ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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自然コントロールマシーン エンザン
合体魔王獣 ゼッパンドン      登場!


第45話「激ファイト!ガイア VS(ブイエス) ジャグラー!」

油田山(あぶらださん)。我夢の故郷、吉岡街の近くにそびえ立つ標高2460mもの山。

今はもうないが、昔は油が盛んに取れ、当時、村だった吉岡街を大きく発展させたという記録も残されている。

その影響で昔の人々は『山の神の恵み』だと信じて山を崇め、油が沢山取れたことから『油田山』と名付けた。

 

 

ゴゴゴゴゴ…!!

 

ボゴォッ!

 

 

そして、この日の深夜。油田山の岩肌が突如、地響きを立てながら崩れ落ちた。土埃が舞い、ガラガラと岩が崩れ落ちていくと、山の中からは奇妙な文字が現れた。

本来、自然で出来た山の中にある筈のない人工で作られた文字だ。

 

 

キラッ…

 

 

奇妙な文字は赤く輝く。まるで瞼を開けたかの如く、不気味に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから夜が明け、吉岡街。油田山の奇妙な文字が現れたと共に、吉岡街は異常な猛暑に見舞われていた。

少し肌寒い季節である秋なのにも関わらずだ。

あまりの暑さ故、街中の住民はほぼ、家の中へ引きこもっていた。

 

 

唯一「はぁっ、はぁっ…暑いってもんじゃねぇなこりゃ」

 

 

そんな猛暑に照らされながら山道を登る眼鏡をかけた1人の中年男性がいた。

彼の名は高山 唯一。市役所でケースワーカーという身に問題がある人向けの支援を積極的に行う仕事をやっている。名字からわかると思うが、我夢の父親でもある。

 

唯一はだくだくと流れる汗をタオルで拭い、その都度水筒で水分補給しながら山道を登っていく。

しばらく登ると、拓けた土地にある瓦屋根の平屋に着いた。

防犯を気にすることもなく戸や窓を開けた自由な空間、気ままな田舎の雰囲気を醸し出している。

 

 

唯一「徳造さ~ん」

 

徳造「おう!」

 

唯一「役場の高山です~…」

 

 

唯一が縁側から開いた居間へ声をかけると、うちわを扇ぎながらニコニコと笑顔を浮かべる初老の老人――徳造が居間から現れる。

その言い方と麦茶を淹れた氷入りのグラス2つを乗せたばかりのお盆が縁側に置いていることから、唯一が来ることは前もって分かっていた様だ。

 

 

徳造「ははっ!上がってくれ」

 

唯一「は~い!」

 

 

軽く会釈した唯一は徳造に勧められるまま縁側に座ると、出された麦茶をゴクッと1口飲む。

氷でキンキンに冷えた麦茶は暑さで熱く渇いた唯一の口内を一瞬で冷やし、疲弊で落ち込んだ心も癒した。

 

 

唯一「へぇあぁっ、暑いね~……蒸し風呂みたいだよ!」

 

徳造「いんや!“心頭滅却すれば火もまた涼し”だ!はは!」

 

唯一「はははっ、何言ってんの」

 

 

徳造と談笑しつつ、唯一はカバンの中から1通の封筒を彼に手渡す。

それは老人ホームへの案内が書かれたものだった。

 

 

唯一「山の中で1人暮らしは不便だろ?そろそろ老人ホームに――」

 

徳造「んにゃ~!これ以上、役場の世話になる訳にはいかん!へへっ、ごくろうさん!」

 

唯一「そんなこと言わないでさぁ……っ!」

 

 

やんわりと断りながら封筒を手に居間へ戻る徳造に唯一はそう言っていると、ふいに居間の隅にある仏壇に目が止まった。

仏壇の中央には、迷彩服を着た1人の青年が笑顔でガッツポーズを取っている写真が飾っていた。

写真に映る青年は唯一も知っていた。

彼は徳造のたった1人の息子で、若き自衛隊のパイロットだった。

 

唯一は写真に目をやりながら、麦茶を手に居間へと上がる。

 

 

唯一「そういや、息子さんが亡くなってからもう半年だね…」

 

徳造「ははっ、バカ息子が…。親より先に逝っちまって…」

 

 

悪態をつく徳造だが、その顔は悲しげなものだった。

徳造の息子は自衛隊のパイロットとして大活躍していたが、駒王町のコッヴ襲来時に殉職したという。

 

もう残された人生が半分も過ぎた自分よりまだ未来がある息子に先立たれるのはどれほど辛いものだろう…。

1人の子を持つ唯一にはその悲しみがひしひしと伝わった。

 

 

徳造「そういえば、あんたんとこも1人息子がいたっけか?学生だったっけか?」

 

唯一「はい…。駒王町にある学園に通っててね」

 

徳造「駒王町……あそこ、この日本での怪獣被害が多いそうじゃねぇか。心配だろう…」

 

唯一「ええ……本人は問題ないって言ってるけど、正直なところ、心配です…。1度戻ってこい言いましたけど、()()()()()()()()()使()()()()()って断られましてね……」

 

徳造「へぇ、そりゃあなんだ?」

 

 

唯一の言葉に徳造は首をひねりながら訊ねると、唯一は麦茶を1口飲むと、うっすら微笑みながらこう言う。

 

 

唯一「“地球の為に”、ってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四之宮「ふぅ…」

 

 

場面が変わり、駒王学園の生徒会室隣の男子トイレからは大量の脂汗をかいた四之宮がスッキリとした顔で廊下へと出ていた。

 

 

四之宮「……あぁー、死ぬかと思った。あの女、一体どんな調理であんな不味く出来るんだ?逆に教えて欲しいぜ…」

 

 

腹をさすりながら四之宮は悪態を吐く。実は10分前程、四之宮は皆に勧められるまま、ソーナの手料理を食べたのだが、この様子からお分かりの通り、あまりにも不味すぎて腹を壊したのだ。

見た目はとても出来が良くて美味しそうではあるが、味が不味い……所謂、外見が良くて中身が駄目というやつだ。

しかも、最悪なことに腕前はソーナ自身気付いていない。

 

ソーナが時たまに眷属達に振る舞うのだが、正直に言えばソーナがショックを受け、姉であるセラフォルーが黙っておらず、眷属全員は渋々従うしかない。

だが、(元々の)四之宮とは味覚が合うのか特に不満を言わず、むしろ美味しいと評価しているので、皆は押し付けているのだ。

それ故、その時の四之宮は普段とうって変わって“救世主”と称えられている。

 

