ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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異次元人 ギランボ 登場!


EX「ハロウィンの夜に」 ※ハロウィン特別回

───10月31日 ハロウィンの夜。

 

夜空に浮かぶ満月のもと、人々がハロウィンで賑わう中、遥か上空──赤道上に位置する要塞エリアルベースでは我夢達は真剣な表情でモニターとにらめっこしていた。

 

エリアルベースでは地球の周りを飛ぶ衛星観察機で捉えたあらゆる気象現象、怪獣の出現などを瞬時に見ることが出来る。

三大勢力がこのシステムに関わっているので人間界だけでなく、天界や冥界なども見ることが可能だ。

 

逸れてしまったが、話を戻そう。

我夢達がこぞって集まっている理由は、モニターに表示されている冥界の上空には通常では考えられない磁場が発生しているからだ。

解析している我夢は不思議そうに声をもらす。

 

 

我夢「こんな強い磁場、初めてだ……」

 

石室「冥界とはいえ、ただの気象現象とは思えないな。怪獣の仕業と考えるべきか……」

 

 

椅子に座る石室はモニターを睨みながら呟く。

冥界にも気象はあるにはあるが、磁場が強まる現象は聞いたことがない。

行動に移すべきと判断した石室は席を立つと、我夢達は石室のもとへ集まる。

石室は皆の顔を見合わせると、指示を出す。

 

 

石室「冥界───アルイドで強力な磁場が発生した。様子を探ってきてくれ」

 

『了解!』

 

 

石室に敬礼した一同は一斉にコマンドルームを出た。

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって冥界。広々とした草原の中を一同は馬車で移動していたのだが───

 

 

一誠「んで?どうしてコスプレしてるんだ……?」

 

 

自身の衣装を見ながら一誠は疑問の声をもらす。

現在、何故か一誠は狼男の仮装をしていた。しかも一誠だけでなく、他の皆もそれぞれ仮装していた。

 

ちなみにリアスとアーシアは魔女。朱乃はミイラ。小猫は化け猫(仮装の意味あるかは不明)で、木場はフランケンシュタインの人造人間。

我夢はゾンビ、ゼノヴィアとイリナは吸血鬼。

ギャスパーは白い布に除き穴を開けたゴーストで、ロスヴァイセはゴーストを模したドレス。

そして、大悟はジャックオーランタンだ。

 

一誠の疑問に対して、リアスは宥めるように答える。

 

 

リアス「まあ、いいじゃない。これから行くところはハロウィンを毎年盛んに行う地域だし。いつもの隊員服で行って、『XIGだ!何事だ』って騒ぎ立てられるよりマシじゃない?」

 

朱乃「それに今夜はハロウィンですわ。楽しみにしている皆さんのお邪魔をする訳にはいきませんわ」

 

 

リアスに続けて朱乃がそう話すと、一誠はこの状況を受け入れる。

年に一度のイベント……それを邪魔されたら楽しみにしている人は嫌がるだろう。

 

しかし、朱乃の仮装は頭以外を包帯で巻いたものではあるが、胸元や太ももといった素肌が見えるとても際どいものであり、下手をすれば全裸になるかもしれないくらいだ。

更に朱乃自身のグラマーな体格を浮き出ているので、とても視線を向け辛い。

 

 

「お客さん。着きましたぜ」

 

 

そんなこんなで会話していると、馬車が止まると共に御者の声が聞こえてくる。

目的地に到着した一同は御者に料金を支払うと、ハロウィンが行われている町───アルイドに向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハロウィンの町アルイド。都市部から遠く離れたこの町では毎年10月31日の夜にハロウィンを催している。

ハロウィンの発祥の地とされており、人間界でのハロウィンはこれを真似たのではないかという噂もある。

 

人工は100人と少ないものの、全体の6割が子供で占めている。少子化が進んでいる昨今では貴重な存在であり、子供を喜ばせる意味でもハロウィンは行われているのだ。

 

ハロウィン仕様の装飾がされている町内を仮装をした子供達は駆け回る。

家の玄関の前に着いた子供達は「いっせーのーせー」とタイミングを合わせて口を揃えて言う。

 

 

『Trick or Treat!』

 

 

────お菓子をくれなきゃいたずらするぞ。その意味を持った魔法の言葉を言うと、玄関の戸が開き、中からニコニコ笑顔の大人がお菓子の入ったバスケットを手に出てくる。

 

 

「あら~!可愛い子供達ね!はい、みんなで分けてね!」

 

『ありがとう!』

 

 

お菓子を受け取った子供達は感謝を述べると、大盛り上がりしながらまた別の家へ向かっていく。

冥界といえど、人間界のものと変わりない伝統の作法とも言えるものだ。

 

しかし、楽しい雰囲気に呑まれてはいけない。

我夢達がここに来たのはあくまで調査の為だ。仮装したのも周りに溶け込む為の変装だ。

仕事と私情を分けて行動すべき、なのだが───

 

 

大悟「わーー!」

 

『わーーー!!』

 

 

大悟は年甲斐もなくはしゃぎ、子供達に紛れて追いかけっこをしている。

一緒に行動していたロスヴァイセも最初は大目に見てたが、明らかに私情ばかりを挟んでいる素振りしか見せないので注意をかける。

 

 

ロスヴァイセ「大悟君!遊びに来てるんじゃないんですよ?本来の目的を忘れないで下さい!」

 

 

ロスヴァイセの抗議の声に大悟はカボチャの被り物を外して、ニコッと微笑み、言い分を聞かせる。

 

