ハイスクールG×A   作:まゆはちブラック

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知略宇宙人 ミジー星人
三面ロボ頭獣 ガラオン 
大超獣 ジャンボデューク 
最強超獣 ジャンボキング 登場!


第59話「蘇らない不死鳥」

我夢達が修学旅行から帰ってきて間もない頃。

オカルト研究部に珍しい客人が訪れていた。

 

 

リアス「ライザーについて?」

 

 

リアスの問いかけに対面で座るドレスを着こんだ少女は頷く。2つ編みにした髪の端を縦ロールにした金髪が特徴の少女。

 

皆、覚えているだろうか。

 

そう、彼女は悪魔貴族フェニックス家の三男──ライザー・フェニックスの妹のレイヴェル・フェニックスである。

 

レイヴェルは朱乃から出されたお茶を一口飲んで口内の渇きをリフレッシュさせると、神妙な面持ちで話す。

 

 

レイヴェル「……はい。兄があの一件……リアス様との婚約が破談された以来、ふさぎ込んでしまったのはお耳に届いているかと思いますが………」

 

 

一学期の頃、元々ライザーとリアスは親同士が取り決めた許嫁の関係であったが、それを望まないリアスを守る為に我夢達は戦った。

色々あったものの最終的にはウルトラマンダイナに覚醒した一誠の活躍によって婚約は破談。

それ以降のライザーは負けたことがトラウマとなり、酷く落ち込んだのだが、半年近く経ってもなお続いている模様だ。

 

2人の会話を他の皆は部屋の端で聞いていた。

その話題に我夢や一誠、朱乃、小猫、木場、アーシアといった当時を知るメンバーには懐かしさを覚えた。

その一方、ゼノヴィア、イリナなど面識がない者らには疑問符を浮かべていた。

 

 

ゼノヴィア「……ライザーか。話には聞いているが……」

 

イリナ「アーシアさん。どんな人なの?」

 

アーシア「はい。えーと、フェニックス家の三男で───」

 

 

尋ねるイリナに応じてアーシアは他の面識がないメンバーにライザーの人物像やリアスとの関係から事の顛末について全て話す。

 

 

ギャスパー「僕が閉じ籠っている間、そんな大変なことが起きてたなんて……」

 

ロスヴァイセ「悪魔社会は複雑ですね。でも、貴族社会は」

 

イリナ「でもでも、大切な人の為に変身するなんて憧れるわ~♪」

 

 

ギャスパーは複雑そうな顔を浮かべ、ロスヴァイセは冷静に分析しながら、何かの企むように思考を張り巡らせる。

イリナはロマンチックな展開にすっかり感激に浸っている。

 

 

小猫「……自らここに来るなんて……。本当に困っているのかも」

 

我夢「確かに……」

 

 

小猫の呟きに我夢は相槌を打つ。

相談なら別に遠隔で通話できる手段でも出来るし、わざわざここに来ることはない。

しかし、直接相談で来たということはそれほどライザーの状態は深刻なのだろう。それを証拠にレイヴェルはいつもの高飛車な態度はなりを潜めている。

 

神妙なレイヴェルにリアスは話しかけ辛そうにしながらも慎重な口振りで尋ねる。

 

 

リアス「ライザーは……あれから立ち直れてないのね」

 

レイヴェル「…はい。あの件以降、兄は立ち直るどころか更に悪化して部屋から一向に出なくなってしまったのです。やることといえば部屋の中で1日中レーティングゲームの妄想に浸っているか、チェスの強い領民を呼び寄せて一局打つ繰り返しばかり……。酷い“ウルトラマン恐怖症”ですわ……」

 

リアス「“ウルトラマン恐怖症”?」

 

レイヴェル「はい。お抱えの医師が診断した精神病で、イッセー様が変身なさるウルトラマンダイナに負けたことがキッカケなのだと。そのせいでウルトラマンの姿だけでなく、“ウルトラマン”の“ウ”の字を聞くだけでも震え上がってしまいますのよ……」

 

一誠「何か悪いことしたな……」

 

 

ライザーの現状に叩きのめした張本人である一誠は苦い顔を浮かべる。

勿論、婚約が破談したのは女癖が悪かったライザーの自業自得なのだが、心身共に酷いとなれば負い目すら感じる。

そんな一誠の言葉にレイヴェルは首を横に振る。

 

 

レイヴェル「いえ、イッセー様は悪くないですわ。むしろ、兄の方に問題がありますわ!大体ですね、情けないんですよ!一度くらい負けたくらいで半年もビクビク、ビクビクと怯えて……!あれからレーティングゲームにも参加してませんし、ゴシップ雑誌には『フェニックス家の面汚し』やら『メンタル軟弱悪魔』やらと書かれ放題!なのに何もしようともしないなんて……!本当に情けない!」

 

 

レイヴェルの口から矢継ぎ早に放たれた兄への不満に我夢達は呆気にとられる。それも次々と言うものだから、ライザーの現状がよほど酷いのが伺える。

 

誰もが口を開かず場が静まり返っていると、紅茶をクイッと飲んだレイヴェルは気持ちを落ち着かせ、再び神妙な面持ちで話す。

 

 

レイヴェル「そこでお願いなのですが、兄を立ち直させて欲しいのです。……本来、ここに来ること自体筋違いかもしれません。ですが、リアス様の眷族が持つ“根性”こそが今の兄に必要なのです」

 

リアス「ライザーが心配なのね……」

 

レイヴェル「……一応、私の兄なのですから」

 

 

リアスの相槌にそう答えたレイヴェルは俯く。

わざわざ出向いてまで頼みに来たのはライザーを何とかしてあげたいという家族心だろう。

藁をも掴む思いで来たであろうレイヴェルに皆は察していると、端で聞いていた一誠はレイヴェルのもとへ歩み寄ると、話しかける。

 

 

一誠「安心しろ、レイヴェル。お前の兄貴は俺が何とかしてやるよ」

 

レイヴェル「…ッ」

 

 

一誠のかけた言葉にレイヴェルは顔をあげる。

彼女だけでなく他の皆も一誠に注目する。

一誠は集まる視線に肩を竦めるもすぐに切り替えて話し続ける。

 

 

一誠「……状況ちゃあ状況とはいえ、お前の兄貴をそんな風にしてしまったのは俺の責任だからな。何とかやってみるよ」

 

 

その言葉にレイヴェルはパアッと顔を明るくさせる。

 

 

レイヴェル「ほ、本当ですか!?」

 

一誠「ああ!任せてくれ!根性をつけるんだろ?俺にいい考えがある」

 

 

ニッコリ笑顔でサムズアップする一誠。

その考えは如何に。皆は疑問を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、数分後。我夢達はさっそくフェニックス家の屋敷に訪れていた。

屋敷といっても最早城であり、建物や敷地やら全て規格外で下手をすれば迷いそうなくらいである。

 

 

大悟「へぇ~~これが悪魔貴族の屋敷か!」

 

ロスヴァイセ「こら!みっともないマネはよして下さい」

 

 

特に冥界、上級悪魔の屋敷に訪れたことがない大悟は興味津々で目を爛々と輝かせて辺りを見渡している。

興味に惹かれてどこかに行こうとすることも多々会ったが、その度にロスヴァイセが止めに入っていた。

同じ職場で働く者同士ならではの光景であろう。

 

 

レイヴェル「ここですわ」

 

 

そんなことがありながらもしばらく進んでいくと、先導していたレイヴェルの指示で足を止める。

そこはフェニックスのレリーフが刻まれた巨大な扉だった。

 

レイヴェルはコンコンと扉をノックすると、中にいるであろうライザーに呼び掛ける。

 

 

レイヴェル「お兄様、お客様ですわよ」

 

 

だが、中からの返事はなかった。

寝ているのかと皆が思った矢先、室内からか細い声が帰ってきた。

 

 

ライザー『……レイヴェルか。悪いが今日は誰とも会いたくない。嫌な夢を見たんだ……。とてもそういう気分じゃない』

 

 

声の主はライザーであった。

しかし、以前の嫌みったらしい程の自信に満ち溢れた声音はどこにもなかった。

レイヴェルはため息をついて気を取り直すと、ハッキリとした声でライザーに告げる。

 

 

レイヴェル「リアス様がお見えになっておりますわよ」

 

ライザー『──ッ、何!?リアスだと!』

 

 

久しぶりに聞いた元許嫁の名前に過敏に反応を示すライザー。

かなり狼狽えており、ベッドから転げ落ちる音を始め、部屋の物を倒す音が聞こえる。

リアスは一拍空けて声をかける。

 

 

リアス「ライザー、私よ」

 

ライザー『ふんっ、振った男に今更何の用だ?笑いに来たのか?それとも兵藤 一誠との仲睦まじいエピソードを聞かせに来たのか?』

 

 

扉の奥にいるライザーはふて腐れた態度を取る。

ここまで文句を言うくらいなので一応生きる気力はあるのだろうが、このまま放置する訳にはいかない。

リアスはここで引き下がらず言葉を投げかける。

 

 

リアス「恨むのはわかるわ。でも、少しだけでいいからお話をしましょう?顔を見せてちょうだい」

 

 

そう言うと扉の奥からドタドタとこちらへ足音が近付くと扉が勢いよく開かれた。

中から現れたのは寝癖がぴょんぴょん跳ねまくっているボサボサの髪にパジャマをだらしなく着たライザーのあまりにも自堕落な姿だった。

 

ライザーは不機嫌そうな面持ちでリアスに問いかける。

 

 

ライザー「俺に一体、何を話すと───」

 

一誠「よ、よお。シュワッチ」

 

 

冗談っぽく一誠がソルジェント光線のポージングをつけながら挨拶する。

ライザーの視線が一誠を捉えてしばらくの間、固まると次の瞬間───

 

 

ライザー「ギィアァァァァァァーーーーッッ!!?」

 

 

ライザーは長い廊下の奥にまで響く勢いの絶叫をあげると、脱兎の如く部屋の中へ逃げ出すと一目散にベッドの飛び込み、布団にくるまってしまった。

 

 

