ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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悪神 ロキ 
神殺獣 フェンリル 登場!


第43話「共闘作戦第一号」

ロキの襲撃から翌日。兵藤家の地下1階にある大広間には我夢達オカルト研究部の面々にバラキエル、シトリー眷属、そしてヴァーリチームといった中々の異色の面々がロキ打倒作戦の為、集まっていた。

当初はエリアルベースに開こうとしたが、またクリシスゴーストに乗っ取られる心配があるので、兵藤家で行うことになった。

 

ちなみにオーディンとロスヴァイセは別室で本国と連絡を取っているのでこの場にいない。ロキが日本に現れたことは北欧でも大騒ぎになっているそうだ。

テロリストと協力―――そのことに納得がいかない面々がいる中、アザゼルは話す。

 

 

アザゼル「今回の作戦は俺達だけで行う。()()()()()()()()()()()()らしいからな……加勢は期待できない」

 

リアス「っ、何かあったの?」

 

 

その言葉にピクンと反応したリアスは問いかけると、アザゼルは頷き

 

 

アザゼル「ああ。昨日連絡が着てな。俺達がクリシスゴーストとロキの襲撃を受けている間、実はグリゴリ本拠地が()()()によってシステムが乗っ取られたそうだ」

 

『!?』

 

 

それを聞いた皆は目を見開く。自分達が対処に追われてる間に他所で敵襲があるとは…。

 

 

一誠「ちょっ!?そんな悠長にして大丈夫なんすかっ!?」

 

アザゼル「まあ、落ち着け。幸いシステムもすぐに復旧したし、怪我人もいねぇ。施設も損傷はしてない。ただ……」

 

我夢「ただ?」

 

 

我夢が首を傾げながら復唱すると、アザゼルは

 

 

アザゼル「研究用に保管していた金属生命体アルギュロスの破片サンプルだけが盗まれたそうだ」

 

リアス「何ですって!?」

 

小猫「アルギュロス…!」

 

ゼノヴィア「私達が遭遇したあの金属生命体かっ…!」

 

 

それを聞いたグレモリー眷属の面々は一斉に驚く。

金属生命体アルギュロス―――破滅招来体から地球へ送り込まれた生命体で、アグルの聖地『プロノーン・カラモス』を狙い、ウルトラマンアグルと死闘を繰り広げた強敵だ。

アルギュロスはアグルによって倒されたが、まさかその破片を堕天使側が回収してたとは初耳だ。

 

 

アザゼル「犯人は……まあ、クリシスゴーストだな。エリアルベースを襲ったのはその囮の為だろう」

 

我夢「どうして、アルギュロスの破片なんかを?」

 

アザゼル「いんや、そこんとこはわかんねぇ。まさか冥界にまで手を伸ばせるのは予想外だった。とにかく、今後もクリシスゴーストが他勢力の施設を乗っ取るリスクがある。だから、その警戒を緩める訳にはいかねぇから、ロキは俺達で何とかするしかねぇ」

 

 

アザゼルの話を聞き、ヴァーリチーム以外の面々は頷く。冥界や天界のことは気になるが、とにかく目の前の問題であるロキの解決が今優先すべきことは皆にはわかった。

皆が納得したのを確認したアザゼルはヴァーリへ顔を向ける。

 

 

アザゼル「…んで、ヴァーリ。お前が俺達に協力する訳は?」

 

 

アザゼルの質問にヴァーリはふっと不敵に笑うと

 

 

ヴァーリ「ロキとフェンリルと戦ってみたいだけだ。悪神とそれを越えるかもしれない力を持つ獣と戦う機会なんて早々ない。仲間達からも許可を得ている。不服か?」

 

 

そう迷いもせずハッキリと答える。相変わらず戦闘狂だな…と我夢達が思う中、アザゼルは怪訝そうに眉間にしわをよせ

 

 

アザゼル「まあ、不服と言われれば不服だな。だが、今は1人でも戦力が欲しいところだ。テロリストと組んでいるっていうのが少し問題だが、旧魔王の血筋であるお前の頼みを無下に出来ないとサーゼクスから言われてるからな。お前をこのまま野放しにするよりかはマシだ」

 

ヴァーリ「わかってくれて助かる」

 

『…』

 

 

承諾と受け止め、そう答えて不敵な笑みを浮かべるヴァーリをリアスやソーナ達は不満そうに見つめる。

下手に動かれるよりかは監視下に置く方が対処しやすいだろうが、テロリストと手を組むとはやはり不安でしかない。特にリアスはアザゼルやサーゼクスの懸命な頼みを聞くまで最後まで反対していた。

 

そう言ったアザゼルはヴァーリの瞳をじっと捉え

 

 

アザゼル「何を企んでいるんだ?」

 

ヴァーリ「さあね?」

 

アザゼル「怪しい動きをしてみろ?この場にいる誰もがお前の敵だからな。いくらお前でも、容赦なく引っ捕らえることを覚えておけ」

 

ヴァーリ「そんなことをするつもりは毛頭ないさ。だが、かかってくるならば、遠慮なく迎え撃つ」

 

 

アザゼルに釘を刺されたヴァーリは余裕ある態度を崩さず、逆に挑発的な言葉を返すと、途端に不穏な空気が漂う。

今にも戦いそうな雰囲気―――まさに一触即発の状態だ。

 

だが、アザゼルはヴァーリから顔を反らして気持ちを切り替えると、同時に話を変える。

 

 

アザゼル「…まあ、ヴァーリのことは一旦置いておく。さて、俺はロキとフェンリルの対策を聞きにいく予定だ」

 

一誠「誰に?」

 

アザゼル「五大龍王の1匹、『終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)ミドガルズオルムだ。本来は北欧の深海で寝てるんだが、タンニーンとヴリドラの力を使って意識だけを呼び寄せるつもりだ」

 

匙「えっ!?俺も…?」

 

 

一誠への返答を聞いた匙は少々嫌そうな顔を呟く。

得体の知れないものに会うのは少々苦手なのかも知れない。その証拠にウルフガスにビビっていたことを我夢は思い出す。

アザゼルはバラキエルをチラリと見ると、我夢達を見渡し

 

 

アザゼル「まあ、とりあえず大方のことは俺達に任せろ。匙、タンニーンと連絡が付くまで待っていてくれ。俺は冥界に戻ってシェムハザに対策についてを話してくる。お前らはそれまで待機、絶対暴れるなよ?バラキエル、付いてきてくれ」

 

バラキエル「了解した」

 

 

そう言うと、バラキエルと共に大広間から去っていった。

 

 

『………』

 

 

