを思い出す仕草をして、気を失っているディオドラのもとへ戻ると、その頬を殴りつける。

 

 

木場「我夢君。今のは?」

 

ガイア「うん。イッセーとの約束をね」

 

木場「あ、ああ…」

 

 

木場は一誠が我夢に自分の分までディオドラを殴ってこいと約束したのを思い出す。

この最低最悪の畜生(ディオドラ)に同情する気は全くないが、約束とはいえ、気絶した相手を容赦なく殴る我夢に木場は「怒らせては駄目だ」と悟った。

 

満足したガイアは今度こそ磔にされているアーシアのもとへ向かった。

 

 

アーシア「我夢さんっ!」

 

ガイア「待たせたね、アーシア。ごめん、ちょっと顎引いてて?」

 

 

助けに来てくれたことに感激するアーシアにガイアはそう頼む。ガイアの言う通り、アーシアは顎を引くと

 

 

ガイア「デヤッ!」

 

バギンッ!

 

ガイア「トアッ!」

 

バギンッ!

 

 

ガイアはその場で2回跳躍すると、右左交互の回し蹴りでアーシアの手首を固定する金属具を破壊した。

解放されたアーシアはガイアにペコリと頭を下げる。

 

 

アーシア「我夢さんっ!ありがとうございます!」

 

ガイア「いや、こんなのへっちゃらさ。さ、僕はこの部屋の装置について調べるから、アーシアは部長達のもとへ行きなよ」

 

アーシア「はいっ!」

 

 

元気よくリアス達のもとへ駆け出すアーシアを見送るガイアは変身を解除すると、我夢の姿に戻る。

我夢は装置を調べながらアーシアとリアス達が和気あいあいと安否を喜び合う姿に目をやる。特にゼノヴィアに至っては号泣しながら抱きついていた。

出会いこそ最悪だったが、同じ神を信仰する者同士として共感できることが多く、今では新友と呼べるまでに成長した2人の姿は微笑ましいものだ。

 

 

我夢「(この光景をイッセーに見せてやりたいな…)」

 

 

仲間達の微笑ましい輪を見て、ほっこりした我夢は今なお戦っている親友のことを思った。

 

そして、同時に願った。この幸せが続きますようにと―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、神殿の外では、上空にワームホールが広がろうとしていた。その迫り来る危機を我夢達は知らなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤宮「……海を探検したかった」

 

イリナ「え?」

 

 

車を走らせること数十分。瀬沼達からかなり離れたところまで来たところ、突然、藤宮は呟く。イリナは首を傾げていると、藤宮は

 

 

藤宮「俺の夢さ…」

 

 

と言って、補足する。

先程の浜辺での質問の返答なのだろうか?

イリナは運転しつつ、藤宮に訊ねる。

 

 

イリナ「どうして海なの?」

 

藤宮「人間は海のほんの上っ面しか知らない……地球の7割は海だというのに。どの国も、自分のとこの優秀さをひけらかそうと宇宙ばっかり行きたがる……」

 

 

世界情勢に呆れた様に語りつつ、藤宮はチラリと窓から見える海の景色を眺め

 

 

藤宮「誰も海の本当の姿を知ろうとしない。だから、俺は……」

 

 

海を愛しく眺めて話すと、言葉をとぎらせた藤宮はうっすらと笑みを浮かべながら視線を前へ向け

 

 

藤宮「あそこは俺達の生まれ故郷なんだ」

 

イリナ「素敵な夢ね…。」

 

 

楽しそうに話す彼を横目で見て、イリナもつられて笑みを浮かべる。今まで冷酷な無愛想な顔をしていながらも心は優しいと人かなと考えていたが、この笑顔を見るとそれは本当であり、笑うと意外と可愛いとイリナは思った。

 

イリナは彼の優しさに触れていると藤宮は

 

 

藤宮「…さっきは知らないって言って悪かったな。俺も覚えているさ……10年前のこと…」

 

イリナ「あ、うん」

 

藤宮「あの時、出会ったことは忘れられない。両親を失って、悲しみ、人の優しさの意味を見失っていた俺を君は救ってくれた。そして、今も…」

 

 

そう語ると、藤宮は真剣な眼差しでイリナを見て

 

 

藤宮「ありがとう、イリナ…」

 

イリナ「…っ!」

 

 

そう真っ直ぐと感謝を告げると、イリナは嬉しさと恥ずかしさが混ざった様な感覚に陥り、思わず頬を赤らめる。

心を開いてくれたこと、約束を覚えてくれたこともあるが、何よりも名前で呼んでくれたことが嬉しく、恥ずかしかった。

その声のトーンはまるで恋人の名を呼ぶように…。

 

その時、藤宮が閉ざしていた心に光が灯るように、右腕のアグレイターも美しい青い輝きを取り戻していた。

 

 

ブゥゥン…!