ライザー「か、帰ってくれウルトラマンッ!!あの時のことを思い出すのは嫌だ!あんなみじめで無惨な思いはもうごめんだッ!!早く帰ってくれェェェーーーーッ!!!」

 

 

ガタガタと布団の中で怯えるライザーの様子に皆は勿論のこと、かつて彼と顔を合わせたことのある面々は唖然とする。

かつてあれほど一誠を高圧的に見下していた男が今やひと目見るだけで震え上がっている。

一誠は呆気にとられながらも隣にいる木場に尋ねる。

 

 

一誠「そ、そんなに俺が怖いの……?」

 

木場「うん。今までまともにダメージを受けたことがないにも関わらずあれだけ一方的にやられたらプライドもズタズタだろうさ」

 

一誠「なるほど……」

 

 

木場の説明に一誠は苦い顔をしながら頷く。

あの時は必死にリアスを助けよう感情的になっていたが、それが逆に相手に恐怖を与えてしまっていたと思い知った。

 

一誠が今度から慎重に力を使おうと考えていると、レイヴェルはライザーがくるまっている掛け布団を取り払おうと引っ張り始める。

 

 

レイヴェル「お兄様!リアス様達がせっかくいらっしゃったのですから───」

 

ライザー「嫌だ!お願いだ、帰ってくれェェェーーーーーッ!!」

 

 

実の妹の頼みにも応じずライザーは叫んで必死に抵抗する。

目の前の光景のあまりもの酷さに我夢は苦い顔をしながら一誠に訊く。

 

 

我夢「これいけるの?」

 

一誠「はは……。でも、やるしかねぇよ」

 

 

我夢の不安に一誠は苦笑いで答える。

その後、我夢達はライザーの眷属達と協力して何とか強引に城の庭まで連れ出すことに成功した。

その代わり、連れ出すのに約2時間半はかかってしまったが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライザー「お、お、俺を外に連れ出してどうする気だァァーーー!?」

 

 

一誠、我夢、大悟が荷物を纏める中、ライザーは震えた声で訊ねる。

すっかりライザーは小動物のように庭の端の方で縮こまっている。

一誠はライザーに

 

 

一誠「安心しろよ。()()()()()()()()だ」

 

ライザー「ひぃぃいいいいぃぃぃーーーーーッ!!?」

 

 

そう言うと、ライザーは更に縮こまってしまう。

深い意味は無いのだが、きっと裏があるに違いないと深読みしてしまったのだ。

 

 

リアス「それで作戦はどうするつもり?3人共、登山しに行く格好をして……」

 

一誠「あ、もう来ますよ」

 

 

訊ねるリアスに一誠がそう答えながら上を指差すと、上空に大きな影が覆う。

 

 

ズシィィンッ!!

 

 

大きな地響きと共に巨大なドラゴンが豪快に庭に降り立つ。

一誠はそのドラゴンを見上げて感謝を告げる。

 

 

一誠「おっさん!来てくれてありがとな!」

 

タンニーン「うむ」

 

 

頷くドラゴンは元龍王───タンニーンであった。

夏休み、一誠を鍛え上げた師匠でもある。

更に──

 

 

吉田「よお!我夢!」

 

桑原「元気にしてたか?」

 

志摩「俺達のこと、忘れてないよな?」

 

我夢「忘れるはずないですよ!吉田さん、桑原さん、志摩さん!」

 

 

タンニーンの背中からチームハーキュリーズの3人がひょっこり顔を出して我夢に挨拶する。

彼等はアザゼルの所有する特殊部隊の1つであり、夏休み間、我夢をしごきまくった師匠達でもある。

彼等もまたタンニーン同様、一誠に呼ばれてやって来たのである。

 

 

ライザー「あばばばば………!!」

 

 

筋骨隆々の巨大なドラゴンに同じく筋骨隆々の屈強な堕天使3人組。

これから訪れることが悪い予感しかしないライザーはすっかり腰を抜かしていた。

 

タンニーンはジロリと横目でライザーを捉えると、その変貌振りに嘆息をつく。

 

 

タンニーン「ライザー・フェニックスか。レーティングゲームの活躍振りに将来有望な『(キング)』と期待していたのだが……。こんな有り様とはな」

 

志摩「んで、チューインガムのダチよ。この坊っちゃんのなよなよした精神を鍛え直して欲しいって訳だな?」

 

一誠「そうっすね。ただそれだけだと効果がないんで……我夢」

 

我夢「うん」

 

 

一誠の呼び掛けに応じた我夢はバックから白い機械を取り出す。それはゲームなどで使われているVRゴーグルだった。

我夢はそれを起動させると、ライザーに駆け寄り、彼の目元を覆い隠すように装着させた。

 

 

ライザー「おいッ!何だこれは!?は、外れない!?」

 

我夢「これは市販のVRゴーグルを仮想で戦闘訓練できるように改造したものです。ウルトラマンや怪獣等のありとあらゆるデータが内臓されています。更には……」

 

 

あたふたしているライザーをよそに皆にそう説明した我夢は手元のスイッチを押す。

すると──

 

 

ライザー「ギィアァァァァァァーーーッ!!く、来るな!!」

 

 

突然叫びだしたライザーは我夢達を化け物に遭遇したように怯えるとその場にうずくまった。

ガタガタと震えるライザーに皆が唖然とする中、我夢はスイッチを切って説明を続ける。

 

 

我夢「AR──つまり、現実の風景をそのままに仮想的な視覚情報を与える機能もついています。さっきのライザーからは僕達のことがウルトラマンに見えています」

 

吉田「なるほど……。それを使って俺達をウルトラマンに見せて、トラウマを克服させようって訳だな?」

 

 

吉田の問いかけに我夢が頷くと、一誠が説明を引き継ぐ。

 

 

一誠「いい特訓場所がないかってタンニーンのおっさんに相談したところ、おっさんの領地にある雪山にしようって訳になったんです」

 

タンニーン「うむ。雪山は根性をつけるにはうってつけだ。足場が不安定で足腰もよく鍛えられる」

 

 

一誠の提案にタンニーンもうんうんと頷きながら太鼓判を押す。

一誠はタンニーンとの特訓で死にかけたので酷だとは思うが荒療治でもしなければ治らないだろう。

 

 

ライザー「い、嫌だッ!そんなところへは行かんぞッ!!」

 

 

炎の翼を広げて逃げ出そうとするライザーだったが、タンニーンの巨大な手にあっさり捕まってしまう。

タンニーンは掴んだライザーを眼前に持ってくると、ギロリと鋭い目で睨み付ける。

 

 

タンニーン「逃げるな。男なら覚悟を決めろ」

 

ライザー「ひぃぃぃーーーーーッ!!」

 

 

その一言に顔が青ざめ、震え上がるライザー。

端から見れば人を食おうとしているドラゴンという光景にしか見えないのは気のせいではないだろう。

 

一誠、我夢、大悟はタンニーンの背に乗ると、手を振ってしばらくの別れを告げる。

 

 

一誠「んじゃ、部長。そういうことで行ってきます!」

 

リアス「3人共、気をつけるのよ。何かあったら必ず連絡して」

 

「「「はーい」」」

 

 

そう言うリアスに3人は仲良く返事する。

準備が整ったので、タンニーンは翼を羽ばたかせて上昇していく。

 

 

ライザー「おぉい、お前ら!今すぐ俺を助けろ!命令だぞッ!!」

 

 

未だに腹を決めてないライザーは尚も抵抗を見せ、地上にいる自分の眷属達に助けを求める。

だが───

 

 

『ライザー様、ファイトーー!!』

 

ライザー「薄情者ォォォーーーーーッ!!」

 

 

眷属達は助けるどころか逆に手を振って応援するだけだった。

あっさり裏切られ、ショックを受けたライザーの悲痛な叫びはタンニーンの姿が遠い空へ見えなくなるまで響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タンニーンの領地である渓谷の雪原地帯に降り立った我夢達はチームハーキュリーズとタンニーンによるライザーの特訓を見学し始めた。

 

 

「ほらほら、遅いですぞ」

 

ライザー「うわぁぁあッ!!こ、凍る!!俺の炎がァァッ!!」

 

 

改造VRゴーグルと登山装備をしたライザーはさっそく水色の龍──『氷雪龍(ブリザード・ドラゴン)』に追い回されていた。

氷雪龍(ブリザード・ドラゴン)の吐息によってライザーは尻に火がつくならぬ、尻に凍る状態で逃げ回っている。

 

氷雪龍(ブリザード・ドラゴン)の背には何故かレイヴェルが乗っていた。

ここにいる理由は、兄の一緒に立ち直らせたいという何とも健気な願いだからである。

レイヴェルは眼下で走り回るライザーに激を飛ばす。

 

 

レイヴェル「お兄様!これぐらいで音を上げてどうしますの!」

 

ライザー「ひいっ!ふうっ!そんなことを言わずに助けてくれェェェ~~!」

 

 

健気な妹に比べて兄・ライザーは応じるどころか助けを求めようとしていた。

本当に兄妹なのか怪しいくらいである。

 

ヘロヘロになっているライザーだが、まだこの走り込みは準備体操にしか過ぎない。

 

 

 

 

 

──次の日。今度は崖登りに挑戦させたが──

 

 

ライザー「はぁーーッ!はぁーーーッ!」

 

志摩「オラオラッ!!坊っちゃん!早く登りきらねぇと下敷きになるぞ!」

 

 

当然、普通の崖登りではない。

頂上にいる志摩は崖を登るライザー目掛けて岩を次々と落としていく。

勢いのついた岩を登りながら避けるなど当然不可能であり、ライザーは次々と当たっていく。

 

 

桑原「心を落ち着かせろ!身体の末端までの神経に意識を集中させるんだ!」

 

ライザー「そんなことが出来るかァァァーーーーッ!!」

 

 

桑原の助言にライザーは涙目で叫ぶ。

慣れていない崖登りで落石を前にしても冷静でいられる方がおかしい。

 

ライザーはこうなったら飛んでやると炎の翼を広げて飛び立とうとするが──

 

 

ドォォンッ!!

