ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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巨獣 ゾーリム 登場!


第40話「決着の日」

時は遡り、ガイアとアグルが丁度戦い始めた頃。石室、アザゼル、そしてサーゼクス達はピースキャリーに乗り、XIGウイングや羽を広げて飛ぶ部下を連れて旧魔王派の悪魔達を蹴散らしていた。

悪魔、天使、堕天使に加えXIGの最新鋭の戦闘機部隊を前に旧魔王派は次々と倒されていった。

 

 

サーゼクス「始まったか…」

 

石室「ああ…」

 

アザゼル「…だな」

 

 

遠くを見据えるサーゼクスに石室とアザゼルは頷く。遠くには巨大化したガイアとアグルが戦う光景があった。

ガイアとアグル―――いずれは争うことは前々からわかってはいたが、戦いの衝撃は遠く離れたここにまで伝わってくる。

 

 

サーゼクス「……(()()()と同じか…)」

 

 

その光景にサーゼクスは苦い顔をしながら心の中でぼそりと呟く。サーゼクスはただ1人、過去に目撃した出来事と今回の戦いを重ね合わせていたのだ。

3000万年前、自分が目撃した衝撃の出来事と…。

 

 

アザゼル「石室、我夢を援護するか?」

 

石室「いいや、今は手を出すな…。これは巨人同士の戦いだ。2人共、ミカエルや部下にも全員待機するように言ってくれ」

 

アザゼル「りょーかいっ」

 

サーゼクス「…ああ」

 

 

石室はそう頼むと、アザゼルとサーゼクスは通信を使って部下や天使側にも待機命令を伝達する。

旧魔王派の悪魔を拘束した一同は空中で戦いの行方を見守る。

ガイアとアグルは一歩も退かぬ互角の戦いを繰り広げており、長引けば長引くほど戦いは加熱していく。 

 

 

「「「?」」」

 

 

石室達は固唾を飲んで見守っていながらふと視線を変えると、ピースキャリーの窓に細い足が乗っかっていることに気付いた。

それを見たアザゼルは代表してピースキャリーから降りて外へ出ると、丁度コックピットがある天井部を見て目を細めた。

 

 

アザゼル「…まさか、お前自身が出張ってくるとはな。オーフィス

 

 

アザゼルが静かに呟くと、その声に気付いた少女は振り返る。そこには、腰まである真っ黒な長髪に胸元をはだけさせた黒いワンピースを着用した小柄な少女だった。

 

しかし、オーフィスという名前に皆は聞き覚えがないだろうか?そう、彼女こそが『禍の団(カオス・ブリゲード)』の統率者で、『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』の異名を持つドラゴンのオーフィスだ。

 

振り返ったオーフィスはアザゼルをその虚ろな目で見つめながら薄笑いを浮かべ

 

 

オーフィス「アザゼル。久しい」

 

アザゼル「前はジジイの姿か?今度は美少女の姿とは恐れいるな……。何しに来たんだ?」

 

 

アザゼルは警戒しながら慎重に訊ねる。すると、オーフィスは遠くで戦うガイアとアグルへ視線を向け

 

 

オーフィス「見学。ただ、それだけ」

 

アザゼル「ははっ、高みの見物って訳ね……。クルゼレイや部下も俺たちが倒し、俺の教え子によると、シャルバもやられたそうだ。つまり、旧魔王派は全滅って訳だ…」

 

 

そう短く答える彼女にアザゼルは苦笑しながら現状を話すと、オーフィスに光の槍の矛先を首もとに突きつける。

 

 

アザゼル「まあ、ここでボスであるお前を倒せば、一件落着かな?」

 

 

アザゼルはそう言いながら槍の矛先を1ミリ足りとも動かさず突きつける。確かにここでオーフィスを倒せば、『禍の団(カオス・ブリゲード)』は実質的に壊滅となる。だが、オーフィスは人差し指で槍を軽く払うと、

 

 

オーフィス「無理。アザゼルでは我を倒せない」

 

アザゼル「ははっ、ハッキリ言ってくれるね…」

 

 

そう告げられたアザゼルは苦笑いを浮かべ、光の槍を引っ込める。アザゼルも勝てる見込みはないとわかっていた。しかし、この絶好のチャンスを見逃せなかった。

 

 

アザゼル「なら、オーフィス。1つだけ聞かせてくれ。何故テロリスト集団に力を貸した?お前の目的は何なんだ?」

 

 

アザゼルは問う。アザゼルは以前から気になっていたのだ。『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』と言われ、恐れられる程の存在が何故、『禍の団(カオス・ブリゲード)』に協力したのかと。

それを聞いたオーフィスは人差し指を空へ向けると、ひと言答える。

 

 

オーフィス「――静寂」

 

アザゼル「……は?静寂?」

 

 

その予想外の返答にアザゼルは耳を疑う。そう反応するのも世界征服とか力を見せしめる為とか、そんな有りがちなものかと思っていたからだ。

もう一度問い返すと、オーフィスは底が見えない黒い瞳でアザゼルを見据え

 

 

オーフィス「…故郷の次元の狭間に戻り、静寂を得たい。ただ、それだけ…」

 

アザゼル「…」

 

 

そう答えるオーフィスにアザゼルは呆気にとられていた。強力な力を持つドラゴンの目的がただ平穏を望む……その意外な答えに驚かざるを得なかった。

オーフィスは言葉を続け

 

 

オーフィス「でも、かの地にはグレートレッドがいる。グレートレッド手強い。だから――」

 

アザゼル「なるほど…。グレートレッドを追い出すのを条件に『禍の団(カオス・ブリゲード)』に協力した訳ね」

 

 

アザゼルが続けて言うと、オーフィスはコクリと頷く。

グレートレッドとはオーフィスと同じ次元の狭間に巣食う最強のドラゴンで、その実力はオーフィスに並ぶ存在である。

 

――確かに禁忌の技法に詳しい『禍の団(カオス・ブリゲード)』に協力すれば、いずれ追い出す方法が見つかるのだろうが…。

アザゼルはそう考えていると、オーフィスは空をおかしそうに見上げ

 

 

オーフィス「…でも、今の空じゃ無理。宇宙から強い力感じる……」

 

アザゼル「宇宙から…強い力…?」

 

ピピッ

 

 

オーフィスの呟きにアザゼルは首を傾げていると、腕に着けてあるXIGナビから通知音が鳴る。

アザゼルはXIGナビを開くと、石室が難しい顔をしていた。

 

 

《石室「アザゼル、聞いてくれ。今さっき、G.U.A.R.D.ヨーロッパのダニエルから連絡があった。今、星が歪む程、空間の位相が捻れているらしい」》

 

アザゼル「何?」

 

《石室「この現象は遥か彼方のどこかの宇宙とこの地球――いや、冥界とが繋がろうとしていることが原因だったんだ」》

 

アザゼル「どういうことだ…?」

 

 

眉をひそめながらアザゼルは訊ねると、石室は語り続ける。

 

 

《石室「コッヴやパズズはワームホールを外気圏に作り、何者かが送ってきた……。だが、今起きようとしていることはその規模に収まらない―――直接巨大な穴に繋がっている」》

 

アザゼル「…っ!?じゃあ、それは根源的破滅招来体そのものが来るということか!?」

 

《石室「いいや、わからない。ダニエルも今、クリシスで解析を急いでいるところだ。ただ、おかしい点はすぐにワームホールが開かないことだ」》

 

アザゼル「…」

 

 

