ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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超空間波動怪獣 サイコメザードII(ツー) 登場!


第47話「迷宮のリアス」

その夜。駒王町の上空から黄色の粒子が地上へ降り注いでいた。

この奇妙な現象に人々は疑念を感じていたが、キラキラと輝かせながら雪の様に降り注ぐ美しい光景に目を奪われ、その疑念もすっかり忘れていった……。

 

その粒子の雨は寝静まる兵藤家の上にも降り注いでいた…。

 

 

 

 

―――も~うい~いか~~い……?

 

―――ま~~だだよ~~~……

 

「?」

 

 

遠くから聞こえる子供達の声にしゃがんでいた長い紅髪の少女は顔に当てていた手をどけ、パチリと目を開ける。

背も顔も体格も小さく、年は4~5歳くらいだろう。

 

紅髪の少女は体を上げて辺りを見渡すと、メルヘンチックな建造物に観覧車やジェットコースター等、様々なアトラクションが建っていることから遊園地であることがわかる。

しかし、

 

 

―――ま~~だだよ~~~……ま~~だだよ~~~……

 

「みんなどこなの?どこにいるの?」

 

 

お友達の声のする方へ走るが一向に姿が見えない。

お友達どころか遊園地には人っ子1人おらず、少女1人のみだ。

 

 

「…みんなどこ?わたしを1人にしないでよっ……ぐすっ、ぐすっ……」

 

 

――孤独。それを感じた紅髪の少女は遂に泣き出してしまう。

――やっと、やっとあそべたとおもったのに……。心にポッカリとできた悲しみが広がり、涙が止まらない。

 

 

『あなた、1人ぼっちなの?』

 

「…?」

 

 

すると、後ろから少女が呼びかける声が聞こえ、ピタリと泣き止む。

紅髪の少女は涙溢れる目尻を手で拭い、治まらないえづきを堪えて振り向くと、稼働しているメリーゴーランドから照らされる金色の光を背に受けている1人の少女が立っていた。

 

長い茶髪を縦ロールに編み、頭頂部には黒いリボン、貴族のお嬢様が着るような黒とエメラルドグリーンで彩られた可愛らしいドレスを着ている。

9~10歳に見える少女の顔はまるで西洋人形の様に整っており、唇に塗っている口紅の赤がより一層白い肌を引き立てる。

 

 

「だぁれ?」

 

 

その可愛らしさに目を奪われつつも紅髪の少女は首を傾げて訊ねると、彼女はニッコリと笑みを浮かべ

 

 

『あたしと遊ぼう?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアス「………んんぅ…」

 

《♪♪~~》

 

 

机に伏せていたリアスはパチリと目が覚める。

目を擦りながら顔を上げて周囲を見渡すと、自分の部屋であり、僅かな灯りとメリーゴーランドを模した小さなオルゴールが静かな音を奏でている。

机に目をやると、書きかけの悪魔契約関連の報告書が置いてあることから、どうやらいつの間にか寝てしまった様だ。

 

 

 

リアス「(あの時のことを思い出すなんて…)」

 

 

リアスは先程自分が見た夢を思い返す。皆様にはお分かりだろうが、あの夢に出てきた紅髪の少女はリアスであり、あれは幼い頃のリアスが体験したことである。

 

遊園地でかくれんぼをしている時、1人ぼっちになって寂しくなり、泣いてしまった。

しかし、そんな時に現れた少女こそリリアだった。

彼女は自分よりも幾らか年上であるはずなのに、ワガママを真摯に受け止め、一緒に遊んでくれた。

幼い頃のリアスにとってはソーナと並ぶ友人の1人だ。

 

それ以降もリリアは遊んでくれたが、リアスが10歳を越えようとした時、忽然と姿を消してしまった。

何度も探したが手がかりが見つからず、音信不通である。

 

 

リアス「リリア…元気かな」

 

カサッ…

 

リアス「?」

 

 

追憶に浸りながら足を動かした時、床にある紙を踏む。

床に落としてしまった書類かと思ったリアスは座ったまま椅子を引いて書類を取るが、

 

 

リアス「何…これ……?」

 

 

僅かにある灯りで照らされた瞬間、怪訝な顔を浮かべる。

その書類には

 

 

LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia LiLia

 

 

と用紙一面を塗り潰すかの様にリリアの名を書きなぐっている痕跡があった。

汚いながらもこの筆跡からリアスは自分が書いたのだと理解した。

 

 

リアス「これ、私が…?」

 

 

しかし、当の本人には書いた記憶が全く無かった。というよりもいつ、どこで、何の為に書いたのすら憶えていなかった。

けれど、この書類の文字から自分が書いたのは明白だ。

 

リアスは困惑していると、机に飾ってある写真立てに目をやる。

そこにはソファーに座った自分とリリアのツーショット写真が入っていた。

 

 

リアス「リリア…」

 

 

それを見たリアスはぼんやりとした顔で呟く。頭にあった懸念は写真に吸い寄せられる様に全て消え去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キィィィシャォォォォ~~~…」

 

 

その時、上空から現れたワームホールから顔を出した怪獣は下界を見下ろしていた。

まるで嘲笑うかの如く……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時が過ぎ、駒王学園。夕方となり、すっかり放課後の時間帯になっていた。

我夢達はいつもの様に旧校舎の部室へ足を運び、ティータイムを交えながら他愛のない話をしていた。

ちなみにアザゼルは現状の活動や情勢を報告し合う冥界の逐一会議に参加しているのでここにはいない。

 

 

我夢「そういえば、もうすぐ修学旅行だよね」

 

一誠「おっ、もうそんな時期か」

 

 

膝に小猫を乗せながらクッキーを頬張る我夢の言葉に一誠は反応する。

我夢達2年生は体育祭が終わった今、学校行事の1つである修学旅行が近付いていた。そんな大イベントをまだかまだかとワクワクするのが普通なのだが、ロキや破滅招来体の戦いがあって一誠も我夢もつい最近になるまで完全に頭から離れていた。

 

 

一誠「確か京都だっけ?行くの」

 

我夢「そうそう。3泊4日で最低8人のグループを作って回るらしいよ。観光場所は時間にもよるけど、基本は自由だって」

 

一誠「へ~~そうなのか。んじゃあ、グループはどうすっかな…」

 

イリナ「あっ!なら私達のグループと組まない?」

 

「「?」」

 

 

一誠がそう呟いた瞬間、話を聞いていたイリナが笑顔で話に入ってくる。

 

 

イリナ「私、ゼノヴィア、アーシアさん、桐生さんの4人で班を作ってるんだけど、丁度残りの人を探してて。それにどうせ組むなら気軽に接せれる人がいいしね!」

 

ゼノヴィア「うん、私も賛成だ。桐生には後から話をつけておく」

 

アーシア「イッセーさん、我夢さん。ご一緒してくれますか?」

 

 

アーシアは笑顔で2人に訊ねる。

高校生活の行事の中でもある程度自由がきく修学旅行。イリナの言う通り、そこまで接点がない人と組むよりも接点がある人と組む方が数倍楽しいだろう。

断る理由はない。

 

 

我夢「もちろんさ」

 

一誠「おう、全然OKだぜ!アーシアと俺はいつも一緒、だろ?」

 

アーシア「はい!ずっと一緒です!」

 

 

2人の承諾に加え、一誠の口から出た言葉にアーシアは満開の笑顔を咲かせると、嬉しさのあまりに彼に抱き着いた。

 

 

ゼノヴィア「ふふっ、いいものだな。愛し合うというのは…」

 

イリナ「みんながいる場所で抱き着くなんて……。大胆……」

 

我夢「まあまあ、幸せそうだし」

 

 

この光景にゼノヴィアと我夢は微笑み、イリナは恥ずかしそうに頬を赤く染める。

体育祭の告白で晴れて恋人同士となった一誠とアーシアは今まで堪えていたものが吹っ切れたのか、こんな風に四六時中イチャイチャしている。

こんなにベタベタしていたら普通は変な目で見られるのだが、一誠の相手がアーシアとあってか、大半は暖かい目で見ており、不満の声も少ない。

 

ひとしきり抱き合っていた一誠だが、何か気付いた顔を浮かべると、アーシアを離し、我夢に訊く。

 

 

一誠「思ったんだけど、俺達とここにいない桐生を含めても6人しかいない。最低8人だとしたら後2人足りないぞ?どうする?」

 