 

ライザー「ぐおっ!?」

 

 

地上から放たれた砲弾が背中に炸裂し、怯んだライザーは強制的にもとの位置へ戻された。

ライザーは地上を見下ろすと、XIGバズーカを構えた吉田の姿が見えた。

 

 

吉田「ズルは駄目だぜ、坊っちゃん!」

 

 

XIGバズーカを肩に担いだ吉田は暑苦しい笑顔を見せる。

ライザーが再生出来る体質であるのが幸いだが、普通なら悪魔といえどひとたまりもないだろう。

 

真面目に崖を登ろうとすれば岩を落とされ、飛ぼうとするならバズーカに撃ち落とされる。

どうあがいても地獄の特訓にライザーの恐怖心は強まり、涙すら流れた。

 

 

ライザー「ひぃぃぃぃ~~~!!」

 

 

ライザーは情けない声をあげながらも崖を登っていく……。

 

 

 

 

 

 

 

ライザー「ぎゃあぁぁぁーーーーッ!!!」

 

 

その次の日。またもライザーは雪原の上をブレスを吐くドラゴン達から逃げ回っていた。

それを遠くから見ながら我夢、一誠、大悟はレイヴェルが差し入れに持ってきたパンケーキをデザートにお茶を楽しんでいた。

 

焼きたてであろうパンケーキを口にいれた一誠は舌を唸らす。

 

 

一誠「うん!しっかし、このパンケーキ美味いなぁ~。レイヴェルが作ったのか?」

 

レイヴェル「え、ええ。材料などはここのドラゴンさん達から頂いたのですが、足りないものもあって満足の出来では……」

 

一誠「いや、美味いよ。本当に美味い!お世辞とかじゃなくてマジに!なあ?」

 

我夢「外はパリッと中はフワッとした食感に濃厚な味付け……。全然不味くなんかない」

 

大悟「うんうん。この味なら店出せるよ。調理師の資格を持っている僕が保証するよ」

 

 

一誠に続いて我夢、大悟も好意的な感想を出す。

特に調理師免許を持ち、グルメな大悟も太鼓判を押すので本当に美味しく出来上がっている。

 

彼等の感想を聞いたレイヴェルは一瞬頬を緩めるがすぐにハッと口元を抑えると、上から目線で自慢気な顔を浮かべる。

 

 

レイヴェル「当然ですわ!私のパンケーキを食べられるなんて光栄に思うべきですわ!感謝しながら味わってもらいたいですわね!」

 

「「「ズズズ……」」」

 

 

典型的なツンデレキャラクターの反応に我夢達は『わかりやすいなぁ~』と内心思いながら、紅茶をチビチビ飲む。

高飛車なところもあるが、それでも根は正直で気を配れる人物なのは確信できる。

 

 

我夢「あっ。そういえば、レイヴェルは……あーー人間界の学校でいえば何年生に当たるんだ?」

 

 

ひょんなことを思い出した我夢は遠回しに年齢を訊ねる。

これまでレイヴェルとは何度も会っているが本当の年齢までは知らない。

年は自分達とはさほど変わらないと思うが、念の為だ。

 

レイヴェルはコホンと軽く咳払いをすると、我夢を見据える。

 

 

レイヴェル「では、特別に教えて差し上げます。日本のハイスクールでいうところの1年生にあたりますわ」

 

我夢「え!?まさかの後輩?」

 

一誠「知らなかったぜ……」

 

大悟「じゃあ、16~15歳くらいか」

 

 

レイヴェルの年齢を聞いた我夢、一誠は驚き、大悟は冷静に相当する年齢を呟く。

オカルト研究部のメンバーで同じ学年にあたるのは小猫とギャスパーである。

 

ちなみに小猫と同年代とはいえ、()()()()は彼女を遥かに上回っているのは余談である。

 

もし入学してくれたら……と我夢達が想像していると、ふと何かを思い出したレイヴェルはそれを口にする。

 

 

レイヴェル「そういえば、今夜リアス様達がこの山に来るそうですわよ」

 

一誠「部長達が?何しに?」

 

レイヴェル「はい。何でもこの近くに美容にとても良い温泉があると───」

 

ライザー「があぁぁぁぁーーーーッ!!」

 

『!?』

 

 

温泉について話している彼等を遮るようにライザーの奇声が耳に飛び込んでくる。

我夢達は声のした方へ顔を向けると、苛立った様子のライザーが地団駄を踏んでいた。

元々嫌だった特訓の過酷さにビビることを通り越して逆ギレしたのだ。

ライザーは叫ぶ。

 

 

ライザー「生粋の上級悪魔である俺にこんな泥臭いことをさせて!!朝から晩まで撃たれ、凍らされ、落とされの連続!もう我慢できんッ!」

 

バキッ……!!

 

我夢「あ…」

 

ライザー「こんな特訓やめだ!!帰らせてもらうぞッ!!!」

 

 

怒りに任せ、改造VRゴーグルを強引に引きちぎって投げ捨てたライザーは炎の翼を羽ばたかせて遠くへ飛んでいく。

感情的になっている影響かスピードは早く、1秒もしないうちに小さくなる程離れていた。

 

 

我夢「……小猫でも外せなかったゴーグルのロックを壊すなんて!何て握力なんだ!」

 

一誠「何感心してんだよ!早く追うぞ!レイヴェルはここで待っていてくれ!」

 

レイヴェル「お気をつけて!」

 

 

呆気にとられるのを通り過ぎて感心する我夢に現実へ戻るように促した一誠はレイヴェルにそう告げると、悪魔の羽を広げて我夢と共にライザーの後を追っていく。

 

遠くへ飛んでいく2人を見送ったレイヴェルは視線を横に向けると、手を振って見送る大悟がいることに気付いた。

不思議に思ったレイヴェルは訊ねる。

 

 

レイヴェル「あら?大悟様は行かれないのですか?てっきり、一誠様達と行かれるものかと……」

 

大悟「………飛べないんだよ。人間だから」

 

レイヴェル「あっ……」

 

 

そう言って落ち込む大悟を見て、レイヴェルはやってしまったと口元を抑える。

忘れていたのだ……この場にいるほとんどが悪魔なのですっかり大悟が人間であることを。空を飛べないことを。

 

この時、レイヴェルは触れてはいけなかったと反省した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライザーは吹雪く雪にも屈せず、自慢の炎で溶かしながら猛スピードで飛び抜ける。

最初は慣れない環境に辟易していたが、ここ3日間の特訓のおかげですっかり適応した。

 

 

ライザー「む?」

 

 

飛んでいる最中、眼下にそびえ立つ山の洞窟から光が漏れているのを目にする。

 

現在いるタンニーンの領地には多くのドラゴンが生息しており、氷を吐くドラゴンだけでなく、雷を吐くドラゴンも生息している。

そのドラゴンが雷を放ったのかと思ったが、雷にしては光の漏れかたが不自然だった。

 

どうしても気になるライザーは進路を変更して下降すると、その洞窟の中へ入っていく。

洞窟は上空から見たものと反して大きく、薄暗い空間が広がっていた。

 

 

ライザー「……?」

 

 

足を踏み入れたライザーは白い息を吐きながら洞窟を見渡しながら歩いていくと、洞窟にすっぽりと嵌まった建物を見つけた。

自然の産物でもある洞窟に似合わない人工的な鉄筋コンクリート製で辺りには段ボールの空箱が散乱している。

 

入口らしき扉を見ると、『ミジー製作所』と魔界文字で書かれていた。

製作所ならばここは工場ということである。

 

 

ライザー「こんなド田舎に工場なんてあったか……?」

 

 

しかし、ライザーは首を傾げる。

半年間引き込もっていたとはいえ、外界の情報は収集していたが、タンニーンの領地に工場があるのは全く聞き覚えがないのだ。

ましてやドラゴンだらけで天候も不安定なこの場所に悪魔が働く施設を建てるなど自殺行為に近い。

 

 

「さあ、急ぐぞ」

 

ライザー「ッ!」

 

 

ライザーが不思議に思っていると、中から従業員らしき男の声が聞こえる。

ライザーは咄嗟に段ボールの陰に隠れると、近くの窓から中を覗く。

 

中にはソフトモヒカンで髪の先端が赤色の小太りの中年、赤い作業服を着た紫色の髪をオールバックにした背が高い男、くねくねとオネエっぽい動きをする金髪の男──計3人の作業員がいた。

どうやら先程の声はリーダー格である小太りの男のものの様だ。

 

金髪の男はくねくねとした動きで手を頬に当てながらくたびれた声を出す。

 

 

「ねぇ、私達。最近働き過ぎじゃない?」

 

「何を言う。後もう少しで『ガラオン』が完成するじゃないか。それまでの辛抱だ」

 

ライザー「(ガラオン?)」

 

 

ライザーはソフトモヒカンの男の口から出た聞き覚えのない単語に眉をしかめる。

上級悪魔として数々の品々を見てきた彼だが、ガラオンなんてものは見たことも聞いたこともない。

庶民が使う玩具か何かとライザーは思っていると、金髪の男は痒いように鼻をモガモガと動かした瞬間──

 

 

「くしゅんっ!!」

 

ライザー「ッ!?」

 

 

くしゃみと共に金髪の男の顔が赤色に側面に幾つもの穴が空いた異形の姿に変わった。

目の前に起きた光景にライザーは目を丸くして声すらも出なかった。

 

 

「「∪⊃≮/£﹩+<₸₤₩₮₭₡₦!!」」

 

ポンッ!