 

イリナ「!?」

 

 

和やかな雰囲気に包まれていると、イリナはバックミラーを見て、後ろから1台の車が猛スピードでつけてきていることに気付いた。

その車に乗る人物は先程追跡を振り払った筈の瀬沼とその部下だった。

彼らを目撃するなや否や、イリナは思い切りアクセルを踏んでスピードをあげる。

 

 

藤宮「っ!ここで俺を降ろせ!奴らを追っているのは俺だけだ!」

 

 

突然の加速に藤宮も瀬沼達が追ってきていることに気付き、車を止める様に促すが、イリナは断固として車を走らせ続ける。

 

 

藤宮「止めろっ!」

 

イリナ「やだっ!」

 

 

促し続ける藤宮だが、それでもイリナは頑なに拒む。

その間にも後ろにいる瀬沼達の車はどんどんスピードをあげ、あと2mくらいの距離まで近付いてきていた。

 

 

藤宮「止めるんだっ!」

 

イリナ「絶対にやだっ!守りたいの!今度は私があなたとあなたの夢を守りたいのよっ!!」

 

藤宮「…」

 

 

イリナの必死の叫びに藤宮は呆然とする。

藤宮は今まで多くの人を見てきたが、ここまで相手のことを真剣に考え、必死に誰かを守ろうとする人は誰1人としていなかったからだ。

 

加速し続ける2台の追走劇は曲がり角が崖となっている道路まで続いた。

 

 

瀬沼「前へ出ろ」

 

「はい!」

 

 

瀬沼の指示を受けた部下は急加速して車をイリナ達の車の前へ出ると、バリケードの様に車体を横にして立ち塞がる。

 

 

イリナ「っ!?」

 

ガッシャァァッ!!

 

 

突然、目の前に出られたイリナは当然のことながら衝突しないようにハンドルを横にきる。だが、運が悪く、車は崖っぷちのガードレールを破壊し、そのまま崖下へと落下してしまった。

 

 

「「!?」」

 

 

思わぬアクジテントに瀬沼達は目の色を変えると、車から降り、崖下を覗こうと駆け寄る。

――紫藤 イリナは天使なので空は飛べるが、人間である藤宮の場合は違う。ウルトラマンであろうとも体力を消耗しており、あの一瞬で変身することもままならないだろう。

そう思って、不安に駆られていた矢先、

 

 

キィンッ!

 

「「っ!?」」

 

 

突然、崖下から青い光の柱が立ち上り、瀬沼達は後退る。すると、その青い光の柱から右手にイリナを乗せているアグルが現れた。

 

 

アグル「…」

 

 

アグルは左手を瀬沼達の方へ突き下ろすと、指先からアグルスラッシュを放つ。

 

 

ドォンッ!ドォンッ!

 

瀬沼「うわっ!?」

 

 

空中からの攻撃に瀬沼達があたふたしている隙に、アグルは遠い空へ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瀬沼達の追撃から逃れたアグルは見渡せる海の絶景を上に、イリナを右掌に乗せて空を飛んでいた。

その行動に至ったのも逃走という意味もあるが、何よりも1人の人間の気持ちとして、イリナに海を見せたかったからだ。

 

 

イリナ「きゃっ!」

 

 

イリナは立ち上がって風を感じようとしたが、強い風の抵抗を受けて体勢が崩れ、アグルの大きな指にもたれかかる。

何せ、アグルの飛行速度はマッハ23だ。速すぎる速度から発生する風の抵抗は天使であるイリナとて、立ってられないだろう。

 

 

イリナ「わぁ~…きれ~~い……」

 

 

とはいえ、ウルトラマンから見渡す自然の景色は見事なものだ。空、山、そして広がる海。イリナも空を飛べるが、ここまでの速度は出せず、こんなにも美しく感じられる様な眺め方は出来ないだろう。

 

心を開いてくれたアグル―――藤宮と自分。束の間に訪れた空中デート。いつまでも続く……そう思っていたが、アグルは突然、空中で停止した。

 

 

イリナ「どうしたの?」

 

アグル「…」

 

 

イリナは覗き込む様に見上げながら訊ねるが、アグルは沈黙したまま、空のある一点を見上げていた。

 

アグルが見据える先―――そこには小規模ながらもワームホールが存在していた。

根源的破滅招来体が地球を滅亡させる為に数多の宇宙怪獣を送り込んできたゲートだ。

いつもならやってくる宇宙怪獣に備えて身構えるが、アグルはそうしようとは思わなかった。

 

 

アグル「…」

 

 

ウルトラマンの発達した耳から聞き取れる音。ワームホールからはリアス達やダイナ、更にはガイアの戦う声が

聞こえていた。

 

 

イリナ「?」

 

 