 

四之宮「やけに作り笑いしてた理由が分かったぜ。……ったく、生活といい、味覚といい、コイツマジで人間かよ……」

 

匙「四之宮さーん」

 

 

四之宮がそんなことをぼやいていると、廊下の向こうから匙が近寄ってきた。

四之宮は四之宮本人としての振る舞い方へ切り替える。

 

 

四之宮「おお、匙か。どうした?」

 

匙「いえ、珍しく顔色を悪くしてトイレへ駆け込んでいったんで心配だったんスよ。いつもなら何ともないのに」

 

四之宮「ははっ、心配すんな!ちょっと催しただけだ」

 

匙「そうですか!なら、良かったです!いつもありがとうございます!」

 

四之宮「はは!良いってことだ!(コイツらも大変だな…)」

 

 

匙と談笑しながら、四之宮は内心同情する。

上の者へは逆らえない……下っぱの辛いところである。

ちなみに四之宮の記憶からソーナの手料理が不味いというのが読み取れなかったのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()からである。

 

 

匙「あ、四之宮さん。知ってますか?日本のある地域だけで異常な猛暑が発生しているって」

 

四之宮「ん?いや、初耳だな」

 

匙「ちょっと待って下さいね……」

 

 

談笑していると、匙が思い出したかの様に話題を振る。

四之宮は首を傾げながら答えると、匙はズボンのポケットからスマホを取り出すと、何回か指で操作の後、スマホに映る記事を四之宮へ見せる。

 

その記事を見た四之宮は目を丸くする。

 

 

四之宮「『T県 吉岡街が35度の猛暑に見舞われてる』?夏並の温度じゃないか!」

 

匙「はい、熱波は付近の油田山を中心に広がっているそうで……何でも、山の地下から熱を発するものが原因らしいっすよ」

 

四之宮「火山じゃないのか?」

 

匙「そう思うでしょ?ところが、辺りには火山帯がないんですよ。目的は分からないけど、みんな言ってるんですよ。これも破滅招来体の仕業って」

 

四之宮「…」

 

 

匙の話を聞き、四之宮は顎に手を当てて考える。

――どうして熱を発する必要がある?文明の破壊?温暖化促進?

色々考えるが一向に思い付かないので保留にすると、再び匙の顔を見て

 

 

四之宮「調査には誰が行ってる?」

 

匙「それなら、ジオベースの樋口さんと高山が。何でも、吉岡街は高山の故郷らしくて、いの一番に名乗り出たらしいですよ」

 

四之宮「ふぅん……成る程」

 

 

それを聞いた四之宮は悪巧みを思い付いた様に口角を上げると、踵を返し

 

 

四之宮「んじゃあ、俺も行ってくるわ」

 

匙「…へ?」

 

 

そう言って立ち去ろうと歩き出す。

呆気にとられる匙だが、すぐハッとなると、四之宮を引き留める。

 

 

匙「ちょ、ちょっと待って下さいよ!?この後の生徒会の仕事、どうするんですか!?」

 

四之宮「ん?ああ、悪ィけどまたやってくんね?ラーメン奢るからよ」

 

匙「もうこれで30回目スよ!俺もそう簡単には首を振る訳には―――」

 

四之宮「そんじゃな~」

 

匙「ああっ!?まだ引き受けた訳じゃ…!」

 

 

ぶつぶつ文句を言う匙を無視して、四之宮はそそくさと去っていった。

 

 

匙「………はぁ…」

 

 

廊下に1人残された匙はため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エリアルベースのコマンドルームでも石室とオペレーター達が血眼で熱波の原因を捜していた。

 

 

「コマンダー!油田山の山肌に奇妙なものが!」

 

石室「よし、メインモニターに切り替えてくれ」

 

 

何かを見つけたオペレーターは指示通りにメインモニターへ表示する。

映し出された衛星からの日本地形図を次々拡大していき、油田山の山肌を映す。

そこには奇妙な文字が露出していた。

 

 

石室「っ、これは…」

 

 

それを見て、皆が息を呑んだ瞬間だった。

山肌が崩れ落ち、文字の全貌が露になる。

それは何やら篆書体が刻まれた謎の機械だった。

 

 

石室「炎山(エンザン)…」

 

『!?』

 

 

疑問に包まれる中、石室の呟きに皆は目を丸くして注目する。

石室は続けて

 

 

石室「炎、そして山と書かれている」

 

「炎の山……」

 

 

そう言うと、皆は再び山肌に現れた『炎山』と描かれた機械に目をやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢「樋口さん!」

 

樋口「?」

 

 

同時刻。油田山付近を調査していた我夢は同行している樋口を呼び掛ける。我夢もその機械の出現を掴んだのだ。

 

樋口は我夢の手に持っている映像デバイスを見て、目を丸くする。

 

 

樋口「っ、これは……まさか…!」

 

我夢「ええ……。以前出現したテンカイに似ていますね…」

 

樋口「…とすると、何者かが作り出した自然をコントロールするマシン……」

 

我夢「ええ。恐らく表面をレーダーを感知できない絶縁素材でコーティングしてるんでしょう」

 

 

我夢は自然コントロールマシーンのその目的の恐ろしさを知っている。以前現れたテンカイも一見ほったらしても害はないと思うが、最終的には生物を死滅させるものだった。

今回現れたのも同類と考えるのなら、危険であることには間違いだろう。

 

 

樋口「とにかく、住人を避難させましょう」

 

我夢「はい!」

 

 

一足先に車に乗り込む樋口を見ながら、我夢は考え込む。

 

 

我夢「…テンカイには大気を浄化させる目的があった。コイツには一体何が……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、吉岡街の山道を何故か朱乃は歩いていた。

実は調査とは無縁の用事でここへ足を運んでいるのだ。

ちなみに今回は私服である。

 

朱乃は額から溢れる汗をタオルで拭く。吉岡街中は猛暑で見舞われており、とても散歩日和のものじゃない。

しかし、朱乃の顔は疲労の色が見えず、それどころかニコニコしている。

 

 

朱乃「うふふ…ご両親への挨拶、頑張りませんとね♪」

 

 

そう、朱乃は我夢の両親に挨拶する為、彼の実家に向かっていたのだ。

早い時点で良い女性だとアピールすれば、信頼を得られ、交際に反対する確率は低い。

更にライバルを牽制できるので、一石二鳥だ。

 

 

朱乃「あっ!?」

 

 