我夢「ああ、それなら松田と元浜がいいんじゃないかな?ほら、最近構ってあげられないし…」

 

一誠「ん、ああ…」

 

 

我夢の提案に一誠は納得する。確かにここ最近、自分達が多忙のせいで松田と元浜の2人と接する機会がメッキリ減っている。

変態で女子生徒の大半から軽蔑されている2人だが、根は良い人間だ。特に一誠は中学時代、過去のトラウマで悩まされていた自分を救ってくれた恩人でもある。

 

 

一誠「わかった。イリナ、アイツらも入れてあげてくれるか?」

 

イリナ「わかったわ!よーし、決まりね!」

 

ゼノヴィア「ふふっ、待っていろ京の都!そして金閣寺、銀閣寺!」

 

朱乃「あらあら、楽しそうですわね♪」

 

 

修学旅行の班が決まって盛り上がっているところへ新しい紅茶を淹れてきた朱乃がニコニコ笑顔で話に参加してくる。

我夢は軽く会釈してティーカップに紅茶を注いでもらうと、ふぅふぅと慎重に息を吹きかけてから1口飲むと、朱乃へ顔を向け

 

 

我夢「朱乃さんと部長は去年、どこへ行ったんです?」

 

朱乃「私達も京都でしたわよ。部長と一緒に京都中の名所を回ったものですわ。京都は楽しい名所ばかりですが、移動時間を視野に入れておかなければいけませんわ。あれやこれやと次々行こうとすると見学時間内に間に合わず、痛い目にあいますわ」

 

 

その助言に我夢達はうんうんと頷くと、朱乃は

 

 

朱乃「さもないと、あちこち行ったせいで二条城に行けず、駅のホームで地団駄を踏んだ部長と同じ思いを味わいますわよ♪」

 

 

と去年のことを思い出しクスクスと笑う。

リアスが日本好きなのは知っていたが、まさか年頃の高校生らしくエンジョイしていたとは我夢達は思わなかった。普段、大人の余裕を見せるリアスを知っているから尚更だ。

 

 

一誠「へぇ~部長って結構お茶目なところあるんすね!ねぇ?部長………部長?」

 

リアス「…」

 

 

それを聞いた一誠はいたずら気な笑みを浮かべて訊ねるが、リアスは心ここにあらずといった様子でポカーンとしている。

 

 

一誠「部長!」

 

リアス「…え!?ああ、ごめんなさい。ボウッとしてたわ……」

 

一誠「大丈夫すか?何か嫌なことでも…」

 

リアス「何でもないわ。大丈夫、平気よ」

 

『……』

 

 

そう言いつつ気丈に振る舞うリアスだが、いつもと違う様子に皆は訝しさは拭えなかった。

実は今日1日中リアスはずっとこの調子であり、どこか変なのだ。

 

 

我夢「朱乃さん」

 

朱乃「?」

 

 

我夢は近寄る様に声をかけて手招きすると、部屋の隅に連れると、

 

 

我夢「部長がおかしいのって、また婚約絡みですか?

 

 

リアス本人に聞こえない様にコソコソ声で訊ねる。

そう。依然、リアスはフェニックス家三男のライザーとの婚約に悩まされてた時期があり、その時も今回の様にどこかおかしい点が多々見られた。

ライザーとの婚約がされたとはいえ、他の上級悪魔との婚約の可能性は充分に有り得る。

 

だが、朱乃は首を縦に振り

 

 

朱乃「いいえ、今の時点では聞いていませんわ。それにイッセー君とライザーの戦いを見た他の上級悪魔も下手に手を出せないと諦めているようですし…

 

我夢「そうですか…

 

 

それを聞いた我夢はほんの少し安堵する。悩みの原因を掴めた訳ではないが、また婚約絡みではなかったのは幸いである。

もし、仮にまた来てもイッセーが必ず迎え撃つのは容易に想像できる。

 

しかし、これでまた振り出しに戻った訳である。

ポカンとしている原因は結局掴めていない。

同年代であり、リアスの“懐刀”と呼ばれる朱乃ですらわからないのだからかなり難しい。

 

 

一誠「(部長、どうしたんだよ……)」

 

 

不安に駆られた一誠がそう思った瞬間、

 

 

《ファーーーン……ファーーーン……》

 

『!?』

 

 

部屋中にアラーム音が鳴り響く。これは部室に置いてある怪獣探知機によるものだが、怪獣出現時とは違う音だ。

 

この音が何の意味を持っているか知っている全員は真剣な顔に切り替える。

リアスはまぶたを重たそうにしながらも目一杯見開き、低い声で

 

 

リアス「行きましょう…」

 

 

と言うと皆は頷く。

いつもならハッキリとした口調で言うが、今回はとろんとした口調で弱々しい。

同じセリフだが頼もしさがなく、それどころか皆には不安が募るばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕陽が沈み、暗闇になった町。そこにある廃工場にリアス率いるグレモリー眷属と助っ人のイリナはいた。

暗闇に包まれ、月の光が差し込む工場内には黒コートを纏った20~30人程の人、その後ろには10匹の異形の怪物が控えていた。

 

 

両陣営が相対する中、リアスは一歩前へ出る。

道中で不安になっていた我夢達だが、突然いつもの調子に戻ったのだ。

リアスは彼らを見据えると、口を開き

 

 

リアス「『禍の団(カオス・ブリゲード)』――英雄派ね?ごきげんよう、私はリアス・グレモリー……この町の領主を任されている上級悪魔よ」

 

「存じ上げますとも、魔王の妹君。我々の目的は貴様達を屠り、町を浄化することだけだからな」

 

 

軽く挨拶すると、集団の先頭に立つ黒コートの男はニヤリと口角を上げながら言葉を返す。

そう、彼らはテロリスト集団『禍の団(カオス・ブリゲード)』の新勢力・英雄派の構成員だ。

ここ最近、各勢力の重要拠点を小規模ながらも頻繁に攻めてきている。三大勢力が集まりやすいこの駒王町も例外でなく、その度に領主であるリアス率いるグレモリー眷属が相手をしている訳だ。

 

怪獣だけでなく、こういったテロリスト集団の相手をしなければならないので我夢達にとっては、ありがた迷惑といったところだ。

 

男の返答から大人しく降参する意思はないと判断したリアスは嘆息すると、真っ直ぐ見据え

 

 

リアス「そう、仕方ないわね。けど、私達もタダでやられる訳にはいかないわ。少し手荒になるけど、大人しくさせてもらうわ」

 

 

そう言い放つと、我夢達は一斉に身構える。

我夢はジェクターガン、一誠はアザゼルがそれを改造したシグブラスターを構える。

朱乃、リアス、ロスヴァイセは魔力を滾らせ、小猫は猫又モードになり、ゼノヴィアと木場とイリナは互いの得物を構えており、ギャスパーは相手をいつでも時間停止できる様に目を見開いている。

 

それを見た英雄派の構成員の男は右腕を胸の前へ掲げると、藤色をした巻き貝の様な『神器(セイクリッド・ギア)』を発現させる。

 

 

スゥゥーー…!

 

『!?』

 

 

そして、男は巻き貝の様な『神器(セイクリッド・ギア)』を地面に向けると、煙を噴出させ、工場内を包みこもうとしていた。

嫌な予感がした我夢達は煙に呑まれない様にすぐに外へ出た。

 

振り返った時には工場内は煙に包まれており、内部からの様子は伺えなくなっていた。とはいえ、あのまま突っ立っていたら何があったかわからなかったのでひと安心だ。

 

 

一誠「逃げるつもりですかね?」

 

リアス「いえ、それはあり得ないわ。これまでのパターンから考えるに意地でも戦うつもりよ」

 

一誠「意地…ね…」

 

 

リアスの言葉に一誠は呆れた様に呟く。

今まで現れた英雄派の構成員は撤退することさえあれど、必ず戦ってから行っている。戦闘を行わず逃げるとは考えにくい。

 

そんな話をしていると、手元のデバイスで煙の成分を解析していた我夢がリアスに進言する。

 

 

我夢「あの煙からは有毒性は検知されません。視界を遮る為だけのものの様なので、XIGナビでの誘導が必要になります。しかし、可燃性である可能性があるので、できるだけ魔力や火器での攻撃は避けた方がいいかもしれません」

 