 

大悟「ははっ、勘違いしないでよ。子供と仲良くするのも捜査のうち………うわぁぁ~!美味しそうなロリポップ!何処で貰ったの?」

 

 

話す最中、通りかかった女の子達が持つロリポップが目に入った大悟は尋ねると、女の子達は指を指す。

 

 

大悟「よし!僕も貰ってこ~よう!」

 

ロスヴァイセ「あっ、待って下さい!……もう!」

 

 

制止も聞かずに大悟はカボチャの被り物を被ると、女の子達が指差した方角へ走っていく。

取り残されたロスヴァイセはぷんすかと頬を膨らませる。

 

 

 

 

 

 

 

 

大悟が向かった先ではとんがった鼻に皺が入ったおぞましい魔女のマスクにとんがり帽子と黒いローブを着こんだ大人がいた。

近くのオレンジ色の風船がくくりつけてある荷台には、かご一杯のロリポップがこれでもかと積めてあった。

 

魔女は見た目通りのしわがれた声で呼び掛ける。

 

 

「夢がある子は集まっといで!夢をい~~っぱい持っている子には褒美に美味しいキャンディーをあげよう」

 

 

その呼び掛けに食らいついた子供達は一斉に魔女のもとへ集まっていく。

 

 

「おばあちゃん!ぼくにちょうだい!」

 

「わたしにも!」

 

魔女「ヒッヒッヒッ……はいよ」

 

 

囃し立てる子供に魔女は不気味に笑うと、ロリポップを子供達1人1人に渡していく。

ロリポップを貰うべく、子供達の後ろに並んだ大悟は子供のフリをして魔女に話しかける。

 

 

大悟「1ぽん、お~くれ」

 

「子供にしかあげないよ」

 

大悟「あ~~……そうなの、も~~う!」

 

 

あっさりと見破られた大悟はしょげると、カボチャの被り物を外し、トボトボとした足取りで離れていく。

すると、丁度通りかかった我夢と小猫に鉢合わす。

 

 

我夢「あ、大悟。今、何してた?」

 

大悟「いや、あそこのおばあさんからロリポップを貰おうって思ったんだけど、『子供にしかあげない』って」

 

我夢「はははっ!祭りとかそういうのになると飛び付く癖は変わってないみたいだね」

 

 

落ち込む大悟を見て我夢は笑いながら肩をポンポンと叩く。

普段、大悟は大人しいが祭りや季節行事(特に花見)になると、嘘のようにはしゃぐ癖があった。今も昔も変わらないところがあるのは安心するものである。

 

大悟は「いじるなよ」と笑い返していると、魔女の視線に小猫が映った。

視線に捉えた魔女はねだる子供達にロリポップを渡しながら小猫に近寄る。

 

魔女が子供と言えない16歳の小猫に近寄るのには理由があった。

小猫の体格は小学生くらい小さい。そう、同年代の誰よりも。

つまり、魔女は小猫を子供と勘違いしているのだ。

 

 

「おや?お嬢ちゃん、まだキャンディーを貰ってないみたいだねェ…」

 

小猫「……いえ、私は──」

 

「遠慮することはないよ。さぁ、たんとお食べ」

 

 

子供と勘違いされているとわかった小猫は断ろうとするが、ロリポップを魔女に押し付けるように渡されたので、渋々受け取る。

魔女は「ヒッヒッヒッ……」と不気味に笑うと、また新たにやって来た子供達のもとへ戻っていく。

 

小猫は困ったように首を傾げていると、その一部始終を隣で見ていた我夢は噴き出す。

 

 

我夢「ぷぷっ…!()()()()()()()か、あはははっ!!」

 

小猫「……」

 

ゴスッ!

 

 

自身を馬鹿にして腹を抱えて笑う我夢に当然頭にきた小猫はムッと眉をしかめると、我夢の足を力強く踏みつけた。

 

 

我夢「ッ、~~~!」

 

大悟「だ、大丈夫なの!?」

 

小猫「……大丈夫。当然の報いです」

 

 

足を抑えて悶絶する我夢を見て心配する大悟に小猫はムスッとしながらそう言う。

───しかし、どう見ても平気ではないのだが。そう思いながら苦笑する大悟が魔女の近くに立ててある鏡のモニュメントを見た時だった。

 

 

大悟「ッ!?(鏡に魔女が映っていない!?)」

 

 

魔女は今も子供達にロリポップを渡しているのだが、モニュメントには魔女の姿が映っておらず、子供達しか映っていなかった。

これを目撃した大悟は一気に怪しくなった魔女へ疑いの目を向ける。

 

 

「──ッ!さあ、今日は店じまい!どいたどいた!」

 

大悟「あっ!」

 

 

大悟の視線から自分が疑われているのを察したのか、魔女は荷台を押しながらそそくさと立ち去る。

明らかに不審な動きに更に疑念が深まった大悟は魔女の後を追っていく。

 

小猫は声をかける間もなく走り去っていった大悟に首を傾げていると、ロスヴァイセが後ろからやってくる。

 

 

ロスヴァイセ「小猫さん。大悟君は?」

 

小猫「……さっきまでいましたけど、向こうへ走っていきました」

 

ロスヴァイセ「もう!またどこかに行って!」

 

 

大悟がまたも遊びに行ったと思ったロスヴァイセはぷんすかと腹を立てる。

予想外の行動に腹を立てるのは真面目な彼女らしい。

 

大悟を過大評価し過ぎたと胸中にロスヴァイセがため息をついていると、未だ足を抑えて悶絶する我夢の姿が視界に映る。

 