朱乃はルンルンと軽やかな足取りで歩いていると、暑さでやられたのか道端で倒れている男性を見つけた。

朱乃は急いで男性の元へ駆け寄る。

 

 

朱乃「大丈夫ですか?」

 

唯一「…あ……う…」

 

 

偶然か奇跡なのかその男性は我夢の父、唯一だった。

意識は朦朧としており、顔色も悪い。

 

とにかく、朱乃は応急処置をする為、唯一を運ぶことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重美「ご迷惑おかけしました」

 

朱乃「いえ、大丈夫ですわ♪」

 

 

それから数分後。朱乃は途中で少し意識を取り戻した唯一の案内で彼の自宅へと運んだ。

唯一は今は寝室で休んでおり、居間では朱乃と我夢の母、重美が対話していた。

ちなみに朱乃はここが我夢の実家であることにはまだ気付いていない。

 

朱乃は出された麦茶を1口飲むと、重美へ問いかける。

 

 

朱乃「…本当に病院へ行かなくて大丈夫ですか?」

 

重美「暑いのに表を走り回って倒れただけですから、あの、意識もハッキリしてますし。本人が大丈夫と言ってますので……」

 

朱乃「そうですか…」

 

 

不安が残りつつあるが、重美にそう言われたのでそれ以上の追及を止めると、話題を変える。

 

 

朱乃「…でも、大変ですわね。役所のケースワーカーだなんて」

 

重美「ええ」

 

朱乃「あの、ご無礼を承知なのですが、この街の規模ならそう何人もいないのではないのですか?」

 

 

吉岡街は都会から離れていることもあり、自然豊かな街並みが特徴だ。しかし、逆を言えば人も少ない。

そんな規模なのに過労するほど働く必要はない筈だ。

その問いに重美は頷き

 

 

重美「うちの主人だけです。もう、昔から日曜も祭日も関係なく駆け回っているんです」

 

朱乃「そうですか…。では、失礼致しますわ」

 

重美「ありがとうございます…」

 

朱乃「いえ………?」

 

 

朱乃は立ち去ろうと席を立った瞬間、テレビの横にあるタンスの上に飾られている写真立てに目が入る。

入学時に撮ったものだろうか。その写真立てに写るのは駒王学園の制服を着た我夢が爽やかな笑顔でピースサインしていた。

 

 

朱乃「この写真の男の子って……高山 我夢君?」

 

重美「?ええ、そうですけど……あっ、もしかして我夢のお知り合い?」

 

朱乃「ええ、同じ学校に通ってますもの。それに部活も同じですし」

 

重美「あら~そうだったの!ごめんなさいね、大人びてるから学生さんって気付かなかったわ!」

 

朱乃「いえいえ♪」

 

 

朱乃は謙虚にしつつも目的地である我夢の実家であることに内心喜ぶ。偶然通りすがった男性を連れてきて、その先が我夢の実家だったとは予想だにもしなかっただろう。

喜びのあまり、はしゃぎたい気持ちを抑えていると、重美はニヤニヤとした顔を浮かべ

 

 

重美「ところで…我夢とはどういう関係?失礼だけど、お付き合いしてるとか?」

 

 

興味深々に訊ねる。以前訪れた小猫にも同じ質問をしたこともあり、息子の恋愛事情には興味がある様だ。

その問いに朱乃はニッコリと笑い

 

 

朱乃「…お付き合い、とまではいきませんが()()()()()()()()です。彼にはいつもお世話になっていますわ♪」

 

 

意味深な言葉を含めながらペコリと頭を下げる。

 

 

重美「あら、やだ!こちらこそいつも息子のお世話になっております!今後とも我夢と仲良くして下さいね!」

 

朱乃「はい♪」

 

重美「小猫さんといい、この娘といい、こんな可愛い女の子に囲まれるなんて!我夢も隅には置けないわ~~♪」

 

 

重美が我が事の様に照れる中、朱乃は内心ガッツポーズを取る。この短い会話の中で彼女の自分への評価は確実に高くなっており、上々と言ったところだろう。

 

2人がそんな気分に浸っていると

 

 

カタカタ……

 

ゴゴゴゴゴ……

 

『!?』

 

 

突然家が揺れ始めた。というよりも地面そのものが揺れ始めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボゴォンッッ!!

 

 

山肌から噴き出す様に岩が崩れ落ち、その中にいた自然コントロールマシーンがせりだす様に現れる。

その姿は先端に2本の角が付いた石板の様になっており、中央には『炎山』と描かれた篆書体が縦向きに刻まれている。

 

遂に山中にいた自然コントロールマシーンが動き出したのだ。

 

 

我夢「あんな巨大なものがずっとあの山に眠っていたのか…!」

 

 

その出現を港で目撃した我夢は驚いた様に見上げる。

何の目的かはわからないが、大昔に作られ、そのまま数百年もの日本の山中へ眠っていたとは信じられないのだ。

 

真っ赤な熱で覆われたエンザンはバチバチと放電しながら、放出する熱を上昇させていく。

 

 

我夢「なんて暑さだ…」

 

樋口「気温がグングン上昇しています…」

 

 

我夢が上がっていく暑さに辟易していると、駆け寄ってきた樋口が手に持っている赤外線温度計で測った数値を見せる。

彼の言う通り、ただでさえ暑いのにも関わらず、気温は信じられない速度で上昇していく。

 

我夢はエンザンを見上げつつ、対策を報告する為、XIGナビで石室へ連絡をする。

 

 

《石室「…我夢、対策は?」》

 

我夢「奴の内部構造が分からないので、無闇に火器による攻撃は避けて下さい」

 

樋口「液体窒素によって、冷却というのは?」

 

我夢「有効かも知れませんが、逆に奴の持つ熱源を刺激して、より強力な熱を放射するかも知れません…」

 

 

アドバイスを授ける樋口にそう返すと、我夢は再びXIGナビを見つめ

 

 

我夢「とにかく、現時点では住民の避難を優先させて下さい」

 

《石室「わかった」》

 

樋口「避難はジオベースの職員に任せて下さい」

 

 

通信を終えた一同は各々動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後。

G.U.A.R.D.の迅速な避難誘導を行ったおかげで、住民の避難はあっという間に完了した。

 

人気がなくなった港に車を止め、我夢と樋口が降りると、1人のG.U.A.R.D.隊員が駆け寄って敬礼をする。

 

 

「避難はほぼ終了しました!」

 

樋口「ごくろうさん」

 

「はっ!」

 