リアス「わかったわ。なら、私はXIGナビの位置情報を頼りに指示を出すわ。我夢は私のサポートをお願い」

 

我夢「はい!」

 

リアス「イッセー、祐斗、ゼノヴィアを先頭にイリナさん、ギャスパー、小猫は工場内に突入。朱乃とロスヴァイセは工場の左右に挟んで待機してちょうだい。煙を出したリーダーらしき男を生け捕りにしたらすぐに工場の外へ撤退。朱乃とロスヴァイセは皆が外へ出たのを確認したら工場へ一斉攻撃しなさい」

 

『了解!』

 

 

リアスは早速立てた作戦を伝えると、皆は承諾すると作戦に取りかかる。

ちなみに口では言ってないが、回復役のアーシアはリアスと共に待機だ。

 

 

木場「行くよ、イッセー君」

 

一誠「おう!久しぶりに生身で暴れるぜ!」

 

小猫「……お調子に乗って、ケガしないでくださいね」

 

一誠「わーてるって!心配すんな!」

 

ゼノヴィア「イリナ。君も張り切りすぎてヘマをするなよ?」

 

イリナ「そういうゼノヴィアもね!」

 

ギャスパー「よし…!頑張るぞぉ…!」

 

 

突入組の6人は他愛ない会話を交わすと、工場内へ突入していった。

 

突入したタイミングを見計らった我夢は手元のデバイスを自身のノートパソコンに繋げると、ノートパソコンの画面に工場内のマップが表示される。

工場内には6つの黄色の丸が一定のリズムで動いており、その上にはローマ字で記されている6人の名前が表示されていた。

 

リアスはそれを見ながらインカムを耳に取り付けると、指示を出す。

 

 

《リアス「祐斗。リーダーは恐らく階段を上がった先にいるわ。焦らず慎重に突き進んで」》

 

木場「了解!みんな、リーダーは2階にいる!」

 

一誠「わかった!俺がいく!」

 

 

戦いの最中、木場がそう叫ぶと、一誠が返事する。

煙で周囲がよく見えないが、うっすらとだが階段の近くにいることはわかる。

一誠は相対していた敵を蹴飛ばすと、階段の手すりに手をかけて上り始める。

 

 

「させるかっ!」

 

一誠「っ!」

 

 

道中、多数の構成員がそうはさせまいと襲いかかるが

 

 

小猫「イリナ先輩!ゼノヴィア先輩!斜め10時の方向!」

 

イリナ「こっちね!」

 

ゼノヴィア「はあっ!!」

 

『グギャ!?』

 

 

仙術で気を探知した小猫のナビゲートを受けたイリナが投げた光の槍とゼノヴィアが放つデュランダルの斬擊による援護攻撃が直撃。

襲いかかろうとした構成員は1人残さず大きく吹き飛ばされる。

 

 

一誠「サンキュー!」

 

 

一誠は姿は見えないながらも彼女らに感謝すると、階段をかけ上がっていく。

道中で阻む敵を援護攻撃や時折自分で退けながらかけ上がっていく。

 

 

一誠「やっと会えたぜ!」

 

「っ!」

 

 

一誠は2階にたどり着くと、リーダーの男を見つけた。2階は煙の発生源であるリーダーがいるからか煙が薄く、1階に比べて周りの景色か見やすい。

しかし、余程自分に自信あるのか、周りに護衛がいない。

リーダーの男は一瞬驚いた顔を浮かべるが、すぐに澄ました顔に変わると煙を出す手を止め、一誠を見据える。

 

 

「これはこれはウルトラマン殿。よくぞここがいるのがわかりましたな。変身しなくてよろしいなのかね?」

 

一誠「へっ!お前なんか変身するまでもねぇよ!」

 

「甘くみられたものだ…」

 

 

お互い軽口で煽ると、両者は身構える。視線を反らさず真っ直ぐ見つめ、ジリジリと足音を立てながら間合いを計る。

一歩も隙を見せられない緊張が走る中、足をピタッと止めた瞬間

 

 

一誠「おらっ!」

 

 

一誠とリーダーの男は一斉に駆け出す。

一誠は走った勢いをつけた蹴りを繰り出すが、リーダーの男は横へステップして避ける。

 

 

「ふっ!」

 

一誠「っ!」

 

 

リーダーの男が左の拳で反撃するが一誠は腕で払う。怯むリーダーの男だが、頭を狙った回し蹴りの応酬で攻め立てるが、一誠はバク転で回避する。

 

 

一誠「おらっ!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

隙を見た一誠は体勢を整えると、助走をつけたドロップキックで蹴飛ばす。

一誠は床に倒れるリーダーの男に追い討ちをかけようと駆け寄るが

 

 

ガッ!

 

一誠「うおっ!?」

 

 

リーダーの男に足を払われ、前のめりに転倒する。

その間に立ち上がったリーダーの男はうつ伏せに倒れた一誠の両足をガッシリ掴むとジャイアントスイングの要領で回し始める。

 

 

ブンブンブンブン……ッ!

 

一誠「うぉぉぉぉぉーーー!?」

 

 

回す速度が増す度、激しい風切り男が鳴り、一誠が悲鳴を響く。

 

 

「はあっ!!」

 

 

ある程度回したリーダーの男は一誠を思いっきり壁に向けて投げ飛ばす。このままだと一誠は頭から壁に激突する。

だが

 

 

タンッ!

 

「!?」

 

一誠「おらっ!!」

 

 

一誠は宙で1回転して壁側に足を向ける体勢に入れ替えると、壁を蹴って跳躍。

壁面を利用したジャンプキックをリーダーの男の胸元に浴びせる。

 

 

「ぐっ!?」

 

一誠「まだまだいくぜっ!」

 

 

予想外の反撃にリーダーの男は大きく怯む。

着地した一誠はすぐさま追い討ちをかけるべく走り出す。

 

 

「ちっ!」

 

一誠「昇格(プロモーション)!『騎士(ナイト)』!」

 

 

リーダーの男はそうはさせまいと拳を繰り出すが、騎士(ナイト)に昇格した一誠は素早いスピードで後ろに回り込むと、ガシッと腰元に飛び付くと、男を持ち上げ

 

 

一誠「うぉぉぉぉぉーーーりゃっ!!」

 

ドォンッ!

 

「がっ!?」

 

 

思いっきりジャーマンスープレックスを食らわせる。

脳天を床に叩きつけられた男は目を白黒させると、そのまま気を失った。

その証拠に工場内を覆っていた煙が消え始めている。

 

 

一誠「しぁゃっ!見たか、俺の超ファインプレー!」

 

 

気絶した男から離れると、一誠はガッツポーズを取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キィィィシャォォォォ~~~…」

 

 

その時、上空に浮かぶワームホールからはまたあの怪獣が見下ろす様に顔を覗かせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《一誠「部長!大将っぽい男を捕まえました!」》

 

リアス「よくやったわ。なら、他の皆に伝えて撤退を―――うぅっ!?」

 

 

指示する最中、リアスは頭痛に襲われる。

キィィーーンと耳鳴りがし、脳内がかき乱されそうな激痛に思わず目を瞑り、苦痛の声をもらす。

 

 

《一誠「…部長?」》

 

リアス「平気。ちょっと目眩がしただけよ」

 

《一誠「……そうですか?わかりました。すぐ下がります!」》

 

リアス「ええ、頼むわ」

 

 

苦笑するリアスに一誠は怪訝に思いつつもそう答えて通信を切る。

不審に思った我夢は

 

 

我夢「部長。この後のナビゲートは全て僕に――」

 

リアス「いえ、大丈夫よ。あなただけに任せっきりにはいかないわ。たまには私に無茶をさせて?」

 

我夢「…」

 

 

元気よさそうに振る舞うリアス。しかし、我夢には不安が拭えきれなかった。

しかし、戦闘中の状況でこれ以上しつこく言うのは得策ではない。

 

 

我夢「わかりました。引き続きサポートをしますが、駄目だと思ったら無理せず言ってください」

 

リアス「ええ、ありがとう。あなたはイッセー達をお願い。私は朱乃とロスヴァイセの方を見るわ。アーシア、万が一の為にいつでも回復できる様にしておいて?」

 

アーシア「…は、はいっ!」

 

 

そう指示されたアーシアはポカンとしていたのかハッとなると、神器(セイクリッド・ギア)を発動する。

我夢と同じく、アーシアもやはり不安を覚えているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《リアス「朱乃、ロスヴァイセ。準備はいいかしら?」》

