ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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宇宙忍獣 X(クロス)サバーガ 登場!


第49話「再会の空」

駒王町。住宅街から少し離れた位置にある墓地。

まだ日が完全に昇りきっていない早朝の時間帯。

『稲森 京子 ここに眠る』と書かれた墓前に花束を供える1人の少年がいた。

 

その少年の名は藤宮 博也。地球から授けれた光でウルトラマンアグルとして変身能力を得た彼は、考えの相違から同じウルトラマンである我夢とその仲間のリアス達と考え幾度も衝突した。

 

しかし、それも過去の話。自分の信念が全て破滅招来体に仕組まれたものと知り、戦意喪失。

アグルの光を我夢へ手放し、以降、消息不明となっていたのだが、こうして生きていたのである。

 

だが、何が起きたのか頬はやつれており、目の下には隈が出来ており、鋭い瞳の奥は明るさを失っている。

人類削除の為とはいえ、かつてウルトラマンとして戦ってきた男の物陰はほぼ無くなっている。

 

目を閉じ、深く深く……懺悔の念を込めて藤宮は合掌してお辞儀する。

全て藤宮のせいではないが、間接的に巻き込んで恩人である稲森を殺してしまった藤宮にとっては悔やんでも悔やみきれない気持ちで一杯である。

 

お辞儀をした藤宮は顔を上げ、目を開けると、心の中で眼前の墓へ語りかける。

 

 

藤宮「(稲森博士……俺を全てを失った。なのにまだ奴等は生き残っている。……アグルの力は戻ってはこない……もう、地球は……俺に語りかけてくれなかった…)」

 

 

悲しげな目を浮かべながら藤宮は再びプロノーン・カラモスに赴いたことを思い出す。

ゾーリムの件以降戦意を失いさ迷っていた藤宮だが、しばらく経って破滅招来体と再び戦おうする意思を取り戻し、アグルの光を再び手にしようとプロノーン・カラモスのプールへ飛び込んだが、何も応えてはくれなかった。

そのことを思い出し悲しくなる藤宮だが、気持ちを切り替え、

 

 

藤宮「(だが、人として俺にもやれることはある……そうだろう?)」

 

 

墓前を見据え、語りかける。

何かを決意したのか瞳の奥は明るさを取り戻していた。

その決意の表れは、かつて人類を滅ぼそうとしていた危ういものと同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。日本のとある地区に位置するG.U.A.R.D.の施設の廊下を藤宮はG.U.A.R.D.隊員に変装して歩いていた。

 

 

「何だお前?うぐっ…!?」

 

 

道中、偽物と見抜いた本物の隊員に出くわすが腹パンして大人しくさせると、壁の案内板に『対空間レーザーシステム』と案内された方角へ歩いていく。

 

セキュリティルームに難なく侵入した藤宮はデスクに置かれてあるメインコンピューターを操作すると、謎のコンピューターウイルスをアップロードする。

2秒もかからないうちに『FINISHED』とアップロードされたことを知らせる表示が画面に映ると、藤宮はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

 

《ウー…!ウー…!ウー…!》

 

藤宮「っ!」

 

 

だがその瞬間、施設中から侵入者を知らせる非常ベルが鳴り響き、室内のハザードランプが点灯する。

腐っても人間界屈指の防衛組織G.U.A.R.D.だ。どれだけ工作して侵入したとしてもすぐにバレる。

 

やるべきことを終えた藤宮はすぐさまセキュリティルーム内のコンピューターをシャットダウンさせると、隊員に捕まる前にそそくさと立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠「いやぁ~~我夢!すまねぇ!せっかく作ってくれたのにっ!」

 

 

次の日、兵藤家にある我夢の部屋では眼前で合掌した一誠が申し訳なさそうに頭を下げていた。

頭を下げる先には机に座る我夢がおり、手元にはクリスタル部分がひび割れたリーフラッシャーがあった。

実は昨日、一誠がリーフラッシャーを床に落としてしまい、壊れてしまったのだ。落ちたといっても膝下数10センチ……皿が割れるか割れないぐらいの高さだ。

そのくらいの高さで割れてしまったので、一誠が悪いのではなく、むしろ老朽化が進んでいたリーフラッシャー自体に問題がある。

 

謝る一誠に我夢は爽やかな笑みを浮かべながら顔をあげさる様に言うと、手元のリーフラッシャーを見て

 

 

我夢「いや、謝ることないよ。大分ガタがきてたからね、そろそろメンテナンスしようかと思ってたところさ。丁度いい機会だよ」

 

一誠「わ、悪ィな…」

 

我夢「ははっ、気にしなくていい。ただ、高額なパーツを仕入れる必要があるから、修理が終わるのは明日になるけどいい?」

 

一誠「おう!全然、大丈夫だぜ!」

 

我夢「うん。じゃあこれ預かっておくね」

 

 

一誠に確認を得た我夢はリーフラッシャーをビニール袋に丁寧に入れると、引き出しの中へ収納した。

 

 

一誠「んじゃあ、修理お願いな!」

 

我夢「ああ、任せてくれ」

 

 

ニカッと笑う一誠に我夢は微笑み返す。

悪いことをすれば正直に謝り、良いことをすれば誉め合う……。幼馴染みというのもあるが、これが理想の信頼関係であり、我夢と一誠の仲が途切れない理由でもあったりする。

 

 

《ピピッ!》

 

 

そんなやり取りをしていると、我夢のXIGナビから通知音が鳴る。

意識をXIGナビへ移した我夢は通信に出ると、XIGの司令官・石室からだった。

――何の用事だろう?と怪訝に思っていると、石室は真剣な面持ちで我夢を見据えると

 

 

《石室「我夢。いきなりで悪いが俺の部屋に来てくれ。話したいことがある」》

 

 

と単刀直入に伝えた。

いつも用事がある場合はコマンドルームかXIGナビを通して伝えるのだが、私室に呼ばれるのは初めてだ。

――よっぽど聞かれたく内容なのか……。そんなことを思いつつ、我夢は返事する。

 

 

我夢「わかりました。すぐに行きます」

 

《石室「ああ。頼む」》

 

 

行く旨を伝えると、石室は短く返事し、通信を終了した。

XIGナビを閉じた我夢は自分と同じ様に訝しげな顔をしている一誠の方へ顔を向ける。

 

 

我夢「という訳で行ってくるよ」

 

一誠「おお、気をつけてな。てか、わざわざ部屋に呼ぶなんて、何の用事なんだ?」

 

我夢「さあ?行ってみなきゃわかんないさ」

 

 

う~んと首をひねる一誠に我夢はそう返すと、部屋を出て、エリアルベースへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イリナ「あっ!我夢君」

 

我夢「ん?イリナか」

 

 

石室の部屋へ向かうべくエリアルベースの廊下を歩く途中、反対側から声をかけられ、我夢は振り向くと、イリナとバッタリ出会った。

 

 

イリナ「どこ行くの?」

 

我夢「ああ、コマンダーに部屋に来るよう言われてさ」

 

イリナ「あ!それなら私も呼ばれたよ!」

 

我夢「え、本当?」

 

イリナ「うん」

 

 

きょとんとする我夢にイリナは頷く。

―――自分だけでなくイリナまで呼ぶなんて何か共通するものでもあるのか?我夢は少し考えるが幼馴染みという以外、思い当たる伏がない。

 

 

イリナ「じゃあじゃあ一緒に行こ?行くところ同じだし」

 

我夢「そうだね」

 

 

元気な声で提案するイリナに我夢は特に断る理由はないので承諾する。

そうと決まった2人は雑談を交えながら歩いていくと、数10分も経たないうちにコマンドルームの近くにある石室の自室へ着いた。

 

我夢は扉をコンコン…と軽くノックする。

 

 

我夢「コマンダー、我夢です。イリナもいます」

 

石室『入れ』

 

 

扉越しに呼びかけると扉の奥から石室の承認する声が聞こえた。

入室許可を得た2人は声を揃えて「失礼します」とひと言言うと、室内へ入る。中はエリアルベースに設けられた我夢達専用部屋と同じ旅客機の様な内装で、戸棚には満開の笑顔の石室の妻と息子の家族写真が飾られてあった。

