二面鬼
再生怪獣 ダイゲルン 登場!
深夜。
我夢達が曹操率いる英雄派と二条城にて死闘を繰り広げている頃、人里から遠く離れた場所に位置する『宿那山』に登山服を着た2人の男が懐中電灯を歩いていた。
やぶや木々をはね除けながら、刈り上げの男は前方を歩く眼鏡の男に話しかける。
「おい、本当にこっちで合ってるんだろうな?」
「知らないよ。初めて来るし……」
「はあ!?だから言ったじゃねぇか!こんな舗装もしてない山を歩くのはよそうって……!」
眼鏡の男の言い分に悪態をつく刈り上げの男。
どうやら登山に来たはいいものの、帰り道がわからず迷ってしまったようだ。
「わからんわからんであっちこっち行って無駄歩きして、気付けば夜になってる!おまけに電波も届かないときた!お前を信じた俺が馬鹿だったよ!」
「はいはい!悪ぅございやしたね!」
反省の色を見せない態度に頭にきた刈り上げの男は前へ出ると、眼鏡の男に肩に掴みかかる。
「はぁ!?てめぇ、いい加減にしろよ!誰のせいだと思ってるんだ!」
「ホイホイ簡単に着いてくる方も悪いんだ!俺だけの責任じゃない!」
「ふざけんなっ!こんまま山に埋めるぞっ!」
「やってみろぉ!!」
顔を真っ赤にして吠え合う2人は互いの胸ぐらを掴んで取っ組み合いになる。
このまま殴り合いの喧嘩が始まろうとした矢先だった。
───鵜留徒羅万鶏芽ー目茶繰茶御喪視呂異……
「っ!?」
眼鏡の男の脳裏に呪詛のような念仏を唱える数人の男女の声が聞こえる。
目を丸くした眼鏡の男は胸ぐらを掴む手を離して周りを見渡すが、近くには誰もいない。
「……おい。どうしたんだよ?」
「何か聞こえないか?ほら、念仏みたいな声が……」
「はあ?気味悪いこと言うなよ。俺の耳にはなーんも聞こえないし、こんな山に人なんかいるわけねぇだろ」
不可解な顔を浮かべる刈り上げの男を見て、眼鏡の男は察する。
この声は自分しか聞こえないと。
ブツブツと低い声音で呟く不思議な声は今なお眼鏡の男の耳に響いている。
───佐火模外冠斗九間持干社……
「……」
突如、何を思ったのか眼鏡の男は何処かへ導かれるように歩き出した。
手に持っていた懐中電灯を落とし、暗闇に包まれた山道をスタスタと歩いていく。
「あっ、おい!?どこ行くんだよ!!」
突然の行動に刈り上げの男は落とした懐中電灯を拾い上げ、急いで後を追う。
植物が生い茂げ、最早人が通らないであろう山道を眼鏡の男は平然と歩いていくと、拓けた場所に着いた。
草木はこの場所を避けるように生えておらず、中心には錆び付いた鎖で厳重に扉を閉ざした古びた御堂がポツンと佇んでいた。
「……祠?何でここに……」
ガチャ…ガチャ…
「あっ!おい、大丈夫かよ?」
疑問を口にする刈り上げの男をよそに祠に近付いた眼鏡の男は扉の施錠を強引に外しにかかる。
祠から漂う得体の知れない不気味さに刈り上げの男は心配そうに声をかけるが、眼鏡の男は無視して黙々と作業を続けて施錠を外すと、扉を開く。
キィィィ……
扉は木材が軋む音を立てながらゆっくりと開くと、埃やクモの巣だらけの暗闇の空間が広がっていた。
「な、なあ…」
青ざめた刈り上げの男は中へ入ろうとする眼鏡の男を止めようとする。
理由は簡単で、御堂の壁には魔除けの札と思われるものがあちこち貼られていたからだ。
眼鏡の男は怯える刈り上げの男へ振り向く。
「……平気。ちょっと見るだけだから」
「……お、おう。早くしろよ」
そう言った眼鏡の男は祠の中へ入っていく。
その声に刈り上げの男はどこか生気が無いように違和感を感じていたが、御堂には入りたくないので待つことにした。
御堂に入った眼鏡の男は暗闇に目を凝らす。
正面に設置されている祭壇には40センチ程の武神像が奉られていた。
気になる眼鏡の男はつまずかないように慎重な足取りで武神像のもとへ近寄る。
「?」
その道中、武神像が奉られている段の下に何か細長いものが置かれているのに気付いた。
気になる眼鏡の男はポケットからスマホを取り出し、ライト機能でそれを照らした。
「刀?」
その細長い物体は鞘に納められた日本刀だった。
眼鏡の男には刀に関する知識は無いのだが、大切そうに台座へ飾られていることから、余程の大業物であることが伺えた。
───とれ……とれ……
刀を眺めていると、眼鏡の男の脳裏に先程の不気味な声が聞こえる。
囁くように話すその声は先程と違って明確に刀を取れと指示を出していた。
声の指示に従った眼鏡の男は両手で刀を手にした。
「うッ!?」
刀はずっしりと男の両手にのしかかった。
大量の広辞苑を持つくらい重く、下手すれば手だけでなく、腰や肩もただじゃ済まないかもしれない程だ。
それでも男は歯を食いしばって耐えながら、しっかり柄を握り、上へ引っ張る。
すると刀は難なく鞘から抜け、刀身が露となる。
「おお……」
その刀は美しかった…。
何十年、何百年と前のものであるにも関わらず錆一つ無く、鏡のように男の顔を映しており、扉から僅かに差す月の光によって照らされた刀身は美しい光を放っている。
眼鏡の男は刀には詳しくなく、興味すら無いが、この刀はそんな彼でも一目惚れする程あまりにも美しかったのだ。
眼鏡の男が刀に見惚れていると、外にいる刈り上げは声を震わせながら声をかける。
「お、おい…!もう終わったんなら帰ろうぜ!気味悪いよ、ここ!」
「ん?ああ……」
立ち去るのを催促する刈り上げの男に眼鏡の男は気のない返事を返す。
鞘を近くの草むらに捨てた男は刀を手に御堂を出ると、再び扉を閉めた。
程なくした頃だった。静寂に包まれた暗闇の中で男の断末魔が鳴り響いたのは……。
「大変です!京都駅付近にもののけの類が!!」
アザゼル「何だと!?」
深夜2時。京都妖怪からの報せにより皆に緊張が走った。
曹操との戦いが終わり、八坂の計らいで裏京都でくつろいでいた我夢達にとってはせっかくのゆとりの時間も費えてしまった。
八坂「弱々しいが、確かに邪な気を感じるの……」
火急の報告に京都の御大将────八坂は不快そうな面持ちを浮かべながら呟く。
京都中の気を総括する八坂が言うのだから、間違いないだろう。
アザゼル「我夢!京都駅付近の監視映像を出せるか?」
我夢「はい!映像、出ます!」
アザゼルが指示を出すまでもなく準備していた我夢は素早く手元のノートパソコンを操作する。
キーボードを打ち込むと、ノートパソコンのカメラから監視カメラの映像が映画のスクリーンのように投影された。
『!?』
木場「あれはッ!?」
映像に注目した次の瞬間、我夢達はそこに映る存在に絶句した。
暗闇に包まれた街中を逃げ惑う人々の反対側にそびえるのは────
我夢「ガンQ!?」
そう、かつて我夢────ウルトラマンガイアが以前戦った強敵・ガンQだった。
駒王町付近の石油コンビナートで戦い、精神的に苦しめながらも何とか倒した筈だが、今、目の前でこうして蘇っている。
だが、以前倒された影響なのか特徴的な大きな目玉は潰れており、そこから青黒い血液がただれ落ちている不気味な姿に成り果てていた。
全体的に腐ったトマトを彷彿させる姿はまさにゾンビというのが正しい。
イリナ「うぇ…気持ち悪い……」
アーシア「前よりもおぞましいです……」
その変わり果てた風貌にイリナとアーシアは顔を引きつらせる。イリナに至ってはわずかに吐き気が催し、口元を手で押さえている。
一誠「アイツは我夢が倒したのに…!」
我夢「奴は生物が生きる上で必要な条件を満たさない……科学的に解明できない『不条理の塊』だ。生き返ってもおかしくないのかもしれない」
疑問を浮かべる一誠に我夢はそう仮説立てて説明する。
不条理の塊であるガンQに対して何でいるのかとか、何で蘇ったのかといちいち気にしたところではっきりとした結論には結びつかないのでここでバッサリと断ち切るのが適切だろう。
『わあぁぁぁーーーーーー!!』
ガンQ「グォォォ………」
一同がガンQの出現に気を取られる中、ガンQは逃げ惑う人々に向かって目から紫色の光線を放つ。
光線を受けた人々は糸が切れた人形のように次から次へと倒れていく。
その奇怪な光景に察した木場は僅かに顔を強張らながら、呟く。
木場「今度のガンQは、人の魂を吸収するみたいだね……」
一誠「マジかよ…」
木場「多分だけど、今のガンQは以前ほどの力はない……。生者の魂を取り入れることで身体を構成させようとしているんだと思う」
ポカンと口を開ける一誠に木場は仮説立てて説明する。
他の皆も同じ意見で、厄介な能力……我夢やアーシアにとっては以前の方がまだ可愛いレベルである。
ゼノヴィア「だとしたら、これ以上野放しにするのは危険だ!」
イリナ「うんっ!私達で止めに行かないと!」
アザゼル「その必要はないみたいだぞ」
そう言ったゼノヴィア筆頭にガンQのもとへ急行しようとする一行をアザゼルは冷静な一言で制止する。
どうしたと疑問の顔を浮かべる一行にアザゼルがじっと見ているモニターへ目をやると、突如、ガンQは蜃気楼のように消えた。
我夢「消えた……?」
我夢は思わず言葉を漏らす。
目的を達成したのか?それとも自分達が動き出そうとしていたのかわかって退散したのか?
