アーシアの歓迎パーティーから3日ほど経った頃、休暇をもらった我夢は、実家の両親に会いに行くため、バスに乗っていた。
何故、両親に会いに行っているのか。それは昨日、リアスに両親のことを聞かれ、しばらく会ってないと答えたら、今すぐ会ってきなさいと半ば強制的に言われたからである。
魔法陣で送ってもらおうかと考えたが、我夢は魔力がとても少ないので転送できないということを思いだし、仕方なくバスで向かうことになった。
我夢はリアスに言われたことを思い出していると、バスに揺られながら隣の席を見た。
小猫「……」
そこには窓ガラスから外を眺めている小猫の姿があった。
ちなみに服装はいつもの制服ではなく、可愛らしい猫のマークがプリントされたワンピースを着ている。
何故、彼女がいるのか。本人曰く、「我夢先輩のお目付け役です」だそうで、リアスに頼まれて来たそうだ。
我夢が来るまでバス停でずっと待っていたらしく、今日は少し暑いので、少し汗をかいていた。
ちなみに、もし来なかった場合は小猫が力ずくで自宅から引っ張り出すつもりだったそうだ。
彼女はその小柄な体格に似合わず、巨大なはぐれ悪魔を軽々と吹き飛ばせる力があるので、我夢はそれを想像して、ゾッとした。
そんなことを思いだしながら、我夢は視線を前へ戻した。
我夢「(母さん達、元気かな…)」
そんなことを考えながらもバスはどんどん先へ進んでいった。
この後、我夢が好きな和菓子の話を持ち出すと、小猫はそれに乗り、バスが我夢の実家がある地域に着くまでお互い熱く語り合った。
その頃、海上では謎の影が真っ直ぐどこかへ進んでいた。
我夢「う~ん、やっと着いた!」
小猫「…着きましたね」
その頃、バスから降りた我夢は、左手にお土産を持ちながら背伸びをすると、小猫と一緒に実家に向かって歩き始めた。
我夢「ここに来るのも久しぶりだな……」
小猫「…いつ振りですか?」
通り道である浜辺を歩いている途中、小猫の疑問に我夢は少しの間考えると
我夢「1年と3ヶ月振りかな」
小猫「…そんなに!?」
少し苦笑いをしながら答える我夢に、小猫は驚いた。
我夢「まぁ、色々あってね…。それであんまり
我夢はそう言いながら海を眺めると、彼が小学生の頃の出来事を思い出した。
小学生の頃の我夢は浜辺にて、3人の上級生たちに囲まれていた。
(上級生A「何でも僕にはわかりますってツラしやがってよ!」)
(上級生B「気に入らないんだよ、ガリ勉は家で勉強してろよ!」)
我夢は生まれたときから天才である。
そのため、成績はいつもトップクラスだった。
だが、天才ゆえに一部の人たちからは妬まれ、そんな人に毎日いじめられていた。
(上級生C「本なんか持ち歩きやがって!」)
(幼少期の我夢「あ!返してよ!」)
我夢は1人の上級生に取り上げれた本を取り返そうとしたが、他の上級生たちはそれを渡さないように妨害した。
(幼少期の我夢「返してよぉ…」)
我夢は今にも泣きそうな顔になり、上級生たちはその様子にニヤニヤしていると、
(???「おい、やめろ!」)
(上級生A「いてっ!」)
我夢と同じくらいの歳の少年が1人の上級生の背後にタックルをかました。
(上級生C「あ!何すんだ、お前!」)
上級生は突然現れた少年を睨んだ。
(少年「それはこっちの台詞だ!我夢にさっさと返しやがれ!!」)
少年は怒りのこもった言葉を言うと、上級生たちを睨み返した。
(上級生A「お前、年下の癖に生意気だ!やっちまえ!」)
先程タックルをくらった上級生がそう言うと、少年と上級生たちは取っ組み合いのケンカを始めた。
(上級生A「おい…、もう行こうぜ!」)
それから数分後、1人の上級生が観念したのか他の上級生にそう言うと、我夢の近くの砂浜に取り上げた本を投げ、どこかへ去っていった。
(少年「いてて~…。我夢、大丈夫か?」)
傷だらけの少年は赤くなっている頬に手を当てながら、我夢に安否を確かめた。
(幼少期の我夢「大丈夫だけど……。一誠、何で傷だらけになってまで助けてくれたの?」)
我夢は傷だらけの少年、兵藤 一誠にそう聞くと、
(幼少期の一誠「俺たち、昔から何をするのも一緒だろ?それに友達を助けるのに理由がいるかよ」)