それを聞いたアザゼルは通信を閉じる。

そして、ガイアとアグルの方へ目をやると、2人は空中で激突していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石室「何故だ…?何故、この時に…?巨人同士が戦っているこの時に…?」

 

 

石室は疑問に感じていた。いつもならすぐに怪獣を送り出すワームホールは宇宙で開いたままでいることに。地上でガイアとアグルが戦っている今、まさにこの場所、この時に…。

偶然かと思っていた状況だが、この奇妙な重なりあいに石室は疑問に感じていると

 

 

サーゼクス「石室」

 

石室「…っ!」

 

 

サーゼクスに声をかけられ、石室は視線を前へ向ける。

視線の先にはガイアとアグルが腕を重ね、バックステップで下がり、お互い必殺技の体制に入ろうとしていた。

 

 

アグル「ドゥワッ!」

 

ガイア「グアッ!」

 

 

身構える2人の頭部にはエネルギーが集中していき、ガイアは赤色、アグルには青色のしなるエネルギー刃が形成されていく。

 

 

アザゼル「…おいっ!?あれ!」

 

サーゼクス「…っ!?」

 

石室「何っ!?」

 

 

アザゼルがコックピットに戻り、今まさに起ころうとする激突を見守っていると、石室達は2人に近付こうとする小さな人影を見て目を見開いた。

それはどこから現れたのか、イリナが白い天使の翼を羽ばたかせながら急降下で近付こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガイア「グァァァァァ………!!」

 

アグル「フォォォォォ………!!」

 

イリナ「やめてぇぇーーーー!やめてよぉぉーーーー!!」

 

『!?』

 

 

2人が必殺技の体制に入る最中、空を飛びながらイリナは止めようと目に涙を浮かべながら必死に叫ぶ。だが、今近付くことは危険行為そのものだ。

彼女の存在に気付いたリアス達から木場とゼノヴィアが『騎士(ナイト)』のスピードを活かして接近すると、イリナを止める。

 

 

ゼノヴィア「待てっ!危険だっ!」

 

イリナ「離してっ!離してよぉぉーーー!!」

 

 

木場とゼノヴィアが掴んで止めても尚、イリナはジタバタもがいて抵抗する。

イリナに何があったのか…?2人がそう思いながらイリナを掴んだままリアスのもとへ降り立つと、ガイアとアグルはエネルギーを溜め終わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクス「これで決着がつく…!」

 

アザゼル「ああ…」

 

 

サーゼクスとアザゼルは固唾を飲んで戦いの行く末を見守っていた。

ただ、石室は1人、今、起きている状況について考えていた。

 

 

石室「ワームホールは開かない……。もし…もし、何かを待っているのだとしたら……?」

 

 

呟きながら、考えを纏める。ワームホール、ガイア、アグル……その要素を纏めると、1つの結論が脳裏に浮かんだ。

 

 

石室「…!そういうことだったのか…!そうだったのか…!」

 

サーゼクス「…!石室、君も気付いたのか!?」

 

 

石室の呟きに反応したサーゼクスと石室、そしてアザゼルは顔を見合わせると頷く。どうやら、3人共同じ結論に至ったようだ。

 

 

石室「ウイング各機、即刻退避!」

 

サーゼクス「魔王軍、速やかに退避!天界軍もだ!」

 

アザゼル「おい、何ですってじゃねぇよ!速く撤退しろって!やべぇことが起きるんだよっ!!」

 

 

そう考えつくなや否や、3人は全部隊に退避命令を下す。それと同時に石室はピースキャリーの操縦桿をきって、ガイアとアグルから離れ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、リアス達は固唾を飲んでこの戦いの結末を見届けていた。ガイアとアグル―――どちらが勝ち、どちらが死ぬのか……その行く末を見守っていたのだが、リアスのXIGナビにアザゼルの通信が入る。

 

 

《アザゼル「おい、リアス!さっさとそこを離れろっ!」》

 

リアス「っ、でも!我夢が――」

 

《アザゼル「死にてぇのか!?今すぐ離れないと取り返しのつかないことになるぞっ!!」》

 

リアス「わ、わかったわ!みんな、退避するわよ!!」

 

 

切羽詰まったアザゼルの様子に圧巻されたリアスは戸惑いつつも承諾すると、眷属達やイリナに撤退するように指示する。

 

 

ガイア「―――ァァァァァァ!!デュアァァァァァーーーーーーーーーッッ!!」

 

アグル「ドゥワァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」

 

 

その瞬間、ガイアはフォトンエッジ、アグルはフォトンクラッシャーを放つ。

放たれた赤と青の光線は中央でぶつかり合い、激しい閃光と共に突風が吹き荒れる。

 

 

ガイア「―――!?」

 

アグル「―――!?」

 

リアス「伏せてっ!」

 

 

エネルギーがぶつかり合うことで発生した強力なエネルギーの嵐にガイアとアグルは呑み込まれ、吹き荒れる突風に吹き飛ばされないよう、リアス達はその場でしゃがむ。

そのエネルギーの嵐から発する突風は近くにいた彼らだけでなく、遠くで退避していた石室達をも巻き込む。

 

 

アザゼル「何てパワーだっ!?」

 

石室「これを待っていたのか…!」

 

 

石室はそう呟きながら暴れ回る操縦桿を力を込めて抑え、何とか吹き飛ばされないように堪える。

 

2つの巨人が放った膨大なエネルギーはそのまま空へと昇っていく。

その最中、エネルギーがぶつかり合った影響なのか、我夢と藤宮は光に包まれた精神内で出会う。

 

 

藤宮「強くなったんだな、我夢」

 

我夢「…僕が強いんじゃない……やっとわかったんだ。僕は地球の力を借りているんだ。君だってそうだろう?」

 

藤宮「そうだ……地球は慈悲深い母の子ではない。こんな破壊的の力を俺に授けてくれた。俺がしようとしていることは地球が願っていることだ…。それを我夢!お前はっ!!」

 

 

藤宮が指差して糾弾すると、2人の意識は弾ける様に遠のいていった。

 

空を突破した膨大なエネルギーは昇っていき、宇宙にあるワームホールに吸い込まれていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突風が止むと、エネルギーのぶつかり合いの影響で瓦礫が跡形もなくなり、中心には大きなクレーターが出来ていた。

地形が大きく変わったそのクレーターには我夢と藤宮がそれぞれ離れた位置で横たわっていた。

 

 

我夢「う、うう…!藤宮っ…」

 

 

仰向けで横たわっている我夢は苦悶の顔を浮かべながら藤宮の名を呼ぶ。我夢の身体は傷口から溢れ出る血でほぼ真っ赤に染まっており、額からは脂汗が流れ落ちていて、意識も朦朧としていた。

 

 

藤宮「うぅっ…!力を……!俺に……力を…っ!」

 

 

うつ伏せで横たわっている藤宮は目の前に落ちている砂利を拾い、握りしめる…。彼も我夢同様血塗れで、額から溢れる脂汗は地へと落ちていく。

 

その時、藤宮は朦朧としながらも、何人かの人影が自分のもとへやって来ることに気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我夢!/君!/先輩!』

 

 

ウルトラマンが消えた後、我夢達を捜索していたリアス、朱乃、小猫、ギャスパー、アーシア。そして一誠は重傷を負っている我夢を見つけると、目の色を変えて駆け寄る。

 

 

一誠「こいつは酷ぇ…」

 

ギャスパー「あ…ああ…」

 

小猫「…っ」

 

アーシア「我夢さん…」

 

 