 

「ふぅ~~危ない危ない……。ほんと、この星の気温には慣れないわね」

 

 

他の2人は焦ったように金髪の男に見えてる見えてると何かしらの言語を発する中、金髪の男は音を立てて合掌すると、元の人の顔に戻った。

金髪の男は戻ったことを確認して安堵の息を漏らす中、ソフトモヒカンの男はキョロキョロと辺りを警戒する。

 

 

「……大丈夫だ。おい、気をつけろ。どこで見られているのかわからんのだぞ。急げ」

 

「今日も残業か……」

 

 

ソフトモヒカンの男はそう注意を促して作業を催促させると、紫髪の男はそう言いながらため息を漏らす。

驚きが止まないライザーはしゃがんで今目撃した出来事を纏める。

 

 

ライザー「あれは、宇宙人なのか……!本当にいたのか……!」

 

 

人里から離れた場所に工場。そこには何かを作業する宇宙人。

今まで信じていなかった彼にとっては衝撃であろう。

驚きを隠せないライザーだったが、息を吸って落ち着かせると再び窓からそおっと覗き込む。

 

作業員3人が設計図らしき書類とにらめっこしている壁の奥には巨大な怪獣の顔が機械によって製造されていく光景が広がっていた。

 

 

ライザー「怪獣……」

 

 

呆気にとられるライザーだったが、すぐに正気に戻るとこれ以上はここにいると危険だと判断し、後ろ向きで抜き足差し足と入ってきた方へゆっくり歩いていく。

 

物音を出来るだけ立てずに歩いていき、洞窟の出口へ差し掛かった時だった。

ドンッと背中に何かがぶつかる。

 

 

ライザー「ッ!?……お前達か!」

 

 

驚いたライザーは宇宙人かと思って振り返ると、そこには我夢と一誠が立っていた。

彼等を見て安堵していると、素早くライザーの両隣に移動した2人は片方ずつ腕を絡ませて拘束する。

 

 

ライザー「へ?」

 

 

拘束されたライザーは気の抜けた声を出す。

ライザーは忘れていたのだ。自分が逃亡の身であると。

我夢と一誠は呆れた声音で話す。

 

 

我夢「やっと見つけた」

 

一誠「散々苦労かけさせやがって、全く……。さ、帰るぞ」

 

ライザー「ま、待った!話を聞けっ!」

 

一誠「この後に及んで何だよ?」

 

 

待ったをかけられ眉根を寄せる2人にライザーは先程目撃したことを全て話した。

 

 

一誠「───は?3人の宇宙人がこの洞窟の奥にある工場で怪獣を作ってるって?出任せ言ってんじゃねぇだろうな?」

 

ライザー「嘘じゃない!俺を信じろ!」

 

我夢「嘘かはともかく、一応確かめてみよう」

 

一誠「……そうだな。もし嘘だとわかったら、逃げた罰として特訓をもっと過激にしてもらうからな。いいな!」

 

ライザー「わ、わかった……」

 

 

我夢の意見に賛成した一誠はライザーにキツく釘を刺すと、3人は洞窟の奥に進み、工場の前に着いた。

 

 

我夢「本当に工場があったんだ……」

 

一誠「よし!突入するぞ」

 

我夢「うん」

 

 

頷いた我夢はジェクターガン、一誠はXIGブラスターを取り出すと、持ち場につく。

一誠は入口、我夢はその後ろをつける形で銃口を構える。

緊張が走る中、工場内から足音が近付き、扉が開いた瞬間──

 

 

「「動くなッ!!」」

 

 

2人は牽制に叫びながら出てきた人影に銃口を向ける。

だが──

 

 

「ッ!?な、何すか!?あんた達は!」

 

一誠「あ、いえ。大したことでは……」

 

 

出てきたのは仰天するソフトモヒカンの中年男だった。

どこからどう見てもごく普通の作業員にしか見えない2人は苦笑いで謝りながら銃をしまった。

 

申し訳なさそうにしながらも我夢はソフトモヒカンの男に事情を説明する。

 

 

我夢「すみません。この工場で怪獣を組み立てていると聞いたもので……」

 

「怪獣?ハッハッハッハッ……!!」

 

「「「?」」」

 

 

ソフトモヒカンの男は高笑いをあげる。

不思議に思う我夢達を置いてきぼりにひとしきり笑った後、ソフトモヒカンの男は言う。

 

 

「確かにいますよ」

 

「「「!?」」」

 

 

その言葉に緊張が走る。

我夢達は警戒を見せる中、ソフトモヒカンの男は作業服の上着のポケットから取り出したものは──

 

 

「ほらね」

 

一誠「え?」

 

我夢「人形?」

 

 

何の変哲もない怪獣のソフビ人形だった。

どこの玩具屋にでもある精巧に作られた怪獣ムルチの人形だ。

 

 

「私達が働いているのを見せましょう。どうぞ」

 

「「は、はぁ…」」

 

 

拍子抜けた我夢達にソフトモヒカンの男は工場内に招く。

工場内に入ると、作業員の紫髪の男と金髪の男が忙しそうに動き回りながらソフビ人形を作っていた。

ソフトモヒカンの男は屈託のない笑顔で言う。

 

 

「大量に注文が入りましてね、このところ残業続きで社員もブーブー言ってるんですよ。どうですか?どこか、怪しいところでも?」

 

一誠「いやぁ~全く無いですね。なあ、我夢」

 

ライザー「おかしい……確かにあったはずだ……」

 

 

ライザーは中を見て目を丸くする。

先程まで怪獣があった場所は最初から何も無かったようにまっ平らな壁があるだけだった。

作業員も動揺している素振りはない。

 

 

「はっ、はっ、はっ……」

 

「あ…ッ!」

 

「あぁあッ!?」

 

 

ライザーが首を傾げていると、紫髪の男は痒そうに鼻をモガモガと動かし、くしゃみが出そうになる。

それを見たソフトモヒカンの男と金髪の男は声をあげ、狼狽えるが──

 

 

「ふぅぅ…」

 

 

紫髪の男はくしゃみを堪えるのを見て、ほっと安堵する。

 

 

我夢「大丈夫ですか?」

 

「あ、いいえ…」

 

 

心配そうに声をかける我夢に問題ないと首を横に振る。

一誠は近くの机からギエロン星獣のソフビ人形をひょいと手に取ると、それをライザーに見せながら詰め寄る。

 

 

一誠「ほら!ここは本物の怪獣じゃなくて、玩具の怪獣工場って訳なんだよ。勘違いしたんだな」

 

ライザー「勘違いじゃあない!本当に怪獣の頭があったんだ!あの壁の向こうに!」

 

「「「あっ……!」」」

 

 

そう言って壁に駆け寄ろうとするライザーに3人の作業員達は目を見開いて息を呑む。

 

 

我夢「…?」

 

 

その過剰な反応に我夢が違和感を感じていると、ライザーは壁に触れる寸前のところで一誠に羽交い締めにして捕らえる。

 

 

一誠「はいはい。ホラ話なら後で幾らでも聞いてやるから……これ以上迷惑かけるんじゃねぇよ」

 

ライザー「嘘じゃない、信じてくれッ!本当なんだッ!」

 

一誠「もし俺がお前の上司だったら、『一週間謹慎だ』って言ってやりたいね。ふんっ……」

 

 

なおもジタバタともがきながら主張を続けるライザーに一誠は呆れた顔で聞き流すと、ズルズルと後ろへ引っ張って元の位置に戻っていく。

ソフトモヒカンの男はニコニコと屈託のない笑顔を浮かべる

 

 

「いやぁ~~想像力があって素晴らしい!面白いな!」

 

一誠「すんません、うちのバカがとんだマネを」

 

「いいんですよ。記念にどうぞ」

 

 

そう言いながらソフトモヒカンの男は一誠達3人にソフト人形を1体ずつ渡す。

一誠はギエロン星獣、我夢はジャミラ、ライザーはムルチのソフビ人形を受け取った。

 

 

一誠「忙しいところすみません」

 

我夢「では、失礼します」

 

 

一誠と我夢は手を振るソフトモヒカンの男にそう告げると、入口の扉から外へ立ち去っていく。

 

 

「……」

 

 

見届け終えたソフトモヒカンの男は途端に作り笑顔を止めると、窓から冷酷な眼差しで彼等の後ろ姿をジッと見つめた。

 

ちなみに連れて帰られた後、ライザーは倍以上にしごかれ、この世のものとは思えない絶叫をあげていたのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その夜。

我夢、一誠、大悟、ライザーは洞窟に寝袋を敷き、雑魚寝していたが───

 

 

大悟「大変だ!ライザーがいない!」

 

「「何だって!?」」

 

 

大悟の一声で今までうたた寝していた我夢、一誠は跳ね起きる。

2人はライザーの寝袋を見ると下手くそな顔が描かれた紙を貼り付けた囮人形にすり替わっていた。

むかっ腹が立った一誠は地団駄を踏む。

 

 

一誠「クソッ!アイツ、また逃げ出しやがったな!」

 

我夢「この吹雪だ。まだ遠くには行ってないだろう。僕と大悟はファイターEXで北の方を捜索するから、一誠は南の方を捜索してくれ」

 

一誠「わかった………って、乗せてくれないのか?」

 

 

一誠の問いに我夢は「2人乗りなんだ」と答え、呼び出したファイターEXに大悟と乗り込むと、北の空へと飛んでいった。

 

 

一誠「俺も専用機が欲しいな~」

 

 

それを見届けた一誠は羨ましく呟くと、悪魔の翼を広げて反対方向へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃。

こっそり抜け出したライザーは再びあの工場がある洞窟へと足を運んでいた。

 

 

ライザー「(誰も信じないのなら、俺が暴いてやるッ!!)」

 

 

ライザーが抜け出した理由。それは特訓が過酷なので逃げたのではなく、あの工場で宇宙人が怪獣を作っている証拠を掴む為だった。

 

しかし、それは正義感ではない。

ライザーを突き動かすのは、あくまで()()()()()()()()()だ。

上級悪魔としてのプライドが“嘘つき”という汚名を付けられたことを許さなかったのだ。

 

先程の工場の入口についたライザーは窓から中の様子を伺う。

中は昼間と違って灯りは消えており、帰ったのか作業員の姿はどこにも見当たらなかった。

だが、肝心の怪獣を製造しているところはわからない。

 

 

ライザー「よし……」

 

 

絶好のチャンスを確信したライザーは軽く力を込めて入口の施錠を強引に外す。

扉を開け、中へ入ろうとしたその時だった。

 

 

一誠「……おい、何してんだよ?」

 

ライザー「……ッ!兵藤 一誠!」

 

 

後ろから声をかけられたライザーは振り返ると、不満げな顔を浮かべる一誠がいた。

一瞬驚くライザーだったが、証言になると思い付き、話しかける。

 

 

ライザー「丁度いいところに来たな!貴様にここが怪獣工場だってことを証明してやる」

 

一誠「は?まだそんなこと言ってんのか。いいか?ここは本物の怪獣を作るんじゃなくて、怪獣の玩具を作ると・こ・ろ!ホラ話もいい加減にしろ。ほら、帰るぞ」

 

 

呆れた一誠はそう言い放ち、連れ戻そうと手を伸ばすが──

 

 

ライザー「ビビっているのか?」

 

ピクッ!

