京都最終日。遂に京都を発つ日がやってきた。
我夢達───グレモリー眷属の面々は購入したお土産を詰めた袋を手に持ち、京都駅の新幹線ホームにいた。
見送りには八坂と九重、何故かセラフォルーが来ていた。
セラフォルーは今回の騒動の中、陰で色々と支援しており、そのせいで京都を満喫出来なかったのでその分をこれからしてくるそうだ。
一誠「あー…もうこことはお別れか。なんか寂しいな……」
名残惜しそうに呟く一誠に皆はうんうんと頷く。
旅行先でも戦いに巻き込まれた訳だが決して辛かっただけでなく、楽しいこともあった。
色々あったが、思い返せば割といい思い出だったと皆は思った。
大悟「お世話になりました!」
八坂「こちらこそ。娘が世話になったのぅ」
大悟は笑顔で八坂に感謝を告げる。
京都を発つのはグレモリー眷属だけでない。XIGの一員として、ウルトラマンティガとして戦う決意をした大悟もこの京都を離れるのだ。
九重「もう行ってしまうのか」
八坂の手を繋ぐ九重は寂しそうに顔を俯かせる。
それも当然だ。出会いは突然であれど、ここ数日間は家族のように一緒にいたのだから。
しょんぼりとする九重に大悟はニコッと笑顔を浮かべると、膝をついて目線の高さを合わせ、ポンッと軽く頭に手を乗せると優しく語りかける。
大悟「心配するなって。ほんの少し会えなくなるだけだから。時間が出来たら、また遊びに来るよ」
九重「…ッ、本当か!?絶対、絶対にか!?」
大悟「ははっ、絶対に来る。その時はみんなと一緒に来るから、また京都中の案内を頼むよ」
九重「うむ!約束じゃぞ!」
大悟の言葉ですっかり元気になった九重は約束の握手を交わす。
その何とも微笑ましい光景に八坂は口元を手で覆いながらクスリと笑った。
ピピピピ……!
そして、談笑の終わりを告げるように新幹線の発射音がホームに鳴り響いた。
我夢達は荷物を持って新幹線に乗り込む。勿論アザゼルもだ。
全員が乗り込むのを確認した八坂はアザゼルに話す。
八坂「アザゼル殿、そして皆方。本当にすまなかった。礼を言うても尽くしきれない程感謝しておる。これからはあのような輩によってこの京都が恐怖に包まれぬよう、他神話と協力態勢を敷くつもりじゃ」
アザゼル「おう!歓迎するぜ!」
アザゼルは笑顔でそう返しながら八坂と固い握手を交わした。
八坂達、京都妖怪も昨夜、XIGへ正式加入した。
また仲間が増えたことで組織としての規模が大きくなるのは皆にとって嬉しい限りだ。
セラフォルー「うふふ♪みんな、帰り気を付けてね♪ちゃんとみんな分のお土産買って帰るから楽しみに待っててね☆」
いつもと変わらないニコニコスマイルでそう言いながらセラフォルーは手を振る。
京都を満喫するとは言っても、この後八坂と改めて詳しい取り決めを行う予定だ。
新幹線の扉が閉まろうとする時、九重は手をメガホンのように作って口元に当て、大きな声で叫ぶ。
九重「ありがとう!大悟!皆!また会おう!」
満開の笑顔で手を振る九重に我夢達も笑顔で手を振ると、新幹線の扉はプシューと音を立てて閉まった。
発射しても尚、我夢達は手を振り続ける九重の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
我夢「大悟。今、大丈夫?」
京都駅を発射して10分ぐらい経った頃。窓際の席から外の景色を眺めていた大悟に我夢はそう声をかける。
勿論、駒王町に着くまで特に何もすることがない大悟は大丈夫と返事すると、我夢はニコッと笑みを浮かべると隣の席に座った。
我夢「よかった。これは重要だから、どうしても伝えておきたくて」
大悟「…重要?一体、何を?」
我夢「ティガとしての戦い方さ」
大悟の疑問に我夢はそう答えつつ膝の上に出したノートパソコンを操作すると、画面に3タイプのティガを並べたデータを表示させた。
それを見せながら我夢は説明し始めた。
我夢「まず、ティガはガイアやダイナみたいな地球が産んだウルトラマンと違って、
大悟「どうして、そう言い切れる?」
我夢「胸のタイマーが点滅した際のエネルギー低下が激しかったからさ。地球の環境に適応しているガイアやダイナはともかく、ティガは宇宙から来た存在……。元々住んでいた環境と違う場所じゃ慣れないものだろ?」
我夢の説明に大悟は納得する。
カラータイマーが点滅してからやけに苦しかった気がするのは、巨人の体が環境に慣れてないからだと思えば納得出来る話だ。
