【バンドリ×けいおん】唯「バンドリ?」香澄「けいおん?」   作:キラ@創作垢

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 ――高校生になってから、私の毎日には音楽があった。

 それは、これから先も変わる事なく続いていく……。

 私が今、私のままでいられるのは、きっと、音楽があるからだと思うんだ。


 あの日、何かがしたいと思っていた私に応えてくれた音楽が。

 キラキラ、ドキドキしたいと思っていた私を導いてくれた音楽が。

 あの頃の私を、みんなに会わせてくれた音楽が。

 今の私を、あの人達に会わせてくれた音楽が。


 私を、みんなと繋いでくれた音楽が私は……大好き―――!!


#9最終章.放課後と輝きの絆

【控室】

 

 静まり返った控室に、5人の姿はあった。

 

 疲労で全身は気だるく、腕が重い。酸欠で息は上がり、指先の皮は捲れ、僅かに血が滲んでいた。

 

 皆、まさに満身創痍の様相だったが……それでも、かつてのあの日の様に、並んで座り込む5人の顔は、充実感と満足感で満ち溢れていた。

 

 

唯「……やりきったね……私達」

 

律「……ああ……みんな、よくやったよ……澪もそう思うだろ……?」

 

澪「ああ…………本当に……」

 

紬「澪ちゃん……」

 

澪「うん、良かったよな……本当に……良かったよな……」

 

紬「うんっ……とっても良かった……」

 

梓「やっぱり私、皆さんと演奏できて……幸せです」

 

律「そのセリフ、前にも言ってたな……ははは、懐かしいや……」

 

唯「うん……そうだねー……」

 

 互いに手をつなぎ、過去の記憶が頭の中に蘇るのを自覚しつつ、唯達はしばしの安らぎに身を委ねていた。

 

 そしてしばらく、その静寂を破るように、控室の扉が大きく開かれる。

 

 

 ――ガチャッ!

 

声「皆さん! お疲れさまでした!!」

 

律「あははは……こりゃまた元気なお客さんの登場だ」

 

香澄「唯さんっっ! 唯さん……! 私、すっごく感動しました……皆さんのライブ……最高でした!!」

 

ひまり「っっ! 澪さん……すっごくかっこ良くて!! もう私、涙が止まらなくって……! っぅうぅ!」

 

麻弥「もーーー!! 律さん! ジブン、こんなドッキリ聞いてませんよぉ! でも……本当に凄いライブでした! ジブン、もう感動しっぱなしでした……!!」 

 

美咲「あははは、みんな泣きすぎ……。……紬さん、お疲れ様です。本当に、素晴らしい演奏だったと思います」

 

友希那「梓さん……お疲れさまでした、私も心の底から楽しめた……素晴らしいライブでした」

 

 香澄達はなだれ込むように控室へ入り、相次いで放課後のライブに対する称賛と労いの言葉が紡がれる。

 

 皆の言葉を、満更でもないといった様子で唯達は聞き入れ、言葉を返していた。

 

 

唯「香澄ちゃん……みんな……えへへへ♪」

 

澪「みんなの演奏も素晴らしかったよ……蘭ちゃん、ひまりちゃん……招待してくれて本当にありがとう……」

 

律「みんな、あたしが見てるって知らなくても、あんだけすげー演奏できてたんだもんな……もうみんな、十分立派なアイドルだよ……」

 

紬「こころちゃん、美咲ちゃん……私の方こそお礼を言わせて……みんなのステージ、本当に楽しかったわ」

 

梓「友希那さん……こちらこそありがとうございました。Roseliaの演奏のおかげで、私、迷ってた気持ちも綺麗に吹き飛びました」

 

 その言葉を聞く香澄達もまた笑顔で返し、和気藹々とした空気が控室に流れていく。

 

 そして……。

 

 

まりな「ほらみんなー、ライブはまだまだ終わってないよ! 次の演奏もあるから、ステージに行こう、ね♪」

 

香澄「……はい! 唯さん……私達のライブ、もっと盛り上げていきますから……最後まで、楽しんでいって下さい!」

 

蘭「あたし達の歌はまだまだ続きます、澪さんも、最後まで見ていて下さい……!」

 