(幼少期の我夢「一誠、ありがとう…」)
その言葉に感動した我夢は涙を流しながら感謝した。
小猫「我夢先輩…」
我夢が少し複雑そうな表情でその出来事を思い出していると、小猫は心配そうな眼差しを送った。
我夢「あ、あぁ!心配しなくていいよ!さぁ、先を行こう!」
我夢は小猫にそう言うと、別の話題を話し始め、歩きを再開した。
2人は色んな会話をしながら歩いていると、いつの間にか実家の前に着いた。
我夢と小猫は階段をかけあがり、門を開けた。
我夢「(うわ~、変わってないなぁ~)」
小猫「(…これが我夢先輩の実家)」
1年という短い期間だが、今住んでいるマンションに引っ越す前と変わらない庭と家の光景に我夢懐かしさと感動をおぼえ、小猫はこういった建物を見たことないのか、興味津々な様子で庭を見渡した。
その後、2人は気を取り戻すと、玄関の入り口の前に来た。
我夢「(何を話せばいいだろう…)」
我夢はそんな不安な気持ちをしながらインターホンを押そうと指を伸ばしたとき、
???「我夢?」
声のする方に我夢と小猫は振り返ると、そこには驚いた表情をしている我夢の母親、「高山
その後、我夢と小猫は家の中に入れてもらい、重美にお土産を渡すと、縁側に座り、重美から出されたジュースを手に持ちながら重美と会話していた。
我夢「そういえば、父さんは?」
重美「お父さんなら、お仕事よ。いきなり、帰ってくるからびっくりしちゃった~。連絡してくれば、夕飯をご馳走したのに…」
少し残念そうな表情を浮かべている重美に我夢はごめん…と申し訳なさそうに謝った。
その後、我夢は重美に最近の高校生活のことを話した。
重美はその話を相槌を打ちながら興味深く聞いていた。
重美「そうだったのね。でも、久しぶりに帰ってきたと思ったらこんな可愛い彼女さん連れてきちゃって~♪もしかして挨拶に来たの?」
我夢「!?」
小猫「///!?」
重美がにやにやしながらそう言うと、2人は思わず飲んでいたジュースを吹き出しそうになった。
我夢「か、母さん!!何言ってるんだよ!小猫はただの部活の後輩だよ!」
我夢はあわてて言うが、重美は冗談よ♪と舌を出しながら笑みを浮かべた。
我夢「小猫だってそうだろ…?」
我夢が小猫の方に振り向くと、
小猫「彼女…///」
我夢「小猫…」
小猫はまんざらでもない表情で頬を赤く染めながら呟いていた。
重美「あら、可愛いわね♪小猫さん、我夢をよろしくね♪」
小猫に冗談をかける重美に我夢が母さん、いいかげんにしてよ~と言おうと口を開いた時、
ズシーーン!!
海の方から大きな地響きが鳴った。
3人は立ち上がって地響きが鳴った方角を見ると、そこには全身が濡れていて、魚のような頭にザリガニのようなハサミを持つ怪獣、「ボグラグ」が海中から姿を現した!
我夢「母さん、急いで避難して。僕は他の人たちを避難させてくるから。小猫、母さんを頼む」
重美「…!わかったわ」
小猫「…わかりました」
我夢は何かを察した重美と小猫が了承するのを確認すると、ボグラグのもとへ走って行ったが、
我夢「母さん」
重美「?」
我夢はすぐ立ち止まり、重美の方へ振り向くと、
我夢「僕さ…、この街ってあんまし好きじゃなかった。でもさ、今は帰ってきてすごく良かったって思ってる…」
我夢は笑顔でそう言うと、再びボグラグのもとへ走っていった。
そんな息子の後ろ姿を重美は快い表情で見つめた。
一方、ボグラグはその巨体で住宅を踏み潰しながら人気のある方へ真っ直ぐ進んでいた。
その時、航空自衛隊の戦闘機部隊が到着し、ボグラグへ攻撃を開始したが
隊長「!?」
ボグラグ「シャアァァア…!」
発射した銃弾やミサイルはボグラグには全く効いていなかった。ボグラグは体の成分が塩化カリウムを大量に含む海水と同じな為、体温が低い。
したがって、ミサイルや銃弾などの火力も水で消され、全く通用しないということである。
隊長「何てやつだ…、現代の兵器がここまで通用しないとは…」
戦闘機部隊の隊長は今の自分たちじゃ手も足も出ないことに悔しそうに呟いた。
我夢は先程通った浜辺へ来た。
周囲を見渡し、人がいないことを確認すると、エスプレンダーを右手にはめ、ガイアへ変身しようとするが