 

 

石室「よく来てくれた。座ってくれ」

 

 

手前の2つの椅子に座るように促された2人は頷くと、椅子に座る。

湯呑みにお茶を淹れて2人に差し出すと、石室は話を切り出す。

 

 

石室「…単刀直入だが、対空間レーザーシステムを知っているか?」

 

我夢「あ、はい。つい最近、導入されたばかりのG.U.A.R.D.の新兵器ですよね」

 

 

我夢の言葉に石室は「そうだ」と頷く。

対空間レーザーシステム―――――地球の大気圏外に打ち上げられた宇宙からの侵略者を打ち落とす防衛衛星である。

名前の通りレーザーを用いる兵器だが、そのレーザーの攻撃力は凄まじく、下手すればウルトラマンの光線に引けを取らないレベルだそうだ。これにより、G.U.A.R.D.の戦力が13%もアップしたと言われている。

 

そのことを知らなかったのかふんふんと相づちを打っていたイリナは石室に問いかける。

 

 

イリナ「でも、そのレーザーシステムがどうしたんですか?」

 

石室「ああ。実は先日、これを管理している施設に侵入し、データを書き換えようとしたやつがいた」

 

「「!?」」

 

 

その出来事に我夢とイリナは驚く。

それもそうだ。下手すればウルトラマンの光線技と匹敵する威力を持つ防衛衛星を管理する施設に入り込んだからだ。犯人は明らかに危ない思想を持つ人物なのは間違いない。

我夢は石室に訊ねる。

 

 

我夢「それで犯人は…?」

 

石室「すぐに逃げたそうだ。だが……」

 

イリナ「だが?」

 

 

言葉を濁らせ、続きを言わない石室にイリナは首を傾げる。

僅かにだが苦い顔を浮かべる石室からは口にしたくないというよりも言いにくいというのが2人にひしひしと感じられた。

 

3秒くらいの沈黙の後、石室は正直に伝えようと決心し、閉ざしていた口を開く。

 

 

石室「……警備員の証言によると、犯人は藤宮 博也にとても似ていたそうだ」

 

イリナ「――っ!?」

 

我夢「藤宮が!?」

 

 

石室から口から出た言葉に我夢とイリナは驚く。

イリナに至っては絶句しており、目は今にも眼球が飛び出しそうなぐらい大きく見開いていた。

信じられない様子の2人に石室は「間違いない」と返すと、話を続け

 

 

石室「コンピューター班がプログラム中に『SHADOW(シャドウ)』とコードネームが打たれたウイルスを発見した」

 

我夢「それじゃ藤宮は……」

 

石室「対空間レーザーシステムを奪おうとした可能性は高い……」

 

 

ひょっとしてと問いかけた我夢だが、石室から思っていた通りの返答に2人は固唾を飲む。

どういう形とはいえ生きていたのは内心嬉しい。

しかし、戦う意思を破滅招来体に利用され、戦意喪失した彼がG.U.A.R.D.の新兵器を奪ってまでやろうとしていることに我夢は嫌な予感がし、気が気でならなかった。

イリナも同じ様子で今すぐにでも探しに行きたい様子だ。

 

顔を曇らせる彼らに石室は話を切り替え

 

 

石室「今回、君達を呼んだのは藤宮の捜索だ。地上のチームリザードと合流し、藤宮を探し出してくれ」

 

 

今回の指示を2人に出す。

――不安ではあるが藤宮に会える可能性がある。2人の脳内は命令があってもなくても探すつもりではあったが。

そうと決まるや否や、我夢とイリナは席を立つ。

 

 

我夢「わかりました。すぐ向かいます」

 

 

我夢はそう言ってイリナと共に一礼すると、そそくさと部屋を後にした。

 

2人が走り去ってしばらくの後、廊下の角から人影がひょっこりと身を出す。

その正体は四之宮 龍――――否、ジャグラスジャグラーその人だった。

 

 

四之宮「なぁるほど…」

 

 

四之宮はニヤリと口角をあげながら呟く。

この様子から察せられると思うが、四之宮はその優れた聴覚で我夢達の会話の一部始終を聞いていたのだ。

 

 

四之宮「さて、俺も動くとするか」

 

 

四之宮は意味深なことを呟くと、薄気味悪い笑みを保ちながらどこかへ歩き去っていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石室の自室から出た我夢はイリナと共にファイターEXに乗り込むと、そのままエリアルベースから発進した。

 

 

イリナ「…ねぇ、我夢君?」

 

我夢「ん?」

 

イリナ「捜索して、もし藤宮君を見つけたらどうするつもりなんだろう?……捕まえる気じゃないよね?」

 

 

進路をジオベースに合わせて上空を真っ直ぐ飛ぶ中、後部座席に座るイリナが心配そうに訊ねる。

イリナが誰よりも藤宮を心配していることは我夢にはわかっていた。その証拠に藤宮が重傷を負った時は悲しみのあまりしばらく部屋に籠りっきりになっていたのを思い出す。

 

 

我夢「……」

 

 

我夢は思わず口を閉ざす。

脳内ではハッキリとした答えがあるのだ。

 

――――捕まえる、と。

 

騙されたとはいえ、三大勢力と人間界を引っ掻き回した危険人物を逃すはずもない。血眼になって探すだろう。

捜索に特化したチームリザードに調査をさせてるのが何よりも証拠だ。

捕まえた後は厳しい処罰が下る……イリナはそんな不安が胸中にあった。

 

ただ、我夢はそれを口にして認めるのが嫌だった。

藤宮がやったことは許されることではないが、それは全て地球を護ろうとしてやったことだ。それが破滅をもたらす者に歪められたものだとしてもだ。

捕まえたとしても、厳しい処罰にするのは少し間違っている。

我夢はイリナの不安を解き消す様に微笑み

 

 

我夢「いや、まさか。今の藤宮が前みたいな思想を持っているとは限らないし、サーゼクス様も十分承知のはずだよ。まあ、話してみなきゃわからないさ」

 

イリナ「…うん、そうよね。大丈夫よね……」

 

 

そう穏やかに言うと、イリナは自分に言い聞かせる様に呟く。

顔は依然として曇ってはいるが、ホッとしたおかげでほんの少しだけ明るくなった。

 

見ずとも声色で安心したのがわかった我夢は微笑んだ後、神妙な顔へ変わる。

 

 

我夢「(藤宮……また僕達と……)」

 

 

我夢は内心呟く。

我夢も不安だったのだ。また自分達と戦うつもりなのかと……。

目的は不明なれど、G.U.A.R.D.の新兵器を奪おうとした事実はある。しかし、藤宮の内情を考えれば、それだけで以前の彼に戻ったとは我夢には断定できず、信じられなかった。

 

 

我夢「(藤宮……)」

 

 

ただただ、嫌な予感しかしない。その心中を胸に我夢はファイターEXを飛ばしていく。

 

 

 

 

 

真っ直ぐ空を駆けていくファイターEXが通った空の近くの雲の中から一機の白い飛行機が姿を現す。

隠れて様子を伺っていた飛行機はファイターEXを尾行し始める。

その飛行機を操縦する人物は我夢達が探している件の藤宮その人だった。

 

 

藤宮「待っていろ……我夢」

 

 

藤宮は気付かれない距離を保ちながら映画館のスクリーンの様に投影されるファイターEXを見据え、呟く。

藤宮も我夢同様会いたいという気持ちは同じだが、その声色はどこか狙っている様な怪しさを含んでいた。

 

 

《ピー!ピー!ピー!》

 

藤宮「…?!」

 

 

そう呟いた矢先、コクピット内に異常事態を知らせるアラーム音が3回鳴り響く。

訝しげに藤宮はモニターへ目をやると、先程のライブ映像から一変して真っ赤な画面になったモニターの中央に『INTRUDER(侵入者)』と警告が表示されていた。

 