 

ロスヴァイセ「あと、我夢君は一体何が───」

 

小猫「……気にしないで下さい。柱に足をぶつけただけですから」

 

ロスヴァイセ「……はぁ」

 

 

───どう見てもそのレベルではない。またもや小猫をいじったのだと察したロスヴァイセは深いため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハッ!ハーハッハッハッ……!」

 

 

暗闇に包まれる道を高々と笑いながら走って荷台を押す魔女を大悟は追いかける。

老婆とも思えない足の速さに驚く大悟だったが、必死に足を動かし、追い続ける。

 

 

大悟「?」

 

 

町から外れた森の中まで追跡していた大悟だが、森を抜けた先にある丘へ辿り着いた途端、魔女を見失ってしまう。

丘には立ち入り禁止の看板が立ててある柵があり、その先は断崖絶壁……という訳ではないが、傾斜が緩やかな坂が続いていた。

 

坂には身を隠せるような障害物が一切なく、まっ平らな地面が広がっているので、ここを通っているのならすぐ見つかるだろうし、荷台を押して通ることは不可能だ。

荷台を捨てさえすれば逃げられるだろうが、その荷台は何処にも見当たらない。

 

 

大悟「……ッ!?」

 

 

大悟はキョロキョロと辺りを見渡していると、坂の平坦な場所に霧と共に突如として黒レンガの家が現れた。

北欧の地域にありそうな趣をしている家の窓からは光が漏れており、中に人がいることが伺える。

玄関の灯りはまるで大悟を誘うように揺らめいている。

 

 

大悟「行くしかないか」

 

 

意を決した大悟は懐から支給されたXIGハイパーガンを手に取ると、慎重な足取りで坂を下り、扉のドアノブに手をかける。

ドアノブを回しながら扉を押すと、扉はギィィ…と古めかしい音を立てながら開いていく。

大悟は周囲を警戒しながら家の中へ入っていく。

 

中は外観と違って埃まみれであり、辺り中クモの巣だらけで洋風な家具やつぼ、すぐ近くの階段の隣に設置されている甲冑にまで張り巡らされている。

 

 

───ヒッヒッヒッ……

 

大悟「ッ!」

 

 

階段から魔女の笑い声がこだまのように聞こえてきた大悟はXIGハイパーガンを構えて階段をかけ上がっていく。

 

階段をかけ上がった大悟は飛び出ると、左右に銃口を向けて構えるが、魔女の姿はなかった。

どこにいるんだと神経を研ぎ澄ましていると、奥の扉が風を受けたよえにギィィと物音を立てて開いた。

中からは魔女の笑い声が聞こえる。

 

 

───ハッハッハッ……!

 

大悟「そこかッ!」

 

 

駆け出した大悟はその扉の前で銃口を向ける。

だが、魔女の姿はなく、そこにあるのは目映い光に包まれた真っ白な空間だけだった。

家の一室にしては違和感しかない空間に不気味すら思えるが、大悟は勇気を振り絞って中へ進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大悟「(どこだ…!ここは……)」

 

 

部屋に入った大悟は自分の目が信じられなかった。

家の一室に入ったつもりだが、いつの間にかどこかの公園に来ており、近くにはブランコやジャングルジムといった遊具が設置されている。

 

しかし、現実の公園でないことはわかる。

砂が敷き詰められている地面には玩具が辺り一面散乱しており、現実の公園だったらまずあり得ない光景である。

 

 

ギィィ…

 

大悟「ッ!」

 

 

大悟が周囲を見渡していると、入ってきた扉が閉まろうとしていた。

嫌な予感がして閉まる前に脱出しようとするも、扉は閉まり、スゥ…と蜃気楼のように消滅した。

 

 

───アハハ……アハハ……

 

 

この奇妙な空間に閉じ込められた大悟はどうしようかと考えようとした矢先、今度は子供の笑い声が聞こえてくる。

大悟は声のする方へ走ると、サーカスのピエロのような帽子を被った3人の子供が体操座りでうずくまっていた。

 

 

大悟「おーい。僕たち──ッ!?」

 

 

優しく声をかけた大悟だったが、反応して振り向いた子供達の顔を見て唖然とする。

子供達の顔は真っ白だった。まるでペンキで白塗りしたように生気が感じられない程に真っ白だったのだ。

大悟が固まっていると、子供達は何かから逃げるように走り去っていく。

 

 

大悟「おい、どうしたんだ……ッ!」

 

 

その行動を訝しげに思った大悟は問いかけようとするが、頭上を巨大な影が覆う。

振り返ると、そこには星空のようにキラキラと輝いた青い単眼を持ち、ハロウィンカラーの体色をした怪人が大悟を嘲笑っていた。

大悟は驚きつつもXIGハイパーガンで攻撃しようとするが──

 

 

「ハッハッハッ……!」

 

大悟「うわぁあぁぁぁーーーーッ!!」

 

 

その前に宇宙人の眼から紫色の光線が直撃する。

大悟は自身が苦痛の叫びをあげたことを最後に意識を失った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢「ここが磁場の中心源ですね」

 

 

一方、大悟が消えた丘ではリアス達と合流した我夢がXIGナビを通して石室と連絡していた。

 

 

《石室「何か変わったところはあるか?」》

 

我夢「いえ、地下をスキャンしても特に怪しいものは見つかりませんでした」

 

小猫「……気で探知しても異常はなかったです」

 

《石室「そうか。町の方は?」》

 