血塗れになっている我夢を見て、一誠は顔を歪める。これまで幾多の戦いを繰り広げてきたが、ここまで戦いの後が酷かったのは見たことがない。しかもギャスパー、小猫、アーシアはあまりにも刺激が強かったのか、見てられない状況だ。

 

 

リアス「我夢!大丈夫っ!?」

 

朱乃「我夢君!しっかりしてっ!」

 

 

リアスと朱乃は横について必死に呼び掛ける。朱乃に至っては今にも泣きそうに瞳を潤わせていた。

すると、2人の声が聞こえたのか、我夢は虚ろながらもゆっくりと目を開ける。

 

 

我夢「…朱…乃さん…。ぶちょ…う…。う"ぅ"あ"っ"っ"!?」

 

朱乃「あっ、無理しないで!」

 

リアス「アーシア、小猫!我夢の手当てを!」

 

アーシア「はいっ!」

 

小猫「…はい!」

 

 

我夢は起き上がろうとするが、傷に響き、顔を歪ませる。それを見た朱乃は不安そうながらも優しく制止していると、リアスの

 

 

我夢「待って…くだ…さい…」

 

『!?』

 

 

我夢は力なくぷるぷると震える手を必死に動かして、リアスの手首を掴み、待ったをかける。

その声に動きを止めた皆は、どうしたのかと疑問に思っていると、我夢は虚ろな目でリアスを見つめ

 

 

我夢「ふ…藤…宮を…。藤宮を先に…助けて…くだ…さい……」

 

リアス「我夢っ!?」

 

 

そう懇願した我夢は意識を手放す。皆は心配して近寄るが、息はしていることを知って安堵する。

 

 

リアス「小猫。仙術で応急処置をお願い。私はアーシアを連れて藤宮のもとへ行くわ」

 

小猫「わかりました!」

 

リアス「行くわよ」

 

アーシア「はいっ!」

 

 

そう指示したリアスはアーシアを連れて藤宮のもとへ走っていく。小猫は猫又の力を開放すると、我夢の胸元に手を当てて、さっそく気を流し込む。

仙術には相手に気を流し込むことで、著しく減った生命力を徐々に回復させる効果があるのだ。

 

 

小猫「(先輩!絶対死なないで…!)」

 

 

小猫は気を失っている我夢の顔を見ながら必死に気を流し込む。死ぬかもしれないという不安に押し潰されそうになりながらも、小猫は懸命に仙術を使って治療する。

今度は自分が助ける番だと、強く思って…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、倒れた藤宮に群がるイリナ、木場、ゼノヴィアののもとへリアスと共に着いたアーシアは『神器(セイクリッド・ギア)』の力を使い、藤宮を治療していく。

淡い緑色の光に藤宮が包まれて治療されていく中、イリナは涙ぐみながら共に見守るゼノヴィアの胸元に寄りかかっていた。

 

 

イリナ「……うっ、ううっ……藤宮君っ…」

 

 

せっかく彼と心を通わすことが出来たのに、こんな結果になってしまったイリナは嘆き悲しむ。そんなイリナのすすり泣く声をゼノヴィア達は静かに聞くしかなかった。

 

その後、石室達が到着した。リアス達が事の顛末を告げる中、我夢は魔王領の病院へ。藤宮は堕天使の保有する医療施設へ運ばれることになった。

ディオドラはというと、その場で堕天使の保有する永久凍土の牢獄、コキュートスへの収監が決定した。

 

執着が怒りを呼び、憎しみが悲しみを呼んだこの一連の出来事はこうして幕を閉じたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その惨劇を悲しむ者もいれば、逆に楽しむ者もいた。

リアス達から遠く離れた場所では、ヴァーリ、美猴の姿があった。

 

 

ヴァーリ「ははははっ!!いいじゃないかっ!素晴らしいっ!!これだ、この力を求めていたんだっ!!」

 

 

一部始終を見ていたヴァーリは愉快に笑う。ぶつかり合うガイアとアグルの死闘の凄まじさの前にヴァーリはすっかり虜になっていた。

そんな彼を美猴はジト目で見据えていた。

 

 

美猴「なあ、ヴァーリ?早く帰ろうぜぇ?早いとこオーフィスを回収して、アーサーの奴を呼んで帰ろうや」

 

ヴァーリ「ん?ああ、悪いな。今、連絡する」

 

 

ねだる美猴にヴァーリは頷くと、小型の水晶型の連絡機を取り出して、水晶に映る人物に事情を話すと、ヴァーリ達の近くの空間に裂け目ができる。

 

そして、その空間の裂け目からエクスカリバーを手に眼鏡をかけた紳士風の男、アーサー・ペンドラゴンが現れる。

アーサーは深くため息をつくと、呆れた様にヴァーリを見据え

 

 

アーサー「ヴァーリ。随分、帰りの連絡が遅れましたね?もう少し連絡が遅れていましたら、オーフィスを連れ出して好き勝手に出歩いていることがバレていましたよ?」

 

ヴァーリ「仕方ないだろう?オーフィスが出たがっていたのだから」

 

アーサー「はぁ…。あなたがオーフィスのことを気にかけているのはわかりますが、これ以上好き勝手に行動するのは控えて下さい。私達の立ち位置が危うくなりかねますから…」

 

 

ヴァーリの言い分を理解しつつも、アーサーを嘆息しながら指摘する。アーサーもこういった気配りができ、向上心の塊である彼を気に入って行動を共にしているが、この破天荒な一面はどうやっても頭を悩ませるものだ。

 

アーサーが呆れていると、ヴァーリは話を切り替える様にすっかりさら地となったゲームエリアを見渡すと、

 

 

ヴァーリ「…まあ、見学は無駄じゃなかった。おかげで新しい“目標”が出来たよ」

 

アーサー「目標…?」

 

美猴「目標ってお前。この戦いを見て何の目標を?」

 

 

アーサーと美猴はその言葉の意味を理解できず首を傾げていると、ヴァーリは口角をあげ、

 

 

ヴァーリ「ああ、立派な目標さ。古代のウルトラマンの力をね…

 

 

そう言って不敵な笑みを浮かべるヴァーリ。掲げた目標が指す意味とは……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1時間後。宇宙に佇む巨大なワームホールは2人のウルトラマンから放出した膨大なエネルギーを得て、稲妻を迸らせながら、その規模を広げていた。

 

この現象はエリアルベースのコマンドルームにまで届いていた。

 

 

「ワームゾーン!400%拡大!」

 

「層褶曲係数180%!何が来るのよ!?」

 

石室「…」

 

 

どんどん大きくなっていくワームホールの現状にオペレーター達は動揺を隠せないでいた。

石室は迫り来る危機に苦い顔を浮かべていると、ダニエルからの緊急の通信がきた。

すぐに中央のモニターに映ったダニエルの顔は危機迫ったものだった。

 

 

石室「何があった?」

 

《ダニエル「全ての軌道衛星及び迎撃システムがいきなり、暴走したクリシスによって乗っ取られました」》

 

アザゼル「何っ…!?」

 

 

その報告を聞いた石室達は目を見開く。この最悪な事態に頼みの綱である光量子コンピューターが突如、暴走したからだ。

ダニエルは話し続け

 

 

《ダニエル「今、仲間が必死にネットワークからクリシスを遮断する試みをしています」》

 

石室「光量子コンピューターが…?」

 

《ダニエル「はい。今まで1度も暴走なんて起こったことがないですが……。奇妙なことにワームホールは地球の外気圏に勢いを伸ばしていますが、この地上に現れる気配がしないのです」》

 

アザゼル「何っ!?じゃあ、どこへ向かおうとしてるんだ?」

 

ピピッ!