―――どういうことだ?と藤宮が目を細めると、モニターはピチュンと音を立てて強制的に閉じると、代わりに白い光を纏った人のシルエットが足から投影されていく。

次々と形成されていくホログラムに警戒して睨みをつける藤宮だが、その全貌が露になった瞬間、その顔は驚愕のものとなる。

 

 

稲森『ふふっ、相変わらず地球に関する研究心は熱心ね』

 

藤宮「い、稲森博士……!?」

 

 

全貌を現したホログラムから声をかけられた藤宮は動揺する。

そう、藤宮の眼前に映るホログラムの姿は彼の恩師かつ育ての親である稲森 京子だった。

 

 

稲森『私のこと、覚えていてくれたのね』

 

藤宮「…忘れる訳がない………」

 

 

藤宮は悲しげに顔を俯かせる。

藤宮は一時足りとも彼女のことを忘れたことはなかった。

幼い頃両親を失った自分を育て、クリシスの研究に協力してもらい、プロノーン・カラモスで苦楽を共にしたことを。

そして、自分のやろうとしていたことに巻き込んで死なせてしまったことも……。

 

それらのことを思い出し、藤宮が感傷に浸っていると稲森はクスリと笑い

 

 

稲森『でも滑稽ね。大いなる力に今でも抗おうとするなんて…』

 

藤宮「っ!?どうしてそれをあなたがっ!?」

 

 

心を見透かされる様に言われた藤宮は目を大きく見開いて問いかける。

言われたことは図星ではあるが、何故()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が藤宮には理解できなかった。

動揺する藤宮を見て稲森は可笑しそうにフフッと笑うと、藤宮を見据え

 

 

稲森『私は大いなる力で蘇った。その偉大なる力を挑発する愚かな男……』

 

藤宮「…っ、あなたは…破滅招来体に……!博士!その力とは何なんです!?何故、地球が狙われる!?」

 

 

告げられた事実に動揺しつつも藤宮は矢継ぎ早に問いかける。

稲森はフゥと嘆息をつくと、横を見ながら不快な顔を浮かべ

 

 

稲森『…あなたは掃き溜めに蠢く害虫の存在意義を考えたことがある?……考える必要なんてない。そんなものいらないもの。だから地球もいらない。汚れた存在は誰だって嫌……』

 

 

そう話すと稲森は真っ直ぐ藤宮を見ると先程の不愉快を露にした顔から一変して穏やかな顔へ変わる。

 

 

稲森『でも私はあなたと一緒にその汚れを取り除く方法を知ったのよ』

 

藤宮「…っ!」

 

稲森『きっと、操られたクリシスの答えは嘘ではないわよ。私とあなたはその答えを信じる運命……』

 

 

そう言いながら動揺する藤宮へ歩み寄る稲森。

長年一緒に過ごしてきていた藤宮だが、声、姿、口調は全く同じで数少ない安らげる人物であるはずなのに、目の前の稲森が放つ雰囲気はおぞましく、稲森の皮を被った別人にも思えた。

そうこうして固まっていると、稲森は藤宮の眼前にまで近寄っていた。

稲森は聖母の様な笑みを浮かべ

 

 

稲森『会いたかったわ……。博也君………』

 

藤宮「……」

 

 

そう呟くと、藤宮の頬へ触れようとゆっくりと手を伸ばす。

藤宮も深く考えるのを止めたのか目を瞑る。ホログラムであろど、久しぶりに義母の暖かさに包まれたかった……。

 

そうして稲森の手が藤宮の肌に触れたその時だった!

 

 

バチバチィーーーッ!!

 

稲森『っ!?何…!?』

 

 

カチッとスイッチ音が聞こえたかと思うと、藤宮の近くにある機械を介して電流が走った。

あまりもの激痛に退いた稲森は手を見ると、雨に打たれた泥の様にドロドロになり、手から全身へと溶解し始めていた。

藤宮は手元のスイッチで稲森を攻撃したのだ。

動揺する稲森に藤宮は鋭い目付きで睨み付け

 

 

藤宮「このコンピューターには強力なウイルスプロテクターが仕掛けてある…!クリシスの時の様にはいかないっ!」

 

 

ハッキリとした口調で言い放つ。藤宮には話す内にわかったのだ。

―――この人は稲森 京子ではない。破滅招来体によって姿と記憶をコピーした傀儡にしか過ぎないと。

稲森が溶ける激痛に苦しむ中、藤宮は顔を俯かせる。

 

 

藤宮「だが、1つだけ感謝しています……。博士の崇拝する力は俺に大切なことを思い出させてくれた……」

 

 

そう言って顔を上げて傀儡の存在である稲森を真っ直ぐ見据えると、

 

 

藤宮「俺は……アグルである前に……!ただの人間だったんです……

 

 

藤宮は心境をぶつけた。目の前に死した人が蘇ることなど決して有り得ず、話し方や雰囲気で破滅招来体が生み出したものとわかっていた。

しかし、そうとわかっていても喜んでしまい、まんまと利用されようとしていた自分がいた…。

その証拠にその目は怒りと悲しみが混ざっていた。

 

藤宮に拒絶された傀儡の稲森は途端に今にも泣きそうな悲しげな顔を浮かべる。

 

 

稲森『博也君…?あなた、私を見捨てるの…?』

 

藤宮「今のあなたは……俺の知ってるあなたじゃない」

 

 

藤宮は込み上げる罪悪感をグッと堪えて、頑なに拒否する。

偽者とはいえ、もう1人の母親として、1人の研究者として尊敬していた人の苦しむ姿を見るのは何よりもの苦痛だろう。

傀儡の稲森は苦痛の声を漏らしながら、手を差し伸ばす。

 

 

稲森『苦しいわ……博也君!博也君、助けて!助けて…っ!』

 

藤宮「黙れ…」

 

稲森『助けて…!あぁ…っ』

 

藤宮「消えろォォォーーーーーーッ!!

 

稲森『あ"ぁ"ぁ"ぁ"ーーーーーーッッ!!』

 

 

救いを求める声を解き消す様に叫んだ藤宮は自分の考えが変わる前にスイッチを叩き押すと、傀儡の稲森は断末魔と共に消滅した。

傀儡の存在が消え、自分1人となった藤宮は緊張が切れ、スイッチに手を置いたままガクッと顔を下ろす。

 

 

藤宮「…」

 

 

一言も喋らず顔を俯かせる藤宮の顔は悲しみに満ちたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ジオベースに着いた我夢とイリナはチームリザードの瀬沼と合流し、早速調査に乗り出した。

瀬沼は2人を車の後部座席に同乗させると、門をくぐって発進させる。

ハンドルを手に運転しながら瀬沼は我夢達に今回の情報を話し始める。

 

 

瀬沼「藤宮にはいくつかの潜伏場所が確認されてるんですが、その1つに情報が入りました」

 

イリナ「彼は今まで何を?」

 

瀬沼「藤宮は幾つもの工学特許を所有しています。その財力で世界各地を転々としていました」

 

 

瀬沼から返ってきた答えに我夢とイリナは納得する。

単にアグルの力で飛び回っていたのかと思っていたが、動向がバレず、かつ活動拠点を作れたのはその財力あってのことだろう。

 

 

我夢「目的は?」

 

瀬沼「わかりません…」

 

 

我夢の問いに珍しく瀬沼は首を横に振る。

今、こうして舞い戻ってきたのはきっと理由があるはずだ。

しかし、瀬沼の調査はあくまで調査。心を暴けることはできない。仮にできたとしても藤宮本人に強い不信感を与えてしまうことになるので、結局は本人に訊くしかない。

 

我夢とイリナは不安を胸に藤宮のもとへ赴くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、我夢とイリナがこちらへ来ると知らず、藤宮は拠点へと戻っていた。

コンクリート作りの廃墟の薄暗い一室にカタカタとノートパソコンのキーボードを打つ無機質な音が響く。

藤宮は何かしらのデータを打ち込んでいた。

 

 

四之宮「よう!」

 

藤宮「…っ!?」

 

 