朱乃「何も。町人もみんな楽しそうにしてましたわ」

 

 

それらの報告に石室は頷く。

強力な磁場が発生しているので何者かが起こす前兆かと思っていたが、それも杞憂だったかもしれない。

そうとわかった石室は皆に指示を出す。

 

 

《石室「……わかった。念の為、町人が全員家に帰りつくまで警戒してくれ」》

 

『了解!』

 

 

皆は一斉に返事をした。

石室との通信が終了すると、リアスは立体地図を取り出すと指を指して細かな指示していく。

 

 

リアス「みんな、今から町に戻って警備するわよ。私とイッセー、アーシアはN地区を担当するから、イリナさんとゼノヴィア、ギャスパーはE地区、我夢と小猫、朱乃、裕斗はW地区。そして、S地区はロスヴァイセと大悟に任せるわ」

 

『了解!』

 

返事をした皆はさっそく持ち場に着こうとするが、リアスがキョロキョロと辺りを見渡しているのが引っ掛かり、足を止める。

ギャスパーは首を傾げながら尋ねる。

 

 

ギャスパー「ど、どうしたんですぅ?」

 

リアス「ええ。大悟が見当たらないって思って……」

 

ロスヴァイセ「さっきまで私といたんですが──ひゃっ!?」

 

大悟?「……」

 

 

皆がどこにいったのだろうと思う最中、ロスヴァイセの背後からカボチャの被り物をした大悟?がのそっと現れた。

流石に頭にきたロスヴァイセは大悟?に説教する。

 

 

ロスヴァイセ「こんなときに悪ふざけはよして下さい!勝手にいなくなったと思ったら勝手に出てきて……!」

 

リアス「まあまあ、ロスヴァイセ。無事だったなら良かったじゃない。さあ、いきましょう」

 

小猫「……待ってください」

 

 

リアスが丸く収めて持ち場に行こうとした時、小猫が待ったをかける。

皆が怪訝に思った矢先、小猫は大悟?の頭を殴り付けた。

 

 

『!?』

 

 

小猫の拳を受けた大悟?はカボチャの被り物が歪み、その場でスッテンコロリと倒れる。

突然の行動に皆は目を丸くして小猫を問い詰める。

 

 

我夢「何を!?」

 

小猫「……見てください」

 

『?……ッ!?』

 

 

答えはこれだと言わんばかりに小猫が指差す方へ皆は顔を向けると、目を見開く。

倒れていた筈の大悟の身体はなく、仮装だけが脱け殻のように転がっていた。

これが指し示す事実はただ1つ───衝撃が走った皆は一斉に身構える。

 

 

一誠「部長。これって、つまりこういうことっすよね?既に()()()()()()()()()()()って」

 

リアス「その通りよ」

 

 

一誠の考えにリアスは頷く。

大悟は敵にやられた。つまり、敵はすぐ近くにいるということは明白だった。

 

 

──ヒッヒッヒッ……!

 

 

緊張が走る中、木陰からしわがれた笑い声と共に魔女の影が飛び出す。

飛び出した影は素早い動きでグルグルと回り、我夢達を取り囲む。

 

リアスにアイコンタクトで指示を受けた木場は頷くと、感覚を研ぎ澄まして本体を見極めると、影に向かって聖魔剣を振り下ろした。

 

 

木場「はあッ!!」

 

「ぎゃんッ!?」

 

 

振り下ろされた斬撃は見事本体に命中。肩を斬られた魔女は悲鳴を上げながら転がっていく。

それと同時に我夢達を取り囲んでいた影も消滅した。

 

 

「ッ!」

 

木場「動かない方がいいよ」

 

 

起き上がった魔女は逃げようとするが、首もとに木場の聖魔剣を向けられ、牽制される。

その隙に歩み寄ったリアスは見下ろして話しかける。

 

 

リアス「ごきげんよう。あなたね?この町に強力な磁場を発生させた犯人は」

 

「……」

 

リアス「黙りこくってもいいわ。別に後でじっくりと聞かせてもらうから。自ら出てくるなんて油断大敵だったわね?さて、送られる前に何か言うことは?」

 

 

リアスが転送用の魔方陣を展開しながら尋ねる。

すると、魔女はヒッヒッヒッと不気味に笑うと、我夢達に向かってこう言った。

 

 

魔女「……油断大敵とは()()()()()()かね?」

 

『!!?』

 

 

その瞬間、我夢達の足下が沼のようにぬかるむと、沈み始めた。

皆は何とか逃れようともがくが、沈む勢いは増すばかりだ。

その隙に逃れた魔女は嘲笑いながら話す。

 

 

「ヒッヒッヒッ……!無駄無駄。その沼はもがけばもがく程沈んでいく底なし沼だよ」

 

我夢「くっ!」

 

一誠「このっ!」

 

 

我夢と一誠は互いの変身アイテムを取り出し、ウルトラマンに変身しようとする。だが──

 

 

「おっと!ズルはいけないねェ~」

 

我夢「ガ、ガム!?」

 

一誠「チョコになっちゃった」

 

 

魔女が指先から放った橙色の光線でエスプレンダーはガムに、リーフラッシャーは板チョコに変えられてしまった。

頼みの綱が消えてしまった我夢と一誠は落胆する。

 

 

「精々頑張りな!ハッハッハッーーー!!」

 

 

去り際に魔女はそう告げると、笑い声を響かせ闇夜に消えていった。

残された我夢達だが、すでに胸元まで地中に浸かっていた。

助けを呼ぼうにも人里から離れたこの丘には誰も通らないだろう。

 