彩「ふふふっ……私達も、さっき以上にステキなステージにしてみせますね♪」

 

友希那「ええ、皆さんのライブにも負けない……最高の演奏をお届けします」

 

こころ「ふふふっ♪ それじゃあみんな~、いっくわよ~♪」

 

 そして、観客の待つステージへと少女達は歩き出す。

 

 その背を追うようにして、唯達もまた、ゆっくりと足を進ませていた。

 

―――

――

 

【ステージ】

 

彩「皆さん聴いて下さい! 夢の輝きはここに……!『もういちど、ルミナス』!」

 

蘭「みんな、私達の今を見て欲しい……!『ツナグ、ソラモヨウ』!」

 

こころ「みんなー! 笑顔で盛り上がりましょ♪『キミがいなくちゃっ!』ミュージック……スタート♪」

 

友希那「響け、私達の情熱よ……『Neo-Aspect』!!」

 

香澄「みんなの思い……純粋な気持ちを心に込めて歌います……聴いて下さい、『二重の虹(ダブル レインボウ)』!!」

 

 少女達のライブは続く。

 

 休憩で一度は途切れそうになった観客のテンションも充分な程高まり、会場の至る所で歓声や掛け声が相次ぐ。

 

 その声に合わせ、少女達の輝きは、絶えず紡がれていく――。

 

 

唯「みんな……がんばれーーっ!」

 

律「全身ヘトヘトなのに不思議と身体は動くんだよな……やっぱみんな、すげえわ……!」

 

澪「ふふふっ……でも、悪くないな……この感じ!」

 

紬「うんっ! やっぱり、ライブって……音楽って……!」

 

梓「最高……ですねっ!」

 

 その輝きはフロアにいる全ての人の心を照らし、興奮の一時はその熱を落とさぬまま続いていく……そして、少女達の宴は、遂に最終章へと向かうのであった――。

 

―――

――

 

 長く続いたライブのエンディング、その最後の歌は、香澄達主役の5人によって始められようとしていた。

 

 香澄、蘭、彩、友希那、こころの5人はそれぞれ同じ衣装を纏い、ステージに佇み、ただその時を待つ。

 

 そして、最後の歌が始まる――。

 

 

まりな「それでは、本日最後の演奏になります! GBPスペシャルバンドによる演奏、どうぞ!!」

 

 ――ワアアアアアアアア!!!!

 

 

彩「みなさん……! 今日は私達のライブに来て頂き、本当にありがとうございます!!」

 

蘭「最後は、私達の歌で締めようと思います!」

 

こころ「どのバンドの演奏も素晴らしくって……とっても楽しい一日だったわ♪」

 

友希那「様々な思いや希望、感動で満ち溢れた、最高のライブでした……」

 

香澄「ぅん……でも、本当は私……まだ、終わりになんてしたくないです……っっ みんなとずっと……ぅ、ぅたって……ぃたいですっっ……っ!」

 

香澄「……きょぅは、本とぅに……キラキラや……ドキドキの連続でした……っ…かっこいい人達がいて……ステキな人達がいて……っ!!」

 

香澄「ひっくっ………うっ……うぅぅぅぅ…………っっ」

 

 声が上ずり、香澄の眼から大粒の涙が溢れだしていた。

 

 顔を覆い、泣きじゃくりながら、それでもMCを努めようとする香澄の姿に、会場から次々とエールが送られる。

 

 

唯「香澄ちゃーーん!! がんばれーー!!」

 

律「しっかりやれー! 最後まで! やりきれーーー!!」

 

澪「みんなすごかった!! 私も感動したよ! 本当にありがとうーー!!」

 

 

 ――がんばれ! 香澄ーーー!!!

 

 ――私達、ずっと応援してるからねーーー!!

 

 ――香澄ーー!!! 頑張ってる香澄の姿……みんな大好きだよーーー!