我夢「!?」
我夢は何者かの気配を感じ、気配がある方へ顔を向けると、黒一色の服を着た少年が岩場にいた。
黒服の少年「…」
黒服の少年は右手首につけている三角形の発光体に羽が閉じているような飾りがついたブレスレット形の変身アイテム、「アグレイター」を下に下ろした。
すると、アグレイターの左右の羽が展開し、そのまま胸の前に持ってくると、三角形の発光体が回転し、翼の上部から発生した青い光のエネルギーに黒服の少年が包まれると、我夢の前から姿を消した。
我夢がどこにいったのか周囲を見渡すと、突然空から何かがボグラグの前に落ちてき、土煙が舞った。
土煙が晴れると、アーシア救出の際に突然現れたあの青いウルトラマン、「ウルトラマンアグル」が姿を現した。
我夢「あの時のウルトラマン…まさかアイツがウルトラマンだったなんて…」
我夢はアグルの正体があの黒服の少年だという事実に驚いていた。
一方、街から離れた避難所では
一般市民A「おい、あれってウルトラマンか?」
一般市民B「ウルトラマンってガイア1人だけじゃなかったの?」
一般市民C「ウルトラマン、がんばれー!」
避難している人々は突如現れたアグルに各々、驚きや疑問、歓喜の表情を浮かべていた。
女の子「おねえちゃん、ウルトラマンガイアだよ」
重美と一緒に避難していた小猫に女の子が嬉しそうに話しかけるが、
小猫「違うよ……、ガイアじゃない」
小猫は真剣な眼差しで女の子にそう言うと、そのままアグルの方へ視線を向けた。
ボグラグ「シャアァァアーーーー!」
アグル「…!ホワァッ!」
アグルはボグラグの方を向くと平手にした右腕をボグラグに向けて、間合いをはかった。
アグル「テヤッ!」
しばらく間合いをはかると、アグルは右手から放つ三日月型の光弾、「アグルスラッシュ」をボグラグへ放った。
ボグラグ「シャアァァア!?」
アグル「ホワァッ!」
ボグラグ「シャアァァアー!!」
アグルはボグラグがアグルスラッシュで怯んだ隙を狙って接近し、脇腹めがけて回し蹴りを放ち、ボグラグを吹き飛ばした!
アグル「ホワァッ!アァァァァ………!」
更に、アグルは吹き飛ばしたボグラグに近づき、その尻尾を掴むと、ジャイアントスウィングの要領でボグラグを街の方へ投げ飛ばした。
隊長「あいつ…、住民の避難が完了しているからいいものを…!」
上空で待機している戦闘機部隊の隊長はアグルが街への被害を構うことも無く、投げ飛ばしたことに苛立っていた。
ボグラグ「シャアァァア…」
先程の攻撃が効いたのか、ボグラグは吹き飛ばされた影響で壊された家を更に押し潰しながらもフラフラと立ち上がった。
ボグラグ「!」
アグル「テヤァッ!!」
アグルは右手から青く輝く光剣、「アグルブレード」を出現させると、そのままボグラグに近づき、首を切断した!
アグル「…」
アグルは仕留めたと思い、アグルブレードをしまった時、
ボコボコボコ…
ボグラグ「シャアァァアーー!!」
アグル「ドオァ!?」
ボグラグは頭を瞬時に再生させ、両手のハサミでアグルの首を挟み、そこから電撃を流した!
アグル「ドォアァァァァァーー!!」
[テレン]
苦しんでいるアグルのライフゲージが青から赤ヘ変わり、点滅を始めた。ボグラグは電流を流すだけでなく、ウルトラマンのエネルギーをも吸いとっていた。
我夢「ガイアァァーー!!」
アグルに助太刀するため、我夢はエスプレンダーを前につきだして叫ぶと、ウルトラマンガイアへと変身した。
ガイア「デュア!」
ガイアは土煙を立てて着地すると共に、ガイアスラッシュをボグラグの両手にめがけて放った。
ボグラグ「シャアァァアー!?」
アグル「ドゥワッ」
ガイアスラッシュがボグラグのハサミに当たり、切断され、アグルは解放され、倒れこんだ。
ガイア「ダァァーーー!!」
ボグラグ「シャアァァアー!?」
ガイアは思いっきり力を込めてジャンプし、飛び蹴りを喰らわせると、ボグラグは後ろへ後退した。
ガイア「デュアアァァァァ…!」
ボグラグ「――!!」
ガイア「デュアァァァァーーーーー!!」
ボグラグが飛び蹴りで怯んだ隙に、ガイアはボグラグを後ろから抱えあげると、ジャーマン・スープレックスを放った!