 

「「昇格(プロモーション)!『戦車(ルーク)』!」」

 

ロスヴァイセ「きゃっ!」

 

小猫「……ッ!」

 

ギャスパー「ひぃやっ!?」

 

 

──それでも何とかしよう。一誠と我夢『戦車(ルーク)』に昇格すると、近くにいたロスヴァイセ、小猫とギャスパーを地上へ投げ飛ばす。

その反動によって2人は沈む勢いが増していく。

 

 

小猫「先輩!」

 

我夢「来るな!」

 

 

我夢は自身を助け出そうとする小猫を呼び止める。

小猫が立ち止まる中、我夢とリアスは3人に指示を出す。

 

 

我夢「僕達のことはいい。それよりも他のみんなにこのことを伝えるんだ」

 

リアス「3人共、助けを呼んで磐石な体制を整えてから魔女を探して!」

 

「「「はいっ!」」」

 

 

既に顎近くまで浸かっているのにも関わらず全く取り乱さず指示を出す……。揺るがない彼らの姿勢に3人は頷くと、町の方へ駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大悟「……?」

 

 

その頃、目を覚ました大悟は辺りを見渡した。

周りは遊園地のメリーゴーランドのように煌やかなイルミネーションが照らされた幻想的な部屋であり、どこからか『10人のインディアン』のオルゴールが流れている。

大悟は下着以外全て取られ、部屋の中心にあるカプセルの中に閉じ込められていた。

大悟は何とか脱出しようと叩いたり揺らしたりするが、カプセルはひび1つ入らずビクともしない。

 

 

「ランララランラン、ランランランラン……♪」

 

大悟「?」

 

 

奮闘する中、大悟の耳にオルゴールの音色に合わせて口ずさむ男の子の声が聞こえてくる。

そちらへ視線を向けると、口ずさみながらメリーゴーランドで乗る馬に跨がっている男の子と近くの大理石のテーブルにスパークレンスとXIGハイパーガンが置かれていた。

 

 

大悟「はぁ…」

 

 

大悟は頼みの綱が没収されているのを目にし、コツンとカプセルに額をぶつける。

落胆していると、入口らしき扉がギィィと開き、魔女が軽快なスキップをしながら入ってくる。

 

 

大悟「おい!お前は誰だ!ここはどこだ!おい!おいッ!」

 

 

問い詰める大悟を無視して子供に近寄ると、顎を掴んで自身に顔を向けさせる。

強引なやり方にも関わらず男の子は全く気にせず口ずさみ続けている。

すると、男の子の背後の壁に埋め込まれてある幾つものテレビが点き、お菓子や玩具などの映像が切り替わりながら映る。

 

 

大悟「やめろッ!子供に触るな!」

 

 

大悟の制止を無視して魔女は自ら着けている仮面を上へずらして口元を露にして、ストローで吸い込むように口をすぼめる。

 

すると、子供の耳から飛び出た虹色に輝く液体状の光をゴクゴクと喉を流しながら飲んでいく。

それと同時にテレビの映像が1つ1つノイズが走ったものになっていき、子供の顔も次第に生気を失っていき、声も小さくなっていく。

 

 

大悟「やめるんだ!その子から離れるんだッ!」

 

 

大悟の制止に耳もかさず液体を飲み終えた魔女は仮面を元の位置に戻す。

耳から液体が全て抜かれた子供はガクリと馬の上に項垂れ、テレビも全てノイズが走ったものになった。

 

魔女はワインを手に取り近くのグラスに注ぐと、またもや仮面をずらしてワインを飲む。

先程の一部始終を目の前で目撃した大悟は怒気を強めて問いかける。

 

 

大悟「何をした?子供に何をしたんだ!?」

 

「夢をぜ~~んぶ吸いとった」

 

大悟「馬鹿な!?夢を返せ!その子の夢は、全部その子のものなんだ!!おいッ!!」

 

 

飲み干した魔女はグラスをそこら辺に投げ飛ばすと男の子に歩み寄り、頭を掴んで顔をあげさせる。

男の子の顔は先程大悟が捕まる前に出会った子供のように真っ白になっていた。

魔女は鼻で笑う。

 

 

魔女「……子供に夢はいらないよ。どうせ大人になるまでに人形や玩具のように、夢を捨ててしまうのさ」

 

大悟「!?」

 

 

魔女が男の子の頭上を覆うように腕を振るうと、男の子は忽然と姿を消した。

この光景に大悟は眉間にしわを寄せ、怒鳴るように問う。

 

 

大悟「子供をどこにやったッ!!」

 

「夢の墓場に捨てたのさ。ヒッヒッヒッ……!」

 

大悟「夢の墓場?さっきの公園のことか!……ッ!」

 

 

ピンと来た大悟だが、足下から煙が籠っていく。

咳き込む大悟に魔女は入口に向かって歩きながら独り言のように話す。

 

 

「大人はいらない。大人の腐った欲望吸っても、腹を壊すだけさ。ハッハッハッ……!」

 

大悟「待て!おいっ!待てぇぇーーーッ!!ゴホッ、ゴホッ…!」

 

 

呼び止める大悟を無視して魔女は部屋から出ていった。

カプセルに充満されていく煙に息は苦しくなっていき、咳き込む頻度も増していく。

大悟は咳き込みながら外の大理石の机にあるスパークレンスを眺める。

 

 

大悟「……ッ」

 

 