当然、人であるイリナにはそんな音1つも聞き取れず、ただ首を傾げていた。

そんな中、ガイアの声を聞いたアグルは“何か”を決意すると地上へ降り立ち、近くの浜辺にイリナを降ろそうとする。

だが、

 

 

イリナ「えっ!?駄目っ!私と一緒にいれば、誰もあなたを傷つけられない!」

 

アグル「ッ!」

 

 

嫌な予感を察したのか、降りまいと掌にしがみつくイリナの言葉にアグルは一瞬、思いとどまった。懇願するイリナの目尻は涙を浮かべており、悲しいものだった。

だが、アグルはすぐにそれを振り払うと、イリナを左手でそっと掴み取り、優しく浜辺へ降ろした。

 

 

イリナ「藤宮君!連れてってよ!ねぇ!」

 

アグル「……ツォワッ!」

 

イリナ「きゃっ!」

 

 

アグルはそれでも着いてこようとするイリナへ何も答えず背を向けると、そのまま地上を飛び立つ。イリナはその風圧にバランスを崩す中、アグルは上空にある小型のワームホールへ突入していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、無事アーシアを救出したリアス達は我夢が装置がアーシアの神器を使っての回復装置であると解明した後、捕縛したディオドラを連れていこうとしていた。

 

 

アーシア「部長、皆さん!私の為にありがとうございましたっ!」

 

リアス「ふふっ、いいわよ。さあ、イッセーの援護へ向かいましょう。心配はいらないだろうけど」

 

 

アーシアにすっかり笑顔が戻り、元凶のディオドラを倒して一件落着となった我夢達は未だ戦っているだろう一誠のもとへ向かう為、その場を後にしようと扉へ振り返った瞬間

 

 

ドォォォーーーーーーンッ!!

 

『!?』

 

 

後ろの天井から激しい音が聞こえ、我夢達は振り返る。

天井の一部は崩れ、何かが落ちてきたことがわかる。

瓦礫が落ち、先程までアーシアが磔にされていた装置の近くには

 

 

我夢「藤宮っ!?」

 

アグル「…」

 

「かっ、はっ…」

 

 

消息を絶っていた等身大のアグルの姿があった。アグルの足下にはひびが入りながらも豪華な装飾をされた軽装の鎧にボロボロのマントを羽織った血だらけの茶髪の男性が苦しそうに息をしていた。

皆は突如として現れたアグルに警戒する中、

 

 

ディオドラ「…シャ、シャルバッ!!」

 

リアス「…シャルバ?シャルバって確か、旧ベルゼブブの…!」

 

 

いつの間にか目を覚ましたのか、捕縛された身で動揺するディオドラの叫びを聞いて、リアスは思い出した。

禍の団(カオス・ブリゲード)』に傾倒した旧魔王派の1人で、その筆頭格である。今回も含めて、旧魔王絡みの事件の首謀者でもある。

 

動揺するディオドラに気付いたアグルは彼を見据えると

 

 

アグル「お前の仲間だったか。ここへ来る途中で邪魔をしてきたからな、返り討ちにしてやった」

 

ディオドラ「嘘だ!?」

 

アグル「…本当だ。お前、助けてもらおうと思っていたらしいが、そいつは無駄な考えだ。コイツはお前を助ける気など更々ないと言っていたぞ」

 

ディオドラ「そ、そんな…」

 

 

アグルから告げられるシャルバの本音にディオドラは落胆する。

そんな彼をよそにアグルは藤宮の姿に戻ると、我夢を見据える。

 

 

藤宮「我夢…」

 

我夢「藤宮っ、どうしてここへ?」

 

藤宮「簡単なことさ。地球に出来たワームホールが導いてくれたんだ」

 

我夢「何だって!?」

 

 

帰ってきた藤宮の言葉に我夢のみならず、リアス達も目を見開く。

ワームホールが地球とこのゲームエリアと繋がっている……つまり、『禍の団(カオス・ブリゲード)』だけでなく、目的は不明だが、根源的破滅招来体がいることを悟った。

 

未だ脅威が去ってないことを知った我夢に対して藤宮は問いかける。

 

 

藤宮「我夢。人間界から見た星々に異常があるのは知っているか?」

 

我夢「ああ、昨日わかったよ」

 

 

我夢はレーティングゲーム前日の夜に行った稲森の墓参りの際、夜空が歪んでいることを思い出す。

その我夢の答えに藤宮は目を細め

 

 

藤宮「昨日?相変わらず鈍いな!」

 

我夢「鈍い?何が鈍いんだ!?大変なことが起きようとしてるんだぞ!?」

 

 

藤宮の言葉に少し頭にきた我夢は語気を強めて問いかける。藤宮は話し続け

 

 

藤宮「言葉通り、もう遅い!“奴”が来る前に俺は全ての怪獣を目覚めさせるつもりだった!!」

 