 

 

ライザーの漏らした挑発に反応した一誠はピタリと手を止める。

ライザーは一誠が挑発に弱いことは以前会った時から知っている。

手応えがあったと確信してライザーはニヤリと小馬鹿にするような笑みを浮かべてもう一度言う。

 

 

ライザー「どうした、ビビっているのか?本当は怪獣が怖いのが認めなくて逃げようとしているのだろう?」

 

一誠「ビ、ビビってなんかないぜ!怪獣なんて……怖くねぇーぜッ!」

 

ライザー「なら、証明してみせろ」

 

一誠「わかった!やってやるよ」

 

 

易々とライザーの口車に乗せられた一誠はふんっと鼻を鳴らすと、工場の中へ入っていく。

ライザーもその後を着いていきながら、怪獣が作られていた場所があった壁へ案内する。

 

 

ライザー「ここだ。この場所だ」

 

一誠「ここか?よーし……」

 

 

一誠は右手に息を吹きかけて気合いを込めると、拳を構える。

 

 

一誠「いっせーのーせッ───うおっと!?」

 

ライザー「!?」

 

 

タイミング合わせて拳を繰り出した瞬間、眼前にあった壁は幻のように消え去り、バランスを崩した一誠は前のめりに倒れる。

カモフラージュの壁の奥にはライザーが昼間に目撃した怪獣を作っている3人の作業員の姿があった。

 

3人に赤色の銃を向けられて不意を突かれた一誠とライザーは降参を示すように両手を挙げた。

 

 

「おら、起きろ!」

 

一誠「………これは、どーいう……?」

 

 

一誠は紫髪の男からXIGブラスターを奪い取られ、無理矢理立たせるも突然のことで状況が読み込めず、ソフトモヒカンの男に訊ねる。

ソフトモヒカンの男はライザーを指差すと、答えを提示する。

 

 

「その男が言ったことが本当だってことさ」

 

一誠「……何だって!?」

 

 

ソフトモヒカンの言葉を受けて、一誠は裏返った声で驚く。

奥の方へ目をやると、製造中であろう巨大な怪獣の顔が佇んでいる。ライザーの言っていたことは本当だったのだと理解した。

 

 

ドルチェンコ「我々はミジー星からやってきた秘密工作員だ。かねてより資源のある星を我々の植民地にする計画を進めてきたが、この地球はまさにうってつけだ!」

 

 

ソフトモヒカンの男はライザーと一誠の間を縫うように通りながら話す。

そう、彼等は地球侵略を企む『ミジー星人』だったのだ。

ソフトモヒカンの男はリーダー格の『ミジー・ドルチェンコ』。紫髪の男は『ミジー・ウドチェンコ』で、金髪のオネエは『ミジー・カマチェンコ』だ。

 

 

ドルチェンコ「……我々はその為に周到な計画を進めてきた」

 

一誠「計画?」

 

 

一誠が計画という単語に眉をひそめていると、ドルチェンコはしかめっ面をしている怪獣───ガラオンに歩み寄ると振り返って声に出す。

 

 

ドルチェンコ「これは我がミジー星が誇る特殊戦闘用メカニックモンスター───ガラオンだ」

 

「「ッ!」」

 

ドルチェンコ「我々はこの星のレーダー網にかからないように部品を細分化し、防御シールドにくるんでここに持ち込み、組み立てていたのだ」

 

 

語り歩くドルチェンコの後を一誠とライザーはウドチェンコとカマチェンコに銃を背中に突き付けられながら歩かされる。

一誠はともかくライザーは撃たれようとも再生できる体質なので切り抜けられるが、唐突すぎてそれすら考えが浮かばなかった。

 

 

ドルチェンコ「今まで、この星には様々な侵略者が訪れたらしいが、全て失敗に終わっている。それは今1つ……計画性がなかったからだ。そこへ行くと、どうだ!我々の計画は完・璧すぎて恐れいっただろう、ヌハハハハーーーーッ!!」

 

一誠「威張るんじゃねぇ。こうしてライザーにバレてるじゃねぇか」

 

ドルチェンコ「ッ、確かに……」

 

 

一誠に痛いところを突かれたドルチェンコは高笑いを止め、瞼をピクピクさせる。

そこで折れずに立ち直ったドルチェンコは振り返ると一誠を指差し──

 

 

ドルチェンコ「しかし、君達はその男の言うことを信用しなかった!」

 

ライザー「……」

 

 

そう指摘されるのに加え、恨めしい目を向けるライザーに一誠はすまんすまんと軽いジェスチャーで謝る。

ドルチェンコは再び背を向けると、近くの机の戸棚に置いてあるライブキングのソフビ人形を手に取る。

 

 

ドルチェンコ「……だが、この際どうでもいい。既にガラオンは完成した。明日にはこの星は我々ものだ、アッハッハッ……!」

 

一誠「何て奴だ…!」

 

 

勝ち誇ったように笑うドルチェンコを見て、一誠は顔を強張らせて呟く。

既に侵略したのも同然と確信したドルチェンコは妄想を膨らませる。

 

 

ドルチェンコ「おお……!何と美しい光だ!」

 

カマチェンコ「何て綺麗なんでしょう……!」

 

ウドチェンコ「俺達は何としてでも……!」

 

「「「この星が欲しいッ!!!」」」

 

 

それに続いて一誠とライザーに銃を突き付けていたカマチェンコ、ウドチェンコも持ち場を離れ、一緒に妄想する。

 

一誠とライザーは3人のミジー星人が自分達をそっちのけで妄想に浸っているのを見て確信した。

───これ、今なら倒せるんじゃね?と

そう思うな否や、意見が初めてあった2人は顔を見合わせると、行動に移した。

 

 

ライザー「ふんッ!!」

 

ボォォッ!!

 

 

ライザーは両手に掌サイズの火球を作り出すと、それをミジー星人の足下へ投げ飛ばした。

高熱の火球はあっという間に床に火の海を作り出す。

 

 

「「「ぎゃぁーーーっ!?あちっ!あちちちちっ!!」」」

 

一誠「おらッ!!」

 

 

突然床が燃え出したのに仰天したミジー星人達は熱さのあまり、タップダンスを踊るように飛び跳ねる。

その隙に走って接近した一誠は3人にタックルをくらわせる。

 

 

カチャ…!

 

「「「₡₦£₩₤₭<+)#〡٤ⅸ!?」」」

 

 

倒れた拍子で床に落ちたXIGブラスターを取り返した一誠は素早く銃口を向けると、狼狽えるミジー星人達は動揺のあまりに母星の言葉を発しながら物陰へと逃げていく。

 

 

ピュン!ピュン!

 

 

両陣営共、物陰に隠れると激しい銃撃戦が始まる。

とは言ってもライザーは銃ではなく、魔力で作り出した火の弾なのだが。

 

 

ドガンッ!

 

ドルチェンコ「あ!?」

 

 

しばらく繰り広げられていると、ウドチェンコとカマチェンコの放った光線弾が壁に接続されてあるパネル型の装置に直撃する。

装置が火花をあげて壊れるさまを机から頭を出したドルチェンコは顔面蒼白に口をあんぐりと開ける。

 

その装置が破壊されたのと同時に山全体を覆っていた透明のドーム型の防御シールドが消え去り、隠されていた工場の全貌が露になる。

隠されていた鉄の六角錐形のドームは歪に山の中腹部から突き出ている。

 

 

ドルチェンコ「馬鹿!防御シールドを撃つやつがあるかッ!何やってんだよッ!」

 

ウドチェンコ「あわわわ……!」

 

カマチェンコ「壊しちゃったァ!」

 

ドルチェンコ「馬鹿者ッ!よぉし……。こうなったら、ガラオンで滅茶苦茶にしてやるッ!!」

 

 

誤射してしまって口をあんぐりと開けるウドチェンコとカマチェンコにドルチェンコは叱責すると、すぐに気を取り直してガラオンに乗り込もうとするが───

 

 

ガァンッ!!

 

ウドチェンコ「……ッ!」

 

 

丁度振り向いたカマチェンコの頭と衝突し、苦痛で顔を歪ませる。

それを見て痛そうに感じたウドチェンコは開いた口を抑える。

鳴きそうな声音で痛がるカマチェンコにドルチェンコは叫ぶ。

 

 

ドルチェンコ「馬鹿ァァッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

我夢「何だ?」

 

大悟「工場?」

 

 

一方、遠くで探索していた我夢と大悟も露になったミジー星人の工場を目撃していた。

それがある場所に思い当たりのある我夢は大悟に話す。

 

 

我夢「あそこって昼間、僕達が行った玩具工場があったところだ!」

 

大悟「よし、行ってみよう!」

 

 

我夢は頷くと、ファイターEXの進路を工場の方向へ変えて飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ミジー星人達は工場に隠していたガラオンのコックピットに乗り込んでいた。

 

コックピットは生物チックなガラオンの外見に反して、機械質なパイプや電子回路がチラチラ光る壁等、やけに機械的な作りとなっている。

ウドチェンコとカマチェンコは入ってすぐの左右の床から突き出ている電子パネル、ドルチェンコは奥にある幾つものレバーがついた操縦台に着いた。

 

 

ドルチェンコ「ハハハハハハ……!ガラオンは最強のメカニックモンスターだ。今、その力を見せつけてやる………行けぇ!!」

 

「「ラジャー!」」

 

 

ドルチェンコの号令にサムズアップしながら答えたウドチェンコとカマチェンコは電子パネルを操作して電源を起動させる。

ウィィン…とエンジン音が鳴ったのを合図にドルチェンコは操縦台の右のレバーを手前に引き、左のレバーを押して発進させた。

 

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

 

その頃、一誠とライザーはガラオンが起動した影響の地響きからくる揺れる足下に気をつけながら外へ避難していた。

 

 

ドガァァンッ!!

