ソードアート・オンライン 〜剣豪と絶剣〜 作:☆さくらもち♪
誤字脱字報告してくださった方も同じくありがとうございました!
これからもこの駄作を見ていただければ幸いです。
一心不乱に目の前に現れてくるモンスターを斬っては捨て、斬っては捨てをずっと繰り返していた。
その光景は後ろにいる3人すら手を出せるようなものではない。
「る、ルア?」
そんな事をやっているのは幼き少年、ルア。
両手にはそれぞれ武器が握られており、その二つともがルアの愛用している武器。
『銀霜刀』と『霊蒼刀』と呼ばれるSAO内においても一品ものと言える大業物だった。
「あれは……さすがに凄いとしか言えないな……」
「ええ……ルア君が強いってユウキから聞いてはいたけど実際に見ると強さが異次元過ぎるもの」
《黒の剣士》キリトと《閃光》アスナ。
SAOにおいて異名があるというのはつまるどころ裏打ちされた実力があり、その強さはそれぞれが違っているが普通のプレイヤーとは一線を引いた強者。
そんな2人が驚かされるぐらいの異常なプレイヤーがルアだった。
「ん……はぁ……すっきり」
ルア達が今いるのは第74層の迷宮区。
ルアがユウキと出会ってからソロでのボス攻略自体を辞めてしまったのでその影響も大きいかと言われれば元より《SAO攻略組》の攻略メンバーの育成速度が足りていなかった為に対して問題なかった事が大きかった。
「ルア君の使ってる武器ってオーダーメイドなの?」
「これは、自分で作ったやつ」
ルアがその刀を見せるとその出来栄えの美しさが際立った。
『銀霜刀』の刀身は反射し、覗き込んだアスナ達の顔が映るほど。
それでいて手を近づければ微かに冷気を感じ取れていた。
「なんかこの刀冷えてないか?」
「一応、フロストオーロラドラゴンで作ったから。それかも」
「「「フロストオーロラドラゴン!?」」」
ルアが告げたそのモンスター名に3人が大声をあげて驚く。
その反応がよく分からなかったルアはこてんと首を傾げた。
「……?」
「ちょっと待て、ルアって今何レベなんだ?」
そこで気づいたキリトはふとルアにレベルを尋ねた。
本来であればSAOで個人情報などを聞くのはご法度。
しかしそうも言ってられない相手だったからこそ聞いておきたかった。
「……んと、96だよ」
SAOにおいて階層攻略をするならば多目にレベルを上げておくのが当然となっていた。
死ねば現実世界でも死ぬのだから少しでも生存確率を高めるためにはそうせざるおえなかった。
階層に+10した数字が安全マージンと呼ばれる生存率を上げる方法の一つ。
モンスターのレベルがどれほどなのか分からないからこそSAOプレイヤーによって作られた一種の基準だった。
「96って……どんな上げ方したら今の最高階層で上がるんだ……」
「適当にスキルで、倒してた」
「あー……そういえばルアのスキルってそういう方法出来るもんね」
ルアが持つエクストラスキル。
それが全てを物語っていたぐらいにあまりにも強力すぎるものだった。
「そんなスキルが……?情報屋に出回ってるやつじゃ無さそうだし……もしかしてユニークスキルか?」
「多分?」
ユニークスキルはSAO内において唯一人にだけ扱う事が出来る特別なスキルを指していた。
現時点でSAOで公表されているのは《血盟騎士団》の団長を務める『ヒースクリフ』が持つユニークスキル《神聖剣》がそれに該当していた。
「でも、このスキル。頭の処理が出来る人じゃないと、そもそも扱えない」
「ん、どういうことなんだ?」
「発動させると頭に凄い負荷がかかるみたい?僕はよく分からないけど」
「名前は?その効果とかも出来るなら知りたい」
「ちょ、キリト!これ以上は……」
あまりにも個人の内容に踏み込んでくるキリトにそろそろしびれを切らしてきていたユウキが止めようとする。
「《幻想剣》。
ユニークスキル《幻想剣》。
それこそがルアが持つスキルの名だった。
使用者が思い浮かべる武器がとても綿密に、それこそ本物を知り尽くしていれば。
それが具現化されて世界に映し出される偽造剣。
同じ武器は世界に一つまでしか映せないが、逆に異なる武器を大量に知り尽くしていればその枷はあってないようなものだった。
「夢想した理想……」
「ユウキが持ってる武器も。アスナが持ってる武器も。キリトが持ってる武器も。そして僕が持ってる武器も。全部偽物なら、創れる」
スキルの持ち主にはパッシブとして『ありとあらゆる武器が扱える』ようになり、『両手に武器を持つ』事が出来るようになるなど様々な恩恵があった。
これだけを聞いていればあまりにも反則じみたスキルだった。
「そんなスキル……反則過ぎないか……?」
キリトがそのチート級とも言える《幻想剣》に恐れを抱いていた。
しかしルアは首を横に振る。
そんなものはないと否定するように。
「だから言った」
空中にルアが手を翳す。
1本目、片手剣。
2本目、短槍。
3本目、長槍。
そして4本目、ハンマー。
「4本目は、終わることのない頭の痛み」
5本目、両手剣。
「5本目は、消えることのない幻の声」
6本目、短剣。
「6本目は、色の消えた世界」
7本目、細剣。