広々とした大広間に残されたグレモリー眷属、シトリー眷属、それにヴァーリチーム間からは何とも言えない静寂が流れる。

お互いに何をすればいいのかわからない状況だ。

その静寂を最初に破る様に挙手したのは美猴だ。

 

 

美猴「なあ、ダイナ」

 

一誠「?」

 

美猴「この下にある屋内プールに入っていいかい?」

 

一誠「は?」

 

 

ニカッと笑う美猴の口から出た予想外の言葉に一誠はポカーンと口を半開きにする。

かたち的に協力関係ではあるが、敵である彼からそんな友達みたいな質問が来るとは思わなかったからだ。

 

一誠が返す言葉が思い付かず渋っていると、それを聞いたリアスがずんっと前へ出ると、美猴へ指差す。

 

 

リアス「ちょっと。ここは私とイッセーの家よ。勝手なマネは許さないわ」

 

美猴「まーまー、いいじゃねぇか!いくら敵同士でも今は味方。そんなんでいちいちピリピリしてるんじゃ、この先やってけねぇぜぃ?」

 

リアス「うるさいわねっ!余計なお世話よ!!私の生き方にどうこう言われる筋合いはないわ!!このバカ猿っ!!」

 

美猴「何だと!?やるか、紅ショウガ!!」

 

一誠「お、おい…。やめとけよ…」

 

 

ギャーギャーと言い争う2人を一誠はタジタジになりながらも両者をなだめようとする。

だが、美猴は不機嫌そうに一誠へ顔を向けると

 

 

美猴「うるせぃ!これはコイツと俺の問題なんでぃ!()()()は引っ込んでろやいっ!」

 

ピクッ…

 

一誠「単細胞……?」

 

 

単細胞―――その禁句を耳にした一誠はピタリと止まると、次の瞬間、一誠は怒りを爆発させた。

 

 

一誠「誰が単細胞だぁぁーーー!!大人しくしてたらいい気になりやがって!!」

 

美猴「へっ!売り言葉に買い言葉か!情けないぜぃ、すぐ単細胞って言われてキレるなんてよ!!5歳児以下だぜ!」

 

一誠「言わせておけば~~~~っ!!部長!コイツに俺達の怖さを思い知らせてやるましょう!!」

 

リアス「ええ!盛大に血祭りにあげてあげましょうっ!」

 

アーシア「あ、あの~…」

 

 

絶対に暴れるなと言うアザゼルの言葉を早速忘れた一誠とリアス。怒りのオーラを滾らせており、対する美猴はケラケラと笑っている。アーシアは止めようとしているが、この空気に圧巻され、困った様におろおろしている。

“怖さを思い知らせてやる”とか“血祭り”とか、とても防衛組織の人が言う言葉じゃないのだが……。

 

 

イリナ「へ~、これが失われた最後のエクスカリバーなんですね!すごい!」

 

アーサー「ええ、ヴァーリが発見した独自の情報と我が家に伝わる伝承を照らし合わせて見つけたのですよ。あ、ちなみに場所は秘密ですよ」

 

 

そのよそではすっかり意気投合したイリナとアーサーがエクスカリバーについて話している。

イリナは誰とでも気軽に明るく接するので、学園でも転校して間もないのにすっかり馴染んでいる。

気難しい藤宮が心を許したのもこういったところからだろう。

 

そんな2人の会話を木場とゼノヴィアは警戒しながら聞いている。敵であるアーサーに隙を見せる訳にもいかないが、剣を扱う者同士、伝説の聖剣が気になっている仕方がない様子だ。

 

 

ヴァーリ「(果たして上手くいくか……)」

 

 

椅子に座っているヴァーリはどこからか持ってきた少し厚めの本を眺めつつ、自分の計画について考えていた。

相手は悪神ロキ。恐らく今の自分の実力では勝てないだろう…。しかし、ウルトラマンがついているXIGに協力すれば、()()()()()…上手くいけばロキを倒せるかもしれない。

そんなことを考えていると

 

 

ゾクッ…!

 

ヴァーリ「っ!?」

 

 

突然悪寒が走り、ヴァーリは読んでいた本を床に落とす。背すじに氷を入れられ、全身の毛穴という毛穴から冷や汗が溢れ出る……そんな感覚が実感できた。

ヴァーリは目を見開いて振り向くと、ラムネを片手に飲んでいる四之宮がこちらに背を向けて椅子によっかかっていった。

 

 

ヴァーリ「(…い、いつの間に!?)」

 

 

ヴァーリは生まれて初めて戦慄した。昔から心身共に鍛えた影響で気配を即座に感知でき、背後を取られたことは1回もない。

だが、この男が後ろにいるのには悪寒が感じるまで気付かなかった。しかも強くも弱くも無さそうな中途半端な男にだ。

ヴァーリが驚愕で言葉を失っていると、ラムネを飲み干した四之宮はプハーと息を吐くと、ヴァーリへ振り向き

 

 

四之宮「よう。悪いな、お取り込み中の様だから話しかけなかったんだ。どうだ?もう1本あるから飲まねぇか?」

 

ヴァーリ「い、いや…大丈夫だ」

 

 

四之宮にポケットから取り出した新しいラムネを飲むように勧められるが、ヴァーリは苦笑いを浮かべながら断る。

正直、先程の悪寒のせいで喉はすっかりカラカラとなっていたが、とても飲む気にはなれない。

 

それを聞いた四之宮は残念そうな顔を浮かべると、ラムネをポケットへしまう。そのままヴァーリの前へ出ると、床へ落とした本を拾い上げ、それをヴァーリへ差し出す。

 

 

四之宮「ほれよ。落としもんだ」

 

ヴァーリ「悪いな」

 

 

ヴァーリは軽く心を落ち着けると、四之宮に軽く会釈して手渡された本を受けとる。

 

 

四之宮「ところで何の本なんだ、これ?この辺りじゃ中々見ないが」

 

ヴァーリ「『コズモクロニクル』っていう30年も前に大ヒットしたSF小説で、かつては世界中で100万部以上発刊されたロングセラー作品さ。今は第3部まであって続編も書かれる予定だったらしいが、作者が突如失踪してしまってね……それから人気も衰退し、今じゃ絶版品で、中々表では出回っていない。いわば、化石作品さ」

 

四之宮「なるほどな~」

 

 

ヴァーリの説明を聞き、四之宮は興味深そうに頷く。

コズモクロニクル―――四之宮、否、ジャグラーは以前に旧友から聞いたことがあるような気がしたが、特に思い出す必要もないので、考えるのをやめる。

 

 

四之宮「邪魔して悪かったな」

 