 

《朱乃「ええ、万全ですわ♪」》

 

ロスヴァイセ「私もいつでもいけます」

 

 

工場外の左右を挟み込む様に待機する2人はOKサインを出す。

一誠達が撤退した後、彼女らは一斉攻撃を仕掛け、敵を一網打尽にする手筈である。廃工場とはいってもわりと広く、悪魔の足でも1分ぐらいかかる程だ。

 

 

ロスヴァイセ「(私もグレモリー眷属としてお役に立てないと…!)」

 

 

身構えるロスヴァイセは内心思った。グレモリー眷属になってからは生活は前より安定したが、心なしか戦闘面ではあまり目立った活躍をしてないと。

とどめの攻撃役という重大なポジションを任された以上、期待に応えなければと…。

 

 

ロスヴァイセ「?」

 

 

ロスヴァイセがそう意気込んでいる中、目の前に黄色の粒子が降ってくる。1つだけじゃなく、2つ3つと次々と降ってくる。

何だろうと見上げたロスヴァイセは目を丸くする。

 

 

ロスヴァイセ「…何、これ…?」

 

 

空からは大量の黄色の粒子が雪の様に降り注ぎ始めていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、工場の外にいる我夢達は攻撃の合図を下ろす時まで静かに待機していた。

突然の粒子の雪に不思議に思いつつもモニターで状況を伺っていた我夢はリアスへ顔を向け

 

 

我夢「部長。約30秒後に全員脱出します」

 

リアス「ええ……朱乃、ロスヴァイセ……さん…じゅ……」

 

 

それを聞いたリアスは朱乃とロスヴァイセに指示を出そうとするが、突然眠気が強くなり、とろんとした口調になっていく。

 

 

―――ま~~だだよ~~~……

 

リリア『あたしと遊ぼう?』

 

 

リアスの脳内ではかくれんぼ中の友達の声。そして、メリーゴーランドからの黄金の照明に照らされたリリアの姿が思い浮かんでいく。

周りの景色が幻想かの如くぼやけ、リアスは夢の世界に入った感覚に支配された。

 

 

リアス「まぁ~~だだよ~~~……まぁ~~だだよ~~~……」

 

《朱乃「リアス?どうしましたの?」》

 

アーシア「リアス姉様?」

 

 

そして、瞼を重そうにしながらリアスは突然呟き始める。まるでかくれんぼをする子供の様に。

インカムからの朱乃や近くにいるアーシアの声すら耳に届いていない。

 

 

我夢「あと13秒だ…」

 

 

工場から一誠達が脱出するまで時間をモニターで見ていた我夢が呟いた瞬間

 

 

――も~~~うい~~~よ~~……

 

 

そんな声がリアスの脳内に響く。

――もういいよ。突然聞こえた声に怪しむだろうが、何故かリアスには逆らう意思すら起きなかった。

 

 

リアス「うってもいいよ……」

 

《ロスヴァイセ「っ、はい!」》

 

《朱乃「了解」》

 

「「っ!?」」

 

 

脳内に響いた声に従ったリアスは攻撃のGOサインを出すと、ロスヴァイセと朱乃は溜めていた魔力を解き放とうとする。

まだ一誠達の脱出が完了していないのにも関わらずだ。

その判断に我夢とアーシアは目を見開く。

 

 

アーシア「リアスお姉様!まだイッセーさん達が!」

 

リアス「…」

 

 

アーシアは止める様に進言するが、リアスの耳には全く届いておらず、ただボーっと前へ見つめるだけだ。

 

 

我夢「朱乃さん!ロスヴァイセさん!攻撃を待って下さい!!まだ退避が――」

 

ザ――ザザ――――…

 

我夢「くそっ!通信が使えない!」

 

 

我夢も朱乃とロスヴァイセを止める様にインカムで呼び掛けるが、突然の電波障害でノイズが走るだけだ。

「何で肝心な時に!」と我夢が疑問と焦りを感じる中、2人の攻撃は今まさに放たれようとしていた。

 

 

我夢「っ!」

 

 

――考えている時間はない!そう決心した我夢はエスプレンダーを前へ突き出すと、赤と青の閃光に包まれると、目映い光の球体となり、目にも止まらぬスピードで工場内へ入っていく。

 

 

ドォォォォンッ!!

 

『ギィアァァァァーーーーーー!!』

 

『!?』

 

 

その頃、工場内にいる一誠達は撤退する中、近くから破壊音と断末魔が聞こえ、思わずそちらへ目を向ける。

右から朱乃の膨大な雷光と左からロスヴァイセが放った魔力のフルバーストが構成員らをあっという間に呑み込む光景が目に飛び込んだ。

作戦よりも早すぎる攻撃に驚き、思わず足を止めてしまった一同に容赦なく左右から強力な攻撃が襲いかかるが

 

 

ガイア「デヤッ!!」

 

 

間一髪、攻撃が届く前に等身大のガイアが彼らのもとへ駆け付ける。

 

 

『!?』

 

ガイア「グアッ!」

 

 

突然の登場に驚く一同だが、ガイアは有無を言わさずガイアテレポーテーションを発動させると、一誠らと共に工場の外へと瞬間移動した。

 

 

ドォガガガガァァァァァーーーーーー!!

 

 

ガイア達が外へ避難した瞬間、2つの強力な攻撃が衝突し、廃工場は大爆発を起こした。

 

 

イリナ「わ……」

 

木場「我夢君がもし来てくれなかったら…」

 

 

木っ端微塵になり燃え盛る廃工場に木場達は戦慄する。

朱乃とロスヴァイセ……グレモリー眷属の中でもリアスに匹敵、それ以上の魔力を持つ2人の攻撃だ。

ガイアが後一歩遅ければ、全員タダじゃすまなかっただろう。

 

 

一誠「何が何だかわかんねぇが、とにかくありがとうな」

 

ギャスパー「た、助かりましたぁぁーーっ!!」

 

我夢「うん」

 

 

とはいえ、無事なのは何よりだ。

安堵した我夢な変身を解き、ほっとしていると

 

 

リアス「…っ!?私、一体…」

 

アーシア「リアス姉様!」

 

 

リアスがハッと正気に戻る。先程の爆発音で気を取り戻した様だ。

それを見た我夢は朱乃とロスヴァイセが集合するのを確認すると、彼女に問いかける。

 

 

我夢「部長。イッセー達がまだいるのに攻撃を?」

 

「「!?」」

 

 

その問いかけに事情を知らないロスヴァイセと朱乃は目を見開く。てっきり一誠達がいない上で下した命令だからだと思っていたからだ。

 

 

朱乃「リアス。本当なの?」

 

リアス「…っ」

 

 

朱乃はリアスの両肩に手を置いて訊ねる。その顔はいつもの様なニコニコ笑顔ではなく真剣そのものであり、声音も僅かに怒りが籠っている。

その迫力に加え、周りから向けられる怪訝な視線に言葉を詰まらせるリアスだが

 

 

リアス「……ごめんなさい。私のミスよ」

 

 

我夢達に向かって謝罪の言葉をかけつつ、頭を下げる。

確かに調子が悪いのは皆にはわかってはいたが、仲間の身の危険をさらす程と知り、責めるよりも不安する気持ちが強まった。

 

それを受けた朱乃はふぅと息を吐き

 

 

朱乃「リアス……調子が悪い貴方に指揮を任せていた私達にも負がありますわ。でも、これ以上は前線に立つのは危険ですわ。今回は我夢君が機転をきかせてくれたおかげで何事もありませんでしたけど、次も上手くいくとは限りませんわ。調子が良くなるまで、しばらく休んだ方がいいわ」

 

一誠「そうそう!後のことは俺達に任せてゆ~~っくり休んでくださいよ!羽を伸ばせる機会だと思って!」

 

 

朱乃に続き、一誠ははにかみ笑いをしながら休むように促す。一誠のおかげで重くなりかけていたこの場の空気が僅かに和らぐと、話しやすくなったリアスは頷き

 

 

リアス「ええ、そうするわ…。今日は本当にごめんなさい」

 

 

そう返すと、戦いの後始末は冥界の役人に任せ、この場は解散となった。

 