 

 

 その歓声は応援となり、香澄だけではなく、ステージにいる全員の気持ちを一つに纏め上げていく……。

 

 

香澄「……っ………み、みんなぁぁ………っっ」

 

蘭「香澄……!」

 

彩「香澄ちゃん……!」

 

こころ「香澄っ♪」

 

友希那「戸山さん……!」

 

香澄「……っっ………うん、もう……大丈夫っ!」

 

 会場から送られる応援に込み上げる涙を拭い、香澄は息を整える。

 

 そして落ち着きを取り戻した頃、香澄は思いっきり声を張り上げ、最後の曲名を告げるのだった……。

 

 

香澄「最後に……ここにいるみんなで、心を込めて歌います……聴いてください!――『クインティプル☆すまいる』!!!!」

 

https://www.youtube.com/watch?v=KTRoRay2ULs

 

 

 香澄達の歌は、まさに宴の最後を締め括るに相応しい歌だった。

 

 夢、今、笑顔、情熱、純粋……全ての輝きが一つの星となり、聴く人全ての心を照らし出していく。

 

 その輝きは、かつて少女だった全ての人々を、一番眩しかった頃へと巻き戻す光。

 

 

 どれ程の時が流れようが決して変わることのないそれは、『絆』と言う、一つの新しい輝きだった――。

 

 

 ――♪ ――――♪ ――……♪

 

全員「……皆さん………ありがとうございました!!!!!」

 

 会場が大歓声に包まれる。

 

 そして、運命によって紡がれし共演の舞台は、喝采の中でその幕を降ろして行った―――。

 

―――

――

 

【CiRCLE 入口前】

 

 

憂「お姉ちゃん……本当に、本当に今日は良かったよ、ステキな一日をありがとう」

 

和「私も、心の底から楽しめたライブだったわ」

 

さわ子「みんなお疲れ様、私も軽音部のOGとして鼻が高いわよ……ほんと、ステキなライブだったわね」

 

純「じゃあ先輩方、梓も、また近い内に会おうね♪」

 

菫「私も一足先に帰ってます。お姉ちゃん、打ち上げ、楽しんできてね」

 

直「皆さん、お疲れさまでした!」

 

 

唯「うん! みんな、またねー♪」

 

澪「行っちゃったな……」

 

紬「ええ……でも、また近い内に会えるわよ……」

 

律「さってと……んじゃ、早く行こうぜー。打ち上げ打ち上げ♪ ビール♪ おーいしいビールが待ってるぞ~♪」

 

梓「ふふふっ、律先輩ったら……」

 

 最後までライブを見ていてくれた憂達を見送り、唯達は再びライブハウスへ戻っていく。

 

 ライブの演者全員参加の打ち上げが、まもなく始められようとしていた。

 

―――

――

 

【CiRCLE 打ち上げ会場】

 

 ライブ会場は打ち上げ会場へと様変わりし、並べられたテーブルには様々な料理にジュース類、大人向けにアルコール類が並べられていた。

 

 各々がカップを手にし、大人組のカップにはアルコールが注がれ、まりなの掛け声により、音頭が始まる。

 

 

まりな「みんな、今日はお疲れ様!! 最高のライブをありがとう!!」

 

全員「――お疲れ様です!」

 

まりな「CiRCLEとしても、今日のライブはめでたく大成功を収めることが出来ました♪」

 

まりな「なので、ささやかですが、打ち上げとして今日の日を盛大にお祝いしたいと思います!」

 

まりな「じゃあ、早速ですが乾杯の音頭を……今日、スペシャルゲストとして来てくれた放課後ティータイムの代表と……そうだね、香澄ちゃんの2人で、乾杯の音頭を取ってもらおっかな♪」

 

香澄「はーい♪」

 

律「じゃー、ここは部長の私が……と思ったけど……唯、行ってきなよ」

 

唯「え、いいの?」

 

律「あの子と一番仲良いの唯だろ? ほら、待ってるぞ」

 

香澄「唯さん! 一緒にやりましょう♪」

 

唯「うんっ! じゃあ、行ってくるね♪」

 

 そして、唯と香澄が並び、乾杯の音頭が始められる。

 

 

香澄「皆さん今日はお疲れさまでした! たくさん笑って、感動で泣いちゃったりもしたけど……でも、とっても楽しい、最高のライブでした! 皆さん本当に、ありがとうございましたっ!」

 

唯「私も! 今日、ここに集まった誰か一人でも欠けてたら、こんなに素敵なライブにはならなかったと思います! 招待してくれた皆さん、手伝ってくれたまりなちゃん、一緒に歌ってくれたみんな、本当にありがとうっ!」