ヴァーリ「いや、平気さ。ロキとの戦いが控えている以上、俺も出来るだけコンタクトを取りたかったからな」

 

四之宮「そうだな~。じゃ、俺はこれで失礼するぜ」

 

 

そう言った四之宮は回れ右して立ち去ろうとするが、「おっと言い忘れたことがあった」と何か思い出したのか相槌を打つと、怪しげな笑みを浮かべてヴァーリの肩に顎を乗せると、そっと呟く。

 

 

四之宮「()()()()、うまくいくといいな…」

 

ヴァーリ「っ!?」

 

 

その言葉を聞いたヴァーリは目を丸くして、ゾッと背すじを凍らせる。

―――その計画、うまくいくといいな…。その声音からまるで最初から自分の心を見透かされていた様な感覚を味わった。

ヴァーリは気のせいかも知れないが、自分の肩に顔を乗せる四之宮の瞳が黒から禍々しい緑色に見えた気がした。

 

ヴァーリが言葉を失っている中、顔を上げた四之宮はヴァーリの肩をポンポンと軽く叩くと、ソーナのもとへ歩いていった。

彼が離れた瞬間、ヴァーリは肩から重りがなくなったかの様に肩を撫で下ろした。

 

 

ヴァーリ「(何者なんだ……アイツは……)」

 

 

遠くで呆れた様子のソーナと楽しく会話する四之宮を見て、ヴァーリは四之宮に警戒しながらも疑問を募らせるばかりだった。

 

 

黒歌「やっほー♪」

 

小猫「……」

 

 

一方、そこから少し離れたところには黒歌と小猫が向かい合っていた。

妖艶な笑みを浮かべる黒歌に対し、小猫は警戒しながら睨み付けている。やはり、姉に対して壁がある様子だ。

 

 

ギャスパー「…こ、小猫ちゃんのお姉さん。美人ですけど怖いですぅ…」

 

 

小猫の後ろにはギャスパーがぶるぶると怯えながら隠れている。どうやら、ギャスパーも黒歌に対しては恐怖しかなさそうである。

 

その不穏な空気を感じた我夢は両者の間にさっと割り込むと、小猫を自身の後ろへ隠す。

 

 

我夢「黒歌。まだ小猫を連れていくつもりなのか?」

 

 

我夢は真っ直ぐ黒歌を見据えて訊ねる。小猫は黒歌への怖さを押し殺そうとしているのか、我夢の右腕にぎゅっと掴みながら黒歌を見つめる。

黒歌はきょとんと目を丸くしていたが、何かを察したのかすぐに小悪魔な笑みを浮かべると、我夢の顔をまじまじと眺める。

 

 

黒歌「う~~ん。最初に会った時よりも凛々しくなっているにゃ。やっぱりアグルの力を得た影響かにゃ?それとも、女の味を知ったからにゃ?」

 

我夢「…?何が言いたいんだ?」

 

 

黒歌の発言の意図がわからない我夢は怪訝そうに訊ねると、次の瞬間、黒歌の口から爆弾発言が飛び出す。

 

 

黒歌「簡単なこと。私と()()()()()()()()?」

 

我夢「……え?」

 

 

その提案に我夢は思わず固まってしまう。

子供を作る…?困惑する我夢に黒歌は続け

 

 

黒歌「私ね、強い子供が欲しいの。うんと強い子供が。最初はドラゴンの遺伝子が欲しかったけど、ヴァーリには断られちゃって。だったら、ウルトラマンのあんたなら良いって思って。貴重な超古代人の遺伝子を持つし?」

 

我夢「待て。だったら、何で僕なんだ?他にイッセーがいるだろ」

 

黒歌「う~~ん。どっちにしようか迷ったけど、生まれてくる子供がお馬鹿さんじゃ嫌だし、やっぱり頭がキレる方がいいって思ったからにゃ」

 

我夢「お馬鹿さんって…」

 

 

黒歌の理由を聞いた我夢は苦笑する。前にも悪魔へ転生したばかりのゼノヴィアが子作りしようと持ちかけ、一誠を同じ様に酷評してたことを思い出す。

一誠は抜けてるところは多々あるが決して馬鹿ではないが、この様に過小評価され過ぎな気がする。

 

 

黒歌「妊娠するまでの関係いいからどうにゃ?」

 

 

 

妖艶な笑みを浮かべながら訊ねる黒歌。

しかし、我夢はそれで納得して首を縦に振る訳にはいかなかった。

彼女の発言からわかるが、その目的は我夢ではなく、我夢に流れる()()()()()()()()そのものだからだ。

 

猫又は数が少なく、女性の比率が多い種族なので基本的に他種族の男性と交配することは我夢も小猫から聞いたことがあるので、確かに元気な子供を作るには超古代人の遺伝子は欠かせないかもしれない。

 

だが、黒歌は勘違いをしている。ウルトラマンはドラゴンをも遥かに越える力を持っているが、絶対的な安全さと強さを持っている訳ではない。

一歩間違えたら他者のみならず、自身までを傷つける諸刃の剣になるやもしれない恐ろしい代物でもある。現に自分が怒りに囚われたせいで自分や藤宮のみならず、冥界に危機を呼び寄せてしまったことがある我夢には痛いほどわかっているし、生まれてくる子供も不憫だ。

 

我夢はきっぱり断ろうと口を開きかけた瞬間、小猫が我夢を庇う様に前へ出た。

 

 

小猫「…だ、駄目っ!姉様に先輩の………は渡しませんっ!」

 

 

小猫は焦った顔を浮かべながら黒歌へ制止を促す。途中で言葉を濁らせて聞き取れなかったが、つまりそういうことだ。

その反応を見た黒歌は面白そうに笑みを浮かべ

 

 

黒歌「へ~…白音、やけにあんたがその子にベタベタしているのは付き合ってるからなのね~」

 

小猫「ちっ、違いますっ!私と先輩は…!その…」

 

黒歌「違うの?……あっ、お姉ちゃんわかった!()()()()()()って訳ね」

 

小猫「……し、してませんっ!姉様のスケベな考えを私と一緒にしないで下さいっ!」

 

黒歌「んにゃ?私はまだ()()()()()()って、はっきり言ってないにゃ。にゃはは♪エッチなことを思い浮かぶ白音も人のこと言えないにゃ♪」

 

小猫「~~~!!」

 

 

黒歌にからかわれた小猫は顔を真っ赤にして恥ずかしげな声で唸る。先程のシリアスな空気から一変し、賑やかな空気になり、我夢は困惑した顔を浮かべていると、

 

 

梶尾「おい、俺の後輩をいじめるなよ」

 

黒歌「?」

 

我夢「っ、梶尾さん」

 