しかも存在理由そのものが不明なガンQの行動なので気味悪いものである。
登場して間もなく消えたガンQの不可解さに皆は茫然とする中、我夢達に顔を向けたアザゼルは口を開く。
アザゼル「……とりあえず、消えたガンQの行方は俺達に任せろ。情報だけでも掴めるかもしれねぇからな。お前達今夜はホテルでしっかり休んで、体力を万全にしておけ」
『はい!』
アザゼルの指示に我夢達は返事をする。曹操との戦いで我夢達は体力を消耗しており、相手の手の内がわからない以上、捜査に参加するのは得策ではないだろう。
我夢「大悟?大丈夫か?」
ひとまず一誠達とホテルへ戻ろうとする中、部屋の端で黙りこくっている大悟へ話しかける。
御殿に戻ってきてから先程まで、大悟はずっと沈黙しており、話しかけても空返事ばかりだった。
流石に心配させすぎだと考えたのか、大悟は爽やかな笑顔を浮かべる。
しかし、その双眸は迷いの色が見えていた。
大悟「……ははっ!何でもないよ。僕も眠いかもな~。もう遅いから、寝るよ。また明日ね」
我夢「あ…」
大悟は矢継ぎ早に話すと、我夢が話す間もなくそそくさと御殿の奥へ歩き去っていく。
平常と思えない行動に心配そうな顔を浮かべる我夢の周りに一部始終を見ていた一誠達も集まる。
アーシア「大悟さん。どうしたんでしょうか?」
一誠「気持ちの整理が出来てないんだろうな……」
アーシア「気持ちの整理、ですか?」
訊き返すアーシアに我夢は一誠に変わって我夢が説明する。
我夢「僕やイッセー、そして藤宮は自らの意思で光を手にした。でも、大悟はそうじゃない。
アーシア「力を手にして……」
現在の大悟の心情を聞いたアーシアは共感出来た。
彼女も唐突に
アーシアの場合は元来持つ優しさで能力の意義を保っているが、大悟の場合はまた違うのだ。
我夢「でも、僕は信じている。彼が一緒に戦ってくれることを……」
それでも我夢は大悟を信じていた。きっと隣で戦ってくれることを。
信頼を見出す言葉に一誠もうんうんと頷いた。
我夢達と別れた大悟は御殿内に広がる廊下を歩いていた。
出来るだけ誰かと会うのは避け、複雑な気持ちを胸に急ぎ足で角という角を曲がっていき、客人用として使わせてもらっている寝室に駆け込むように戻った。
広さはおおよそ四畳半の和室の人一人が寝泊りするくらいだ。
しかも、従者が気をきかせてくれたのか灯りと布団が引かれてあった。
襖を閉めた大悟は「ふぅ」と息を吐いて気持ちを落ち着かせると、どっかりと腰を下ろした。
大悟はくたびれたのだ。
戦いに巻き込まれたというのもあるが、それを上回る事実が疲弊の大半の原因だった。
大悟「(あの夢で……。ユザレが告げていたことは本当だったのか……?)」
京都に訪れる前、大悟は夢を見た。
3000万年前の地球でのウルトラマンと闇との争い。闇を消し去ったウルトラマンに感謝する超古代人。
そして、夢の中でユザレに告げられたのだ────。大悟がウルトラマンであると。
最初は嘘だと思っていた。3000万年前の人間が現れるのだから、それこそ信憑性が薄いただの夢だと。
しかし、実際どうだろうか。京都に訪れてから、夢で出会ったユザレがタイムカプセルの映像という形ではあるが再会。
果てには『ウルトラマンティガ』にも変身した。
大悟は頭を抱える。
大悟「どうして、僕に力を……」
大悟は迷っていた。今まで普通だと、ただの人間だと思っていた自分が超古代人の末裔────ウルトラマンの資格があることに。
ウルトラマンの話は旅の中で耳にしているがなりたいと思ってはおらず、ヒーローになるつもりもない。
しかも、戦うことが嫌いであるのに戦う力を授けられたのだ。望んで手に入れた訳ではない大悟にとっては、複雑な心情を生むことは容易いことだった。
ユザレ「大悟……またの名をウルトラマンティガ」
大悟「ッ!?」
黙々と悩んでいる最中、ふいに声をかけられた大悟は飛びのくように立ち上がる。
自分しかいない筈の部屋から声をかけられた方へ顔をやると、フォログラムで投影されているユザレの姿があった。
しかし、記録されている映像の筈なのにフォログラムのユザレは意思があるように見え、投影媒体であるタイムカプセルがどこにも見当たらない。
大悟「君はフォログラムじゃないのか?」
ユザレ「これはフォログラム……。でも、末裔だけに聞こえるプログラムを施した人工知能が組み込まれてある」
大悟の疑問に淡々と口調で答えるユザレ。
とても3000万年前とは思えない卓越した技術力に驚く大悟だが、何故現れたのかを問いかける。
大悟「どうして僕に……」
ユザレ「あなたがウルトラマンティガだから──」
大悟「違うっ!僕はウルトラマンティガじゃないっ!!長野 大悟だっ!!」
淡々と答えるユザレの声を遮るように大悟は大声で否定する。
大悟は認めたくなかったのだ。自分がウルトラマンであることに。
しかし、大悟に怒鳴られてなお、ユザレは全くペースを崩す気配を見せず、淡々と話し続ける。
ユザレ「大悟のDNAには我夢と一誠と同じ、古代の英雄戦士の情報がプログラミングされている……」
大悟「何……?」
ユザレ「危機的状況に追い込まれたとき、額に輝く紋章────『ティグの紋章』が何よりもの証拠。超古代の戦士達は危機的状況に陥ると、ウルトラマンに変身せずともその光を発揮できる能力を持っている。これは
ユザレの言葉に大悟は息を呑む。
一瞬記憶を失う程の力が何となく自分にあるのではということは周りの話や体のだるさから薄々勘付いていた。
しかし、認めたくない気持ちがある強い分、認めざるを得ない気持ちが同じくらいあったのだ。
ユザレ「そして、大悟が持つスパークレンスこそが、大悟がウルトラマンティガたる英雄の証……」
続け様にユザレに言われた大悟は懐からスパークレンスを取り出す。
ティガの胸元のプロテクターを模した飾りはクリスタルのように透き通っており、部屋の灯りを受けて美しく輝いていた。
大悟「こんなもんっ!!」
苛立った大悟はスパークレンスを床に叩きつける。
叩きつけられたスパークレンスは軽い音を立てて畳の床を転がっていく。
肩で息を震わせた大悟は鋭い目でユザレを見つめる。
大悟「大体君達は、あんなに高度な文明に築き上げながらどこへ行ったんだ?!」
ユザレ「……ある者は滅び、ある者は他の土地へ向かった」
大悟「あんなに沢山の巨人がいたのに君達を護ることが出来なかったのか?!」
大悟は疑問を投げかける。夢の中で出てきたウルトラマンは沢山おり、少なくとも100人以上はいた。
それなのにどうして忽然と姿を消し、文明は滅んでいった。
この不可解な点にユザレは
ユザレ「ウルトラマンは人類の選択までには干渉しない……何故なら、彼らは“光”だから……。でも、大悟は別。あなたは“光”であり、“人”である。それは我夢も一誠も同じこと……」
しっかりと眼を見つめ、答えた。────“光”であり、“人”である。
大悟はしばらく考えた後、投げられた言葉の意味を問いただそうとするが、ユザレの姿は何処にもなかった。
九重「大悟……」
茫然と立ち尽くす大悟を襖から覗いていた九重は困惑した顔を浮かべる。
いつも笑顔で明るい大悟が悲しそうな顔をしているのを見て、九重も心配だったのである。
複雑な気持ちを胸に抱いたまま、各々、朝に備えるのだった。
早朝。我夢、一誠、イリナの3人は捜査の為、宿那山の山中を歩いていた。
一夜かけて得たアザゼルの情報と八坂の話を基にガンQの行方の手がかりとなる、祠へと向かっていた。
ちなみに他の面々は街中で調査している。
一誠「しっかしよ~。ガンQの正体があるなんて、思いもしなかったよな~」
我夢「僕もだよ。科学的には証明できないものには変わりないけどね」
道中、頭の後ろで手を組みながら隣を歩く一誠に頷く我夢。
想像すら出来なかったガンQの正体。その目的。
我夢は朝早くから招集された裏京都での会話を思い出す……。
(我夢「
疑問が混じった我夢の声にアザゼルは頷く。
八坂の御殿に一同(勿論、匙達もいる)は集まり、調査の報告を受けていた。
ちなみに大悟はこの場にはいなかった。
ウルトラマンの光を得た彼だが、まだ協力してもらうとは本人から口にしていないので、無理に参加させるのは酷だと判断した為だ。
(アザゼル「約500年前、戦国時代の呪術師だ。これはこの御殿の倉庫から見つかった魔頭本人が描き残した古文書だ」)
そう言うと、アザゼルは手に持っている巻物の封を解くと、床に広げる。
古ぼけた用紙に様々な墨絵がところ狭しに描かれていた。
皆が食い入るように寄って見る中、アザゼルに変わって八坂が説明する。
(八坂「私の遠い先代が残したこの古文書によると、何百年も前にコッヴの襲来を預言している。それも何年、何日、場所に至るまで正確にじゃ」)
古文書にはコッヴが地球に襲来した際に入っていた黒曜石状の隕石やゾーリム、根源的破滅招来体の名も描かれていた。
(八坂「魔頭は呪術の力で並みいる戦国武将を暗殺し、着実に地位を手に入れていった……。じゃが、それだけに飽きたらず、
(我夢「宿那鬼?」)
(八坂「魔頭と同時期に日本各地を暴れ回った残虐非道、山ほどの巨体を持つ鬼神じゃ。市街地にある宿那山はその鬼神の名から取られておるのじゃ」)
八坂の話を聞き、我夢は旅行前、ネットで調べた京都の地図にそんな名前の山があるのを思い出した。
(八坂「魔頭と宿那鬼は恐怖に満ちた自分だけの楽園を築こうとした。じゃが、剣豪・『
(木場「師匠から聞いたことがある……。日本各地を周り、悪業を働く妖怪達を退治していって剣豪がいたって」)
八坂の話から出た錦田小十郎景竜という名前にピンと思い出した木場は自然と口に出していた。
アザゼルもほんの昔───人間とっては大昔に耳にしたことはある名前だと思い出していた。
(八坂「退治された宿那鬼は景竜によってバラバラに切り裂き、宿那山のあちこちに身体を埋め、山の中腹部に御堂を建て、景竜の刀と共に封印された」)
(アザゼル「しかし、魔頭の方は自害をする寸前、最後の呪術を施した。破滅招来体の力をも利用して復活し、世界を乗っ取ろうと……」)
(我夢「ッ!?これは……」)
八坂、アザゼルがたて続けに説明する中、古文書を見ていた我夢はそこに記されている絵に目を丸くする。
釣られた一誠達も我夢の視線の先を見て、同じ反応をする。
驚く我夢達にアザゼルはこう返す。
(アザゼル「それが、魔頭だ」)
目を真ん丸にする我夢の視線の先。
そこに描かれているものは青い瞳を持つ目玉の化け物───ガンQだった。
(我夢「ガンQ……」)
ガンQの正体に驚きの声を漏らす我夢。
呪いの産物であるなら、初めから科学的に証明すること自体、不可能だったのである。
(アザゼル「御堂を調べたところ、刀は持ち去られていた。詳しいことはわからんが、奴の目的は人々の魂を使い、自身と宿那鬼を完全復活させることだろう。刀は魔頭が持っている可能性がある。お前達には早速、魔頭の行方を追ってくれ」)
『了解!』
アザゼルの指示を受けた一同は一斉に返事を返すと、詳しい指示を訊き、各々の持ち場へ解散した。
イリナ「あっ!あれが御堂かな?」
そんなことを思い出しつつ、しばらく3人は歩きながら会話していると、イリナは斜め前を指差す。
指差す方角に進路を変え、下り坂を慎重に降りて歩いていくと、古ぼけた御堂が見えた。
3人は祠に近付く。
イリナが扉の取っ手を引っ張ると、扉はギィ…と木が擦れる音を立てながら開いた。
一誠は「よし」と手を叩くと、
一誠「じゃあ、何か手がかりになりそうなもんを探すか!俺はこの中探すから、お前らはその周辺を探してくれ」
イリナ「うん!」
我夢「わかったよ」
一誠の指示に返事した2人は御堂周辺を探し始める。
草むらをかき分けながら地面を歩く蟻が見える程目を凝らして探していく。
イリナ「?」
捜索を続けていると、イリナは草むらの中から金具が付いた細長い物体を見つけた。
拾い上げると、その物体は日本刀を収める鞘だった。
そう、眼鏡の男が捨てた景竜の刀の鞘である。
イリナ「ねえ、これっ───ッ!?」
我夢と一誠に声をかけようとするイリナだったが、突然声をかけるのを止めた。いや、出来なかったのだ。
体が金縛りにあったように硬直し、口を動かすだけでなく、声をあげることすら出来なかったのだ。
イリナは他の2人に何とか助けてもらおうと体を必死に動かすが、ピクリともしない。
この異常事態に四苦八苦する中、ふとイリナの脳裏に男の声が聞こえてくる…。
──────そち、聞こえるか?