 

 

アザゼルがそう訊ねた瞬間、アザゼルの腰に着けてあるW.I.T.から着信音が鳴る。

アザゼルはW.I.T.を開くと、

 

 

《「総督!大変です!冥界にワームホールがっ!!」》

 

アザゼル「!?」

 

石室「…何だと?」

 

 

アザゼルの部下の報告に石室達は一瞬耳を疑った。ワームホールはてっきり人間界にやってくるものだと思っていたが、まさか冥界に来るとは予想だにしなかった。

 

 

アザゼル「んで、冥界のどこに現れた?」

 

《「冥界の首都、リリスですっ!」》

 

『っ!?』

 

アザゼル「っ、最悪だな…」

 

 

ワームホールの現在地にアザゼルは毒つく。リリスは首都とあって人口も多く、未知の敵の前に避難誘導は難しいものだろう。しかも、リリスにある病院には現在、我夢が入院している。

 

このままだとまずい…。かつてない程の危機に石室は冷静に判断すると、アザゼルにこう頼む。

 

 

石室「アザゼル。即刻、リアスとソーナ達をコマンドルームに召集してくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、首都リリスでは、いつものように人々が生活をしていた。だが、空はワームホールによって暗雲に包まれ、ゴロゴロを稲光りを起こしていた。

 

 

我夢「…はっ」

 

 

その首都の一角にあるセラフォルー記念病院の1室では、ベッドで横になっていた我夢が目を覚ましていた。

体を見ると病人服を着ており、部屋中真っ白い壁や天井であることを見て、病院に運ばれたのだと我夢は瞬時に理解した。

 

とにかく動こう…。我夢はこのままじっとしてても仕方ないと思い、ベッドから出ようと体を動かすが、柔らかく、そして暖かい物体に足が当たる。

 

 

我夢「?」

 

小猫「…すぅ…すぅ…」

 

 

疑問に思った我夢はかけ布団をめくると、そこには体を丸くした小猫が猫又状態のまま、すやすやと寝息を立てながら眠っていた。

 

どうして添い寝を…?と我夢が思っていると、病室のドアが開く。

我夢がドアの方へ視線を向けると、にこやかな笑みを浮かべたサーゼクスが立っていた。

 

 

サーゼクス「やあ、我夢君。目覚めたようだね」

 

我夢「サーゼクス様…」

 

サーゼクス「見たところ、元気そうで何よりだ…。その子は君が搬送されてからも付きっきりで看病してたんだよ?」

 

我夢「小猫が?」

 

 

サーゼクスにそう言われた我夢はもう1度小猫の方へ視線を向ける。看病――猫又の状態のまま寝ていることから、仙術で気を流し込みながら看病していたことを我夢は察する。

 

 

我夢「(…心配かけさせたんだな)」

 

 

我夢は小猫の寝顔を見ながら、彼女に大変な思いをさせたんだと反省する。小猫はグレモリー眷属の中で一番仲間思いが厚い。それ故、大切な仲間が危機に会うと、ひどく精神に負担をかけてしまうのだ。

 

 

我夢「(ありがとう…)」

 

 

我夢は心の中で感謝しながら、そっとかけ布団をかけ直してあげる。

 

 

サーゼクス「起きたばかりで悪いが、君に伝えたいことがある。彼女の眠りを妨げる訳にはいかないから、廊下に出て話さないか?」

 

我夢「あっ、はい」

 

 

促された我夢はそう返事すると、小猫を起こさない様にそっとベッドを抜け出し、近くの棚にかけてあった駒王学園の制服の上着を着て、サーゼクスと共に廊下へと出る。

 

ドアを閉め、廊下に出るなり、突然我夢はサーゼクスに頭を下げる。

 

 

サーゼクス「…?」

 

我夢「すみません…僕のせいで…。憎しみとか…怒りとか……そんな思いのままでウルトラマンが戦っちゃいけないのに……。そんなこと、わかっていた筈なのに……どうして……どうしてウルトラマン同士が戦うことなんてに……」

 

 

頭を下げながら懺悔の言葉を呟く我夢。リアスや仲間達から制止させたのにも関わらず、突き放してアグルと戦い、その結果多大な迷惑をかけてしまった。

顔を曇らせる我夢にサーゼクスは肩をポンと優しく当てると、顔を上げさせると、

 

 

サーゼクス「いや、もう過ぎたことだ。君はウルトラマンである前に1人の人だ……そのことを忘れてはいけない」

 

我夢「…っ」

 

 

労りの言葉をかけると、我夢はハッと気が付く。ウルトラマンとして戦う中で、力と存在の重さに我夢は自己を見失っていたことを。

サーゼクスは「それと…」と付け加えると

 

 

サーゼクス「2人の巨人の対決――()()()()()()()()()()()()()()()()

 

我夢「!?」

 

 

その言葉を聞き、我夢は目を見開く。

意図して望んでいた者…?我夢が疑問で眉間にしわを寄せると、サーゼクスは話を続け

 

 

サーゼクス「2人のウルトラマンが激突した時に生じた膨大なエネルギー―――それを待ち望んでいた存在がどこかへいた…。その首謀者がここに映っている」

 

我夢「………そんなっ!?」

 

 

サーゼクスから受け取ったタブレットに映る映像を見て、我夢は絶句する。意外なもの…というよりも信じられないといった様子だった。

 

 

サーゼクス「もうすぐそれがここ、首都リリスへ降りてくる。住民の避難はほぼ完了したから、君達も早く避難するんだ」

 

我夢「…はい」

 

 

サーゼクスの言葉に我夢は渋々頷く。傷は治ったが、アグルとの戦いでエネルギーを消耗しきっており、今出ても足手まといになるだけだとわかっていたからだ。

 

 

我夢「サーゼクス様は?」

 

サーゼクス「私はその脅威から首都を守る為の結界を張る準備にいかねばならない。敵が来るのは約30分後だ…。その間に避難していてくれ」

 

 

サーゼクスはそう言うと、そのまま立ち去ろうと我夢に背を向けて歩き出すが、何か思い出したのか「あっ」と声をあげて振り返ると、

 

 

サーゼクス「リアスが言ってたよ。『早く体力を戻しなさい。お仕置きをそれからよ』っとね」

 

我夢「はっ、はい!」

 

 

リアスのジョーク混じりの伝言に我夢は苦笑しつつも答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うわあっ!?」」

 

 

その頃、堕天使の保有する医療施設では警備の堕天使を次々と吹き飛ばし、藤宮が脱走していた。

 

 

藤宮「……我夢っ!」

 

 

藤宮は憎しげに名を呟きながら、外へと歩いていく。目に執念という名の炎を滾らせて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、エリアルベースのコマンドルームではXIGの隊員服を着たリアス、ソーナ、そして我夢、小猫除く彼らの眷属が一同に集まっていた。

ちなみにイリナは藤宮のことが余程ショックだったのか、今は自室で塞ぎこんでいて、この場にいない。

 

 

石室「ワームゾーンの中はどうなっているのか……探ろうとしたクリシスは暴走した」

 

ソーナ「天界の捜索隊は?」

 

石室「いや、ワームホールの力が予想以上に凄まじく、調査しようにも出来ない状況だ」

 

一誠「じゃあ、どういうバケモンが現れんのかわからねぇって訳ですか?」

 

リアス「敵がわからなけば、戦略は組めない……私達の火力で倒しきる可能性は少ないわね……」

 