 

香澄・唯「じゃあみんな、飲み物持って……せーの……かんぱ~~い♪」

 

全員「――カンパーーイ!!」

 

 各々がカップを交え、慰労会を兼ねた打ち上げが初められた。

 

 

巴「今日は目一杯ドラム叩いたからアタシ腹ペコだよー、ん~~~っ♪ このピザ、美味そうだなぁ~♪」

 

モカ「……このパン、おいしひ~~……ん~、すっごくおいしいよ~♪」

 

ひまり「きょ、今日は食べるぞーー! 私も、今日はたくさん頑張ったから! だ、だいじょーぶ! なはず……!」

 

 

友希那「今日のライブ、まだまだ改善の余地があったわね……」

 

紗夜「ええ、そうですね……観客と一緒に『音を楽しむ』という事を踏まえて、今一度私達も自分の音を聴き直してみるのも良いかも知れません」

 

リサ「も~2人とも……今日ぐらいは反省会やめて打ち上げ楽しもうよ~」

 

 

日菜「いやー、麻弥ちゃんのドラム、本当に上手になったよね~」

 

麻弥「はい! でも、今日の律さんのパフォーマンスに比べたらまだまだです……ジブンももっと、腕を磨かないと……!」

 

イヴ「ハイ♪ 切磋琢磨……ですね♪」

 

 空腹を満たすように料理を食べはじめる者や、早速今日の反省会を行う者、あるいは互いの演奏を称え合う者など、様々な少女達の声で打ち上げは賑わっていく。

 

 それは、放課後ティータイムもまた同じであった。

 

 

律「んっ……んっっ……くはぁぁぁ…………一仕事終わった後の一杯……うんめぇ~~っ!! よし、おっちゃんもう一杯!」

 

澪「だからここは居酒屋か……!って、前にも聞いたぞそのセリフ!」

 

唯「ん~~~~……ごはんが美味しい……お酒も美味しいいいいいいい」

 

梓「ちょっ、唯先輩、こぼしてますよ!」

 

紬「うふふ……♪ いいわねえ、やっぱり♪」

 

―――

――

 

巴「っかし……ほんっと楽しいライブだったよな~」

 

モカ「うんうん、みんな盛り上がってたし、サイコーだったよね~」

 

巴「やっぱ、ライブって楽しいよなぁ」

 

あこ「うんっ♪ お姉ちゃんのドラム、今日も輝いてたよ!」

 

律(あれ、この声……)

 

 巴の声を聞いた律の頭にある事が浮かぶ。

 

 早速それを試してみようと、律は巴に声をかける。

 

 

律「ねえねえそこのおじょーさん、ちょっといいかしらん♪」

 

巴「はい? あ、アタシですか?」

 

澪「おーい律……あ、そんな所にいた……」

 

律「あー澪、ちょうどよかった。ちょっと2人とも並んで、『あめんぼ あかいな あいうえお』って言って声合わせてみてよ」

 

巴・澪「……?」

 

 律の声に顔に疑問符を浮かべながらも、巴と澪は並んでそのセリフを発する。

 

 

澪・巴「「……? 『あめんぼ あかいな あいうえお』これでいいの?(ですか?)」」

 

 

律「うはっ! やっぱ似てる! お前ら2人声似すぎだろ!」

 

あこ「本当だ……おねーさん、お姉ちゃんに声そっくり!」

 

澪「え、そ、そう?」

 

巴「前に蘭にも言われたけど……そんなに澪さんとアタシって声似てるか?」

 

蘭「うん……初めて聞いた時はあたしもびっくりしたよ……」

 

巴「ん~、自分の聞く自分の声って分からないからなぁ」

 

律「それじゃあ……そうだな……」

 

 スラスラとメモに何かを書き、律は巴に見せながら続ける。

 

 

律「あの、巴ちゃん……だっけ、何も言わずにこの紙に書いてあるセリフ、ちょーっと感情込めて読んでみてくれない?」

 

巴「……? はい、えっと、なになに、『萌え萌え~……キュンっ♪』…………へっ!?」

 

モカ「お~~、トモちんの萌え萌え声だ~、ねえねえトモちん、録音するからもう一回~♪ アンコールー♪」

 

あこ「わぁぁぁ! お姉ちゃん、今すっごく可愛かったよ! あこももう一回聴きたいっ♪」

 

澪「りーつー、お前女子高生に何言わせてるんだーっ!」

 

 ――ごちんっ!