イリナ「(だ、誰!?)」
───拙者は錦田小十郎景竜。この日本を放浪し、悪事を働く物の怪を退治していた者だ
イリナ「(景竜って、あの……!)」
それを訊き、イリナは自分に語りかけてくる男の声の正体が景竜の幽霊であることを理解した。
───亡者となった今では身動きがとれん。失礼だがその身体、借りるぞ
イリナ「(え?ちょっ、やっ!んん…ッ!)」
イリナの返事を待たず、景竜はイリナに憑り依き始める。
侵入を拒もうと抗うイリナだったが、金縛りにあっている彼女には勝ち目はなく、あっという間に憑依された。
その頃。一誠と我夢は一旦調査を切り上げ、中間報告をしていた。
一誠「我夢。あったか?」
我夢「いいや。それらしいのは見当たらないよ。そっちは?」
一誠「全然。あるのはクモの巣と御札だけ。現場に跡は残るってアザゼル先生が言ってたけどなぁ……」
はぁと息を吐く2人。くまなく探していた2人だったが、行方の手がかりらしいものは一向に見つからないでいた。
朝早くということもあり、正直のところ、今すぐにでも寝たい状況であった。
一誠「あ。イリナ」
そんな話をしていると、一誠が鞘を肩によっからせたイリナがこちらへやってくる姿を目にする。
しかし、いつもと違ってどこか歩き方が男っぽかった。雰囲気もまるで別人のように感じた。
違和感を感じる我夢と一誠だったが、手に持っている鞘が気になり、イリナに駆け寄る。
我夢「イリナ。その鞘は一体───!?」
我夢が話しかけながら近付こうとした瞬間、イリナは勢いよく鞘を振り下ろした。
驚きつつも我夢は間一髪のところでバックステップでかわした。
我夢「あ、危ないじゃないか!」
一誠「イリナ!どうしたんだよ?!冗談やってる場合じゃ──」
突然襲いかかってきたイリナに我夢と一誠は抗議しようとするが、次の瞬間、言葉を失う。
目の前にいた筈のイリナが何故かちょんまげを携え、侍の格好をした50歳くらいの男性の姿になっていたからだ。
幻覚かと疑った2人は目を擦ったが、目の前の状態は一切変わりがない。
唖然とする2人に侍───景竜は警戒心を抱きながら話しかける。
景竜「……お主ら、人では無いな?物の怪……?しかし、邪な気が感じられん。御無礼。平にお許しを」
敵ではないと判断した景竜は鞘を腰元に収めると、ペコリと頭を下げる。
すると、再びイリナの姿に戻った。
何が何だかわからない我夢と一誠だったが、とりあえず目の前にいるイリナに憑依した景竜に訊いてみることにしてみた。
我夢「あの……どちら様で?」
イリナ(景竜)「この娘はお主らの友の様だな。拙者は錦田小十郎景竜。既に肉体が無いので借りておるだけだ。しかし、ちと肩が凝るのが難点だが仕方あるまい」
一誠「錦田小十郎景竜?……本当にィ?」
半目で問いかける一誠に「本当だ」と返すイリナ(景竜)。
にわかに信じられないことだが、今まで自分達が体験したことを思えば起きないということは無いので景竜の霊がイリナに憑依したことはわかった。
2人が状況を整理して落ち着かせていると、イリナ(景竜)は語り出す。
イリナ(景竜)「拙者は生来、物の怪を見極める力を持っておってな……。その為、一生、物の怪退治に明け暮れた。宿那の鬼も魔頭もそうじゃ」
我夢「魔頭も、物の怪ですか?」
イリナ(景竜)「如何にも。物の怪は必ずしも異形の姿をしている訳ではない。
イリナ(景竜)の語る話にうんうんと頷く我夢と一誠。
特に“人も心の闇に蝕まれば闇となる”───この言葉はやけに2人の胸に響いた。
景竜「何を呆けておる?置いていくぞ」
「「あ」」
2人がひっかかるその言葉の意味を考えてようとしていると、いつの間にかイリナ(景竜)はまた景竜の姿になり、下山しようと声をかける。
それに気付いた我夢と一誠は意識を現実に戻すと、スタスタと歩いていく景竜の後をついていく。
景竜は歩きながら話の続きをしていく。
景竜「宿那の鬼を討伐した拙者は四肢と首を切り落とし、それぞれを分散して埋めた。そして、心の臓がある胴体を埋めた地に祠を設けた。今は無いが、心の臓を妨げる刀を置いてな」
我夢「……つまり、その刀を魔頭が持ち出したが為に封印が解かれようとしていると?」
景竜「如何にも。だが、奴は知っていたのか人を操り、刀だけを盗ませた。幸いにも鞘が残ったので拙者はこの鞘を通して娘の体を借りさせている。心の臓が蘇る前に奴から刀を取り返し、元の位置に戻さねば…!」
景竜の言う通りなら、魔頭が盗んだ刀を取り返さなければ宿那鬼が蘇ってしまう。
こうしている間にも魔頭は人々を襲っているであろうが、我夢は少し疑問に思ったことを口にする。
我夢「でも、どうやって捜すんです?人々の魂を奪う一部始終を見ないとわからないですよ」
景竜「案ずるな。先ほど申したであろう?拙者が生来、物の怪を見極める力を持っておると。それで奴が潜伏している場所を見つけ、刀を取り返す……。それに、奴の企みは生者から抜き取った魂を使い、自身と宿那の鬼の肉体を繋ぎ合わせ、蘇らせようとしているのだろう。生前、奴は死者を現世に蘇らせる術について探求していたと聞く。刀を取っただけでは鬼が復活しようとも四肢は離れたままだからな」
景竜は生前の知識を元に魔頭の目論見を推理する。
つまり、人々の魂はバラバラになった宿那鬼の体を繋ぎ合わせる為と魔頭が肉体を取り戻す為に必要な訳であったのだ。
景竜に対して色々不安なところがあったが、こうして目的を推理し、未だ行方知らずの魔頭の居場所がわかるのはとても心強いものだ。
一誠「ん?そういや、何でトドメを刺さなかったんですか?」
景竜「めんど……いや。何度斬ってもしぶといものだから、封印するのが精一杯だった。いやぁ、面目ない」
「「……」」
謝る景竜だが、そのにこやかな顔から全く反省の色が見られない。それに面倒くさいと聞こえたような…。
彼のいい加減な一面に半目で見る2人だったが、我夢は肝心なことを思い出し、またイリナの姿になった景竜に問う。
我夢「あ!ちゃんと、イリナの体は返してくれるんですよね?」
イリナ(景竜)「………安心せい!事が終わり次第、この娘にちゃんとお返し致す」
一誠「何でちょっと間が空いた?」
絶妙な間を開けて返答するイリナ(景竜)にツッコむ一誠。
その反応に2人は期待が高まるどころか、胡散臭く感じるのであった。
一方、その頃。京都市街の裏路地を1人の男が顔を俯かせながら歩いていた。
ボサボサ髪に眼鏡をかけた青年───深夜、宿那山で迷子になっていたあの青年だった。
だが、どこかその顔は生気がなく、虚ろげな雰囲気を醸し出していた。
ドンッ
「…っ、いって!おい!」
顔を俯かせて歩くものだから道中、すれ違った3人組の不良グループの先頭にいた銀髪の男に肩をぶつけてしまう。
頭にきた銀髪の男はそのまま通り過ぎようとする眼鏡の男の肩を強引に掴んでひき止め、振り向かせる。
銀髪の男、太った青髪の男、ひょろひょろとした体格をした金髪の男。
彼らは以前、イリナに絡み、藤宮にリンチをしたあの不良3人組である。
「おっさん!どこに目ェ付けてあるいとんだぁ、ごらぁ!このジャケット、1万円もすんだぞ?!どうするんだ、こらぁ!」
「こりゃあ、弁償代じゃ済まねぇよな?」
「ごめんなさいね♪運が悪かったってことでね☆」
青筋を立ててキレる銀髪の男、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべる青髪の男と金髪の男はそう言いながら取り囲み、退路を塞ぐ。
3人は指を鳴らしながら眼鏡の男に殴りかかろうとした瞬間だった。
ザシュッ!