 

この騒ぎが気になったのか、横から梶尾が現れる。

黒歌が誰?と思ってる中、梶尾は彼女を睨み付け

 

 

梶尾「今はロキ打倒の為に仕方なく組んでるが、これが終われば次は自分達の番と思え…。俺の目が黒いうちはここでの好き勝手は許さん」

 

 

低い声音でそう忠告する。梶尾もリアスほど不満を露にしてなかったが、やはりヴァーリ達と組むことには反対の様だ。

その忠告に黒歌はきょとんとするが、すぐにいたずら気な笑みを浮かべると、

 

 

ペロッ…

 

梶尾「っ!?」

 

 

と軽く味見をする様に頬を舐めた。突然のことに梶尾は目を丸くして後ずさる。

頬を舐めた黒歌は舌を口内へ収めると、口を少しだけ動かしながら「う~ん」と声を唸ると、梶尾をニヤリと見つめ

 

 

黒歌「この味は子供の味かにゃ?経験ありそうと思ったけど、まだまだお子様なのね」

 

梶尾「うるさいっ!悪かったな、子供でっ!」

 

 

そう挑発すると梶尾は顔を真っ赤にして声を荒げる。

冷静沈着な梶尾がこんなちょっとした言葉で動揺する姿を初めて見た我夢達が内心驚いていると、ペースに乗ったのか黒歌は

 

 

黒歌「んー?見た感じ、あんた女慣れしてないにゃ。折角だから、私が教えてあげようかにゃ?ほら」

 

梶尾「だぁぁーー!!だっ、だ、だ、だ、誰がお前と何かとするかっ!!ちゃんと服を着ろっ!はしたない!」

 

黒歌「にゃはは♪尚更見せたくなるにゃ♪ほれほれ」

 

梶尾「なっ!?や、やめろぉぉ!!」

 

 

挑発する様に胸元を見せびらかす黒歌を梶尾は恥ずかしそうに顔を赤くしながら、着物を整えようとするが、黒歌は手を止めず、胸元を完全に露出させようと挑発する。

いつもと違う梶尾のやり取りをはたから見た我夢達はポカーンとしていると、

 

 

梶尾「くっそぉぉぉーーーー!!敵前逃亡など、一生の不覚だっ!!」

 

 

梶尾はついに堪えきれなくなったのか、負け惜しみの叫びをあげながら猛ダッシュで大広間から逃走した。

 

 

黒歌「にゃはは~♪」

 

 

小悪魔な笑みを浮かべながら黒歌もその後を追っていった。取り残された我夢達はしばらく呆気にとられていた。しばらくすると、我夢が口を開き

 

 

我夢「な、何だったんだ…?」

 

ギャスパー「さ、さあ…?」

 

 

そう呟くと、小猫の後ろから身を出したギャスパーも目を丸くしながら答える。

その後、1時間後もしないうちに対策を整えたアザゼルが戻ってきた。

ちなみにリアスと一誠、美猴はアザゼルが宥めるまで口喧嘩を続けていたのは余談だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリゴリへ足を運ぶ途中、アザゼルは1人考えていた。

 

 

アザゼル「(ロキの襲来と同時にクリシスゴーストが襲撃。何か匂うな…)」

 

 

アザゼルは違和感を感じていた。クリシスゴーストのウイルスでエリアルベースが混乱している時に畳み掛ける様にロキが現れた。そして、その間にグリゴリからアルギュロスの破片サンプルが盗まれた。

ロキとクリシスゴーストの襲撃。この2つの襲撃によって防衛は人間界へと集中した。これらを整理したアザゼルは思ったのだ。

 

――――まるで意図的に組んでいたと。

 

最初こそは単なる偶然かと思ったが、グリゴリからの報告を聞いてから、それは確信に変わりつつあった。

 

 

アザゼル「(…とは言っても、まずは目の前のことを片付けるか…)」

 

 

 

そう思い直したアザゼルはバラキエルと共にグリゴリの施設へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから翌日の朝。我夢と一誠はアザゼルに呼ばれ、兵藤家にある地下1階にある小部屋に集まっていた。何でもロキ討伐の必殺アイテムが届いたので、早速見てもらいたいとのことだ。

今日は平日で学校もあるが、グレモリー眷属及びシトリー眷属の面々はロキ討伐優先の為、代わりに彼らの姿を模した使い魔に行ってもらっている。

 

ちなみにシトリー眷属代表として同席する筈の梶尾は黒歌に追い回されている為、ここにはいない。

とても気の毒だが、黒歌を止められる人は思い当たりないので、彼には頑張ってもらうしかないと我夢は思った。

 

 

ロスヴァイセ「これがオーディン様からの贈り物のミョルニルのレプリカです。どうぞ」

 

 

同席していたロスヴァイセから一誠はミョルニルのレプリカを受け取る。それをまじまじと見る一誠の顔は次第に訝しげなものへと変わっていく。

 

 

一誠「…先生。これが本当にロキをぶっ倒す必殺アイテムですか?どう見てもホームセンターとかで見る普通のトンカチにしか見えないんですが…」

 

 

一誠は怪訝そうにアザゼルに訊ねる。

確かに彼の言う通り、豪華な紋様や装飾こそ施されているが、それを除けば市販のトンカチだ。

ロキを倒せる程の殺傷力も無さそうに見える。

それにアザゼルは

 

 

アザゼル「軽く力を込めてみな」

 

一誠「え?こ、こうっ…?おわっ!?」

 

ドォォォォンッ!!

 

 

促されるまま一誠は力一杯魔力を込めた次の瞬間、ミョルニルのレプリカはあっという間に一誠の身の丈を越える巨大なハンマーになった。

あまりもの重さに一誠は床に落とすと、ズシンッとこの建物が揺れる程の衝撃が走り、ミョルニルのレプリカは床へ埋まってしまった。

 

 

一誠「ふっ、ふんぬぅぅぅ~~~~!!」

 

 

一誠は急いでミョルニルのレプリカを床から持ち上げようと腕一杯に力を込めるが、ピクリとも動かない。

 

 

アザゼル「おいおいおい。魔力を込めすぎだ。もっと抑えろ、抑えろ」

 

一誠「えっ、おおっ…」

 

 

それを見かねたアザゼルのアドバイスを聞いた一誠は魔力を抑えると、ミョルニルのレプリカは次第に縮小し、両手で扱えるサイズにまで収まった。重たいことには変わりはないが。

 

 

アザゼル「まあ、とりあえずそのサイズをキープしろ。レプリカとはいえど、力は本物と変わらない。いくらロキの野郎でも一撃でも当たりさえでもすれば、ただじゃすまない。無闇に扱い方を間違えるなよ?この一帯ごと俺達が後片もなく消え去るからな」