我夢「君は知ってて…!?」

 

藤宮「お前が鈍すぎるんだっ!」

 

我夢「最低だぞ、藤宮!怪獣だって何も臨んで出てきた訳じゃない!それに多くの人が傷付き、犠牲になって死んだ人もいるんだぞっ!!」

 

 

我夢は未知の脅威を知りながらも人々を助けず、犠牲にしようとする藤宮のやり方に怒りで拳を握りしめ、批判する。

そんな我夢に藤宮は眉間にしわを寄せ

 

 

藤宮「いずれは目覚める。人間や悪魔なんて知ったことじゃない!!地球を最優先で救うことが俺達、ウルトラマンの“使命”なんだっ!!!」

 

我夢「君はウルトラマンの力の使い方を間違っているっ

!!」

 

藤宮「俺が本当のウルトラマンだ!」

 

我夢「違う!僕が本当のウルトラマンだ!」

 

 

相手の意見を真っ向から否定する我夢と藤宮。

過激していく2人の口論にリアス達は不安な気持ちになるのを感じられずにはいられなかった。

 

だが、次の瞬間。その不安は的中した。

睨み合う2人は遂にお互いの変身アイテムを取り出した。

その意味が指すことはつまり、対決ということだ。

 

 

藤宮「話し合っても無駄か…!こうなれば、我夢!実力でお前を屈服させるしかなさそうだな!!」

 

我夢「ああっ!!もう僕も手加減しないっ!全力で倒すっ!!」

 

 

藤宮にそう言い放った我夢はエスプレンダーを手にゆっくりと藤宮のもとへ歩き始める。

 

 

リアス「ちょっと、我夢!止めなさい!ここで戦っても意味はないわ!」

 

朱乃「部長の言う通りですわ!まずはイッセー君の援護が優先ですわ!」

 

木場「落ち着くんだ!」

 

ギャスパー「せっ、先輩らしくないですぅぅ!」

 

ゼノヴィア「我夢!」

 

アーシア「我夢さんっ!」

 

小猫「…我夢先輩っ!」

 

リアス「これは“主”としての命令よ!今すぐ引き返しなさい!」

 

 

藤宮のもとへ向かおうとする我夢をリアス達は声をかけて必死に引き留める。今の我夢は完全に怒りに囚われ、本来の自分を見失っている―――つまり、我夢の身が危険ということだ。

しかし、それでも歩みを止めない我夢は顔を横にして、リアス達を見据えると

 

 

我夢「これは藤宮と僕の問題なんですっ!!部長達は下がってて下さいっ!!」

 

『っ!?』

 

 

彼の口から出た言葉にリアス達は驚きのあまり言葉を失う。いつも穏やかで優しく、仲間想いの我夢が拒絶するとは思えなかったからだ。

リアス達が口を閉ざしている間にも我夢はとうとう、藤宮の前に来た。

 

 

我夢「人間や悪魔を捨て駒にしようとするお前を…!僕は絶対に許さないっ!!」

 

藤宮「来い!その甘ったれた考えごと排除してやるっ!」

 

我夢「藤宮!お前はウルトラマンじゃないっ!」

 

 

怒りを爆発させた我夢と藤宮はお互いの変身アイテムを掲げて変身しようとするが、

 

 

「「――っ!?」」

 

 

両者の脳裏にあるビジョンが流れ、思わず動きを止める。それは一誠が夢で見た荒廃した地球で死に絶えるガイアとアグル―――自分達の末路だった。

 

そのビジョンに我夢と藤宮は一瞬躊躇うが、目の前の敵を倒さなければならないとその不安を振り払い、変身アイテムを掲げた。

 

 

キィンッ!

 

 

両者の変身アイテムから溢れる赤と青の光に辺りは包まれ、輝きと共に突風が吹きすさぶ。神殿中を照らす輝きと突風にリアス達はこらえながら見続ける中

 

 

ゴゴゴゴゴ…!

 

リアス「っ!」

 

 

神殿が大きく揺れ、壁や天井中にひびが入って、瓦礫が落ちてきており、今にも崩れ落ちそうになっていることに気付いた。2人から発する強大なエネルギーに神殿が耐えきれなくなっているのだ。

 

 

木場「部長!一旦、退却しましょう!このままだと巻き込まれてしまいますっ!!」

 

リアス「…はっ!?そ、そうね!みんな、急いで外に出るわよっ!!」

 

 

木場の進言を聞いて、我夢と藤宮の迫力の前に立ち竦んでいたリアスは気を取り戻すと、我夢と藤宮を残して急いで神殿の外へ出る。

すぐに外に出た一同は木場が円形状に幾重にも重ねて創った聖魔剣に朱乃の結界を加えたシェルターの中へ避難した。

 