 

「「!」」

 

 

すると、後ろの工場が山ごと爆発し、2人は振り向く。岩石と人工物の破片が合わさった瓦礫の雨が落ちてくる中、地面から生えるように阿修羅のように3つの面が貼り付いたガラオンの顔が露になった。

 

 

ヒュウゥゥ……

 

 

それと同時にガラオンを見て呆気にとられている一誠とライザーの近くに到着したファイターEXが降り立つ。

降りた我夢と大悟は駆け寄ると、一誠に問いかける。

 

 

我夢「イッセー!あれは一体……」

 

一誠「ロボットの怪獣だ。あの工場の奴ら、地球侵略を企む宇宙人だったんだよ」

 

我夢「何だって!?」

 

大悟「しかし、随分と不細工だな……」

 

 

一誠の語る真実に驚く我夢に対し、大悟はガラオンの顔の造形を見て呟く。

ガラオンは光る黄色の眼にしかめっ面、泣き顔、笑い顔の3つの面がついているといった恐ろしい要素があるが、たらこ唇で顔の面積がやけに広いのでどうしても恐ろしさに欠けてしまうのだ。

 

 

ライザー「あっ、おい。何処へ……」

 

我夢「いいから来て」

 

 

そんなやりとりの後、我夢は有無を言わさずライザーを連れるとファイターEXの操縦席に乗せる。

初めて座る戦闘機の感触にライザーがあちこち内部を見ている中、我夢は操縦席の前面にある液晶パネルに映るファイターEXをデフォルメしたような見た目のAI──〡PAL《パル》に話す。

 

 

我夢「PAL。ライザーを安全な場所まで連れて行ってくれ」

 

《PAL『ワカリマシタ ガム』》

 

ライザー「おい!?動いてるぞッ!」

 

 

PALは合点承知と指示を承ると、我夢が離れたのを合図に中にいるライザーごとファイターEX を上昇させる。

戸惑うライザーを話から置いていきながら、ファイターEXは我夢達から離れていく。

それを見届けた我夢はニコリと微笑む。

 

 

我夢「これでよし!」

 

大悟「彼を避難させたことだし……」

 

一誠「そろそろ行くかッ!」

 

 

そう言ってガラオンに振り向き直した我夢、大悟、一誠は懐から変身アイテムを取り出す。

大悟はスパークレンスを突き出してから引っ込めて両腕をクロスさせて大きく回し、一誠はリーフラッシャーを左胸に当て、我夢はエスプレンダーを左肩に当て───

 

 

大悟「ティガァァァァーーーーーーーッ!!!

 

一誠「ダイナァァァーーーーーーーーッ!!!

 

我夢「ガイアァァァーーーーーーーーッ!!!

 

 

叫ぶように掛け声を発しながら大悟は真上、一誠は斜め上に掲げ、我夢は前方に突き出す。

各々の変身アイテムから溢れ出した目映い光に包まれ、3人はウルトラマンに変身した。

 

 

ティガ「チャッ!」

 

ダイナ「フッ!」

 

ガイア「グアッ!」

 

 

ティガ、ダイナ、ガイアは地面に乗っかっているガラオンへ身構える。

自分達の脅威の登場にミジー星人達は驚くものの、すぐに平静を取り戻す。

 

 

ドルチェンコ「出たな、ウルトラマン共め……。だがァ、完成したガラオンの敵ではない!見て驚けェェ!」

 

ゴゴゴゴゴ…!!

 

 

そう不敵に言うと、ドルチェンコは右手に持つ操縦レバーを手前に引っ張る。

すると、地鳴りと共に地表がひび割れると埋められていたガラオンの首から下が出てきた。

大きくなったガラオンはみるみると巨大な影を作り出し、その高さは3人のウルトラマンが小人に見えるくらいまでになった。

 

 

「「「ッ!?」」」

 

ドルチェンコ「ハハハッ!!どうだ!見て驚いたか!!このガラオンは身長400mも誇るビッグモンスターだ!たかだか50m程度のお前らなど目じゃない!アハハーーッ!!」

 

「「ハーハハハハーッ!!」」

 

 

唖然とする3人のウルトラマンを見て、優越感に浸るドルチェンコと他の2人は嘲笑った。

ただでさえ巨大なウルトラマンを見下ろせる景色は中々見られないだろう。

 

 

ドルチェンコ「いよ~~!」

 

ポンッ!

 

 

お手を拝借のリズムに合わせてミジー星人達は合掌すると、本来の姿に戻った。

3人共顔は同じだが、体型や服装はそのままなので誰が誰なのか一目でわかる。

すっかり上機嫌になったドルチェンコは───

 

 

ドルチェンコ「まずは手始めに踏み潰してやる!」

 

「「いぇ~~~いッ!」」

 

 

そう宣言すると、他の2人も賛成と言わんばかりにテンションを盛り上げる。

ニヤニヤしながらドルチェンコは足を操縦するレバーを引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドルチェンコ「……あれ?あれあれ?」

 

 

────だが、全くガラオンの足は動く気配がなかった。レバーを何度も何度も引いても微動だにしなかった。

動かないガラオンにドルチェンコは首を傾げていると、カマチェンコはあっと思い出したように声をあげる。

 

 

カマチェンコ「胴体に接続する部品を忘れてたわッ!」

 

ドルチェンコ「何ッ!?この馬鹿者ォォーーーーッ!!」

 

「「「チャッ!/ハッ!/トォアッ!」」」

 

ドガァァンッ!!

 

「「「₡₦₦₦”ⅸⅸ₩₰₪₩n!!」」」

 

 

製造ミスが発覚したミジー星人達が慌てふためている隙にティガ、ダイナ、ガイアの手先から放たれた牽制光弾がガラオンの頭部に炸裂する。

衝撃で胴体から吹っ飛んだガラオンは地上へ墜落する。

 

 

ドルチェンコ「~~ッ、ええい!こうなったら頭だけでもやってやる!」

 

 

床に頭をぶつけた痛みを堪えながら起き上がったミジー星人達は何とかガラオンを起きあがらせる。

すると、ガラオンの首から足、額からペンチのような手が生えた。

ガラオンの緊急戦闘時の形態だが、デカイ頭に小さい手足が生えただけなので不恰好すぎる。

 

 

ザッ…ザッ…ザッザッザッ……!

 

ガラオン「ガァガァガァ……!」

 

 

怒り顔のガラオンは闘牛のように足で地面を引っ掻けると、バタバタと忙しく足を動かして突進を仕掛ける。

 

雪を巻き上げ猛進するガラオンだが、3人のウルトラマンに横へ飛ばれて軽々と避けられる。

 

 

キィィ───!!

 

ガラオン「ガァガァガァ……!」

 

 

足で踏ん張ってブレーキをかけたガラオンは振り向き直すと再び突進を仕掛ける。

 

 

ティガ「ヂャッ!」

 

ダイナ「ハッ!」

 

ガイア「グアッ!」

 

ガラオン「ガァッ、ガァッ、ガァカッ!?」

 

ドォォォンッ!

 

 

だが、その攻撃はまたも掠りもせず、ガラオンの頭上を飛び越えた3人に避けられる。

対象を見失ったガラオンはおっとっとっ…とバランスを崩し、思いっきり転んだ。

 

 

「「「……?」」」

 

 

スッ転んだガラオンを見て首を傾げる3人のウルトラマンはこう思い始める。

───こいつらアホなのか?と。

そう疑問に思っていると、起き上がったガラオンは今度は泣き顔に切り替えた。

 

 

ガラオン「ファァ~~~!」

 

 

ガラオンは何処か悲しさが入った鳴き声をあげながら三度突進する。

3人のウルトラマンはカウンターを食らわせてやろうと拳を振り上げて待ち構えるが───

 

 

ガラオン「ハーーハハッ!!」

 

「「「ッ!」」」

 

 

ガラオンは目前のところで笑い顔に切り替わると、口から黄色のガスを噴射した。

 

 

「「ッ!」」

 

ダイナ「グワァァァーーーーッ!?」

 

 

嫌な予感がしたティガとガイアは素早くガラオンの両脇から前転して避けるが、一歩反応が遅れたダイナはもろにガスを受けて後ろへ転んでしまう。

ティガとガイアは振り向くと───

 

 

ダイナ「ハッハッハッハッハッハッ……!」

 

「「………???」」

 

 

何がおかしいのか途端にダイナは腹を抱えて笑っていた。込み上げる笑いを堪えきれないあまりに地面をバンバンと叩く始末だ。

ガラオンの吐いたガスの正体は笑気ガスであり、触れてしまったダイナは笑わされているのだ。

ウルトラマンが抱腹絶倒する光景にティガとガイアは唖然とする。

 

 

ピィロン♪

 

ティガ「ヂョアァッ!?」

 

ガイア「グアッ!?」

 

 

ティガとガイアは気をとられている隙にガラオンの怒り顔と泣き顔の眼から放たれる赤色と青色の光線を受け、胸元から火花を散らしながら倒れる。

 

 

ガラオン「ガァガァガァ…!」

 

 

怒り顔に切り替わったガラオンは手足を引っ込めると、浮遊装置を作動させ、3人のウルトラマンを見下ろせる高さまで上昇する。

 

 

ブンブンブン…ッ!

 

ガラオン「ガァガァガァ…!ファァ~~!ハーハハッ!」

 

 

そして、その場でグルグルと高速回転するのと同時に赤、青、黄色の光線を次々発射した。

 

 

 

ドォォォンッ!