 

労いの言葉を受けた隊員はペコリと軽く頭を下げると、他の隊員の集まっているところへ走り去っていく。

これで人々への危害はなくなったと安心した2人は笑顔で見合せると、我夢は数歩前へ歩き、カモメが鳴く港へ目をやる。

 

 

樋口「…っ」

 

 

そうしていると、何か思い付いた樋口は我夢の傍へ寄ると、仮説を語り始める。

 

 

樋口「以前出現したテンカイは大気を浄化させる目的別で作られた………ひょっとして、エンザンは地球の気温低下を防ぐ為に作られたものではないでしょうか?」

 

我夢「っ、氷河期を避ける為ですか?」

 

樋口「ええ…何者かが太古の昔に……」

 

重美「我夢っ!」

 

「「…?」」

 

 

樋口の仮説に我夢は納得していると、突然遠くの後ろから声が聞こえ、2人は振り向く。

その声の持ち主は我夢の母、重美だった。

 

 

我夢「母さんっ!」

 

 

我夢は顔を明るくして返事すると、重美へ駆け寄る。

すると、重美はジロジロと我夢の姿を見て訝しげな顔を浮かべる。

 

 

重美「我夢?その格好は…」

 

我夢「ああっ!?いや、これは……!」

 

 

彼女の反応に我夢は気付き、あたふたする。

現在、我夢はXIGの隊員服を着ているのだが、自分がXIGの隊員であるのは色々と不味いので普段、外での任務は顔が別人に見える様に誤認識させるヘルメットを着用している。

だが、暑さのあまり、うっかりXIGメットを着用するのを忘れていたのだ。

 

どう説明しようかと四苦八苦する我夢を見た重美は「それについては後で訊くわ」と言って我夢を一旦落ち着かせると、深刻な顔を浮かべ

 

 

重美「お父さんが!山の近くに住んでいる足が不自由な老人のところへたった1人で助けに…!」

 

我夢「!?」

 

 

その危険な報せを聞いた我夢は目を見開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、徳造を助けに山を駆け上がった唯一は徳造の家へと辿り着いた。

 

 

唯一「っ!?徳造さんっ!!」

 

 

唯一は居間で意識を失って倒れている徳造を見て目の色を変えると、靴を脱ぐのも忘れ、急いで居間へ駆け上がる。

倒れている徳造の傍に寄り、首元に手を当てて脈を測る。

 

 

唯一「…っ、生きている!」

 

 

脈があるとわかった唯一は僅かに頬を緩ませる。

しかし、脈はあれど、このままここにいては危険なのは変わらない。唯一は彼の息子の写真を手に徳造の肩を担ぐと、急いで避難し始める。

 

 

唯一「うぅ…ぐぅぅ…!」

 

 

だが、気を失った男1人を担いで下山するというのには無理がある。人間は意識があるのとないのでは重さが全く違う。それをたった1人で行うのは無謀だ。

 

 

朱乃「手伝いますわ!」

 

唯一「君は……!っ、すまない!」

 

 

そこへ駆け付けた朱乃が徳造の肩を担ぐのを手伝い、唯一は申し訳なさそうに感謝しつつ、2人は下山していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四之宮「ふぅ~…暑いな……」

 

 

そして、丁度その時。四之宮は熱を放ち続けるエンザンと上空で監視するチームトルネイドの面々を山の頂上から見物していた。

サングラスをかけ、右手に日傘、左手に冷えたジュースを持っており、防暑対策もバッチリ取ってある。

 

四之宮はジュースをグイッと1口飲むと、エンザンの背部に備わっているエネルギーゲージへ目をやる。

体温計の様な構造をしているゲージは未だ最大まで溜まっておらず、丁度真ん中までしか溜まってなかった。

 

 

四之宮「はぁ…」

 

 

それを見た四之宮は退屈そうに嘆息をつくと、ズボンのポケットから1枚のメダルを取り出す。

そのメダルには結晶体の様な岩石から赤い触手が飛び出している怪獣が描かれていた。

 

 

四之宮「セレブロ。お前のメダル、有り難く使わせてもらうぜ♪」

 

ヒュンッ!

 

 

メダルに向かって不敵に告げた四之宮はメダルをエンザンに向けて投げ飛ばす。メダルは綺麗な放物線を描きながらエンザンのエネルギーゲージへ吸い込まれる様に入っていった。

すると、

 

 

グゥゥゥン…ッッ!

 

バチバチバチッッ!!

 

 

メダルの影響でエネルギーゲージが最大に達したエンザンは全身に赤い稲妻が走ったかと思うと、グニャリと変形し始める。

 

 

エンザン「ピィィ~~~!!」

 

 

変形を終えると、そこには胸元に『炎山』と描かれ、クワガタムシを彷彿させるシルエットの二足ロボットが立っていた。

これこそ、自然コントロールマシーン『エンザン』の真の姿だ。

 

 

椿姫「怪獣に変形した!?」

 

エンザン「ピィィ~~~!!」

 

 

驚いている椿姫達が乗るXIGイーグルに向かって、エンザンは角からの電撃と胸元から高熱の火炎弾を放つ。

 

 

『っ!』

 

 

椿姫達は驚きを隠せないままではあるが、すぐに気持ちを切り替え、攻撃を回避する。

 

 

《石室「チームトルネイド。攻撃をエンザンの足下に集中……動きを封じろ」》

 

『了解!』

 

 

その指示を受けた椿姫達は街への進行を食い止める為、エンザンの足下への一斉攻撃を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、徳造を連れて山を下りていた朱乃と唯一は道中で足を止めた。いや、止まるしかなかったと言うのが正しいだろう。

エンザンが暴れた影響で木が倒れ、道を塞いでいたからだ。

 

呆気にとられる中、朱乃は隣にいる唯一に訊ねる。

 

 

朱乃「他に道は?」

 

唯一「ここしかないんだ…っ」

 

 

それを聞いた朱乃は近くの木に徳造を寄りかからせて寝せると、すぐさま倒木の撤去に取りかかる。

これぐらいの倒木なら魔力であっという間に消せるが、人間である唯一の前で使うと怪しまれるので、手を使って執り行う。

 

これでも悪魔なので、人以上は力がある。それならば、1人でも出来る。そう思って始めたのだが、唯一はその横で手伝い始めた。

 

 

朱乃「お義父様。ここは私1人に任せて下さい!こう見えて、力はある方ですわ!」

 

唯一「いいや、女の子1人に任せる訳にもいかんっ」

 