やがて、2人の膨大な光は今いる神殿のみならず、今まで通ってきた神殿、そしてダイナとジャグラーがいる神殿までを包み込むと、爆発し、跡形もなく消え去った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神殿の崩壊音が去り、木場と朱乃は自分達を囲うシェルターを解除すると、リアス達は辺りを見渡す。

爆発によって先程までいた神殿の景色は綺麗さっぱりなくなっており、地面には瓦礫の山が広がっていた。

ちなみにディオドラはシェルターまで抱えられている途中で落ちてきた瓦礫に頭をぶつけてまた気を失っていた。

 

 

ガイア「…」

 

アグル「…」

 

 

そして、遠くには巨大化し、睨み合うガイアとアグルの姿があった。両者は沈黙したまま一度も目を背けず、摺り足で間合いを取っている。

 

すっかり更地となった地に流れる風によって舞い上がる粉塵……。その中を間合いをとりながら動いていたガイアとアグルだったが、しばらくすると、ピタリとその動きを止める。

アグルはガイアを指差し

 

 

アグル「どちらが本当のウルトラマンか……決着を着ける時が来たようだな!」

 

ガイア「挑むところだ!」

 

 

ガイアはその宣戦布告を受けると、両者は身構える。

スタートダッシュを踏み出そうとジリジリと足に力を込めている。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

アグル「ドゥアッ!」

 

 

そして、体勢を整えた2人は一斉に駆け出す。

大地と海―――地球を構成する2つの化身による戦いの火蓋が切って下ろされた!

 

 

アグル「ホワッ!」

 

ガイア「グアッ!?」

 

 

幸先良く、アグルは走りながらガイアの前方の地面に目掛けてアグルスラッシュを連射して牽制する。

足下が爆発し、不意を突かれたガイアは視界が爆煙に包まれ、足下をすくわれる。

 

 

アグル「ドゥワッ!」

 

ガイア「!?」

 

 

ガイアが足下をすくわれていると、立ち込める爆煙の中から真っ直ぐ前方へ跳躍したアグルが飛び込んでくる。

アグルはその勢いのまま、バタ足でガイアの胸元を連続で蹴りつけると、顎を蹴り上げる。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

 

吹き飛ばされたガイアは怯みながらも立ち上がる。

 

 

アグル「ドゥワッ!」

 

 

アグルは休む間も与えず、右の回し蹴りで追撃するが、ガイアはバク転で回避する。

それでもアグルは休まず、左のかかと回し蹴り、右の回し蹴り…と蹴り技の応酬を続け、ガイアはバク転で回避し続ける。

 

 

アグル「ホワッ!」

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

アグルは大振りなストレートキックを放つが、隙を見極めたガイアに両手で止められる。

 

 

アグル「!?」

 

ガイア「ダァァァーーー!!」

 

 

ガイアはアグルの足を掴んだまま、腕に力を入れてアグルを持ち上げると、そのままアグルを遠くへ投げ飛ばす。

投げ飛ばされたアグルは手足をジタバタさせながら背中から地面に叩きつけられる。

 

 

リアス「どうしてこうなるの…!?」

 

 

リアスは2人のウルトラマンの対決を見て叫ぶように呟く。

アーシアが拐われながらも救い出し、やっと終わったと思いきや、突如現れた藤宮と我夢が口論となり、決闘を始めてしまう…。何故こんなことが起きてしまったのか、止められなかった自分をリアスは悔やむ。

 

 

木場「早く止めないとまずいな…」

 

ゼノヴィア「しかし、あれでは力が強すぎて近付けもできん…」

 

 

苦い顔で呟く木場にゼノヴィアは困った様に呟く。

ゼノヴィアの言う通り、ガイアとアグルが戦っているせいで辺りに2人のエネルギーが飛び交っており、近付こうにも近付けず、リアス達はただ見守るしか出来ない。

 

 

小猫「……先輩」

 

 

怒りに囚われ、アグルを倒すのに躍起になっているガイアを見て、小猫は不安そうに呟く。

一歩も退かぬ2人の攻防は収まるどころか、更に加熱していく…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイナ「おっ、おい!あれは!?」

 

ジャグラー「うん……?あ?」

 

 

一方、神殿の爆発から逃れ、突然の爆発に疑問に感じていたダイナとジャグラーは遠くで戦っているガイアとアグルの姿を目撃した。

 

 

ダイナ「ッ!?」

 

 

それを見たダイナは夢でユザレに言われたことを思い出す。2人が戦うと世界が滅びると―――。

焦ったダイナは居ても立ってもいられず、すぐに止めようとその場から駆け出そうとするが

 

 

ジャグラー「おい、どこにいく?俺との勝負はどうなる?」

 

 

ジャグラーはダイナの喉笛に蛇心剣を突き立て、制止させる。一旦ダイナは動きを止めるが、すぐに剣を払い退けると

 

 