 

ガイア「ドォアァァーーーッ!?」

 

ダイナ「グワァァァーーーッ!?」

 

ティガ「グァァァッ!?」

 

 

落雷の如く降り注ぐ光線の嵐にガイア、ダイナ、ティガは避けきれずもろに受けてしまい、周囲が明るくなる程の爆発が舞う。

 

 

ドルチェンコ「₦₩₪₸₮₰≮₤↓⊃)♪」

 

「「₮₰₰≮∪₪↓~〇♪」」

 

 

3人のウルトラマンが一方的にやられる様を見て、ガッツポーズをするドルチェンコを筆頭にウドチェンコ、カマチェンコも嬉しそうに跳び跳ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

火花と煙、吹雪が舞う中で繰り広げられる両者の戦いを1人の男が双眼鏡を使って見物していた。

 

その男は四之宮 龍。リアスの親友であるソーナ・シトリーの眷属の1人ではあるが、時に彼等の敵、時に味方として暗躍する魔人───ジャグラスジャグラーの顔も併せ持っている。

 

四之宮は双眼鏡を下ろすと、不敵な笑みを浮かべる。

 

 

四之宮「ほぅ…?中々、賑やかになっているな。どれだけ成長しているか、試させてもらうぜ♪」

 

 

そう言いながら四之宮は懐から取り出したダークゼットライザーのトリガーを引き、出現した光のゲートに飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイナ「……フッ!シュワッ!!」

 

ガイア「グアッ!!」

 

 

ミジー星人達が狂喜乱舞している中、やっと笑いが収まったダイナとガイアは跳び跳ねて立ち上がると、すぐさまスペシウム光線とクァンタムストリームを放つ。

だが、素早く上昇したガラオンにひらりとかわされる。

 

 

ドルチェンコ「おっと、危ない。ハッハッ……。敵を目前に油断する我々では────」

 

ティガ「ヂャァッ!」

 

ドォォンッ!!

 

ドルチェンコ「₪≮₰∪⊃⊃₩!?」

 

 

嘲笑うミジー星人達だったが、両腕を十字に組んだティガが放つ断続的な青白い光線──『マルチ・スペシウム光線』がガラオンに炸裂する。

ガラオンの体からあちこち火花が飛び散り、回路がショートしたコックピット内は大慌てになる。

ガラオンからは煙が立ち上がり、火気類も使えない。

勝てないと判断したドルチェンコは部下に撤退を命じる。

 

 

ドルチェンコ「逃げろォ、逃げろォ!!おのれェ……覚えていろッ!ウルトラマ───」

 

《Jumbo duke.》

 

ジャンボデューク「ピィ~!ギャアワァァッッ!」

 

「「「どわぁぁぁーーーーーー!??」」」

 

 

ドルチェンコが捨て台詞を最後まで話す間もなく、背後の空間からガラスを割るように出てきたジャンボデュークに殴られる。

ガラオンは搭乗している3人のミジー星人の悲鳴と共にギャグ漫画の如く遠い空へ吹っ飛んでいった。

夜空に星を描いて。

 

 

ジャンボデューク「ピィ~!ギャアワァァッッ!」

 

「「「……ッ!」」」

 

 

呆気にとられていた3人のウルトラマンだったが、ジャンボデュークの鳴き声にハッと我に戻ると、牽制光弾───ハンドスラッシュ、ビームスライサー、ガイアスラッシュを放つ。

 

 

パキィンッ!

 

 

ジャンボデュークは空を叩き割ると、赤い空間が広がる異次元へ逃げ込んだ。

割れた空は閉じ、3人の放った光弾は宙を切って遠い空へ飛んでいく。

忽然と姿を消えたのを見て、3人は自然と背中合わせで円陣を組む。

 

 

ティガ「消えた……。あの怪獣は逃げたのか?」

 

ダイナ「いや、異次元に逃げ込んだだけだ。今もどこかで奇襲を狙ってる」

 

ガイア「気を付けろ。前にも戦ったけど、手強かった……」

 

 

上、下、右、左───あらゆる角度に視線を張り巡しながら注意喚起を促す。

特にダイナとガイアは以前、京都で戦ったことがあるのでジャンボデュークの強さは身に染みている。

 

 

パリィンッ!

 

「「「───ッ!」」」

 

《Jumbo king.》

 

ジャンボキング「ピィ~!ギャアワァァッッ!」

 

 

緊張が走る中、ティガの正面の空間が割れると、機械音声と共にジャンボデュークからジャンボキングへと進化した合体超獣が姿を現す。

鋭い歯が並ぶ口を大きく開くと、暗闇を照らす程の火炎を放射する。

 

 

ガイア「デュアッ!」

 

ピュインピュインピュインピュイン……!

 

 

ガイアは素早く2人の前へ出ると、ウルトラバリヤーを展開する。

両腕から発生した高速回転の光の障壁は燃え滾る炎の進行を防ぐ。

 

 

ティガ「ン″ン″ン″ン″ン″~~~~ハッ!」

 

ダイナ「フ″ゥ″ン″ン″ン″~~~~グァッ!」

 

 

その隙にティガはスカイタイプ、ダイナはミラクルタイプにタイプチェンジすると、大地を蹴って上空を飛び立つ。

空気抵抗の少ないスマートな体格を得た両者はあっという間にジャンボキングが小さく見える程の高度に到達する。

 

 

ティガ「ヂャッ!」

 

ダイナ「ハッ!」

 

ジャンボキング「ピィ~!ギャアワァァッッ!」

 

 

ティガとダイナは空を縦横無尽に飛び回りながら手先から放つ光弾で攻撃し始める。

ジャンボキングも負けじと鼻からミサイルを発射して応戦する。

空中で大爆発が起きるも、ティガとダイナは紫と青の残像を残してひらりひらりとかわしながら攻撃していく。

 

 

ガイア「グアッ!」

 

ジャンボキング「ピィ~!ギャアワァァッッ!」

 

 

両者に気をとられている間に接近したガイアはタックルを仕掛ける。

ジャンボキングは僅かに怯む程度で効いていないが、ガイアは果敢に格闘戦で攻めていく。

 

 

ジャンボキング「ピィ~!ギャアワァァッッ!」

 

ガイア「トォアッ!」

 

 

流石に鬱陶しいジャンボキングは顔の側面に生えているカウラの角から光線を放つ。

ガイアは跳躍してかわすと、ラクダのように凹凸がある背中へ跨がる。

振り落とそうと揺らされながらもしがみついて粘るガイアはチョップや拳の応酬でジャンボキングの死角から攻め立てる。

 

 

ピーーーー!

 

ガイア「グアァァァッ!!」

 

 

攻め続けるガイアだったが、後半身のコブから生えているギロン人の肩パーツから放たれる粒子状の光線を背後から撃たれ、怯んだ隙に振り落とされる。

 

地面へ落とされてしまったガイアだが、時間は充分稼いだ。

そう、ジャンボキングが戦うのは彼だけではないのだ。

 

 

ダイナ「フ″ゥ″ゥ″ゥ″ゥ″~~~~……!」

 

 

額の前で両腕を交差させたダイナは体全体を粒子状に変換させると、ティガの体に飛び込む。

ダイナの光を纏い、光輝くティガは両腕を胸の前で交差させた後、素早く左右に伸ばして上にあげて青色に煌めくエネルギーを両手に集約させる。

 

 

ティガ「ヂャァッ!!!」

 

 

両腕を左腰に携えたティガは忍者が手裏剣を投げるかの如く素早く青色の光弾を投げ飛ばす。

スカイタイプの必殺技───ランバルト光弾だ。

しかし、ただのランバルト光弾ではない。ダイナが放たれた青色の光弾と一体化し、体を実体化させながろ飛び出しているのだ。

言うなればウルトラマン版の人間砲弾だ。

 

 

パリィンッ!

 

 

当然、そんな攻撃を易々と受けるは毛頭ないジャンボキングは空間を割り、赤い空間が広がる異次元へ踏み込むが───

 

 

ガイア「グアッ!」

 

ジャンボキング「ピィ~!ギャアワァァッッ!」

 

ガイア「グアァァァ……ッ!」

 

 

飛び付いたガイアに止められる。

両腕を首に回したガイアは渾身の力を込めてジャンボキングを異次元の穴から引っ張り出すと、外へ放り出す。

放り出したその位置は丁度青色の光弾と一体化したダイナの標準だった。

 

完全に実体化したダイナは拳を突きだし、真っ直ぐ突撃する。

 

 

ダイナ「デェアッ!!!」

 

ドォォォォォンッ!!

 

ジャンボキング「ピィ~!?ギャアワァァッッ!」

 

 

ランバルト光弾と一体化したダイナの体当たりはジャンボキングに炸裂し、大木のような巨躯を貫いた。

その衝撃でジャンボキングは驚いたように叫ぶ。

 

だが、体を貫かれてもなお、体はピンピンしていた。

とある宇宙で光線技の名手と謳われる英雄も光線技を持ってしてもジャンボキングを倒せず、首をはねてやっと活動を停止させたぐらい渋いのだ。

 

地上に降り立ったダイナはガイアに駆け寄る。

遅れてティガも彼等のもとに降り立つ。

未だ闘志は消えない眼前の敵にティガはやや嫌そうに声をもらす。

 

 

ティガ「タフな奴だ……」

 

ダイナ「けど、ゲームセットも間近だ!決めるぜ~!俺達のウイニングショット!!」

 

ガイア「ああ、行くぞっ!!」

 

 

ガイアの呼び掛けに応じたティガとダイナは頷くと、額のクリスタルを輝かせて各々の基本形態に戻る。

 

 

ガイア「デュアッ!グアァァァ……ッ!!」

 

 

ガイアは両拳を腰に携えた後、両腕を頭上高く掲げ、胸の前で瞬時に合掌して一旦左右に広げて目映い赤色の光に包まれると、両腕を内側に180度回転させる。

そして、交差させた両拳を胸から下に降ろして赤色の光を晴らすと、スプリームヴァージョンにヴァージョンアップした。

 

 

ガイア「デュアッ!グアァァァアァァァァ……!!」

 

 

ガイアは平手にした右腕を垂直、平手にして平行にした左腕を胸に当ててからクロールの様に大きく体を反らしながら円を描き始める。

 

同時にティガも突き出した両腕を交差させた後大きく開いて紫色のラインを描き、ダイナも斜め上にした右腕と斜め下にした左腕をライフゲージの前で沿わせ、大きく斜めへ開いて放射状の光を集約させる。

 

 

ガイア「デュアァァァァァーーーーーーーーーッ!!!」

 

ダイナ「シュワッ!!!」

 

ティガ「ヂョアッ!!!」

 

 

一連の動作を終えたガイアは右手を下にずらし、ダイナは両腕を交差させ、ティガはL字に構えて光線を発射する。

 

───フォトンストリーム

───強化ソルジェント光線

───ゼペリオン光線

 

3人は互いの最強光線を結集させた一大必殺技──────『TDGスペシャル』を放った!