「「!?」」
肉が斬り裂かれたような鈍い音が聞こえたかと思うと、突然、銀髪の男は呻き声すらあげず倒れた。
眼鏡の男な何も無い空間から取り出した刀で銀髪の男を右肩から斬ったのだ。
予想だにしなかった出来事に他の2人は一瞬で青ざめ、パニック状態に陥る。
唖然とした顔を浮かべ、腰を抜かしてしまう。
「あ、あわわ……!」
「お、お、俺たちが悪かった!!だから許して!命、命だけは────」
太った青髪の男は命乞いするがそれも虚しく、眼鏡の男に2人まとめて斬られた。
すると、不良3人の体から青白い火の玉──魂が浮き上がると、眼鏡の男に吸収されるように飛び込んだ。
眼鏡の男は3人から魂を抜き取ったのだ。
「まだだ……まだ足りぬ……」
だが、眼鏡の男は目的を遂行したのにも関わらず不服そうに呟く。
眼鏡の男はこれまで、同じ様に通りすがりの人々の魂を抜き取ってきたが、それだけでは本当の意味での目的達成にまでにいってないのである。
ヘビクラ「よぉ。ボチボチやってるようだな」
「ッ!」
どうしようかと悩んでいた矢先、声をかけられる。
声のする方を振り向くと、黒いスーツに身を包んだ青年───ヘビクラが怪しげな笑みを浮かべながら歩み寄ってきていた。
見られたからにはこいつの魂を……。
そう考えた眼鏡の男は近付こうとするヘビクラに向かって刀を振り下ろすが、ヘビクラは咄嗟にジャグラー魔人態の姿に変わると、蛇心剣で受け止めた。
「!?」
ジャグラー「おいおい。随分と手荒な挨拶だな。安心しろ、
魔人態の姿に目を丸くする眼鏡の男だが、軽口を叩くジャグラーの言い分が気になり、刀を下ろす。
それと同時にジャグラーもヘビクラの姿に戻ると、自己紹介を交えて語り出す。
ヘビクラ「俺はジャグラー。通りすがりの風来坊さ。あんたが考えていることはわかる。この世に肉体を手に入れて復活したい……けど、生きている奴らの魂だけじゃ足りない。もっと強い魂が欲しい。そうだろう、魔頭鬼十朗
ヘビクラが魔頭の名を出すと、一瞬のうちに眼鏡の男の姿が変わった。
白髪の頭に隈取りを縁取った目、ポルトガルの渡来人のような格好をした齢50代くらいの男の姿がそこにあった。
そう、この男こそ魔頭鬼十朗幻州である。
眼鏡の男に景竜の刀を盗ませるように唆したのも彼の仕業で、眼鏡の男の体に憑依して周りに溶け込みつつ、生者の魂を集めていたのである。
魔頭「ほう。私の正体だけでなく考えていることまで見抜くとは……」
ヘビクラ「なぁに、簡単さ。あんたと俺はある意味同門だからな」
魔頭「ふむ。確かに私に流れる呪力とお前の持つ闇は通ずるところがある。信頼してもいいだろう」
魔頭は呪術でヘビクラに流れる闇の力が自分と似ていると見抜いた。
ヘビクラの言うことが嘘ではないとわかった魔頭は本題を訊くことにした。
魔頭「して……手助けをするとは言ったが、どんなものだ?」
ヘビクラ「あぁ。それはな……」
ヘビクラは魔頭の耳越しで作戦を伝える。
それを聞いた魔頭はニヤリと笑みを浮かべる。
魔頭「……その手があるか」
ヘビクラ「そうだ。言う通りに動いてくれば、あんたは文字通り完全復活できる。邪魔する奴のことは俺に任せろ」
魔頭「うむ。その策、あえて乗らせて頂こう」
意見が合致したヘビクラと魔頭は怪しげな笑みを交わす。
結託した至上厄介なコンビは動き出したのだった。
九重「大悟!菓子を買ってきたぞ!」
大悟「うん。ありがとう」
その頃、九重と大悟は伏見稲荷の山頂付近の古びた社でくつろいでいた。以前、九重が我夢達を敵と勘違いして襲いかかってきた場所である。
ここに来た理由は暗い顔ばかり浮かべる大悟をみかねた九重が元気になってもらおうと考えたからである。
晴れ渡る空の下で広がる自然溢れる景色を目にしながらお茶と共に菓子をつまんだ大悟は九重に微笑みかける。
大悟「ありがとう……気遣ってくれたんだろ?わざわざ誘ってくれて」
九重「いや、気にするでない。私も色々あって気分転換したかったからの。2人っきりになれる機会に……」
大悟「?」
九重が頬を赤らめてボソボソ話した内容を聞き取れなかった大悟は疑問の眼差しを向けるが、九重は慌てて「何でもない」と話を逸らすと、ティガの話題に変えた。
九重「しかし、驚いたの。大悟がティガだったとは……」
大悟「ああ、自分でも驚いたよ。ウルトラマンは遠い存在だと思ってたけど、まさかそのものになるなんて。……でも、僕は戦いたくないんだ。勇者とか英雄とか言われても、そういうのになるつもりは全く無い。このまま、意味もなく戦っても自分を見失う気がして怖いんだ……」
九重「……」
そう語りながら渋い顔で俯かせる大悟に九重は昨晩のことを思い返す。
昨晩の大悟は珍しく荒れており、とても苦しそうにしていたことを。
──自分が何者かがわからない。それが与えられた力で大悟が苦しむ大元の原因だった訳である。
だが、このまま見ておるだけにはいかない。
幼いながらも決心した九重の口は自然と動いた。
九重「……よくはわからぬが、大悟は変わらないと思うのじゃ」
大悟「え?」
思いがけない言葉をかけられた大悟は顔をあげる。
呆然とした顔を向ける中、九重は話し続ける。
九重「大悟は心優しくて、かっこよくて、穏やかで……何より、母を拐われた私の心を癒してくれたではないか。大悟がいなかったら今、私は生きていなかった……。人間であっても、光の巨人であっても、大悟は大悟のままじゃ!」
九重の精一杯の励ましに大悟は目を見開く。
自分は自分のまま───当たり前に聞こえる言葉だが、迷いに迷っていた大悟の胸には十分に響いた。
簡単なことなのにこんな幼い子供に心配までさせて……大悟はそんな情けない自分を自嘲するように笑う。
大悟「ははは…っ!」
九重「何がおかしい!人が一生懸命絞り出して考えたのに…!」
大悟「ははっ…ごめん、ごめん。別に君を馬鹿にしてる訳じゃない。ここまで気にかけてくれるなんて嬉しいよ。ははっ、ありがとう」
頬を膨らませる九重を大悟は笑いながらも感謝を込めて頭を撫でる。
心を許した相手に撫でられるのは気を害するものでなく、先程まで不機嫌そうにしていた九重も心地良さそうに顔を緩ませ、尻尾を嬉しそうに振っている。
九重の言葉で、大悟の重くのし掛かった肩の荷が心が降りた。
一誠「よお、大悟!ここにいたんだな」
そうしてくつろいでいると、一誠、我夢、イリナ(景竜)がやってくる。
大悟は顔を見合わせると、一誠に訊ねる。
大悟「3人共、どうしてここに?」
一誠「敵の捜索をして、もしかしたらここに───」
イリナ(景竜)「……ふむ、九尾の子か。それに、この青年もお主らと同じ気を持つだな」
大悟「?」
我夢「あ~…実は……」
変な口調で話すイリナに違和感を感じる大悟に我夢はこれまでの経緯を全て話した。
大悟「……錦田小十郎景竜が?信じられないけど、本当っぽいな」
大悟はまじまじとイリナ(景竜)を見ながら呟く。
信じるのも当たり前だろう。大悟には目の前にいるイリナが景竜の姿に見えていたからだ。
それは九重にも同様で、目をパチクリさせていた。
大体の事情がわかった大悟は気持ちを切り替え、景竜に問いかける。
大悟「君達が魔頭の気を探知して追っているのはわかった。それで今はどこに──?」
景竜「もう来ておる」
大悟「え?」
景竜の返答に耳を疑う大悟だったが、景竜が指差す方へ顔を向ける。
木陰から眼鏡をかけた男が現れたかと思うと、男の体はゆらぎ、次の瞬間には魔頭の姿へと変わっていた。
『ッ!』
目の前にいる人物こそが魔頭と確信した我夢達は一斉に身構える。
魔頭は虚空から刀を取り出すと、ゆっくりと歩み寄り、景竜へ話しかける。
魔頭「久しぶりだな、景竜。刀を奪い取った時に魂も消え去ったかと思ったが、よもや生きておるとは。驚いたぞ」
景竜「お前が捨てた鞘を通して一時的に現世に蘇っただけだ」