 

我夢「え!?」

 

一誠「マジっすか!?」

 

 

それを聞いて青ざめた一誠はすぐさまミョルニルのレプリカを手渡されたサイズに戻す。

アザゼルは顔を後ろの壁へよっかかっているヴァーリへ変える。

 

 

アザゼル「ヴァーリ。お前もオーディンの爺さんにねだってみたらどうだ?今なら特別に何かくれるかもしれねぇぞ?」

 

一誠「先生!?」

 

 

その薦めに我夢達が不安そうな顔を浮かべるが、ヴァーリはフッと鼻で笑い

 

 

ヴァーリ「よしてくれ。俺にはこの天龍の力がある。ある彫刻家が言った。『現行のものに余計なものを付け足すとその美しさがなくなり、堕落していく』…と。それに俺が欲しいものは()()()()んでね」

 

『…』

 

 

――別にある。その意味深な言葉に我夢達は怪しむが、今はロキ対策が優先なので、アザゼルはフェンリル対策についてに話を変える。

 

 

アザゼル「んで、フェンリルについてはグレイプニルっ、つう魔法の鎖で捕縛する。鎖の製作はダークエルフの長老に任せている。完成次第、ヴァーリチームとグレモリー眷属に託す予定だ」

 

我夢「はい!」

 

ヴァーリ「了解した」

 

 

アザゼルの頼みに両陣営の代表は承諾する。

それを聞いたアザゼルはくたびれた様にソファーの背もたれにどっかりよりかかり

 

 

アザゼル「じゃ、これで話は終わりだ。作戦は後日伝える。それまで各自、戦いに備えて準備しておけ。あー疲れた。やっぱりこういう堅苦しいの役職は向いてねぇー。引退考えよっかなー…」

 

『…』

 

 

アザゼルの後半のぼやきに我夢達は苦笑する。アザゼルはほぼ毎日仕事に追われており、こうやって我夢達と触れあう時間帯もバラバラだ。更にロキのせいでその仕事の量も倍になったとか…。

 

そんなアザゼルを気の毒に思いながら、我夢達は来るべき戦いに備えるべく、部屋から出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢「アザゼル先生」

 

アザゼル「どうした?」

 

 

皆が退出し、アザゼルと2人っきりになった我夢は出ようとするアザゼルを呼び止める。

首をひねるアザゼルが問うと、我夢は口を訊ねる。

 

 

我夢「朱乃さんについて聞きたいんです。どうして、お父さんとあんなに険悪なんだって」

 

アザゼル「っ!」

 

 

その質問にアザゼルは目の色を変える。

前々から予想していたが、その表情の変わり様を見て、我夢はやはり朱乃さんの過去を知っているなと確信した。

 

 

我夢「前に先生が言ってたじゃないですか?昔にあった出来事で朱乃さんが自分に流れる堕天使の血を嫌いになったって。知っているなら教えて下さい!僕は朱乃さんの助けになりたいんです!」

 

アザゼル「…っ、わかった。話はちょっと長くなる。ソファーに座りな」

 

 

我夢の真っ直ぐな熱意に負けたのか、アザゼルは我夢へソファーへ座る様に勧めると、2人は向かい合わせでソファーへ座り直す。

 

 

アザゼル「これから話すことはできるだけ他言無用で頼む。朱乃にとっちゃあ、聞くだけで悲しませるだけだからな」

 

我夢「はい…」

 

 

神妙なアザゼルの頼みに我夢は固唾を飲んで頷く。

それを確認したアザゼルは語りだした。

 

――日本。とある有名な神社の宗家の1人娘がいた。

その娘の名は『姫島 朱璃(しゅり)』と言い、とても美しい女性であり、一族が経営する寺の巫女として働いていた。

 

ある日、朱璃がいつもの様に寺を掃除していると、深い傷を負った1人の男性を見つけた。

それこそが朱乃の父である堕天使幹部のバラキエルだった。バラキエルは敵対組織の襲撃を受け、死の淵をさ迷っていたのだ。

 

本来なら人間に仇なし、それどころか人間ではない彼を助ける義理はない。しかし、それを見かねた朱璃は考える前にバラキエルを救おうと行動し、境内で手厚く看病した。

 

ナイチンゲール症候群であろうか。バラキエルと朱璃は次第に親しくなり、やがて惹かれあった。

そして、2人の間に1つの小さな命が宿った。

 

 

我夢「それが…朱乃さん」

 

アザゼル「…」

 

 

我夢の呟きにアザゼルは頷く。

まさかそんなドラマみたいな経緯だったとは予想もしなかった。

アザゼルは話を続ける。

 

朱乃は無事生まれた。しかし、そこで1つの問題が発生してしまう。堕天使と人間のハーフが誕生した事実が。しかも、朱璃の実家である姫島は血統に厳しく、普通の人間どころか堕天使と結ばれたとなれば命を狙われるのは明白だ。

 

その危機を察したバラキエルと朱璃は生まれたばかりの朱乃を連れ、隠れ家へと移り、バラキエルはできるだけ2人から離れない様にしつつ、堕天使幹部として働くことにした。

 

3人は慎ましい生活ながらも充実な生活を送っていた。

だが――その幸せは長くは続かなかった。

 

 

アザゼル「姫島家の人間は“堕天使の幹部に大事な娘が洗脳され、手篭めにされた”と勘違いし、高名な術者をけしかけた…。まあ、その時はバラキエルが何とか退けたが、術者の中には恨みを持つ者がいた」

 

我夢「…」

 

 

話を進めると共に顔を曇らせていくアザゼルを見て、我夢は不安を募らせていく中、アザゼルの口から出た言葉に不安が見事に的中する。

 

 

アザゼル「奴らは堕天使と敵対している組織へ、バラキエルの隠れ家を教えやがった」

 

我夢「…っ!」

 

 

それを聞いた我夢はやはりと悲しげな目を浮かべる。

アザゼルはこれ以上話したくなさそうに唇を噛み締めていた。しかし、我夢の熱意に応えるべく、堪える様に膝の上に乗せている手に力を込めて雑念を振り払うと、アザゼルは話を続けた。

 

その情報を聞いた敵対組織はバラキエルが留守の時を見計らい、隠れ家を襲撃した。

情もない攻撃に朱璃は朱乃を庇いつつ、応戦した。

 

 

アザゼル「バラキエルは危機を察知し、急いで戻った。家の周りにいた敵対組織の連中を蹴散らし、2人の安否を確認をしにいった。朱乃は母親が命懸けで守っていたから助かったが、母親の方は――」