───あれに届きさえすれば!脱出したい大悟の願いと相反して煙は大悟を覆い隠す程に放出されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───深夜0時。健全な子供なら寝静まるこの時間。

日も変わったこの時間。オルゴールの音色がアルイド中に鳴り響くと、子供達は一斉に眼を覚まし、ベッドを抜け出して裸足のまま夢遊病のように外へ歩き出した。

 

 

ニュウゥゥ……

 

 

丁度その時、丘の立ち入り禁止区域から巨大なジャックオーランタンが現れた。

子供達はそれに向かって歩いていく。

 

 

ギャスパー「あ、あれって!」

 

「「!?」」

 

 

町へ降りる道中、ギャスパー、小猫、ロスヴァイセは1列に並んだ子供達が丘に現れた巨大なジャックオーランタンに入っていく光景を目撃する。

その中には大悟にロリポップを貰った場所を教えた女の子2人もいた。そのことからロスヴァイセは合点がいった。

 

 

ロスヴァイセ「あの魔女、キャンディーを食べた子供達を操っているんだわ!」

 

小猫「……止めないと!」

 

 

3人は頷くと進路を町から森へ変えて走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丘に子供達が集まっていく中、ジャックオーランタンの頭上に魔女がオルゴールを手に現れると、子供達を誘導する。

 

 

「さぁ、みんな!パンプキンに乗って、夢の国へ行こう!ハッハッハッ……!!」

 

 

夢の国など当然なく、ただ魔女の食事になるだけ。

魔女の思惑も知らず、子供達は次々とジャックオーランタンの口の中へ入っていく。

その光景を魔女は躍り狂うように笑う。

 

その時、駆け付けたロスヴァイセと小猫は子供達に呼び掛ける。

 

 

ロスヴァイセ「目を覚まして!しっかりして下さい!」

 

小猫「……騙されないで!あれは罠」

 

「いーやー!」

 

「やめてよ!はなして!」

 

 

2人の必死の制止に反して子供達は嫌がり、尚もジャックオーランタンへ入ろうとする。

子供の悲鳴が上がる中、見下ろしている魔女は2人を指差して言い放つ。

 

 

「ほれ見ろ!大人は敵だ!大人はいつでも子供の邪魔をする!夢も自由もぜ~~~んぶ、大人が子供から奪っていく!」

 

ギャスパー「貰います!」

 

「…アッ!?やめろっ!」

 

ガッシャァーーーアンッ!!

 

 

魔女の隙をついてコウモリに変身していたギャスパーは変身を解除して魔女からオルゴールを奪い取ると、オルゴールを床へ叩き壊す。

オルゴールは音色を奏でることなくピタリと止んだ。

 

 

「ちっ!」

 

 

不味いと判断した魔女はマントを翻して姿を消した。

 

 

「いやだーー………あれ?」

 

「なにしてたんだろ?」

 

 

オルゴールが止まったことで正気に戻った子供達は一斉に首を傾げる。

3人がホッとひと安心する中、子供達が目にするのは目を怪しく光らせる巨大なジャックオーランタンだ。

ロスヴァイセは叫ぶ。

 

 

ロスヴァイセ「みんな逃げてッ!!」

 

『きゃーーーーーッ!!』

 

 

一拍空けて子供達は悲鳴をあげながら丘の上へ逃げていく。

走り慣れない子供は小猫やロスヴァイセが抱えて一緒に避難する。

 

 

 

 

 

 

大悟「……ゴホッ…ゴホッ…!」

 

 

その頃、オルゴールが壊れたことにより大悟が閉じ込められていたカプセルのロックが解除された。

大悟は咳き込み床に突っ伏しながらカプセルから抜け出す。

 

 

大悟「うぅっ……くぅぅ……」

 

 

痺れた体を押しながら大悟は机にあるスパークレンスへ手を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロスヴァイセ「落ち着いて。1人1人対応しますから!」

 

小猫「大丈夫」

 

ギャスパー「こ、こっちですぅ!!」

 

 

何が起きてるかわからない恐怖と不安で子供達の悲鳴があげる中、ロスヴァイセと小猫は宥めると、ギャスパーが先頭する方へ避難させていく。

避難を続ける最中、巨大なジャックオーランタン型の魔女のアジトは地中に溶け込むように沈んでいく。

魔女の力によって空間を歪ませ、次元を移動しようとしているのだ。

 

 

「「……ッ」」

 

 

その光景にロスヴァイセと小猫は悔しげに歯を噛み締める。

逃亡を阻止する為にギャスパーが眼で停止させようと試みたが、次元を移動する能力には干渉出来ないのか全く効果がなかった。

 

その他には攻撃するしかない。

しかし、巨大な物体の動きを止める程の火力となるとかなりのものであり、中に捕らわれている子供達もただではすまないだろう。

目の前で逃亡する相手に手を出せない状況が悔しくて仕方がなかったのだ。

 

2人が無念に思う中、ジャックオーランタンはついに頭まで浸かった。

最早、これまで。誰もが思った矢先、ジャックオーランタンはピタリと制止した。この異変に皆は怪訝な顔を浮かべる。

刹那───

 

 

ティガ「チャッ!」

 

 

地中から大悟が変身した光の巨人───ウルトラマンティガがジャックオーランタンを頭上で抱え上げて浮上した。

ロスヴァイセはすがるように叫ぶ。

 

 

ロスヴァイセ「ウルトラマンティガ!みんなを助けてーーッ!!」

 

ティガ「……」

 

 

ロスヴァイセの願いを聞き届けたティガは静かに頷くと、ジャックオーランタンを地上に下ろす。

 