 

敵の全体が把握できない現状に石室達は困った様に唸る。すると、

 

 

匙「コマンダー。皆で一気に迎え撃つのではなく、まず俺を先行させていただけませんか?」

 

 

匙が手を挙げ、我先にと出撃を申し出る。敵の全体を把握できないのであれば、誰か1人先陣をきれば、相手の方から全貌を露にするかもしれないが、突然ソーナは納得いかなかった。

 

 

ソーナ「サジっ!単独で突っ込むつもりですか!?そんなこと、私が許しませんっ!」

 

匙「ですが、会長――!」

 

石室「…残念だが匙、ソーナの言う通りだ。君1人を易々と危険に晒す訳にはいかない」

 

匙「…っ、わかりました」

 

 

ソーナに続き、石室に説得された匙は渋々大人しく引き下がる。

 

 

仁村「…」

 

 

そんな匙の横顔を仁村は心配そうに見つめる。夏のレーティングゲームの時からそうだが、ここ最近、匙はやたらと死に急いでいる様に見受けられるのだ。

 

張りつめた緊張の中で石室は皆の顔を見渡すと、

 

 

石室「これまで戦ってきた相手はいずれも常識を越えた存在だった…。今、降りてこようとするものは何であれ……我々が後に退く訳にはいかないっ。君達、若い者の力が最も必要とされている時だ」

 

 

そう言って立ち上がると、皆も合わせて勢いよく立ち上がる。

 

 

アザゼル「ライトニング、トルネイドは空中で迎撃。俺とソーナはピースキャリーに乗り前線で指揮。その他は地上に回り、リアスはそこの指揮を頼む」

 

「「了解!」」

 

石室「全チーム、get glory」

 

 

石室の掛け声に皆は敬礼すると、次々とコマンドルームを飛び出していく。

 

 

匙「さて、行くか…」

 

 

匙も皆に続いて気合いをいれながらコマンドルームを出ようとすると、

 

 

仁村「元士郎先輩」

 

匙「?」

 

 

仁村に呼び止められ、匙は何だろうと足を止めて振り向く。

仁村は匙を見据えると、顔を曇らせ

 

 

仁村「どうして?どうして命を無駄にするようなことばかりやるんです?あの夏から先輩は変わりました……前なら絶対にしなかったのに…」

 

 

そう訊ねる。本当なら後で聞こうと思ったが、今、聞きたい…否、聞かなければならないと思ったからだ。

そんな彼女に匙はニッと笑みを浮かべ

 

 

匙「ははっ!心配症だな、仁村はぁ~!俺はそう命を安売りしているつもりはないって!」

 

仁村「ですが…」

 

 

そう笑う匙を仁村は納得いかず、再度問いかけようとするが

 

 

四之宮「匙?行くぞー」

 

匙「あ、はい。すまねぇ、この話は後で頼むわ」

 

仁村「…はい」

 

 

現れた四之宮に呼ばれ、匙は彼と共にコマンドルームを出ていった。

仁村はこれ以上の追及ができず、不安は消えないままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寝ている小猫を避難誘導部隊に預け、我夢は1人リリスにある高台に残った。

活気溢れているだろう町は人々が避難した為、人っ子1人居らず、すっかり疑似大陽が昇る時刻なのに、空はすっかり暗雲に閉ざされている。

 

 

我夢「…っ!?」

 

 

我夢はその上空にある巨大なワームホールを見て、驚愕する。ワームホールから一本筋の青いクリスタルがついた突起物が現れたかと思うと、それは角であり、どんどんとその姿を現す。

 

 

ゾーリム「ヴォォォォ…!」

 

 

それは青いクリスタルの角がついた巨大な竜の頭が現れる。これこそが破滅招来体が冥界を滅ぼす為に遣わされた巨獣『ゾーリム』である。

ゾーリムは未だ頭しか現れず、長い首はまだワームゾーンの中へ埋まっているが、頭だけでも充分巨大なのにまだ全身が埋まっていると知り、我夢は戦慄する。

 

 

藤宮「我夢…」

 

我夢「…っ!」

 

 

そこへ声が聞こえ、我夢が振り返ると、藤宮が立っていた。どうしてここがわかったのか疑問があるが、今はそれどころではない。

 

 

藤宮「まだ決着はついていないっ!」

 

 

そう言って藤宮はアグレイターを下に下ろし、両脇のブレードを展開させる。あれだけ傷付いたにも関わらず、未だ戦意を失っていない。

そんな彼に我夢は待ったをかける。

 

 

我夢「まだわかんないのか?」

 

藤宮「何が?」

 

我夢「アイツは…僕達のパワーを使って、ここまでやって来たんだ」

 

藤宮「何だって…?」

 

 

我夢の言葉を聞いた藤宮は疑問に思うと、変身するのをやめ、耳を傾ける。

我夢はワームゾーンからゆっくりと出ようとしているゾーリムへ一旦、見上げてから藤宮を見据え

 

 

我夢「僕達…いや、()()()()()()()()()のを……アイツはずっと待っていたんだ」

 

藤宮「!?」

 

 

そう言われた藤宮は驚愕しながら空に佇むゾーリムに目を向ける。どちらか戦うのを待っていた…?そんな疑問が脳裏に浮かんでいると、我夢は神妙な面持ちで

 

 

我夢「今、君が設計した光量子コンピューターが……暴走している…」

 

藤宮「クリシスが暴走……!?そんな馬鹿なっ!」

 

 

我夢の言葉に藤宮は訝しげに呟く。クリシスは当時の最高技術を結集して作った最高傑作。暴走するなんてことは有り得ず、開発者である自分がそれをよく知っている。

 

怪訝な顔を浮かべる彼に我夢は手首からXIGナビを外し、数回横のスイッチを操作してから、見せるように藤宮の前へかざす。

 

 

藤宮「…っ!?」

 

 

藤宮は覗くようにXIGナビを見ると、その画面に映る映像を見て驚愕する。

そこには紫色の電撃走るクリシスが狂ったように光を放ち続ける―――暴走した姿が移っていた。

 

 

藤宮「……有り得ない!」

 

我夢「この光のパルスは……アイツとシンクロしているんだ」

 

 

そう説明した我夢につられた藤宮は空に佇み、咆哮をあげているゾーリムを見上げる。天才児である我夢、藤宮にはゾーリムの首もとにあるワームゾーンから迸る電撃を見て、先程のクリシスと同じ波長を放っていることが一目でわかった。

 

藤宮はこの動かぬ証拠に狼狽えながら、とぼとぼとした足取りで我夢の横を通りすぎ、数歩前へ出る。

 

 

藤宮「どういうことだ!?クリシスが何故、破滅招来体とシンクロを!?」

 

我夢「…多分、システムの奥深いところに何かが紛れていたんだ……。君のせいじゃない…」

 

 

藤宮は昔、クリシスが人類排除こそが地球が助かる方法と結論付けた日のことを思い出す。未知の脅威を回避する為、稲森、ダニエルら共に奔走した日々のことも…。

 

 

藤宮「じゃあ…!じゃあ、俺の得た結論はっ!」

 

我夢「根源的な…破滅を持たらす者の意思に書き換えられていたんだ。両親を悪魔に殺された君が、奴らの思い通りになる様に…」

 

 

我夢から出た結論に藤宮は体験した出来事全てが頭の中を駆け回る。

両親の死、異種族への憎しみ、人類への失望、クリシスの結論、稲森の死――――。今まで地球を守る為に起こした行動理念そのもの全てが、破滅招来体の掌の上で転がされていた?