朱乃「病み上がりなのに無茶はいけませんわ!その体で道を空けるのは無理ですわ!さあ、休んで…」

 

 

作業をしながら朱乃は休むよう促すが、唯一は首を横に振り

 

 

唯一「諦めちゃいけない!どんな時でもっ!例えそれが無理、不可能だとしても、少しでも差す光があればこじ開けて進むんだっ!」

 

(我夢「何もかも終わった訳ではないですし、諦めるのはまだ早いですよ」)

 

朱乃「…」

 

 

唯一の言葉を聞き、朱乃は以前、我夢にも同じ様なことを言われたのを思い出すと同時に思った。

――やはり、この人は我夢の父親なんだと。彼の持つ正義や思いやる心はこの人から受け継がれているのだと。

そう思った朱乃は微笑み

 

 

朱乃「似てますね、息子さんと」

 

唯一「え?」

 

朱乃「私、今はそうではないのですが、父と険悪だったんです。仲良くしたいって思っても素直になりきれなくて……でも、我夢君に励まされて父と和解できたんです。その時の彼の言葉や顔があなたに似てて、やはり親子なんだって…」

 

 

朱乃は自分とバラキエルの仲を取り持ったくれた日のことを思い出す。あの日、彼が行動してなければ、一生うやむやだっただろう。

朱乃はそう言いながら唯一へ顔を向け

 

 

朱乃「感謝していますわ。彼とそれを産んで下さったあなた達に…」

 

唯一「……ふふっ」

 

 

感謝の言葉を聞いた唯一は誇らしげに笑みをこぼした。

息子の我夢がこんなにも人の為に頑張れていることを…。

 

そうこうやり取りしているうちに倒れた木は人が乗り越えられるぐらいの高さにまで撤去していた。

 

 

朱乃「この程度の高さなら…」

 

唯一「君は先に!徳造さんは私が!」

 

朱乃「はい!」

 

 

唯一に促された朱乃は一足先に倒木の上に乗ると、唯一から肩を貸している徳造を抱き抱えると、そのままゆっくりと下へ下りながら地面へ下ろす。

 

 

バタリ…

 

朱乃「お義父様?」

 

 

その瞬間、唯一がいる反対側で何かが倒れる音が聞こえた。

嫌な予感がした朱乃は倒木を乗り越え、下を見ると、唯一が倒れていた。

仕事による疲労とエンザンによって上昇した気温が当たって、遂に限界が来てしまったのだ。

 

 

朱乃「お義父様!?しっかりして下さい!お義父様!」

 

唯一「あ…うぅ…っ」

 

 

その光景に目の色を変えた朱乃は肩を揺すって呼び掛ける。

唯一は息はあるが顔は青ざめ、荒い呼吸をしており、いかにも危険な状態であることを知らしている。

 

 

朱乃「お義父様っ!しっかりして下さい!」

 

我夢「朱乃さん?」

 

 

そして、その時。唯一を助けに来ていた我夢が朱乃の声を聞いて走り出す。

キョロキョロと辺りを見渡すと、山道の斜面に2人を目撃した。

 

 

我夢「父さんっ!?」

 

エンザン「ピィィ~~!!」

 

我夢「っ!」

 

 

駆け寄ろうとする我夢だが、近くにいるエンザンの鳴き声を聞いて踏み止まる。

 

 

バリバリーーー!!

 

エンザン「ピシュュュ~~~~!!」

 

 

エンザンは角から放つ電撃で地を走らせると、地面のみならず、近くにある徳造の家を燃やした。

 

 

エンザン「ピィィ~~!!!」

 

グシャンッッ!!

 

エンザン「ピシュュュ~~!!」

 

 

燃え盛る家をエンザンは助走をつけて踏み潰すと、そのまま朱乃と唯一達を踏み潰そうと近寄ってくる。

 

 

キィンッ!

 

 

我夢はすかさずエスプレンダーを上へ突き出すと、赤と青の閃光に包まれ、ウルトラマンガイアへ変身した。

 

 

ガイア「ダッ!トォアッ!」

 

エンザン「~~~!!?」

 

 

変身したや否や、ガイアは地を蹴って軽く跳躍すると、右足のジャンプキックでエンザンを蹴り飛ばす。

 

 

朱乃「ウルトラマン!」

 

ガイア「………グアッ!」

 

エンザン「ピィィ~~~~!!」

 

 

ガイアは安堵した様に呟く朱乃を見てコクリと頷くと、ファイティングポーズを取り、角を突き立てて突進してくるエンザンのもとへ駆け出す。

 

ガイアは走って勢い良く跳躍してグルリと1回転して飛び越える。

 

 

ガイア「ダッ!デヤッ!デュアッ!」

 

エンザン「ピシュュュ~~!!」

 

 

ガイアは振り向いたエンザンの角や頭を蹴り上げて大きく怯ませると、間髪入れず、回し蹴りとかかと回し蹴りのコンボで激しく攻める。

 

 

エンザン「ピィィ~~~!!」

 

ガシッ!

 

ガイア「…デュアァァァーーー!!」

 

ドォンッ!

 

 

ガイアは飛びかかってエンザンに組みかかると、後退しながら背負い投げの要領で地面へ叩きつける。

 

追い討ちをかけようとガイアは近寄ろうとするが、

 

 

エンザン「ピィィ~~~!!」

 

ジャキッ!

 

ガイア「デュアッ!?」

 

 

エンザンは負けじとクワガタの様な2本の角でガイアの首を挟みつける。

首の圧迫に一瞬驚くガイアだが、すぐに冷静を取り戻すと、エンザンの頭を両手でガシッと掴むと、

 

 

ガイア「ダッ!デヤァァァァーーーー!!」

 

ガァンッ!

 

エンザン「ピィィ~~~!?」

 

 

エンザンを逆さまの状態のまま力強く持ち上げ、ジャーマンスープレックスの様に後ろの地面へ投げ付ける。

その衝撃にエンザンは機械の筈なのにまるで痛そうに手足をジタバタさせる。

 

 

ガイア「デュアッ!グアァァァァ……ッ!」

 

ダァンッ!

 

 

休む間も与えず、ガイアはエンザンを持ち上げて横へ投げ付ける。

 

 

ガイア「デュッ!」

 

ダァンッ!

 

 

そして、倒れるエンザンを無理矢理起き上がらせると、またもや後方へ思いっきり投げ付ける。

勢いに乗ったガイアは倒れるエンザンへ駆け寄るが

 

 

ジャキッ!