 

我夢「死んだ…」

 

 

アザゼルに続けて呟くと、アザゼルは悲しげな表情を浮かべながら頷く。我夢は以前朱乃の家に招かれた時に仏壇を見かけたが、あの仏壇にお供えされている人物こそが母親の朱璃だったと知った。

 

 

アザゼル「その時、朱乃は思ったんだろうな。どうして父が駆け付けてくれなかったのか……多くの敵がいる堕天使がいなければ…ってな。そのせいで母を失う残酷な現実を突きつけられたアイツは堕天使を快く思わなくなり、バラキエルに心を閉ざしたんだ…」

 

我夢「…」

 

 

朱乃の壮絶な過去を聞き、我夢は出る言葉がなかった。

バラキエルを――堕天使を心から嫌う訳を知り、我夢は悲しさのあまり胸が締め付けられる。

 

その後、住む家を追われ、天涯孤独となった朱乃は安住の地を求め各地を放浪した。数年後、リアスと出会い、自身に流れる堕天使の血を否定する為、彼女の眷属となったのだ。

 

 

アザゼル「俺が全て悪いのさ……。あの日、バラキエルを呼び出したのは俺さ。そのせいで、バラキエルと朱乃は……。俺はダチの大切な妻と母を奪ったんだ」

 

 

アザゼルは顔を俯かせながら語る。

後悔の念に駆られる彼はいつもの飄々としたチョイ悪親父の姿には見えなかった。

 

 

我夢「…先生。だから、朱乃さんのことをあんなに気にかけてたんですか?」

 

アザゼル「…」

 

 

我夢がふいに問いかけるが、アザゼルは何も答えない。

だが、その様子から肯定であることが我夢には伝わった。

 

お互い、しばらく沈黙していると、アザゼルは我夢へ頭を下げる。

 

 

我夢「…っ!何を?」

 

アザゼル「我夢。重ね重ねすまないが、朱乃の助けになってくれ!」

 

我夢「僕が…」

 

アザゼル「こんなこと俺が頼む筋合いはない!だが、このままだとアイツはこの先、ずっと孤独だ!お前にしか出来ないんだ!頼む、この通りだ!」

 

 

深く頭を下げるアザゼルに我夢は困惑する。

我夢は以前、夏の合宿でアザゼルに似た様に頼まれたことがある。その時は朱乃の過去をあまり知らずOKしたが、今、真実を語った上で改めて頼んでいるのだろう。

 

落ち着かせた頭でこの状況を整理した我夢は微笑みながらアザゼルへ顔をあげる様に言うと

 

 

我夢「わかりました。任せて下さい」

 

アザゼル「…っ!?本当かっ」

 

我夢「はい。できるだけのことはやってみるつもりです。先生もそんな暗い顔しないで下さいよ。いつもみたいに笑って下さい」

 

 

それを聞いたアザゼルは嬉しそうに「そうだな…」と返すと、いつものチョイ悪な笑みを浮かべる。

 

 

アザゼル「すまない。頼むぞ」

 

我夢「はい!」

 

 

両肩に手を置きながら頼むアザゼルに我夢は元気よく承諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアス「そうなのね…」

 

 

その後、リアスの自室へ向かった我夢は事務作業を終えた彼女に作戦のこと、アザゼルから朱乃の過去について聞いたことを話した。

朱乃の主であるリアスは当然、朱乃の過去は知っている。

 

デスクの上にある書類を軽く片付けたリアスは

 

 

リアス「私の眷属となって、悪魔として第2の人生を歩き出した朱乃は以前に比べてだいぶ明るくなったわ。何よりも我夢、あなたが私の眷属になってから、朱乃はより一層楽しそうにしてたわ。まるであなたと会うのが生き甲斐の様に」

 

我夢「僕が生き甲斐?」

 

リアス「ええ、教室ではいつもあなたの話ばかりしてたわ」

 

 

そう話すと、我夢は驚いていた。まさか自分が彼女の原動力になっていたのだと。

我夢はどうして朱乃が自分にここまで心を開いてくれるのか未だわからなかった。無自覚ながら自分に何か共通するもの、共感できるものがあったのだろう。

そう考えていると、リアスは我夢を真っ直ぐ見つめ

 

 

リアス「我夢。私からも頼むわ。バラキエルを憎んでもお母様が亡くなったことはどうしようもないってのは朱乃自身わかってるのよ。けれど、それを素直に受け入れられる程、朱乃は強くないのよ。誰かに支えてもらわないと、きっと壊れてしまう。だから、お願い。助けてあげて…」

  

 

我夢はリアスの瞳を見て気付いた。リアスは主としてでなく、同年代の友人を心配する1人の少女として頼んでいると。

それに気付いていてもいなくても、どっちみち我夢は首を横に振るつもりはなかった。

 

 

我夢「わかりました」

 

 

それを聞き受けた我夢は頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからすっかり夜になり、我夢は兵藤家の3階にある自室へと戻っていた。

広々としたベッドに仰向けになり、我夢は今日起きた出来事や今後のことについて色々考えていたが

 

 

我夢「やっぱり、そろそろマンションを引き払おうかな~?」

 

 

自分が前から住んでいるマンションの一室からこちらへ移そうかと悩んでいた。最近、破滅招来体や『禍の団(カオス・ブリゲード)』の動きが活発になってきた影響で自宅に帰れる機会がメッキリ減っている。

こちらへこのまま住む方が非常事態にすぐさま対応できるし、グレモリー家が生活費を6割負担しているので、家賃を払う必要もない。それに一誠の母親からも移住の許可を得ている。

 

 

我夢「その方がいいだろうな…」

 

ガチャ…

 

我夢「?」

 

 

我夢がそう呟きながら決心を固めていると、部屋のドアから開閉音が聞こえた。

何だろうと我夢は上体を起こしてそちらへ顔を向けると、長い髪を下ろした白装束姿の朱乃が部屋に入っていた。

 

 

我夢「朱乃さん…?」

 

朱乃「……」

 

 

訝しげな顔を浮かべながら我夢が声をかけるが、朱乃は何も答えず、顔を俯かせていた。

そのまま後ろ手でドアを閉めると、カチッとカギを閉めた朱乃は我夢の前までへ歩み寄る。

 

 

朱乃「……我夢君」

 

我夢「はい?」

 

 

声をかけられた我夢は不思議そうに答える。

我夢には心なしか朱乃の表情には艶があり、声は低い様な気がした。

そんなことを思っていた瞬間

 

 

シュル…シュル……パサッ

 

我夢「!?」

 

 