そう言う景竜を魔頭はおかしそうに鼻で笑う。
魔頭「そんな小娘の体を借りてまで蘇るとは、しぶとい奴だ」
イリナ(景竜)「それはお主も同じことだろう。罪もない者の体を奪い、その手で罪もない人々の魂を次々と奪いよって……。我らは死者だ。この現世にとどまるべき存在ではない。今一度、成敗してくれる!」
魔頭「ええぃ!あの世に返るのはお前だ!私の邪魔を出来ぬよう、ここで始末してくれようっ!」
鋭い剣幕で吠えた魔頭はパンッと両手を合わせる。
すると、周囲の地面が盛り上がると、中からボロボロの甲冑を纏った武士や足軽の格好をした死人達が現れた。
取り囲まれた我夢達は各々の武器を取り出し、背中を合わせる。
『ア″ァ″ァ″ァ″~~!!』
一誠「くそっ、目玉お化けの次はゾンビかよ!30くらいいるぞ!」
景竜「戦国の世に散った屍を呪術で傀儡にしておるのか。相変わらず趣味が悪い……」
我夢「みんなっ、来るぞ!」
我夢が叫ぶと同時に魑魅魍魎の死人達は一斉に襲いかかってきた。
我夢はジェクタ-ガン、一誠はシグブラスター、景竜は素手で立ち向かっていく。
その間、戦いの邪魔にならないよう、九重を引き連れた大悟は御堂の近くで身を潜めた。
景竜は1人、死人の群れが特に多く発生している場所へ前進していく。狙いはその奥にいる魔頭だ。
我夢と一誠はそれをフォローする形になっていた。
景竜「ぬぅぅッ!!」
「ア″ァ″ッ!!」
景竜は向かってくる死人を背負い投げで地面に叩きつける。
次々と向かってくる新手の死人達を洗練された武術で攻撃しながら突き進んでいく。
その様子を近くで戦っていた一誠と我夢は感嘆の声をもらす。
一誠「スゲェな、あのおっさん。剣豪なのに剣なしでどう戦えるだって心配したけどよ」
我夢「剣豪だからって格闘を怠けてる訳じゃないようだ。僕達も」
一誠「おう!」
景竜の活躍に鼓舞した我夢と一誠は援護射撃していく。
撃たれた死人は水をかけた砂のようにドロドロと溶けて消滅していく。
2人の活躍で通り道が拓けた景竜は魔頭の目前にまでたどり着いた。
景竜は地面を踏みしめて勢いよく飛び出す。
景竜「魔頭!覚悟ッ!」
魔頭「ッ!」
予想以上のスピードで接近された魔頭は目を丸くしながらも刀を振り下ろす。
この目と鼻の距離では避けられないだろう。
しかし、相手は剣豪。
素人の腕から繰り出す剣撃では捉えることは出来ず、軽々と避けられ、体当たりをまともに受けた。
魔頭「ぐっ!?」
景竜「とぉりゃ!!」
怯んで後ずさる魔頭に景竜は追い討ちの正拳突きを腹部へ打ち込む。
魔頭は肺の中にある空気が1ccも残らず全て吐き出される感覚に襲われると同時にその場に跪いた。
景竜は落とした刀を拾いあげると、魔頭の首筋に刃先を向ける。
景竜「終いじゃ、魔頭」
低い声音で威圧する景竜。
もうどうあがいても魔頭に勝ち目がなく、魔頭もそれがわかっているのか、死人達も忽然と姿を消していた。
─────これでようやく終わった。皆がそう確信し、我夢と一誠がほっと安堵した時だった。
大悟「九重ッ!!」
「「「ッ!?」」」
大悟の悲鳴に似た叫びが聞こえ、3人は振り返ると目を見開いた。
空中には意識を失っている九重が宙を佇んでおり、その隣には
頭上から見下ろす魔頭は我夢達を嘲笑う。
魔頭「フフフ……」
────今まで戦っていた魔頭は一体!?
焦燥感に駆られた3人は改めて地上にいる魔頭へ顔を向けると、魔頭だった人物はいつの間にか黒い紳士服に紫色のワイシャツを着こんだ男性───ヘビクラへと変わっていた。
どういうことか理解できない我夢達にヘビクラは首筋に向けられていた刃先をどかして立ち上がると、怪しげな笑みを浮かべながら話し出す。
ヘビクラ「簡単に言うとな、あっちが本物の魔頭でこっちは偽者……俺が魔頭に化けてたんだよ。要するに囮って訳だ」
イリナ(景竜)「何……?お主からは魔頭と同じ気を感じられたぞ?」
ヘビクラ「フフッ。コイツが使えば簡単なんだよ」
眉をひそめるイリナ(景竜)にヘビクラはズボンのポケットから取り出した縁が黒、白、灰色三色で彩られたメダルを見せる。
見覚えのあるメダルに我夢と一誠は驚嘆する。
我夢「怪獣メダル…!まさか、それで……」
ヘビクラ「その通り!この暗黒星人 ババルウ星人のメダルで変身してたんだ。コイツは姿、声だけじゃなく、そいつの持つ気なんかもコピー出来るんだぜ?」
我夢の浮かんだ推測にヘビクラは大正解と言わんばかりに指差す。
メダルの力となっているババルウ星人の変身能力の精度は本物であり、昔、とある滅ぼされた星の巨人に化け、他の惑星の巨人達だけでなく、その巨人唯一の肉親である兄でも見抜けない程だ。
状況を撹乱し、挙げ句の果てには地球が滅ぶ寸前にまで追いやった恐るべき星人なのである。
唖然とする一同にジャグラーは「更に」と付け加える一声を発すると、禍々しいオーラを纏わせ、ジャグラー魔人態へと変身した。
その正体にあっと驚く我夢達だが、すぐに怒りが湧いた一誠は眉間にしわをよせ、鋭い眼差しを向ける。
一誠「ジャグラー!!てめぇ……!」
ジャグラー「悪いな。これでも、俺にとっては重要な仕事なんでね。さあ、魔頭さんよ!早く目的を果たせ」
ジャグラーに促されるまでもなく、魔頭はボソボソと低い声で呪詛を唱えた。
すると、霧状になった魔頭が九重の体に入り込むように憑依すると、形を変えて巨大化し始めた。
魔頭の巨大化に呼応するかのように暗雲が押し寄せ、晴天の空を覆い隠した。
一瞬にして夜のとばりが下りたかのように京都中が暗闇に包まれる中、景竜は魔頭の狙いが何なのかを確信した。
景竜「……ッ、真の狙いは九尾の姫を器にすることだったか!」
魔頭「ハハハッ!流石に理解できたようだが、もう遅い!お前達がまんまと私達の策にはまったお陰で、こんな強力な気を持つ肉体を手中に出来たのだからな!感謝するぞ!!」
景竜「魔頭…!」
魔頭「見るがいい!破滅をもたらす者の力を得て、肉体を取り戻した私の姿を!!」
悔しげに歯を噛み締める景竜に高々と宣言した魔頭は両掌に青い瞳を持つ手を天に掲げる。
すると、宙に無数の青白い人魂───今まで奪ってきた生者の魂を出現したかと思うと、それを体内に取り込み、暗い紫色の光に包まれる。
光が晴れた次の瞬間、魔頭はガンQの姿に変身していた。
しかし、昨夜のような腐ったトマトのようなグロテスクな姿ではなく、所々血管が浮き出ているものの、以前のコードNo.01に似た姿になっていた。
『ガンQ[コードNo.02]』の誕生の瞬間である。
ガンQ「ヴハ″ッハ″ッハ″ッ…!!」
完全復活したガンQは歓喜のあまり、低くおぞましい笑い声をあげた。
『うわぁぁぁーーーーーッ!!?』
『怪獣だぁぁーーーーッ!!』
ガンQを目にした人々は恐怖に駆られ、一斉に逃げ出す。
突然のことに警察の避難誘導も手一杯であり、あちこちで交通事故が発生していた。
アーシア「ガンQ!」
ゼノヴィア「間に合わなかったか……!」
ガンQの復活は町で捜査していたアーシア、ゼノヴィア、木場、ロスヴァイセの目に届いていた。
ゼノヴィアは悔しげに歯を噛み締める。
木場「完全復活……いや、前とは比べようにない力を持っているね」
今のガンQの雰囲気から以前よりも強くなっていることを感じ取った木場は苦い顔を浮かべる。
膨大な気を持つ九尾の肉体を得たガンQは強力無比そのものであり、その迫力はひしひしと伝わっていた。
ロスヴァイセ「ひとまず、あの山に向かいましょう」
ロスヴァイセの提案に頷いた一同はガンQが出現した伏見稲荷に向かって走り出した。
ガンQは我夢達を尻目にズシンズシンと大地を震わせて歩き出す。
向かう先にあるのは鬼神が封じ込められている山───宿那山だ。
ガンQ「グォォォォ…!」
宿那山に近付いたガンQは瞳から紫色の光線を山の中腹辺りに放った。
すると───
ゴゴゴゴ……!