一通り作業を終えた時、ふと背後から見知らぬ声をかけられ、藤宮は咄嗟にウィンドウを閉じて振り向く。

藤宮のいる位置よりも暗い物陰から身を出したのは余裕そうな顔を浮かべる四之宮だった。

 

 

藤宮「誰だ?」

 

四之宮「俺は四之宮 龍。駒王学園の学生をやらせてもらってる。まあ、XIGのメンバーの1人って言えば簡単かな?」

 

藤宮「……」

 

 

陽気な口調で話す四之宮に藤宮は更に警戒を強める。

それはXIGの隊員というよりも、四之宮からジワジワと放たれる怪しげな雰囲気にだ。先程も声をかけられるまでは全く気配を感じられず、そもそもこの拠点は地図でピンポイントで見つけられる簡単な場所ではない。

 

怪訝な顔を浮かべる藤宮を見て、四之宮は「おいおい」とおどけた調子で言うと

 

 

四之宮「そう怪しむなよ。俺はお前を捕まえに来た訳じゃない。個人的な興味でお前に会いに来たんだ」

 

藤宮「…そうだろうな。なければ、とっくに奇襲をかけていたはずだからな」

 

 

と事情を晒す四之宮に藤宮はそっけなく返すと、警戒を僅かに緩める。

ほんの少しだが警戒心を解いてもらったことを確信した四之宮はふぅと軽く息を吐くと、本来の姿であるジャグラー魔人態に戻った。

それを見た藤宮は唖然とする。

 

 

藤宮「その姿は…!」

 

ジャグラー「驚くのも無理はないか……。俺の本当の名はジャグラス ジャグラー、怪しい通りすがりの風来坊さ♪四之宮 龍っていうのは借り物の名前だ」

 

藤宮「……借りた?そうか…」

 

 

困惑する藤宮だが、生まれながら持っている頭の回転の速さでジャグラーの言っている意味をすぐに理解した。

 

 

藤宮「お前のことはわかった。なら、何しにきたんだ?その様子だと俺がやろうとしていることも知っているそうだが…」

 

 

藤宮の問いかけにジャグラーは内心、「鋭いな」と思いつつも正直に答える。

 

 

ジャグラー「ああ、お前にちょっと忠告しに来たんだ」

 

藤宮「忠告だと?」

 

 

ジャグラーの言葉に耳を止めて訊き返す藤宮にジャグラーは頷くと、隠さずハッキリと告げる。

 

 

ジャグラー「はっきり言うぜ。今のお前じゃあ何も出来ねぇし、何も救えない。そんな()鹿()()()()()を持ったままじゃな…」

 

藤宮「っ!?」

 

 

ジャグラーの発言に藤宮は目を見開く。

ジャグラーにはわかっていたのだ。藤宮がやろうとしていることが如何に危険であることを、如何に悲しみを生むのかを。

そんな心中が当然、初対面である藤宮には自分の行動を否定されたことしかわからず立ち上がると、けたたましい剣幕でジャグラーの肩に掴みかかる。

 

 

藤宮「お前に何がわかるっ!!信じるもの、守るべきもの全てを失った俺の気持ちがッ!!」

 

ジャグラー「…わかる。俺も信じていた正義を無下にされた。良かれとやったことを誰もが認めず、否定された」

 

藤宮「俺のせいで多くの人々が死んだ!今の俺には償いをできる力がないッ!地球に拒絶された俺にはもうこれしか残されていないんだッ!!」

 

 

感情に駆られる藤宮の言葉をジャグラーは受け止める。

藤宮の苦しみ悔しさにはジャグラーも共感できることがあるからだ。

それはかつての自分が今の藤宮と重ねているからでもある。だからこそ止めなければいけない。自分の挫折を味わわせぬ様に。

 

受けの姿勢で聞いていたジャグラーだが、次に藤宮から出た言葉に強い反応を示した。

 

 

藤宮「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

ジャグラー「ッ!」

 

 

――――誰も悲しまない?――――もう何もない?

その言葉に苛立ったジャグラーは次の瞬間

 

 

ジャグラー「甘えるなッッ!!」

 

バシィッ!!

 

藤宮「!?」

 

 

と藤宮の頬を思いっきりビンタをした。

突然の攻撃に加え魔人態の強靭な肉体から放たれる一撃に藤宮は横へ吹っ飛び、壁面に叩きつけられる。

 

 

ガラガラ…

 

藤宮「ぐ…」

 

 

藤宮は床に倒れ伏せ、衝撃で崩れた壁の細かい瓦礫が背中に落ちる。

強烈な一撃で口元からは血が出ている。

そんな中、近寄ったジャグラーは屈むと、苦悶の表情を浮かべる藤宮の前髪を引っ張って無理矢理顔を上げさせる。

 

 

ジャグラー「力を失ったからだ?守るべきものが無くなったからだ?…ハッ!失ったものばかりチマチマ数えやがって。ウルトラの力を得た時もそんな甘えた考えで戦っていたのか…?違うだろ?大を生かす為に小を切り捨てる“覚悟”があったからじゃねぇのか?」

 

藤宮「………」

 

ジャグラー「目に映るものばかりじゃない。もっと大事なものの為に戦ってきたんだろ?答えてみろ…!」

 

 

ジャグラーは禍々しい緑色の双眼で睨んで問う。

藤宮にはまだ自分とは違う明確な点があることをジャグラーは理解していた。

だが、あえて助け舟を出さない。本人に自覚させることが何よりも深く心に刻まれるからだ。

 

 

藤宮「……」

 

 

だが、しばらく経っても藤宮は沈黙したまま、何も答えなかった。ジャグラーの叱咤を受けても尚、わかっていなかったのだ。

その様子から察したジャグラーは呆れてため息をつくと、藤宮の髪を放して姿勢を上げる。

解放され、手をついて四つん這いになって肩で息をする藤宮にジャグラーは見下ろし

 

 

ジャグラー「…かつて、周りを敵にしても怖じけず戦ってきたウルトラマン様もこんな甘ちゃんだったとはな。見損なったぜ……もっと芯がある奴だと思っていたがな……。まあ、赤の他人の俺が言うことじゃないが」

 

 

藤宮に対してそう吐き捨て、ジャグラーは四之宮の姿に戻ると、そのまま近くの出口へ歩いていく。

体勢を整えた藤宮は口元に流れた血を拭うとソファーへ向かっていく。

出口の角に差し掛かった時、四之宮はピタリと足を止めると振り向かない姿勢のまま口を開き

 

 

四之宮「……熱くなりすぎだ。もっと周りのものを見ろ」

 

 

藤宮に対してそう言い残すと、四之宮は歩き去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、10分後。藤宮と四之宮の間にそんなやりとりがあったとは知らない我夢、イリナ、瀬沼の3人は藤宮の潜伏場所へ到着した。

車を降りた3人は前方に見える拠点を見据える。

 

 

イリナ「瀬沼さん。ここに藤宮君が?」

 

瀬沼「ええ。我々の情報に間違いはありません」

 

 

イリナの質問にハッキリと答える瀬沼。

チームリザードの捜査力は冥界……いや、この地球一かもしれないと言われるので確かである。

3人揃って拠点に向かおうとした時、我夢は瀬沼に

 

 

我夢「瀬沼さん。まずは僕とイリナが会ってきます」

 

瀬沼「高山さん…」

 

我夢「大丈夫です、少し話すだけですから。瀬沼さんはもしもの時に備えて外に待機していて下さい」

 

 

身を案じてくれる瀬沼に優しく促す我夢。

―――瀬沼さんは藤宮に何度もくわされている。個人的な恨みも少なからずあるはずだ。もし一緒に会おうとするならば、藤宮はまともに話を聞いてくれないだろう――そう考えた上での制止である。

 

 

我夢「イリナ。行こう」

 

イリナ「う、うん!」

 

 

我夢の誘いにイリナは頷くと、2人は藤宮が待つ廃墟の中へ入っていく。

早く会いたいという焦りを抑えながら2人は散乱している瓦礫や蜘蛛の巣が張り巡らされている建物内を道なりに歩いていくと、開けた部屋に出た。

 

 

我夢「…っ!?藤宮…!」

 

イリナ「藤宮君!?」

 

藤宮「我夢……イリナ……」

 

 

辿り着いた2人は視界に映った人物を見て息をのむ。

ここにいると知っていたとはいえ、正真正銘、本物の藤宮がいたからだ。

藤宮は2人が来ることを察していたのか、特に驚いた様子を見せず、顔を僅かに振り向かせたままだった。

 

行方不明となっていた藤宮の生存に2人は内心喜びつつも、我夢は話しかける。

 

 

我夢「無事だったんだね」

 

藤宮「ああ…」

 

我夢「だったらどうして、君は僕らの前に姿を現さないんだ?もう、僕らが協力できない理由は無いはずだ――」

 

藤宮「あるさ!

