ダンまち×鬼滅   作:猫丸2号

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迷宮の楽園(アンダーリゾート)

三周年イベント良かったです

遅くなってごめんなさい

 

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薄暗い迷宮の道に冒険者達の足音が響く

最初は四つだった足音は半分になり、比例するかの様に歩みが遅くなる

はっ、はっ、という荒い呼吸音がベルのものなのか、それとも自分のなのかを判別する余裕も無いほど二人は疲れきっていた

 

18階層へ向かう事を決めてからの序盤は、今考えるとまだマシだったと言える

リリがナァーザと共同開発した『強臭袋(モルブル)』によりモンスターとの遭遇はかなり避けられた

それに加えてヴェルフの【ウィル・オ・ウィスプ】という『魔力暴発(イグニスファトゥス)』を引き起こす、魔導師からすれば反則とも言える『対魔力魔法(アンチマジックファイア)』によってヘルハウンドの対処が楽に出来たことが大きい

 

しかし、魔法の多用によりヴェルフはマインドダウンに陥り、もともと体力の少ないリリは限界に達したらしく今は気を失ってベルに背負われている

そして二人も余裕が無い

体力にはそれなりの自信がある優真も自分より背の高いヴェルフを背負って歩くのは楽じゃないし、度重なる戦闘で体力は使い果たし、精神的にも限界が近づいていた

 

「ここって...」

 

ベルの呟きに半ば沈みかけていた意識を引き上げる

下がり気味だった視線を正面に向ければ、そこには白い大理石のような物で構成された巨大なルームが広がっていた

 

「『嘆きの大壁』...」

 

「間違いないよ。エイナさんに教わった通りだ。」

 

優真の漏れ出た言葉に反応するベルの声は、漸くゴールが見えたからか、僅かに弾んでいる

それもそのはず、『嘆きの大壁』は17階層と18階層を繋ぐ連絡路の前に鎮座している

本来なら其処には階層主が居座っており、最後の難関となるが、今はリリの予想通り存在しない

助かる、という思いが二人の中に生まれ、ボロボロの体を突き動かす

 

しかし、ダンジョンは狙ったかの様なタイミングで冒険者達に絶望を突きつける

バキリ、と音がなる

 

「────」

 

瞬間優真の口から声にならない悲鳴が漏れる

音の出所は優真のやや後方

壁が罅割れ、その音は徐々に大きさを増し、遂に原因が姿を表す

 

「っ!」

 

思わず息をのむ

壁から現れた赤い目がしっかりと此方を見つめている

その瞬間に理解する

階層主は居なかったのではなく待っていたのだと

油断して入ってきた獲物を仕留めるためにじっとしていたに過ぎなかったのだ

 

「走れっ!」

 

それでもやることは変わらない

ベルの叫び声を合図にその背中を必死で追いかける

 

広大な大広間の中程を過ぎた辺りで、遂にゴライアスがその巨体を顕にする

そのまま優真達に狙いを定め、その剛腕を大きく振りかぶった

 

通路まであと少しというところで優真は異変に気づく

振り返ってみれば巨人の右腕が迫っていた

 

ギリギリで間に合わない...

 

刹那の思考の中でそれを悟った優真は一つの賭けに出る

 

「頼むベルっ!」

 

「えっ?!」

 

連絡路の目の前まで辿り着いたベルに向かってヴェルフを思いっきりぶん投げる

怪我人にそんな事をするのは気が引けるが、今は構っていられない

 

巨人の一撃から逃れるために軽くなった身体に必死で鞭を打ち、足を動かし続ける

 

「オオオオオオオオオオオオッ!」

 

18階層へ繋がる洞窟の直前で鉄槌が炸裂する

 

「かはっ...」

 

直ぐ後ろから発生した暴風に殴り飛ばされる様に宙に舞う

 

「ぐっ!」

 

次に背中を衝撃が襲う

肺の空気が一斉に吐き出される

洞窟に吹き飛ばされたのか、体が二度三度とバウンドするかのように打ち付けられる

 

「あっ...」

 