 

ガイア「デュッ!?グァァァァッ!!」

 

エンザン「ピシュュュ~~!!」

 

 

エンザンの2本の角に両膝を挟まれ、動きを封じられた。

両膝を固定したままエンザンは起き上がると、ガイアは宙で1回転して地面へ叩きつけられる。

 

 

エンザン「ピシュュュ~~~~!!」

 

バリバリーーー!!

 

ボォォォォッッ!!

 

ガイア「ドアァァァァーーーーーッ!!」

 

 

痛みを堪えて立ち上がるガイアにすかさず、エンザンは2本の角から放つ電撃と胸からの火炎弾の2重攻撃で攻める。

電撃で体が痺れ、火炎弾で身体中が一瞬だが燃え上がったガイアは片膝をつく。

 

 

バリバリーーーーー!!

 

 

これは好機と見たエンザンは再び電撃を放つ。相手に通用した攻撃を続けるのは得策だが、天才児のガイア―――我夢には同じ手は通用しない。

 

 

ガイア「デヤッ!」

 

ピュイーーーン!ピュイピュイピュイ…!

 

 

ガイアは右腕を上に左腕を下に垂直に構え、プリズム状の光を発生させると、そのまま両腕を左右に開いて作り出す円形状の光の障壁―――ウルトラバリヤーを発動した。

ガイアのバリヤーは次々と放たれる電撃を容易く防いだ。

 

 

エンザン「ピィィ~~~~!!」

 

ボォォォォッッ!!

 

 

エンザンはバリヤーを突破しようと電撃に加え火炎弾も放つが、バリヤーには傷1つ付かない。

その隙にガイアは立ち上がって体制を整えると、

 

 

ガイア「デュアッ!!」

 

ドガァンッッ!

 

 

全身に力を込め、バリヤーでエンザンの放つ攻撃ごと押し戻して、ぶつけさせる。

直撃したエンザンの胸元から火花が激しく飛び散る。

 

 

エンザン「ピシュュュ~~!?」

 

ガイア「デュアッ!グァァァァァァァァ………デヤッ!!」

 

 

エンザンが混乱している間、ガイアは両腕を広げて頭部にエネルギーを溜めると、フォトンエッジを放った。

 

 

ドガガガガァァァァァァンッッ!!

 

 

真っ直ぐ放たれた赤い光刃はエンザンの身体中を切り刻むと、そのまま木っ端微塵に大爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エンザンに勝利したガイアを四之宮は遠くから面白そうに眺めていた。

猛暑の原因であるエンザンが倒された為、必要のない日傘を畳み、サングラスを取り外す。

 

 

四之宮「ふっ、やるねぇ…!メダルの力で多少なりともパワーアップしてる怪獣を1人で……」

 

 

四之宮はそう褒め称えながら懐から何かを取り出す。

それはメダルの装填口がついたブレードにトリガーがついた赤と黒を基調とする奇妙な道具だった。

 

 

四之宮「…久しぶりに血が騒ぐぜ!」

 

 

不敵に呟きながらその道具を突き出してトリガーを押すと、展開したゲートを潜った。

 

 

 

 

 

 

ゲート内の紫色の空間に入ると、四之宮が着ていた服はいつの間にか全身黒タイツになった。

 

手前に現れたカードの右上に摘み取ると、左手に持つ道具の真ん中にあるスロットに差し込む。

 

 

《Shinomiya. Access Granted.》

 

チャリンッ…

 

 

道具から認証音声が聴こえる中、四之宮は右手を開くと、怪獣が描かれた3枚のメダルを出現させる。

 

 

四之宮「…」

 

 

前髪を上げる様に頭を上げると、前の方を見下ろしながら目を見開く。

瞳が緑色に発光した瞬間、空間が歪むと、顔の左半分がトゲトゲとした魔人の顔が一瞬だけ浮かび上がった。

 

 

四之宮「ゼットンさん…」

 

チャリッ…

 

四之宮「パンドンさん…」

 

チャリッ…

 

四之宮「マガオロチ…」

 

チャリッ…

 

四之宮はねっとりとした口調でメダルに宿す怪獣の名前を呼びながらブレード部分の装填口に1枚ずつ装填する。

 

 

《Zetton.》

 

《Pandon.》

 

《Maga-Orochi.》

 

 

ブレードを展開して、メダルを読み込むと、四之宮は道具を顔の横に構え

 

 

「お待たせしました……。闇の力、お借りします!

 

《Zeppandon.》

 

《♪♪~~~》

 

 

そう叫んで真上へ掲げると、道具から発する怪しい光に包まれ、ロックな音をバックに四之宮―――ジャグラーは怪獣に変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガイア「デュアッ――」

 

ドォォォォンッッ!!

 

ガイア「!?」

 

 

エンザンを倒し、ガイアが空へ帰ろうとした瞬間、突如、彼の後ろから地響きが聞こえた。

ガイアは驚きながら振り向くと、土飛沫が巻き上がった先には1匹の怪獣が立っていた。

 

サメの様な顔に側頭部には嘴と穴が空いた突起物が着いており、赤い体表に覆われている胴体は黒い身体に胸部のオレンジ色の発光体、両腕と両脚部は白い蛇腹状になっている。

両肩からは赤く長い突起があり、先端が鋭く長い尻尾が生えている。

 

ゼットン、パンドン、マガオロチ……かつて別世界の光の戦士を追い詰めた怪獣の力を結集させた合体怪獣―――その名は『ゼッパンドン』!

 

 

ゼッパンドン「ピポポポポ……ガァガァッ!」

 

ガイア「ッ!」

 

 

ゼッパンドンの出現に驚くガイアだが、ゼッパンドンが口から放った火球で攻撃してきたことに気付き、側転して避ける。

 

 

ガイア「デュアッ!ダァァァァァーーー!!」

 

 

ファイティングポーズを取ったガイアは助走をつけた飛び蹴りを放つが

 

 

フッ…

 

ガイア「ッ!?」

 

 

ゼッパンドンの姿は突如消え、対象がなくなった蹴りは宙をきる。

ガイアは動揺しながらもどこだと辺りを捜そうとした時

 

 

ゼッパンドン「ガァガァッ!ゼットォーーーン……!」

 

ドォンッ!