 

 

律「あいてっ! いきなり殴んなよなーもー!」

 

澪「黙れこの酔っぱらい! ほら、いいから行くぞ!」

 

律「だ~~! 分かったから引っ張んなって!!」

 

 澪に引きずられ、あえなく退場となる律だった。

 

 

蘭「……意外、まさか澪さんにあんな一面があるなんて……」

 

ひまり「澪さん……や、やっぱりか……かっこいい……!」

 

モカ「ひーちゃんひーちゃん、ちょっと何言ってるかモカちゃんわからないよー」

 

つぐみ「あははは……ひまりちゃん……」

 

巴「あれが澪さんの幼馴染……なんか、色々と凄い人だったな……」

 

―――

――

 

律「ったく……おー痛っ……澪のやつあんなに怒らなくたっていいだろ……」

 

彩「あ、律さん、お疲れ様ですっ!」

 

麻弥・千聖・イヴ・日菜「――お疲れ様です!」

 

 頭を擦りながら歩く律のその背に向け、パスパレのメンバーから声が投げ掛けられる。

 

 

律「ああ、みんなもお疲れ様~……ってか、今は仕事じゃないんだからそんな硬くならなくてもいいよー」

 

イヴ「リツさん、素晴らしいドラムでした♪ 私、本当に尊敬しますっ♪」

 

千聖「でもまさか、変装して会場に来ていただなんて……ステージで見た時は本当に驚きましたよ」

 

日菜「あれー、やっぱみんな気付いてなかったんだ?」

 

彩「え、日菜ちゃん気付いてたの??」

 

日菜「うん、受付で見た時から律さんだって気付いてたよ♪」

 

麻弥「あー、だから日菜さん、ライブ前からあんなにご機嫌だったんですね♪」

 

律「……ははは、やっぱりバレてたか……私もまだまだだな……」

 

 

律「あ、っていうか、受付っていや……彩ちゃんーーーっ」

 

彩「ひっ! は、はいっ!」

 

律「今朝流れでサイン書こうとしたの見てたぞー。自分を安売りすんなっていつも言ってるだろー! だいたいそーゆー所でアイドルってのはだな~!」

 

麻弥「ま、まぁまぁ律さん! 今は仕事じゃないって言ってましたし、今日は堪えてくださいっ、ね!」

 

律「それとこれとは話が違ーう!……たく。いいか彩ちゃん、ファンサービスってのはだなー!」

 

千聖「律さん、後で私からも彩ちゃんには言っておきますから……!」

 

律「次に私が見かけたら、もっと言うからな~!」

 

 そして意味深な事を強調しつつ、千聖と麻弥に宥められながら、律は渋々その場を後にしていた。

 

 

唯「うぅぅ……彩ちゃん、なんかごめんね、私のせいで……」

 

彩「え? あ、そんな、とんでもないですっ!」

 

彩「あれ……律さんさっき……あぁ……そっか……」

 

彩「……あ……あの、もし良かったら、サインじゃなくて申し訳ないですけど……握手でしたら♪」

 

 律に気付かれぬよう、彩はそっと唯の手を握る。

 

 

唯「え、彩ちゃん……い、いいの??」

 

彩「ええ……放課後ティータイムの演奏……すっごく感動しました……唯さん、いつも応援……ありがとうございます♪」

 

 唯の手を優しく包み込む彩の柔らかい手。

 

 その指の感触を忘れぬよう、唯は何度もその手を握り返していた。

 

 

唯「彩ちゃん……あ、ありがとう……! ありがとう……!!」

 

律(ったく……2人とも、やんならもうちょっとバレないようにやれってえの……)

 

律「……ま、あれぐらいなら今日ぐらいは見逃してやるかな」

 

麻弥「……? 律さん? どうかしました?」

 

律「……ふふふっ、いーや、なんでもないよ♪」

 