ちなみに捕らえたリーダー格の男は冥界に転送させたが、次に目覚めた時には英雄派に関する全ての記憶を失っていた。これは一度や二度でなく、今まで捕らえた他の構成員も同様で、負けた時に英雄派に関する情報が消える様にされているらしいが、どういう仕組みなのかは今のところは判明していない。

 

とはいえ一件落着……なのだが。

この時、我夢達は知らなかった。

 

異変はリアスだけでなく、この町に住む住民にも及んでいることを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日。リアスがいない駒王学園は午前の授業が終わり、昼休みが訪れていた。

教師や生徒は立場関係なく訪れるこの憩いの時間に我夢、一誠、松田、元浜のいつもの4人に加え、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、愛華がこぞって昼食を取っていた。

 

元浜は弁当の唐揚げをつまみながら話を切り出す。

 

 

元浜「知ってるか?」

 

愛華「ん?アンタが一向にモテないってことかしら?」

 

元浜「違うわっ!昨日起きた大規模な多発事故のことだよっ!」

 

一誠「多発事故…?」

 

 

小馬鹿にする愛華へ顔を真っ赤にして吠える元浜の話題に一誠はピクリと耳を止める。

その反応に気付いた元浜は「知らないみたいだな」と得意げな顔で言いながら眼鏡の鼻を上げると、一誠を見て

 

 

元浜「実は昨日、飛行機の墜落事故が多く発生したんだ」

 

一誠「え!?マジで?」

 

元浜「ああ、本当さ。でも、妙に変な事故でな。こう連続して事故が起きるだけでも変だけど、墜落した飛行機はこの駒王町上空が空路に入ってたらしくて、しかも墜落の原因は全部、パイロットの人為的なミスらしい」

 

松田「噂じゃあ、一昨日降った粒子の雪が関係してるって話らしいけどなー」

 

 

元浜と松田の補足を聞いた一誠、アーシア、イリナ、ゼノヴィアは驚く。

人為的なミス……昨日のリアスも同じ様にイッセー達を危うく殺すところだった。丁度あの夜、突然粒子の雪が降ってきた。これは単なる偶然ではないのだろう。

 

 

《ピピッ…!》

 

我夢「!」

 

 

一誠達4人がそんなことを考えていると、我夢が左手首に着けているXIGナビから通知音が鳴る。

それが何を意味するかわかっている我夢は取り出したスマホを短い操作をすると、席を立ち、一誠達を見て

 

 

我夢「イリナ、ゼノヴィア、アーシア、一誠。話したいことがあるから、ちょっと体育館裏までついてきてくれないか?」

 

「「「「?」」」」

 

 

ついてこいと誘う。

何のことかわからないが、我夢が突然言い出したのだからには絶対意味があると信頼している4人はとりあえずついていくことにし、同じく席を立った。

 

 

松田「どこに行くんだよ?」

 

我夢「部活についての話さ。すぐ終わるよ」

 

 

首を傾げる松田にそう返すと、我夢は4人を連れて体育館裏へ向かって歩き出す。

 

 

イリナ「我夢君。一体何を話すの?」

 

我夢「昨日降ったあの粒子のことさ。詳しいことは着いてから教えるよ」

 

 

道中でのイリナの疑問に我夢はそう返しつつも、一行はスルスルと校内を進み、体育館裏へ到着した。

 

目的地に着いた一誠、イリナ、ゼノヴィア、アーシアは意外そうに目を丸くする。

体育館裏には木場、朱乃、小猫、ギャスパー、ロスヴァイセ―――我夢達を含めれば休んでいるリアスを除く、オカルト研究部のメンバーが集結していた。

 

 

一誠「木場」

 

木場「やあ、イッセー君達。僕達も我夢君に呼ばれたんだよ」

 

 

木場の話を聞き、一誠らは全員を集める程重要な話なのかと思っていると、我夢は一通り顔を見てリアス以外がいることを確認すると、早速本題を話し始める。

 

 

我夢「昼休み中、すみません。みんなを呼んだのは部長の様子がおかしかった原因が判明したからかもしれないからです」

 

朱乃「…っ、リアスの?」

 

我夢「はい。これを見てください」

 

 

訊き返す朱乃にそう言った我夢はいつの間にか取り出した小型のデバイスを操作すると、立体映像を投影する。

 

 

ロスヴァイセ「これって…」

 

我夢「はい。連日降り注いだ粒子のモデルです。近隣の家宅に付着していたものを分析した結果、意外な特性があるということが判明したんです」

 

アーシア「電子機器が使えなくなる他にもあったんですか?」

 

我夢「ああ。大気中の電磁波と反応し、極めて嗜好性が高い電気エネルギーを放射するんだ」

 

ゼノヴィア「電気エネルギー?それが何を引き起こすんだ?」

 

 

疑問に駆られる一誠達を代表してゼノヴィアが訊ねると我夢は

 

 

我夢「人間の脳細胞……特に記憶を司るシナプス神経回路を刺激し、ある種の幻覚作用を誘発する……」

 

一誠「っ!?じゃあ、部長がおかしかったのも墜落事故も全部その粒子のせいってことか!」

 

 

ハッと目を大きくした一誠がそう訊き返すと、我夢は頷いた。

しかし、これで納得した。リアスの異変が起き始めたのも粒子が降り始めた一昨日からだ。そして、昨日の戦いで大失態を犯した時も粒子が降っていた。飛行機の墜落事故もパイロットが幻覚を見せられていたせいだろう。

これで全て合点がいく。

 

それと同時にリアスには誰にも話せない悩みがある訳ではないということが判明し、皆は内心安堵する。

 

 

ハネジロー「パムパムー」

 

一誠「お?ハネジロー!」

 

 

リアスの異変の原因がわかり、各々神妙な顔を浮かべていると、突然空からハネジローが一誠のもとへ飛んできた。

可愛らしい一誠の使い魔の登場に我夢達は思わず頬を緩ます。

 

一誠は自分の肩に乗ったハネジローの頭を撫でていると、手に紙くずか何かを持っていることに気付いた。

 

 

一誠「ハネジロー?これ何?」

 

ハネジロー「ッ!パムッ」

 

 

一誠の質問にハネジローは目的を思い出したのかハッと口を開けると、一誠に差し出す。

 

 

一誠「これを俺に?」

 

ハネジロー「パムー」

 

 

その問いにハネジローが頷くと、一誠は疑問に思いながら紙くずを広げていく。

他の皆も興味深そうに一誠を囲って見守る中、紙を真っ直ぐに広げた瞬間、皆は絶句する。

 

 

一誠「何だよ……これ……」

 

 

広げた紙には拙いながらも『LiLia』という名前が紙面を埋めつくさんばかりに書かれている不気味なものだった。

それだけでも不気味ではあるが、この筆跡から書いたのはリアス本人ということが直ぐ様わかり、我夢達は冷や汗をかく。

 

 

我夢「リリアって?」

 

木場「さあ…?」

 

朱乃「私もわかりませんわ」

 

 

我夢は紙面に書かれている名前を木場に聞くが、首を傾げ、逆に教えてほしいという顔を浮かべており、近くで聞いていた朱乃もわからない様だ。

 

“リアスの懐刀”と言われる朱乃さえわからないのであると、彼女により近い存在でなければわからないことかもしれない…。

我夢は粒子の分析結果とハネジローが持ってきた手がかりをもとに今やるべき作戦を皆に立案する。

 

 

我夢「今は部長の身の安全を確保する必要があります。朱乃さん達は今すぐ部長の安否を確認して下さい。木場君はソーナさんから何か有益な情報がないか聞き出してくれ。僕は敵の潜伏位置を特定するから」

 

木場「わかったよ」

 

我夢「それとイッセー。君にも頼みたいことがあるんだ」

 

一誠「?俺も木場みたいに誰かに聞けばいいのか?」

 

 

一誠がそう訊ねると、我夢は頷き、こう言った。

 

 

我夢「部長のお母さんにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、学校を休んで兵藤家にいるリアスは自室のベッドで横になっていた。

 

 

リアス「…」

 

 

リアスは仰向けになるように寝返ると、ぼうっとした目で天井を眺める。眺めながら思い浮かべるのは昨日の出来事だ。

何故、あの時、ああ言ってしまったのか―――?リアスの脳内はその後悔の荒波で満たされており、落ち込んでしまっていた。

 