地響きと共に山から両腕、両足が人体の構造から考えてあらぬ方角から突き出る。
間もなく突き出ていた両腕、両足が山の中へ引っ込むと、割れた山の地表から1匹の鬼神が現れる。
2本角に単眼、鋭い牙を生やしているおぞましい顔に長い白髪を生やした赤鬼───『宿那鬼』が永き封印から目覚めたのである。
宿那鬼「……ガァァァァーーーーッ!!」
自身の体を見て、バラバラに引き裂かれていた自身の肉体が完全に繋がっているのを確認した宿那鬼を雄叫びをあげる。
500年以上も封印された鬱憤を晴らせる時がやってきたので、その喜びは常人では計り知れない。
歓喜にうち震える宿那鬼だったが、自身の近くにガンQ───魔頭がいるのに気付くと、喜びからくる興奮を抑え、話しかける。
宿那鬼「……魔頭か。再びこの地に踏めることに感謝するぞ。……景竜め、このまま生かしてはおかぬ」
ガンQ「宿那鬼よ。怨み、憎しみによって力を蓄えた我らにとっては景竜など敵ではない。それより、力で破壊、制圧し尽くすことにより、我らの国を今一度造ろうではないか!」
宿那鬼「ふむ。ならば、麓にいる人間共を焼き尽くすとするか」
意見が合致したガンQと宿那鬼は近くの町に向かおうと歩き始める。
町は未だ人民の避難は完了しておらず、このままだと甚大な被害が起きてしまう。
刀を鞘に納めた景竜は周囲を見渡す。我夢、一誠は冷や汗をかいており、少し離れた場所にいる大悟は緊迫した顔をしていた。
ジャグラーはいつの間にか消えていた。どうやら、どさくさに紛れて逃げたようだ。
景竜はふぅと心を落ち着かせると口を開く。
景竜「奴等は完全に蘇った。以前よりも遥かに凶暴になってな……。最早、拙者の手では負えぬ」
一誠「何、落ち着いちゃってんだ……」
この最悪の状況を前に開き直ったかのような態度を取る景竜に一誠はさりげなくツッコむ。
さっきまでのシリアスな雰囲気はどこへやら……。そんなことを我夢、一誠、大悟は思っていると、景竜は3人の顔を見合せ──
景竜「拙者は宿那の山にこの刀を持っていく。奴等の相手は任したぞ。お主、ついてこい」
大悟「え!?ちょっと!」
一誠「あ」
手短かにそう告げると、3人の返事を待たないまま大悟を連れて走り去っていった。
突然のことに2人は呆然と佇む。
一誠「行っちゃったよ……。いい加減なところがあるよな、あのおっさん」
我夢「仕方ない。とにかく、魔頭を止めよう!」
一誠「だな!」
景竜のことが気になるが、近くで暴れるガンQと宿那鬼を止めるのが先決だ。
我夢の意見に同意した一誠は頷き返すと、2人は懐から変身アイテムを取り出す。
我夢は右手に嵌めたエスプレンダーを左肩に当て、一誠は右手に持ったリーフラッシャーを左腰へ一旦回し──
我夢「ガイアァァァーーーーーーーッッ!!」
一誠「ダイナァァァーーーーーッッ!!」
その掛け声と共に我夢はエスプレンダーを正面に突き出し、一誠は右斜め上に掲げる。
変身アイテムから発する目映い光に包まれ、2人はウルトラマンへと変身した。
我夢と一誠───ガイアとダイナは変身して間もなく、高速移動で地上を駆け、蹂躙する2匹の悪しき獣へ接近する。
後ろから近付く気配にガンQと宿那鬼は振り返る。
「「デヤッ!/ハッ!」」
ガンQ「グゥゥゥ~~~!?」
「「グアッ!/デェアッ!」」
宿那鬼「ガァルルッ!?」
ガイアはガンQ、ダイナは宿那鬼に息のあったコンビネーションで左右交互に回し蹴りを打ち込む。
怯む2匹に休む間も与えず、ガイアとダイナは拳にエネルギーを込めると、ガイアはガンQ、ダイナは宿那鬼に拳を真っ直ぐ突き出す。
「デュアッ!!/デュッ!!」
ガンQ「グォォォォオォオオォォ~~~ッ!!」
宿那鬼「ガァォォアァァーーーッ!!」
ガイアの赤熱化した拳とダイナの白熱化した拳は2匹の胸元に炸裂し、苦悶の叫びをあげながら吹っ飛んでいく。
そのまま吹っ飛んでいった先にある地上の建物を瓦解しながら不時着した。
「見ろっ!ダイナだ!」
「ガイアもいるぞ!」
「頑張れーーー!!そんな奴等、やっつけてくれーーッ!!」
ガイアとダイナの登場に希望が湧いた人々は一斉に落ち着きを取り戻し、2人に声援をかけた。
ガイア「…ッ」
ダイナ「フッ…!」
聞こえてくる人々の声援にガイアとダイナはそちらの方へ振り向く。
先程まで混乱していた1人1人が目を輝かせ、応援してくれている。その光景に自分達が希望を与えているのだと自覚した。
ガンQ「グォォォ……!」
「「ッ!」」
ガイアとダイナが人々の声援に気を取られている中、物音を立てぬようゆっくりと起き上がったガンQは瞳から紫色の光弾を発射する。
不意打ちに気付いたガイアとダイナは咄嗟に両手を広げて、ウルトラバリヤーで防ぐ。
宿那鬼「ガァァァーーーッ!!」
ガンQに続いて宿那鬼は口を大きく開き、灼熱のごとき熱線を放つ。
熱線が当たる寸前、ガイアとダイナは目映く発光すると、忽然と姿を消した。
空撃ちした熱線は先にある住宅街の一角を破壊した。
ガンQと宿那鬼はどこにいったのかと思考を張り巡らせていた矢先──
「「ッ!?」」
ガイア「デヤァァァーーーーーッッ!!」
ダイナ「ダァァァーーーーーッッ!!」
上空から急降下キックを繰り出すガイアとダイナが見えたが、もう遅い。
能天に直撃したガンQと宿那鬼は苦悶の声をあげながら、後方へ倒れた。
地上へ降り立った2人は間髪入れず、2匹の獣に駆け寄る。
ガイアはガンQ、ダイナは宿那鬼の両足を両脇に抱えて体を持ち上げる。
ガイア「デュアァァーーーーッ!!」
ダイナ「デェアッ!!」
ガァンッ!
「「ッ!?」」
そして、両者は抱えたまま後ろからクルリと回って遠心力をつけると、ガンQと宿那鬼の頭を激突させた。
2匹の獣の頭が重なった箇所から鈍い音が鳴り響く。
倒れたガンQと宿那鬼は苦痛のあまり身悶える。
ガイア「デュアッ!グァァァ…!!」
ダイナ「ハァァァァーーー……!!」
その隙にバック転で距離を取ったガイアとダイナはクァンタムストリーム、フラッシュ光弾の構えに入る。
だが───
ガンQ「ブォッブォッブォッ……!」
「「!!」」
放とうとした瞬間、起き上がったガンQが嘲笑うと、2人は攻撃の手を止めた。
否、止めるしかなかった。ガンQはその巨大な眼に九重の姿をホログラムのように投影したのだ。
そう、実体化したガンQの肉体は元々九重のもの。
つまり、ガンQを倒すとなると、彼女を殺してしまうのも同じことである。
九重を人質にした卑怯なやり方に2人は憤りを感じながらも、エネルギーを溜める手を下ろした。
宿那鬼「ガァァァーー!!」
ダイナ「グアッ!?」
ガイア「ドォアッ!?」
下手に動けなくなった2人に宿那鬼が吐いた熱線が炸裂する。
胸元から火花を散らし、体が反り返った2人は地面に叩きつけられる。
ガンQ「ブォッブォッブォッ…!」
ガンQは不気味な笑い声をあげながら、軽く力を込める。
すると、足にビッシリ付いていた3つの目玉が蠢くや否や目玉がついた円盤状となって体を飛び出した。
ガンQ「ハ″ッハ″ッハ″ッハ″ッハ″ッハ″ッ……」
ガンQはその3つの目玉を遠隔操作し、ガイアとダイナの上を取り囲むように配置させると、紫色の光線を発射させた。
ガイア「グァァァッ!?ドォアァァァァーーーーッ!!」
ダイナ「グッ!?グワァァァーーーーーーッ!!」
ガイアとダイナは襲いかかる激痛に頭を抱え、身悶える。
目玉が放つ紫色の光線は精神に多大な悪影響を与える物質が含まれており、2人は麻酔無しで工具用ドリルで頭中を貫かれるような刺激を脳内の神経に送られているのだ。
[ピコン]
[ティヨン]
あまりもの苦痛にガイアとダイナの胸元に輝く命の象徴───ライフゲージが青から赤へ点滅し始めた。
赤色の点滅は命の危機を知らせる危険信号であり、もし、その輝きが消えた時、ウルトラマンは二度と立ち上がれないだろう。
ガイア「グアッ、アァァァ……!!」
ダイナ「グワァァァアァァァーーーッ!!」
宿那鬼は2人のウルトラマンがもがき苦しむ様を見ながら付近の山に手を突っ込む。
山に埋まってある何かを掴んだまま勢いよく引き抜くと、白い輝きを放つ太刀が露になった。
宿那鬼「ガァァァ……!」
太刀をブンブンとデモンストレーションのように振り回した宿那鬼は構えると、2人のもとへゆっくりと歩き出す。
途中、車を拾って宿那山に辿り着いた大悟は車を降り、景竜と共に御堂がある山の中腹部へ向かって歩いていた。
景竜「お主。
大悟「…え?」
途中、先頭を歩く景竜が立ち止まり、真剣な面持ちで尋ねる。
当然、唐突に訊かれた大悟は気の抜けた声をあげるが、質問する意味がわからないながらも答える。
大悟「そりゃあ、この山に行く車を運転してもらう為じゃ……」
景竜「無論、それもある。だが、拙者がお主をここまてで連れてきたのは、お主に力を持つ意味を説く為じゃ。お主は光の者、強大な力を秘めておる。だが、それを持ったが為に
大悟「…ッ!」
景竜に見抜かれた大悟は目を丸くする。
まだ会って間もないのにも関わらず自分の悩みをスラスラと言い当てる様は流石、伝説の剣豪と言われるだけあると大悟は理解した。
景竜は空を仰いで昔のことを振り返ると、再度大悟を見据える。
景竜「拙者は生来、物の怪を見抜く力を持って旅をし、人々を蹂躙する悪しき物の怪どもをこの刀で退治してきた。伝説の剣豪やら妖怪滅者などと持て囃されてきたが、拙者はそれを望んじゃ生を全うした訳ではない。己が為すべきこと……
大悟「……真に、為すべきこと?」
景竜「うむ。お主もとうにわかってる筈だ。今はとにかく友を救いたいという思いがな。答えを探す前に心に従うべきではないのか?」
大悟「……」
景竜に説かれた言葉に大悟の脳に溜まっていた迷いが吹き飛んだ。答えを拘るばかりに自分が本当にしたいことを知らず知らずのうちに抑え殺していた。
九重に言われた自分は自分のまま───。
景竜に言われた自分の心に従う────。
その言葉に大悟の悩みはあっという間に吹き飛んだ。
大悟「今、はっきりとわかった……!答えがわからなくてもいいじゃないか!僕は……僕だッ!」
景竜「行ってこい!友を救いに……護るたい者の為に!」
激励する景竜に大悟は頷くと、大悟は山の向こう側へ倒れているダイナとガイアへ振り向く。
ガンQの攻撃でもがき苦しむダイナとガイアを斬ろうと歩み寄る宿那鬼。まさに大ピンチだ。
九重を、我夢を、一誠を救いたい!その願いを叶える力の象徴───スパークレンスを胸元から取り出す。
昨晩まで嫌悪していたが、今は違う。むしろ自分の体の一部のように無くてはならないものだ。
スパークレンスは大悟の誰かを救いたい気持ちに呼応するかのように淡く輝いた。
大悟「………僕に戦える力を与えるなら!みんなを、僕が護るッ!!」
堂々とした口調でそう言うと、大悟はスパークレンスを前へ突き出す。
キュピィンッ!