我夢は続けて別のウィンドウを開くと、深夜に撮られたと思われる映像を流す。
それは大悟がティガとして初めて戦ったゴルザ、メルバ戦時のものである。
我夢は映像に合わせて再び説明し出す。
我夢「最初の体が赤と紫色の姿───仮に名付けるとしたらマルチタイプの状態だった。でも、体色が赤一色のパワータイプになることでマルチタイプよりも強力なパワーを発揮できる」
大悟「だったら、最初から赤で戦えばいいんじゃ…」
我夢「いや。それがそうでも無いんだ」
大悟の意見を否定した我夢は映像の再生速度を速めると、その証拠となる映像を見せる。
それはマルチタイプとパワータイプ、それぞれのティガがメルバと戦う映像を2分割にしたものだった。
我夢「パワータイプは確かに強い力を出せる。でも、その分、スピードが遅くなってしまうんだ」
映像の通り、マルチタイプのティガの蹴りはメルバに命中しているのに対し、パワータイプのティガの蹴りは掠りもせず、軽々とかわされている。
パワータイプ一強ではないとわかった大悟は喉を唸らせる。
次に我夢はスカイタイプのティガがメルバと戦う映像に切り替える。
映像に映るティガは空高く跳躍し、上空へ逃げようとするメルバを蹴り落とした。
我夢「反対に紫一色のスカイタイプになれば、動作は機敏になる。けど、パワーが落ちてしまうんだ」
そう言って映像をパワータイプとスカイタイプのものに2分割したものに切り替える。
大悟はパワータイプの攻撃では相手が大きく怯んでいるのに対し、スカイタイプはそれほど怯んでいないように見えた。
我夢「敵に与えるダメージが大きいのはパワータイプ。けど、スカイタイプでメルバを倒せたのは相手が身軽だったからだよ。後、マルチタイプは特出するスペックは無いけど、光線の威力は最も高いんだ」
大悟「なるほど……。使い分けて戦えばいいのか」
我夢の説明ではっきりとわかった大悟は納得した表情を浮かべる。
これまで2回戦ってきたが、どれも無我夢中で戦っており、自信の能力について理解出来ていなかった。
しかし、この説明を受けて今後の戦い方について深く理解出来たのだった。
駒王町に着いた一向は大悟をリアスや小猫といった1、3年生組に紹介する為、兵藤家の一室に集まっていた。
玄関で大悟と再会した一誠の母は大喜びしており、張り切って料理を作っている。
リアス「あなたが長野 大悟さんね?話は我夢とイッセーから聞いてるわ。これから“大悟”って呼ぶけどいいかしら?」
大悟「もちろん!皆さんのお役に立てるよう頑張ります!」
リアス「こちらこそ歓迎するわ」
笑顔を交わしながらリアスと大悟は握手する。
眷属ではないが、また新しい仲間が増えたことは喜ばしいものである。
軽く挨拶を交わすと、リアスは指をパチンと鳴らし、手元に現れた1枚の書類を見ながら訊ねる。
リアス「……それで、私達の学園で働きたいということだけど、丁度歴史の先生が抜けているから配属先はそこでいいかしら?」
大悟「はい。教員免許は取ってますし、何より歴史は得意分野なんで」
リアス「わかったわ。後はこちらで調整するから、決まったら教えるわ」
ひとしきり話し終えたリアスはさてと呟きながら別の方へ視線を向ける。
そこでは我夢達2年生組がバツの悪い顔を浮かべて正座していた。
今回起きた曹操の件、ガンQの件について報告してくれなかったからだ。
ちなみにロスヴァイセは旅行疲れで体調を崩し、自室で寝込んでいる。
リアスは半眼で問いかける。
リアス「何で教えてくれなかったの?ソーナは知っていたのよ?私達も大変だったけど、少しくらい相談して欲しかったわ」
『は、はい……』
リアスの言い分に我夢達6人はぐうの音も出なかった。
リアス達もグレモリー領で騒動があったので直接救援に向かうことは難しいが、話すことは出来たはずである。
少し眉間にしわを寄せる朱乃、小猫が続けて話す。
朱乃「そんな大変なことがあったなんて……。お仲間として頼って欲しかったですわ」
小猫「……水くさいです」
ギャスパー「ま、まあ、皆さん無事で帰って来れたのですから……」
ご立腹の2人を宥めるようにギャスパーは苦笑いで言う。
今回の件は反省すべき場面は多々あったが、こうして五体満足で帰って来れたのはそれはそれで良いものである。