導き出した事実、結論に藤宮は目を見開き、両手で頭を抱えながら身震いを起こし

 

 

藤宮「わ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ーーーーーーーっ!!!」

 

 

絶叫する。暗雲に包まれ、稲妻によってチカチカと照らされる地上で、ただ叫ぶ。

その絶望の叫びを我夢は悲痛な顔で眺めるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度、その頃。リアス達地上部隊とソーナ率いる空戦部隊は首都リリスの入口に到着した。

首都リリス自体はサーゼクスらによって強固な結界が張られており、リアス達は首都を守る形となっている。

 

 

匙「まだ頭部が出ているだけなのに…!?」

 

椿姫「なんて……規模…!?」

 

 

空中で各戦闘機に乗っている匙達はゾーリムの迫力に言葉を失っていた。それはそうだろう、ただでさえ巨大なのにこれはまだ全長のたった一部なのだから。

その迫力は地上にいるリアス達にも伝わっていた。

 

 

朱乃「部長、これまでで一番苦しい戦いになりそうですわね…」

 

リアス「ええ…」

 

 

朱乃の呟きにリアスは苦い顔で頷く。今まで出会った中でドラゴンのタンニーン、更に巨大なガイアやダイナが小さく見える程に巨大だ。

 

すると、

 

 

タンニーン「俺も着たぞ」

 

一誠「タンニーンのおっさん!」

 

 

そこへ翼を羽ばたかせ、タンニーンが颯爽と地上へ降り立つ。

タンニーンの登場に特に一誠は子供がはしゃぐ様に喜んでいると、

 

 

小猫「……遅れてすみません」

 

リアス「小猫!」

 

 

タンニーンの背中から小猫がひょっこり顔を出すと、地上へ降り立つ。到着した彼らのもとへ皆は集まる。

 

 

朱乃「来てくれて良かったです。我夢君は?」

 

小猫「…我夢先輩なら平気です。避難したと誘導部隊の方が言ってましたから。……今回の戦いに私がお役に立てるかわかりませんが」

 

木場「…いや、こうしているだけでも心強いよ」

 

 

木場は微笑みつつ、ポンポンと小猫の肩を叩きながらフォローの言葉をかける。2人だけかもしれないが、こうして仲間が増えるだけでも心強いのは変わらないものだ。

 

 

一誠「来てくれたんだな!おっさん!」

 

タンニーン「ああ、冥界の危機だと言うからな…。しかし、アレが相手となると、かなり厳しいものだな…」

 

 

タンニーンは空に佇むゾーリムを見上げ、珍しく弱音を吐く。ドラゴンの中でも特に強い『六大龍王』の一角であった彼でさえも、ゾーリムの恐ろしさが伝わってくるのだろう。

 

そんな会話をしていると、アザゼルから通信が入る。

 

 

《アザゼル「お前ら、準備は出来ているな?いくぞ!3…2…1…攻撃開始っ!」》

 

リアス「攻撃開始っ!」

 

ソーナ「攻撃開始っ!」

 

 

その合図と共にリアス達は地上と空中からゾーリムへ一斉攻撃を放つ。空中からはファイターとイーグル、ピースキャリー、地上からはリアス達が魔力や斬撃を飛ばして攻撃していくが…

 

 

ゾーリム「ヴォォォォ…」

 

 

その猛攻にもゾーリムには傷1つ付かず、依然として佇んでいた。タンニーンのブレスやリアスの滅びの魔力等といった強力な攻撃を前にしてもだ。

 

 

リアス「全く応えてない…!」

 

梶尾「くそぉ!あんなデカイ奴、撃つだけ無駄だ…!」

 

ゾーリム「ヴォォォォ…!」

 

 

この現状に苦虫を噛み締めるように苦い顔をする一同にゾーリムは何千、何百とある舌をチロチロさせている口を開くと、火炎を吐く。

空中にいるソーナ達はXIGの最新鋭の技術を盛り込んだ戦闘機に乗っているので、辛うじて回避できたが、

 

 

ドォォォンッ!

 

『きゃっ!』

 

『うわっ!』

 

 

地上にいたリアスはその火炎を必死に避けるが、爆発の衝撃で吹き飛ばされる。火炎の威力は凄まじく、後方にあるサーゼクスやミカエル等、アザゼルを除いた各勢力の実力者達が都市中に張った結界は亀裂が入っていた。

 

 

リアス「うぅ…!くっ…!」

 

一誠「(くそっ!俺に変身できるエネルギーが残っていればっ!)」

 

 

一誠は地を這いつくばりながら悔しげに歯を噛み締める。ジャグラーとの戦いの影響で一誠はダイナへ充分変身できる程のエネルギーが回復しきっていなかったのだ。

 

リアス達はたった1度の攻撃で、不利な状況に追い込まれてしまった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、高台にいる我夢と藤宮は――

 

 

藤宮「何の為にウルトラマンになったのか…!?地球の意思じゃなかったのか…!?」

 

 

疑心暗鬼に陥った藤宮は震えた声で呟く。

信じていたものに裏切られた藤宮は絶望し、アグルの力の存在意義を見失っていた。

そんな彼に我夢は

 

 

我夢「…わかんない。わかんないけど行くしかないじゃないかっ!戦うしかないじゃないかっ!!大事なものを……守る為に…っ!!」

 

 

そう答えると、我夢は変身しようと右手にはめたエスプレンダーを前へ突き出そうとするが、その手を藤宮は止める。

 

 

藤宮「いくらウルトラマンの力を借りても、その体でどれだけ戦える?」

 

我夢「…っ」

 

 

藤宮の言葉に我夢は顔をしかめる。確かに今の自分は傷はすっかり治ってはいるが、エネルギーは充分に回復しきれておらず、ウルトラマンになれることすら怪しい。

なれたとしても、精々1分にも満たない時間でしか戦えないだろう。

しかし、仲間が苦しんでいるのを黙って見てはいられない。我夢はその板挟みで悩んでいると

 

 

キィンッ!

 

我夢「?」

 

 

手を離した藤宮はアグレイターを肘を曲げて掲げると、我夢の手前へ青い球体の光―――アグルの光を差し出す。

突然の行動に我夢は疑問に思っていると、藤宮は

 

 

藤宮「アグルの力を一緒にしろ……少しはマシに戦える」

 

我夢「藤宮…」

 

 

――アグルの力を一緒に。その言葉、行動が指すことは

戦意喪失したということだ。

唖然とする我夢に藤宮は虚ろな目で見据えながら力なく笑みを浮かべ

 

 

藤宮「信じていたものに……大事なものに裏切られた気持ちがお前にはわかるか?」

 

我夢「…っ」

 

藤宮「俺にはもう、守るものなんて何もない……」

 

 

そう言って踵を返して歩き出す藤宮の後ろ姿を我夢は心痛な面持ちで見つめていると、藤宮は

 

 

藤宮「光をとれっ!我夢!!」

 

ドォォォンッ!

 

我夢「っ!?」

 

 

そう言い残した瞬間、ゾーリムの火炎が藤宮へ降り注ぐ。目を丸くした我夢だが、炎が静まり、藤宮のいた場所を見ると、藤宮の姿はもうそこにはなかった。

 

 

我夢「大事なものなんて、いくらでもあるじゃないかっ!!

 

 

大事なものなんてない――そう答えた藤宮へ返すように我夢は叫ぶと、エスプレンダーを前へかざし、目の前にあるアグルの光を収納する。

そして、1度エスプレンダーを見つめ、右肩に当て

 

 

我夢「ガイアァァァァーーーーーーーーーッッ!!