身体が地面に投げ出される

全身を打ち付けられ、意識が朦朧としだす

必死で瞼をこじ開けるも視界は真っ赤に染まり、周囲の状況を掴むことも難しい

それでも助けを呼ぼうと身体に力を込めるも、その意思に反して優真の意識は暗闇に沈んでしまった

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

クチャクチャという何かを咀嚼する音が響く

目を開けてみるも、視界がボヤけて良く見ることが出来ない

自分の意思とは関係なく身体は震え、涙が頬を伝う

周りは薄暗く、僅かに開いた扉の隙間から光が射し込んでいるため、押し入れの中に居るのだろう

扉の隙間から見える光景は凄惨だった

全身血塗れの男が一心不乱に何かを食べ続ける

 

「姉...さん...。」

 

自分の口から自分のものではない声色の声が漏れる

それを合図にするかの様に段々と意識が遠退いていく

見覚えのある柄の布地が視界に入り込んだのを最後に、意識は再び失われた

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

ズキズキという痛みに意識が一気に覚醒する

痛みに呻き声を上げながら重たい瞼をこじ開けると布地の天井が視界に映る

寝起きでホワホワしている頭を働かせながら周囲を見回せば先に起きていたベル達が話しかけてくる

 

「優真起きたんだね。かなり魘されてたし、このまま目を覚まさなかったらどうしようかと思って心配したよ。」

 

「俺達のせいでかなり無理をさせちまったからな。とにかく目が覚めてくれて良かった。」

 

「そうですね。御二人にはまた助けられてしまいました。」

 

「気にしないで。パーティーなんだから助け合うのは当たり前だよ。それに、このメンバー全員が居たから生き残れたんだよ。」

 

申し訳なさそうにしているヴェルフとリリに笑いながら返事をする

全員無事に生き残れたという事実に、安堵と笑顔が込み上げてくる

 

「そういえば此処ってどこなの?見た感じテントの中みたいだけど。」

 

ふと疑問に思ったことを聞いてみれば、ロキファミリアの人達が助けてくれたらしく、思わぬ大物ファミリアの名前に絶句してしまう

リリとヴェルフもまだ聞いていなかったらしく、リリは頬がひきつり、ヴェルフはマジかという顔をしている

 

「おい、入るぞォ。」

 

「は、はい。」

 

テントの外からかかった声に慌てて返事を返すと、白髪の男が入ってきた

 

「ひっ...」

 

「よお、起きたかァ。」

 

入ってきた男の人相を見てベルとリリが短い悲鳴を上げる

それもそのはず顔は傷だらけで目付きはきつく、如何にもな顔をしていた

因みにリリはちゃっかりベルに抱きついている

 

「さ、実弥おじさん!」

 

「はぁっ!」

 

急に動かなくなった優真を心配して、声をかけようとしたヴェルフは思わず驚きの声が出てしまう

ベルとリリも同様に驚いた顔をしているが、当の二人はそんな事に気づかず話を進めていく

 

「いきなり担ぎ込まれてきたから心配したぞォ。もう身体は大丈夫なのかァ。」

 

「まだ痛みはあるけど、大分良くなりました。ありがとうございます。」

 

「そうかァ。治したのはリヴェリア達だから礼はそいつらに言ってやれ。」

 

優真とは似ても似つかない人物を叔父と呼び、楽しそうに会話している姿にベル達が言葉を失っていると、再びテントの幕が開き、アイズが入ってくる

 

「あ、実弥...此処に居たんだ。それに、君達も...起きたんだね。」

 

「どうしたアイズ。何か用かァ。」

 

いきなりの第一級冒険者の登場に度肝を抜かれるヴェルフとリリや「お久しぶりです。」と挨拶する優真を尻目に実弥はアイズに問いかける

 

「食事の用意ができたから、呼びにきたの。実弥こそ、どうして此処に...。」

 

「俺は甥の様子を見に来ただけだァ。」

 

「甥...っ!」

 

瞬間アイズに雷が走ったかのようにある可能性が浮かぶ

空に浮かぶ雲のように白い髪、どことなく似ている顔つき、そして時々見せる戦闘センス

 

(ベルは、もしかして実弥の...)

 

そこまで考えてアイズは悲しくなってくる

もし実弥の甥がベルだとするなら、ベルが態々アイズに戦いかたを教わる理由がなくなってしまう

そうなってしまえば、あの癒しの時間もとい膝枕タイムもなくなってしまうだろう

それは嫌だった

心の中の小さいアイズが涙目になるくらい嫌だった

故に確かめなくてはいけない

もしそうだった場合はアイズ達が帰還するまでに会う理由を取り付けなくてはいけないからだ

 

(善は...急げ...)