物心ついた時から、リアスは魔王の妹という立場に立たされ、自由がなくなっているのを感じていた。

他の子がちょっとしたミスだとしても自分の場合はその倍以上の責任を持て―――昔からそう教えられ、厳しいマナーを学ばされた。

 

周りから持て囃され、周りの子も遠慮気味であまり寄り付かない。

孤独―――幼いリアスが初めて自覚した感情がそれだった。

 

 

リリア『1人ぼっちなの?あたしと遊ぼう?』

 

 

そんな時、ふと夢で聞いたリリアの言葉を思い出す。

孤独の幼少期でいつも悲しく過ごしていた自分にとっては彼女は救いの存在であった。

落ち込んでいる今の自分の心境でも同じだ。

 

 

リアス「行かなきゃ…」

 

 

会いたい―――そう思うや否や、リアスはベッドから立ち上がり、私服に着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、一誠はリリアのことを聞く為、冥界にあるグレモリー邸に訪れていた。

 

 

「どうぞ」

 

一誠「は、はい」

 

 

客間に案内された一誠はメイドに一礼し、室内へ入る。

下座のソファーにはリアスの母・ヴェネラテが優雅な佇まいで座っていた。

 

 

ヴェネラテ「どうぞ。お座りになられて?」

 

一誠「はい。失礼します」

 

 

ヴェネラテから座る許可を得た一誠はまた一礼すると、上座のソファーへ座る。

以前の彼ならまず知らなかったマナーだが、夏休みの時にヴェネラテから叩き込まれた勉強の成果であろう。

 

室内は外に待機しているメイドを除けば、一誠とヴェネラテの2人きりである。

これは一誠がそう頼んだからだ。

今回の件は恐らくプライベートのことである為、従者といえど、滅多やたらに聞かれるのは彼女にとって悪いと思ったからである。

 

メイドが扉を閉め、完全に2人きりになったタイミングで一誠は頭を下げる。

 

 

一誠「す、すいません。いきなり押しかけてきて…」

 

ヴェネラテ「ふふっ、それはいいのですよ。娘の将来の婿殿の頼みとあっては変に断る訳にはいきませんから……それで、何の用でしょうか?」

 

 

2子を持つ母とは思えないヴェネラテの美しさを前に緊張する一誠だが顔を上げ、上ずろうとする口を堪えつつ、その問いに答える。

 

 

一誠「いきなりなんですけど……リリアってご存知ですか?」

 

ヴェネラテ「…?」

 

 

その質問にヴェネラテはキョトンとする。

驚愕……というよりも何故その質問をするのかわからないといった様子だ。

予想外の反応に一誠は首を傾げる。

 

 

一誠「…あの?どうしたんです?聞いちゃ駄目でしたか?」

 

ヴェネラテ「…いえ、すみません。どうして()()()()()()をするのかなと思いまして…」

 

一誠「?」

 

 

ヴェネラテから返ってきた言葉に一誠は疑問を感じる。

リリア―――恐らく悪魔であり、精神が不安定である今のリアスが紙面一面に書き殴るほど重要な人物であろう。

それを何故、何気ない思い出の1つの様に言うのか?

どういうことだと一誠が考えていると

 

 

ヴェネラテ「リアス、見た目によらず臆病なんです」

 

一誠「え?」

 

 

突然の発言に目を点にする一誠を見据え、ヴェネラテはリアスの幼少期について語り出した。

 

 

ヴェネラテ「昔は病弱でよく体調を崩して。名家グレモリー家の娘に加え、魔王の妹……その高すぎる立場から周りにはソーナさんやサイオラーグ以外に親しい友人と呼べる存在があまりいなかったんです。魔王の職務に追われるサーゼクスは勿論のこと、当時の私や夫も中々構ってあげられなくて……。『私はいつも1人ぼっちだ』って、よく泣いていました…」

 

 

その話を聞き、一誠は内心驚いた。今の話と現在のリアスを見比べても想像つかないからだ。

それにサーゼクスがあんなにもシスコン染みた愛情を注いでいるのかもわかった気がした。

 

この話を聞き、一誠は勘づいた。

 

 

一誠「っ、そんな時に出会ったのがリリアですか?」

 

ヴェネラテ「ええ。あの子の悲しさを少しでも緩和させようと……何故、昔のことを知りたいのです?」

 

一誠「…っ」

 

 

ヴェネラテの問いに一誠はたじろぐ。

ここにくる前、一誠はヴェネラテに不安を与えない為にリアスの現状は明かさないと決めていた。

しかし、真実を問う彼女の眼差しの前には言い訳も出来なかった。

根負けした一誠は正直に全てを話した。

 

――人間界に突如降り注いだ粒子によって幻覚を見せられていること。

 

――それが原因で大きなミスをしてしまったこと。

 

――皆が調査を行っていること。

 

――そして、彼女が呪いの様に書き殴った“リリア”とは何者なのか知る為に情報集めしにきたことを話した。

 

 

ヴェネラテ「…そうだったのですね」

 

 

全てを聞いたヴェネラテは不安そうに眉をひそめる。

夏休みに冥界へ来た時はリアスに手厳しいところが多々あったが、娘の現状を知って心配するのを見るにやはり1人の母親だ。

気まずくなりながらも一誠は話を続ける。

 

 

一誠「部ちょ――いや、リアス様かなり弱ってて……。もしかしたら、そのリリアって人に会いに行きたいのかもしれません」

 

ヴェネラテ「リリアに?それはありえないわ」

 

一誠「ありえない…?」

 

《ピピッ…!》

 

 

どういう意味だと聞こうとした時、一誠の左手首に着けてあるXIGナビから通知音が鳴る。

一誠はヴェネラテの許可をもらい、XIGナビを開くと、焦った顔を浮かべるアーシアが写っていた。

 

 

一誠「どうした?」

 

 

その様子に一誠は訝しげな顔で訊ねると、アーシアの口からとんでもない言葉が飛び出した。

 

 

《アーシア「大変です!!リアス姉様がいなくなりました!!」》

 

一誠「何っ!?」

 

ヴェネラテ「!?」

 

 

リアスの失踪……。最悪の事態に一誠とヴェネラテは驚愕する。

 

 

一誠「XIGナビ、携帯電話には?!」

 

《アーシア「それが全く出なくて…!位置情報も電波が撹乱しているせいでわかりません!ただ、『リリアに会いにいく』という伝言だけが…」》

 

一誠「リリアに…?わかった!こっちはこっちで冥界を捜してみる!」

 

《アーシア「わかりました!お気をつけて!」》

 

 

通信を終えた一誠はヴェネラテに一礼し、そのまま捜索に向かおうとするが、

 

 

ヴェネラテ「私も同行させて下さい」

 

一誠「?」

 

 

そう待ったをかけられ、一誠は思わず足を止め、振り向く。

 

 

ヴェネラテ「『リリアに会いにいく』……あの子はそう言ったのですね?心当たりがあります」

 

一誠「っ、本当ですか!?」

 

ヴェネラテ「ええ」

 

 

一誠の問いにヴェネラテは頷く。

長年暮らしてきた母であるヴェネラテが言うことだ。

この状況においてリアスのことがよくわかるのは彼女しかいないだろう。

断る理由がない。

 

 

一誠「わかりました!案内お願いします!」

 

 

一誠は承諾すると、ヴェネラテを連れて捜索に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、どこかの遊園地。

周りはすっかり日が落ち、暗闇に包まれており、園内のあちこちにある街灯であちこち照らしていた。

 

休園日である今日。人が誰もいないここのメリーゴーランドの前でリアスは立っていた。

虚ろな視線の先にはエメラルドグリーンのドレスを着た少女――リリアがこちらを見ており、稼働しているメリーゴーランドから溢れる金色の照明を背に受けていた。

 

 

リリア『リアス、また1人ぼっちになったのね?』

 

リアス「…うん。リリア…」

 

 

リアスはゆっくり頷くと、リリアのもとへ歩み寄っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠「遊園地に?」

 

ヴェネラテ「ええ。リアスにとっては消えない思い出ですから」

 

 

一誠はヴェネラテとグリフォンに乗って冥界上空を飛んでいた。

ちなみに一誠がグリフォンに乗るのは2度目だったりする。

 

 

ヴェネラテ「…でも、やはりありえません」

 

一誠「…ですよね」

 

 