―――

――

 

【ステージ前】

 

こころ「紬達、本当に凄い演奏だったわね~♪」

 

紬「うふふっ、こころちゃんもステキなステージだったわよ♪」

 

美咲「でも、ほんと……びっくりしましたよ……」

 

はぐみ「うんうん、ムギちゃん先輩、すっごくかっこよかったね♪」

 

薫「あああ……私も、まだ心が踊っているよ……この興奮はしばらく収まりそうもないね…………そうだ、紬さん、宜しければ、今からダンスでもいかがですか……?」

 

紬「ええ……いいわよ♪」

 

花音「あははは……薫さん、相変わらずだね……」

 

美咲「ほんと、薫さん紬さんも相当疲れてるハズなのに、一体どこにそんな体力があるんでしょうね……」

 

 そして程なくしてから、ステージ上で紬と薫による社交ダンスが繰り広げられる。

 

 見る者全てを魅了するかのようなそのダンスは瞬く間に会場中の注目を浴び、相次いで拍手が巻き起こっていた。

 

 

紬「~~♪ まぁ……お上手なステップね♪」

 

薫「はははは……いや、紬さんには及びませんよ……ああ、なんて儚い……最高の一時です……」

 

花音「薫さん、凄く楽しそうだね」

 

ひまり「わぁぁ……い、いいなぁ」

 

 そして、ステップを踏むことに調子を良くしたのか、紬の腕が薫の脇に伸び……そして。

 

 

紬「ふふふっ……そーれっっ♪」

 

薫「ふふふふふふふっっ……ふわっ……えっっ……!?!?!?」

 

はぐみ「うわぁ~♪ すごいすご~い♪」

 

こころ「まぁ……すごいわ♪ 薫が空を飛んでいるわ♪」

 

美咲「う、嘘でしょ!? 薫さんがあんなに軽々と! 紬さんって実は、かなり力持ち?」

 

澪「ムギ……やりすぎ……」

 

律「おーおー、飛んでる飛んでる……いや~、さっすがムギだなぁ」

 

紬「うふふふっ……もう一声~~っ♪」

 

薫「………………………」

 

梓「……あれ? あの人、白目向いてませんか?」

 

千聖「薫……完全に気絶してるわね」

 

美咲「ちょっ! 紬さんストップ! 薫さん身体だけじゃなくて意識まで飛んでますよ!」

 

 

はぐみ「ねーねームギちゃん先輩! 今度ははぐみにもやって欲しいな♪」

 

こころ「じゃあ、その次は私ね♪」

 

紬「ええ、いいわよ~♪」

 

律「ここは遊園地か!」

 

美咲「知らなかった……まさか紬さんが、こころレベルの天然キャラだったなんて……」

 

花音「つむぎさんがこころちゃんと仲良しな理由、なんとなく分かった気がするね……」

 

―――

――

 

【ラウンジ】

 

 所変わって打ち上げ会場を離れたラウンジ、そこにはRoseliaの5名が集まって話をしていた。

 

 そこに梓も合流し、静かなラウンジ内に、少女達の笑い声が飛び交い始める。

 

 

梓「あ、Roseliaの皆さんどうも、今日はお疲れ様でした!」

 

友希那「梓さん……お疲れ様です」

 

梓「皆さん、本当に素敵な演奏でした……私もまだまだですね、もっと頑張らないと……」

 

あこ「そんな……放課後ティータイムの演奏も、ものすっごくかっこよかったと思いますっ!」

 

リサ「あはは、あこの言うとおりですよ、でも、プロの人にそこまで言われちゃうとなんだか照れちゃいますね」

 

紗夜「私達の方こそ、梓さん達のおかげで、大切な事を思い出せました……梓さん、ありがとうございます」

 

燐子「ありがとう……ございます」

 

 

梓「いいえ……私の方こそ、友希那さん達の演奏を聴いてたら、悩んでいた気持ちが吹っ飛んだ感じがします」

 

友希那「悩み……ですか?」

 

梓「はい……お恥ずかしい話なんですけど……私、少し前まで自分の音楽が分からなくなっていたんです……」

 

友希那「梓さんにも、そんな事があったんですね……」

 