 

階層主と単独で戦うと決めた時以上の決意をもって問いかける

 

「実弥は、もしかして、ベルの...」

 

「違ェ。」

 

小さいアイズは跳び跳ねた

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

夕食の為に実弥とアイズに続いてテントを出てみれば、辺りは夜の様相を呈していた

天井や壁から生えているクリスタルは暗い中でも光を放ち、ダンジョンでは見ることの出来ない星の様でもある

優真達が居た天幕の周囲には他の天幕が多数設置されていて、幾つかの魔石灯を配置してオレンジ色の光を灯している

真ん中のスペースには大きい焚き火が置いてあるため、キャンプファイアの様でもある

 

「っ!」

 

初めて見る光景に目を奪われ、あちこち見回していた優真の視界にある人物が映り込む

何処にでも居そうな平均的な顔立ち、男性としてはサラサラ過ぎる髪、そして優真達と同じく日輪刀を腰に差している

 

「む、村田さん!」

 

優真が最もなついている鬼殺隊士、村田が居た

 

「おっ、優真か。起きたんだな。」

 

「はい。村田さん、叔父さんと一緒に居たんですね。」

 

笑顔で駆け寄った優真が疑問に思った事を言えば、村田はどこか所在なさげに呟く

 

「ああ、何でか知らないけど指名されちゃってさ。優真の前でこんなこと言うのもなんだけど、風柱様面倒見は良いんだけど怖いんだよ。て言うか水柱と恋柱様以外の柱は全員怖いし。だから気が休まらなくて...」

 

普段は口に出せない愚痴を言いながら村田は大きくため息をつく

たまの休みの日も稽古でシバかれているらしく、疲れが滲み出ていた

 

「みんな座ってくれ。」

 

そこでフィンさんの号令がかかる

何かの話を始めるらしく、各々が移動していく

焚き火を真ん中にして円形の様に腰を降ろす

ベルのサイドにはアイズとリリが、リリの隣にヴェルフ、優真、実弥、村田の順に座っていった

 

「改めて聞いてほしい。彼等は───」

 

全員が座ったのを見計らってフィンさんが改めて俺たちの説明をする

その内容は無駄な衝突を防ぐ為にそれぞれの自尊心に訴えかけるような物で、リリも感心していた

 

そして話が終わると直ぐに食事が始まった

シチューの様な食べ物にパン、18階層で採れたらしい果実等だった

 

取り敢えず黄色の綿花に似た果実が甘そうなので手に取ってみる

何でも雲菓子(ハニークラウド)と言われているらしいそれを口に含めば濃厚な甘い風味が口に充満する

 

ウマイ、控えめに言ってウマ過ぎる

この口に広がる強烈な甘みとふわふわの食感に頬が緩んでしまう

こんなに美味しい物が採れるダンジョンの神秘に感激しながら二つ目に手を伸ばそうとしたところで実弥に止められ、小言をもらう

 

「先に主食を食えェ。甘い物を先に食ったら腹がいっぱいになるだろうが。ちゃんと食べねえと大きくなれねえぞォ。」

 

「...はい。」

 

外見からは予想できない面倒見の良さを発揮する実弥に従い渋々パンやシチューを口に運ぶ

その最中、甘い物関連で伝えなきゃいけないことを思い出した為、口の中の物を急いで飲み込み話しかける

 

「そういえば、叔父さんが残していったおはぎま──ふぐっ!」

 

「ほーら遠慮せずに俺の分も食えェ。」

 

実弥の飼っていたカブトムシの話をしようとした瞬間パンを口に突っ込まれ声が出せなくなってしまう

実弥の顔を見てみれば、「それ以上は言うな。」と目だけで訴えてくる

どうやらカブトムシが好きなことは秘密にしているらしい

それを察して首を縦に振ると、漸くパンが離れていった

何をしているんだという周りの視線を無視しながら口に突っ込まれたパンの一部をモシャモシャしていると、遠くからどこかで聞いたような女性の悲鳴が響いてくる

 

「っ!すいません。行かせてください。」

 

という言葉を残してベルが走り出し、リリとヴェルフ、更にはアイズもそれに続いて声のした方へ向かっていく

 

「もげもいっへひまふ。」

 

「飲み込んでから喋れェ。あと俺も行く。」

 

ベル達を放ってはおけないので「俺も行ってきます。」と実弥に伝えれば一緒に来てくれるらしく、並んで走り出す

17階層への連絡路がある方から音がするので向かってみれば、リリと何故かいるヘスティアが取っ組み合っていた

 