朱乃は腰の帯を解くと、白装束を床へ脱ぎ捨て、白い裸体を我夢の眼前で露にした。

 

 

我夢「な…!?」

 

 

突然、目の前に現れた一糸纏わぬ朱乃の裸体に我夢は目を見開きながら顔を真っ赤にし、口をポカーンと開けたまま固まってしまう。

服の上からだと煩悩が沸き起こったりするが、今はそれすら起きなかった。

白く透き通る様な肌に出てるところは出て、締まるところは締まっている朱乃の美体を前に気絶しそうになっていた。

 

我夢がパニック状態に陥っている中、朱乃は彼に抱き付くと、そのままゆっくりベッドへ押し倒す。

胸元から伝わる朱乃の豊満な胸の感触に我夢は口をパクパクさせていると、朱乃は耳元で

 

 

朱乃「抱いて」

 

我夢「~~~~~~~!!?」

 

 

そうそっと囁くと、我夢は顔から蒸気が出るのではないかと思うぐらい真っ赤にする。

抱いて…抱いて…抱いて…抱いて…抱いて…抱いて…

頭の中で何度も再生させ、我夢はその言葉の意味にますます混乱する。

あまりこういうのには慣れてない我夢には刺激が強く、意識をギリギリ保つのがやっとだ。

 

そんな中、朱乃は我夢の頬に両手をそっと添え

 

 

朱乃「キス…するね…?」

 

我夢「え、え、え、え、え!?ままままっ!?」

 

 

そう告げると、頬を赤くした朱乃は瞼を閉じ、我夢へ顔を近づける。

あたふたする我夢だが、その間にも朱乃の顔は近付き、鼻先が触れあう距離まで来た。

 

 

我夢「………っ!」

 

 

堪忍して目を瞑ろうとする我夢だが、ふいに朱乃の手に触れた瞬間、何か異変に気付いた。

彼女の手がカタカタと震えていることに。

そう気付いた否や我夢はあたふたするのを止め、キリッとした顔つきになると、朱乃の両肩を掴んで上体を起こさせる。

 

 

朱乃「どうして?私の体、魅力ない…?」

 

 

朱乃は不安そうに震えた声で訊ねる。確かに我夢は先程まではパニックになっており、そのままでも良いかもと思ったが、彼女が震えているのを知って、このまま流されてはいけないと判断したのだ。

我夢は出来るだけ朱乃の顎から下は見ない様にしながら彼女を見つめ

 

 

我夢「いえ。朱乃さんは十分魅力あります。僕はこのままでもいいやっと思いました……正直、気絶しそうでしたし…」

 

朱乃「なら、どうして…?好きに使っていいのよ?あなたに全て委ねて、全て消し去りたいの……。なのに、どうしてなの…?」

 

我夢「じゃあ、どうしてそんな悲しそうな顔をするんです!体も震えてるじゃないですかっ!」

 

朱乃「…っ」

 

 

我夢に指摘された朱乃はハッとなり、体の震えを抑えようと身を強張らせる。

我夢は続けて

 

 

我夢「いつもならからかう様に、楽しむ様にこんなことをしてくる…。でも、今のあなたからはそれが感じられない。悲しいこと、辛いことを忘れようと自暴自棄になっている」

 

朱乃「そうよ…って言ったらどうする?あなたに抱かれることで全てを忘れ、決戦に臨む。それでいいじゃない…?」

 

我夢「そんなの間違っている!例え、それで安心したとしても一時的なもの!何の解決にもならないっ!」

 

朱乃「じゃあ…っ!じゃあっ、どうすればいいのっ!?」

 

 

そうぶつける様に叫ぶと、朱乃は肩を震わせ、泣き出してしまう。

我夢は優しい顔になると、一旦朱乃を自分の上からそっと下ろすと、床に落ちている白装束を彼女の肩にかけ、彼女が泣き止むのをじっと待った。

 

 

我夢「落ち着きました?」

 

朱乃「……ぐすっ……ええっ…」

 

 

しばらく経って、朱乃は泣き止んだ。瞳は涙で濡れており、嗚咽もあり、まだ体の震えも完全には止まってないが、もう十分話を聞ける状態と判断した我夢は朱乃の両肩に手を当て、静かに話し始める。

 

 

我夢「…朱乃さん。実は僕、アザゼル先生からあなたの過去に何があったのか聞きました。色々、悲惨なことがあったって…」

 

朱乃「…」

 

我夢「確かに世界は否定するかもしれない……。けど、世界が否定しても、ここにいる誰もが朱乃さんを否定しない。僕だってそうです。だから、もっと自分を大切にしてください……。そうじゃないと、僕は黙って受け入れることは出来ません………」

 

 

我夢がそう言うと、朱乃は納得したのかシュンと肩を下ろす。

我夢はそんな朱乃を見て思い出したのだ。経緯や生まれが違えど他者を憎み、自分を省みず何処かへ消えていった藤宮()のことを…。

 

しかし、納得しても朱乃は不安そうな顔を浮かべたままだった。ならどうすればと。

そんな彼女に我夢は優しく微笑みかけ

 

 

我夢「朱乃さん。こういう時は甘えていいんですよ。僕で出来ることなら何でもしますから。でも、さっきみたいに刺激が強いのはお断りですよ?」

 

朱乃「……」

 

 

そう言葉をかけると、朱乃は少し考えると、我夢を見つめ

 

 

朱乃「…じゃあ、一晩中抱き締めて。私の不安がなくなるまで…」

 

我夢「…はい」

 

 

そう頼むと、聞き受けた我夢は朱乃と共に布団で横になり、掛け布団をかけ、お互い抱き締める。

ちなみにこの時の我夢は「僕ってなんて大胆なことを…?」とまたもや脳内パニック状態に陥りかけていたとか。

 

 

我夢「寒くないですか?」

 

朱乃「…はい」

 

 

我夢にそう返す朱乃。朱乃は裸ではあるが、低い自身の体温と我夢の体温により、すっかり温かくなっていた。

しばらく我夢は起きていたが、1時間経つ頃には瞼を閉じて寝息を立てていた。

 

 

我夢「くかーー…くかーー…」

 

朱乃「…」

 

 

朱乃はそんな彼の寝顔をじっと見ていた。

入部してきた頃は頭がいい男の子ぐらいしか思っていなかった。だが、一緒に行動する中で誰とでも分け隔てなく接する優しさ、彼の熱い正義感に触れ、彼の対しての興味が湧いてきた。

 

――不思議な少年。ウルトラマンの力関係なしに彼の魅力に次第に惹かれていった。

そして、今こうして自分を助けようとしている。おかげで今は体の震えもすっかり収まっていたり

太陽の様な彼の傍にずっといたい……朱乃はそう思ったのだ。

 