ガッ!スゥゥゥ……!
そして、その腕を引っ込めると同時に平行にしたもう片方の腕と交差させる。
そのまま大きく回して
大悟「ティガァァァーーーーーーーーッッ!!!!!」
キュピィーーーーーンッ!!
とその掛け声と共に天高く掲げると、スパークレンス先端にあるウィングパーツが展開し、露になったレンズから溢れる白い光に包まれ、大悟はウルトラマンティガに変身した。
ガイア「ドォアァォァァーーーーーッ!!」
[ピコン]
ダイナ「グワァァァーーーッ!!」
[ティヨン]
ガンQ「ハ″ッハ″ッハ″ッハ″ッハ″ッハ″ッ…」
悲鳴をあげるガイアとダイナの苦しむ様をガンQは低い不気味な声音で嘲笑う。
人質という絶対的な武器を持っている以上、手出しが出来ない。
この状況における圧倒的優位にガンQは喜びに浸っている。
宿那鬼「ガァァァ……!」
ガイア「グアッ!」
ダイナ「グワァッ、アァァァ…!!」
ガイアとダイナに近寄った宿那鬼は刀をしっかりと両手で握り、振り上げる。狙いは勿論、2人の首だ。
その危機に2人は悲鳴をあげながらも何とか避けようとは思うものの、脳内を蝕む激痛で体が思うように動かない。
宿那鬼はニヤリと気味の悪い笑みを浮かべると、勢いよく刀を振り下ろした。
2人の首が吹っ飛ぶ絶対絶命の危機。刀が首に触れるその瞬間だった。
ピキィン!
宿那鬼「!?」
ガンQ「グォッ…!?」
「!!」
ピキィンと目映い光の柱がガイアとダイナの前に立ち塞がるように出現すると、取り囲んでいた目玉を消し飛ばし、宿那鬼を大きく後方へ吹き飛ばした。
予想外の事態にガイア、ダイナはおろか、ガンQも笑みを止める。
そして、目映い白色の光が収まっていき、姿を現したのは───
「「大悟!」」
青紫と赤、銀色の体色を持った伝説の戦士───ウルトラマンティガだった。
大悟が変身した正真正銘の光の巨人である。
その登場にガイアとダイナは口揃えて彼の真の名を叫ぶ。
木場「あれは……」
ゼノヴィア「ウルトラマンティガ!」
アーシア「大悟さんが変身した!」
ロスヴァイセ「光の巨人……!」
近くに駆け付けた木場、ゼノヴィア、アーシア、ロスヴァイセは安堵した表情で口々に声をもらす。
2人の首が吹っ飛ぶ光景を見ずに済んで内心ほっとしている。
この時、ロスヴァイセがティガに見惚れていたことは誰も知らない。
他の巨人より頭1つ抜けてる美しさを前に釘付けになったのである。
ティガは振り向くと、ダイナとガイア両者に手を差し伸べると謝罪の言葉を口にする。
ティガ「遅くなってごめん」
ダイナ「全くだ!おかげで死にかけたぜ?」
ガイア「けど、来てくれると信じていた!」
ダイナは冗談っぽい口調、ガイアは喜びに溢れた口調で言うと、差し伸べられた手を取り、立ち上がる。
3人は前方に存在する敵を睨みながら構えると、ガンQ───魔頭は余裕に満ちた声で話す。
ガンQ「フッ……いくら数が増えようとも九尾の娘の肉体がある限り、我らには傷1つつけられんわ!」
ティガ「ッ!」
ガンQの言葉にティガは息を呑む。
確かに今のガンQは九重の肉体と生者の魂で構成されている。
万が一ガンQを倒したりしたら、九重はおろか、奪われている生者の魂が元の肉体へ戻る確証はない。
ティガ、ダイナ、ガイアの3人にどう行くまいかと考えてようとした矢先──
八坂「そこまでじゃ、魔頭!」
高貴そうな女性の声が聞こえ、両陣営は声のする方へ顔を向けると、一本木の上に立つ八坂と付き人の従者数人の姿があった。
きょとんとしていたガンQだったが、八坂だと知った途端に余裕に満ちた様子に戻り、嘲笑う。
ガンQ「フッ……誰かと思えば、今代の九尾の御大将か……。私の呪術より劣る貴様が出たところで何の解決にも至らん!」
八坂「よう言うてくれるの。お前に散々苦しめられてきた我ら妖怪が何の対策もせずに来ると思うか?」
ガンQ「何…?グォォォォ……!!?」
八坂の自信ある様子に疑問が浮かんだ瞬間、ガンQの足下に緑色に光る結界が現れた。
結界から放たれる光に打たれたガンQは急な脱力感に襲われ、苦しみ始める。
ガンQ「…ち、力が!抜けていく……!何をしたッ!?」
八坂「これは解呪結界じゃ!お前が復活すると知った先祖達が長年の月日をかけて編み出した特殊な技法……呪術を操る者を衰弱させるものじゃ。習得には時間がかかったが、瀬戸際のところで間に合った。さあ、今まで奪い取った魂、娘を返してもらうぞ!」
ガンQ「グォォォォーーー!!」
八坂が言い放つと同時に結界の光は強まり、ガンQは悲鳴をあげる。
すると、ガンQの体から数多の魂が解き放たれ、元の持ち主の元へ飛んでいき、最終的には眼球から九重が飛び出す。
ティガ「ッ!」
宙に放り出された九重をティガは地面に落ちる前に滑り込むようにキャッチすると、木の上にいる八坂へ差し渡す。
八坂「九重!九重!九重!」
九重を抱き抱えた八坂は呼び掛けながら体を軽く揺する。
その呼び掛けあってか間もなく九重はおぼろげな表情ながらもパチリと目を開いた。
九重「母上……」
八坂「九重!」
娘の無事に八坂は嬉しさのあまり九重を抱き締める。
この光景に皆が安堵する中、力を失ったガンQは怒りに震える。
ガンQ「おのれェ!おのれおのれおのれおのれェ!!よくもこんな目にィィ!!」
喚き散らすガンQの体は先程までの完全な状態ではなく、醜悪に満ちた不完全なものへと戻っていた。
先程までの力はもう無く、あるのは醜い魂だけの存在であった。
ティガ「……フッ!」
ダイナ「ハッ!」
ガイア「デュアッ!」
ティガはバック転で下がってダイナ達の元へ戻ると、平手にした右手を前、左拳を胸元近くに構えたファイティングポーズをとる。
それに合わせてダイナとガイアも身構える。
起き上がった宿那鬼も刀を構え、ガンQの隣に並び立つ。
両陣営が睨み合う中、それを遠くの木陰から眺めていたヘビクラはフッと不敵な笑みを浮かべる。
ヘビクラ「ヒーローにしては、3対2ってのは卑怯じゃねぇか?」
そう言いながらヘビクラは蛇心剣を振るって虚空を斬り、闇に包まれた穴を作り出すと、中から傷だらけの怪獣の死骸が飛び出す。
それは以前、ヘビクラが変身したジャンボデュークが倒した怪獣ダイゲルンであった。
バラバラとなった部位を針金のようなもので繋ぎ合わせており、フランケンシュタインの人造人間みたいである。
しかし、尻尾だけは斬られたままである。
ヘビクラ「こういう時の為に回収しておいて良かったぜ。尻尾は木っ端微塵にしちまったから仕方ないか……。さ、早速働いてもらおうか」
白目を剥くダイゲルンの死骸にそう言うと、胸ポケットから1枚の怪獣メダルを取り出す。
それは宇宙寄生獣の異名を持つ怪獣──『サイクロメトラ』のメダルであった。
ヘビクラはそれをダイゲルンの死骸に投げ入れると、メダルは体内に吸い込まれる。
すると、ビクンビクンと痙攣した後、ダイゲルンはムクリと起き上がった。
ダイゲルン「バァァァァァ~~ッ!!」
生前と違わぬ気迫で雄叫びをあげるダイゲルン──正確には寄生しているサイクロメトラのメダルは本能から遠くにいる3人のウルトラマンを敵と認識すると、大地を踏み荒らして走り出す。
ガイア「ッ!デュアッ!」
ダイナ「デェアッ!」
ティガ「ヂャッ!」
ダイゲルンの接近に気付いた3人は自然と対戦相手の前に立ち、身構える。
ガイアはガンQ。ダイナはダイゲルン。ティガは宿那鬼に決めた。
高まる緊張感。そして、双方とも合図もなく、その場から駆け出した。
ガンQ「グォォォォ……!」
ガイア「デュアッ!」
駆け寄ったガイアはガンQの触手のような腕から放つ横払いを屈んで避けると、懐に飛び込んでガッシリと捉える。
そのまま抱え上げてクルリと一回転して遠心力をつけ──
ガイア「デュアァァァァーーーーッ!!」
ガンQ「グォォォォオォォォォ…!!」
豪快に投げ飛ばす。
ガンQはジタバタと手足を動かしながら飛んでいくと、仰向きで地面に叩きつけられる。
ダイナ「ハッ!」
ダイゲルンと戦うダイナは地面を蹴って跳躍し、宙で一回転すると、ストロングタイプにタイプチェンジする。
落下の勢いに合わせて両足を突き出したキックポーズをとる。
ダイナ「ダァァァァーーーーッ!!」
ダイゲルン「バァァァァァ~~ッ!!」
そのまま急降下キックはダイゲルンの脳天に炸裂し、火花を散らした。
ダイナのダブルキックは急降下の勢いもあって強烈な破壊力を生み、ダイゲルンの脳天を陥没させた。
ダイゲルン「バァァァ~~ッ!バァァァ~~ッ!」
ダイナ「…ッ!」
ダイゲルンは反撃にと尻尾を駆使した凪ぎ払い攻撃を繰り出そうと体勢を低くして、背面をダイナへ向ける。
ダイナも攻撃に警戒して身を固めるが───
ダイゲルン「?」
ダイナ「……?」
一向に攻撃は来ず、ダイゲルンとダイナは首を傾げる。
それもそのはず。ダイゲルンの尻尾は切断されたままなのだからである。
尻尾が無いことにダイゲルンが困惑していると、好機と見たダイナは胴体に掴みかかる。
ダイナ「ハァァァ……!デェアッ!」
ダイゲルン「バァァァァァ~~ッ!!」
そのままダイナはダイゲルンを力任せに投げ飛ばす。
ダイゲルンは地面に何度も叩きつけられながら遠くへ転がっていく。
宿那鬼と対峙するティガは振り払う刀を避けながらカウンター攻撃を与えていく。
宿那鬼「ガァァ……!」
ティガ「チャッ!」
ティガは横一直線の剣撃を前回りに跳躍して回避する。背後にあった木々は寸分の狂いなく斬れ、地に落ちる。
背後に回ったティガは脳天目掛けて手刀を叩き込もうと駆け出すが──
宿那鬼「ガァァ!!」
ティガ「ッ!?」
宿那鬼の後頭部を覆う白色の長い髪がめくれ、もう1つの顔が露になる。
驚きのあまり立ち竦んだティガに口から吐く突風を浴びせる。
ティガ「ヂョアァァッ!?」
宿那鬼「ガァァァァ…!」
突風でバランスを崩したティガはスッ転ぶ。
その隙に宿那鬼は刀を振り下ろすが、ティガは前転して回避する。
ティガ「チャッ!」
ドォンッ!