ボグラグ「シャアァァア…!」
それをくらったボグラグはフラフラしながらも立ち上がった。
ガイア「デュアッ!」
ガイアは立ち上がった瞬間にボグラグの頭を回し蹴りで吹き飛ばした。
ボグラグは首から上が無くなったが、
ボコボコボコ…
ガイア「…!グァッーー!」
ボグラグ「シャアァァアーーー!!」
ボグラグは瞬時に頭とハサミを再生させ、ハサミでガイアの首を挟み、電撃を流した!
ガイア「グァァァァァァーーーーーー!!」
[ピコン]
電撃を与えられ、更にエネルギーを吸いとられてたガイアは膝をつき、ライフゲージが青から赤に変わり、点滅を始めた。
ガイアはこのままじゃやられる…!と思ったとき
アグル「ホワッ!アァァァァァァァ……」
[テレン]
先程倒れていた筈のアグルはある程度回復したのか立ち上がると、腕を下にしながら縦に大きく広げると、胸の中央に青い光球を作り出した。
ボグラグ「シャアァァアーー!」
ガイア「!」
それに気付いたボグラグは、ガイアを盾にするようにアグルの方角へ向けた。
アグル「……」
アグルは全く気にせずにエネルギーを溜め続け、ガイアは待ってくれと制止するように右手を前に出した。
隊長「まさか、ガイアもろともやる気なのか!?」
隊員「「「「!?」」」」
加勢に来たガイアごとボグラグを攻撃しようとするアグルの姿に、隊長と他の隊員は驚愕した。
アグル「――ホァッッ!」
エネルギーを溜め終えたアグルは両手を握り拳にして放つ必殺技、「リキデイター」を放った!
ドガァァァァン!!
ボグラグ「シャアァァア………!」
ガイア「!!」
シュウゥゥゥゥ……
ガイアの頭の上すれすれにボグラグに命中すると、リキデイターの熱に耐えきれず、ボグラグは蒸発した。
アグル「……」
[テレン]
ガイア「……」
[ピコン]
アグル「トァッ!」
水蒸気が晴れたガイアは、アグルとしばらく無言で見つめあうと、アグルはガイアの真横を通り過ぎて空へ飛んで行った。
隊長「あのどちらかと戦うことになるのか……」
隊長は未知の存在であるガイアとアグルの力に改めて驚愕しながら呟くと、本部から帰還命令が通達され、他の隊員たちと一緒に本部へ帰還していった。
我夢「ハァ…ハァ…、くそっ!頭の中じゃもっと動けたのに…!」
ガイアから元に戻った我夢は、夕陽が差し掛かっている浜辺で、先程の戦いでまだまだ力不足だと実感し、悔しそうに呟きながら避難所の方へ歩いていた。
しばらく歩いていると、我夢は岩場にアグルへと姿を変えた黒服の少年が立っていることに気付いた。
黒服の少年「我夢、君が2番目だったんだ」
黒服の少年は我夢にそう言うと、我夢は何故自分の名前を知っているのかと困惑しながら少年の顔をよく見ると、7年前のとあるニュースを思い出した。
我夢「藤宮…、君は『
藤宮「俺の事を知ってるなんてな…」
我夢「…知ってるも何も僅か10歳でイギリスの『ハイド・ベノン大学』で飛び級で入学し、その後主席で卒業したって当時ニュースで毎回のように取り上げられたじゃないか!」
我夢の言う通り7年前日本や世界で藤宮は『世紀の天才児』と言われ、ニュースや新聞に毎日の様に報道されていた。
しかし、ある日を境に行方不明となり、彼の消息についての話題もあったが、次第に話されなくなり、人々からの記憶から消えていったのである。
我夢「どうして、どうして君がウルトラマン――」
藤宮「『根源的破滅招来体』、つまり駒王町に現れた
我夢「そんな……」
我夢の問いを遮るように藤宮はそう言い放つと、我夢に指を指し、
藤宮「ウルトラマンは地球を守る者だ。しかし、存在理由を持たない人間、それを治めるどころか悪化させている悪魔まで救う義理はない!グレモリー眷属なんてやめてしまえ!!俺を手伝うことが君の為すべきことだ!!」
我夢「違う…!絶対に君の考えは間違ってるぞ!!」
藤宮のウルトラマンの在り方に我夢は反対すると、夕陽に照らされた2人は睨み続けたまま何も言わず、むなしく時間だけが過ぎていった……。
次回予告
不気味な目が、悪魔を笑う…。
目が、我夢を笑う…。
目が、ガイアを…。
次回、「ハイスクールG×A」
「あざ笑う眼」
君も笑われている…。
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