梓「ええ……私もまだまだです、でも、これからはもう大丈夫……今日、先輩達と演奏して……皆さんのライブを見させてもらって……とても大切なことを学びました」

 

梓「今日、ここでRoseliaの……皆さんの歌を聴けて、本当に良かったです」

 

リサ「梓……さん……」

 

梓「……聞きましたよ、『FUTURE WORLD FES.』に参加するってお話……凄いと思います、頑張って下さいね♪」

 

友希那「はい……ありがとうございます。私達も、梓さんと父のステージ、楽しみに待ってます」

 

梓「――はいっ♪」

 

 友希那の言葉に、笑顔で梓は返す。

 

 そして、梓と友希那達は握手を交わし、互いが互いの未来を誓い合う。

 

 プロとして更なる飛躍を志す梓と、自身の夢に向かい、歩き続けるRoselia。

 

 互いの出会いに感謝をしながら、その手はしばらくの間、固く握られ続けるのであった――。

 

―――

――

 

【CiRCLE 店外】

 

 打ち上げの賑わいが僅かに聞こえる店外。

 

 上空に広がる夜空には星が煌めき、至る所で輝きを放っていた。

 

 夜空を照らす星々を見つめながら、香澄は静かに佇んでいた。

 

 

香澄「…………綺麗な星…………」

 

唯「香澄ちゃん、ここにいたんだね」

 

 満天の星を見上げる香澄に向け、唯が声をかけていた。

 

 

香澄「唯さん……今日は、お疲れさまでした」

 

唯「ううん、香澄ちゃんの方こそお疲れ様……すっごく頑張ってたね」

 

香澄「唯さん達もです……」

 

唯「ふふふっ……お星さま……綺麗だね~」

 

香澄「……はいっ」

 

 

 ………………。

 

 

 そうしてしばらくの間、2人は静寂に身を任せていた。

 

 互いの健闘を称え合うように、夜空の星は眼下の2人を優しく照らす。

 

 

 ――そして、香澄の口が静かに開かれた。

 

 

香澄「……あの、唯さんは、どうして、幼稚園の先生になろうって思ったんですか?」

 

唯「うん……私ね……高校生の頃、すっごく好きだった先生がいたんだ……今日、お客さんで来てた人なんだけどね」

 

香澄「…………その人、唯さんの憧れの先生だったんですね」

 

唯「まぁねー……私も、その先生みたいになりたくて……それで、大学も教育学部に入ってさ」

 

唯「結局、色々あって高校の先生にはなれなくってさ……それでも、どうにか先生になることはできたんだ」

 

香澄「………………」

 

唯「おかげで今、すっごく楽しい毎日を送らせてもらってるよ♪」

 

香澄「……唯さん、お話を聞かせてくれてありがとうございます」

 

香澄(憧れの人……かぁ、それじゃ、私にとっての憧れは…………)

 

 唯の笑顔に釣られるように、香澄の顔にも笑顔がこぼれる。

 

 

 そして……。

 

 

唯「あ、そうだ、香澄ちゃんが音楽をやってる理由、私も聞いてもいいかな?」

 

香澄「はい……私……小さい頃……『星の鼓動』を聴いたことがあったんです」

 

唯「星の……鼓動……?」

 

香澄「はい……その時、すっごくキラキラ、ドキドキして……それで私、高校生になったら、あの時みたいにキラキラ、ドキドキしたいって思って、色んな事に挑戦してみたんです」

 

香澄「そうしてく内に、私はあのギターに巡り合うことが出来て……有咲やりみりん、おたえ、さーやに会うことができて、バンドを組んで……おかげで、毎日キラキラドキドキできて……! 私今、すっごく楽しいですっ!」

 

唯「青春……だねぇ」

 

 どこまでも自分の今を明るく語る香澄のその姿は、唯には一際眩しく見えていた。

 

 高校に入学した当時の自分とは正反対な眩しさ……その輝きは、昔の自分にはなかったものだった。

 

 だがあの時、迷っていたからこそ自分は大切なものに出会うことが出来た、それもまた、確かな事実である。

 

 

唯「香澄ちゃんは凄いなぁ……私なんか、高校生になった時は、毎日何かしなきゃ何かしなきゃって、まるで何かに追われるように過ごしてたからさ……」

 