 

 

その掛け声と共に前へ突き出すと、エスプレンダーから赤と青の閃光が溢れる。その2色の光に包まれたガイアはウルトラマンガイアへと変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィア「くそっ…!」

 

木場「万事休すか…」

 

 

ゾーリムの力を前に手も足も出せず、リアス達は膝をついていた。そんな彼らをゾーリムは嘲笑うかのように見下ろしていた。

そんな絶望的な状況に陥っていると、

 

 

キィンッッ!!

 

『!?』

 

 

立ち上る青い光の柱が彼らの前へ現れる。その光にリアス達はおろか、ゾーリムも警戒していると、光が晴れ、1体の巨人が姿を現した。その名はウルトラマンガイアだ!

 

 

ガイア「…?」

 

 

しかし、ガイアは自分の変化に気付き、手や胸元をまじまじと見つめる。胸元のガイアブレスターの内側は赤から黒くなっており、アグルを象徴する青い光が一瞬だけ仄かに灯る。

そして、以前よりも遥かに越える自身の力に驚いていた。

 

ガイアはアグルの力を得ることで、『ウルトラマンガイアV2(ブイツー)』へパワーアップしたのだ!

 

 

朱乃「我夢君…!良かった!」

 

ゼノヴィア「来てくれたかっ!」

 

リアス「ふふっ」

 

一誠「おせぇーよ!全くよぉ!」

 

ギャスパー「無事で良かったですぅぅーーー!!」

 

小猫「先輩っ…」

 

アーシア「ああ…」

 

 

ガイアの登場にリアス達は一斉に希望が沸き上がる。

朱乃、ギャスパーは喜びで目尻に涙を浮かべ、リアス、一誠は嬉しそうに笑い、小猫、アーシアは静かに微笑む。

 

 

四之宮「やっと主役が来たか…」

 

 

ガイアの登場を空から見ていた四之宮はボソリと呟くと、ニヤリと口角をあげる。それは仲間が来てくれた喜びというよりも、待ち望んでいたものが来たという喜びに近かった。

 

 

ゾーリム「ヴォォォォ…」

 

ガイア「ジュアッ!!」

 

 

ガイアは上空からこちらを見下ろすゾーリムを見据えると、地面を蹴ってゾーリムのもとへ飛んで行く。

 

 

ガイア「デュアッ!グァァァァァ……ァァァァーーーッ!!」

 

 

ガイアは接近しながら素早く立てた左腕に右腕を添えてL字に構えてから変形させると、クァンタムストリームをゾーリムへ放つ。

赤色の光線はゾーリムの角を直撃するが…

 

 

ガイア「ッ!?」

 

 

ゾーリムには傷1つ付かず、苦しむどころか依然変わらずピンピンしている。ガイアは動揺で光線を打つ手をやめていると、ゾーリムは口から火炎を吐き出す。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

 

ガイアは横へ逸れて回避するが、間髪入れず放たれた2発目の火炎はかわしきれず、直撃した。

 

 

ガイア「ドアァァァァァーーーーー!!」

 

 

ガイアはのけ反り回りながら地上へと落ちていく。

その彼と入れ替わる様に梶尾達チームライトニングが乗ったファイター3機がゾーリムのもとへ近付く。

 

梶尾はふと、ゾーリムが飛び出しているワームホールの入口を見て、何かに気付いた。

 

 

梶尾「…っ!?そうか!あの螺旋の渦に軌道を沿わせれば…!会長っ!」

 

《ソーナ「ええ。空戦部隊は螺旋上にワームホールに入り、全ミサイルでワームゾーンへ攻撃。リアス、地上部隊も合わせて一斉攻撃を」》

 

リアス「了解。開けたドアは閉めるってことね…」

 

 

敵の弱点を見つけたリアス達は不敵な笑みを浮かべる。

この通信から、リアス達の反撃が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上へ叩き落とされたガイアは痛みを堪えながら立ち上がる。

 

 

ゾーリム「ヴァァォォォォ…!!」

 

ガイア「ッ!」

 

 

ゾーリムは立ち上がって間もないガイアに火炎を連射する。ガイアは前や横へ転がりながら全て避けると、奮い立たせる様に拳を振るって立ち上がり

 

 

ガイア「アグルの力を貰ったんだ…!!このまま、終われるかっ!!」

 

 

そう鼓舞したガイアは両腕を天高くあげると、両手の間に赤と青に輝く光が現れる。

そのまま胸の前で合掌すると、ガイアは目映いばかりの赤い光に包まれる。

そして、一旦左右に両腕を広げてから両腕を内側へ回し始める…。

 

 

小猫「ガイアが…っ!ガイアが変わるっ!」

 

『!?』

 

 

驚きの声をもらす小猫を筆頭にリアス達は変化していくガイアに驚愕する。

赤い光に包まれたガイアが拳を振るい、光を振り払うと、そこには体に赤と青のラインが入った銀色の戦士が勇敢な出で立ちで佇んでいた。

 

ガイアを象徴する赤の面積が広くなり、両肩にはアグルを彷彿させる肩プロテクター、両腕と両足には青のラインが入っており、体格も筋骨粒々で強く逞しいものになっている。

大地と海。地球から授かった2つの力を開放させたガイア最強の形態―――『スプリームヴァージョン』だ!

 

 

ガイア「グアッ!!」

 

 

ガイアは深く腰を下ろしながら身構え、ゾーリムを見上げる。そこには3機のファイターと3機に分裂したイーグルがゾーリムの攻撃を避けつつ、ワームホールの軌道に沿いながら、ゾーリムの首もとへ向かっていた。

 

 

梶尾「3…2…1…Fire!」

 

 

梶尾の合図に合わせて、全戦闘機は一斉に全てのミサイルをワームゾーンに射出する。

 

 

梶尾「離脱っ!」

 

ゾーリム「ヴォォォォ…!?」

 

 

ミサイルを撃ち込んだ後、戦闘機はすぐに退く。

首もとでミサイルが爆発し、ゾーリムは目を前後させて苦しみの叫びをあげる。更に

 

 

リアス「くらいなさいっ!」

 

朱乃「雷よっ!」

 

ゾーリム「ヴァァォォォォ…!!」

 

 

地上にいるリアス達が追い討ちをかける様に魔力や斬撃での一斉攻撃がワームゾーンに直撃し、ゾーリムは長い首を上下に動かし、大きく口を開けて苦悶の叫びをあげる。

 

その隙に空を真っ直ぐ飛ぶガイアが大きく開いたゾーリムの口から体内へ侵入する。

 

 

ガイア「デュアッ!グァァァァァ……!!」

 

 

体内へ侵入したガイアは平手にした右腕を垂直、平手にして平行にした左腕を胸に当てると、クロールの様に大きく体を反らしながら円を描き、胸の前で合掌。

 

 

ガイア「デュアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

そのまま右手を下へスライドさせて生まれた隙間から赤、青、白が混ざりあった極大の光線を発射する。

これぞ、大地と海の力を最大限に開放したスプリームヴァージョンの最強必殺光線『フォトンストリーム』だ!!

 

 

ゾーリム「ヴァァォォォォ…!?」

 

ドガガガガガガガガガガガァァァァァーーーーーン!!