ダイナ「それどころじゃないんだっ!!早く、あいつらを止めねぇとまずいことになるんだっ!」

 

ジャグラー「ほぉう?余程、重要なことらしいな」

 

 

ダイナの必死さを見たジャグラーは察したのか、緑色の瞳を歪める。その反応にダイナは

 

 

ダイナ「わかったんだろ!?だったら――」

 

ジャグラー「じゃあ。尚更邪魔しねぇとな」

 

ダイナ「ッ!?」

 

 

ジャグラーの答えにダイナは耳を疑う。事情を詳しく言ってなくとも、この必死さを見ても尚、邪魔しようとするのかと。

ほんの少しだが、話がわかると思った自分が間違っていたとダイナは後悔する。

 

 

ダイナ「…!」

 

 

こいつに構ってる暇はない―――!そう決断したや否やダイナはソルジェント光線を放とうと腕を十字に組もうとした瞬間、ジャグラーは居合い切りの様な体勢を取ると、神速でダイナの懐に忍び込む。

 

 

ダイナ「ッ!?」

 

ジャグラー「―――新月斬波

 

 

ダイナが驚愕する間もなく、ジャグラーはぼそりと呟くと、構えていた邪心剣を一気に振り上げ、赤黒い闇のエネルギーで出来た三日月型の斬撃を放つ。

 

 

ダイナ「グアァァァァーーーッ!!」

 

ドォォォンッ!

 

 

斬撃をくらったダイナは胸元を切り裂かれながら大きく後方へ吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

 

[ティヨン]

 

一誠「がはっ…!」

 

 

倒れたダイナは胸元のライフゲージが激しく赤に点滅すると、そのまま変身が解除され、一誠の姿に戻る。

胸元は左肩から右の腰の斜めに切り裂かれて血が吹き出し、一誠は苦しげに顔を歪ませながら吐血する。

 

 

ジャグラー「悪いな。これが俺の本気だ。お前との勝負、楽しかったが()()()1()()()()()()()()()()()()()()

 

一誠「何っ!?ぐっ、そぉぉ!!がっ!?」

 

 

ジャグラーの言葉を受け、一誠は痛む体を必死に力を入れながら立ち上がろうとするが、また吐血して倒れる。

そんな彼をジャグラーはやれやれを肩を竦めながら近寄ると、一誠を肩に担き上げ

 

 

ジャグラー「安心しな。これでも致命傷にはならないように手加減している。手当てすれば、すぐに助かる」

 

 

ジャグラーは肩でぐったりとしている一誠にそう耳打ちするように告げると、闇のオーラを纏うとその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アグル「ドゥワッ!」

 

ガイア「ダッ!」

 

 

体勢を整えたアグルはガイア目掛けて駆け出す。

ガイアは勢いをつけた右の回し蹴りを放つが、アグルは飛び越えると、ガイアの後ろに回り込む。

ガイアとアグルは正面を向いて素早く身構える。

 

 

ガイア「ダッ!ダッ!」

 

 

駆け寄ったガイアは右、左、右と拳のコンボを放つが、アグルは冷静に肘を駆使して防ぐ。

ガイアは勢いを止めず右のストレートパンチを放つが、アグルは横へ避けて、右腕を叩き落とす。

 

 

アグル「テェアッ!」

 

ガイア「デュアッ!」

 

アグル「ドゥワッ!?」

 

 

アグルは反撃の左腕から繰り出すラリアットを見舞うが、ガイアはくぐって回避すると、アグルの延髄を後ろ蹴りで蹴りつける。

アグルは頭を揺さぶられ、前へよろめくが、何とか体勢を整える。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

アグル「ホワッ!」

 

ガイア「ッ!?」

 

 

ガイアは回し蹴りを放つと、アグルも合わせて回し蹴りを放って相殺させる。続けてアグルはガイアの頬を手の甲で殴り付け、怯ませる。

 

その隙にアグルはガイアの頭部目掛けて回し蹴りを放つが

 

 

ガイア「ダッ!」

 

アグル「ッ!?」

 

 

ガイアにしゃがんで回避され、その際に放たれた足払いに足をすくわれ、アグルは前へ転倒する。

アグルは地面に体をぶつけながら転がっていく。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

アグル「ッ!」

 

 

ガイアは膝をついているアグルに飛びかかり、その勢いのまま蹴りあげようとする。アグルは間一髪立ち上がってバックステップで避ける。

だが、ガイアはその回避は読んでおり、飛び込んだ後、すぐに体勢を入れ替えて左の回し蹴りでアグルの背中を蹴る。

 

 

アグル「…!」

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

前へよろめきながらもこちらへ体を向けるガイアは怒涛の拳の応酬を繰り出す。その猛攻にアグルは防御反応が追い付かなくなる。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

アグル「ッ!」

 

 