 

ガイア「グアァァッ!?」

 

 

ゼッパンドンの顔の両脇の嘴から放つ紫色の光線を背後に受け、ガイアは大きく前へ怯む。

 

 

ガイア「ダッダッダッ…!!」

 

 

ガイアは反撃の拳による連打を繰り出すが、ゼッパンドンの強硬な皮膚の前では全く効かず、ビクともしない。

 

 

ゼッパンドン「ガァガァッ!!」

 

ガイア「グアッ!?」

 

ブンッ!!

 

ガイア「ドアァァァァーーーーッ!!」

 

ドォォォォンッ!

 

 

ゼッパンドンは右、左の張り手でガイアを大きく怯ませると、尻尾の凪ぎ払いで近くの山に叩き飛ばした。

 

 

ゼッパンドン「ピポポポポ……ガァガァッ!」

 

ガイア「……グアッ!グァァァァ……デュアッ!」

 

 

瓦礫が崩れ落ちる中、ガイアは痛みを堪えて立ち上がると、かかってこいと手招きして挑発するゼッパンドンに向けてリキデイターを放つ。

だが、

 

 

ゼッパンドン「ピポポポポ……」

 

シュュュン……

 

 

ゼッパンドンは体で受け止めると、光球をあっという間に吸収してしまった。

 

 

ゼッパンドン「ゼットォォーーーーン……!」

 

ガイア「ッ!デヤッ!!」

 

ドドォォォォォンッッ!!

 

 

反撃にゼッパンドンが吐いた3連発の火球に対し、ガイアは連射のアグルスラッシュで応戦する。

2つの攻撃は相殺し、宙で爆発が起きる。

 

 

ガイア「ダァァァァァ……デュアッ!!」

 

 

爆風に紛れてエネルギーを溜めたガイアはフォトンクラッシャーを放つ。

この光線は先程放ったリキデイターよりも強力で、吸収出来るヤワな威力ではない。

しかし、ガイアの考えは甘かった。

 

 

ポワワワワワポワワワワワ…

 

ガイア「!?」

 

 

ゼッパンドンは顔の横にある穴が空いた突起から飛び出した緑色の六角形のバリア『ゼッパンドンシールド』を前面に展開すると、ガイアの放った光線を容易く防いだ。

その光景を前にガイアは驚きを隠せずに入られなかった。

 

 

ゼッパンドン「ガァガァッ!ゼットォォーーーン…!」

 

 

その隙にバリアを収納したゼッパンドンは両腕を広げ、全身のエネルギーを胸の前へ集中させて形成した特大の火球をガイアへ放った。

 

 

ドォォォォンッ!!

 

ガイア「ドアァァァァーーーーッ!!」

 

 

まともに食らったガイアは火花を散らしながら大きく後方へ吹き飛び、背中から地面へ叩きつけられる。

 

 

ガイア「グアッ…アァ…!」

 

[ピコン]

 

 

苦しみながらも何とか起き上がろうとするガイアだが、あまりものダメージで中々起き上がれない。

ライフゲージも危険を報せる赤に点滅し初めている。

 

 

ゼッパンドン「ピポポポポ……ゼットォォーーーン…!」

 

 

ゼッパンドンは倒れているガイアのもとへゆっくりとした足取りで近付いていくが

 

 

ドガガガガガ!!

 

ゼッパンドン「?」

 

 

その道中、背中から攻撃を受け、火花が散る。

ゼッパンドンは何だろうと怪訝に思いながら振り向くと、チームトルネイドの面々がこちらに向かって攻撃していた。

更に

 

 

朱乃「雷光よ!」

 

ビカカカァァァァァァンッッ!!

 

 

横から地上にいる朱乃が雷光を放つ。徳造や唯一がいないことから、安全な場所へ送り届けれたのだろう。

 

 

ゼッパンドン「ガァガァッ!」

 

ポワワワワワポワワワワワ…

 

 

朱乃の方を向いたゼッパンドンは前面にゼッパンドンシールドを展開して防ぐ。朱乃の強力な雷光でもゼッパンドンのバリアは突破は出来ないのだ。

けれども、チームトルネイドと朱乃はガイアを援護する為、攻撃を続けた。

 

 

朱乃「これ以上、我夢君を傷つけさせない!」

 

ガイア「みんな……止め――!?」

 

 

無謀な攻撃を続ける皆をガイアは止めようとするが、とあることに気付いた。

ゼッパンドンのバリアの弱点に。

 

 

ガイア「デュアッ!グァァァァ……デヤァァァーーーー!!」

 

 

逆転の策を思い付いたガイアは跳ね起きると、クァンタムストリームを放つ。

 

 

ポワワワワワポワワワワワ…

 

 

当然、ゼッパンドンはゼッパンドンシールドを展開して防ぐ。しかし、ガイアはそれでも光線を打つ手を止めず、そのまま走り出した。

 

端から見れば謎行動だろうが、天才児の彼の頭脳を甘く見てはいけない。

 

 

ガイア「ダッ!」

 

ゼッパンドン「?」

 

ガイア「トォアッ!」

 

 

光線を撃ち続け、ある程度近付いたガイアは光線を打つ手を止めて高く跳躍してバリアを飛び越えると、飛び蹴りを放つ。

ガイアはゼッパンドンシールドは真上には張れないことに気付いたのだ。

 

 

キィンッ!

 

ゼッパンドン「ガァガァッ!!」

 

 

真っ直ぐ捉えたガイアの蹴りはゼッパンドンの顔面に直撃し、大きく怯ませた。

 

 

ガイア「デヤッ!」

 

ゼッパンドン「!」

 

ガイア「グアッ!」

 

 

その隙にスプリームヴァージョンへヴァージョンアップしたガイアはゼッパンドンに掴みかかると、振り向き様に投げ飛ばす。

ガイアに豪快に投げ飛ばされたゼッパンドンは地を滑っていく。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

ゼッパンドン「ピポポポポ……!」

 

ガシッ!ガシッ!

 

ガイア「グァァァァ……!」

 

 

ガイアは高く飛び上がり、宙で1回転して回り込むとゼッパンドンの両肩の突起物を両手で掴み、逆さまに持ち上げる。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

ドォォンッッ!!

 

 

高く持ち上げた状態で捻りを加えて投げ飛ばし、地面へ叩きつける。

 

 

ガシッ!

 

ガイア「グァァァァァァァァ……!」

 

ブォンッ!ブォンッ!

 

ガイア「デヤッ!」

 

 

ガイアは間髪入れず、ゼッパンドンの尻尾を掴むと、ジャイアントスイングの要領で投げ飛ばした。

ゼッパンドンは地に何度もバウンドしながら転がっていく。

 

 

ガイア「グァァァァ……!」

 

ゼッパンドン「ゼットォォーーン…!」

 

ブンブンブンブン…!