 

我夢「っ!」

 

 

そう言ってこちらへ歩み寄ろうとする我夢を藤宮はピシャリと言い放つ。

驚いた我夢が思わずピタッと足を足を止めていると、藤宮はイリナへ話しかける。

 

 

藤宮「元気そうだな」

 

イリナ「…うん。しばらく藤宮君の深刻ぶった顔を見てないから」

 

 

そう返すイリナは顔を曇らせる。

それは以前会った時と比べて明らかに衰弱している藤宮の姿を目の当たりにしたからだ。

短く話した藤宮は再び我夢へ話しかける。

 

 

藤宮「…我夢。俺のせいで沢山の人が傷ついた。この人間界だけでなく、冥界や天界の人にも深く傷跡をつけた。俺は心の中で自分の力に溺れていた……俺はその償いをしなければならない」

 

我夢「僕が君の立場だったら同じことをしたと思う…」

 

藤宮「違うんだよ……。思うのと実際にしてしまうことは……」

 

 

藤宮は悲痛の顔を浮かべ、我夢のフォローをはね除ける。藤宮の奥底から込み上げる罪悪感が良しとしないのだ。

そんな彼に今度はイリナがフォローに入る。

 

 

イリナ「そんなことで誰も責めたりしない。もしあっても、我夢君と私でみんなを説得するから…」

 

藤宮「例え君達が許しても……俺に構うなっ!」

 

 

藤宮は声を張り上げて頑なに拒む意思を見せる。

だが、それでもイリナは諦めず、心痛な顔を浮かべて話し続ける。

 

 

イリナ「確かに人を傷付けた苦しみはわからない。でも、藤宮君が悲しんでるのはわかる……それはほっとけないよ?だって藤宮君自身が変わらなきゃ、出会った意味なんて何もないもの……」

 

藤宮「…」

 

 

イリナの言葉が胸に響いた藤宮は口を閉ざして考える。

ジャグラーの叱咤……我夢とイリナの信頼……それはどれも同情などではなく、自分の心と正直に向き合えというものだった。

藤宮も薄々わかってきた。しかし、自分が犯した罪は償えない程に深く、とても許されるものではない。

 

 

瀬沼「藤宮 博也!G.U.A.R.D.及び三大勢力の権限により、君の身柄を保護させてもらう!」

 

 

どうすれば良いのかと藤宮が悩んだ矢先、我夢達の後ろからしびれをきらした瀬沼がジェクターガンを構えて現れる。

『保護』という名目の『逮捕』にだ。

 

 

「「「!?」」」

 

 

我夢とイリナは瀬沼を止めるか止めまいかのせめぎわに顔を曇らせる中、藤宮はクルリとその場で回れ右すると、着ていたジャケットの右側を広げると我夢達は驚愕する。

それは藤宮の右腰に爆弾が取り付けられていたからだ。

 

唖然とする我夢達に藤宮は右腕を前へ真っ直ぐ上げる。

ゆっくりと見せる様に開いた右手の人差し指と親指には銀色の端子が着けてあり、そこから伸びるコードは爆弾に接続されている。

 

 

藤宮「接触すれば爆発する………悪魔や天使であっても無事でいられない威力のな」

 

 

そう言いながら藤宮はゆっくりと人差し指と親指の先を近付ける。

 

 

我夢「藤宮っ!」

 

イリナ「やめてぇーー!」

 

 

藤宮の脅しに緊迫する一同。

廃墟中に驚く我夢の声と制止を促すイリナの悲痛な叫びが響く。

藤宮は親指と人差し指をくっつくスレスレの間隔で止めると、

 

 

藤宮「道を開けてもらおうか」

 

 

3人に向かって要求を出す。指はそのままの状態を維持したままに。

もし断れば藤宮が死ぬどころか、最悪こちらまで死んでしまう。

3人はこの要求を呑まざるを得ず、大人しく重い足取りで左右に散って道を開けた。

藤宮は腰元の爆弾を見せつけて牽制しながらその間をスタスタと通っていく。

 

 

藤宮「我夢。今度会った時は手加減をするな……でなければお前がケガをするぞ!」

 

我夢「…っ!?」

 

 

藤宮は我夢の横を通り過ぎた時、意味深な言葉を発する。

その意味にもしやと思った我夢は冷や汗を流すと、藤宮に問いかける。

 

 

我夢「本気なのか!?君は僕達とまだ戦うつもりなのか!?」

 

藤宮「……」

 

 

その問いかけに藤宮は何も答えずスタスタと立ち去っていった。

我夢が思う最悪な予感――それは藤宮が再び三大勢力に牙を剥くことだ。

もう互いに争う必要もなく、そもそも理由がない。

しかし、藤宮からは人類削除に躍起になっていた頃の冷たい覚悟が我夢には感じられたのだ。

 

一体、何を―――?藤宮から溢れる嫌な予感を感じながら、3人は遠くなる藤宮の後ろ姿を眺めるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拠点から立ち去った藤宮は個人飛行機に乗り込み、真っ直ぐどこかへと向かっていた。

 

 

藤宮「いけ!『PHOENIX(フェニックス)』!」

 

 

そう言いながら藤宮は手元のコンピューターのスイッチを押し、『PHOENIX』という謎のプログラムを起動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石室「………そうか。再び姿を消したか」

 

 

イリナと共にエリアルベースに戻った我夢はコマンドルームにて、石室に藤宮との一部始終を報告していた。

椅子に座り、困った様子で唸る石室に我夢は言う。

 

 

我夢「コマンダー。でも、僕はアイツを信じたい」

 

石室「…」

 

 

石室は顔を俯かせる。

石室とて我夢と同じくできれば藤宮を救ってあげたいのだ。

しかし、過去に起こした数々の出来事を憎く思う集団が邪魔している。手助けすれば反逆と見なされ、我夢達に危険が及ぶので、先陣きって手助けできないのだ。

 

 

《ウー…!ウー…!ウー…!》

 

『!?』

 

イリナ「ど、どどどうしたの!?」

 

 

どうしたものかと考えようとした矢先、エリアルベース中に警報音が鳴り響く。

あまりもの規模に自室から飛び出したイリナが慌てて入ってくる始末だ。

 

 

「ジオベースから緊急アクセス!」

 

石室「どうした?」

 

 

鬼気迫った顔を浮かべるオペレーターに石室は訊ねると、予想外の言葉が飛び出す。

 

 

「対空間レーザーシステムが何者かにジャックされました!」

 

『!?』

 

石室「何だと…っ!?」

 

 

一同は言葉を失う。

藤宮が仕込んだウイルスは全て撃退、その後は更にセキュリティとウイルスプロテクターを強化して誰にも侵入出来なくしたはずだ。

それが何故……?