「どういう状況?」

 

「俺にも分からん。」

 

何が起こっているのかを近くに居たヴェルフに聞いてみたものの、どうやらヴェルフも分からないらしく、げんなりとした様子で答える

 

「冨岡さん。」

 

「...リ、リオンさん!?」

 

突然耳元で囁かれた最近はほぼ毎日聞いている声に、まさかと思いつつそちらを見れば、覆面で顔を隠し、いつもとは違う冒険者の装備に身を包んだリューが立っていた

 

「無事で良かった。」

 

「...っ。」

 

覆面を少しだけずらして、優真の無事に安堵するように微笑むリオンさんに思わず見惚れてしまう

反応が薄い事を不思議に思ったのか、かわいらしく首を傾げるリオンさんに何とか気になっていることを聞く

 

「リオンさんはどうしてここに?」

 

「あの神にあなた達の捜索に参加するように頼まれました。」

 

リオンさんが指差す方向を目で追うと、一柱の男神がベルと話していた

 

「あの神は二枚舌の権化と言っても過言ではありません。充分気を付けてください。」

 

神相手に堂々と二枚舌と言い切るリューに思わず苦笑いが漏れる

ぱっと見た感じでは爽やかイケメンの様な見た目をしているため、とてもそんな風には見えない

 

「私は訳有って此処に居るのが知られる訳にはいきません。なので失礼しますね。」

 

「?...はい。ありがとうございました。」

 

どんな事情なのか不思議に思いつつも、態々こんなところまで来てくれたリオンさんにお礼を言って別れる

するとさっきまでベルと話していた男神様が此方に歩み寄り、笑顔で話しかけてきた

 

「やあ、君が優真くんかい?」

 

「そうです。」

 

「そうか。俺はヘルメス。よろしくね。」

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

差し出された手をとって握手を交わす

こうして少し喋ってみたがやはりリオンさんの言っていた様な胡散臭い感じはしない

優真がそんな事を考えている中ヘルメスは優真の横に居る実弥に笑いかける

 

「実弥も久しぶり。無事に帰ってきてくれて嬉しいよ。」

 

「よく言う。何で優真の捜索にきたんだァ。」

 

「冨岡って名前を聞いてもしかしたらって思ってね。元々ベルくんの捜索には行くつもりだったし、鬼殺隊には借りがあるからね。関係者を見捨てるわけにはいかないさ。」

 

「そうだったんですね。助けに来てくれてありがとうございます。」

 

ヘルメス様と鬼殺隊に繋がりが合ったのに驚くも、お礼を言うとヘルメス様は感謝は彼等にしてほしいと18階層の入り口を指差す

 

「アイツ等は...」

 

逸速くその方向を見て苦々しく呟くヴェルフの視線を追って優真は二つの事に瞠目する

 

一つは優真達にパスパレードを仕掛けた冒険者達が居たこと

そして、それ以上に驚いたことはというと

 

「おいおい、揃いも揃ってド派手に俺のお出迎えか。分かってるじゃねえか。」

 

等とほざく左目に眼帯をした長身の男、自称祭りの神・宇随 天元が居た

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

不死川 実弥

 

level6の風柱で優真の叔父

ロキファミリアの遠征に同行してたけどロキファミリアには入ってません

というよりオラリオのファミリアに入ってません

おはぎ大好き、カブトムシ大好きのアラフォー

カブトムシの名前はおはぎまる

お嫁さんは分かるよね!

子供は五人居て、寿美・貞子・こと・就也・弘

家族仲はメチャクチャ良いが数年前から殆ど家に帰れていないので、久しぶりに帰ると拗ねられて冷たくされることがある

単身赴任は大変

そして全力で凹む

ベートと仲が良い

 

 

 

村田さん

 

一部のファンに宗教的人気を誇るlevel3

階級は丙

無限城の一件で実弥に目をつけられ、義勇の推薦も有って補佐役に任命された苦労人

level3だけどlevel4とそれなりに戦える

ラウルと仲が良く、頻繁に愚痴を言い合う中らしい

独身

 

 

宇随 天元

 

level5の音柱

耳がメチャクチャ良い

子供は九人居て家族仲は良好

何時もはオラリオ内外の情報収集をしていて、タケミカヅチの所に下宿している

因みに宇随も単身赴任

 

 

 

 

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