 

 

体内から攻撃されたゾーリムはフォトンストリームの威力に耐えきれず、目を激しく前後に動かすと、木っ端微塵に爆発した。

 

 

ガイア「…」

 

[ピコン]

 

 

爆風と肉片が舞う中をライフゲージを赤に点滅させたガイアが悠然と飛行しながら現れる。

ガイアの活躍によってワームホールとゾーリムは消滅したことによって冥界は元の青空を取り戻す。

 

こうして、最大の危機から冥界は救われたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢「行けーー!イッセーー!アーシア!」

 

リアス「1番取りなさい!」

 

アザゼル「負けたら承知しねぇぞっ!」

 

 

それから1週間後。駒王学園では体育祭が執り行われていた。

待ちに待った体育祭にグラウンドは見物者が溢れかえっており、先生や生徒はいつもより気合いが入っている。

プログラムは進み、現在は一誠とアーシアが出場する二人三脚が行われていた。

 

 

パンッ!

 

 

一誠はアーシアと共に走り、ゴールテープを切ると、空砲の音が鳴り響く。2人は抜群のコンビネーションで快走し、見事1位を取ったのである。

 

 

一誠「よっしゃぁぁぁーーーー!!やった!アーシア、やったぞ!」

 

アーシア「はい!やりました、イッセーさんっ!」

 

 

一誠とアーシアは手を取り合ってピョンピョンと飛び跳ねて喜び合う。1位を取れたのも実力だけでなく、母や親友、仲間からの声援が後押ししたからである。

 

 

一誠「おわっと!?」

 

 

だが、跳び跳ねる際に足は繋がれたままということを一誠とアーシアは忘れていた。着地した際、一誠は体制を崩すと、足を固定していた紐が外れ尻餅をつく。

 

 

アーシア「大丈夫ですか?」

 

一誠「ああ、ちょっとはしゃぎすぎちまった」

 

 

心配そうに顔を覗くアーシアに一誠はそう答えながら痛む尻に手を当てながら立ち上がる。

すると、そこへリアスが現れ

 

 

リアス「2人共、よく頑張ったわ。おめでとう!」

 

一誠「ありがとうございますっ!」

 

リアス「でも、お尻が痛んだままじゃ、今後のプログラムに響くわ。アーシア、体育館裏なら人気もないし、回復させてあげなさい」

 

アーシア「は、はい!」

 

 

そう言われたアーシアは一誠の手を引くと、体育館裏の方へ歩き出す。アーシアが横切る際、リアスは

 

 

リアス「頑張りなさい」

 

アーシア「っ!」

 

 

と呟いてウィンクされると、アーシアは頬を赤く染める。一誠が何だろうと疑問に思いつつも、2人は体育館裏へと移動した。

 

体育館裏に着いた一誠はさっそくアーシアに回復してもらっていた。淡い緑色の光に照らされ、痛みが安らいでいく感覚を一誠は実感する。

治療は数秒経たないうちに終わり、一誠は尻から伝わる痛みはすっかりなくなっていた。

 

 

一誠「ありがとな、アーシア」

 

アーシア「いえ…」

 

 

感謝され照れくさそうに笑うアーシア。この数週間あまり、ディオドラのせいで曇っていた顔もすっかりなくなっていた。

そんな彼女を見て、一誠はある話を切り出すことを決意する。

 

 

一誠「あのさ…アーシア?告白の返事、この体育祭までにはきっと答えを返すって約束、覚えてるか?」

 

アーシア「はい」

 

一誠「俺さ、いつも強かってるけど……本当は自信ない情けない男なんだよ。昔から後一歩のところで悩んで、そして諦めて後悔する……そんな繰り返しばかりで生きてきた。アーシアのこと、本当は1人の女の子として好きだったよ。でも、そのまま付き合っていいのか…自分は幸せにできるのか…って悩んで誤魔化し続けてたんだよ」

 

アーシア「…」

 

 

真剣に話す一誠にアーシアは目を逸らさずしっかりと見据え、黙々と話を聞き続ける。一言一句、漏らさず。

 

 

一誠「…でも、もう誤魔化すのはやめにする。色々考えた俺の答え。改めて言うよ…」

 

 

そう言って一誠はアーシアの手を取って、彼女の緑色の瞳を見つめ

 

 

一誠「俺、兵藤 一誠はアーシア・アルジェントがす、好きです!不甲斐ない俺ですが、どうかお付き合いお願いしましゅっ!」

 

 

頬を赤く染めてそう告げると、一誠はペコリと頭を下げる。最後の方は噛んでしまい、恥ずかったが、もうすぎたことなので仕方ない。

しばらく頭を下げていると、アーシアから顔をあげる様にポンポンと軽く肩を叩かれる。

 

 

一誠「ん?どうし――」

 

 

一誠が顔をあげて口を開いた瞬間、一誠の唇は塞がれる。そう、アーシアの唇とだ。

突然のキスに一誠は顔を赤くして混乱していると、アーシアは頬を赤く染めながら

 

 

アーシア「はいっ!喜んでお引き受けします!大好きです!ずっとおそばにいさせて下さいっ!」

 

 

目尻に涙を浮かべ満開の笑顔を浮かべるアーシア。その涙は喜びからくるものだ。

 

人気がない体育館裏で2人の人生の歯車はゆっくりと並んで歩き始めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアス「上手くいったかしら?」

 

我夢「多分、大丈夫でしょう」

 

 

観客席のテントからリアスと我夢は体育館の方を眺める。一誠もイエスと答えるだろうから心配する必要はないだろう。

我夢は安心しきっていると、隣に座るイリナへ視線を向ける。

 

 

イリナ「藤宮君…」

 

 

イリナは顔を俯かせ、瞳から涙をポトポトと落とす。藤宮のことで未だ悲しんでいた。これでも大分回復した方であり、最初の方は部屋から一歩も出ない状態だったのだ。

何とかなだめて部屋からは出したが、イリナは生死不明となった藤宮のことがやはり不安の様だ。

 

 

我夢「イリナ」

 

イリナ「…?」

 

 

落ち込んでいるイリナに我夢は声をかけて振り向かせると、ズボンのポケットにしまっていたエスプレンダーを彼女の前へ見せる。

エスプレンダーには赤い光。そして受け取ったアグルの青い光が美しい輝きを放っていた。

 

 

我夢「この光が灯り続ける限り、藤宮は死なない…。僕は信じているんだ、アイツはきっとどこかにいるって。元気出しなよ」

 

イリナ「我夢君……そうねっ」

 

 

我夢に励まされたイリナは溢れる涙を手で拭うと、うっすらと笑みを浮かべる。

彼女に僅かだが元気を戻ったことを確信した我夢は安堵すると、テントから見える青空を見上げ

 

 

我夢「(生きてるよね、藤宮。いつか一緒に闘える日が来ると、僕は信じている…)」

 

 

広々とした青空の下で願う。いつか、またどこかで会える日を―――――。

 

 

 

 




次回予告

スプリームヴァージョンの力を得たウルトラマンガイア。
藤宮がいない今、我夢は一誠はどう戦うのか?

次回、「ハイスクールG×A」
「新たなる迷い」
朱乃と我夢のデートを見逃すな!









はい、という訳で今回の話でseason 2は終了となります。
アグルの光を捨て、表舞台から姿を消した藤宮ですが、我夢が願うようにいつかまた出会い、手を取り合う日が来るのでしょうか?

次回からseason 3が始まりますので、是非お楽しみに…。

今回の昭和怪獣のアンケート結果は、メトロン星人が当選しました。彼もいつどこで現れるかは秘密ですので首を長くしてお待ちいただけたら幸いです。

感想&コメント良かったらよろしくお願いします。
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