「7本目。見えていなかったものが見える目」
ルアがどんどん武器を顕現させていく度に、その影響は負荷は大きくなっていく。
持ち主に多大なる恩恵を与える《幻想剣》だったが、そのデメリットは常人には到底耐えることが出来ないものだった。
数本出せば発狂するだろうほどの精神に対するダメージと脳に対する高負荷があまりにも重すぎる代物。
「僕はそれを平然と扱っているけれど」
ルアは光がない虚ろな瞳でキリトを見詰める。
整った容貌で美しさがあるのにも関わらずキリトはそんなルアに恐怖しか抱けなかった。
「こンナのヲ扱えてル僕ハ普通ダト思う?」
普通に考えれば止まることない頭痛、幻聴、色覚異常、幻覚が起きるほど脳に負荷がかかっている状態が普通であるわけがない。
「……悪かった」
具体的に表現すれば脳そのものを雑巾絞りして記憶を絞り出したものが具現化された武器だと言えるだろう。
本物と殆ど変わらない再現ともなれば具現化に至るまでの行程はそれ以上の負荷ともなる。
「ルア。大丈夫?戻れる?」
少し心配になったユウキは頭を撫でながらルアに呼びかけるとサファイアの瞳がユウキを映し出していた。
「ん、大丈夫」
撫でてくる手にすりつけるように頭を押し付けながら顕現されていた武器を消していった。
「僕は化物だから、扱えるだけ。キリトが持てる剣じゃない」
そうキッパリ斬り捨てると話は終わりだと言わんばかりにユウキに甘え出す。
「ルア君ほんとにユウキの事好きね〜」
「うん。好き」
「っ……」
何気なくルアが『好き』と言った時の幸せそうな表情にユウキはもちろん、アスナや同性のキリトすらドキッとしてしまう。
「ルア〜!そんなのボク以外に見せないで〜!」
盗られないようにルアの顔を隠すように抱きしめたユウキは顔を赤くしているも、それよりルアの表情が自分以外に見られることへの嫉妬で燃えていた。
「んぎゅ……」
「意外ね?ユウキが嫉妬しやすいなんて」
「……ルアの表情は俺でも来るものがあったから仕方ないんじゃないか?」
「ユウキ、大丈夫だよ」
「む〜」
自分自身でも理解出来るほどにルアも顔に現れたと分かっていた為元に戻ったと伝えてもユウキはまだルアを抱きしめているままだった。
「……れろ」
「ひゃうっ……」
中々手を離してくれないユウキに悪戯心でルアがその腕をペロッと舐める。
その刺激にぞわりとした感覚がユウキに走り、ボリュームは落とされた悲鳴がルアだけ聞き取れていた。
「ん……敏感?」
アスナとキリトに聞かれないように小声でユウキにだけ聞こえるように伝えると小さく頷いていた。
「じゃあ、ここではしない」
そんな反応をするユウキの姿を見られるのが嫌なルアは宿に戻ってから続きをやろうと決めた。
「さてっ、そろそろいい時間だし一旦休憩しましょう?」
「ん、ご飯あるよ」
アスナとルアが取り出したのはアイテムの消滅時間を止めるボックス。
入れれるアイテムが決まっているものの、こうして料理を持ち運ぶ際には重宝するものだった。
「ルア君も料理出来たんだ?」
「一応スキル枠余ってるから」
《幻想剣》の習得によってSAOに存在する武器種のソードスキルが全て圧縮されていた。
ルアはその空いた枠に《料理》や《鍛冶》などを入れていた。
アスナが作ってきたのはサンドイッチだった。
全員に手渡して食べると、懐かしい味が口の中に広がった。
「これマヨネーズ!?」
「そう!リアルの味を再現できないかなって色々試行錯誤して漸く完成したのよ!」
「美味い……これ売れるな」
マヨネーズの味に加えてジューシーな肉とシャキシャキな野菜がさらに食欲を加速させた。
あっという間に食べ終えてしまうと今度はルアの番となった。
「僕のは、これ」
ルアがボックスを開けると美味しそうな匂いが中から漂っていた。
「これって……!」
その正体こそ丼。
米というものがSAOには存在しており、それを活用してルアが作り出した調味料で作られた逸品。
「キリトは牛丼。ユウキと僕は親子丼。アスナは海鮮丼」
3人とも渡された丼に目が輝いていた。
ただの丼なのにも関わらずしっかりと盛り付けも丁寧にされていた。
「どーぞ」
ルアは予めユウキの背中に移動してからご飯を食べ始める。
そうでもしないと一緒に食べていたら表情が動くと確信していたから。
「美味しい……すっごく美味しいよ!」
「これは負けだわ……まだまだね私も」
「肉自体がしっかり味付いててやばいなこれ……」
「ん、にゃあ。良かった」
幸せそうに食べるユウキの姿を見てると自然とルアも笑顔になっていると分かった。
「ユウキ。はい、あーん」
「んっ!あーん!」
ルアがユウキに食べさせると先程よりも至福になって食べていた。
そしてお返しとばかりにユウキも食べさせようとする。
「はい。ルア、あーんして?」
差し出された親子丼をルアがパクッと食べると自分で食べるよりさらに美味しく感じた。
「甘々だな。あの2人」
「ほんとに。見てるこっちが胸焼けしそうよ」
遠慮なしにユウキとルアは食べさせあいながらその至福な時間を楽しんだ。
その裏でアスナもキリトもこっそり真似していたが。
ユウキとルアの甘々を表現出来ているか分からなくなったきた所存です。