 

「ヒッヒッヒッ……!」

 

 

その時、ジャックオーランタンの口から箒に跨がった魔女が高笑いしながら飛び出す。

地上に降り立った魔女は振り向き様に箒を捨てると、ティガを見上げる。

 

 

「おのれェェェ~~~~~!!」

 

 

恨めしい声を出しながら魔女は鋭い目付きで睨みながら手を震わせる。

すると、魔女の体は変形していきながら巨大化していき、その正体を明かした。

 

光り輝く青い単眼に角のように尖った左手を持ち、ハロウィンを彷彿させるカラーリングの体色を持った魔女の本性。異次元人『ギランボ』だ。

 

 

ギランボ「ポォォワリポォォワリ……」

 

ティガ「チャッ!」

 

 

ギランボは電子音に似た独特の鳴き声をあげながら身構えると、ティガも合わせてファイティングポーズを構える。

人工の満月の下で照らされながら両者は出所を伺う。

少しの沈黙の後、一斉に駆け出す。

 

 

ギランボ「ポォォワリポォォワリ……」

 

ティガ「チャァッ!」

 

 

その勢いを活かしてギランボとティガは下向きのかかと回し蹴りをぶつけ合う。

すぐさまティガは水平チョップを繰り出すがギランボの腕に防がれ、払いのけられると、胸元に左右交互の連打を叩き込まれる。

ギランボは追い討ちに飛び上がってチョップしようとするが──

 

 

ティガ「チャッ!」

 

ギランボ「ッ!」

 

ティガ「チャァッ!」

 

 

ティガに腕で防がれ、生じた隙に放たれたキックを受けてバランスを崩し地面に倒れる。

負けじとギランボはすぐさま起き上がり、身構える。

 

 

ティガ「チャッ!」

 

 

ティガは助走をつけて前進しながら蹴りを放つが、ギランボは足を開脚して横へ飛ぶといったややコミカルな動きで回避する。

 

 

ティガ「フッ!ハッ!」

 

ギランボ「ポォォワリポォォワリ……」

 

ティガ「ッ!チャッ!」

 

 

ティガはパンチを繰り出すが受け流したギランボに腕を腕を抑えつけられる。

すぐさまティガは蹴り上げて飛び退かせると、飛び込むかの如くに掴みかかる。

ハサミの持ち手のような頭の突起物を掴み──

 

 

ティガ「チャッ!!」

 

ドォンッ!

 

 

巴投げの要領で豪快に地面へ投げ飛ばす。

ティガは地面に叩きつけられた衝撃でジタバタと手足を動かしているギランボに追い討ちをかけるべく馬乗りになると、右の拳を2発打ち込んだ後、前転して離れる。

 

 

ティガ「ハッ!」

 

 

ティガは起き上がったギランボへかかと回し蹴りを放つ。

ギランボは背を腰の位置で垂直になるまで反らして回避すると、空振りで体勢を崩したティガの首もとに掴みかかる。

 

 

ティガ「…ッ」

 

ギランボ「ポォォワリポォォワリ……」

 

 

襲いくる首の圧迫感にティガは苦しみつつも腹部にエルボーを3発打ち込んで怯ませると首を絞めていた手を振り払って同時に掴む。

 

 

ティガ「チャーーーーッ!」

 

 

持てる限り力を込めて、思いっきり前方へ投げ飛ばした。

ギランボは宙で一回転して綺麗に着地すると、振り向き直す。

 

 

ティガ「フッ!チャッ!!」

 

フッ……

 

 

身構えたティガは助走をつけて前方に跳躍。その勢いのまま飛び蹴りを放った。

しかし、蹴りが直撃する寸前、ギランボの姿は一瞬のうちに消えた。

 

 

ドシャアァァン!

 

 

対象を失ったティガの蹴りは宙を切り、そのまま正面にある木々に突っ込んだ。

ティガの重い体重に耐えきれない木々は押し潰される。

 

 

ティガ「ッ!……?」

 

 

立ち上がったティガはすぐさま身構えるが、ギランボの姿がどこにも見当たらない。

ティガが辺りを見渡していると、ギランボは物音立てず背後に現れ、ティガに鋭利な左手を振り下ろす。

 

 

───ヒッヒッヒッ……!

 

ティガ「ヂャァッ!?」

 

 

気配に気付いたティガだがもう遅く、振り向き様に胸元に一撃をくらう。

思わず怯んだティガにギランボは同じ箇所に蹴り込む。

だが、ティガも負けじとその足を掴むと、思いっきり後方の地面へ投げ飛ばす。

 

 

ギランボ「ポォォワリポォォワリ……」

 

フッ……

 

 

ギランボが立ち上がった瞬間を狙い、ティガは蹴り込む。

しかし、またもや姿を消したギランボに避けられてしまう。

 

 

───ヒッヒッヒッ……!

 

 

魔女の不気味な笑い声が響く中、ティガは摺り足で歩きながら辺りを見渡して消えたギランボを探す。

ギランボはティガの背後に現れると忍び足で物音を立てないようにゆっくり近付く。

 

 

ティガ「……フッ!」

 

 

気配に気付いたティガは身構えながら振り向くが、ギランボは三度姿を消した。

 

 

───ハッハッハッ……!