 

朱乃「ありがとう…」

 

 

朱乃は身を乗り出すと、眠っている我夢の額に口づけする。

すぐに引き下がり、恥ずかしげに頬を赤くするが、心は喜びに満ちていた。

 

やがて朱乃も寝静まり、2人は朝まで抱き合って寝るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことがありながらも、数日後の夜。

深夜に差し掛かろうとする時間帯の高級ホテルの屋上にはグレモリー眷属、シトリー眷属、ヴァーリチームが集まっていた。

 

本日は日本の神々とオーディンが会談する日であり、ロキが再び襲来する日でもあった。

会談はこの屋上で行われ、我夢達はロキの迎撃準備をしており、上空には助っ人のタンニーンが待機していた。

 

作戦は

 

①ロキが襲来した瞬間、シトリー眷属の力で他のメンバーごとロキを採掘場跡地へ転移。

②ロキはガイア、ダイナ、ヴァーリ、フェンリルはグレイプニルで捕縛し、撃破。

③ロキへ総攻撃。怯んだ隙にミョルニルを叩き込んで撃破。

 

という流れだ。

今回、エリアルベースが再びクリシスゴーストの被害を受ける可能性がある為、ファイターは出せない。

ソーナ達は作戦上ではロキとは戦わないが、緊急時の際は加勢に入る流れとなっており、その際の会談場の警備は石室やハーキュリーズがやる手筈である。

 

 

リアス「時間ね」

 

バチッ!バチッ!

 

 

リアスが手首のXIGナビを見て呟いた瞬間、ホテル上空の空間が稲光りと共に歪み出した。

 

 

一誠「出やがったなぁ~!」

 

ヴァーリ「小細工なしか。恐れ入る」

 

 

歪んだ空間から大きな穴が開くと、そこからフェンリルを連れたロキが降臨した。

 

 

バラキエル「作戦開始」

 

 

バラキエルが耳にはめてあるインカムでそう伝えると、ホテル周辺から花火の様な光が上っていくと、上空で弾ける。

すると、ホテル一帯をオレンジ色の光のシャワーが包み込み始める。この転移装置こそ、改良したメタフィールドである。

 

 

ロキ「ふむ…」

 

 

ロキは特に抵抗することなく、余裕の笑みを浮かべたまま我夢達と共に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が晴れ、我夢達が目にしたのは岩肌ばかりがある大きく開けた採掘場跡地だった。

全員転送された様であり、グレモリー眷属やイリナ、ヴァーリチーム、ロスヴァイセ、バラキエル、タンニーンもいた。

 

そして上空には腕を組んでいるロキが高みの見物と言わんばかりこちらを見下ろしていた。

 

 

リアス「逃げないのね」

 

ロキ「逃げる?その必要はない。ここでお前達を始末してホテルに向かえばいい話だ。会談が成立しようがいまいが、オーディンには退場していただく」

 

バラキエル「貴殿は危険な考えにとらわれているな」

 

 

バラキエルがそう言うと、ロキは先程の余裕の笑みを消し、ジッと睨み付け

 

 

ロキ「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力だなと……くだらん。元はといえば、聖書に記されている三大勢力の和平から歪み始めたのだ」

 

一誠「お前、自分のことを棚に上げるつもりかよ!」

 

ロキ「黙れ!貴様には分かるまい!他神話の神に侵食される神の苦悩が…!私は何であろうと神話体系の調和の為、ここでオーディンを葬りされなければならんっ!」

 

バラキエル「話し合いは不毛か…」

 

 

バラキエルがそう呟き、皆が戦闘体勢に入った瞬間

 

 

ピピッ!

 

『?』

 

 

リアスのXIGナビから通知音が鳴り響き、ロキも含め、皆は体勢を直す。

リアスがXIGナビを開くと、ジオベースの樋口からだった。

 

 

《樋口「こちらジオベース!緊急事態発生!」》

 

リアス「どうしたの!」

 

《樋口「コンピューターウイルスの侵入を受け、施設の全機能が奪われました」》

 

『!?』

 

 

その報せに我夢達は驚く。

天界や冥界を狙っていたとばかり思っていたクリシスゴーストがまさか人間界に来るとは。しかもこんな肝心な時に。

 

 

我夢「ジオベースにはG.U.A.R.D.戦闘機の自動操縦システムをコントロールする施設があります。もし、ここまま野ざらしにすると…」

 

リアス「オーディン様達に……いえ、この町全体に被害が及ぶ…」

 

 

青ざめた我夢に続けてリアスが呟くと、皆は固唾を飲む。今すぐにでも戦闘機を止める為、ジオベースのウイルスを壊滅させたいが、人数を割くとロキ討伐はほぼ遠いものとなるだろう。

逆のロキを優先すれば、ジオベースから発進した戦闘機が町中を火の海に変えてしまうだろう。

 

 

ロキ「はっはっはっ!どうする?中々状況が厳しいらしいな」

 

リアス「っ」

 

 

高笑いを浮かべるロキにリアスは苛立ちを感じつつも冷静に考え、指示を出す。

 

 

リアス「我夢。ギャスパーと一緒にジオベースに向かってちょうだい!ロキの相手は私達に任せて!」

 

我夢「了解!行くよ、ギャスパー!」

 

ギャスパー「は、はいっ!」

 

 

リアスの指示を受けた我夢はファイターEXを出すと、ギャスパーを後部座席に座らせ、ジオベース向けて発進しようとする。

 

 

ロキ「ふんっ!逃がすわけなかろう」

 

 

ロキは宙に浮かぶファイターEXを撃ち落とそうと左手から魔力弾を放つが

 

 

バラキエル「させんっ!」

 

ロキ「っ!」

 

 

バラキエルが振りかぶって放った雷光に弾き飛ばされ、魔力弾は遠くの地面で爆発を起こす。

 

 

我夢「EX、発進!」

 

 

その隙に我夢はバラキエルに内心感謝しつつ、操縦桿を引き、ジオベース向けて飛んでいった。

ロキは少し残念そうな顔を浮かべるがすぐに元の余裕ある顔に戻ると、全身に力を漲らせ

 

 

ロキ「…さて、始めようか!」

 

 

そう言って、地上へ飛び込むロキに一誠達は迎え撃つのだった。

 

 

 

 




次回予告

戦場で繋がる親子の絆!
迫りくるガイアの力を得たロキ!
それは我夢達にとって、新たな戦いの始まりでもあった!

次回、「ハイスクールG×A」!
「新たなる戦い」!
ヴァージョンアップ・ファイッッ!!!!!
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