 

 

イリナ「ウイルスは全部消えたはずじゃ…」

 

我夢「…っ!そうか!発見されたのはダミーで本命はもっと奥に仕掛けられていたのか!」

 

 

ハッと気付いた我夢は急いでコマンドルーム中央のデスクのコンピューターで解析し始める。

 

 

「監視衛星にアクセス……映像出ます」

 

 

オペレーターはモニターに監視衛星の映像を表示させる。

モニターには地球の大気圏外の様子が映されており、近くにある対空間レーザーシステムが搭載された衛星が宇宙にではなく地球へと照準を変えていた。

 

 

「攻撃プログラム、作動中!」

 

石室「照準はどこだっ!」

 

 

石室は解析する我夢へ訊ねると、最悪な状況に後押しする事実が我夢の口から発せられる。

 

 

我夢「北緯0度。照準はこの、エリアルベースです!」

 

『!?』

 

イリナ「……嘘っ?!」

 

 

発覚した事実に一同は唖然とする。イリナに至っては血の気が覚めていた。

藤宮の狙いは対空間レーザーシステムを利用したエリアルベースへの破壊工作だったのだ。

そうと知るな否や、石室はオペレーターにすぐさま指示を出す。

 

 

石室「推進システム出力全開!エリアルベースの座標を移動させる」

 

「システム作動まで65秒!」

 

「間に合いません!30秒後には直撃します!」

 

 

オペレーターから伝えられる現状に回避策はことごとく砕かれる。

藤宮はこのことも読んでいたのか、確実にエリアルベースを撃ち落とすつもりだ。

 

 

我夢「…っ」

 

イリナ「あ、我夢君っ!」

 

石室「…」

 

 

この絶望的な状況を前に我夢は1人コマンドルームを飛び出す。

怖じ気づいて逃げたのではなく、この状況を打破する為にだ。

石室が真剣な眼差しで見送ったのは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま廊下を出た我夢は懐からエスプレンダーを取り出し、曲がり角付近で止まる。

我夢には今は出来なくても、いつか藤宮が手を取り合う日が来ると思っていた。だが、現実は再び争うという残酷なものだった。

 

 

我夢「どうして……!どうしてなんだぁぁぁーーーーッッ!!

 

 

訳も分からず困惑する我夢はそう叫びながら、エスプレンダーを上へ掲げる。

エスプレンダーの青い液晶の奥から放たれる赤と青の閃光に包まれると、エリアルベースを飛び出し、宇宙空間へと飛び出していった。

 

地球の大気圏外に辿り着いた光は晴れると、我夢が変身したウルトラマンの姿が鮮明と現れる。

大地の赤い巨人、ウルトラマンガイアだ!

 

 

ピュイン…ピュイン…ピュイン…ゴォォォォォ……!!

 

 

 

対空間レーザーシステムを搭載した衛星は幾度かのチャージを終えると、地球に向かってレーザーを発射する。

地球防衛の為のレーザーが地球を護る前衛基地エリアルベースへと襲いかかろうとしていた。

 

 

ガイア「グアァァァァ…!デュアッ!」

 

 

その最中、ガイアは素早く頭部にエネルギーを溜めると、放たれたレーザー目掛けてフォトンクラッシャーを放った。

光線とレーザーはぶつかり合い、バチバチと閃光を散らす。

 

 

藤宮「…」

 

 

衛星とガイアが光線で押し合う様子を藤宮はコクピット内のモニターから眺めながら、あることを思い出していた。

それはかつてガイアとアグル―――自分達が冥界のレーティングゲームのゲームエリアで死闘を繰り広げた際に光線技をぶつけ合ったことを。

 

藤宮は緊迫した面持ちで横の壁に取り付けてある波形パネルに目をやる。

そこにはガイアとアグルの光線技をぶつけた際のエネルギー波形のサンプルと現在、対空間レーザーシステムとガイアの光線技を比較した波形が表示されていた。

まだ不一致な点が多いことに藤宮は苦い顔を浮かべ

 

 

藤宮「まだだ…!我夢!」

 

 

と呟くと、手元のコンピューターのつまみレバーを上げ、レーザーの出力を上げた。

威力を増したレーザーはガイアのフォトンクラッシャーを押し始める。

 

 

ガイア「グアァァァァ……!デヤッ!!」

 

 

手前まで押されたガイアは負けじと気合いを込め、上体を引いてから両腕を前へ突き出す。

太くなったガイアの光線は威力を増し、レーザーを押し返していく。

 

 

藤宮「再び、あの扉を開けるんだ!」

 

 

そう言いながら藤宮はレーザーの出力を最大にする。

ガイアとレーザーの出力はかつてゾーリムを呼び寄せた時と同じ波形に到達していた。

 

衛星が見えなくなるまで極太となったレーザーはガイアのフォトンクラッシャーを更に押し返していく。

 

 

ガイア「グアァァァァ……!デヤッ!!!」

 

 

ガイアは頭を思いっきり上げると、フォトンエッジ発射の体勢で光線の出力を上げて応戦する。

 

 

バチバチ!バチバチバチバチ…!

 

 

ぶつかり合い、拮抗した青と黄の光線のエネルギーは天へと昇っていく。

天へと昇っていたエネルギーによって空間に歪みが生じると、巨大なワームホールが出現した。

 

このことは衛星映像を通じて、エリアルベースにも伝わっていた。

 

 

「ワームホール出現!」

 

石室「まさか、またあの時の…」

 

 

石室はワームホールの規模を見て、苦々しく呟く。

以前にも似た条件で現れた怪獣ゾーリムのことを。

藤宮の狙いはガイアの光線を利用したワームホールを形成することだった。

 

 

イリナ「どうして…」

 

「正体不明の飛行機がワームホールに向かっています」

 

 

イリナが藤宮の行動する意図に困惑する中、オペレーターからの報告が耳に入る。

モニターに目をやると、藤宮の乗る白い飛行機がワームホールへ真っ直ぐ向かっていた。

石室はオペレーターに訊ねる。

 

 

石室「どこの所属だ?」

 

「無所属です。チームリザードの報告によると、藤宮 博也が保有する個人機と思われます」

 

「映像解析の結果、機内には大量の爆弾が搭載されています!」

 

石室「何っ!?なら、藤宮は捨て身で突っ込むつもりか!」

 

イリナ「…っ!?藤宮君…っ!!」

 

 

それを聞いたイリナは絶句し、開いた口を手で覆う。

目は見開き、瞳孔をわなわなと痙攣させる。

そう、藤宮の本当の狙いは罪を償う為、自ら開いたワームホールに自爆特攻を仕掛けることだった。

イリナはショックのあまり、その場で膝をついた。

 

藤宮の操縦する飛行機はグングン進み、遂にワームホール手前まで近付いた。

 

 

「さらばだ、我夢!イリナ!」

 

 

藤宮は愛する者達へ別れの言葉を呟くと、飛行機を更に推進させ、ワームホール内へ突入する。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

藤宮の狙いを察したガイアは止めるべく、全速力で飛行機の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤宮は安堵した。これでようやく破滅招来体に一矢報いることができると。

破滅招来体には効果がないかもしれないが、これで罪も償えるし、後に残された者への足掛かりになるかもしれない。

 

我夢やイリナのことが気がかりだが、彼らは自分よりも強いから心配ない、何とかなるだろう。

特にイリナだ。彼女が自分へ恋意を抱いているのは薄々気付いていた。

初めて同世代の女性に愛されるのは悪くはなかった。

だが、自分は罪人。まだ先がある彼女の未来を自分に関わったせいで奪う訳にはいかない。

彼女には彼女の人生がある。

自分がいない方がきっと幸せだ。

 

そんなことを脳裏に考えながら、藤宮はワームホールを突き進んでいく。

だが、

 

 

バチバチッ!

 

藤宮「!?」

 

 

飛行機は突然推進を止めた。ワームホールから発生する不可視の壁に阻まれ、先に進めなくなったのだ。

藤宮は何とか突破しようとコクピットの機械を調節しようとするが、全てショートしてしまっていた。

後一歩というところで藤宮は完全に破滅招来体への対抗策を失ってしまったのだ。

 

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

藤宮「何っ!?」

 

 

身動きが取れない最悪な状況の中、ワームホールの奥から一匹の怪獣がこちらへ飛んでくる。

その怪獣こそ破滅招来体が送り込んだワームホールの番兵、『X(クロス)サバーガ』である。

人間の分際でワームホールに侵入しようとする不届き者を始末しに来たのだ。

 

 

藤宮「ここまでか…っ!」

 

 

藤宮は悔しさのあまり、歯を噛み締める。

破滅招来体へ一矢報いることが出来なかったことに。

 

だが、ここで終わらない。

怪獣もろとも心中してやると。

そう決意した藤宮の指は自然に自爆スイッチへ動いていた。

 

 

ガイア「デュアッ!!」

 

 

追い付いたガイアは全身を白く発光させて高速移動能力を発動すると、藤宮の乗る飛行機へ突っ込む。

Xサバーガが巨大化した手に直撃する寸前、ガイアはそのまま地上へ退避した。

 

 

ドォォォォォン!!