猛攻を続ける中、ガイアの拳が顔面に炸裂し、アグルはきりもみ回転しながら大きく浮き上がるが

 

 

アグル「ドゥワッ!」

 

ガイア「ッ!?」

 

 

アグルは倒れ込みながら右の拳をガイアの胸元へ叩き込む。ガイアは後退り、アグルは倒れ、両者の体勢は体に走る激痛で乱れる。

 

しかし、それでも2人は痛みを堪えて立ち上がる。

アグルは走り出し、その勢いで蹴りあげようとするが

 

 

ガイア「グアッ!」

 

アグル「!?」

 

 

ガイアがその足を両腕でちゃぶ台返しの様にひっくり返される。体勢を崩したアグルはその場で1回転して地に頭をつける。

 

ガイアはふらふらとしながら立ち上がろうと膝をつくアグルを無理矢理立ち上がらせると、腹へ拳を叩き込む。

 

 

アグル「ウッ…!」

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

腹部の痛みによろめきそうながらもアグルは拳を振って抵抗するが、ガイアはそれをかわし、次々と拳を叩き込み続ける。

 

 

アグル「ツォワッ!」

 

ガイア「グアッ…!」

 

アグル「ホワッ!」

 

 

だが、アグルも負けてない。隙を狙って拳を繰り出すガイアの腕を掴んで脇を絞めて固定させると、腹部へ1、2

と拳を打ち込むと、そのまま前方へ投げ飛ばす。

 

両者一歩も譲らない―――まさに互角だ。

リアス達は2人がぶつかり合う度に来る衝撃波に身を守りながら、どちらが勝つのかと見守っていると、

 

 

ジャグラー「よお」

 

『!?』

 

 

ひょっこりといつの間にか後ろにジャグラーが現れ、皆は驚愕する。どこから来たんだと皆が動揺しながら身構えていると、

 

 

アーシア「きゃあぁぁーーー!?イッセーさんっ!!」

 

一誠「…」

 

 

ジャグラーの肩に担いでいるものを見てアーシアは悲鳴をあげる。当然だろう。血塗れの一誠がぐったりとしているのだから。

 

 

リアス「あなた…っ!!よくもイッセーをっ…!」

 

ジャグラー「おい、待て。コイツはまだ生きている。手当てしてやれば助かる。おい、そこの女。お前の『神器(セイクリッド・ギア)』とかで治してやれ」

 

アーシア「は、はいっ!」

 

 

それを見て、魔力を迸らせ、怒りの矛先を向けるリアスにジャグラーはなだめさせると、気を失っている一誠をアーシアに託す。

 

アーシアが一誠の治療をしている中、リアスはジャグラーを疑惑の目を向ける。

 

 

リアス「あなた、どういうつもり?イッセーを殺さず、生かすなんて…。それにアーシアの『神器(セイクリッド・ギア)』のことも知ってるなんて…随分詳しいものね」

 

ジャグラー「なぁに、コイツにはまだ死なれちゃ困るからな。後、『神器(セイクリッド・ギア)』の情報なんて知ってても今さら珍しくないだろ?」

 

 

ジャグラーはとぼけながらも答える。『神器(セイクリッド・ギア)』の情報は憑依先である四之宮の記憶から読み取ったものだが、それを言ったら正体がバレてしまうので伏せている。

 

 

ジャグラー「仲間は返してやった。んじゃ、俺はこれで―――」

 

 

 

そう言ったジャグラーは帰ろうと踵を返す。一誠も気は失っているが治療が終わり、()()()()()()()()も終えた。

ところが、ある1つの視線が自分を見つめているのに気付き、足を止める。

振り返ると、それは不適な顔を浮かべる木場のものだった。

 

 

ジャグラー「何だ?用でもあるのか?戦ってくれって頼みなら聞かないぞ」

 

木場「いや、失礼。僕は剣技に流通してるものでね…つい剣士と合うと、自分でも止められないぐらい興味深々になってしまうんだ。……その刀、見たところ、中々の上物だね」

 

ジャグラー「ふっ、お目が高いな。コイツは『蛇心剣』……俺の愛刀だ。世界に1つしかない俺だけの刀だ。…ま、それはいいとして、お前も剣の腕も中々なもんだな…」

 

木場「それはどうも…。師匠から受け継いだ伝統ある流派なんでね。失礼だが、良ければ君の流派を教えてくれないかい?」

 

 

木場が訊ねると、ジャグラーはふっと鼻で笑うと、蛇心剣を鞘からそっと引き抜いて刀身を見せ

 

 

ジャグラー「…邪心剣・邪心流剣術。それが俺の流派だ。ちなみにこれは自己流だ」

 

木場「そうか…。次、相まみえる時は是非ともお手合わせ願いたい」

 

ジャグラー「ふっ、時間がありゃあな」

 

 