そのことについてアザゼルはソファーで酒を嗜みながらフォローの言葉をかける。
アザゼル「京都妖怪の連中もXIGに加わったし、新しい仲間が加わったし、メシや観光も良かったしよ」
我夢「うんうん。それに九尾の女の子!可愛かったよね~。僕も妹がいれば、あんな子がいいなぁ~~」
アザゼル「お前がそんなこと言うなんて珍しいな。何だ?お前、もしかしてああいう幼女が好みなのか?」
ニヤニヤと冗談めいた口調で問いかけるアザゼルに我夢はハハッと笑いのけると、いやいやと手を横に振る。
我夢「よして下さいよ。僕は小さい女の子にそんな目を向けません。合意だとしても法律的にアウ───」
と笑いながら話していると、小猫の拳が腹部に炸裂する。
突然のことに皆はあっと息をのむ中、我夢は腹部の痛みに顔を歪めながら小猫に問いかける。
我夢「……ど、どうして……?何の恨みが……?」
小猫「……別に。何となくです」
そう短く答えると小猫はプイッとそっぽを向く。
小猫が怒っている理由は他の皆には大体わかるが、原因となった我夢には全く理解できなかった。
変な空気になる中、アザゼルはハハッと笑って切り替えると、リアスに──
アザゼル「まあ、悪いことばかりじゃねぇし今回は大目に見てやってくれ。大悟もいるしよ」
リアス「……そうね。今夜は大悟の歓迎でもあるし、今回の件についてはここでお終いにするわ」
アザゼルにそう呈されたリアスは頷く。
やや強引気味で話をまとめたが、とにかく今は新しい仲間が加わったことを喜ぶことにした。
駒王町から遠く離れた九州地方の熊本県。
夜空を包まれ、人里離れた山中にヴァーリとルフェイ、手懐けたフェンリルの姿があった。
ルフェイ「───以上、京都での活動報告でした」
ヴァーリ「ああ、ご苦労だった。わざわざここまで来てもらって悪いな」
ルフェイ「いえいえ~。大した距離ではありませんから」
ヴァーリの労いの言葉にルフェイは照れ臭そうに頬を緩める。
京都から熊本までかなり距離があるが、魔法使いである彼女なら一瞬のことだろう。
ルフェイは笑顔を保ちながら本題に切り込む。
ルフェイ「ところでヴァーリ様。見せたいものがあると仰ったですが……もしかして、
ヴァーリ「ああ。他の皆にはもう見せたが、お前にも見せておこうと思っていてな。───フェンリル」
フェンリル「ガウッ!」
ヴァーリの呼び掛けに応じたフェンリルは短く吠えると、近くの洞窟の中へ入る。
ヴァーリとルフェイもその後に連れて洞窟へ入っていく。
ルフェイの魔法で灯りを灯しながら進んでいく中、ルフェイはヴァーリに問いかける。
ルフェイ「ヴァーリ様。例のものを探すのにどうして、フェンリルが必要だったのですか?」
ヴァーリ「それは簡単さ。フェンリルはあらゆる神仏を一瞬で嗅ぎ付ける特性がある。それが3000万年も前であっても正確にだ」
ルフェイ「へぇ~~そうだったんですね」
ヴァーリの説明にルフェイは相槌を打つ。
今までロキからフェンリルをどうしても手に入れたい理由がわからなかったが、フェンリルの嗅覚を知り、ハッキリとわかった。
フェンリル「ガウッ!」
ヴァーリ「着いたみたいだな」
そうこうしていると前方にいたフェンリルが2人に知らせるように吠える。前方には拓けた場所が見えていた。
目的のものへ辿り着いたと察したヴァーリはフェンリルにその場で待機するように指示すると、ルフェイを連れて拓けた場所へ出た。
その場所は広々とした空間が広がっており、その広さは向こう側の壁が見えないくらいだ。
ルフェイはキョロキョロと辺りを見渡しながら着いていくと、ヴァーリは立ち止まる。
ルフェイも合わせて立ち止まると、ヴァーリは前方の上へ指差す。
ヴァーリ「ルフェイ。これが例のものだ」
ルフェイ「……ッ!?」
ヴァーリが指差す方へ視線を向けたルフェイは例のものが目に入った瞬間、言葉を失う。
果たして、視線の先にあったものは──────。
次回予告
※(イメージBGM:ウルトラマンダイナ次回予告BGM)
オカルト研究部に飛び込んできた依頼。
それはフェニックス家の三男、ライザーの再起だった。
猛特訓に明け暮れるライザーが目撃したのは侵略ロボットの建造現場だった。
次回、「ハイスクールG×A」
「蘇らない不死鳥」
お楽しみに!
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