 

 

Xサバーガの攻撃と自爆装置の影響で飛行機は地上でも見えるぐらいの爆発を起こした。

 

 

キィンッ!

 

 

それと同時にワームホールが消滅を始める中、一筋の光が姿を現す。

我らがヒーロー、ウルトラマンガイアだ。

その両手には光の球体が包んでおり、中には気を失って横たわる藤宮の姿があった。

 

 

石室「ふぅ…」

 

イリナ「良かったぁ~…」

 

 

それを見て安堵のため息をつく石室。イリナは目尻に涙を浮かべながらホッと肩をおろす。

 

地上の山岳地帯に降りたガイアは藤宮をそっと地上へ降ろす。

すると、気がついた藤宮は目を覚まし、ガイアを見上げる。

 

 

藤宮「我夢…」

 

ガイア「…」

 

 

ガイアは静かに頷く。それはもう大丈夫だと安心させる意味が込めてあった。

ガイアはその無表情なフェイスから感じられないが、藤宮に後遺症が残らず内心ホッとしているのだ。

 

 

ドォンッ!

 

ガイア「ッ!?」

 

 

安堵する中、ガイアの後ろから何かが降り立つ音が聞こえた。

振り向くと、ワームホールの番兵Xサバーガが降り立っていた。ワームホールへ近付いたガイアを抹殺する為に追ってきたのだ。

ガイアは素早く身構える。

 

だが、Xサバーガは先程の爆弾で負傷したのか、右手はドロドロに溶解していた。これでは戦力は半減するだろう。だが、

 

 

ギィニュュウゥ…!

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

 

そんな懸念も感じさせず、右手が粘土の様に変形して手の形どったかと思うと、Xサバーガの右手はあっという間に再生した。

驚異的な再生能力に内心驚くガイアだが、ここで倒さなければ何も解決しないので、その場から駆け出す。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

走った勢いを利用して空中でスケート選手の様に右回りで回転し、回し蹴りを放つ。

Xサバーガは後退りながらも右腕で防ぐ。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

 

ガイアは掴みかかるが、組み合った状態でクルリと反対方向に回った後、Xサバーガに腕ではね除けられる。

お返しとばかりに左手のドリルで突き刺そうとするが、ガイアは屈みながら反対方向へ移動し、バックステップで距離を取る。

 

 

Xサバーガ「クァァァ~~!」

 

 

尻尾でのなぎ払い攻撃を仕掛けるが、ガイアはしゃがんで難なく回避する。

だが、この立ち上がるまでの時間をXサバーガは計算していた。

 

ガイアが立った瞬間、Xサバーガは左手のドリルを回転させ、ガイアの胸元に突き立てた。

 

 

ガイア「ドアァァァ~~~~ッ!?」

 

 

回避不可能な攻撃にガイアは胸元から火花を散らして大きく後ろへ吹っ飛んだ。

ゴロゴロと転がるガイアだが、すぐに片膝がついた体勢に切り替える。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

そのままガイアは手裏剣を投げる様にガイアスラッシュを放つ。赤色のくさび形光弾がXサバーガ目掛けて飛んで行く。

 

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

ドォンッ!

 

 

だが、Xサバーガは思いっきり地面を蹴って浮き上がった地面で盾――――所謂畳返しで防いだ。

ガイアスラッシュの威力で土畳はガラガラと土煙を舞わせながら砕け散る。

 

土煙が晴れた先にはXサバーガは―――いなかった。

物音立てずに消えたのである。

 

 

ガイア「…!?」

 

 

これには流石のガイアも驚き、その場で立ち上がる。

―――奴はどこだ?

そう警戒しながらあちこち見回していたその時だった。

 

 

ドォォォンッ!

 

ガイア「ドォアァァァァーーーー!?」

 

 

足下の地面が盛り上がったかと思うと、飛び出してくる何かにガイアは足をすくわれ、地面に背中を叩きつけられる。

 

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

 

地中から飛び出してきた正体はXサバーガだった。

Xサバーガは左手のドリルで地中を削りながら掘り進み、身を隠して奇襲をかけたのだ。

 

 

ガイア「…ッ」

 

 

ガイアは痛む体を抑えて片膝をつきながら体を起こす。

どんな手強い相手でも負けないという強い闘志が後押ししたからである。

 

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

ガイア「!?」

 

 

だが、次の瞬間。ガイアは目を疑う光景を目にする。

それはXサバーガが3体に分身して自分を囲っていたからだ。

 

どれが本物だ?ガイアは困惑しながらも周りを囲むXサバーガを見渡すが、これといって違う特徴がなく、見分けられない。

 

 

Xサバーガ「クァァァ~~!!」

 

 

そんな中、Xサバーガが右手を突き出して巨大化させると、掌の穴から生体兵器小Xサバーガを放った。

放たれた無数の小Xサバーガ達はガイアの顔、腕、肩、太ももにガッシリと纏わりつく。

そして、赤い電流が流れたかと思うと

 

 

ドォォォォンッ!!

 

ガイア「ドアァァァァァァーーー!!」

 

 

小Xサバーガはダイナマイトの様に一斉に爆発した。

強力な威力にガイアは苦悶の叫びをあげる。

 

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

Xサバーガ「クァァァ~~!!」

 

ガイア「グアァァァァッ!?」

 

 

それを皮切りに他のXサバーガも右手を巨大化させて掌の穴から小Xサバーガを放つ。

何十体もの小サバーガがまたもやガイアの全身に纏わりつく。

 

 

ガイア「グアァァァァーーーーーーッ!!」

 

[ピコン]

 

 

小Xサバーガから流れる赤い電流にガイアは悲鳴をあげる。ライフゲージも青から危険を報せる赤に点滅を始めていた。

 

 

ドォォォォォォン!!

 

ガイア「ドォアァァァァーーーー!!」

 

 

ガイアのエネルギーを吸いとった小Xサバーガは自ら爆発!

激痛のあまり、ガイアはその場で膝をついた。

ガイア、ピンチ!

 

 

藤宮「…」

 

 

そのピンチに藤宮は右手に持つアグレイターに目をやる。

ウルトラマンの力をあれば助けられる。

だが、それでも地球はアグルの光を授けてくれない。

 

 

藤宮「…くそっ!」

 

 

ガイアのピンチを前に何も出来ない自分の無力さに苛立った藤宮は近くの湖に投げ付ける。

 

しかし、藤宮はすぐに冷静になる。

こんなことをしても何の解決にならないことは藤宮自身もわかっているのだ。

 

 

藤宮「…?」

 

 

ただ、この状況をただ黙って見るしかないのかと悔しく思った矢先、湖面を奇妙な点に気付いた。

湖面ではXサバーガとそれに追い詰められるガイアが映っているが何故か1体しか映っていなかった。

すぐさま顔を上げて地上を見ると、やはりXサバーガは3体いた。

 

湖面と現実を見比べて、Xサバーガは全部本物ではなくあくまで分身で、本物はガイアの右隣にいることを突き止めた。

 

 

藤宮「あいつが本物かっ!」

 

 

そうと分かると否や、藤宮は右腰に装着していた爆弾を外し、起爆スイッチを起動させる。

 

 

藤宮「わあぁぁぁぁーーーーーっ!!」

 

 

渾身の叫びをあげながら藤宮はXサバーガ目掛けて力強く投球する。

 

 

ドォォンッ!!