 

 

それでも手を止めず疾走したガイアはゼッパンドンを右腕で高々に持ち上げると、一旦回って回転をつけると、右手を駆使してゼッパンドンを独楽の様に回し始める。

ゼッパンドンは三半規管が狂い、今にも気を失いそうだ。

 

 

ガイア「……デュアッ!」

 

ダァンッ!

 

ゼッパンドン「ピポポポポ……!ガァガァッ!」

 

 

目に捉えきれない程の回転速度となったゼッパンドンをガイアは前方へ投げ飛ばす。

ゼッパンドンはまたもや地面にぶつけながら転がっていく。

 

 

ガイア「デヤッッ!グァァァァァァアァァァァ……!デュアッ!!!」

 

ゼッパンドン「!」

 

ドガガガガガァァァァァァーーーーーーー!!!

 

 

ガイアは止めのフォトンストリームを放った。

膨大な光線は起き上がったゼッパンドンに直撃し、大爆発した。

 

 

[ピコン]

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

苦戦しながらもゼッパンドンを倒したガイアは両腕を真上へ広げ、今度こそ遠い空へと飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢「よかった、大したことなくて…」

 

 

エンザン、乱入したゼッパンドンを倒した我夢は唯一が運ばれた吉岡街近くの病院へ足を運んだ。

唯一と徳造は命に別状はなく、早いうちに退院できるそうだ。

 

 

我夢「張りきり過ぎるんだよな、いつも」

 

重美「でも、そこがお父さんの良いところなんだしね」

 

 

重美の言葉に我夢は微笑む。ちなみに我夢はXIGの隊員でなく、あくまでG.U.A.R.D.の協力者ということにしている。

ウルトラマンとはいえ、学生が重火器を扱うXIGの隊員と広まれば色々厄介だからだ。

 

我夢は病室のベッドで眠る唯一の顔を見て、昔の出来事を思い出す。

 

 

我夢「そういえば昔、海で溺れそうになった時、父さんに助けてもらったよね…」

 

重美「ああ~…そんなこともあったわねぇ…」

 

我夢「恩返し……出来たかな?」

 

徳造「けほっ!ごほっ、ごほっ!」

 

「「?」」

 

 

一緒に暮らしていた頃の思い出に浸っていると、隣のベッドで寝ていた徳造が大きく咳き込むと、目を覚まして起き上がる。

 

徳造はキョロキョロと辺りを見渡すと、残念そうな顔をし

 

 

徳造「死に損なったか…」

 

重美「そんなこと言うもんじゃありませんよ!」

 

徳造「…?」

 

 

そう呟くと、聞いた重美が歩み寄ってキツイ顔で諌める。

徳造がポカンとする中、重美は棚に置いてある徳造の息子の写真を手に取ると、

 

 

重美「はい」

 

 

微笑みながら徳造に手渡す。写真に写る息子は元気な顔で笑っており、死んだ人間とは思えない程だ。

そんな息子の顔を見た徳造は微笑み

 

 

徳造「…そうだなぁ~~。死んだ、バカ息子の分まで長生きしてやらんとな」

 

重美「そうですよ~!」

 

 

生きる希望を見出だした徳造に重美は笑顔で頷く。

それが残された者の成すべきことだ。

 

笑い合う2人だが、徳造はふと唯一のベッドの傍に立っている我夢に目が合った。

その視線に気付いた我夢は近寄ると、重美は照れ臭そうに笑い

 

 

重美「息子の我夢です」

 

我夢「こんにちは!」

 

徳造「ああ…」

 

 

紹介を受けた我夢は笑顔で挨拶をすると、徳造も自然に笑顔で応える。彼が唯一の息子だということは一目でわかり、その優しげな瞳から唯一と同じ心強さがひしひしと徳造に伝わった。

 

我夢は重美へ顔を向け

 

 

我夢「悪いけど、そろそろ行かなくちゃ…」

 

重美「仕事?」

 

我夢「うん。この後も調査しなければいけないことがいっぱいあるから……それじゃ」

 

重美「じゃ」

 

 

別れを交わして、我夢はそのまま部屋を出ていこうとするが

 

 

徳造「ああぁ~…あんた!」

 

我夢「……え?」

 

 

ドアノブに手をかけた瞬間、徳造に止められ、足を止める。我夢が振り向くと徳造は

 

 

徳造「どんな仕事をしてるか知らんが、親より先に死ぬんじゃないぞ…」

 

我夢「…」

 

唯一「…」

 

 

息子を失い、悲しみにくれた徳造からのメッセージ。

我夢は真剣な顔を聞き届ける中、唯一は目を覚まし、我夢へ顔を向ける。

 

 

徳造「いいな…?」

 

我夢「はい!」

 

唯一「…」

 

 

徳造の問い掛けに我夢はハッキリと答えると、唯一は安堵の顔を浮かべながら、再び眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ゼッパンドンが倒された爆心地では、全身黒焦げの四之宮が寝転がっていた。

 

 

四之宮「あぁ~…あちこち痛ェ~~…!少しは手加減しろよ…」

 

 

四之宮は全身からズキズキと来る痛みに顔を歪ませながらぼやく。

長年戦い続けたベテランの彼もスプリームヴァージョンの鬼投げは相当くるらしい。

 

 

四之宮「ハッハッハッハッハッハッ……!ハッハッハッハッハッハッハッハッハッ…!!アッハッハッハッハッハッ……!!」

 

 

しかし、四之宮は突然吹き出すと楽しげに笑い出した。

面白可笑しく…かつ不気味に…。

四之宮はピタリと笑いを止めると、青空を見上げ

 

 

四之宮「あぁ~…面白ェ…」

 

 

そう満足げに言うと、こちらを振り向き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四之宮「…そう思うだろ?画面越しに見るお前達……?」

 

 

 




次回予告

『ウクバール永田』―――人は彼をそう呼ぶ。
彼は25年間ずっと帰り道を探していた。


吉田「宇宙人と?」


次回、「ハイスクールG×A」
「遠い町・ウクバール」


「駄目だよ、ウクバールなんて夢見てるだけじゃ!」





今回、ジャグラーがエンザンへ投入したメダルに描かれた怪獣わかるでしょうか?ヒントはガイアの怪獣です。
分かる方がいれば、コメントよろしくお願いします!
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