唯「香澄ちゃんみたいに、何かがしたいって前向きな気持ちで過ごしてなかったっけ……」

 

香澄「唯さん……」

 

唯「でも、そうやって過ごす内に、私も香澄ちゃんも、大切なものや仲間に巡り合うことが出来たんだよね♪」

 

香澄「……はいっ♪」

 

 

唯「やっぱり、バンドって……音楽って……楽しいよねっ♪」

 

香澄「はいっ! 私、バンドも音楽も、大好きです!」

 

 自分の誇れるもの、大切だと胸を張って言えるものに出会えた喜び。

 

 それは、世代を問わず皆が胸に抱く、掛け替えのない絆。

 

 出会いが紡ぐ、奇跡とも呼べるものだった。

 

―――

――

 

有咲「あ、いたいた! おーい!」

 

沙綾「香澄ー! 唯さん! 下で記念撮影するってまりなさんが!」

 

りみ「もう準備できてるって! い、急いでくださーい」

 

たえ「みんな、待ってますよー」

 

 CiRCLEから香澄と唯を呼ぶ声がする。

 

 

香澄「みんな……」

 

唯「記念撮影だって、行こっか♪」

 

香澄「……はいっ♪」

 

 遠くから聞こえるその声に2人は立ち上がり、打ち上げ会場へと戻るのであった。

 

 

【CiRCLE 打ち上げ会場】

 

まりな「じゃあみんなー、記念撮影、はっじめるよー」

 

有咲「さすがに、30人以上ともなるとちょっと狭いな……ちょっ! 誰だ今触ったの!」

 

たえ「あ、有咲、ごめん、私」

 

有咲「おたえかっ!!」

 

 

彩「記念撮影かぁ……何か、掛け声とかないかなぁ?」

 

まりな「ん~、そうだね、せっかくだし何か掛け声揃えたいよねー、どうしよっか?」

 

ひまり「あ! じゃ、じゃあ! えい!えい!おーで!」

 

モカ「いいけど、それ、ひーちゃんだけしかやらないと思うよー」

 

蘭「ふふっ……確かにそうかも」

 

ひまり「え~~~~、そんなぁ」

 

 

こころ「うふふっ、掛け声といえばやっぱり、ハッピー! ラッキー! スマイル! イェーイ! に決まりよっ♪」

 

美咲「こころ、それも却下だよ、それだとハロハピだけしか乗れないでしょ」

 

こころ「そうなのね、残念だわぁ」

 

律「いきなり掛け声っつっても、急には出てこないよな……」

 

唯「香澄ちゃん、何か良い掛け声ってないかな?」

 

香澄「う~ん……そうですね…………あ、あれなんかどうかな?」

 

 唯に振られ、香澄はカメラに向け、あるポーズを決める。

 

 右手の人差し指と親指を立て、人差し指をカメラに向けたその仕草は、まるで指で作った銃を撃つ動作にも見えた。

 

 

香澄「こうして、『夢を撃ち抜け! BanG Dream!!』っての思いついたんですけど、どうですか?」

 

沙綾「うんうん、香澄、それすっごく良いと思うよ♪」

 

友希那「『夢を撃ち抜け』……前向きで、いいんじゃないかしら」

 

千聖「ええ、今の私達にぴったりのフレーズね、悪くないと思うわ」

 

まりな「じゃあ決まりだね、みんなー、行くよー!」

 

 まりなの掛け声に合わせ、全員が指で銃を作り、香澄の言葉を口にする。

 

 

全員「――夢を撃ち抜け!――BanG Dream!!」

 

 ――カシャッ! 

 

 

 

 ――――そして、それぞれの日々が始まった――!




正直、巴と澪はもっと絡ませたかったと思います(中の人的な話で)


Afterglowを澪と結んだのは単純に2人のやり取りがやりたかったからに他なりませんw

この物語で特に評価できる点があれば教えて下さい

  • 大人になったけいおんキャラを描いた所
  • 作品の枠を超えたキャラの掛け合い
  • 随所で見られる原作小説とゲームネタ
  • ライブの選曲
  • 『輝き』というテーマ
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