 

 

放り投げられた爆弾はXサバーガの背中に直撃すると、たちまち大爆発を起こした。

 

 

 

藤宮「っ!」

 

 

その爆風に巻き込まれた藤宮は大きく吹き飛ばされる。

 

 

Xサバーガ「ピシュッ!?」

 

ガイア「…?」

 

 

藤宮の渾身の一撃を食らったXサバーガは苦痛の叫びをあげる。よほど堪えたらしく、分身体は全て消滅していた。

突然の爆発に疑問に思ったガイアは爆弾が投げられた方へ目をやる。

 

 

ガイア「藤宮!?」

 

 

爆風で吹き飛ばされた藤宮は岩に体を打ったのか意識を失っていた。

それを見たガイアは藤宮を危険な目にあわせた自分の不甲斐なさ、藤宮を絶望させて殺そうとしたXサバーガへの怒りを爆発させる!

 

 

ガイア「僕は…っ!許"さ"ん"ッ!!」

 

 

怒りの叫びをあげたガイアは素早くヴァージョンアップポーズをとると、赤い輝きと共にスプリームヴァージョンへ姿を変えた。

 

 

ガイア「デヤッ!!グアッ!」

 

 

ガイアは力強いファイティングポーズを取ると、地面を蹴って駆け出すと、その勢いで跳躍し、倒れこみの右回し蹴りを顔面にくらわせる。

スッテンコロリと綺麗に倒れたXサバーガ。だが、ガイアの攻撃はここからが始まりだ。

 

 

ガイア「ダッ!」

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

ガイア「ダッ!!」

 

ドォンッ!

 

 

ガイアはXサバーガの喉元を蹴り上げて起き上がらせると、両手で頭を強引に掴む。

そして、そのまま軽く走って勢いつけると、プロレスのフェイスクラッシャーの様な技を炸裂する。

 

ガイアは間髪入れず体勢を入れ替え、頭を掴んで無理矢理起こさせる。

未だ朦朧としているXサバーガに掴みかかり、グルグルと回りながら移動し

 

 

ガイア「ダァァァァァーーーーーー…!トアッ!!!」

 

ドォンッ!

 

Xサバーガ「クァァァ~~!?」

 

 

巴投げの要領で反対の地面へ投げ付ける。

背中から地面に叩きつけられた衝撃にXサバーガは苦痛の叫びをあげる。

 

Xサバーガは反撃にとふらふらしながら左手のドリルで突き刺そうとするが、ガイアにガシッと掴まれて止められる。

 

 

ガイア「デヤッ!」

 

ドォンッ!

 

 

ガイアはそのまま足を引っかけて、倒れる勢いを利用して反対の地面へ思いっきり投げ付ける。

それでもなお、Xサバーガは諦めずに立ち上がるが

 

 

ガイア「デュアッ!!」

 

Xサバーガ「クァァァ~~…!」

 

 

ガイアの強烈な右ラリアットをくらい、またもやスッ転ばされる。

その隙にガイアは両手でしっかりと尻尾を掴むと、腕を駆使してXサバーガを回し始めた。

 

 

ブォンブォンブォンブォンブォン…!

 

ガイア「グアァァァァァァァァァ………!」

 

Xサバーガ「クァァァ~~~……」

 

 

ガイアは一切容赦せず、力強く回し続ける。

その慈悲の欠片もない攻撃にXサバーガは平衡感覚を失い、声も弱々しくなっていた。

 

 

ガイア「グアッ!!」

 

ドォンッ!

 

 

ひととおりぶん回したガイアはXサバーガを投げ飛ばす。

勢いよく飛んでいったXサバーガは地面を何度もバウンドしながら転がっていく。

 

 

Xサバーガ「ピシュッ!」

 

 

それでも立ち上がったXサバーガは翼を広げると、ガイアへ突進攻撃を仕掛ける。

これ程痛め付けられてもなお戦おうとするとは流石ワームホールの番兵である。

しかし、そんな攻撃はガイアには通用しない。

 

 

ガイア「ダァァァァァーーー!!」

 

Xサバーガ「クァァァ~~!?」

 

 

向かってくるXサバーガの顔面にガイアはカウンターでエネルギーによって真っ赤に染まった右拳を突き刺し、大きく後方へ吹っ飛ばす。

Xサバーガはまたもや地面とキスするはめになった。

拳の威力と突進の勢いもあってXサバーガの顔面は押し潰したペットボトルの様にぐにゃぐにゃに潰れていた。

 

 

ガイア「デュアッ!デヤァァァァーーーッ!!!!!」

 

 

その隙にガイアは天高く跳躍すると、右足を突き出したキックポーズを取った。

足先がエネルギーによって赤く染まり、急降下を利用したガイアの必殺技『スプリームキック』を放った!

 

 

ドガガガガァァァァァァァァァンッッッ!!!

 

 

スプリームキックが炸裂したXサバーガは断末魔をあげる間もなく爆発四散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢「ふぅ…」

 

 

戦いを終えたガイアは光になると、我夢の姿へ戻る。

しかし、今回の敵は相当堪えた為、我夢はくたびれた様に息を吐く。

 

 

藤宮「我夢…」

 

我夢「藤宮」

 

 

すると、湖の反対側から藤宮の声が聞こえ、我夢はそちらへ顔を向ける。

体をあちこちぶつけて苦しそうにする藤宮だが、命には別状なさそうである。

藤宮は息を荒げながら話す。

 

 

藤宮「はぁ、はぁっ!エネルギー分析では完璧に再現できたはずだった…!」

 

我夢「それでわざと…」

 

藤宮「どうしてェ!俺を助けたりした!」

 

 

藤宮は声を荒げて問いかける。

あのまま見捨てていても状況は変わらないはずなのにどうして助けたのか、自分を傷つけた相手を助けたりするのが藤宮には理解できなかった。

――どうせならそのまま死ねれば良かったのに…。そんなことを考えていると、我夢は眉間にしわを寄せて言い返す。

 

 

我夢「甘ったれるな藤宮!そんな償い方だなんて、誰も求めていない!君を心配してくれる人はちゃんといるのに……どうしてそれをわかってやれないんだ?」

 

藤宮「…」

 

 

心配する人―――。それを聞いて藤宮の脳裏に1番思い浮かんだのはイリナだった。

出会いこそ最悪だったが自分を理解してくれ、誰よりも傍にいようとした彼女のことを…。

 

 

藤宮「っ」

 

 

しかし、藤宮は振り払うと、おぼつかない足取りで立ち去っていく。

我夢は去り行く藤宮の後ろ姿を心痛な面持ちで見つめ、こう呟いた。

 

 

我夢「もう、僕らには戦う理由なんて何もないんだよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四之宮「よう」

 

藤宮「…っ」

 

 

我夢と別れた藤宮は苦痛で顔を歪ませながらふらふらと歩いていると、道中でニタニタと笑う四之宮に出会った。

ピタリと一瞬止まった藤宮だが、すぐに目線をそらすと四之宮を無視して歩み続ける。

 

 

四之宮「随分無茶なことをするんだな。あんな巨大な敵を相手に」

 

 

四之宮の横を通り過ぎた時、四之宮が呆けた口調で話しかける。

確かに四之宮の言ってることは間違いない。ウルトラマンの力を失った今の藤宮では太刀打ちできる程、破滅招来体は甘くない。

だが、藤宮はジロリと四之宮を睨み

 

 

藤宮「……俺の体だ。どうしようか勝手だ……。俺に構うなっ!」

 

 

そう言い放つと、藤宮は歩くペースをあげて反対方向へ歩き去っていく。

藤宮は自分の償うのを諦めろと四之宮から言われた気がしてならなかったからだ。

 

四之宮はクルリと振り向き様にジャグラー魔人態に姿を変えると、藤宮を見据え

 

 

ジャグラー「ンッフッフッ……素直に聞いとけばいいものを。困った小憎だよ、全く」

 

 

そう悪態をつくと、ジャグラーは闇を纏って何処かへ消えていった。

 

 

 

 




次回予告

怪獣によって大勢の部下を失った男。
今地底に眠る一匹の怪獣に先制攻撃が…!

次回、「ハイスクールG×A」
「大地裂く牙」
ガイアよ。今、君にできる事は何なんだ?



D×Dのキャラにパワーアップアイテムを授ける?

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