ヴェネラテがもらす言葉に一誠は頷く。

道中で一誠は彼女からリアスの過去を全て聞いていたのだ。

それを聞いた一誠は納得……ではなく、胃液が込み上がる様な得体の知れない感覚を味わったことを鮮明に覚えている。

 

 

《ピピッ…!》

 

 

そんな時、XIGナビの通知音が鳴る。

通信に出ると、我夢からだった。

 

 

一誠「我夢」

 

《我夢「イッセー。おおよそ敵の潜伏位置がわかった。マップを送信するよ」》

 

一誠「ああ……って。最悪だな、こりゃ…」

 

 

我夢から送られてきた敵の潜伏位置のマップを見て、一誠は毒づく。

 

その潜伏位置は、今まさに向かおうとしている遊園地だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリア『あたしにはリアスの寂しさがわかる……。あたしだけがリアスの本当のお友達なんだもん……』

 

リアス「リリアだけが……ほんとうのおともだち……」

 

リリア『そうよ!だからリアスのことをいじめるやつは許せない…!絶対に許せない…!』

 

リアス「そうよね……。みんな、許せないよね……」

 

 

メリーゴーランドに揺られながら、リアスはぼうっとした顔でリリアの言葉に耳を傾ける。

その顔はいつもの冷静で大人らしいいつもの彼女ではなく、幼い子供の様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度その時、遊園地に到着した一誠とヴェネラテは別にやって来たソーナと彼女の眷属、我夢以外のグレモリー眷属と合流していた。

梶尾、四之宮、匙はいないが、恐らく我夢と行動しているのだろう。

 

 

ソーナ「木場 祐斗君から話は聞いています。私にも手伝わせて下さい」

 

一誠「え、いいんすか?」

 

ソーナ「ええ、リアスの親友ですから」

 

一誠「助かります!」

 

 

一誠は嬉々とした顔で頭を下げる。

これだけ人手がいればすぐに見つかるだろう。

 

 

うふふふふふ…

 

『!?』

 

 

一致団結したその時、どこかから笑い声が聞こえてくる。

 

 

朱乃「今のは…!」

 

ソーナ「リアスの声…!」

 

小猫「こっちからです」

 

 

一誠達は声のした方へ足を運ぶ。

そこには黄色の照明で照らされるメリーゴーランド。

そして…

 

 

リアス「うふふふふ…」

 

 

フェンスに乗り、()()()()()()のにも関わらず、楽しそうに笑いかけるリアスの姿がそこにあった。

 

 

一誠「部長…」

 

 

病にも思える光景に皆は痛いげな顔を各々浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊園地上空では我夢と梶尾達チームライトニングが各ファイターに搭乗して待機していた。

粒子は特定の領域のみ電波信号を発しているのがわかったので、遊園地付近の電波を一斉に遮断して、敵の正確な位置が炙り出るのを待っていた。

 

 

我夢「さあ、姿を現せ…」

 

 

我夢は絞り出されていくマップをジッと見る。

幻覚粒子をばら蒔き、リアスを含め、多くの人々を惑わせた卑怯な敵に内心憤っているのだ。

マップは瞬く間に選出され、敵がいるポイントを絞り出すと、少し離れた上空にうっすらと歪んだ空間が現れた。

 

 

我夢「梶尾さん!ターゲット捕捉!」

 

梶尾「各機、アクションに移れ!」

 

「「了解!」」

 

 

我夢のGOサインに合わせ、3機のファイターは背部のブースターを噴かせて動き始める。

 

 

梶尾「ターゲット確認!発射っ!」

 

 

梶尾が下ろした号令と共に3機のファイターは魔力弾で攻撃する。

ファイターの猛攻の前に空間の歪みからはクラゲに似た巨大生命体・プライマルメザードが姿を現わすと、魔力弾の火力で燃え上がり、地上へ墜落した。

 

 

グニョオォ…

 

 

地上に墜ちたプライマルメザードは炎に包まれながらスライムの様に溶け、変形し始める。

我夢達が警戒を強める中、炎が消え、その全貌が明らかになる。

 

 

我夢「…っ!」

 

匙「出たな…!」

 

サイコメザードII「キィィィシャォォォォ~~~…!パァウゥゥ~…!」

 

 

正体を現した怪獣は産声の様な声をあげる。

その怪獣は以前、我夢の故郷を襲ったサイコメザードと同種の怪獣――『サイコメザード(ツー)』だ。

しかし、前の個体と違う点は腹におぞましい形相の人面がついているところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーナ「リアス。そこで何をしているのです?」

 

 

一誠達と一緒に地上にいるソーナはリアスに問いかける。すると、笑うのを止め、無表情になったリアスはまばたきもせずゆっくりとソーナを見据え

 

 

リアス「…わたし、リリアとあそんでいるの」

 

一誠「部長!目を覚まして下さい!そんなものいないんですっ!」

 

 

そう答えるリアスを見ておれず、一誠は彼女へ近付こうと駆け出すが

 

 

バリバリバリッ!

 

一誠「ぐあぁっ!?」

 

アーシア「イッセーさんっ!」

 

 

電流が流れる不可視の壁に阻まれ、跳ね返される。

身体中に流れる激痛に体制を崩す一誠に皆は心配そうに駆け寄る。

 

 

リアス「邪魔しないでよ」

 

 

リアスは不機嫌そうな顔で言い放つ。

その見つめる目はまるで住宅を蔓延る害虫を見る様な冷たいものだ。

 

 

ヴェネラテ「やめなさい、リアス!」

 

 

アーシアと木場が一誠を介抱する中、今度はヴェネラテが前へ出て呼び掛ける。

一瞬きょとんとするリアスだが、すぐににんまりとした笑みを浮かべる。

 

 

リアス「わたしね……これからリリアのおうちへあそびにいくの」

 

ヴェネラテ「リリアなんていないわ!」

 

ソーナ「貴方は幻を魅せられているだけなのですよ!」

 

 

ヴェネラテとソーナは必死に訴えかける。

だが、リアスは首を傾げるとフェンスから降り、

 

 

リアス「なにいってるの?リリアならここにいるじゃない…」

 

『!?』

 

 

そう言って大きく手を広げると、体から黄色の光が解き放たかと思うと、全長10メートル程のリリアがメリーゴーランドの真上に現れた。

怨霊の様にただらなぬオーラを纏うリリア―――幻かと疑う光景に一誠達は目を見開く。

 

リリアを出現させたリアスは手を下ろすと、回れ右をし、ゆっくりと足取りでリリアのもとへ歩き出す。

 

 

ソーナ「リアス!!ぐぅ…っ!!」

 

 

このままだとどこか遠くへ行ってしまう彼女の手をいの一番に取ったのはソーナだ。身体中に流れる電流の激痛で顔を歪めるが、その手を離さない。

 

 

リアス「はなしてっ!」

 

 

リアスは振りほどこうとするが、ソーナはその掴んだ手を緩めない。

ソーナが止める中、ヴェネラテは再度彼女に訴えかける。

 

 

ヴェネラテ「リアス。貴方は子供の頃、この遊園地に来なかったのですよ!」

 

リアス「うそ!わたしはここへきた!ともだちとかくれんぼをしたわ!」

 

ヴェネラテ「それは幻想――体を崩してここへ来れなかったその悔しさが貴方にそう思い込ませただけなのよ!」

 

リアス「そんなのうそ!うそよぉぉーーー!!」

 

 

ヴェネラテから語られる事実にリアスは駄々をこねる幼子の様に叫ぶ。

 

 

サイコメザードII「キィィィシャォォォォ~~~…!!」

 

バリバリバリ~~~ッ!!