宿那鬼「ガァッ!?ガァァァァ……!」
後ろに回ったティガは反撃に手から光弾───『ハンドスラッシュ』を放つ。
胸元に直撃した宿那鬼は火花を散らして一瞬怯むものの、刀を正面に構え、雄叫びをあげながら突撃を仕掛ける。
ティガ「ハッ!!」
宿那鬼「!?」
ティガはすかさず胸元のプロテクターに両腕を交差させてエネルギーを蓄えると、両腕を伸ばして光のカッター───『ティガスライサー』を発射した。
放たれた光のカッターは目前に迫る刀だけでなく、宿那鬼の首をも通過した。
パシィィィンッ!!
ティガ「……」
迫っていた宿那鬼は動きを止め、勢いが残る眼前の刀をティガは白刃取りで受け止める。
しばらく沈黙が続いた後、ティガはゆっくりと立ち上がると、切断された刀は真っ二つになって崩れ落ち、宿那鬼の頭は胴体から離れ落ちた。
ティガは未だ倒れない胴体に違和感を感じつつも背を向けて歩き出す。
誰もが勝負ありと思ったその瞬間だった。
ゼノヴィア「ティガ!後ろだッ!」
ティガ「ッ!」
ゼノヴィアの鬼気迫る声が聞こえ、ティガは振り向くと、頭を失った宿那鬼の胴体が斬れた刀を振り下ろそうとしていた。
ティガは紙一重のところで横へ回避すると手を蹴り上げて刀を弾き飛ばす。
ティガ「フッ!ヂャッ!」
尚も暴れる宿那鬼の胴体を重量上げのように持ち上げると、ガンQとダイゲルンが倒れる場所へ投げ飛ばす。
宿那鬼の胴体は地面を転がっていく。
すかさずティガは突き出した両腕を前方で交差させて大きく横へ広げる。
紫色にかがやく光のラインが描かれると共にエネルギーが集約されていく。
ガンQ「グォォォォ……!」
ダイゲルン「バァァァァァ~~ッ!!」
「「ハッ!/デュアッ!」」
ガンQとダイゲルンは悪あがきに目から光弾と口から火炎を吐くが、ダイナとガイアの展開したバリアーに防がれる。
その間にエネルギーを溜めたティガは腕をL字に構え──
ティガ「ヂャァッ!!!」
白色に輝く必殺光線───『ゼペリオン光線』を放った。
高火力の光線は3匹の怪獣に命中し、倒れると同時に爆発四散した。
ドガガガガァァァァンッ!!
大爆発が起き、真っ赤な光が暗闇を照らした。
ガンQ──魔頭が倒されたことによって暗雲が晴れ、太陽が天々と昇る青空が顔を覗かせた。
木場「やった!」
その光景に木場はいつものキャラを忘れ、ガッツポーズをとる。
他の面々も嬉しそうに顔を見合わせる。
ダイナ「大悟!やったな!」
ティガ「ああ。君達がいてくれたから僕は戦えた」
ガイア「何を言うんだ。君がいてくれたから僕達もまた戦えた、だろ?」
ダイナ、ティガ、ガイア───3人のウルトラマンもまた駆け寄り、喜びを分かち合う。
3人の幼馴染みはウルトラマンとなっても絆は変わらない。
宿那鬼「ガァァァ……ッ!!」
歓喜の最中、地面に倒れていた宿那鬼の頭がムクリと起き上がる。
頭だけとなっても執念から動こうとしているのだ。
不意を突いた頭は背後からティガの首もと目掛けて飛びかかる。
ガイア「ッ!後ろ!」
ティガ「フッ!?」
ガイアが気付き声をあげ、ティガは振り向くも宿那鬼の頭は目前と迫っていた。
首もとを捉えた宿那鬼の頭は牙を突き立て接近する。
どうしようとも間に合わない。その危機一髪の瞬間、一筋の輝きが宿那鬼の眉間に突き刺さった。
それは景竜の放った愛刀だった。
宿那鬼「ヴゥゥヴァァァ……!!」
宙でピタリと止まった宿那鬼は呻き声をあげると、刀から放たれる封印の力によって淡い光に包まれ、再び宿那山へと封印された。
皆がホッとひと息つく中、ティガ、ダイナ、ガイアの脳裏に景竜の声が響く。
──────間一髪、だな。頭1つなら拙者でも倒すことが出来る。さらばだ、光の人らよ
その言葉に3人は頷く。
何やかんやあれど、最後は景竜によって助けられたのは事実だ。
この言葉を最後に景竜の声は聞こえなくなった。
ティガ「ヂョアッ!」
ダイナ「シュワッ!」
ガイア「デヤッ!」
3人は両腕を空高く広げると共に大地を蹴ると、そのまま遠い空へと飛んでいった……。
その後、宿那山麓に集まった一同は途中で気を失っていたイリナと合流し、安否の確認と今回の出来事の情報交換、今後の対策を行っていた。
話し合った結果、刀を収めた景竜の御堂は未来永劫見つからないように強力な結界を月1のペースで張り直す方針にした。
人に見つかったのはその結界が弱まっていた為であり、今後はそのようなことが無いように厳重にするそうである。
九重「大悟!」
皆が談笑する中、大悟を見かけた九重はぴょんと彼の胸へ飛び込む。
大悟は九重が落ちぬように抱え上げる。
九重「魔頭の中から見ていたぞ。必死に私を助けようとしていたことを。ありがとう」
大悟「礼を言うのはこっちだよ。九重のおかげでケジメをつけれたし。本当にありがとう」
大悟は感謝の言葉を返す。
大悟が戦う決意のキッカケは景竜もあるが、何より九重のおかげである。彼女の言葉がなければ今頃迷っていたであろう。
そんなこんな会話をしていると、イリナが「あ!」と何かを思い出したように声をもらす。
皆が問いかける視線を送ると、イリナは皆の顔を見合わせて話す。
イリナ「景竜様が言ってたわ。『強者は常に孤独だ』って言ってたわ……」
大悟「常に……孤独?」
イリナ「うん。『強者は勝ち続けなければならない。その為に孤独になる』って。何のことかサッパリだけど」
そう言ったイリナは言葉の意味をわからず、首を傾げる。
──強者は常に孤独。いい加減なところもある景竜の残したこの言葉は深い意味は無いのかもしれないが、大悟、一誠、我夢──ウルトラマンである彼等の胸に強く響いた。
真剣なムードにアザゼルはコホンと咳払いをすると、話題を切り替え、大悟の問いかける。
アザゼル「それはそうと、お前さん。これからどうする?俺達に着いていくか?」
───俺達に着いていく。即ち、XIGの一員として戦いの中へ身を投じるということである。ここでYESと答えを出せば、抜け出したくとも抜け出せない辛い出来事にも直面するであろう。引き返すなら今である。
皆が息を呑んで大悟の答えが出てくるのを待ち望む中、大悟の導き出した答えは────
大悟「……戦います。みんなと一緒に。託された力の意味を探したいんだ」
YESだった。決してそれは流されるままでなく、ハッキリと自分の意思で決めたものだ。
その証拠に大悟の眼は揺らぎない意思を秘めており、これまで何億人もの人物と出会ってきたアザゼルにはヒシヒシと伝わった。
アザゼルはニッと口角をあげると、手を差し出す。
アザゼル「よし、わかった。これからよろしく頼むぜ?長野 大悟
大悟「ええ!」
冗談っぽく話すアザゼルに笑顔を向けた大悟は差し出された手を取って握手を交わす。
こうして、大悟はXIGの一員となった。
しかし、それは同時に戦いが激化することも意味していた……。
次回予告
※(イメージBGM:ウルトラマンティガ次回予告BGM)
戦う決意をし、XIGに加入した大悟。
新しい仲間への歓迎で盛り上がる一方、新たな陰謀が動きだそうとしていた……。
次回、「ハイスクールG×A」
「サ・ヨ・ナ・ラ京都」
お楽しみに!
アンケートの結果、サイラオーグさんにパワーアップアイテムを授けることになりました!
どのようなアイテムが授けられるか是非お楽しみに!
相棒にしたい怪獣は?
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ピグモン(ウルトラマン)
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セブンガー(ウルトラマンレオ)
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ミラクロン(ウルトラマンゼアス2)
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マキーナ(ウルトラマンティガ)
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リドリアス(ウルトラマンコスモス)
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シェパードン(ウルトラマンギンガS)