 

ティガ「ッ!……!!?」

 

 

また隠れんぼをするのかと思った矢先、背後にギランボが現れた。ティガが身構えると、思わず肩を竦めた。

ギランボは1人、また1人と分身し、あっという間に6人のギランボが取り囲んだのだ。

どこからか『10人のインディアン』のオルゴールが脳裏に流れてくる。

 

ティガが動揺して固まっていると、6人のギランボは一気に攻め立てた。

 

 

ティガ「チャッ!?」

 

 

ティガも反撃しようとするも本体と分身体がコロコロと入れ替わるせいで対応しきれない。

次々と繰り出される攻撃の嵐にティガは何度も地面に倒れるのを繰り返す。

最後の一発とばかりに胸元へ力強く蹴り込まれたティガはその場に膝をついた。

 

 

ティガ「……ッ」

 

[ピコン]

 

 

肩で息をするティガと同様に胸元で青く輝くカラータイマーも苦しそうに赤く点滅し始めた。

 

 

────ハハハ……!ハッハッハッ……!!

 

 

ギランボはティガの苦しむ様を高笑いしながら、円陣を保ったままクルクルと回って更に追い込む。

ティガは目で追おうとするが、素早い速度なので翻弄される。

 

 

ティガ「……ハッ!」

 

 

──目で追うな、冷静になれ。内心自身に言い聞かせたティガは混乱する頭を振り払って立ち上がると、額のティガクリスタルの前で両腕を交差させる。

ティガクリスタルが黄色に輝かせ、ティガは交差させた両腕を突き出して振り下ろすと、胸元のカラータイマーが目映い光を発する。

 

 

────ハハハ……!ハッハッハッ………ハ?

 

 

すると、どうだろう。ティガの周りを取り囲んでいたギランボの分身体は次々と消滅していき、最後には戸惑う本体だけが残った。

 

 

ティガ「チャッ!チャッ!ヂャァッ!!」

 

 

ティガはすかさず本体に右、左、右と蹴りを打ち込むと、右足のストレートキックを胸元へ放つ。

反撃のラッシュにギランボは地面に倒れる。

 

 

ティガ「ッ、チャーーーーーッ!!」

 

ギランボ「ポォォワリポォォワリ…」

 

 

ギランボの両足を脇で挟んで抱えたティガはそのまま巴投げの要領で空高く投げ飛ばす。

ギランボはジタバタと手足を動かしながら夜空へ飛んでいく。

 

 

ティガ「ハッ!!」

 

 

間髪入れずティガは突き出した左の掌から黄色の光線───『ウルトラフィックス』を放つ。

背中に直撃したギランボは固まり、宙で停止する。

 

 

ティガ「ヂョアッ!!!」

 

 

ティガは突き出した両腕を交差させて紫色の軌跡を描くと共にエネルギーを溜めると、両腕をL字に構えてゼペリオン光線を放った。

白色の光線はギランボに命中し、紫色のスパークが放出されると、粒子となって消滅した。

 

 

キラキラ……

 

 

ギランボが倒された場所で光が発するとオーロラが現れた。

オーロラから降り注ぐ光の粒子はギランボのアジトに捕らわれた子供達を解放し、蒼白だった顔も奪われた夢も戻ってきたことで健康のある顔色になった。

 

 

ロスヴァイセ「子供達が……!」

 

ギャスパー「よかったぁ~……」

 

 

子供達が無事戻ってきたことにロスヴァイセ、ギャスパー、小猫はほっとひと安心する。

 

何してたんだと子供達が辺りを見渡していると、近くで見下ろしているティガの姿を見つけた。

 

 

「あ!ウルトラマンティガだ!」

 

「ありがとう!ティガーーー!」

 

「ありがとー!」

 

ティガ「……ヂョアッ!」

 

 

手を振って笑顔で感謝する子供達にティガは静かに頷くと両腕を広げて大地を蹴り、遠い空へと飛んでいった。

ティガが飛んでいった方角からは悪夢の終わりを告げるように地平線から朝日が昇っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアス「ふぅ……助かったわ」

 

 

ギランボが倒されたことで地中に埋められていたリアス達も地上へ解放された。

皆、土の味を味わったせいかもう地中に入るのは二度とごめんだとこりごりしていた。

 

 

我夢「今回、僕達全く活躍出来なかったな~」

 

大悟「まあまあ、この冥界の宝物が守れたんだし。“子供達の夢”っていう宝物が」

 

一誠「そうだなー。あー何かもう疲れたぜ。戻ったらたっぷり寝て、夢を見ようぜ」

 

 

一誠の意見に皆は口を揃えて『賛成』と言うと、帰路に着こうとした時、XIGナビから石室がこう言う。

 

 

《石室「それはいいが、お前達。今日は登校日じゃなかったのか?」》

 

『あ』

 

 

その一言ですっかり忘れていた我夢達はポカンと口を開ける。

日付が変わって11月1日になった今日は平日の月曜日。

夢から現実に戻された皆(特にイリナと一誠)は落胆する。

 

 

イリナ「えぇ~~!私達、夢も見られないの?」

 

朱乃「夢を実現するにはまず現実に向き合え、ということですわね。ふふっ♪」

 

一誠「えぇ~~!そんなぁぁ~~~!」

 

 

更に落胆する2人に皆は朝日を背に笑いあうのだった。

 

 

 




Happy Halloween!
皆さんも夢を奪われないように気をつけて下さいね♪

相棒にしたい怪獣は?

  • ピグモン(ウルトラマン)
  • セブンガー(ウルトラマンレオ)
  • ミラクロン(ウルトラマンゼアス2)
  • マキーナ(ウルトラマンティガ)
  • リドリアス(ウルトラマンコスモス)
  • シェパードン(ウルトラマンギンガS)
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