 

 

近くではサイコメザードⅡにチームライトニング、我夢の乗るファイターEXが応戦していた。

サイコメザードⅡが放つ電撃を掻い潜りながら攻撃しているが、苦しい状況であり、足止めするのが精一杯だ。

 

もう時間がない―――!それを横目に見ていた一誠達は何とかリアスを連れ戻そうと拍車をかける。

 

 

リアス「リリアだけがわたしのことをりかいしてくれるわ」

 

アーシア「それは違います!リアス姉様は辛い現実を生きてきた私達に新しい生き方を教えてくれたじゃないですか!」

 

ソーナ「…ぐっ!どちらが先に夢を叶えるか……そう約束したじゃないですか!?そうでしょう!?」

 

リアス「…っ!」

 

 

アーシアとソーナは悲痛な声で訴えかけると、リアスは心に響いたのか、それとも幻覚が覚め始めたのか、顔をほんの少し強張らせる。

正気に戻す糸口が見えたヴェネラテは彼女達に続く。

 

 

ヴェネラテ「貴方が寂しかったのはわかる!でも、過去の記憶に逃げないで!リリアは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔、貴方が失くしてしまった人形の名前なのですよ!?」

 

リアス「!!?」

 

 

その言葉にリアスを大きく目を見開く。

脳裏には子供の頃にリリアとのツーショット写真がよぎるが、リリアは人でなく、エメラルドグリーンのドレスを着た西洋人形であることを思い出すと、過去の思い出が次々と鮮明に蘇る。

 

孤独に苛まされていた自分を励まそうと父親が買ってきたこと。

体調を崩したせいで家族と一緒に遊園地へ行けなかった時、一緒に寝たこと。

 

そして、ある日突然に無くしてしまったこと…。

 

 

リアス『リリア、リリア。私とお話しよう…?あっ…!』

 

 

脳内で幼い姿のリアスはうっかり手を滑らせ、リリアを湖に落としてしまう。

湖に落ちたリリアは地に落ちたガラスの様に霧散すると、サイコメザードⅡの腹部にある人面に変わる。

 

 

 

 

イッショニアソボウ?

 

 

 

リアス「きゃあぁぁぁぁーーーーっ!!!」

 

 

幻が解け、現実に戻されたリアスは混乱し、悲鳴をあげる。

それと同じくして、メリーゴーランドの真上に佇んでいたリリアの幻影は苦しそうに胸を押さえると、覆っていた光と共に消え去った。

 

 

…バタリッ!

 

『部長!/リアス!』

 

 

サイコメザードⅡの呪縛が解き放たれたリアスは気を失い、糸の切れた人形の様にその場で倒れる。

一誠達は血色を変え、急いで駆け寄る。

 

 

朱乃「気を失ったみたいですわ。命に別状はありませんわ」

 

 

朱乃の安否確認に一同はとりあえずひと安心する。

 

 

サイコメザードⅡ「パァウゥゥァァ~~~!?」

 

 

リアスを取り込むのに失敗したサイコメザードⅡは腹の人面を抑え、苦しそうにもがく。

 

 

一誠「よくも部長をっ!ダイナァァァーーーーッ!!

 

 

辛い過去を利用して、リアスをここまで苦しませたサイコメザードⅡに怒りを爆発させた一誠は掛け声と共にリーフラッシャーを空へ掲げる。

展開したクリスタル部分からは闇夜を照らす程の明るさを発する光が溢れ、その光に包まれた一誠はウルトラマンダイナに変身した。

 

 

ダイナ「ハッ!」

 

 

ファイティングポーズを取ったダイナは地を蹴って勢い良く駆け出す。

 

 

サイコメザードⅡ「パァウゥゥァァ~~!!」

 

バリバリバリ~~~ッ!

 

ダイナ「グッ!」

 

 

サイコメザードⅡは近寄らせまいと両手から電撃を放つ。地に電撃が走ると、ドォンと爆音と共に爆発が起き、ダイナが見えなくなる程の爆煙が舞い上がる。

 

 

キィピィンッ!

 

 

そんな爆煙の中で一瞬青い輝きが見えたかと思うと、ミラクルタイプへ姿を変えたダイナが爆煙をきって走っていた。

 

 

[推奨挿入歌:ミラクルの風になれ]

 

 

サイコメザードⅡ「キィィィシャォォォーーー!!」

 

ダイナ「フッ!」

 

 

サイコメザードⅡは駆け寄るダイナ目掛けて体当たりをしかけるが、受け流す様に横へ前転して避けられる。

 

 

ダイナ「ハッ!デェアッ!」

 

サイコメザード「キィィィシャォォォーー!!」

 

 

後ろへ回り込んだダイナは体勢を整えると、サイコメザードⅡの腹部の人面目掛けて飛び膝蹴りを炸裂させる。

あまりもの激痛にサイコメザードⅡは大きく後退する。

 

 

ダイナ「ハッ!ハッ!」

 

 

間髪入れず、ダイナはサイコメザードⅡの両肩へモンゴリアンチョップを連発する。

 

 

サイコメザードⅡ「キィィィシャォォォーー!!」

 

ダイナ「デェアッ!」

 

 

サイコメザードⅡも負けじと身体中に電撃を纏わせながらタックルを食らわせ、ダイナを怯ませる。

 

続け様に両手で首を掴もうとするが、

 

 

ダイナ「ダッ!」

 

サイコメザードⅡ「パァウゥゥァァ~~!!」

 

 

ダイナがしゃがんだことによって避けられ、その体勢のまま足下を蹴られ、バランスを崩したサイコメザードⅡは前へ転倒する。

ダイナは寸前のところで横へかわし、サイコメザードⅡは地面へ激突する。

 

 

ダイナ「デェアッ!」

 

 

立ち上がったダイナはサイコメザードⅡの背中目掛けてエルボードロップを放つと、すぐにバク転して距離を取る。

 

その間にサイコメザードⅡはふらつきながら立ち上がる。パワーの低いミラクルタイプとはいえ、それを補うスピード殺法を前にかなり応えている様だ。

 

 

サイコメザードⅡ「キィィィシャォォォーーー!!」

 

ダイナ「デュ!ハァァァ~~~~……デェアッ!」

 

ドォォン!

 

 

サイコメザードⅡは力を振り絞って電撃を放つ。ダイナは円形状のウルトラバリヤーを展開して防ぐと、そのまま電撃を押し返す。

押し返された電撃はサイコメザードⅡの体に直撃し、火花が散る。

 

 

サイコメザードⅡ「パァウゥゥァァ~~!?」

 

ダイナ「ハッ!!ハァァァァァァァ……!」

 

 

サイコメザードⅡが怯む間、ダイナは右手に超衝撃波を作り始める。

 

 

ダイナ「デェアッ!!」

 

 

瞬く間に超衝撃波を完成させたダイナは右手を突きだし、必殺のレボリウムウェーブを放った。

 

 

サイコメザードⅡ「――!?」

 

 

超衝撃波で押し出されたサイコメザードⅡは悲鳴をあげる間もなく背面に突如現れた人工のブラックホールに吸い込まれていった。

 

 

[挿入歌終了]

 

 

ダイナ「シュワッ!」

 

 

ダイナは両手を広げて飛び立つと、どこか遠い空へ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リアスさん、おはようございます!」

 

「リアス様、おはようございます!」

 

リアス「ええ、おはよう」

 

 

翌朝、リアスはいつもの様に学園に通っていた。

周りにも様子がおかしいと気にかけている人がいたらしく、3年生の教室には彼女のファンで溢れ返っていた。

 

その様子を一誠と我夢は廊下から眺めていた。

 

 

一誠「これにて一件落着…!ってとこだな」

 

我夢「ああ、部長もあの後何も異常が見られなかったし、良かったよ」

 

 

元気なリアスを見て、2人は安堵する。

あの後、一誠達は目覚めたリアスに謝罪された。

とはいっても相手は破滅招来体。どうしようもなかったので仕方がないとタジタジになりもしたが、ヴェネラテが「人は誰でも弱いところがある。恥ずべきことじゃないですわ」と良い言葉で締めたことでお開きになった。

 

しかし、同時に破滅招来体への脅威が更に強まった。

人の弱い心を漬け込むとは恐ろしいものだ。

 

 

四之宮「よお」

 

我夢「っ、四之宮さん」

 

 

そんなことを考えていると、後ろから四之宮が話しかけてくる。

何だろうと疑問に思っていると

 

 

四之宮「お前ら、まだここにいていいのか?1限体育に変更なったろ?」

 

「「あっ!やっべ!」」

 

 

その言葉で思い出した2人は口を揃えて声をもらす。

いつもなら普通通り座学だが、今日は教師の都合で体育に変更になっているのだ。

 

そのことをすっかり忘れていた我夢と一誠は急いで教室へ走っていくのだった…。

 

 

 

 

 




次回予告
※(イメージBGM:ウルトラマンダイナ次回予告BGM)

人々を狂気に陥らせる花粉!
その事件の黒幕は北川町に潜んでいた!
混乱する世を見て、メトロン星人は何を語るか…?

次回、「ハイスクールG×A」
「狙われない星」
お楽しみに!
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