 

 

ジャンボキング「ピィ~!?ギャアワァァッッ!」

 

ドォォォォォォォンッ!!!

 

 

タフなのが売りのジャンボキングもこの一大必殺技の前には耐えきれず、直撃した瞬間に大爆発を起こした。

変身解除された四之宮は爆風に吹き飛ばされ、地面に叩き付けられる。

変身に使っていた怪獣メダルはバラバラに飛んでいった。

 

 

四之宮「ちっとは手加減しろっての……!」

 

 

3人のウルトラマンを見上げながら四之宮は悪態をつく。

体を貫かれたにも関わらずそんな台詞を吐けるのは合体怪獣…否、合体超獣の姿と力を借りたからであろう。

 

 

ティガ「ヂャッ!」

 

ダイナ「シュワッ!」

 

ガイア「デュアッ!」

 

 

ジャンボキングが四之宮が変身していたことも露知らず、3人のウルトラマンは両手を天高く広げて大地を蹴ると、遠い空へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人のウルトラマンが立ち去った後、四之宮以外にも戦いを眺めていた黒い人影が1つ。

その人影は雪に足跡を残しながら歩いていた。

 

 

「……」

 

 

地面に何かを見つけた人影はピタリと足を止める。

そこに落ちてあったのは四之宮が変身解除の際に落としたカウラ、ユニタング、マザリュース、マザロン人、そして巨大ヤプールの計5枚のメダルだった。

 

 

チャリッ…

 

 

人影はその細い指で巨大ヤプールのメダルを手に取ると、雪を払って懐にしまう。

他の4枚も同様に回収していった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わった3人はファイターEXで避難させていたライザーを拾い、寝床にしていた洞窟へ戻っている筈……だったが───

 

 

一誠「待てーー!」

 

 

何故か一誠を先頭にライザーを追いかけていた。

空を飛べない大悟は我夢がおぶる形で飛んでいる。

先程、3人は寝床にしていた洞窟に行ったのだが、洞窟の中はおろか、ファイターEXの操縦席ももぬけの殻だった。

 

何故、ライザーが抜け出したのか。

それは彼の口からわかるだろう。

 

 

ライザー「ええい、待たんッ!俺は覗く!何としてでもリアスの乳をこの目に収めるまではなーーッ!!」

 

 

そう、ライザーは近くの山にある露天風呂を覗きにいこうとしていた。

今夜はリアス達オカルト研究部の女性メンバーが入浴している。昼間にその話は我夢達は聞いているが、ライザーは特訓に明け暮れながらもしっかりと盗み聞きしていたのだ。

 

女湯を覗く……至ってシンプルなスケベ心に拍子抜けた一誠は呆れた声をあげる。

 

 

一誠「はあ!?たったそれだけの為にかよ!?宇宙人から助けた恩を忘れたのかよ!」

 

ライザー「ああ、お前達には感謝している。……だがな、それとこれは別だッ!!いいか!温泉に女が入ると決まれば覗くのは当然のことだ!お前達の仲間は美女揃いだが、特にリアス!あの乳を拝めるだぞ!元フィアンセである俺が見て何が悪い?!」

 

一誠「ふざけんなッ!大有りだ!俺達の部長の裸をお前なんぞに見せてたまるかッ!!」

 

 

ライザーの無茶苦茶な言い分に頭にきた一誠は速度を上げて急接近して殴りかかる。

一誠の拳はライザーに軽々と避けられ、空を切る。

空中戦では長い間飛び続けてきたライザーに分があった。

振り向いたライザーは宙で停止すると一誠に指を指す。

 

 

ライザー「貴様にはわかるまい!あのデカイ乳を毎日拝めると思った矢先に絶望を叩き落とされた俺の気持ちが!あれを見ないまま一生終えるなんて、諦められるかッ!!」

 

 

昼間のヘタレさは何処か消えたのか、決心という炎を瞳に秘めたライザーは熱烈に語る。

自分の眷属が全て女性であるにも関わらずにだ。

 

一誠達はライザーには根性がないと思っていたと勘違いしていた。

 

あったのだ。誰にも負けないスケベ根性が。

 

 

ライザー「それに雷の巫女のも見たいしな!リアスよりデカそうな乳をしているだろ!」

 

我夢「何っ!?絶対にさせない!!イッセー!早くアイツを叩きのめすんだッ!」

 

一誠「オーケー……」

 

 

雷の巫女───朱乃の裸を覗くと知った我夢は珍しく感情的になると、一誠をけしかける。

承諾した一誠は指をポキポキと鳴らしながらゆっくりとライザーに近付き始める。

 

ライザーもそれに合わせて身構える。

静寂の闇夜に降り注ぐ吹雪の音がやけに大きく聞こえるくらい緊張が走る。

一誠はライザーの後ろを指差す。

 

 

一誠「ライザー。あれ何だ?」

 

ライザー「ん?」

 

 

一誠が後ろに何かをあるように言うものだからライザーは思わず振り向く。

しかし、後ろには山と吹雪が飛び交う雪原が広がる代わり映えのない景色だった。

 

 

一誠「隙ありーーーーッ!!」

 

ライザー「のあァァァーーーーーーッ!!?」

 

 

一誠の策にまんまと引っ掛かり隙を見せたライザーは一誠の延髄斬りをくらい、地上へと吹っ飛んでいく。

 

 

一誠「よしッ!」

 

 

フェイクが上手くいった一誠は嬉しさのあまりガッツポーズを取る。

ライザーの覗きを阻止できたことに喜ぶ一同だったが、我夢はライザーの落ちていく方角を見て焦燥の色を見せる。

 

 

我夢「不味いぞ!ライザーが飛んでいった方角には温泉がある!」

 

一誠「何ィ!?」

 

大悟「早く行かないと!」

 

 

焦った3人はライザーが飛んでいった方角に向けて急降下する。

 

温泉に降り立った3人は辺りを見渡す。

足下は温かい湯が流れており、周りは全貌が見えない程の湯気が立ち込め、あちこちに石が敷き詰められている天然の露天風呂と言える光景が広がっていた。

 

 

ライザー「……」

 

 

温泉から少し離れた床にはライザーが○神家の如く逆さまの状態で埋まっていた。

大悟がライザーの足をちょんちょんと触っても反応しない。

完全に気を失っているようだ。

 

 

大悟「とりあえず、早くここを立ち去ろう」

 

一誠「そだな」

 

我夢「ライザーを引っ張っていこう」

 

 

今は誰もいないが、一刻も早く立ち去らねば自分達が覗き魔扱いされてしまう。

大悟の提案に乗った一誠と我夢はライザーを床から引っ張り出そうとした矢先──

 

 

リアス「……凄い音がしたから誰かと思えば、イッセーじゃないの?それに、大悟と我夢も」

 

「「「……?」」」

 

 

聞き覚えのある声が聞こえてきた3人は声のする方へ視線を送る。

すると、そこには生まれたままの姿のリアスが立っていた。

この状況に3人は狼狽えていると、湯気の中から次々と見覚えのある人物が現れる。

 

 

朱乃「あらあら?随分と野性的ですわね♪」

 

アーシア「ひゃあぁぁっ!?み、皆さん、いらっしゃったのですか!?」

 

ゼノヴィア「私達を覗きに来たか!流石だ!」

 

 

朱乃、アーシア、ゼノヴィアが現れる。

勿論、生まれたままの姿だ。

恥ずかしがって腕で大切な箇所を守るアーシアはともかく、裸なのにいつものように振る舞う朱乃とゼノヴィアの豪胆さはどこから来ているのだろう。

 

 

イリナ「ちょっと!?早く出てってよ!」

 

小猫「……覗き、最低です」

 

ロスヴァイセ「もうお嫁にいけないわっ!!うわぁぁぁぁん!!」

 

 

彼女の後ろでは顔を真っ赤にしたイリナ、小猫、ロスヴァイセが岩陰から顔を出している。

裸を見られたのがよっぽど応えたのか、ロスヴァイセは嘆き悲しんでいる。

 

 

レイヴェル「……イッセー様?お兄様?」

 

 

どうしようかと3人が狼狽える最中、レイヴェルが湯気の中から現れる。

レイヴェルは戸惑う3人を視界に捉えて一拍空けると、次の瞬間、顔を真っ赤にして───

 

 

レイヴェル「きゃあぁぁぁーーーー!!?エッチィィィィーーーーーッ!!!!」

 

「「「すみませんでしたァァァーーーーーッ!!」」」

 

 

悲鳴をあげるレイヴェルが放つ火炎を受けて、我夢、一誠、大悟。そして気絶しているライザーは爆発の衝撃で吹っ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ライザーは持ち前のスケベ根性でウルトラマン恐怖症を克服した。

もう部屋に閉じ籠ることもなくなり、今は半年間のブランクを埋めるためのトレーニングに励んでいる。

 

そして、ミジー星人のアジトで共闘したのが縁か、一誠とライザーは連絡を取り合う程の仲になったとか。

 

 

ちゃんちゃん♪

 

 




次回予告
※(イメージBGM:ウルトラマンティガ次回予告BGM)

突如、熊本の地に姿を現した地中鮫ゲオザーク!
怪しげな策略を企むヴァーリは、大悟のスパークレンスを狙う…!

次回、「ハイスクールG×A」!
「地の鮫」!
お楽しみに!


大悟「待て……ッ!」


相棒にしたい怪獣は?

  • ピグモン(ウルトラマン)
  • セブンガー(ウルトラマンレオ)
  • ミラクロン(ウルトラマンゼアス2)
  • マキーナ(ウルトラマンティガ)
  • リドリアス(ウルトラマンコスモス)
  • シェパードン(ウルトラマンギンガS)
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