その挑戦を聞き受けたのかジャグラーは不適に笑って返すと、闇のオーラを纏い、目にも止まらぬ速さでどこかへ立ち去っていった。

 

 

ゼノヴィア「は、速いっ!?」

 

木場「僕の目にも捉えきれないなんて…」

 

 

その速さに皆は目を丸くする。特にスピードに自信がある木場は信じられない様子だった。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

アグル「ドゥワッ!」

 

『っ!』

 

 

呆気にとられていたリアス達だったが、ガイアとアグルの声を聞き、再び2人の方へ視線を向ける。

ガイアとアグルは互角に繰り広げており、同じくらい疲弊している。

 

 

ガイア「ダッ!デュアッ!」

 

 

腰を深く沈めて拳で腹部を連続で殴り付けてから、両手で突き入れるガイアの猛攻。

 

 

アグル「ドゥオァァァーーー!!」

 

 

倒れ込みながら首筋に叩き込むアグルの回転蹴り。

 

 

ガイア「ダァァァーーーー!!」

 

 

ガイアの背負い投げ。

 

 

アグル「ドォアッ!」

 

 

手を払いのけながら、腕をクルクルと回しながら肩に叩き込むアグルの掌底。

 

 

ガイア「ダッ!」

 

アグル「ドゥワッ!」

 

 

足で頭を挟みこんで投げ飛ばすガイア。お返しに足でガイアの足を挟みこんですっ転ばせるアグル。

2人の攻防は果てしなく続く…。

 

 

アグル「ヌンッ…!」

 

ガイア「グアッ…!」

 

「「ドゥワァァァーー!/トアッ!」」

 

 

間合いを取った2人はその場から駆け出すと、跳躍し、すれ違い様にお互い蹴りを繰り出す。交差した蹴りから発生したエネルギーは空へと昇っていく…。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

アグル「…!」

 

ガイア「グアァァァァ……!」

 

 

ガイアはアグルに掴みかかると、両腕を掴んでその場でハンマー投げの様に回り始める。回転の勢いは増していくと、アグルの体は浮かび上がり、ガイアは腕1本を掴んで回していく。

 

 

ガイア「…!?」

 

アグル「ホワァァァァ……!」

 

 

だが、アグルはタイミングを見計らって地に降り立つと体勢を入れ替え、逆にガイアをブンブンと回していく。

 

 

アグル「ドゥワァァァーーー!!」

 

ガイア「ドアァァァァーーーー!?」

 

 

そのまま勢いをつけたアグルは思いっきりガイアを投げ飛ばす。投げ飛ばされたガイアは空中で手足をジタバタしながら、地面へ叩きつけられ、後ろへ転がっていく。

 

 

ガイア「…ッ!」

 

アグル「…ッ」

 

 

肩で息をしながら起き上がるガイアにアグルも肩で息をしながら、「かかってこい」と挑発する様に手招きする。しかし、両者共、長い時間戦い続けたからか満身創痍で、残された体力も後僅かということがわかった。

 

 

アグル「ドゥワァァァーー!」

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

アグルとガイアは体に回転をつけながら同時に跳躍すると、手を突きだし、ドリルの様に回転しながら空へと昇っていく。

 

そして、ある程度の高度に辿り着いた両者は進路を変更して、向き合う様にすると、そのまま突撃していく。

 

 

キィンッ!バチチチ……!!

 

ガイア「ドアッ!?」

 

アグル「ドゥワァァァーー!?」

 

 

ぶつかり合った2人の間に閃光が走り、スパークが迸る。ガイアとアグルは体勢を崩して地上へまっ逆さまに落下する。

 

その発生した強力なエネルギーはまた空へと昇っていく…。

 

 

ガイア「…ッ」

 

[ピコン]

 

アグル「…ッ」

 

[テレン]

 

 

ガイアとアグルは満身創痍ながらも起き上がる。その時、胸元に光るライフゲージが青から赤ヘ点滅を始めていた。

それは2人に残された体力はもう僅かしかないことを告げている。

 

 

ガイア「…」

 

アグル「…」

 

 

次で決着を着ける―――。残り少ない体力からそう決めた2人は中央に集まると、アグルは右腕、ガイアは左腕を合わせる。

 

 

アグル「ドゥワッ!フォォォォ……!!」

 

ガイア「グアッ!グアァァァァ……!!」

 

 

 

そして、2人は素早くバックステップで下がると、アグルはフォトンクラッシャー、ガイアはフォトンエッジ……一気にケリをつける為、お互いの得意とする必殺技の体勢に入ったのだった…。

 

 

 

 

 

 




次回予告

勝利するのはガイアか?アグルか?
その時、最大の敵が地球を襲う…!


我夢「大事なものなんて、いくらでもあるじゃないかっ!!」


次回、「ハイスクールG×A」
「決着の日」
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